魔法少女リリカルなのは~戦神の行く道~   作:虹野 雪兎

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第4話 イレギュラー

 ジュエルシードが発動した、が、まぁ今回はスルーで。あの転生者(流夜だったか?)もいるだろうし、まさかはやてに荷物を持たせていくわけにもいかないだろう。

 

「ん? 何やこれ。綺麗な石やなぁ」

「どうした? って、それは!」

 

 はやてが地面から拾い上げたのは青い宝石のような石。まぎれもなくジュエルシードだった。

 まずい! まだ封印されていないそれが発動したら大変なことになってしまう!!

 一刻も早く捨てようとはやての持つそれに手を伸ばす。だがしかしそれは一足遅かった様。

 

「は、はやて!」

「ふぇ?」

 

 悪い事と言うものは重なるものだ。はやてのもとを離れたその石はひとりでに黒い人型の化け物へと変わる。

 

「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■―――――!!!!!」

「な、なんやアレ……」

 

 何が起こっているのか理解できないはやて。

 その化け物が発する声に周りの人たちがそこを向く。しかし刹那、僕とはやて以外の人が一斉に消えた。おそらく結界が張られたのだろう。その黒い化け物は僕らを見ていた眼をさらに上へと向けた。その目線の先にいたのは、金髪の少女だった。

 

「は、はやて、隠れておくぞ!」

「わ、分かった。せやけどあれ何なん? 糺司は知ってるみたいやけど」

「いいから!」

 

 そうはやての車椅子を押して店の中まで入る。

 その間も金髪の魔導師は戦闘を繰り広げる。どうやら速さで相手を翻弄するタイプらしい彼女は、すさまじいスピードで怪物を切っていく。

 

「糺司、あれってホンマモンなん? どっかの特撮だったりせえへんの?」

「だったら良かったんだけどな、残念ながら本物だ」

「……せやったら、あれってなんなん?」

「はやては魔法使いって信じるか? いや違うな、あれが魔法使いなんだ」

 

 

 そう言って金髪の少女を指さす。離れたところから黄色い球を撃つ、その少女はすでに戦い慣れた印象を与える。

 少し考えるようなそぶりを見せたはやては静かに問う。

 

「……なら、礼司も魔法使い、なんか?」

「ッ……どうして」

 

 いや、どうして、と言うのは愚問だった。しゃべりすぎた。魔法なんて文化のない世界でそのことを知っていたらいやでもその答えにたどり着いてしまうだろう。

 

「いや、そうだな。僕も魔法使いだ」

 

 そう認めざるを得ないだろう。しなくとも分かってしまうのだから。

 

「なら! あの子助けに行かんかい!!」

 

 ドンと並んで立っていた背中をたたかれる。ぎょっとして見てみるとはやての顔は笑っていた。

 

「私はこういうこと分からんのやけども、なんかあの子ピンチなんと違う?」

 

 確かにその通りだろう。あの人型、さっきから何回も何回も攻撃をくらってるのに関わらず、いまだに弱ってはいない。これは推測でしかないがあの怪物、ある程度以下の攻撃は無効化してしまうのではないだろうか。

 もしそうだとしたらあの少女はとても不利だ。攻撃は速いがただそれだけ。あの手のタイプは大きな攻撃よりも小さな攻撃でダメージを重ねていくのだろう。だからこれはじり貧になっていくとしか思えない。

 

「それにな、こんなこと言ったら不謹慎なのかもしれんのやけど、私、今めっちゃワクワクしてんねん! こんな小説やマンガみたいなこと一度でいいから体験したいと思ってたんや。せやから、礼司も行ってき! 私はここから動かへんから気にせんといてな!」

「……ああ、そうだな。わかった。じゃあ行ってくる。くれぐれもここから動くなよ」

「分かっとる分かっとる」

 

 はやてにそう注意して僕はその店から飛び出した。それにすぐに気付いたのは金髪の少女だった。

 

「何してるの!? 危ないから隠れてて!」

「大丈夫だ。分かってる。バイオネット!セットアップ!!」

『イエス、マイロード』

 

 例の如く光に包まれ、いつもの騎士甲冑を身にまとった僕を見て少女は一瞬驚いたものの、その表情は次に固く閉ざされ、

 

「……あなたもこれを狙ってるの? 絶対渡さないんだから!」

「お前じゃこれ倒せないだろうから手伝いに来ただけだ」

 

 そう言いながらこちらに背を向けていた怪物の背中を切りつける。このガンブレードだけではやはり威力が足りない。だが注意をひきつけることぐらいは出来たようだ。その目と口しかついていない怪物の顔がこちらを向く。それに僕の目的はそれではない。

 

「バイオネット! 今のでどれくらいで効くか分かったか!?」

『イエス、マイロード。あれはAA以下の攻撃を無効化する模様です』

「AAか、確か光線弾がそれくらいじゃなかったか?」

『イグザクトリー。装填しますか? ッ! マイロード、後ろです!』

 

 前には怪物がいるにも関わらず後ろを指摘される。何事かと振り返るとそこには大量の発射体(フォトンスフィア)でこちらを狙う少女の姿があった。

 

「絶対……絶対渡さないんだから!!!」

 

 それを合図とばかりに30以上はあるだろう発射体(フォトンスフィア)から想像を絶する数の弾丸が迫る。

 

「糺司!!」

 

 建物の中で待っているはずのはやてから悲鳴に近い声が聞こえる。

 これは……ギリギリか……!

 

「結界弾! 5!!」

『Barrier Bullet Laden,Anzahl Five』

 

 それを全て真下に打ってそこから結界、透明な壁を5枚出現させる。ギリギリ間に合ったその壁に何発もの弾が当たり、それた弾はすべて後ろの怪物に当たっていく。全ての球が打ち終わり、あたりは煙でおおわれる。結界は見事に4枚目まで貫通していた。そして何十、何百もの弾が直撃したであろう怪物の姿は無く、代わりに地面にジュエルシードが一つ光っていた。

 

「ハァハァハァ……」

 

 魔力をほとんど使ったのか少女は息絶え絶えだった。それでも封印したジュエルシードを渡すものかと言わんばかりにこちらをにらんでくる。だが次の瞬間、何かが切れたようにその少女は倒れてしまった。相当無理をしてしまったのであろう、気絶したようでそれと同時に結界も解けてしまう。

 

「ちょ、大丈夫か!?」

 

 慌ててガンブレードを仕舞ってその少女のもとへ走り担ぐ。そのままジュエルシードを回収し、はやてのもとへと向かった。

 

「糺司! 大丈夫やったんか!?」

「まぁ、なんとかな。それよりこの子なんだが、家に連れて行っていいか?」

「そっちの子怪我しとるんか? もちろんええに決まっとるやんか。女の子をほったらかしにしたらあかん」

 

 家主の了解も得て少女を連れて帰ることになった。荷物は半分ほどはやてに任せ、急いで家へと向かった。

 

◇◆◇

 

「これでよし、っと」

 

 少女をベットに寝かせてリビングに戻る。あれはたぶん魔力を使いすぎただけなはずだから少し寝れば起きてくるだろう。寝てる間にこちを何とかせねばなるまい。こっちと言うのは他でもない、今までにないくらいキラキラした目のはやてだ。

 

「で、や! さっきのは何なんや!? 魔法って何なんや!?」

「一気にたが(・・)が外れたな?」

「聞きたくてうずうずしとったんや!!」

「まぁ、しゃあないか。バイオネットいいか?」

『イエス、マイロード』

「こん声どこから……な、なんや? このペンダントかいな?」

 

 どこからか聞こえた声の主をたどったはやては最後に正解のペンダントに目をやった。

 

『イグザクトリィ。お見事です、はやて様。私はバイオネットでございます』

「おお! すごいなぁ!! バイオネット、さん、やね。よろしゅうたのんます」

『こちらこそよろしくお願いします』

「えっとだな、魔法はこの宝石みたいなのを使って使うんだ。で、この宝石みたいなのがデバイスって言うわけで……」

『マイロード。失礼ですが、説明の仕方が下手すぎます。チェンジです」

「あい……」

 

 デバイスに下手って言われるって…… いやまぁ、人に教えるの苦手だけどさぁ。いや、どう教えろってんだよ。知識のない人に口頭で教えるのって結構難しいんだぞ。

 

『良いですか、はやて様。魔法を使うにはデバイスと言う機械を用います。私の様な……そうですね。マイロード先ほど少女から私と同じような宝石を取ってきましたよね、出してください』

「えっと、これだな」

 

 そう言ってポケットから取り出したのは先ほど少女が気絶した時に地面に落ちていたものだ。

 

『その通りです。彼……彼であってますか?』

 

 そのバイオネットの問いかけに黄色の宝石も答える。その宝石からは低めの男の声が聞こえてきた。

 

『合っております。私はバルディッシュです』

『そうですか、じゃ、私やバルディッシュのように意志を持ちしゃべるものをデバイスの中でも総称してインテリジェンスデバイスと言ます。厳密に言えば私は少し違いますが……ここまでは大丈夫でしょうか」

「えっと、大丈夫なんやけど、それなら魔法て言っても科学の産物ってことなんか?」

『そうですね、はやて様は知っていますか? 彼の小説家、アーサー・C・クラークが定義した【クラークの3法則】を』

「えっと、確か、

【高名だが年配の科学者が可能であると言った場合、その主張はほぼ間違いない。また不可能であると言った場合には、その主張はまず間違っている】

【可能性の限界を測る唯一の方法は、不可能であるとされることまでやってみることである】

 と、あとなんやったっけ?」

『……ある意味流石ですね……一番簡単なのが出ずに難しい物ばかりを上げていくとは。3つ目はこうです。

【充分に発達した科学技術は、魔法と見分けが付かない】

 お分かりですか? この魔法とは単にこの地球よりも進んだ科学、なのです』

 

 もっともそれを使うにはある程度の素質が必要ですが、とバイオネットは締めくくった。

 はい、ちなみに僕は3法則は知りませんでした。はやて、どんだけ博識なんだよ……

 その時だ、壊すような勢いで玄関のドアが開けられ、

 

「フェイト!!! 無事かい!!? 変な男に襲われてないだろうね!!」

 

 家の中で大声で叫ばれた。なんて常識知らず…… でも出ない訳にもいかないし、面倒事になりませんようにと祈りながら一応玄関まで行ってみる。

 

「あの、どちら様でしょうか?」

「フェイトを出せ!! ここにいるのは分かってるんだよ!」

「えと、フェイトとは誰でしょうか? 心当たりがないのですが」

「嘘言うんじゃないよ!! ここからフェイトの魔力が感じられるんだから!」

 

 ああなるほど、あの少女か。いや、でもこれは焦りすぎ、というか心配し過ぎだろう。どれだけ過保護だよ。

 

「と言うことはあなたも魔導師の方ですか。えと、フェイトさん(?)はジュエルシード封印中に無理をしたようで気絶してしまい、ここで休ませていたんです。まだ目が覚めてないですから、私に上がって待っててください」

「え? そうだったのかい? ああ、ごめんよ。あたしはてっきり悪いやつらに捕まったとばかり……」

「ハハハ、たぶんフェイトさんにはそう勘違いされてましたがね……」

 

 とりあえずまだ寝てるためこの女性を家に上げる。気絶してるのを連れて帰れってのもなんかひどいし、待っててもらった方が良いだろと思ってだ。はやてたちのいるリビングまで連れて行った。




今回はオリジナルだったんですが、いかがでしたか?

 まぁ、うまくは無いんですがね。もっとうまく、面白い作品が書けるように頑張ります。

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