ハリー・ポッターと平凡な天才 作:ただの凡人
キティ・アボット。それが私の名前。どこにでもありそうな、平凡な名前だ。
外見も平凡。普通の茶髪に、茶色い目。頭の良さも人並みで、『平均』を表したような人間。特徴といえば、顔が中性的だということくらい。
そんな平凡中の平凡な私にも、周りの人より飛び抜けているものがある。おばあちゃんは、いつもそう言ってくれた。それが何かは教えてくれなかったけど、学校に行くようになればわかるらしい。
そして、一本のナイフをくれた。
私は、それを荷物をつめたトランクには入れず、ポケットに入れた。お守り代わりだ。
重いトランクを引きずり、玄関まで向かう。
髪は後ろに束ね、その上に白いつば広帽子をかぶる。
そして、後ろを振り返って言った。
「行ってきます」
ガチャガチャと食器を洗う音の合間に、「いってらっしゃい」と聞こえた気がする。
◆
家から歩いて二十分。私はおばあちゃんの家に着く。
おばあちゃんは玄関先で待っていてくれた。
「じゃあ、行こうか」
「うん」
おばあちゃんと一緒にトランクを持ち、街中を歩く。
その間に、おばあちゃんは、学校生活で役に立ちそうにないことを教えてくれた。
「いいかい、キティ。危険が迫っていると感じたら、理性なんて捨てていい。本能や直感に頼れ。もしパニックを起こしそうならナイフを握って鼓動を数えること。そして深呼吸だ。あと、利用出来るものは利用しつくすんだよ。役に立たないものなんてない。いいね、覚えておくんだよ」
「わかった」
学校へ行く前に、なんでこんなことを聞かされているのかよくわからなかったけど、おばあちゃんが言うからには何か理由があるはず。だから私はその言葉を心に刻んだ。
◆
駅に到着した。
おばあちゃんしか道は知らないのに、おばあちゃんは私にホームを見つけてごらんと言った。
時計を見たら、電車出発まであと三十分ある。端から探そうとした私だけど、おばあちゃんは私から時計を取り上げて、針をずらした。ずらした時刻は、十時五十分。
おばあちゃんはそれを私の腕に巻きつけながら言った。
「キティ。あと十分でホームを探すんだ。十分で見つけられなきゃ、キティは学校へ行けないよ。でも、駅は広い。おばあちゃんの言うことを思い出して探すんだ」
学校に行けないと聞いて、私は泣きそうになった。そんなの嫌だ。学校に行きたい。
おばあちゃんを見ると、まるで「そんなに行きたいなら探してごらん」と言いたげだ。
私はなんとしてもホームを探してみせると意気込んだ。
ほんの数十分前に言われたこと。その中から自分に当てはまることを抜き出し、考える。
まずは深呼吸だ。
「すぅーー、はぁーー、すぅーー、はぁーー」
落ち着いた。
私は目を閉じた。自分の中で、感覚が研ぎ澄まされていくのを感じる。いつも、おばあちゃんには何か『試練』を与えられ、それをクリアしてきた。今回も出来るはず。
心をクリアにし、目を開ける。
そして——
「みーつけた」
「キティ、知ってるか?」
「何を?」
「次の試練で、百回目の試練だって」
数えてみたことも無かった。
そういうと、
「それでいいんだよ。大事なのは、
最後に、おばあちゃんは付け足した。
「これが、おばあちゃんが今まで伝えたかったことの全てだよ。死ぬ前にやるべきことが、一つ、片付いた」
気持ち良さそうなおばあちゃんに、私は尋ねる。
「これ、お母さんにも教えたの?」
「いいや。お母さんは、そんなの無駄だって言って聞いてくれなかったよ」
おばあちゃんの顔は少し寂しそうだった。
そんなおばあちゃんを見て、私は約束した。
「大丈夫。私、おばあちゃんの教えてくれたこと、忘れないよ。子供にも、孫にも語り継いでいく。だから、安心して」
「ありがとう、キティ。ほら、もうすぐ出発だ。楽しんでおいで」
おばあちゃんは私の背中を押した。私は列車——『ホグワーツ特急』に乗り込む。
乗り口が閉められ、私は窓からおばあちゃんに挨拶をする。
「ありがとう」
自然とその言葉が出てきた。
「いいんだよ」
「行ってきます」
「はい、いってらっしゃい」
列車が動き出した。ゆっくりと、少しずつ早く列車が走っていく。
私はおばあちゃんが見えなくなるまで手を振り続けた。
そして——辺りの景色が、
ちょっと寂しい気持ちと、新しい生活の始まりにワクワクした気持ちが入り混じる。そして、トランクを持ち上げると列車の通路を歩き始めた。
いかがでしたでしょうか。
これから伏線を張っていって、出来るだけ多くの伏線を回収していきたいと思います。
目指すは、UA1000超え!