なにしおはば   作:鑪川 蚕

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艤装についてのお話しです。あまり深くは突っ込みませんが。エセ理系のような説明です、つっこまないでください。大体半分過ぎた辺りから、艤装の話になります。

1話を1話と2話に分けたため、話数が増えています。ややこしいことして、ごめんなさい。
p,s 書きかけのまま出してしまったところがあります!直しました!以後気をつけます!
正確に言うと、暁、木曾の艤装の部分です。大鳳の艤装を書くのが楽しすぎて…


8話 艤装

執務室内。京はやるせない気持ちをもてあますかのように軍帽のつばを撫でる。

 

大鳳はさっきからずっと直立不動だ。目線を京の靴へと置き、ちょっとくたびれかけているなと現実逃避な感想を抱いていた。

 

木曾は木曾できまり悪いのかショートパンツの裾を摘まんでいじっている。

 

暁はそんな二人をジト目で見ていた。

 

島風は気まずい雰囲気におかまいなく窓から見える雲がベーコンみたいと呟く。

 

そんな光景が、集合してからきっかり3分続いた。

 

「は~~~~~~~~~っ」

 

長い長いため息が耳に突き刺さる。

 

「で?木曾、遅れた理由は?」

「MAMIYAの調子が悪くて、なかなか出てこなかったんだ」

 

タメ口をきく木曾に大鳳は驚きを隠せないが、当の京は全く気にしていない。

 

「MAMIYAは完全オートメーション。不具合があれば、自動で通知が来る。」

 

一瞬で嘘が見破られてしまった。木曾は懲りずに又言い訳をしようとするが、それを京が止める。

 

「どうせいつか嘘だとわかる。本当のことを話せ。」

 

木曾はしばらく口をむにゅむにゅさせていたが、観念して話す。

 

「大鳳と目玉焼きに合うのはソースか醤油かで揉めた」

 

改めて客観的に聞くと、なんとアホらしいことで争っていたのか、よくわかる。大鳳は顔を真っ赤にしてうつむいた。しかし、意外にも京は納得したような顔をする。

 

「あー、確かにそれは重要な問題だな。どっちに軍配があがったんだ?」

「まだ決着がついていない。お前がどちら派かで決まる」

「僕はマスタード派だ。実に残念だ。犬派猫派、きのこ派たけのこ派に並ぶ因縁ある対決に決着がつくかもしれなかったのに」

 

そう言って、肩をすくめると、机の上に置いてあった書類を挟んだクリップボードを取り上げ

 

「って、アホかーーーーーーーーーーーーーーー!!!」

 

思い切り木曾の頭をそれではたいた。

パッカーン!と乾いた音に大鳳はビクッと身を震わせる。

 

「ノリツッコミがなげぇよ」

 

木曾が白けたように呟く。水兵帽がクッションとなったのかあまり痛そうではない。

 

「そこが問題じゃない!!」

 

床をバンバンと踏み鳴らしながら、叫ぶ。半徹にジョギング、予想外の出費、疲れが溜まり、京はいつもよりイライラしていた。

 

「なんだ、遅れた理由が目玉焼きって!?お前これが出撃だったら、報告書に目玉焼きのせいで遅れましたって書くのか!?」

「そう書くしかないだろうな。」

「書くな!そんな報告書を提出しなければならない僕の身になれ!」

「もういいだろ?早くしないと訓練時間が無くなる。」

「お前が言うなーーー!」

 

スゥーハァーと京は荒れに荒れた息を深呼吸で整えると、暁、島風に体を向けた。

 

「暁に島風、君たちも自分で時間を守れるようにしような。木曾をあてにするな。木曾なんだから」

「…オレの名をバカの代名詞扱いすんじゃねえよ」

 

木曾の抗議は聞き入れられることはなく、暁と島風は「はーい」と返事する。

 

「そして、大鳳さん。木曾がちょっかいをかけても、真面目に受け答えしなくてもいいですから。うんうん、そうだね、参考になるね。これを繰り返しておけば、勝手に満足します」

 

「何なんだ!?さっきからのオレへの扱いは!?困ったボケ老人と一緒の扱い方じゃねえか!!」

「うんうん、そうだね、参考になるね」

「てめえ工厰裏に面貸せよ」

 

ギリギリと歯ぎしりをしながら木曾は京を睨み付けた。大鳳は怒鳴られることを承知で二人の間に入る。

 

「違うんです!私の方が突っかかって、話を広げたんです!」

 

京は「えっ」と漏らし、木曾に確認の眼差しを送る。

木曾は目線をそらして、ボソボソと話す。

 

「…予想以上に食いついたんだよ。だから、オレも向きになってよ…。まぁ、でも、悪いのはオレだ」

 

京は合点がいったと、天井を仰ぎ見る。実は木曾は粗雑に見えるが、時間は守る方だ。京はその点が少し気になっていたのだ。

 

そして、大鳳に向き直って、眉を顰めた。

 

「しかし、大鳳さん。それならば、もっと悪い。あなたにとってここは初任地で、浮き足だつのはわかります。しかし、時間を守るというのは基本中の基本。それすらも守れないというのは、自身だけでなく、あなたをとても優秀だと評価した鹿島先生や瑞鳳さんへの評価も下げかねない」

 

京は怒鳴ると言うより諭す形の説教を選んだ。確かにここで一発カマすという方法もある。しかし、そういう行為は血気盛んな者に有効であって、大鳳のような根が真面目な者にすると、身体が縮みあがってしまい積極的に動いてくれない。むしろ、何が悪かったか端的に言えばすぐわかってくれる。まあ、二週間前に読んだ「5分でわかる!出来る上司の秘密」の受け売りだが。そもそもな話、女性を怒鳴るのは苦手なのだ。

 

 

 

 

だが、京が思っている以上にそれは大鳳に突き刺さった。

 

 

 

大鳳は目尻に雫が溜まるのを自覚していた。

 

そうだ、その通りだ。私は浮かれていた。初めて見るもの感じるものが多くて、初対面なのに気安く話てくれる陸奥たちがいて、忘れていた。自分は艦娘であることを。浮かれていたんだ。こんな初日から怒られるために頑張ってきたわけではないのに。そんなことのために鹿島先生や瑞鳳さんが自分を応援してくれたわけではないのに。私は何をしたいんだろう。

 

「…申し訳ありません。以後気をつけます」

 

これが限界だった。それ以上口を開けば、嗚咽が混じりそうだった。頭を下げなければ、目端に涙がたまっているのがばれてしまう。質量が表面張力を超えた水滴は誰にも気づかれぬまま、絨毯に染みを作った。

 

京が訓練内容の説明を始める。聞き逃して、又怒られてはいけない。

 

怒り、悲しみ、悔しさ、あらゆる感情を、漏れ出さないように手で固く握りしめ、前を向いた。

今日の予定、訓練場所、注意事項などの説明が終わった。大鳳は脳にこすり付けるように、説明された内容を何度も反復させる。最後に全員で敬礼をし、執務室を退出した。

 

 

 

 

 

「お前本当に真面目だな」

 

執務室を出て、開口一番、呆れたように木曾が大鳳に向かって言う。

 

「ど、どうして!?」

鹿島や瑞鳳に言われてきたことを木曾にも言われて、大鳳は驚く。

 

「坊の説教であんなに肩プルプルさせてたじゃねえか。冷え性なのかと思ったぜ」

 

見られてたのかと恥ずかしくなるが、そんなことより気になったことがあった。

 

「貴方、提督に対して予想以上にタメ口ね…」

 

もはや京と木曾の会話は提督と艦娘のそれではない。完全に友人同士のそれだった。

「え、そうか?普通だろ?」

 

木曾は意外そうな表情を見せる。

 

「普通ではないと思うし、何より提督に対して失礼じゃないかしら?」

「だが、坊は一度だって注意したか?」

「それは……」

 

そう、一度も提督は注意も嫌な顔すらしなかった。注意を諦めているという感じでもなかった。

 

「だろ?それにな、お前みたいにちゃんと敬意を払う艦娘の方が珍しい」

「クソ提督とかクズって罵った娘知ってる」

「たしか佐世保の秘書艦の空母が司令を爆撃したってウワサきいたことある」

「それ本当なの?」

 

百回洗っても耳を疑う話だ。島風が聞いたウワサは明らかに脚色が入っているだろうが、火の無い所に煙は立たぬと言う。

 

「別に提督なんざいなくても困らねーよ」

「…それってどういう意味かしら」

「言葉通りさ。いいから行こうぜ。訓練時間が無くなる」

 

釈然としないまま、木曾に言われるがままに艤装庫へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

支部の敷地を上から見た時に、本館を時計の針の中心、海が6時の方向と見立てると、別館が10時、グラウンドが12時のところにあり、艤装庫は3時の方向だ。

あれ以降、大鳳と木曾は話さなかった。暁と島風は暗い雰囲気を嫌い、「あ、鴎がたくさん飛んでるわ」「ほんとだ」と益体もないことを話す。

 

そんな光景はいくらでも見てきただろうに

 

大鳳は特に反応をしなかったが、木曾は「そうだな…」とあいまいながらも反応した。

 

艤装庫に着いた。レンガ壁の鉄筋コンクリートのその建物の大きさはジャンボジェットが一機入るか入らないかくらいだ。木曾がアルミ扉を開けて中に入る。鍵もかかっていないので、防犯上大丈夫なのかと思ったら、やはり大きな扉が立ちはだかっていた。

 

正面の扉は鉄を主成分とした合金で厚さ60ミリ。多少の爆発ならば耐えられそうなほど頑丈に見える。

南京錠のような鍵が見当たらないが、どのように開けるのだろうかと大鳳が疑問に思っていると、木曾が扉近くのこじんまりした機械の前に立つ。

機械のフタをあけ、ナンバーキーを何回か押す。ピッと機械音がすると次は機械に顔を近づけた。その時に眼帯を外したので、ちょっと見たくなったが我慢した。

又しても機械音が鳴ると、更に機械に「球磨型軽巡五番艦の木曾だ」と話かける。

今度は機械音が鳴ると同時にゴゴゴと何処からか音がし、扉がのっそりと開いた。

 

三人が入っていくので、置いてけぼりにされないように、急いでついていった。大鳳が中に入ると、暗かった内部に灯りがつき、またのっそりと扉が閉まった。

 

「厳重ね…」

「オレらの艤装はこの国の技術の結晶みたいなもんだからな」

 

一人言のつもりが聞こえていたようだ。

 

とまどいながらも「そ、そうよね」と返事をした

目に見える部屋の大きさと丁度入り口から反対側に見える扉から艤装庫内はいくつかのブロックに分かれいるのだとわかった。

 

今いるこの部屋は弾薬や魚雷を抜いた艤装が置かれているらしい。機械油の匂いがプンとする。この匂いは料理などとは全然違う部類の匂いだが、好きな匂いに入る。1から6までの数字が目印の簡単な木板の囲いで出来たブースがあった。木曾たちは自分のブースへと行き、慣れた手つきで艤装の装着を始めていく。自分も艤装を着けなくてはと慌てるが、勝手がわからない

 

「ね、ねえ!木曾!」

「ん?なんだ?」

「私の艤装ってどこかしら?」

「…陸奥から聞いてないのか?」

「木曾から聞くようにって言われてるの」

「あー、お前から見て斜め右。暁の右側」

 

ぷらぷらと5と書かれたブースを指し示す

見ると確かに自分の艤装らしきものがある。

行くと、確かに自分のブースだった。何故なら名札プレートがあり、「うほいた」と書かれていたからだ。

 

うほいた……。

 

名札プレートの下には紙が貼られており、どこに何を置いてあるか詳細に手書きで書かれていた。陸奥が書いたに違いない。ウインクしている陸奥の簡単な似顔絵があった。本当に手際のいい秘書艦だ。

 

訓練所で習った通りに艤装を着けていく。まずは、推進機。赤いラインの入った灰色のブーツのようなそれに足をはめる。小型高性能エンジンが内臓してあり、機力を注入することでエンジン本来の馬力が何倍にもあがる。しかし、これだけでは浮力は足りないため、後程フロートを取り付ける。

 

次は機関部。艦娘が航行、戦闘する際の心臓部に当たる。深緑色のそれには装着用のベルトとは別のベルトがついている。いわば機関部に機力を送り込むための出力用のベルトだ。背中に当たる部分には大鳳の背中の形状に合わせたシリコンゴムがついており、背中と接着する表面の部位には一枚の金属板が貼られていて、内部にはそれと機関部につながるコードが何本もはりめぐらされている。

 

大鳳は背中ときちんとフィットさせるために何回かずらした後、ベルトをきちっと止める。少しきつめにするのがコツだ。そうすることで機力の無駄な流出が減らせる。けっこう重いが、全身に軽く流すイメージをしながら機力を流すと全身の筋力が増し、軽く感じる。

 

次はヘッドギア。羽のような白の無線アンテナが特徴だ。そして意外に軽い。

 

さらに、機銃が数門ついた弾薬庫を機関部の右側と接続させて装着。現在重心が右寄りになり不安定なわけだが理由がある。

 

装甲甲板の存在だ。

 

艦であった時の大鳳の甲板を模したそれはかなり重い。左足をブースの壁に引っかけ、それを太ももの上に乗せ、ふぎぎと耐えながら、コードを機関部と接続させる。何本もあるし、何よりややこしい。間違えのないように、点検しながら、ようやく接続し終える。そして、左右のバランスを気にしながら微調整。ふぅと息をつく。再度機力を軽く流した。流れるほど艤装と身体が一つになるのがわかる。機力を流すのはコツがいり、かなり苦手であったが、今はこのとおり。…まあ、上手というほどでもないが。半分は経験がものをいうからしょうがない。

 

最後に目の前にある自分の相棒を手に取った。ボウガン型艦載機射出装置。舌を噛みそうな名前だが(実際に噛んだことがある)、これこそが自分を大鳳たらしめる真髄と言っても過言ではない。これがなければ何も出来ない。

 

改めて自分の相棒をジロジロ眺める。木曾たちが自分を空母でないと判断したのもしょうがないかもしれない。まず、ボウガンが弓と銃の合の子だ。マガジン部分がいかにもミリタリーな厳めしい外見でパッとみたらライフル銃に見える。

正直自分でもこれは銃だなと思っている。それに艦娘とはいえ婦女子だ。可愛いという感覚はある。ボウガンよりも弓の方が可愛いのにな~と思わないでも…はっ、いけないいけない。

邪念を振り払うために頭をフルフルと振る。

 

「あなたの方がもちろん可愛いわ。」

 

気分の問題だが、慰めるように相棒を撫でる。さすさすといくらかなでて、マガジン部分に軽く口づけをした。

 

「…何してるの?」

 

後ろを振り返ると怪しいものを見る目で暁が見ていた。四連装の魚雷管を両腰に取り付け、右腕には連装砲を装着し、防盾が両腕を囲うように着いている、よくみると腰から小さな錨がぶら下がっている。幼い見た目のわりに意外と重武装だ。

 

「な、なんでもないわよ!?き、キスいえキズがないか点検してたのよ!」

「点検しているようには見えなかったけれど…。」

「こ、細かいことを気にしたらいけないわ!!えと、そう!レディなら!」

「ん!それもそうね。」

 

納得してくれて何よりだ。その意味を良く知らないのにレディという単語を使って、純真な暁を騙したことに後ろめたさを覚える。それをかきけすために話題を変えた。

 

「そういえば何か用かしら?」

「あ!いけない!皆はもう準備が出来たから、呼びに行くように言われてたんだったわ」

「私も準備が出来たから、今行くわね」

 

そう言って暁の横に並んで歩こうとすると、暁が大鳳を上から下までジーと見ていた。

 

「どうしたの?」

「凄い装備ね…。陸奥さんみたいだわ。」

「そう?」

「でも、大鳳さんの装備は滑らかで、こう、シュッとしているのね。陸奥さんのはちょっとこわいのよね」

 

陸奥さんにはないしょにしててねと口に指を当てる。その仕草が愛らしくてつい眉が下がってしまう。

 

「あ、ここが陸奥さんの艤装置き場よ」

 

一番と書かれたブースを暁が指さす。

へぇと相づちを打って、大鳳は中をのぞきこんだ

 

「…凄いわね」

 

最初に目についたのはなんといっても砲塔だ。コの字型になっていて長門型の代名詞である41センチ連装砲が両方に1基ずつついていた。暁が怖いというのも納得な存在感。武を具現化したようだ。艦のことを言えないがあんなに大きいものを装着したままどうやって航行するのだろうか。

 

次のブロックは火薬庫だった。コンクリート壁には「危険」や「慢心は禁物」、「ダメよダメダメ」などの赤字の貼り紙がいくつもそこら中にあった。

 

ちなみに使われている火薬の種類は大戦中に使われていたもの。魚雷に現代の火薬(積めるかは知らないけれどC4とか)を積むより、大戦中の火薬を積んだほうが深海棲艦に効くと研究報告がいくつも上がっている。

 

魚雷置き場に木曾の姿があった。模擬弾頭に切り替えながら、一本一本を検分する。後ろ姿からだが、木曾の機関部からアームが伸びており、その先には連装砲が設置されている。右の視界が頼りないからか、右肩には板状の小さな防壁を取り付けている。先しか見えないが、腰には短刀を提げているようだ。

 

「ん、来たか。早く装着できるように練習しとけよ。緊急時に対…おう!?」

 

木曾が自分の魚雷管に61センチ酸素魚雷を装填し終え、大鳳の方へ振り向くと、何故か驚いた顔を見せた。

 

 

「ど、どうしたの!?」

「か」

「か?」

「かっけぇ…」

「は?」

 

木曾の言葉が理解出来なかった。

 

「かっけぇよマジ。それ、ボウガンだろ?それで飛ばすんだろ?

「そうだけれど…」

「赤城や蒼龍、瑞鳳とかは長弓使って飛ばすんだけど、オレ的にはちょっとシンプルすぎてな。昨日はじっくり見れなかったんだが………触ってもいいか?」

「…いいけれど」

 

木曾の思いがけない好反応に戸惑うが、ボウガンを手渡す。

どうでもいいけれど、さっきまでのことは木曾の中ではもう終わったことらしい。どうでもいいけれど。

 

木曾はもの珍しそうに眺める

 

「おお、思ってたより結構重いな…。これがマガジンか…。んー?」

 

ボウガンにささっているマガジンを見て、あることに気づいたらしく、さらに大鳳の飛行甲板を見つめる。

 

「ど、どうしたの?」

「そっちにもマガジンがあるよな。しかも、3つ。合わせて4つだ。もしかして、艦戦、艦爆、艦攻、索敵に分けられんのか?」

「…そうよ。よくわかったわね。」

 

ちょっとこの指摘には驚いた。木曾の言う通り、マガジンを切り替えることで機種を切り替えられる。

ただ、一つのマガジンには一つの艦載機しか登録できない。つまり、同じ艦攻だからと言って、天山と流星を同じマガジンに登録できない。

 

何故出来ないかは、登録の方法に理由がある。が、長くなるのでここでは述べないでおこう。後、これは構造上の問題であり別に自分の技量が足りないからではない。自分の技量が足りないからではない。大事なことなので2回言いました。

 

「ねぇ、そろそろ行かないの?また、おくれちゃうわ」

 

話の輪から置き去りにされて退屈そうな暁が木曾の裾を引っ張る。

 

「お、おお、そうだな。」

 

指摘されて気まずそうだ。自分も気まずい。

あはは~と愛想笑いを浮かべて、機銃用の弾丸を詰めていく。

マガジンにはすでに艦載機を登録済みなので、このブロックではすることがそれ以外はない。

 

「あら?島風ちゃんは?」

 

さっきのブロックよりさして広くはなく、整理整頓が行き届いているので、見落としていることはないだろう。

 

「島風ならおっそーいって言って、先に行っちゃったわ」

「やれやれ。遅いのは本当だけどな。」

木曾は肩をすくめ、次のブロックへ向かう。

 

次のブロックは3分の1ほどが、外海とつながり、生け簀のようだ。ここから出撃するのだろう。海面が外から差し込む太陽の光を照り返していた。

 

脇にはフロート置き場があり、ご丁寧に又しても「うほいた」と書かれた紙が貼ってあった。もちろん陸奥の似顔絵つき。フロートは赤色で長さは40センチほど、底が膨らんでいるスキー板といえばいいだろうか。海面にフロートを浮かべ、足に固定させる。推進機のスイッチも入れると。フォーンとモーター音が鳴り始める

 

「ほっ!」

 

勢いをつけて立ち上がる。推進機は海水を取り込み、機力で強化されたモーターの力で凄まじい勢いで下へ排出する。その反作用によって水面に浮かぶことができるのだ。左右の強弱は機力の流量で調節し、こけないように姿勢の安定をはかる。慣れれば、無意識で調節できる。

 

訓練したての時はバランスがとれず、何度もこけて、ずぶ濡れになったものだ。

 

今は無意識とまではいかないまでも、かなり早く姿勢を安定させられる。艤装の最終チェックをすると、前へ体を傾けて、艤装庫の外へと飛びだした。

 




次はとうとう(やっと?)海に出ます。
次回から佳境にはいってほしいです。
頑張ります。次は2週間以内を目指します
少し話をすると、ここまではワーッと独自設定を出していきました。次回以降からは少なくなり、書きたかったシナリオになります。大体展開は予想出来るかもしれませんが、少しでも裏切れたらと考えています。


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