第1話 転生成功?
えー、私、八星糺司は絶賛落下中であります。
「って、誰か止めてぇぇぇえ!!」
穴から出たと思ったらそこは空の上。文字通りまっさかさまに落下していった。
神、もっとましなところは無かったんですか……!?
思わず心の中で愚痴ってしまうが、そんなことをしてももちろん落下は止まらない。むしろ落下してるから地面が近くなった。
「うわ、マジ、僕の人生これで終わり? ……短い人生だった」
転生して30秒くらい。僕の人生はここで終わった。
完
『ちょっと待ってくださいマイロード。まだ終わってませんよ!?』
耳に届いた青年の声。こんなところに人なんて、そうは思ったが一応周りを見渡してみる。
『違います! こちらですマイロード』
耳を澄ませば、その声はなにやら胸のところから。
「って、このペンダントか?」
そこにあったのは黒い宝石の埋め込まれた銀のペンダントだった。
『ビンゴです。残り1分ほど、まぁ、いけますよね? 今から言う言葉を復唱してください』
訳は分からないが、そんなことを悠長に考えてる今もないようだ。とりあえず、
「了解だ!」
『我、使命を受けし者なり。契約のもと、その力を解き放て』
「我、使命を受けし者なり。契約のもと、その力を解き放て」
『闇を切り裂く聖剣の一閃。光を導く魔銃の弾丸。その手を握れ、すべてはその手の中に』
「闇を切り裂く聖剣の一閃。光を導く魔銃の弾丸。その手を握れ、すべてはその手の中に」
『「バイオネット、セットアップ!!」』
瞬間、光に包まれて一気に落下が減速した。すでに地面は直前に迫ってただけあって少し、いや、かなり安心した。
その光が消えるころには姿は変わっていた。真っ黒なロングコートにジーパン、白いシャツ、指の無いレザーグローブ。
「どう見ても普段着ですが!?」
そうこうしている間に地面との距離は0に。ズンと言う鈍い音と共に着地した。したは良いが、
「いってぇぇええ!」
『ご無事ですか? マイロード』
「無事に見えるか?」
『……いえ、残念ながら』
だよなだよな! むっちゃいてぇもん。
それより、
「ここどこよ」
『現在地は海鳴市の山の森です。ちなみに神様からお手紙があるはずです。ポケットを確認してください』
そう言うことなら、とバリアジャケットを解除してポケットをまさぐる。
「お、あったあった。どれどれ」
【無事に転生終わりましたか? これを見ていると言うことは無事なんでしょうが、特典はすべて付加しましたよ。安心して下さい。ここからは簡単な説明をしたいと思います。まず、体を見てください。体縮んでますね!! おまけですが家と不自由なく暮らせるだけのお金を口座に入れてあります。デバイスのバイオネットに家情報をインプットしてるんで案内させてください。ではでは~】
『では、家まで案内しましょうか』
「え、あ、うん。そだね」
なんか神のキャラ変わってね? 気のせい?
まぁ、これからのことは家に行ってから考えるとするか。……あの神様だし特典がちゃんと付加されてるか心配だし。
やってきました、我が家。
僕としてはマンションとかがよかったんだけど。1戸建はやっぱりひとりじゃ寂しいでしょ。
「さて、原作はあと1年だったはずだから何しようか」
まずは生活用品買わなきゃ始まらんよね。あ、その後は戦う練習しなきゃな。せっかくチートにしてもらったのに扱いきれないとか無いっしょ。
『マイロード。何か勘違いしていませんか? 原作はちょうど1週間後開始らしいですが?』
……ん? なんか今凄い不吉な言葉があったんだが? えっと、
「すまん、耳がおかしかったみたいだわ。もう一回言ってみてくんない」
『ですから、原作開始は1週間後だと……』
神!!!!
1年前!!!
おしい!
いや! 全然ちゃうやん!!?
どした!? まさかこんなところでヘマしやがるとか!
『マイロード!? どうしたのですか急に頭抱えて!』
「いや、ちょっと、気にするな」
ま、まぁ、今から聖祥に入っても可笑しいことになりそうだし? もう学校はいいかな。管理局入れば良いし。
「仕方ない。まだ3時だし、まずは生活用品調達しようか」
『でしたら大型の店が近くにあるようなので案内します』
で、やってきたのはいいが、なんか居るよ。溝に車椅子が引っかかって抜け出せなってる少女が一人。
いやしかし、ボク、メンドウゴトキライ。スルー一択。……なんかこっち見てるが気にせずに。
「そんな、スルーせんといて、助けてや」
デスヨネー。しゃあない、ちゃっちゃとやったるか。
「そらよっと。これで大丈夫か?」
「いやー助かるわ。私、八神はやて、って言います。ひらがな三文字ではやてって書くんや。変な名前やろ?」
「ん? そか? 良い名前だと思うが。 僕は八星糺司だ」
「おお! 君も八やんか! 仲間やんか!」
変なところで変な仲間意識持たれてしまった……
「じゃ、今から買い物行かないといけないからまたな」
「ん? 君も買い物なんか? じゃ、一緒に行かれへん?」
一緒にねぇ。最近の子って警戒心無さすぎだろ……。ま、この子可愛いし、一緒に行って損は無いんだろうけど。
「ん~、ま、いいが、僕はこの街来たばっかだし生活用品とかで面倒だぞ」
「来たばっかで一人なんか!? えらい度胸あるなー」
「まぁ、うち親居ないし、一人なのは慣れてるんだけどな」
そこまで言ってから、しまった、と気づく。悪いこと聞いた、とでも言わんばかりに顔を曇らせるはやて。普通の良い人がこんなこと聞いたらそうなるのはちょっと考えれば分かんだろ自分!
「ああ、気にしないで。もう慣れた」
「……そか? ホンマか? いやでも、スマンかった……おっしゃ、ならこの街も案内したる! お詫びっちゅうことでド~ンとき!」
「え? それは悪いよ」
「何子供が遠慮しとるんや。ええやないか。……それに私も親居ないねん。もう慣れたと言っても寂しい事には変わらへんやろ?」
はやても子供だろ、とは思ったが、口には出さない。それに、はやても一人、か。やっぱはやても寂しいのかな。
「なんか、似た者同士だな」
「フフッ、そやね」
「よし、じゃあお願いしようかな。よろしく頼むよ」
「おっしゃ!! 任しとき!」
それから2時間ほど店の中を回って買い物を終えた。着替えやら生活用品やら食品やらを買い漁り、もうすでに両手がいっぱいだった。ちなみにはやての買い物は食品だったため一緒に買っていた。
さて帰るか、とそう思った矢先にはやてに声を掛けられた
「あんな、もし良かったらでええんやけど、今から家こおへん?」
あったばっかの男を家に上げますか!? なんと軽い。コロッと騙されそうで怖くなってくるぞ……
「んと、まぁ、予定も急がなきゃならないのはないし、良いぞ」
「ホンマ!? いやぁ、うれしいわぁ。うちに人上げるのっていつ以来やろ」
そんなに来訪者いないんですか。学校の友達もいるだろうに。
そこでふと思い出す。そういえば今日って、平日じゃ?
「そういえばはやてって学校行ってないのか?」
そう言うとはやては気まずそうに俯いて、
「行きたいのはやまやまなんやけどな、この足やから行かれへんのや」
「あっ、すまん。気を配れてなかった」
「ええよ。当然の疑問やし。早よ帰ろ」
「おう、と言いたいところだが、スマンがちょっとうち寄っていいか? この荷物持っていくのはしんど過ぎる」
そう言って両手に抱えた大きな荷物を持ち上げた。9歳でこれほどの荷物を長時間持ち歩くのは苦行としか言いようがない。
「あっ。すまんなぁ、すっかり失念しとったわ。じゃ、まず糺司の家寄ろか」
それからものの数分で僕の家に着いた。着いたのはいいが……
「………………」
「れ、礼司? 間違えたんやあらへんの?」
「い、いや、ここで合ってるはずだ……」
そこにはただの更地しか残っていなかった。
さっきの家は!? いなかった2時間ちょっとで何があった!?
♪~♪~♪~♪
急にポケットの中から携帯らしきものの音が聞こえた。さっきまで無かったはずだが、とは思うが、こうなってくるともうあいつの仕業にしか考えられなくなってくる。
「すまん、ちょっと待ってて」
「う、うん、ええよ」
一言はやてに断わって携帯を取り出す
「はいはーい。こんにちはです。糺司君。転生はどうですか? お元気です? ここでうれしいお知らせです。なんかそこの女の子と仲がいいようなので、ちょっと家消しちゃいました♪テヘペロ そこの子のおうちでお世話になってみたらいいんじゃない☆ じゃ、ばっはは~い」
神~!!!!
金があっても家なしって…… 転生させてからあの神調子乗ってやがる。天界ではあんなに下手だったのに。
「糺司、なんだったん?」
「どうやら僕はこの年にしてホームレスになってしまったようだ」
「事情がよう分からんが……そやな、じゃ、うち住むか?」
「良いんですかはやて様!?」
「なんやすっごい性格変なったな」
「うれしいんです! もう毎日働きます!誠心誠意家事させていただきます!」
だってもう最悪野宿かと思ったんだぞ!? 女神やんか! あのクソ神より神様してるよ!
「やめい!」
「へぶし」
なぜか頭を思いっきり殴られた。というか車椅子だからもう完全なアッパー。ああ、脳が揺れる。
「その変な口調やめてや。これから家族なんやから。よろしゅうな」
「ああ、よろしく頼む」
関西弁ムズイです。合ってますか? 違ったら教えてください……
不甲斐ない作者で申し訳ない……
感想待ってます!!