理不尽から始まる転生生活   作:こめぴ

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第2話 魔法の話

 あの日、本を初めて読んだ日から俺は生まれ変わった。

 

 なんて恥ずかしいことを堂々と言えるほど俺は知識をものすごい勢いで吸収していった。

 読み書き?

 そんなのとっくの昔にできるようになった。

 

 この世界の言語は簡単に言うなら日本語と英語をごっちゃにしたような感じだ。

 文の作り方が似ているのだ。

 そこに気づけたらもうあとはトントン拍子。

 どんどん理解できるようになった。

 単語も本を読んでいるうちにどんどん吸収していった。

 

 いやはや赤ちゃんというのは知識の吸収がむちゃくちゃ早くてすごく助かった。

 スルスルと流れるように頭に入ってきて、これは今やるしかない!と思い当たり猛勉強した。

 もちろん隠れながら。

 

 久しぶりに勉強が楽しいと思ったな。

 まあ元々勉強自体嫌いじゃないしな。

 あの自分の世界が広がっていく感覚はいつ感じてもいい。

 

 

 どうやらこの世界は前の世界と全く違う。

 特に違っていることがいくつかあった。

 

 ・いわゆる魔物と言われるやつらがうようよいる。

 

 ・そいつらを退治する冒険者という職業がある。

 

 ・魔法が使える。

 

 ここまでくるとわかるように完全にゲームの世界だ。

 なんだ、年甲斐もなくワクワクするぞ。

 いや年齢は1歳いってないんだけどな。

 

 だが魔法はともかく、魔物は普通に生きていれば関わることはないらしい。

 

 魔法は結構日常生活に取り入れられている。

 キッチンのコンロにボタンもなくてどうやって火をつけているかわからなかったがあれも魔法を使っているんだろう。

 魔法についての本も読んでみたのだが、難しい単語が多くまだ全然理解できなかった。

 

 次に魔物だが、冒険者たちが現れるたびに即座に退治しているので、街の近くに現れることはほとんどないらしい。

 

 俺はこれでもいくらかゲームやアニメが好きだったのでこういうのには憧れてしまう。

 

 冒険者か……。

 なってみたいな。

 どうせ本来なかったはずの人生だ。

 自分の好きなように生きてみるのもいいかもしれない。

 

 だかまあなるにしても訓練も積まないといけないし、相当後のことになるだろう。

 それよりも目先の話だ。

 

 

 あとは他の雑学。

 

 まずは俺が生まれたこの国はリューラン王国。

 リューラン大陸という一つの大陸がまるまる一つの国になっている。

 冒険者が活発なことで有名らしい。

 

 このリューラン大陸は南北のアメリカ大陸をくっつけたような形をしている。

 本によれば、山々が少なく、全体的に平野。

 気候は温暖らしい。

 要するに日本のような気候ということだ。

 

 そして俺が今いるのはリューラン王国の南東に位置するルーマと呼ばれる、特に豊かでも貧しくもないごくごく普通の町だ。

 

 そしてこの町を納めているのは何を隠そう、我らアルフォード家だったりする。

 まあ、だからなんだって話なんだけどな。

 

 今現在わかっていることをまとめるとこんなもんだろうか。

 

 それからというもの俺は暇さえ見つければ書庫に入り浸り、本を読み漁った。

 

 

 

 早いものでもう5年である。

 俺も5歳になった。

 もう舌も発達し言葉も話せる。

 自由に走り回ることもできる。

 いやぁ、思った通りに動けるって素晴らしい!

 そう思うこの頃である。

 

 もう今の俺はかなりの知識を身につけているはずだ。

 最近では魔法についても学び出した。

 まだ本を読み始めた頃は魔法の本は俺には難しすぎて読んでなかった。

 だけど最近久しぶりに開いてみたら内容を理解できて驚いたものだ。

 

 魔法の本を読んで幾つかわかったことがある。

 

 ①魔法を使うにあたって必要なのは魔力。

 

 もはやお馴染みのワードだな。

 魔力量は基本生まれた瞬間に決まっている。

 増やせないこともないが、増やす方法がきつく、しかもそれによって増える量もしょぼいのでやるやつはほとんどいない。

 

 たとえ魔力量が少なくても技術で節約しながら魔法を使えるらしいので、そんなに気にすることでもないという結論になった。

 

 ②魔法は属性で分類される

 

 「火」「水」「雷」「土」「風」の五大属性に加え、「光」「闇」の属性を加えた7つで構成されるらしい。

 

 それぞれが性質を持っていて、じゃんけんみたいに相性もある。

 

 最初は1人1属性が原則で、2つまでなら訓練すれば使えるようになる。

 だが3つ以上属性を使えるやつは珍しく、まして7つ全て使えたやつは過去に数えるほどしかいないとかなんとか。

 

 それに加え2つ以上の属性を使えると、2つの属性を組み合わせることで相性の悪さをなくすことができたりするらしい。

 

 

 ③媒体が大きくなるほど高ランクの魔法が使える。

 

 媒体とは簡単に言うと魔法を使うために用いる道具のことだ。

 

 要するに素手だと大した魔法は使えない。

 杖を使うとある程度の魔法を。

 魔法陣を使うと最大ランクに近い魔法を使えるということだ。

 

 しかもランクが高くなれば高くなるほど呪文の長さも変わってくる。

 

 

 

 こんなもんだろうか。

 結局魔法を使うには、ある程度自分のことを知っていないといけない。

 自分の属性とか、魔力量とか。

 大きくなれば両親が測ってくれるだろう。

 だけどこんなに心躍るものを見てしまってはすぐに測りたくなるのは当たり前のこと。

 

 (なんとかならんもんかねぇ)

 

 そう考えながらパラパラとページをめくると、あるページが目に入った。

 

 (なになに?魔力測定のやり方?)

 

 これだ。

 俺が探していたのは。

 

 やり方は思いの外簡単だった。

 本についている紙を持ち、呪文を唱えるだけ。

 

 この紙はかなり魔力の影響を受けやすくした紙だから、魔法を一度も使ったことがないような人も簡単にはかれるらしい。

 

 各属性の魔力を紙に反映させ、どれだけ紙が影響を受けたかで魔力量と属性を図るというものだ。

 

 早速やってみることにした。

 

 紙を右手の人差し指と中指で挟み顔の前に持ってくる。

 そして呪文を唱える。

 

 何から唱えようか。

 闇とかかっこよくないか?

 

 

 「ダークネス」

 

 ……反応なし。

 どうやら違うらしい。

 

 こうやって1つ1つ試していき、どれかを確かめる。

 

 次は……光にするか。

 

 

 「シャイン」

 

 ……反応なし。

 

 これ本当にきちんと影響するのか?

 不良品だったりしないのか?

 だんだん不安になってきた。

 

 次だ次。

 

 「ファイア」

 

 そう唱えた瞬間猛烈な違和感が俺を襲った。

 身体中の血液が俺の人差し指と中指に集まっている感覚。

 その違和感を感じた直後に持っていた紙が燃え上がった。

 

 「うぉっ」

 

 結構勢いよく燃えている。

 だけど何故だろうか。

 紙は10センチくらいの長さしかなく、普通なら熱いはずだ。

 だが俺は火の熱さを微塵も感じなかった。

 これは自分の魔法ということが関係しているんだろうか。

 

 思わず目の前で燃える火を眺めてしまう。

 これが魔法。

 これを俺がやった。

 そう思うとどんどんテンションが上がってくる。

 

 

 しばらくすると火が消え、紙の長さが半分ほどになっていた。

 

 改めて本を見てみると、この残った紙の長さで魔力量がわかるらしい。

 

 俺は半分ほど。

 それがどれくらいかは専門的なことが書いてあってよくわからないが、5段階評価中3なので、まあ真ん中あたりだろう。

 

 

 それにしても意外と俺は才能があるんじゃないか?

 こんなことを一発でやってしまうんだから。

 

 せっかくだから他のものもやってみよう。

 

 火の魔法のページを開き一番上、要するに一番初級者向けの魔法を探す。

 

 魔法名『バーン』ランクD

 

 これが一番初級の魔法。

 ただ単に体の一部分に火を灯す魔法だ。

 いきなり全身にやるのは怖いので、人差し指につけることにした。

 

 先ほどと同じように呪文を唱える。

 

 「バーン」

 

 ………反応なし。

 あれ?

 

 なんでだ?

 さっきはできたのに。

 

 「バーン。バーン。バーン!」

 

 何度もやってみるがやはりつかない。

 

 漫画でよくある集中できてないってことか?

 

 「すぅ……ふぅ」

 

 大きく深呼吸。

 これで心を落ち着ける。

 よし……いいかんじだ。

 

 そのまま人差し指を立て、全身の血液を指先へ集めるようイメージする。

 

 さっき成功した時に感じた感覚を自分で作っていく。

 

 するとだんだん指先が暖かくなってきた。

 これは良い兆候かもしれない。

 

 その暖かさも心臓の鼓動に合わせ大きくなったり小さくなったりする。

 

 心臓の鼓動に集中するとさらに指先が熱くなる。

 

 よしよし……良いぞ。

 

 ここだ!

 

 指先の熱が最も熱くなった瞬間に唱える。

 

 「バーン!」

 

 その瞬間ぼうっと火が燃え上がった。

 

 「おぉ……」

 

 明らかにさっきより大きい。

 ろうそくくらいの火かなと思っていたが、ドッチボールほどの大きさの火の玉が俺の人差し指の上でごうごうと燃えている。

 

 「これはすごい……これが魔法……」

 

 思わず見とれてしまう。

 

 (ていうか俺消し方知らないんだけど)

 

 どうしよう。 

 このままだと見つかったり燃え移ったりするかもしれない。

 

 しかし俺の心配は杞憂に終わった。

 

 「あ、あれ?」

 

 突然火が消えたのだ。

 あとかたもなく。

 

 それと同時になにか鼻の下を伝う感覚があった。

 

 手を触れ確認する。

 

 「鼻血……?」

 

 なんで鼻血?

 特に変なこと考えてないし、ぶつけてもいないのに。

 

 そんなことを考えながら俺の意識はそこで途切れた。

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