魔法世界興国物語~白き髪のアリア~   作:竜華零

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アフターストーリー第12話「帝国物語・中編」

Side クルト

 

さて、アリア様は今頃、どのような感じなのですかねぇ。

帝国側から事前に伝えられたスケジュールでは、今頃は宴の最中ですかね。

夕食の時間まで宴が続いて、その後は・・・。

 

 

「どうか致しましたかな、宰相閣下?」

「・・・ああ、いや、これは失礼」

 

 

意識を遥か遠くヘラスから戻して、オスティアへ。

いやはや、アリア様がお傍にいるのといないのとでは、私のモチベーションの上がり方に雲泥の差がでますからね。

ちなみに私のモチベーションを上げるには、アリカ様にキツく命令されるか、アリア様に可愛く命令されるかです、逆でも可。

そのアリカ様も、市内の学生シンポジウムをご聴講中でご不在ですし・・・。

 

 

そして今、私が何をしているのか言うと・・・年末以降、お世話になるであろう王国の主要政党の党首達との会食ですよ。

年末に我が国初の統一地方選(各地方議会・議長選挙)が行われます。

そしてそこから、貴族院の開設と憲法の施行が続きます。

私の政権を維持する上で、とても重要な意味を持つわけですが・・・。

 

 

「どうも、宰相閣下はお疲れのようですな。まぁ、連日のように新たな粛清リストを作っておられるのでしょうからな」

 

 

が、私はあまり好かれるほうではありませんので。

自由党のグラッドストン老人は禿げかけた白髪頭を片手で撫でつつ、なかなかに辛辣な皮肉を言います。

しかし、まぁ・・・。

 

 

「ははは、何、グラッドストン老こそお疲れでしょう。連日のように東部の選挙区で女性達に人の道を説いておられるそうではありませんか」

「・・・誤った道にいる者を正道に戻すのが、私の役割だと自負している」

「それはそれは・・・」

 

 

グラッドストン老人は、自身の選挙区の街を夜な夜な歩いては、売春婦の更正に勤しんでおられる方です。

一歩間違えればストーカーですので、実際にいくつか訴訟を起こされているとか。

道義的にはともかく、政治的には致命傷になりかねませんね。

まぁ、正直、私と我が立憲王政党としてはグラッドストン老人の自由党よりは・・・。

 

 

「女王陛下は、今頃、帝国でどのように過ごされておられるのでしょうか・・・」

「たまにはご政務を忘れ、異国の儀式を楽しまれるのも良いでしょう」

聖母(アリア)様のご威光を、より知らしめなければ・・・」

 

 

保守党のプリムラ・ディズレーリ、王国民主党のボルゾイ・レーギネンス、キリスト教民主同盟のヘルマン・ヨーゼフ・アデナウアーの3氏の方と懇意にしたい所ですね。

政策的にも比較的近く、かつ彼らは王室に好意的です。

ちなみにもう一つの有力政党、反王室的な労働党の代表者は、そもそも呼んですらおりません。

 

 

さて・・・まだまだ忙しいですね。

女王であるアリア様を支える議会。

どのような形で、落ち着けてやりましょうか・・・。

・・・それはそれとしてアリア様は今頃、どんな感じですかねぇ。

 

 

 

 

 

Side アリア

 

ニンジンの焼き飯(ポロ)羊とキジの串焼肉(ズィフ・カワプ)ピラフ(プロフ)羊肉を玉葱炒め(クルダック)円形の固めのパン(ナン)肉と玉葱の(チョ)生地包みスープ(チュレ)肉野菜の麺入りスープ(スイカシ)・・・。

 

 

数々の帝国料理が所狭しと並べられ、香ばしい香辛料の香りと強いお酒の香りが場を包んでいます。

帝国の料理はお米や麦の他には肉料理などが多く、総じて脂っこい物が多いのが特徴です。

そのため、あっさりした物が少ないのです。

デザートと思わしき苺の層状パイ(カトリマ)砂糖揚げ菓子(クイマック)ですら、油分が多くて少し閉口してしまいます。

とは言え立場上、食べないわけには行きませんので・・・。

 

 

「・・・無理は、しない方が良いよ」

「はい?」

 

 

スープを少し口に運ぼうとした際、何故かフェイトが私を心配してくれました。

特に無理をしているつもりはありませんでしたので、私は首を傾げてフェイトを見返すことしかできませんでした。

 

 

「別に、無理なんてして無いですよ?」

「・・・そう」

 

 

そう言いつつ、実はフェイト、かなり食べてます。

私達の前に用意された料理の数々は、時間が過ぎるごとにどんどん減っていきます。

・・・何がフェイトの食欲を刺激しているのかはわかりませんが、助かっていないと言えば嘘になります。

どうも、食が進みませんので。

具合が悪いとか、そう言うのでは無いのですけど。

 

 

「楽しんで貰えておるじゃろうか、アリア陛下」

「何だ何だぁ、随分と食ってんじゃねーか、ん~?」

 

 

その時、挨拶回りに来たらしいテオドラ陛下とラカン殿下が、私達の所にやってきました。

・・・ラカン殿下・・・いえ、良いんですけどね・・・ラカン殿下・・・。

 

 

テオドラ陛下は、手ずから私のカップにお茶(チャイ)を注いでくださりました。

恐縮しつつ、それを受けます。

一方でフェイトはラカン殿下に葡萄酒(ワイン)を注がれています、と言うかラカン殿下も飲んでます。

・・・また、深酔いして妙なことにならないと良いのですけど。

 

 

「これは・・・お手ずから、ありがとうございます」

「うむ・・・国同士の関係もそうじゃが、結婚に関してはそちらが先達じゃな、よろしく頼むゆえ」

「い、いえいえ・・・そんな」

 

 

歪な形をした角砂糖を一つ口に含みつつ、テオドラ陛下に注いで頂いたお茶(チャイ)を頂きます。

・・・先輩と言っても、4ヶ月程だと思うのですが。

4ヶ月間、夫婦としてやったことなんて・・・なんて・・・なんて?

 

 

 

 

 

Side テオドラ

 

・・・何やら、アリア陛下の顔が赤いが大丈夫かのぅ。

酒が飲めぬと言う話は知っておったので、お茶(チャイ)にしたのじゃが。

このお茶(チャイ)は、帝国では食事の際に必ず出される飲み物じゃからな。

 

 

「ではアリア陛下、また後ほど・・・」

「はい、ありがとうございます」

「うむ・・・ジャック、いつまで飲んでおるか」

「おーぅ、んじゃな!」

 

 

何やら無表情に葡萄酒(ワイン)を飲み続けるアーウェルンクスを心配そうに見つめておるアリア陛下に言葉をかけた後、妾は次の招待客の下へと向かうことにした。

その際、周囲に配されておる皇帝親衛軍の警備武装兵に視線を巡らせるが、特に問題は無さそうじゃった。

 

 

・・・どうやら、クワン達が上手く統制しておるようじゃな。

まぁ、流石にこれだけの客人がおる前で強硬策も取れまいが。

 

 

「オイ、じゃじゃ馬(テオ)

「だから、何故にお前は妾のことをじゃじゃ馬じゃじゃ馬と・・・大体お前、皇帝(わらわ)の夫としての自覚がなさ過ぎるのでは無いか?」

「へっ、俺は奴隷育ちなもんでね」

「戯けが・・・」

 

 

まったく、こやつは・・・どうした物かのぅ。

無理矢理どうにかしようとしても、聞くわけが無いしの。

これでも、奴隷拳闘士から皇帝の夫にまで成り上がった男で、巷では時代の寵児とまで呼ばれておるのじゃが。

じゃが固定ファンが多い分、帝室でどのように扱うべきか難しい所があるのも確かじゃ。

しきたりやならわしで縛るのも、考え物じゃし・・・。

 

 

「まーた、くっだらねぇことで悩んでんだろ、どーせ」

「ど、どうせとは何じゃ、戯けが・・・!」

 

 

・・・今日だけで、いったい何度「戯け」と言ったのじゃろうか。

新婚でこれとは、また自信が無くなってくるのぅ・・・。

妾は、本当にこの男と帝室を盛り立てて行けるのじゃろうか。

 

 

「だーいじょぶだって、心配性な奥さん(テオ)

「・・・あ?」

「ま、何とかしてやっからよ」

「・・・は?」

「だぁから、もしここで何があっても、俺が何とかしてやるってんだよ、このジャック・ラカン様が、な」

 

 

・・・強さに関しては、まさに世界最強。

魔法が失われた魔法世界において、生身でこの男に勝てる存在が何人いることやら。

じゃから、もし賊が現れても、身の安全という点で心配することは無いのじゃろうが。

じゃが、のぅ・・・。

 

 

「だから、楽しめよ、今をよ」

「・・・言いよるわ、筋肉ダルマが」

「お? じゃあ仕方ねぇ、そんなこと言う奥さんに・・・」

 

 

ニッ、と笑って、ジャックは言った。

 

 

「俺様の本気を、見せてやろうじゃねぇの」

 

 

 

 

 

Side 千草

 

宴の開始から、何やかんやで4時間くらい経ったわ。

異国のけったいな宴言うもんは見慣れてきたと思っとったけど、やっぱり、いざ目にすると面食らうもんやなぁ。

脂っこい料理がドカドカと並べられるんはええけど―――小太郎、連れてきたったら良かったかな―――踊りっぱなしってのは、凄いわ。

 

 

あの踊りにどう言う意味があるんやわからんけど、ウェスペルタティアと違ってやけに騒がし宴やわ。

こら、アーニャはんみたいな若い娘が来たら、戸惑ったかもしれへんなぁ。

ほなら、まぁ、うちが来て良かったかな、仕事が増えたけど。

 

 

「しっかし、よー踊るわ、ほんま・・・」

 

 

絶えず誰かが踊っとって、疲れたら他の誰かが踊るって感じや。

大体、10人から20人くらいが、絶えず踊っとる感じやな、お手伝いさんからお客さんまで、幅広く。

・・・ひょっとしてコレ、うちらも踊らなアカンのかな。

・・・舞踊とかで、大丈夫やろか。

 

 

「まぁ、しかしアレやな、年に二度も結婚式とはなぁ、こんな年もあんねやなぁ」

「でも所ちょ・・・じゃなかった、大使だって夏にカゲタロウ殿と・・・」

「・・・いや、それはアレや、ほらっ・・・もう、アホッ」

「ぶっ!?」

 

 

連れてきた部下、鈴吹―――最近、月詠に付きまとわへん、成長したら興味失せたらしい。それはそれでムカつく―――の背中を照れ隠しに叩いた。

したら、何や目の前の大皿に顔を突っ込んだ・・・そないに強ぉ叩いたかなぁ。

 

 

いや、でもホンマに違うねんて、違うんよホント。

小太郎が事実上のOK出してくれた矢先、ほな式場探しに行こかって話になってんな?

でもうちは止めたねんで? あの人まだ怪我治ってへんし、せやから止めたねんけど、あの人が早う一緒になりたいって言いよって。

そしたら、うちとしてはやっぱ悪い気はせぇへんやん? 長とかも楽しみにしてくれてはるみたいやし?

それにうちかて早う・・・もう、言わせんといてやっ。

 

 

「お楽しみ頂いているようですね」

「あ、これは陛下、この度はめでたい席、に・・・」

 

 

隣の鈴吹を引き起こして、挨拶を返す、今は公務中やからね・・・て、は?

瞬き3回。

え、あれ、うちの聞き間違いかな・・・。

 

 

「この度は私共の婚礼の儀式を見届けて頂き、誠にありがとうございます」

「え、あ、こ、こちらこそ、招待してもろうて・・・」

 

 

うちの目の前には、テオドラはんとラカンはんが並んで立っとる。

そんでもって、うちに挨拶してくれてはるんやけど・・・いや、別に初対面やないで?

もう結構な回数、会っとるし・・・別にどうこうってわけや、無いんやけど。

 

 

「いや、今後とも我が国と友好的な関係を・・・」

「は、はぁ・・・長に伝えときます・・・」

「よろしく」

 

 

ガシッ、とうちと握手したんわ・・・ラカンはん。

ゴツゴツした筋肉質の掌に、うちの両手がすっぽりと包まれとる。

隣のテオドラはんは、やたらに目を丸くするばかりで。

え・・・と言うか、え?

こう言う場では、ラカンはんって今まで何かの役に立っとるようなイメージ、あんまり・・・失礼やけど。

 

 

い、イメージ、違いすぎるんどすけど・・・。

このラカンはん・・・誰?

 

 

 

 

 

Side ミッチェル

 

・・・帝国の宴って、凄いんだな・・・。

僕自身は、帝国を訪問するのはこれが始めてでしただから。

何しろ帝国は叛乱の鎮定に忙しくて、外交使節の受け入れが難しい国だったから。

それでも、リカードさんとかは訪問していたけれど・・・。

 

 

「よぅ、どうしたよミッチェル、ぼうっとしてよ」

「あ・・・頂きます」

 

 

慣れていない雰囲気に、多少、居心地悪そうにしていたかもしれない。

そのせいか、帝国の要人の方々と談笑していたリカードさんが、僕のいる絨毯にやってきた。

ドカッ、と腰掛けて、帝国産の葡萄酒(ワイン)を僕の杯に注いでくれる。

あまり得意では無いけれど、付き合い程度には飲めます。

 

 

「今の内によく見ておけよ、これからは帝国に来ることも増えるんだからよ」

「は、はい・・・」

「特にアイツだ、今度、帝国副宰相になった・・・ベネッサ・フォメニアンス」

 

 

リカードさんの視線の先には、僕がいる絨毯より、かなり前方・・・帝国の要人が集まっている絨毯の方を向いていた。

その中心には、灰色の民族衣装を身に纏った妙齢の女性がいて、今まさに、皇帝テオドラ様の手の甲に口付けている所でした。

金色の目が三つある亜人で、どことなく狡猾そうな印象を受ける。

宰相はテオドラ陛下が兼任してるから、事実上の宰相に就任したことになる。

 

 

「性格のいやらしさでは定評があるんだと、気を付けろよ、呑まれないようにな」

「は、はい・・・」

 

 

帝国は亜人種(デミヒューマン)の国だから、ああ言う外見の人達が多いのは当たり前だけど・・・。

別に差別するわけじゃないけど、やっぱり一歩引いてしまう。

・・・外は、やっぱり怖いな・・・。

 

 

それから、さらに前方に視線を動かすと・・・見えた。

最前列の絨毯に座る、あの人を・・・。

 

 

「・・・アリアさん・・・」

「・・・でだ、外務大臣がこれまたいやらしい奴でだな」

 

 

誰にも聞こえないように、口の中だけで呟く。

傍で帝国の新しい内閣構造について話しているリカードさんの話を聞きながらも、心は別のことを想ってしまう・・・。

 

 

「・・・」

 

 

照明の光を照り返して淡く輝く白い髪に、同じような白い肌、頬は心なしか薔薇色で・・・。

・・・1月に結婚式で見た時よりも、いや、それ以前よりもずっと。

気のせいか、綺麗になった気がする・・・女性らしさが増したというか。

・・・胸が、痛い。

諦めたはずの想いは、やっぱり、どうしようも無くて。

 

 

目を閉じれば、いつもアリアさんの顔が浮かんでしまって・・・。

優しくて、綺麗で・・・美しい、アリアさん。

もう、他の男のものになってしまったけれど、でも。

アリアさんの顔が浮かぶと、どうしようも無く胸が、身体が熱くなってしまって。

心がはやって・・・傍に、行きたくなる。

 

 

でも僕は、メガロメセンブリアの執政官で・・・無理なのに。

・・・夜も、眠れなくなるんです・・・。

 

 

 

 

 

Side テオドラ

 

宴は、滞りなく進んでおる。

無論、担当者の采配による物じゃが、妾とジャックの立ち回りによる所も大きいと思う。

いや、この場合・・・。

 

 

「いやぁ、夫君殿下はお話がわかるお方だったのですな、我々も誤解しておりましたぞ!」

「いやいや、私などは昔から殿下と懇意にさせて頂き・・・」

「HAHAHA、いや何、今後とも我が帝国をよろしく」

 

 

目の前で、財界人達と談笑しておるジャックがおる。

無論、妾も話には一応、混ざっておるが・・・。

・・・え?

いや・・・ええ!?

 

 

ど、どういうことじゃコレは・・・ジャックめ、やればできるでは無いか!?

いや、できると言うか・・・もはや別人じゃろコレ!?

しかも何じゃ、ジャックのことを知っておる様子の財界人もチラホラおるようじゃし。

まぁ、いつの間にか拳闘大会に出資しているような男じゃから、そう言うこともあるのじゃろうが。

それにしても、ジャック・・・。

 

 

「・・・で、どうよ?」

「す、凄いでは無いか! 完璧じゃぞジャック・・・!」

 

 

招待客の間をあらかた回り終えた後、ジャックはいつもの口調に戻りおった。

その自慢気な笑みが少しムカつくが、じゃがそれを差し引いても凄いでは無いか!

 

 

「い、いったいどこで、そのようなイメージに合わぬ物腰を?」

「何気にひでぇなオイ!」

 

 

事実として、イメージに合わんのじゃから仕方があるまい。

元いた自分達の席に戻った後、宴の様子を窺いながら・・・妾は、ジャックを質問攻めにした。

 

 

「そ、それで何故、あのような・・・?」

「いや、何故も何も・・・俺だって、最初から今みたいだったわけじゃねーよ」

「む・・・」

「庶民には下積み時代、ってのがあるんだよ、王家のお嬢さん」

「王家・・・帝室にだってあるわ!」

「へいへい、そうですかっとぉ」

 

 

葡萄酒(ワイン)を上品かつガブガブと飲み始めたジャックを横目に・・・妾は、また考えざるを得なんだ。

・・・ジャックの言う、下積み時代について。

 

 

妾が出会った時点で、ジャックはすでに最強じゃった。

唯一の例外はナギで・・・ジャック・ラカンはすでに、25年前の段階で、無敵じゃった。

じゃが・・・思えばジャックとて、最初から最強・無敵であったわけが無いではないか。

奴隷拳闘士から始まり・・・現在まで至るジャック・ラカンの人生(ものがたり)を、妾は一部しか知らぬではないか・・・。

 

 

滞り無く宴が進行する中で。

妾はもっと、ジャックのことが知りたいと・・・そう、願(おも)うようになった。

皇帝として、妻として・・・そして、これからの人生を共に歩む夫婦として。

 

 

 

 

 

Side ラカン

 

「・・・皆様・・・」

 

 

宴も進んで、時間的に日が落ちるか落ちねぇかって頃に、小せぇがどう言うわけか全員の耳に届く声が、会場に響いた。

誰かと思えば、テオの姉貴が聖堂の奥から出てきやがった。

相変わらず、小せぇなぁ・・・いろいろと。

 

 

「・・・ジャック?」

「へぇへぇ」

 

 

肩を竦めて、テオの姉貴―――つーか、俺の義姉貴(あねき)でもあるわけか―――の、エヴドキアの方を見る。

宗教的権威だか何だか知らねぇが、良くもまぁ・・・。

 

 

「・・・これより・・・花嫁花婿は・・・宮殿・・・『奥の院』へと・・・お入りになります・・・」

 

 

良くもまぁ、あんな細々とした喋り方ができるもんだぜ。

ちなみに『奥の院』ってのは、聖堂の最奥部にある大部屋のことだぜ。

場所的には、聖堂と宮殿の中間くらいの位置になるな。

そこで、皇帝夫婦は最初の夜を過ごすってわけだ。

そして同時に・・・。

 

 

「・・・帝都守護聖獣の祝福の後・・・第一夜を過ごされます・・・」

 

 

同時に、皇帝の命令しか聞かないっつー帝都守護聖獣の祝福ってのを受けるらしいぜ。

帝都守護聖獣ってのはアレだ、古龍・龍樹とかだ、俺の喧嘩仲間の一匹。

結構、強いんだぜ?

 

 

で、夜明けにまたいろいろやって、帝都をパレードだな、第三円環(サードサークル)まで。

まー、それが大体のスケジュールって奴だな・・・って、お?

 

 

「どうしたよ、じゃじゃ馬(テオ)?」

「む、い、いや・・・別に、何でも無いわ・・・」

 

 

・・・何か知らねぇが、テオが急に顔を赤くしてモジモジし始めやがった。

正直、うぜぇ・・・。

まさかとは思うが、第一夜って部分に反応したわけじゃ無いよな?

かなり今さらだと思うんだが・・・だってお前。

 

 

「ほれっ、行くぞジャック!」

「・・・へーへー」

 

 

義姉貴(あねき)の先導を受けながら、俺はテオの手を取って、並んで歩く。

他の客は、飽きるまで宴を続けて良いことになってるわけだが・・・。

あー・・・マジで王族なんて代物に入っちまったんだなぁ、俺。

やっぱ、もうちょい逃げてりゃ良かったかなぁ。

 

 

まったく、俺としたことがよ。

隣でやたらに嬉しそうな顔をしてるじゃじゃ馬を見て、溜息を吐く。

暗ぇ顔されるのもアレだが、こんな顔されるのもアレだな。

ま、しゃーねぇか・・・。

 

 

惚れた弱みって奴だ。

ま、じゃじゃ馬(テオ)には死んでも言わねぇけどな。

 

 

   ◆  ◆  ◆

 

 

一方、その頃・・・。

 

 

「いよいよテオドラが、聖堂の奥にこもるぞ・・・」

「手はずは、整っておるだろうな・・・」

「問題無い、親衛軍の師団長達は各地の客人の護衛に忙しいようだ・・・」

 

 

ヘラス宮殿の一室で、やはり反皇帝派の面々が会合を行っていた。

薄暗がりの中、昼間と異なる顔や足りない顔が存在するが、会合をリードしている顔ぶれは変わっていなかった。

すなわち、帝都長官サムイル・オフリーダ、軍事貴族バルダス・フォカス及びバルダス・スクレロスらである・・・。

 

 

「それに一部の親衛軍師団長は第二皇女ゾエ様に忠誠を誓うと言うておる・・・」

「ヨアネス師団長らの部隊も、すでに警備を名目に市内に展開して・・・」

「帝都以外では、帝国南部辺境のメレア民族が叛乱を起こす手はずに・・・」

 

 

長テーブルに広げられた帝国及び帝都の地図を前に、反皇帝派は話し合いを続ける。

帝国全土を示す地図には、帝国南部の広範な地域に赤いラインが引かれていた。

それから帝都ヘラスを示す地図には、今夜占拠するであろう場所に、やはり赤いラインが引かれている。

それは宮殿各所(行政府込み)、貴族会議議場、帝都中央研究所、司法当局、軍施設、兵器庫、通信センター、放送局、空港、交通・流通・物流センター、他国要人の宿泊するホテル・・・などである。

 

 

「テオドラとジャック・ラカンが『奥の院』で倒れれば、第二皇女ゾエ様が帝位につかれる・・・」

「エヴドキア様もその場におられるが・・・」

「やむを得ないだろう、元第一皇女と言う身分は新皇帝の邪魔になる・・・」

「だが、ジャック・ラカンの力はあなどれんぞ・・・」

「例え大戦の英雄と言えど、非武装ではそれほどではあるまい・・・」

 

 

ジャック・ラカンと言う固有名詞を話す時に限り、彼らの声に翳りが見える。

しかし、それでも反皇帝派は蠢動をやめる意思は無いようだった。

・・・否、そもそもやめるとかやめないとか言う地点を、彼らは通り過ぎているのだった。

 

 

新帝即位に伴い、彼らは自身の職権や地位の多くを失ってしまったのである。

先代の皇帝の時代であれば、有り得ない人事によってそれは成されたのであり・・・「テオドラでは帝国は滅びる」と言う意思の下で、彼らは行動しているのである。

彼らにとってこれは、正当な諸権利を回復するための戦いであり・・・。

同時に、帝国の未来を守るための戦いであるはずだったのだから。

 

 

「ですが」

 

 

その場でただ一人だけ・・・雰囲気の異なる声が放つ者がいた。

哀しみと畏れを抱いたその声に、その場にいた反皇帝派が、上座の椅子に座る人物を見る。

短い銀髪の・・・小柄なヘラス族の女性を。

 

 

「ですが・・・婚儀の場で革命(クーデター)など起こせば、帝国の名を地に落すことになるのではありませんか?」

 

 

言外に計画の中止を訴えていることは、明白だった。

確かに、各国の代表が集まるこの場で叛乱などを起こせば、少なくとも帝国の国際的な地位は低下せざるを得ないだろう。

だが・・・。

 

 

「畏れますな、殿下。我が帝国には人間諸国の評価(ルール)など必要ありませぬ」

「先代の皇帝陛下も、人間諸国に対しては毅然とした対応をされておりましたぞ」

「それに各国の代表が集まっておるからこそ、今後の展望が開けると言う物です」

 

 

反皇帝派・・・と言うより、一般的な帝国人の認識としては、「どうして外国と付き合わねばならないのか」と言う物がある。

7億人からなる亜人(デミヒューマン)帝国、ヘラス。

周辺の人間諸国から毛嫌いされる歴史が2000年以上続いてきたがために、身内意識が強く、外に対する警戒心が強い。

 

 

むしろ開放政策を推し進める現皇帝の方が、異質なのである。

それゆえ反皇帝派の主張は、むしろ帝国人の一般的な見解から極めて近い。

だからこそ・・・。

 

 

「・・・」

 

 

・・・だからこそ、第二皇女ゾエは沈黙する。

彼女の現在の立場が、彼女を沈黙させざるを得ないのである・・・。

 

 

 

「ヘラスに繁栄を・・・」

 

「「「ヘラスに繁栄を」」」

 

「ウェスペルタティアに滅びを・・・・」

 

「「「ウェスペルタティアに滅びを」」」

 

 

「「「「「テオドラに、破滅を」」」」」

 

 

偉大なるヘラス帝国に、栄光あれ―――――・・・。

唱和する声が、帝都の夜空に響き渡る・・・。

 

 

 

  ◆  ◆  ◆

 

 

Side 茶々丸

 

「・・・ウェスペルタティア女王ご夫妻が、宴からの退席をご希望されております」

「はい、わかりました」

 

 

宴席の外で待機していた私達の下に、帝国の侍女の方がやってまいりました。

どうやら、皇帝ご夫妻―――ラカンさんとテオドラさん―――が引き込んだようですね。

私も帝国のしきたりには詳しくはありませんが、どうやら次の段階へ移行したようです。

次の予定は、明日になりますので・・・今日はホテルに戻り、休養となるでしょう。

 

 

帝国の侍女の知らせによって、宴席たる聖堂の外に待たされていた我々王宮侍女の仕事も再開されます。

もちろん、食事は饗されておりましたよ、私達にも。

暦さん達は、帝国料理の数々を楽しんでらしたようですね。

 

 

「では、女王陛下ご夫妻をお迎え致しましょう、お2人をつつがなくホテル「テオファノ」までお送りしなければなりません」

「「「「はいっ」」」」

 

 

ぱんっ、ぱんっ、と手を打ちながらそう言うと、傍の暦さん達が元気の良い返事を返してくださいます。

連れてこれる人員には厳しい制限がついておりまして、非武装で5人、それで私と暦さん達4人のみが随行を許されております。

亜人種に対して偏見が無い、と言う条件も考慮させて頂きましたが。

それと、アリアさんに限りもう数名・・・。

 

 

「絡繰殿・・・」

「これは、侍医殿」

 

 

王室侍医団の医師と看護士が、合計で3名。

帝国側に要望した所、特別に了承して頂きました。

とは言えアリアさんが診察を拒否されておりますので、ただいると言うだけの存在になってしまっているのですが・・・。

どうやらアリアさんは、意外と医者嫌いのきらいがあったようです。

 

 

「どうか女王陛下に診察を受けて頂けるよう、上申して頂けませぬか」

「・・・そんなに悪いのですか?」

「それを知るためにも、診察を受けて頂きませんと・・・」

 

 

そもそも、どこがどう悪いのかすらわからない状態なようです。

私が密かに取っている生体データだけでは、いかに優秀な医師と言えども判断ができないのでしょう。

 

 

「実際の所・・・どう思われますか?」

「やはり、微熱の持続が危惧されますので・・・」

「そうですか・・・」

 

 

それは、私も危惧している所ではありました。

しかし通常通りに生活されておられますし、特に致命的な疾患があるとも思われないので・・・。

逆に、何かしかの病気の前兆と言う可能性もあります。

やはり、どうにか診察を受けてくださるよう、お願いするしか無いのでしょうか。

 

 

「茶々丸さん、女王陛下がこちらへ」

「はい、暦さん」

 

 

侍医団の方々を残して、私は暦さん達とアリアさんのお迎えに。

そして、宴席である聖堂の専用出口から、フェイトさんに伴われたアリアさんが・・・。

 

 

 

 

 

Side テオドラ

 

帝室・・・特に皇帝夫婦は聖堂と本宮殿の中間の『奥の院』で第一夜を過ごすのが、ならわしじゃ。

これは帝室や帝室に近い大貴族の子息であれば、10歳を過ぎた段階で教えられることじゃ。

そうでなくとも、広く知られておるならわしじゃが。

 

 

夫婦はまず帝都を守護する聖獣にそれぞれ祈りを捧げ―――帝国の繁栄と相手の幸福を―――それから、夫婦としての最初の朝まで、眠ることなく共に過ごすのじゃ。

・・・皇族で無くとも、新婚夫婦にとって最初の夜とは重要なはずじゃが。

 

 

「・・・お?」

 

 

隣でバカ面を見せておるジャックには、そんなロマンチックさを求める方が間違っておるようじゃった。

さっきは見直したが、さらに見直し直すやもしれぬ。

・・・はぁ。

 

 

それは確かに、すでに何度も肌を重ねた仲じゃし?

今さらと言われれば、それで済んでしまうのは確かじゃが・・・それでも妾も女子。

少しくらい、幼い頃を思い出して夢を見ても良いじゃろ・・・。

ま、まぁ、何じゃ、妾がそれらしくすればジャックも少しはそう言う気分になるやもしれんな、うん。

妾も帝室のはしくれとして、10歳を過ぎた頃より老侍女(ばぁや)にお妃用の閨房学を学んでおる身じゃ。

いざとなれば、あの手この手を使ってじゃな・・・!

 

 

「お? んだよ、じゃじゃ馬(テオ)

 

 

・・・無理な気がしてきた。

不意に、前の方からクスクスと小さな声が漏れ聞こえてきた。

どうも、妾達の前方を歩く姉上(エヴドキア)が小さく笑ったらしかった。

背中しか見えぬが・・・姉上の笑い声を、久しぶりに聞いた気がする。

 

 

そうこうする内に、聖堂の奥の階段を上りきったようじゃった。

丸い尖塔のような形をした聖堂の天井部から突き出るような形の橋の上からは、帝都を一望できる。

すでに日は落ち、はるか遠くの円環大地(サークル)のかがり火の灯りまでが見える。

星の瞬く黒き夜空と、民が住まう地上の光に挟まれて・・・。

びゅうっ・・・と風が吹き、妾達3人しかおらぬ橋の上を清めておるようじゃ。

ここより先には、妾達以外の誰も入れぬことになっておる。

 

 

「・・・では・・・ご案内いたしま・・・」

 

 

聖堂の反対側・・・すなわち妾達の前方には、ヘラスの本宮殿が見える。

見えるのは壁面の一部であって・・・全体は聖堂の数倍。

そもそもこの聖堂も、元々は帝室の婚礼用に作られた物じゃ。

 

 

橋の終わりには、小さな祠のような建造物がある。

小さく見えるが・・・中に入ると、意外に広い。

姉上が祠の扉を開くと、中のかがり火に一斉に火が灯った。

そして・・・扉とは異なる三方向に、下へと続く階段が見える。

 

 

「・・・控えているはずの・・・下級神官達が・・・いない・・・」

「姉上?」

「・・・いえ・・・」

 

 

姉上は小さく首を振ると、正面の階段を背に妾達の方を向いた。

そして静かに、左右の階段を示して。

 

 

「では・・・夫となる方は右の太陽の間へ・・・妻となる方は左の月の間へ・・・」

「へーいへい」

「ジャック!」

「・・・へいへい」

 

 

妾は心底面倒そうな顔をするジャックに呆れておるのじゃが・・・姉上は気にしておられぬ様子じゃった。

有り体に言えば、丁重に無視することにしたらしい。

 

 

「・・・それぞれの部屋で共に聖獣に祈りを・・・そしてさらに下の星の間にて・・・お過ごしください・・・」

「・・・」

「・・・夜が明けた後は・・・私のいる聖獣の間へお2人で・・・最後の誓いの儀を執り行います・・・」

 

 

しきたりに則った説明を終えた後に、姉上は階段を下りていった。

しきたりによれば、姉上も夜通し聖獣に祈ることになっておるのじゃ。

 

 

それから・・・妾はジャックを見た。

相変わらずのバカ面で・・・むぅ、ジャックめが。

うーむ・・・そうじゃっ。

良いことを思いついたぞ、妾はジャックの腕を掴むと・・・。

 

 

「ジャック、ジャック、(ちこ)う」

「あ?」

「良いから!」

 

 

 

   ちゅっ

 

 

 

「・・・っ、おまっ!」

「また後での! サボらずにすぐ来るのじゃぞっ!」

 

 

ふっふっふっ、やってやったわ!

妾は自分でもわかる程に頬を緩ませながら、階段を駆け下りて行ったのじゃった・・・。

 

 

 

 

 

Side ラカン

 

 

あのじゃじゃ馬、後で死なす(なかす)

俺は固く心に誓った、もう盛大に泣かす。

どうやら、ちょっとばかりサービスしすぎちまったらしいぜ。

朝はプルプル震えてたくせによ・・・。

 

 

「はぁ・・・ま、行くか。右だっけな・・・」

 

 

つっても、ここにいても始まらねーし、行くか。

・・・一瞬、逃げてやろうかとか思ったのは内緒だぜ。

逃げて帝国全軍のお尋ね者っても悪くねーけどな、人生は波乱万丈じゃねぇと。

 

 

「おー・・・」

 

 

太陽の間とか言う場所に下りてみると、なんつーか金ピカな部屋だった。

黄金製の調度品とか鎧の飾りもんとか・・・太陽ね。

それ程広くねぇ、細長い部屋だ。

俺が下りた階段の向こう、ほぼ正面の位置にまた階段が見えるぜ。

あそこから、さらに下に行くのかね・・・っと、その前にっと。

 

 

一応、俺もしきたりだのを一通りは聞いてるけどよ。

黄金製の騎士甲冑が居並ぶ細い道を通って、部屋の真ん中あたりへ。

そこだけ、少し広く作られてんだが・・・俺から見て斜め四方に、4つの黄金の像がある。

一つは、古龍・龍樹を象った物だってのはわかるぜ、それと・・・。

 

 

「繋がってんのか・・・?」

 

 

そしてその像からは確かに、古龍・龍樹の魔力っぽい強烈な波動を感じるぜ。

どうやら、何かの契約で繋がってるらしいな。

俺くらいになると、じっと見てればわかる。

 

 

えー・・・でだ、どうすんだっけか。

・・・あー、像の前に供えられてる花を、古龍・龍樹の奴から順繰りに供え直していけば良いんだったっけな。

 

 

「あー・・・めんどくせ・・・」

 

 

たく、皇族王族ってのは、どうしてこんな意味のあるんだか無いんだか良くわからんことをするんだかな。

えー、まず古龍・龍樹の奴から・・・紅い鳥みたいな奴と、白い虎みたいな奴、んでもって黒い亀みたいな奴のとこを回って、古龍・龍樹の像に戻ってくる。

あー・・・これで良いんだっけな。

マジで意味がわかんねぇけど・・・ま、良いか。

じゃ、あのじゃじゃ馬(テオ)を泣かしに行きますかね・・・。

 

 

 

   ガシャッ

 

 

 

「・・・あん?」

 

 

後ろから、金属がこすれ合うような音。

振り向くと―――――。

 




新登場キャラクター:
ベネッサ・フォメニアンス(黒鷹様提案)


ウェスペルタティア王国宰相府広報部王室専門室・第12回広報:

アーシェ:
はい、いつも通りのアーシェですよー。
・・・え、飽きた? そ、そんなこと言わないでくださいよ~・・・。
が、頑張りますから~。
・・・ってなわけで、今日ご紹介しますのは~・・・こちらのお方です!


ソネット・ワルツ:
30代後半、ウェスペルタティア人の女性。
腰まである金髪に青い瞳、ヘラス族の血が混じっているために成長が遅く、実年齢よりも一回り若く見える。

毒舌家。何か、旧世界の・・・がん○む? がマイブームらしいです。
大戦時の戦争難民で、現在はヘラス帝国の諜報部員。表向きは駐オスティア帝国大使。
旧世界のアニメを模した武器とかを集めるのが趣味。
18年前に処刑されようとしたアリカを救出しようと元老院直属部隊に潜り込んだが失敗、紅き翼の騒動に紛れて脱出した。
現在は皇帝テオドラの信を受けて、オスティアに滞在。
女王アリアには個人的に思う所がある模様。


・・・ふーん、いろいろ苦労してるんだ。
帝国編だけあって、帝国人の紹介の機会が多いですね。
では、今回はここまでです。

次回、帝国編の最終話。
いろいろと大暴れな回になりそうです。
それでは、ちぇーりおっ。

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