「おお、糺司どやった~って、お客さんかいな」
「こちらはあの少女、フェイトさんの保護者の、えと、お名前は?」
「ああ、ごめんなぁ、あたしはアルフだよ、フェイトがお世話になってます」
あら、さっきスゴイ取り乱したとは思えないほど礼儀正しいじゃありませんか。まぁ、それだけ心配だったんだろうな。
「あの子なら奥の部屋で寝てるよ。あとコレ」
そう言って黄色の宝石、バルディッシュを投げてやる。きれいな弧を描きそれはアルフの手に収まる。
「ああ、ありがとうよ。ちょっとフェイトのところに行ってきて良いかい?」
「もちろんや。廊下の突き当りの右の部屋に寝かしとるはずやで」
わかった、と一言言ってアルフはフェイトのもとへ向かう。
「なぁなぁ、糺司。あの人も魔法使いなんか?」
「うん、たぶん魔導師んじゃないかな?」
『はぁ、マイロードはまだまだ甘いですね。あれは魔導師ではなく使い魔の類ですよ」
えー、人間にそんなこと分からんだろ……
『マイロードのことです。人間だからわかんないとでも思ってるんでしょうが、ただの人間に特定個人の魔力が分かりますか? 彼女は主人より魔力が随時送られてるからこうして居場所が分かるんです』
あい、そうですね……僕ってそんな分かりやすいんでしょうか? いやむしろ単純なのか?
『ちょっとフェイト!! 何してるんだい!?』
奥の部屋から声が聞こえてくる。それとほぼ同時にこの家が結界で包まれる。
まさかあの子が目覚めたのか!? いや、でもどうしてこんなことを……
「ジュエルシードを渡してください」
次の瞬間のど元にバルディッシュが押し付けられる。あの部屋からここまでこのスピード出来たのは驚きだが、悠長にそんなことを考えている場合ではない。その場の空気は張りつめたまま動かない。いつもお茶らけた様子のはやてでさえ息をのんでこの状況を楽しむように見ている。……って、楽しそうにって何!? なぜにそんな他人事!? 家族だよね!?
まぁ、抵抗しようと思えばできない訳でもないが、
「ほい、これだろ」
そう言ってポケットから取り出したジュエルシードを投げてやる。
「えっ、きゃっ、わっわっ」
それはあまりにも不意だった様でフェイトはその場でもたついていた。後から来たアルフは何があったのかを尋ねるように見ている、が、次に口を開いたのはフェイトだった。
「どうして、これを……?」
「どうしてって、別に必要でもないし、勘違いされたままはやだし」
「え、でも、あんな危ないものだよ!? 私あなたを攻撃したのに……」
「それはだな、えっと、うん。あれだよな、はやて?」
「なんちゅう無茶振り!!? 振るならボケ方面でお願いしたいんや! いや、でも、そやな、私は君は悪い子や無いと思う、てかそうは見えんのや。そやろ、糺司」ニヤッ
そこで返しますか!? 言うなら最後までにしましょうよ! いや、でも、はやてと意見は同じだし言いたいことも多分…… 同じはず!
「ま、まぁそうだな。フェイトさんはなんか目が悲しそうじゃん、攻撃してるとき。それじゃ、ホントは怪我させたくないんだけど、って言ってるようなものだったし」
「目って、あんたら馬鹿か?」
まぁ、アルフの言葉ももっともだよな。目で人が分かったらもう凄いを越えて怖いよな。でも
「そう思っちまったんだから仕方ないだろ。余談だが、はやては学校言ってないから知識あるだけで馬鹿だ!」
「んなこと断言せんでええねん! ていうかそれはお互いさまやろが!」
「ふっ、僕は大学まで勉強済みだ。小学校なんて楽勝だ!」
「な、なんやてぇ!!? って、んなわけあるかいな!!!」
そこまで絡んでから、フェイトとアルフからの視線を感じる。
「そ、そうだな。そろそろ結界解いても良いんじゃないのか? フェイトさん」
「そ、そうやね。もう一段落したことやし、結界? 解いてもええと思うんよ」
その視線があまりにも痛いために無理やりと言っていいほど強引に話題を変える僕ら。だが、それには成功したようだ。ハッと気づいたようにフェイトが口を開く。
「あっ、ごめんなさい。忘れてた」
すぐさまその結界を解いてバリアジャケットを解除する。
「いやぁ、それにしてももう7時やないかい。えと、フェイトさんでいいんやよね? フェイトさんとアルフさんも夕飯てべて行きますか?」
「いや、そんな悪い……」きゅるるるる
夕飯と言う言葉に反応したかのようにフェイトのお腹からかわいらしい音が聞こえてくる。ただでさえ動いていたのに、魔力を使いすぎて倒れたんだからお腹がすかない訳がないのだろう。
「ハッハッハ、口ではいらんと言っても体は正直っちゅうことやね」
いや、はやて、それは!!
「今のは聞き方次第で物凄い風に聞こえるぞ!?」
「は? それはどういうこt……はは~ん、糺司も助平さん、ちゅうこっちゃな」ニヤニヤ
「え? ……はぅっ」
あ゛あ゛失言だった。言わなきゃよかった。なんかフェイトも気づいたようで凄い顔赤くしてるし。
「ちょっと、また話それると悪いからそこまでにしようか?」
「っち」
助かります! アルフさん。て言うか、はやてさん!? その舌打ちはなんですか!?
「じゃ、と言うわけで、今日の夕飯二人追加だな。はやて、多いし手伝おうか?」
「ああ、ええんよ、別に。糺司はお二人さんの相手をしとって。逃げられても困るの私らやし」
む、確かに、逃げられでもしたらせっかく作った4人分の飯を二人で食わなければいけなくなるのか。それは困る。
「よし、全力で足止めしてるよ!!」
「任せたでぇ、糺司!」
「アルフ、この二人のテンションについて行けないんだけど……」
「フェイトもかい? 私もだよ……」
◇◆◇
「う、うまいよフェイト!」
「そうだね、おいしい……」
「どうだろう、そうだろう。はやての料理がうまくない訳がないんだ!!」
「なんで糺司が偉そうにしとんねん! でも、やっぱり褒めてもらえるのはうれしいなぁ。まだあるからたくさん食べてや」
特に大きな話題が上がるわけでもなく、黙々と食べ進めるフェイトとアルフ。だが、そんなフェイトから提案、と言うよりもお願いがあった。
「糺司、後で私と模擬戦して」
「え゛?」
「どうしたんだいフェイト、そんないきなり」
「さっき、ついファランンクスシフト使ったんだけど糺司に無傷でやり過ごされたから、たぶん糺司は私よりも強い。だから戦ってみたい」
あれですか。戦闘狂の類の方ですか? まぁ、それなら人には言えないけど。
「そういうことならいいぞ。……なんか、はやてももう見たいって顔してるし」
「模擬戦ちゅったら練習試合みたいなもんやろ。怪我さえせんのやったら思いっきりやったれ。私も興味あるし!」
「と言うわけだ。じゃ、今日は疲れてるだろうし、今日は家に泊まっていったらどうだ? 明日模擬戦やろうぜ」
「え? そんな急に大丈夫かい? 迷惑じゃないのかい?」
「何言うてんの。このおっきな家に2人で暮らしてんねんで、歓迎や歓迎! いっそこの家住んでもええねんで」
いや、それは流石に言い過ぎだろう。ま、この広い家が少しでも埋まって賑やかになれば、それはそれでいいんだけどな。
「じゃあ、お言葉に甘えようかね、フェイト」
「うん、よろしくお願いします」
そうやって決まった、初対面同士でのお泊り会。普通はあり得ないことだよね!? 出会ったその日に泊まるとか。
夕食後ははやてが、
「女子会や!!」
とか言って僕は部屋に入れなかったので一人さびしく風呂入って寝ましたよ。他には何もありませんよ。僕は……
◇◆◇
翌日朝食も済ませ、僕らは家にある庭に来ていた。来ていた、と言ってもたいして動いては無いんだけどね。
「糺司、ここでどうするんや? 模擬戦するんやったら大きな場所じゃないとできなくないんか?」
「説明しよう!! 僕の持つレアスキルでその空間を作ってしまうのだよ」
「いや、説明が意味不明や」
「ていうか、どんなレアスキルならそんなことできるんだい」
「百聞は一見にしかず、だ。ほれ、」
手を出して作り出すのは丸く白い直径30センチくらいの球体。この中に大きな空間を作って僕と一緒なら球体に触れれば入れるようにしてある。
「と言うわけで、これに触ってください」
「えと、こうかい?」
「はい、ホント、これなんですか?」
「よし、準備オーケーやで」
「じゃ、離さないで下さいよ。……入場」
次の瞬間、そこには白い球だけしか残って居なくなった。僕らはその弾の中へと入っていったのだ。
「っと、到着。大丈夫か?」
「私は何とか。フェイトちゃん大丈夫か?」
「うん、問題ない」
「うう~舌かんじまったよ」
「あっ、すいません。注意し忘れました」
実は入る瞬間に下方向に重力がかかり、口をあいてると舌をかむことがあるのだ。……実際僕も最初来たときは舌を噛んでしまったのだった。
「それにしても凄いところだねぇ。一面真っ白じゃないかい」
「気分が悪くなりそうやな」
「そう、それなんだよな……それさえなければここは最高の修業スポットなのに……」
それにここにはとても嫌な、と言うよりイラッとくる思い出が…… そう、何を隠そうあの神がいたところととてもよく似ている!!
「そんなことより、模擬戦、しましょう」
そんなことですか…… まぁ良いでしょう。
「ちょっとその前に試したいことあるんだが良いか?」
「? 何?」
「えっと、ファランクスシフト、だっけ? アレできそうだなって思ってさ。ちょっとやってみて良い?」
「……良いけど、魔力残量には気を付けて」
「了解。はやても離れておけよ」
「わぁっとるって」
「それじゃ、バイオネット、セットアップ」
『イエス、マイロード』
「じゃ、通常弾30発」
『Normal Bullet Laden, Anzahl Dreissig』
「速射、そして直後固定」
全ての弾を物の3秒で撃ち、目の前に固定する。それだけでもすでに壮観な光景が出来上がっている。しかし僕はまだ続ける。先に出しておいた10メートルもあろうかと言う大きな的を見て、
「標的50メートル先、高さ地上100センチ。……弾丸、装填、速射、固定、斉射、分裂、連続、集中。以上の工程を詠唱により固定。詠唱“戦神の正射、避けるに叶わず。されど死すに能わず。故に其力は既に振るえず――千弾烈華”」
詠唱が終わると同時に固定してあった弾丸がすべて高速で発射される。さらにそれは途中で分裂を繰り返し、一点の的へと向かう。その威力は的の消失が物語っていた。
むむむ、うまく書けません…… もうちょっと表現力があれば良い物を……
感想待ってます