二次創作紀行~とある魔術の禁書目録~   作:鮪瓜

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第8話

上条の不幸パラメータも月詠からの好感度も青髪ピアスのうざさも何も異常なく補習は終わった。レンも再度何故能力に目覚めないのかを考えさせられた。面倒くさいったらこの上ないと思いながらも白い目で見られたくないので真面目っぽく聞いた。

そうして滞りなく終わり上条と分かれて暇つぶしにぶらぶらしていたレンの前に綺麗な黒髪の少女、佐天がとぼとぼと歩いていた。いつも一緒にいる初春もいず、どこか元気も無い。

「・・・・・・・・・・・・おい!佐天」

「へ?あ、白神さんでしたっけ?」

「ああ。それにしてもどうしたんだ?初春もいないし」

「あはは、私だっていつでも初春といる訳ではないんですよ」

「まぁ、そうだが、なんか浮かない顔をしてるな」

嘘になれた人や暗部などで活動する人間ならまだしも彼女は平凡な無能力者、いくら隠してもどこかに動揺を示す何かが出てきてしまう。そしてレンはある程度の仮説を考えた後、もう1つ質問をした。

「もしかして幻想御手(レベルアッパー)でも手に入れちゃった?」

佐天はそこで明らかな動揺を見せた。そして目が何故知っているかと問いかけている、レンはそう感じた。

「実は少し仮説でね、幻想御手は誰でも手に入るものだって考えてね。例えば音楽とかね」

既に学生たちに出回り、武装無能力集団(スキルアウト)も販売を開始している。誰にでも使うことが出来て、その上入手方法さえ知っていれば簡単に入手出来る。そうなれば機材の貸し出しということはない。

機材でないもので人の脳に作用して強度(レベル)を上げるもの、そもそも間接的に脳にアクセスするもの、それは五感だとレンは推測する。ならば幻想御手の正体は味覚または嗅覚に作用する薬、もしくは視覚に作用するマジックアートの様なもの、そして聴覚に作用する音、その3つだということになる。

だが、薬だった場合、自分の強度を上げるものを態々他人に売るとは考えにくい。なら二次添付出来るもの幻想御手はコピー出来るものだと考えられる。だから可能性は画像か音楽という2択になる。

ここまでがレンによる考察、後は佐天が深刻な顔でミュージックプレイヤーを握っているところを見てかまをかけた。その結果、見事に的中した。

「・・・・・・はい。確かにこれは幻想御手です。白神さんもいります?確か無能力者(レベル0)でしたよね?」

「いらん」

「!、どうしてですか?金田さんみたいにズルをしたら痛い目に遭うって言うんですか?」

即答されたことに一瞬驚いた佐天だったが、言葉を続ける。レンは少し面倒くさそうに答える。

「能力なんて欲しいと思ったことがない」

それはレンが誰にも何度も言ってきた答えだ。

「そうですか」

佐天の声はどこか残念そうだった。もしかしたらあんな問いをしたのも幻想御手を使う共犯者が欲しかったのかもしれない。

「お前はそれ、使うのか?」

「分かりません、でも折角手に入れたんだし手放したくないっていうか・・・・・・・」

思わぬところで手に入った能力者への糸口、なんとなくではあるが使ってはいけないと分かっているものの手放すことが出来ないのも頷ける。

もし白井がここにいれば幻想御手の副作用を説明してミュージックプレイヤーを没収するだろう。意地悪とかではなく友達を思って。初春も御坂も学だってそうする。上条は説教ついでに一発かもしれないが。

本当はそうすべきなのだろう。それは危険なんだ、だから渡してほしい。適当に副作用をでっち上げて回収すればいいのだろう。

「・・・はぁ、佐天、そんなに能力欲しいのか?」

「そ、そりゃ!憧れますよ・・・・・・・」

言葉の通り、佐天は能力が本当に欲しいのだろう。だが、本当であっても本気ではない。レンは知っている、本気で能力を欲した少年を。

少年は遊ぶ時間を惜しんで勉強に勤しんだ。少年は死ぬ思いをして特訓をした。特に意味もないレンの悪ふざけにも嫌とは言わずついてきた(本人は知らないが)。そしてどんな無理難題だって一生懸命頑張ってきた少年は大能力者になった。

しかしレンの目の前にいる少女はどうだろうか?

彼女は学校以外に勉強をしているだろうか?死に物狂いで特訓をしているだろうか?

やっていないだろう。きっとそんな時間があるなら友人と楽しんでいるだろう。別にそれが悪いというわけではない。人の生き方なのだからレンがどうこう言えるものではない。

ただ、それで努力では超えられない壁があるとか言って欲しくない。それを言いたいのなら誰に笑われようとボロボロになろうと頑張ってからにして欲しい。

彼女が誘惑に負けて幻想御手を使ったなら副作用によって何かしらの罰を受けるだろう。けどそんな痛い目にあって尚、能力が欲しいと願うならレンは上から目線であるが、出来る限りの手助け(別名:地獄の訓練)をしょうと決めた。

「そっか・・・・・・」

だからレンはその一言を言って、その場を後にした。

 

 

学園都市ではすべてのことを科学で証明するようになっている。科学の巣窟とも言える場所なので当たり前なのだが、どんな現象が起こっても何々の法則とか言ってとりあえず一旦科学に置き換える。

そんな科学に塗れた場所でレンは自身の寮を見上げながら静かに思った。

 

我が寮の廊下を徘徊する火の巨人は科学で証明出来ますか?

 

別に火の巨人が頑張ったら作り出せるかもしれない。だが、徘徊つまりは歩くという行為は無機物の火に可能なのだろうか?

ゆっくりと火を飛ばせば可能なのかもしれない。だが、あれはどう見たってゆっくり飛ばしている感じではない。正真正銘歩いていると見える。

そもそも何故この異常事態に誰も反応しないのか?それも科学で証明して頂きたい。ついでに5階から勢いを和らげながら落ちてくる友人のことも。

レンは事の真相を考えた。まぁ考えるまでもなく原因は1つなのだが・・・・・・」

「魔術か」

朝に現れてすぐに去って行った禁書目録(インデックス)と名乗るシスターが言っていた敵という奴だろう。上条の性格と性質を考えれば彼女が来た時点で巻き込まれる可能性は100と言っても過言では無かった。だからレンは少しくらい魔術に考えてみた。変な儀式をして何かを召喚したり、訳の分からない物を煮込んで薬を作ったりするものだと結論を出したのだが、火の巨人が現れたことによりまた一から考え直しになってしまった。

しかしここで考えていては話が進まないのでレンは落ちて行った友人、上条の落下地点である自転車置き場に行くことにした。そして自転車置き場に着くとレンの予想通り上条が寮を見上げながらどうするか考えていた。

「おい、当麻。どうしたんだ?」

「お、レン!実は・・・・・・」

上条は先ほどまでのことをざっくばらんにではあるが、レンに話した。

上条曰く、禁書目録の頭の中にある10万3000冊の魔道書を狙って、煙草を咥え、赤髪ロングに目の下にバーコードがある神父さんが来たらしい。しかも禁書目録は背中を斬られて重傷、一刻を争う状況なのだと。

上条の証言を聞いてもはや神父というものがなんなのか分からなくなってきたレンはとりあえず敵が来たことのみ理解した。

「それで神父さんは魔術師で炎を使って襲ってきたと」

「ああ。嘘じゃねえぞ?」

「分かってるよ。で、どうするんだ?」

上条の話によればあの火の巨人は倒してもすぐに復活してくるらしい。

実際、寮中に貼られてあるルーンが書かれた紙切れを全部破れば炎の巨人は消えるのだが、レンたちがそれを知らないのはもちろん、その数は途方もない。その方法は現状では現実的ではないだろう。だが、魔術に無知なそんなレンにもたった一つ分かることがあった。

「とりあえず、その神父さんを倒したら炎の巨人も消えるだろ?」

実にシンプルな答えだが、一番有効的だ。だが、問題はある。

「それをさせねえ為にあいつがいるんだ。その作戦は無理だよ」

「大丈夫だよ。あれくらいなら火傷で済む」

軽く準備運動をしながらレンは上条に言う。その目は冗談を言っている目ではなく、どこまでも本気だった。だが、炎の巨人はその名の通りに炎の塊、その温度は3000度に達しており、触れるだけで肉と皮が炭と化してしまう。それを火傷で終わらすなんて理科を落第点どころか非常識だ。補習に行っている上条ですらそんなことを分かっている。

「おまえ!そんな訳ねえだろ!?」

「普通なら、な」

レンは普通ではない。それは上条の幻想殺し(イマジンブレイカー)のような能力持ちの無能力者や魔術などではない。能力というには語弊があるが、ただの無能力者と言うのも正しくない。しいて言うならすごい人、それだけだ。

 

 

寮、レンや上条の部屋がある階、そこでは炎の巨人が徘徊していた。そしてその主である神父、ステイル=マグヌスは憂鬱だった。

何者かにインデックスの歩く教会が破壊されていた所為で禁書目録は背中に傷を負って倒れている。いくら少女だからと言って一人の人間を運ぶのは骨が折れる。それに元とは言え友人のそんな姿を見てしまったのだから・・・・・・。

(はぁ、すこし癪だが、ここは科学の力を借りるとしよう)

ステイルがそう思い、エレベーターがある方向を見るとそこには少年が一人立っていた。

先ほどいた不思議な力を持つツンツン頭の少年ではなく、前髪を右で分けて全体を少し立たせている髪型の少年―――白神レンがそこに立っていた。

「誰だい、君は?」

「さっきまでいた奴の友人だよ」

頭を搔きながら面倒くさそうに辺りを見渡すレン。ステイルはそんなレンを疑問に思っていた。

 

何故、人払いを発動しているのにここに来れているのか?

 

現状、こんな馬鹿でかい火の塊があるのに誰も警備員(アンチスキル)を呼ばないのはその人払いが発動して誰も近づかないようになっているからだ。なのにレンは当たり前のようにここにいる。ステイルはいつでも撃退出来るようにした。それに気づいているのかいないのか、レンは気にせず喋る。

「・・・・・・炎の巨人は?」

魔女狩りの王(イノケンティウス)のことか?」

へぇ、そんな名前なのか、とレンは言いながらまた周りを見渡す。どうやら魔女狩りの王を探しているらしい。そしてレンがもう一度ステイルの方を見た瞬間

 

轟ッ!

 

レンの背後に魔女狩りの王がやってきた。

「お、いた」

レンはあくまでも冷静、ステイルはそんなレンが奇妙で仕方なかった。だが、魔女狩りの王によって一瞬で塵になることを確信していた。

 

轟ッ!

 

魔女狩りの王はその腕を振るう。それで終わり、レンは塵になってステイルの勝利、のはずだったのだが・・・・・・。

「な、にっ・・・・・・!?」

「まぁまぁかな」

魔女狩りの王の腕をレンは悠々と掴んでいた。その顔に熱いという感情はない。

「くそっ!魔女狩りの王!」

ステイルの命令で魔女狩りの王はもう一方の腕を振るう。だが、これもレンによって受け止められる。そして両腕を掴まれたことによって魔女狩りの王は動きを封じられた。それを合図に魔女狩りの王の横をツンツン頭が通り過ぎた。

「当麻!今だ!」

「おう!」

上条はまっすぐステイルへ向かう。

「くっ!灰は灰に、塵は塵に、吸血殺しの紅十字!」

ステイルは魔女狩りの王が止められたことに動揺しながらも何とか上条を狙って魔術を発動する。だが、それは上条の右手により甲高い音とともに破壊される。

「い、魔女狩りの王!」

ステイルは炎の巨人を呼ぶが、来ない。魔女狩りの王は必死に動こうとするがレンがそれをさえない。

そしてその一瞬、上条の拳によって戦いの終止符がうたれた。




戦闘シーン、レンの活躍が全然ないな。あ、maguro328です。
魔術サイドに合わせたら科学サイドで強すぎる気がする。レンに人払いが効かない理由はまた説明します。
ご意見ご感想お待ちしております。
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