レンたちが小6になってからもう数ヶ月が経ち、12月となった。街並みはカラフルになり、そこら中にLEDが飾られている。気のせいかカップルも多い気もする。そう今日はクリスマス、イエスが死んだとか生き返ったとかの日だ。そんな中、レンは1人で歩いていた。もう一度言う、レンは1人寂しく歩いていた。
そんなレンの後ろ、路地裏に怪しい影が2つあった。
(1人超寂しく歩く影発見しました)
(おぉ、ありゃ相当だね~)
(あれだったら超いけますよ)
(そうだな、絹旗ちゃん。鼻の下伸ばして私たちの言うこと全部聞いてくれるぜ)
何やらレンにおかしい評価をしている少女2人はそう言って走ってレンに近づいた。光の元へ出てきたことによって少女たちの姿がはっきりと現される。年齢は8、9歳、格好は2人とも普通、超という口調だった少女はモブカットという髪型、もう一方は腰辺りまでの黒いロングだった。
「「すいませ~ん」」
「ん?誰?」
「私は絹旗最愛って言います。こっちは黒夜海鳥です。実は、私たち今日超暇なんです。よかったら一緒に遊びませんか?」
モブカットの少女、絹旗は猫かぶり声で言った。
「お前らが誰か俺は知らない。俺は材料買いに行くのに忙しい。お前らと遊ぶ義務がない。以上3つも理由から俺は遊ばない」
レンは早口でそう言ってそそくさと去っていった。2人はいきなりそんなことを言われて固まっている。けどすぐに正気に戻りレンを追いかけた。
「ちょ、ちょっと!?なんですか、その超冷たい反応は!?」
「そうだ!こんな美少女が2人も誘ってるのに!」
「うっさいな。俺は早く材料買って家で支度しないといけないの」
レンはそう言いながらも少し速足で進んでいく。
「こうなったら、黒夜超力ずくです!」
「OK、絹旗ちゃん!」
そう言って絹旗は拳を黒夜は手から半透明の槍の様なものを出してレンに襲い掛かった。しかしレンはそれを軽々しく避けた。
「なっ!?」
「え!?」
「よっと」
パン!
レンは黒夜だけにデコピンを炸裂さした。それにより黒夜デコを押さえながらうずくまった。
「な、んで、私だけ・・・・・・」
「なんかそっちの奴にやったら危険という俺の感が働いたから」
「おぉ、超当たってます」
「だろ?」
レンは誇らしげに言いながら微妙に後ろに下がり、少しずつ2人と距離をとった後、180度回転してダッシュした。
「あ!逃げられました!」
「な!?何してんだ絹旗ちゃん、追うぞ!」
2人もレンを追いかけるために走る。だが性別も年齢も逆に勝てる要素が無いくらい負けている。だからただひたすら離されていく。気づけばレンの姿は見えなくなっていた。
*
2人を引き離したレンは予定通りにスーパーに訪れて、材料をカゴに入れていた。カゴに入っているのはケーキの材料、どうやらケーキ以外の食べ物はすでに買っているようでケーキだけその日に作るらしい。
(えっと、後は・・・・・・お菓子でも買ってくか)
そう思ってレンはカゴに適当にお菓子を放り込んだ。
「私はこれがいいです」
「お、これうまそうだな」
とそんな声が聞こえたと共にレンのカゴにお菓子がさらに放り込まれた。
「・・・・・・・・・・・・なんでいんだよ?」
「ふっ、あんなので私たちをまけると思っていたなら超甘かったですね」
「はぁ、わかったよ。それで?何の用だ?」
レンは両手を上げて降参のポーズをとってからとりあえずカゴに入った物を購入、自分の部屋に帰る間に2人の事情を聞くことにした。
「で、俺に付きまとう理由、訊こうか?」
「私たちは今日、外出許可をもらって外に来たんです」
「そうなんだよ。だけど、学園都市の外って初めてだから誰かに聞くことにしたんだ」
レンは2人の話を聞きながらどこか不可解な点を感じた。絹旗の外出許可という言葉ではまだお堅い学校なのかと思ったのだが、黒夜の学園都市の外が初めてって言葉はおかしい。それを直接訊こうとレンはしたがどこか訊いたらいけない気がして口を紡いだ。
「だから何か超面白いこと教えてください!」
「・・・・・・・・・・・・はぁ、分かったよ。ちょっと待ってろ」
携帯を出して絹旗たちから少し離れて電話をかけた。しばらくして
『もしもし?』
「水蓮か?すまん、やっかい事に巻き込まれた。クリスマスパーティの客が増えそうだ」
『え?私はいいよ』
「そうか。それじゃ」
レンは電話を切って絹旗たちのもとに帰り面倒くさそうな顔しながら髪を掻いた。
「で、どこに行きたい?今日1日は付き合ってやるよ」
「おお!ついに私たちの魅力におt「俺用事出来たわ。それじゃ」すいません」
「はぁ・・・・・・でどこに行きたいんだ?」
「私はゲーセンに行きてぇ」
「私は超服を見に行きたいです」
「よし。それじゃ一回俺の家によるぞ。荷物を置きたい」
レンがそう言うと2人は笑顔では~いと言ってレンについていった。
*
レンが歩いていた場所から少し離れた第十三学区のとある喫茶店、そこには少し髪ののびた水蓮と美形の少年が一緒にお茶をしていた。
「へぇ、あなたが第2位の
「あぁ、そういうお前こそ第3位の
なんと
「でも第2位ってすごいけど、ナンパなんてませてるね・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・あぁ、自覚はある」
2人は自分の名前、能力、趣味とか色んなこと、いわゆる世間話はすで喫茶店に入って数十分続いた。
その様子はついさっき喫茶店の前で出会ったとは思えないくらい仲良くなっている。
「それにしても、垣根君の能力ってすごいね」
「あぁ、そうだろ」
垣根の能力は先ほど水蓮が言った未元物質。簡単に言えばこの世界に存在しない物質を作り出す能力だ。
「うん。まさに常識が通用しないだね」
「それだ!」
いきなり垣根が叫んだ。そして1人ぶつぶつと何かを呟き始める。水蓮はいきなり叫ばれたことにより、ビクッとなって少し涙目になっていた。
「どうしたの?」
「思いついたぜ。俺の決め言葉」
それぐらいいいじゃないか、小学生だもの。
「お、本当?教えて教えて」
食いついたっていいじゃないか、略
「あぁ、いいぜ。よく聞けよ」
垣根はそこで一度合間を空けて
「俺の未元物質に常識は通用しねぇ」
2人の間にある空気は一度ピタリと動きを止めた。そして
「おぉ!いいね、カッコいいよ~」
「だろ、だろだろ!いやぁ、日々野とは気があうな」
今の決め言葉、カッコいいだろうか、よく分からない。だが水蓮は謎の波長があうらしく、一切の嘘なく垣根を褒めていた。
Prrrrrrrrrr
そんな会話の中、水蓮の電話が鳴った。水蓮は垣根に断りを入れてから電話に出た。
「もしもし?」
『水蓮か?すまん、やっかい事に巻き込まれた。クリスマスパーティの客が増えそうだ』
そう言っている間にも電話の向こうはなにやら騒がしい。
「え、私はいいよ」
『そうか。それじゃ』
通話は終わり水蓮は携帯をしまった。そして垣根の方に向き直ると垣根はニヤニヤとしていた。
「彼氏か?」
「違うよ」
水蓮は垣根の質問に平然とした態度に笑顔で即答した。
「少しくらいは動揺しろよ」
「あはは、しないよ。だってレンは私の親友だもん」
「親友って男女内では友情は存在しないって知らないのか?」
「あなたこそ。そんな迷信存在しないのよ。それに」
そこで水蓮はジュースを飲んだ。
「レンは恋愛対象に含まれない。これは世界の常識なんだ」
「なんだよ、その常識」
こうして色んな喋りをして時間が過ぎた。垣根は腕時計を見てコーヒーを飲み干した。
「それじゃ、お開きにするか」
「そうだね」
垣根は会計しにレジに向かった。水蓮は自分が払うと言ったのだが垣根が「俺の方が順位が上だし、男だからな」と言って走っていった。ので水蓮は外で待っていた。しばらくして垣根が財布をなおしながら出てきた。
「それじゃ、俺はこっちだから」
「うん、今日は楽しかったよ。ばいばい」
水蓮は垣根に手を振ってから180度回転して歩き出した。
「精々日常を楽しめよ」
歩き出した水蓮だったが後ろからそんな垣根の声が聞こえて振り返った。だがそこにはすでに垣根の姿はなかった。水蓮は謎に思ったがすぐにまた歩き始めた。
*
「「不幸だぁ~~~!」」
レンが少女からまれていたり、水蓮がナンパされたりしている頃、学はとある小学生と一緒に中学生数人から逃げていた。2人は並列して全力疾走で駆け抜けていく。
「てめぇのせいだぞ!どうすんだ!あれ!?」
「知るか!だいたいおめぇの方が明らかに悪いだろ!」
お互いに罵倒しあいながらも2人はただひたすらに逃げる。
「おい!待ちやがれ!」
「なめてんのか!」
そんな中学生の叫びを聞いて2人の速度はまた上がる。とても小学生の走る速さとは思えない。2人が何故こうなったのか、それは数分前、ちょうどレンが絹旗と黒夜、水蓮が垣根と出会った時と一緒だろう。そこまで遡らなければいけない。
*
まず学は今日のクリスマスパーティの時間まで特にやることがなかったので2人と同じ様に外に出て散歩していた(まぁ、2人は買い出しや研究の為なので同じ様というのは語弊があるかもしれないが)。
(なんか出会いないかな・・・・・・)
クリスマスの当日もあって周りはカップルが多く、学は嫉妬しまくっていた。小6が何ませてんだ、とか言っちゃ駄目。
そうして特に何か出会いがあるわけでもなく時間が過ぎていき、30分が経った。学はため息を吐いてこの世の不条理を呪った。のだが・・・・・・・・・・・・
「ん?」
たまたま横を向いたらそこには数人の不良に絡まれている女の子だった。相手は中学生、小学生である学は数も力も負けている。これは出会いだがそれで負けてしまえば元も子もないという保安に学は囚われた。
(どうする?どうしたら・・・・・・・・・・・・)
学が悩み足を止めていると学と同じくらいの少年が逆側の通路からツンツン頭の少年が不良に近づいていることに気がついた。
「すいません、連れが・・・・・・」
(あいつの連れなのか)
学はどうやらこの件はこれで終わり、自分には縁がなかったと思い歩き出そうとしたが「どなたですか?」という少女の言葉でまた足を止めて
「知り合いじゃないんかい!」
つっこんでしまった。
全員が学の方を向く。学はつっこんだ状態で数秒止まった後、トコトコと不良の元まで歩いていった。
「あ?なんだよ?」
「何ナンパしてんだ!その子が困ってんだろ!」
やけくそになって叫んだ。
「ああ!?なんだてめぇ!」
もちろん、そんなやけくそで不良はどっかに行ってくれるわけでもなく、学を睨みながら近づいてきた。後ろではその不良の仲間がツンツン頭の少年に近づいている。学はすぐに振り返って全力疾走で逃げた。
「まてや!」
不良も学を追って走り出す。学はそれを横目に見て確認してからニヤと笑顔を浮かべた。そう、これは少女を助ける為に不良から遠ざける作戦、学ははっきりと確認した後、前を向いて走ることに集中した。
5分も逃げた時だろうか、学はどこかの公園を通っていた。すると横から「うわぁあああ!!」と叫び声が聞こえてきた。学が気になって横を向くと先ほどもう1人の不良を引き付けていると学が考えたツンツン頭の少年が走っていた。後ろには期待通り不良がいる。
だがここで学にとって予想外のことが起きた。ツンツン頭の少年が学の方に向かってきたのだ。そして学に追いついた。言ったかもしれないが、本当にこいつら小学生か?
「なんでこっちに来る!?」
「うるせぇ!こっちだって必死なんだよ!」
こうして最初の場面に戻る。というか最初の場面はやったのでその後に進もう。学とツンツン頭の少年はまだ一緒に逃げている。気がつけばいつの間にか学は自分の部屋があるマンションの近くまで来ていた。
(おい、ここ曲がるぞ。一周回ってここのマンションに入る。そんで俺の部屋までダッシュだ。ついてこい)
(ああ、わかった)
一瞬2人はスピードを緩めて相談した後、すぐまた全速力で走り出す。後ろの2人も追いかけてくる。そして予定通り角を曲がり一周する。そしてマンションに入り、出来るだけ複雑に進んでいく。不良たちは少し遅れ気味だがまだ追いかけてくる。学はなんとか自分の部屋までたどり着き鍵を開けてツンツン頭の少年を入れて鍵を閉めた。
「はぁ・・・・・・はぁ・・・・・・はぁ・・・・・・」
「これで、OKか?」
外からは声が聞こえる気がするが不良は部屋が分からないらしく、廊下を駆けていく音だけが聞こえる。学と少年はそれで安心して玄関で倒れ込んだ。
「やったな」
「ああ」
かなり疲れているせいか学と少年はそんな短い言葉で会話は終わる。こうして学と少年は体力が回復するまで玄関に倒れ込んだままだった。
玄関で倒れてから数十分、学と少年は体力が回復したのでリビングで温かいココアを飲んでいた。学は料理はあまり出来ないがココアくらいは容れれます。
「家に匿ってもらった上にココアまで貰って、なんか悪いな」
「いいって。一緒に逃げたよしみだろ?俺は金田学だ。お前は?」
「上条当麻だ。よろしく」
こうして2人の無能力者が出会った。ちなみにこの後は特に何もなくダラダラして寝てしまっただけだった。
*
レンは疲れた、大変だったとかそれに類似することばかり頭に思い浮かんだ。その原因、それはレンと一緒にいる絹旗、黒夜の2人、昼の11時に出会い、現在3時なのだがレンはもう何十時間も歩いた様な感覚に見舞われていた。
買物袋を置いてから初めに行ったのは第七学区にある"セブンスミスト"、絹旗の要望により服を見た。レンはそこで着せ替え人形にさせられた。その後、地下に行きゲームセンターに訪れた。ここではあっちこっちに連れられてゲームをやらされて最後はプリクラを撮った。
その結果3時、レンは携帯で時間を確認した後、考えた。
「2人とも、もうお終いだ。俺、帰んなくちゃいけねえ」
「なっ!?どういうことですか、お兄ちゃん!?」
「どういうことだ、お兄ちゃん!?」
レンは何故かお兄ちゃんと呼ばれている。2人はどうやら相当レンを気に入ったらしい。一体4時間でレンは2人に何をしたんだろうか?何をしたらここまで気に入られるのだろう?
「家帰ってケーキ作んないと」
「ちょっと待てよ。それなら私たちはどうすんだよ?」
「どうするって、好きなところ周ったらいいじゃん」
「だから、私たちは今日初めて外に出たんです!超勝手がききませんよ?」
レンはそれを聞いてああそうかと相づちをうった。
「なら一緒にケーキ作るか、見とくか?」
「「へ?」」
2人の呆気をとられた声にレンはやっと会話が成立していないことに気がついた。
「今日はクリスマスだぞ、パーティをしないなんて駄目だろ」
「パーティに参加していいんですか?」
「今日1日付き合うって言ったろ。それじゃ、俺の部屋に戻るか」
「はい!」
「おう!」
2人は元気よく返事してレンの後に続いた。
*
午後6時、レンの部屋には水蓮、学、上条、絹旗、黒夜というメンバーが揃っていた。メンバーが増えることを知っていた水蓮は3人増えたんだというリアクションだったが、上条のことはレンが、絹旗、黒夜のことは学がこいつ誰だというリアクションをした。だがそれも訳を説明してクリスマスパーティが始まった。
「お兄ちゃん、それ取って」
「はいはい。ほらよ」
「お兄ちゃん、コーラを」
「はいよ」
そうやって妹?2人のお世話をして自分はあまり食べていないレンを水蓮と学は料理を食べながら見ていた。
(ねぇ、さっきから気になってたけどなんでお兄ちゃんって呼ばれてるの?そしてなんで普通に受け入れてるの?)
(だよな。今日出会ったって言ってたしおかしいよな)
2人は耳と耳が触れ合いそうな距離でひそひそ話をしていた。ちなみに上条は美味しそうに机の上に並んだ豪華な料理を食べている。
「そういえば2人は帰宅時間とかあるのか?」
「明日のお昼に戻ればいいので、超大丈夫です」
「そうか。なら心行くまで楽しめよ」
3人は水蓮たちの疑問なんて知る由もなく会話をしていた。それにしても気のせいだろうか、さっきからレン、絹旗、黒夜の3人、水蓮、学の2人が軽いグループになっていて上条がハブられているような・・・・・・・・・・・・気のせいだよね。
パーティも終盤に迫り、とうとうレンが作ったケーキを食べることになった。ケーキは6等分に切られてそれぞれお皿へ、みんな「いただきます」と合わせて一斉に食べ始めた。
「すげぇうまいな」
「さすがレンだね」
「超おいひいです」
全員言葉は違えど美味しいということだけが統一されていた。
「そうか、良かった」
レンも食べながらそう言って安心した。
「それにしても、お兄ちゃん料理上手いですね。水蓮さんもこんな彼氏を持ってさぞかし幸せ者ですね」
その言葉に学1人が飲んでいたジュースを噴き出した。レンも水蓮も上条も黒夜も全員平然としていた。
「絹旗ちゃん、私とレンはカップルじゃないよ」
「そうだぞ。俺と水蓮は親友なんだ」
そう言ってレンと水蓮は合わせて「だよね~」と言ってジュースをグイと飲んだ。それには絹旗や黒夜、上条が反応した。
「水蓮さんよ。男女間で友情は存在しないよ」
「するよ。私とレンが証拠」
(金田、なんで日々野も白神もあんな平然としてんだ?)
(さぁ?レンとはずっといるけど何時から水蓮と出会ったか俺知らないんだ。俺は水蓮と会ったのは6年からだし、あの2人の間に何があったのか・・・・・・)
学は2人のいい雰囲気を眺めてため息を吐いた。
「どうした学?」
「なんでもねえよ」
「大変だな、お前も」
クリスマスパーティはこうして幕と閉じた。ちなみに上条、絹旗、黒夜はレンや水蓮の家に泊まった。まぁ、小学生だから。