ステイルを気絶させた上条たちは人払いが解けて、
「やっぱり病院に行った方が・・・・・・・・・・・・」
「いや、禁書目録はIDが無いから無理だよ」
「なら、禁書目録、10万3000冊の中に傷を治す魔術はないのか?」
禁書目録はその問いに無理だよ、と答えた。上条の思った通りあるにはある。だが、禁書目録の話によると超能力を使えるようになる為に脳を弄ると魔術は使えないらしい。
レンは拳を握りしめた。
レンには力がある。その力は神に匹敵して摂取3000度を火傷程度で済む人間とは言えない者がレンだ。だが、いくら力があっても、どんなに自身が頑丈でも、目に前にいる少女1人救えない、レンはそれが悔しくて仕方なかった。
どうにか出来ないか、どこかに穴はないか、レンは必死に考える。大丈夫、
「い、禁書目録!能力者じゃなけりゃあいいんだよな!?」
「う、うん」
「能力者じゃ・・・・・・・・・・・・そうか!」
この学園都市は学生の町だ。その8割が学生で開発を受けている。だが、後の2割、つまり先生なら開発を受けておらず魔術を扱うことが出来る!
「よし、レン。小萌先生のところへ行こう」
「ああ!禁書目録は俺が背負う」
レンは月詠が実は能力者じゃないのか、とレンは少し疑っているのだが、そうじゃないことを祈るとしよう。
それにしても、上条はすごい。レンは走りながらそう思った。
普段はただのお人好しで馬鹿と言えるのだが、こういったピンチの時の思いつきに戦っている最中の第六感、それに関しては上条は天才的だ。
普段は鈍感なのに誰かの危険は敏感に察知して四苦八苦しながらも答えを見つけ出して誰かを救い出す。
まるで、いいや、正真証明のヒーロー、上条当麻とはそんな人間だ。
レンはあくまでも冷静に場面を判断する。今回だってレンはステイル側の事情を聞きたいと思っているし、場合によってはそっちの味方になる可能性もある。それは自分で考えて自分の正義に従っていると言えば正しい気もするが、ただの優柔不断とも言える。
そこにレンの正義はあるのだろうか?誰かの正義を借りてそれに従っているだけではないだろうか?
もちろんレンはその考えを変える気はない。自身に明確な正義がないことを知っているし、誰かの正義を借りていることも分かっている。
だからレンは上条が本当にすごいと思っている。上条は根拠もなく人を救う。それは多くからすれば悪になるかもしれないのに、そのたった一人の為にどんな無茶もする。
上条は正義を持っている。決してぶれる事が無いまっすぐな正義を。
レンはこうして上条と一緒に事件に巻き込まれたことが何度かあった。その度に結局正しいのは上条だと判断してきた。贔屓などしていない。
だから今回も上条が正しいのだろうとレンは少し思っていた。
月詠の家に着いてレン達は禁書目録を月詠に任せて外で待っていた。本当は何か手伝いをしたかったのだが、
「魔術か・・・・・・本当にあるんだな」
「そうだな」
「禁書目録、大丈夫かな?」
「どうだろな」
レンはため息を吐いた。先ほどからこの調子、話は聞いているものの一言でしか返さない。レンが真剣にこれからのことを話そうとしているのに、余程禁書目録が心配らしい。
すべての話題がこんな感じに終わってしまう所為で話題はすぐに尽きた。さすがにレンも黙ってしまい、重たい沈黙がその場を制した。まるで手術中の待ち時間みたいだ。いや、そのものだと言っても過言ではないだろう。
prrrrrrrrrrrr
そんな沈黙を電子音が破った。レンと上条は一瞬ビクッとなった後、レンは自分のだと気づいて急いで携帯を出してディスプレイを見た。そこには金田学と書いていた。
「どうした、学」
『実はな、
「あぁ、音楽だろ?それがどうした?」
電話越しに学の素っ頓狂な声が聞こえた。そしてそこから何も聞こえなくなった。レンは疑問に思って一度電話を耳から離してディスプレイを見る。そこには通話中の文字と1秒ずつ増えていく数字が書いている。繋がっていることを確認した後、もう一度電話を耳に近づけた。
「学・・・・・・?」
沈黙、レンは頭の上にはてなを3つくらい出して、ディスプレイを再度見る。やはりさっきと変わらず通話中、レンはますます現状が分からなくなった。
「・・・・・・まn『はぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああ!!!??』」
携帯をちょうど耳に近づけたところで鼓膜が破れそうなほどの叫びが木霊した。携帯を落としそうになったレンは耳を押さえながら蹲り、上条はいきなり蹲ったレンを不思議そうな眼差しで眺めながら「大丈夫か?」と安否を聞いた。
「だ、大丈夫だ。おい、学!」
レンは逆の耳に携帯を当てて学を呼ぶが返事がないが、声は聞こえてくる。どうやら電話をしていることを忘れて誰かと話しているらしい。聞こえるのは白井と初春の声、こんな時間まで
『白井!レンの奴、幻想御手が音楽だって知ってたぞ!?』
『
『あいつそんなのに疎いし興味ないからそれは絶対ない』
『それじゃあ、友人に訊いたんじゃないんですか?』
『レンの友人に興味持ちそうな奴はいないな』
『まるで友人全員を把握しているような口ぶりですわね?』
『してるよ。青ぴに土御門、上条に俺・・・・・・・・・くらいだな』
電話が繋がっていないと思い込み好き放題言う学、レンは大人なのでそこは通話終了のボタンを押した。レンの顔は近年稀にみる程のいい笑顔、携帯が悲鳴を上げていることに気付いていなかった。
「ど、どうした?」
「なんでもない」
なんでもない様子ではないが、触らぬ神に祟りなし、上条は「そうか」とだけ言ってこれ以上何も聞かなかった。
学からの電話によって出来たさっきとは別の沈黙は月詠が魔術を使い禁書目録を治すまで続いたのであった。
2週間もかけて・・・・・・どうもmaguro328です。
待って下さっていた方は申し訳ございません。い、忙しかったもので・・・・・・(言い訳)。
二次創作紀行とか言って第一弾しかない現状、一応第二弾執筆中、第一弾がこのスピードなのに・・・・・・。まぁ、もう一方の作品を中心にやっていくのでこっちはこんなペースになってしまうと思います。暖かく見守っていてください。