二次創作紀行~とある魔術の禁書目録~   作:鮪瓜

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なんとなく、タイトルを付けた、後悔はしていない。ここからタイトルが付いていくかは未定です。


蜂と蓮 前篇

学園都市という場所は、この世で最もオカルトと縁遠い場所だと言っても過言ではないだろう。科学で塗り固められたこの場所では、全てが実験と計算で白日の下に晒される。

 

ただ、そんな街にも都市伝説というものはある。いや、そんな街だからこそと言うべきか、隠し事の多さにより噂の数は星の数ほどある。幻想御手(レベルアッパー)も本来、その一つだった。過去形なのは本当にあったから。それを踏まえると案外都市伝説も馬鹿にできないだろう。

 

オカルト無き学園都市でも不思議なことは起きる。

 

そう、夏休みも始まったばかりのとある日、人通りの多き道でリモコンを拾ったレンみたいに。

 

フォルムから見て、どう見てもテレビのリモコン。本来、家の中にあるリモコンが何故、外に落ちているのか。人々が通り過ぎていく中、レンは足を止めて考えてしまう。

 

リモコンを携帯電話と間違えて持ってきてしまう、という話は聞いたことがある。それならば、リモコンが外にあることはありえなくはない、のだろうか。

 

もしそうならば、携帯電話とリモコンを間違えた上に、それを落とすという、二つのドジをしたかなりのドジっ娘がこの世に存在することになる。

 

ならば、その本人を見つけ、それを渡したとして、そこからお礼に一緒にお茶でもしたならば、ドジの被害は免れない。ならば、紳士っぽく優雅に去るべきだろう。

 

 

と、そこまで考えたところで、レンはいい加減、適当な考えを止めた。

(常にリモコン持ち歩いてる人物に心当たりはあるけど、落とすなんてことをするようには思えないし……)

 

レンが思い浮かべる人物にとって、リモコンとは命の次に大事な物という印象がレンにはある。つまりはリモコン大好きっ娘、そんな人物がリモコンを落とすとは考えられない。

 

学園都市にも不思議なことは起きる。

 

落とした本人がドジっ娘にしろ、リモコン好きっ娘にしろ、道端でリモコンを持って立ち尽くす少年というのは奇怪な目で見られるものである。

 

 

レンがリモコンを拾ったのとほぼ同時刻、リモコンの持ち主である食蜂操祈は元先輩に捕まっていた。

 

食蜂は学園都市に8人しかいない超能力者(レベル5)の第6位、心理掌握(メンタルアウト)であり、本来元先輩なんてものに手を煩わされるようなことはない。

 

心理掌握は、学園都市最強の精神系能力であり、記憶操作から読心、洗脳、念話等々、精神に関すれば何でもでき、十徳ナイフと揶揄される能力だ。その所為で、安全制御としてリモコンを使わなければいけないほどに応用が利く。これを使えば、元先輩なんて一瞬で自分の掌の上。

 

しかし、今回はそれができない。心理掌握も能力である以上、その対策を取られ、能力を無効化する装置もあり、絶対というわけではない。そんな中、食蜂自身、そんな装置がなくても能力が効かない人物を何人か知っている。

 

食蜂と同じ超能力者であり、順位は第3位、全ての物質を操る――ある意味、食蜂とは真逆の能力、物理変異(フィジカルチェンジ)を使う元先輩。青いポニーテールを揺らす日々野水蓮。食蜂のことを抱きしめながら騒いでいる彼女がその内の1人だ。

 

「はぁ~操祈ちゃん可愛い……!」

 

抱きついてから、ずっと可愛い可愛いと連発している水蓮を引きはがそうとする食蜂だが、運動とは縁遠い為、筋力がなく全くはがれる気配がない。

 

「日々野さん、私ぃ落としたリモコン探さないといけないから話してくれません?」

 

「大丈夫だよ~私がいるし~」

 

会話が成立している気がしない。そもそもリモコンを探したいのは、能力を使えない所為で危険が及ぶかもという保身ではなく、ここから一刻も早く離れたいからだ。

 

水蓮がまだ先輩だった頃から、食蜂は水蓮のことが苦手だった。能力が効かないこともそうだが、こうして抱きついてくる距離感が、主な理由だ。まだ、理由は他にもあるが……。

 

「こうして会ったんだし、お茶しよ、お茶」

 

「いえ……」

 

断ろうとするが、その前に手を引かれ近くのカフェに連れ込まれる。人を操ることができる食蜂にとって、ここまで振り回されることは本当に稀なことだ。

 

「というか、日々野さんなら、創造力でグラスから飲み物まで作れるんだから、わざわざお店に来なくていいんじゃないですかぁ」

 

物理変異は、大気にある水分を集め、それを原子レベルからほかの物質に変えることができ、さらに状態変化で個体、気体にも変化可能だ。集めた水をガラスにもジュースにも変えることができる。だから、飲み物に関してはお金を払う必要はない筈だ。

 

「そうだけど……そういうのって雰囲気とか大事でしょ? 自分で作ったの飲んでもあんましテンション上がんないし」

 

そうなんだろうか。使えるものは使う主義の食蜂には分からない感性だった。しかし、隣の芝生は青く見えるもので、何かあるのだろう。食蜂自身も多少ながら、思い当たる節があるので、そう結論付けた。

 

「そういえば、リモコン落としたって言ってたけど、珍しいね」

 

食蜂を知っている人物なら、誰でもそう思う。彼女がリモコンを手放すということは能力を手放すことと同意義と言っても過言ではないからだ。

 

「使用力が低い物だったし、気づいたらなかったんですよ」

 

「へぇ……」

 

水蓮は適当な返事をして頼まれてもないのに出てきたお水を飲む。

 

「使用頻度が低かったんなら、カバンの奥に眠ってるはずなのに、落ちるって変だね~」

 

「たぶん、他のリモコン出したときに落ちたんでしょうね」

 

「そっか~」

 

一体何をニヤニヤしているのか。

 

食蜂はそう聞きはしない。その所為で、どちらとも何も喋らなくなる。機嫌が悪そうな食蜂と、それを笑顔で受け流す水蓮、そんな二人を周りのお客はヒソヒソ話の種にしている。

 

しばらく、無言の空間が続く。それを破ったのは店員だった。

 

「お待たせしました~」

 

しかし、作り笑顔で飲み物を持ってきた店員は、それをテーブルの上に置くと、逃げるようにその場を去って行った。そうして、また沈黙は続く。先ほどとの違いは、二人とも喉を潤しているくらい。

 

次に、その沈黙を、さながら幻想のようにぶち殺したのは着信音だった。

 

水蓮はすぐに自分の物だと気づき、食蜂に一度確認を取った後、電話に出る。食蜂はその電話が至急の呼び出しであることを願いながら、紅茶を飲む。

 

しかし、その願いも虚しく、水蓮は笑顔で今いるカフェの名前を告げ、待ってるから~と言って電話を切った。

 

食蜂が解放されるのは、もう少し先になることが分かった。

 




 レベル5のお話。初登場のヒロイン、食蜂さんと久々の登場である水蓮さんは仲良くないです。と言っても、誰とでも仲良くなれる水蓮は食蜂のことを好きなので食蜂が一方的に嫌っているだけですが……。
 さて、今回は久々登場ということで、物理変異の説明をしました。それを読んで、「あれ?」と思った人がいるとしたら、それはそっと心の内に収めておいてください。水蓮の話はオリジナルで長々とやって行きたいので。そこまで、書けるのか、それだけが問題です。
 ただ、言っておきたいのは水蓮もレベル5である、ということです。

 今回は、どうしてか早く投稿ができましたが、次はいつになるのやら……どうかゆっくりと待っていてほしいです。あと、できれば、アドバイスと感想をくれたらうれしいです。
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