Sword Art Online Wizard   作:今夜の山田

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今回は四千文字です。更新速度だけは維持しようとしてますが、いまいち内容が薄いまま……
一人称は主人公が地の文で喋るから楽でいいはずなのにこのありさま
この作品、実は原作主人公TUEEEE、オリ主もTUEEEってノリでやってます
主人公報われないのは仕様。ひとまずしばらくは原作沿い


孤独なWOLFは二刀のSWORDSMANを追いかける

 仮に俺が電子の世界じゃなく、輪廻転生とかでこの平行世界に入ったならまだ希望はあっただろうか。あっただろうな。

 親に小遣い貰って前日の閉店直後から、ソードアート・オンラインを買うために店の前に並んだりしてさ。

 それで、ゲーム内で友達と出会って、一緒に冒険する。例えデスゲームになったとしても、俺が守るとか言っちゃったりしてさ。

 

 いや、βテスト時代にチートなんか使わなかったらよかったんだ。使わないでいたら、今頃はお調子者のアキヒト、皮肉屋のジクトリクス、腐女子のハリオスと一緒に、最前線とまではいかなくとも中層辺りで冒険を楽しんでいたかもしれない。

 そう思えば後悔は尽きない。電子生命体な俺なら、端からチートなんか使わなくとも、自分一人レベルを上げれば強くなれた。

 しかしそうせずにレベルを皆とほぼ同じになるようレベル上げを控えて、たかだか長期戦になったくらいでチートを使ってしまった。考え浅すぎるだろ。本当に十六歳(三十四歳)か、俺。

 自己嫌悪はしてもキリが無い。早めに自分の中で済んだことは仕方ないと思って、鉱石採りに行こう。しかし、急に胸騒ぎがする。何か、良くない事が起きるか、起きているか。俺のこういう時の勘は意外なほど当たり、そして、大抵悲惨な目に合う。

 恐らく、先ほどの偵察部隊が調子に乗ってボスに挑んだ結果、返り討ちにあったのだろう。今更隠蔽スキルと跳躍スキルを駆使して駆け付けても既に死屍累々。援軍のプレイヤーが俺を見て勘違いのテンプレコースだ。そう、行っても悲惨な目に合うだけで、旨みは無い。

 しかしそういう事となると、早ければ今日中にも上の階への道が開けるかもしれない。ボスのHPを削りきるくらいは簡単だ。あと二、三日でクリアされないようなら俺自身が単身乗り込んで行っただろうから、準備はそこそこだがHPが多少減っているなら今ある分でも十分だろう。

 

 そう、偵察部隊の連中が心配だからではない。たしか十二人の中規模パーティが一つ、六人の小規模パーティが一つ、二人組が一つだったはずだ。勝てるとは思えない。俺が駆け付けた頃には今まで通り死屍累々だろう。

 もしくは、先行パーティがやられているのを見て帰還したか。どちらにしろ、塔内部に生きている人間は残っていないだろう。ジンクス的に考えて。

 そう、跳躍スキルと隠蔽スキルを駆使してまで急ぐ必要はない。あと三十秒ほどでボス部屋に辿り着くが、決して心配しているわけでは無いのだ。

 

 部屋に入れば。うん。やっぱり死屍累々。幸運なのは、援軍らしき人達が来ている所だろう。索敵スキルで警戒してみても、後ろから更なる援軍が来る気配は全くなかった。

 

「ぐあっ!」

 

 黒い物体がボスの攻撃で吹っ飛ぶ。あれ、黒の剣士サマじゃん。

 他の面々は《軍》の奴らに《風林火山》の面々と……《血盟騎士団》の副団長サマ。意外と豪華なメンツだ。

 彼らの視線は部屋の中央のボスに集中していて、入口の傍に立っている俺に気付かないようだ。まあ、隠蔽スキルを使っているため当然かもしれないが。

 ここで手伝うべきか否か。勿論、《軍》にも血盟騎士団にも散々追い回してくれやがったという恨みはある。

 しかしここで助けたら、もしかすれば多大な恩を売った事になるんじゃないか。《軍》はまあ混乱してるし満身創痍だからおそらく指揮していたお偉いサンは死んだのだろうが、それ以外は大御所ばかりだ。

 そうと決まれば早速回復アイテムの準備。ここが《結晶無効化空間》なのは既に知っている。なので回復薬は勿論ポーション類だ。

 用意が出来たら後はこっそり後ろに回って《スパイラルチャージ》で一撃必殺。完璧だ。

 

「アスナ! クライン! 十秒でいい、持ちこたえてくれ!」

 

 黒の剣士サマが叫ぶ。十秒。……ホントに十秒だったら今すぐに攻撃行動に移らないと間に合わないんじゃないかな。

 手柄横取りするつもりはないけど、せっかくの活躍の場。汚名返上くらいはしたい。いっその事回復支援に徹するか。丁度お弁当代わりにピザの残りを持ってきている。

 みんなでピザを食べて仲良く……完璧。完璧じゃないか。ふふふのふ。……おっと、時間を若干無駄にしてしまった。そうと決まればピザを準備せねば。ふと、黒の剣士サマを見ると背中には二本の剣――正確には二本の鞘と一本の剣。が乗っかっている。

 前回相対した時は背中なんか見なかったし、ひょっとして見た目重視だったりするのだろうか。黒い服に二本の剣。

 端から見ればかっこいいと言えるが、今この場では間違いなく馬鹿のする事だ。無意味なのに二本目の剣を持つとかないわー。俺なら大剣とか長槍とかの両手武器を選ぶ。俺が上げているスキルは槍だけなため、片手も両手も槍限定となるが。

 

「もういいぞ!」

 

 黒の剣士サマがそう叫ぶと、風林火山のマスターは退いた。不謹慎だがHPバーが減っているから、恩を売れる。

 副団長サマは気合のこもった叫びと共に突き技を放つ。その見事な攻撃はβ時代、ハリオスの放ったメイスによる打撃攻撃のような荒々しさはない。

 白い光をまとって放たれた刺突は端から見れば凄く幻想的で目の保養になる。

 

「スイッチ!」

 

 黒の剣士サマがそう叫んで前に出る。さっきから叫び過ぎじゃないのかとか思うのは、きっと俺が戦闘員じゃないからだろう。

 実際混ざってみれば剣戟の音や何やらで叫ばないと聞こえないんだろう。おそらく。

 黒の剣士サマは右手でボスの攻撃を弾く。そこまではまあ、理解できる。

 そこから先の行動は……目を疑った。黒の剣士サマはなんと背負っているもう一本の剣を取り出して、そのまま攻撃を叩きこんだ。

 そしてボスの次の攻撃を両手に持った剣で受け止めて――《武器防御スキル》だろう。更には押し返して連撃を叩きこんだ。

 剣に白く輝く効果がついている事を考えれば、それはれっきとしたソードスキルなんだろう。

 俺は全てのソードスキルを知っているわけでは無いが、それでも聞いた事のあるソードスキルというのはある。しかし二刀での連撃ソードスキルなんて初耳だ。

 

「うおおおおあああぁぁぁあああああ!」

 

 黒の剣士サマはボスの攻撃を身に受ける事にも構わず連撃を叩きこむ。みるみる内に減っていくボスのHPと同様に、黒の剣士サマのHPも減っていく。

 ――最悪、死ぬ。そう考えるといてもたってもいれず、アイテム画面にピザを仕舞い込んで、特殊鉱石製の投槍を準備する。

 この投槍は悪魔等のファンタジー系モンスターに非常に有効だ。よく狙いを付けて、心臓目がけて投げ込む。

 

「ぁぁあああああ!」

「ゴアアアアアアアアアアアア!」

 

 槍が手を離れた瞬間。そう、離れた瞬間、ボスは断末魔を上げて硬直する。

 そしてガラス片の結晶に変わっていく頃に、黒の剣士に当たりそうで当たらない距離で槍が砕け散るボスを通り越して、向こうの壁に当たってカラカラと音をたてて落ちる。

 その後、黒の剣士サマは剣をしまうと、フラフラして突然ドサリと倒れ込む。

 ……良かった。当たらなくて本当に良かった。当たっていれば即レッドだ。黒の剣士サマのHPは非常に零に近い状態だ。急いでポーションを渡さないといけない。

 




そう上手くはいかないよ(断言)
只今原作一巻を元に構築中。展開が同じでもコピペとは言われないよね!ね!?
今後もアイディアはさておきご指摘ご感想をお待ちしております。
アイディアはあるなら書いてくれればいいと思うんですヨ。SAO二次増えテ!
主人公盾使わないの?とか、盾持ちの槍使いの主人公がSAOで頑張る話かけばイイジャナーイ。と思いますよ!

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