ヴィリエ・ド・ロレーヌさんの華麗なる貴族ライフ 作:ぜんざい
「神様転生」
「把握。世界は?」
「ゼロの使い魔 アニメ準拠」
「おk。チートは?」
「適当に三つ言え。家系とかも含む」
「1、裕福な家庭環境。2、権力と自由の両立。3、念能力」
「あいあい、じゃあ行って来い」
「サンキューゴッド」
「良いって事よ」
グッドモーニング読者諸君。
なんか気付いたら神様転生していたヴィリエ・ド・ロレーヌだ。
唐突だが幼少期はカットさせてもらう。
何故かって?何もなかったからな。
光源氏計画しようにもこの世界のメインキャラクターって地雷物件ばっかだし。
虚無とかエルフとかビッチとか王族とか貧乏とか何なのアイツら。
モブ貴族の女の子に手を出そうとも思ったが如何せん未成年で行動範囲の限られるオレには荷が重すぎた。
ま、色恋沙汰は学院生活でやれって事だな。
「という訳で名も知らないミス。オレの子を産んでみないか?」
「死ね」
鞭打とは。空道の技で全身を滑らかにしならせる事によってムチのような特殊な打撃を実現する攻撃手段。通常の打撃とは異なり相手の皮膚に対してダメージを与えるのでガードのしようがなく、この技を回避するためには避けるしかない。加えて皮膚を狙って攻撃するため相手の体全体が急所となり、どこに攻撃しても大きなダメージを与えることが出来るのだ。
要するにこれで通算150回目のビンタである。
やれやれ、ゲルマニアやトリステインのレディは随分と手が早いな。やはり娶るならばアルビオンの女性が一番か。親父の選択は正しかったんやなって。
「オレの一体何がいけないんだ。
顔、財力、学力、才能、度胸、性格全て揃った優良物件だろうに」
「君のその自信過剰は何処から来るんだい?」
「簡単な話だキーファ。
自身の無い男と自身に満ちた男。どっちが格好いい?」
「過剰なのが問題なんだよヴィリエ。
後いい加減名前覚えてくれない?ボクはギーシュだよ」
原作未読、アニメもチラッとしか見ていないしおまけに記憶力も皆無なオレだ。
10年以上触れていない作品のサブキャラクターなんて覚えている訳がない。
ルイズですらあの目立つ髪の色と爆発が無ければ判別不能だっただろう。
「ミスタコルベール頭頂部爆発事件…」
「何だい唐突に。嫌な事件を思い出させないでくれよ…」
「オレが土や水系統のメイジだったらカツラでも作ってやれるのだが…」
「普通に市販品で売っているじゃないか」
あれ以来ルイズは『毛刈り』の二つ名で恐れられている。
「それにしてもこれで通算150回目かぁ。
もう学院の全女子生徒に声をかけたんじゃないかい?」
オレの隣で自家製ピザポテトを貪るピザ。こいつは特徴的だから覚えている。
名前は確か…。マゾコルヌ?まあこんなもんだろ。
「いや、まだルイズとタバサ、キュルケは口説いていないよ。
君がロリもイケるかどうかは不明だけどどうなんだい?」
「あのメガネっ子と巨乳はなんか苦手なんだよ…。前世の因縁か?
ルイズの方は察してくれ。オレも禿げたくはない」
「君と同意見だよ」
「まあ悲観する事ではないさ。再来週には三年生も卒業するからな」
「成程、春から来る新入生に声を掛けるんだね」
「そしてビンタの回数も増える、と」
「いやいや、アレだ。オレ下級生にモテるタイプだから」
「今年初めて上級生になる奴が何言ってるのさ」
「ド・ロレーヌ領では年下受けは良かったんだぞ。
主に平民のクソガキ共にだけど」
「ああ、ズボンに鼻くそとか付けられてるビジョンが浮かぶよ」
学院長が直々に選んだここの美形ぞろいなメイドなら兎も角、普通のイモい平民にモテてもなぁ。自領ならともかくここではオレもちょっと身分に寛容な貴族程度だし。過度な干渉は彼らを増長させかねないからね、仕方ないね。
「全く、トリステイン全土がド・ロレーヌ領みたくなればいいのに」
「ハルケギニアが滅ぶよ?」
なにそれこわい。
ー かくして人食い魔女を討ち倒したヘンゼルとグレーテルはお菓子の家で兄妹仲良く幸せに暮らしました ハッピエバーアフター ー
…あれ?ヘンゼルとグレーテルってお菓子の家で生涯を終えたんだっけ?
いかんな。どうにも記憶が曖昧で。
午前2時頃の深夜。自室にて前世の記憶を頼りに執筆活動(盗作)をしていると記憶の齟齬に思い悩む。
そもそも森の中にあるお菓子の家って衛生的にどうなの?
民家一つ分を支えられるお菓子とか食べたら歯が欠けそうなんだけど。
グリム童話の世界にも固定化の魔法とかあったのかね。
…まあその辺は劇団の方々にお任せしよう。
団長ならいい具合に仕立ててくれるだろ。
「じゃあこれトリスタニアまで頼むわ」
「畏まりました坊ちゃま(笑)」
先程から後ろに居た軽装の女に原稿用紙を渡す。
女は酷く興味なさげに原稿用紙を確認するとそのままポーチの中に突っ込んだ。
盗作とは言え人が苦労して書いた作品を此処まで雑に扱われると腹が立つ。
「(笑)は余計だ駄メイド」
「趣味の為に実家の使用人を呼びつけるような方には相応しい称号かと」
「実益を兼ねた趣味だから良いだろうが。
実家の経営している劇団活動の補助だからこれも一応領地経営の一種だ。
文句がるなら劇団なんて面倒なものに手を出した親父に言え」
「あら、坊ちゃま(笑)が領主さまにそう言えと仰るのであれば」
「遠回しにオレを貶める気か。
やめてくれ、その術はオレに効く。やめてくれ」
「ええ、(笑)がそう仰るのであれば止めますとも」
「余計な部分だけで呼ぶな」
そう言い終わる前に女は姿を消していた。
仕事は早いんだがなぁ…。
っと、そう言えば明日は朝から試験だったな。
あの試験で不合格になるような事はないとは思うが遅刻したら確実にドヤされるし早起きしないと。
「なぁヴィリエ。君はどんな使い魔がいい?」
午前8時ごろ。学院内の広場にて。
進級試験として使い魔召喚の儀を行う事になり、今は監督教師であるミスタコルベールを待っている最中。
「そうだなぁ。飼い易くて食費も掛からない奴がいい。
あれだ、サボテンとか最高」
「それじゃ観葉植物だよ…。もっとこう、ないのかい?
ドラゴンとまでは言わないけどワイバーンとかグリフォンとか」
「ヴィリエは僕と同じ風系統だし理想はウィンドドラゴンじゃない?」
「仮に召喚出来ても維持費がなぁ…。
あんまりでかいと住処を確保するのも一苦労だし」
「侯爵家の長男がなに夢の無いこと言ってるのさ。
ボクならそうだな、『青銅』の二つ名に相応しい荘厳で厳かな使い魔を…」
でっかいモグラでした。
「もふ」
「………」
「まあなんだ、可愛いしいいじゃないか。
オレは好きだぞ、こういうモフモフした何考えてるか分かんない生き物」
「そうかな?成程、確かによく見ると中々気品のある目をしているね」
「ちなみに僕はフクロウでした」
ホロッホー。とマゾコルヌの方の上で白いフクロウがなく。
「知ってるぞ?」
「いや、一応言っておこうかなって」
「さて、次に召喚したい生徒は誰ですかな」
「んじゃあオレが行きます」
「おお、ミスタロレーヌ!
君はギトー先生から大変優秀な生徒だと聞いている。
期待していますぞ」
「照れますな」
「がんばれーヴィリエ―」
「君なら絶対前代未聞の何かをやらかすだろうね、期待しているよ」
「嫌な期待すんな。
オホン。では始めますぞ」
「(口調変じゃない?)」
「(多分緊張してるんだよ)」
「(まっさかー。あのヴィリエだよ?そんな繊細なワケないじゃん)」
「(それもそうだね)」
「お前ら後でライトニングクラウドな」
「おっと聞こえていたのかい」
「相変わらず地獄耳だね」
「優秀な風メイジと言っていただこう」
「あー、ミスタ。
友人と話すのは後にしてくれたまえ」
「失礼。では改めまして。
素に銀と鉄。礎に石と契約の大公。祖には我が大師シュバインオーグ。
降り立つ風には壁を。四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ…」
「あまりふざけていると不合格にしますぞ?」
「ほんとすみませんでしたコルベール先生様」
チッ、冗談の通じないハゲめ。
「…我が名はヴィリエ・ド・ロレーヌ。
五つの力を司るペンタゴン。
我の運命に従いし”使い魔”を召喚せよッ!!」
呪文を唱え、杖を正面に振り下ろす。
すると目の前に緑色に光り輝く鏡が現れ、中から小型の動物が出てくる。
大型の使い魔でなかった事に喜び半分、実はちょっとドラゴンに期待していたのでガッカリ半分。まあモフモフに罪はないので素直に喜ぼう。
逆光でシルエットしか見えないが、それだけで大まかな形状は分かる。
狐のような長くて膨らんだ尻尾。
猫のような体格と顔。
耳から垂れるように伸びた長い…毛なのかアレは?とにかく長い何か。
これらから察するにオレが召喚した使い魔は…。
「ボクと契約して、魔法少女に「そこだァーーーッ!!!」きゅっぷい!?」
召喚された生もの<ソレ>に対して膝蹴りを喰らわす。
初対面のディオよろしく繰り出されたその一撃は見事、見滝原の白い悪魔を元の世界に送り返した。
「なっ!何をするだァーッ!!許さん!!
これは神聖な儀式なんですぞ!!
始祖ブリミルのお導きで召喚された使い魔を蹴り返すなど…ッ!!」
「オレは正しいと思ったからやったんだ後悔はない…。
こんな世界とはいえオレは自分の信じられる道を歩いていたい!」
「何を…?」
「さっき召喚されそうになったアイツは人類種の天敵です。
もしあのまま召喚されていたら人類は奴らの家畜にされていたでしょう」
まあこの世界で魔法少女システムとかそこまで流行らなさそうだけど。
宇宙の為だか何だか知らんがこれ以上カオスな世界にされてたまるか。
ただでさえエンシェントドラゴンがラスボス(笑)になりそうだってのに。
「そ、そうなのですか…?」
「ええ、間違いありません。オレは詳しいんだ。
という訳でもう一回別のを召喚してみます」
「は、はぁ…。大丈夫なんでしょうな?」
「大丈夫大丈夫。
始祖の導きとはいえ同じ使い魔を召喚なんてありませんよ。
ではでは…。
我が名はヴィリエ・ド・ロレーヌ。
五つの力を司るペンタゴン。
我の運命に従いし”使い魔”を召喚せよッ!!!」
先程よりやや力んで杖を振るう。
数秒遅れて緑色の鏡が現れ、今度は少し大きめの影が出てくる。
アレは…人型?大きさ的には成人男性くらいか。
亜人かどうかまでは判別できないが、先程から血の臭いがする。
戦闘中に召喚したのか?
よく耳を澄ませるとなにやら懐かしい言語で何かを呟いている。
日本人?おいおい、オレは虚無でも何でもないぞ!?
日本語なんて久しぶりに聞いたから何言ってるのか聞き取り辛いな…。
もっと近づいてみよう…。なになに?
「や、やった…バイツァ・ダストが発動したぞ…!
これであのクソッタレ仗助や空条承太郎ともオサラバ…。
ハハハ、実に清々しい気分「鬼狂い金剛<クレイジーダイヤモンド>!!」グボァアッ!?」ドラララララァ!! コウチャガノミタイネー
反射的に『発』で殴ってしまったオレに罪はない。
目の前に手フェチの連続殺人鬼が現れてしかもソイツとキスする未来があったら誰だってそーする、オレもそーする。
「えっと…今のは人間だったような…」
「ああっ。何たることだ。
握手をしようとしたらうっかりラッシュを叩き込んでしまった…ッ!!」
「うっかりラッシュを!?」
強く殴ったせいで念能力に目覚めたかもしれないがどうせあの後すぐ救急車に轢かれて死ぬ運命だし問題なかろう。
ティー↑タイムハダイジニシナイトネー
さっさと消えろ。
「そんな訳でもう一回召喚します」
「もう好きにして下さい…」
投げやり気味に呟くコルベール先生の背中は煤けていた。
矢張りこの一年で毛髪が消し飛んだり女子生徒から腋臭がキツいと陰口を叩かれたりしてストレスが溜まっているのだろう。
オストラント号が完成するまで元気でいて欲しいものである。
「我が名はヴィリエ・ド・ロレーヌ。
五つの力を司るペンタゴン。
我が運命に従いし”使い魔”を召喚せよ」
最初はそこそこ、次はかなり力んでいたので今度は肩の力を抜いて召喚する。
なに、これで失敗してももう一回やればいいのだ。
どうせこの後何十回も失敗する奴が控えているので思いっきりやれる。
「ヴィリエ、後で屋上」
「ガッデム。オレが何をした」
理不尽な言葉を吐くルイズに抗議している内に緑色の鏡、召喚ゲートが現れる。
其処から現れたオレの使い魔とは………!?
「コケーッコッコッコ」
やけにデカいにわとりでした。
コケーコッコッコって鳴くニワトリ見たこと無い