チート過ぎて意味がわからなくなったワンピ   作:サボリ魔ー

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なっげー。
普段が平均4000字なのに、今回は10000字越え。
それと内容が暗く思えるかもしれません。
少しでも、心に残ってくれたら良いかなぁと思います。


9,ゼファー一家に救いの手を

9,ゼファー一家に救いの手を

 

「おお、結構あんじゃん」

 

おいおい、何億ベリー?

おお、パラパラいいねえ、数字で出してくれる。

おー、34億ベリー。

ちょっと高すぎねえ?

……人魚に5億出すやつらだから、そんなものか。

天上金がなければ絶滅するのに、天竜人。

 

ほんじゃ、半分徴収させてもらいましょうかね。

王の財宝で回収。

しめしめ。

 

俺は、面倒くさいのでマリージョア全域に念と死ぬ気の炎で強化した覇王色の覇気を撒き散らして、一番でかい家の金庫の中身を回収していた。

監視のでんでん虫も雷の炎も混ぜていた覇気に当てられて、ダウンしたようだ。

そして今日は、後の世で空白の1日に。

 

なるかは分からないが、それも面白そうではある。

もうゴミの家にはいたくはないので、船に戻ろう。

あー、奴隷は開放しとくか?

……原作通りに進まなさそうな気もする……。

 

天竜人はクソだ。

誰しもそう思っているだろう。いや、一般常識だ。

ハリー・ポッターのアンブリッジ。

……なれそうだな、天竜人。

 

まあ、いいか。

それに天竜人に今の時点で嫌がらせを仕掛けても、誰かに八つ当たりで処分が下るだろう。

拷問か、奴隷か、死刑か、投獄か。

どれをとっても最悪だな。

だから、嫌がらせをするときは俺に天竜人のヘイトが集まるようにしなければならない。

あ、でも俺へのストレスで八つ当たりで周りが……。

天竜人、最低だな。

 

天竜人のせいで魚人との差別がなくならない。

アーロンとかそうだよ。

あいつの叫ぶことって大抵、天竜人のことだから。

下等生物……、ゴミっていう天竜人。

平等じゃない……、そうですね。ゴミが頂点の世界ですもんね。

そういうことである。

 

俺はレッド・ラインから飛び降りて、シャボンディ諸島まで月歩で進む。

 

ーーーーーーーーーー

 

デカイ木とシャボン玉のシャボンディ諸島。

ヤルキマン・マングローブに番号が振られおり、それを目安に移動するようである。

 

しかし、私には通用しない。

常識とは木っ端微塵のバラバラにするものだと父さんが言っていた。

天竜人がゴミ、は一般常識? ……ああ、すまん。古代から受け継がれる生物的思考、の間違いだった。

 

もうやめようぜ? やっぱり平民は平民らしく、ゴミの話はしないで、夢や目標に向かって邁進すべきと思うんだ。

え、ゴミ掃除頑張る? 良い心掛けだ。誰もしたくない仕事を率先してする。賞賛するに値するな。

 

と・も・か・く・だ!

俺は、ゼファーのとっつあんの家族を守らなければならない。

いや、シリアス大切。

それはわかる。

だからと言って、暗すぎる過去を用意するのはダメだ。

ボンちゃんがマゼランに立ち向かった、これくらいならいい感じに感動できて、しかもかっこよく終わる。

……まあ、頂上戦争に最後の方で、黒ひげんとこのラフィットの発言から、ボンちゃんの頑張りは無駄だったことが明らかになったわけだが。

 

ああ、ここで一つ教えてやろう。

俺はキャラクターとして、2番目にボンクレーが好きだ。

もはや一位に比肩するほどだ。

渋いというか、かっこいい。

まあ、仲間にしたいとは思うけど、ボンクレーにはボンクレーなりの生き様があるだろうから、スカウトはしない。

 

うーん、誰がいいだろうか?

クザンとか?

……面倒くせえなぁ。

いらないキャラってのが少ないのよ。

クロとかクリークとかは、結局踏み台だからさ。

うーん……。

 

あっ! 居るじゃん。馬鹿でかい規模の二人が。

今のうちに唾をつけときゃいいんだ。

カイドウとビッグ・マム。

仲間とは言い難いが、勝手に傘下を増やしてくれれば嬉しい。

 

かなり脱線したが、とっつあんの過去は酷すぎる。

尾田は悩んでるのかもしれない。

ドフラミンゴの過去も拷問にして、パンクハザードでは子供に試薬実験、いや、サボの話から始まっていたのかもしれない。

悲しみはハッピーエンドをより際立たせるかもしれないが、それまでが辛すぎる。

虚淵さんのような真似はしてはいけません。

……家族の死を30年も抱えるなんて取り去ってやらなきゃ。……報復に出た海賊は皆、ミンチにしてでもな。

 

物騒なことを考えていた俺は、それでもオーラと見聞色によるさらなる聴力の強化で酒場の会話全てを並行処理しながら、盗み聞きをしていた。

すると、端っこでコソコソと話をしていた男たちの口から当たりが出た。

 

「おい、黒腕の弱みを見つけたぞ」

 

「それは本当かよ⁉︎」

 

「しっ! ……声が大きい。この辺は海軍本部に近いから、多くの海軍が駐留してるんだよ。こんな会話聞かれてみろ、今度こそブタ箱行きだぞ」

 

「ああ……、すまねえ。……2年前の屈辱を返せると思ったら、興奮して大声を出しちまった」

 

「気持ちはわかるが、抑えろ。ここで勇んで周囲が見えずに失敗でもしたら、それこそ同じのように黒腕に辛酸を舐めさせられた同志たちに殺されるぜ?」

 

「ああ、わかってる」

 

どうやらゼファーにボッコボッコにされた海賊団の仕返しのようだ。

……ゼファーが、小物だからって見逃したんだろう。

きっとあの正義のための苛烈さは、これからくる問題のせいで形成されてしまったんじゃないだろう。

もうちょい恐怖を植え付けるとかして、足を洗う方向に持って行こうとは思わなかったんだろうか。そしたらこんな事件は起こらなかったかもしれないのに。

まあ、俺が起こさせないつもりだけど。

 

「それで、弱みってのは?」

 

「ああ、黒腕の奴は美人な嫁さんとまだ物心つかないくらいの息子がいるんだと。

……もう、わかるだろう?」

 

「ああ。そいつらを捕まえて脅迫だな」

 

「はっ! ……甘いな。

拷問にかけて殺す」

 

「はっ? 馬鹿! それはマズイって! 流石に殺されちまう!」

 

「静かにしろ! ……いいか? この作戦は報復だ。俺たちは捕まっても殺されても、黒腕に復讐を果たしたい連中の集まりだ。

……こんくらいやらなきゃ止まらねえのさ」

 

「そ、それは……。だが! 拷問は流石にマズイ!」

 

「安心しろ。拷問って言っても、少し鳴かせる程度だ」

 

確かに拷問って聞いてびびった奴は小物感が凄いが、もう一人は結構堂に入った悪役感だな。

少しねえ。猿轡を噛ませりゃ鳴かなくなるし、別に騙してるわけじゃあなさそうだな。

それに美人な嫁さんを鳴かせる、つったらもう一つしかないだろうな。

 

……ゴミかよ。

まあ、復讐で家族狙うって時点でクズだが、これは無いなぁ。

取り敢えずは、ゴミは駆除するのが通常だが、さらに言えば一箇所にまとめて駆除するのが一番だな。

決まってたことだし、予想もしてたがこれはちょっとなあ……。

 

「そうか……。場所と時間は?」

 

「場所はハタ島。時間は23:00だ」

 

オッケー。

クズは全員殲滅だ。

 

ーーーーーーーーーー

 

「おい、てめえら。準備は終わったか?」

 

「あったりまえじゃねえか。早く殺したくてたまらねえよ」

 

「おうよ。クズの掃除は当たり前だからな!」

 

「はっ、くずたぁ言うじゃねえか。お前も相当な恨みがあるんだな」

 

俺は奴らに混じっていた。

さて、俺がどれかわかるだろうか。

きっとそれだ。一番テンションが高いやつだ。

うん、裏切りはしたくないって言ったけど、こいつらには痛い目を見てもらわなきゃ困るんでね。

 

今は23:06。あたりは月にも照らされずに真っ暗。

そんな中で無駄に黒いローブを着たアサシンもどきの連中が俺含め13名。

過剰戦力というか、拷問かけるのに一体何人用意してんだ、馬鹿。

まあ、あたりは寝静まっているから俺が覇王色の覇気を使ったとして、そのまま気絶するだけだから、寧ろ快適な睡眠をプレゼントしてやったと胸を張るところ次第である。

 

そうだ、昼間の酒場で小物じゃない方の後を尾行してついた同士の会合とやらを聞かせてもらったが、拷問好きだなって感想しか出なかった。

カイジに出たような拷問の方法をいう馬鹿が一人いたな。

 

まあ、小物もここにいる以上は犯罪者。

そしてこいつらは真っ黒。だから、殺す。

と言っても、拷問かける前に気絶させて、裏でこそこそやっちゃうつもりだ。

 

何故なら、ゼファーは危機感がなさすぎる。

ガープとかがどうしたかは知らないが、一般人をこんなところに放置してては話にならない。

つまり、ゼファーにも非がある。

それにこの一件がどう作用するかは今時点で分からないが、願わくばゼファーの息子には母さんを守るって意識を持って欲しい限りだ。

まだ、3歳。されど、3歳。

夢を早くに持って、それに向かって邁進して欲しい。

うん、親父と一緒に笑顔で海軍で頑張って欲しい。

 

……やべ、俺、涙出てきた。

いいよね? 死んじゃうはずだった親子が変わらずに同じ場所で働いてるのって。

エースと白ひげで想像してみ。

 

『親父! 皆! ……この俺を、鬼の子を命をかけて助けてくれてありがとう! ……この恩は、俺の命をかけて返す!』

『エース、要らねえよい。……俺たちゃ皆、親父の子だぜ? 家族なら助け合うのは当たりめえだよい』

『エースぐん、そうだど。エースぐんが困っでだオイダを助けでくれたんだ、ごれであいごだど』

『グララララ……、ガキどもの言う通りだ……。

エース、てめえ一人の船じゃねえ。俺たち、家族の船だ。

頼っていい、喧嘩していい、助け合っていい。

理由なんざいらねえのさ。

……それが家族ってもんだ』

『そうだぜ! エース!』『さっすが親父! いいこと言う!』『馬鹿野郎、当たり前だろ! こんなでけえ家族の大黒柱だぞ!』『ははは、違いねえ!』

『皆……。

ありがとう……! 本当にありがとう!』

 

あっ、ちょ、やばい。

マジでこれはヤバい。

うん、こんな感じを目指そう。これでなきゃ、うん。

 

「よ、よし。そ、それじゃあ行くか」

 

「「「お、おう」」」

 

じゃあ、俺もクズ掃除を始めますか。

……なんでこいつら、俺を見て引いてんだ?

 

ーーーーーーーーーー

〜 計画者side 〜

 

ようやくこの日が来た。

今日この日、積年の恨みを返すことができる。

……黒腕の喚く姿が見たかったが、こればかりはしょうがない。

 

「目をえぐり出そう!」

 

「いや、全身の骨を一本ずつ折っていくんだよ」

 

「いや、爪を剥がすのがいい」

 

「ロォ〜〜ンッ…………! それじゃあっ、味気ないだろっ。ひっ……。爪と皮膚のっ、境界に刃っ、物を刺っ、して剥がすのはっ、どうだっ?」

 

「「「それだ!」」」

 

目の前の奴らも相当な鬱憤がたまっているようだ。

すでに拷問の方法をみんなで検討している。

……ロンってなんだ? 叫ぶ必要あるのか?

いや、だいたいなんで泣いてんだ?

ポロポロ涙流してるが、カックカクの顎からボトボト流れ落ちてる。

汚ねえ。

まあ、いいだろう。それだけ恨みがあったんだろう。

 

「子供はそれでいいが、女はどうする?」

 

「やっぱりヤるしかねえだろ」

 

「綺麗な顔だってなあ。ならそれが一番かもなあ」

 

「綺麗な顔ならそれをぐっちゃぐっちゃにしてやろうぜ!」

 

「ははは、ボコボコにぶん殴るのか!」

 

「……焼き土下座だ……」

 

「焼き土下座? 何だそりゃ?」

 

「ああ、超高熱の鉄板の上で土下座する。

今回は鉄板の用意ができない。だから、家に火をつけて俺たちへ、旦那が迷惑をかけましたって謝罪してもらうんだよ」

 

「「「それだ!」」」

 

女は火傷で顔を滅茶滅茶にするということか。

……よく思いつくな、とんがり顏。

シャープ過ぎて怖い顔立ちだが、こういった拷問へのことなら相当頭がキレるようだな。

ふふふ、夜が楽しみだ。

 

 

 

今は23:06。あの場にいた奴に少しのメンバーが参加して、13名。

あいつも中々の人気だな。

 

「おい、てめえら。準備は終わったか?」

 

「あったりまえじゃねえか。早く殺したくてたまらねえよ」

 

「おうよ。クズの掃除は当たり前だからな!」

 

「はっ、くずたぁ言うじゃねえか。お前も相当な恨みがあるんだな」

 

ほう、黒腕の家族をクズか……。

こいつも相当闇が深いな。

掃除ってことはやっぱりそういうことなんだろうな。

淀みのない言い方から、そちらの方の人間なのかもしれないな。

ますます、俺たちに都合がよくなってきた。

俺がそう考えていると、隣の奴が叫ぶ声をひそめるという高度な技をやってのけ、話しかけてきた。

 

「お、おい。あいつ泣いてんぞ!」

 

「ああ、本当に拷問しかける前だってのに泣いてやがる……!」

 

「恐らく、長年の誓いをやっと果たせるんだろう」

 

「しかし、拷問かける側が拷問前に泣くって、精神が破綻してんじゃねえのか? もしくは狂信の類か?」

 

「ま、まあ、色んな人種があるんだろう」

 

俺は目の前で涙を流し、拷問に想いを馳せる男に戦慄しながら、会話をするが、拷問へのことでいっぱいいっぱいのようで男は話を聞いていないようだ。

……い、行くか。

 

「よ、よし。そ、それじゃあ行くか」

 

「「「お、おう」」」

 

俺は返事を聞きながら、先行する。

 

ーーーーーーーーーー

〜 ゼファーの嫁side 〜

 

「よう、どうだい? 黒腕のお嫁さんよお」

 

「っ!! うー! うー!」

 

私は妙にくぐもった男の人の声を聞いて目を覚ましました。

見知らぬ男の人が6人、私を囲んでニタニタと下卑た笑みを浮かべていました。

まさか、強盗?

そう思って声をあげようとしますが、顎の感覚がない。

というよりは何かを挟まれているようで、顎が疲れて感覚がないようなのです。

ですが、できるだけ大きな声を出そうとしますが、やはり遮られて声が出ません。

しかし、強盗なら何故私を捕まえてこんな風に囲っているのでしょうか?

 

強姦……とは考えづらいです。自慢じゃないですが、私の夫は黒腕で有名な海軍大将です。

そんなことをして、後で無事に済むとは思えないのですが。

私は意図の掴めない男たちを睨みつけますが、男が私にとって自分の命よりも重要なことを指摘してきます。

 

「安心しな。ここにいるのはお前だけじゃねえよ」

 

「うー⁉︎ うー‼︎ うー‼︎」

 

まさか、ヨークが⁉︎

まだ3歳になったばかりの子供なのに⁉︎

やめて! そう叫びますが、言葉にはなりません。

心臓の鼓動は今までに聞いたことのないくらいに速くなり、自身の血流が異常に加速しているのを感じます。

冷や汗が首筋を伝い、胸元に垂れていく様子は男たちの視線を釘付けにしますが、ヨークに迫る危険までもが私に目をつけてくれるわけではありませんでした。

 

ギシギシ。

 

「どうやら、向こうも始めたようだな?」

 

「へへへ、こんな女相当な上玉じゃないですか」

 

「俺はもうギンギンだぜ」

 

「うー‼︎ うー‼︎」

 

胸を伝ったのが汗なら、頬を伝う物はなんだろうか。

だけど、そんなものを気にするよりも、ヨークの方が大切だ。

あの子に何かあったら、私は……!

ゼファー! あなたはどうしてここに居ないの?

どうして私との出会いの時のように颯爽と現れて私を助けてくれないの?

……どうして私たちをほったらかしにしたの?

……どうしてヨークを助けてくれないの?

あなたは、……私たちが要らないの?

 

「じゃあ、こっちも始めるか。

……やっちまえ」

 

「へへへ!」

 

「すまねえなぁ。恨むんなら、あんたの旦那を恨みな」

 

「そうだぜ。あんたの旦那のせいで俺たちゃ、仕事を失っちまってなあ。だから、あんたには俺たちの苦しみを理解する義務があるんだぜ?」

 

何……それ。

海軍で大将のゼファーが仕事を奪った?

嘘よ! あの人はどこまでも優しかった!

私を助けてくれた時だって、殺さないでいた。

いや、暴力はいけないことだけど、口が不器用な人だったから、いつだって態度で示してくれた。

ましてや、人の仕事を奪るような真似は絶対にしない!

 

……今は、どうなの?

私を助けてはくれないの?

……私達よりも、海賊の方が大切なの?

家族といるよりも、海賊を捕まえる危険な職場の方が楽しいの?

ゼファー……。

私はゼファーに疑問を問いかけたかった。

沢山沢山、訊きたいことが出来た。

だけど、一番訊きたいこと。

 

ーーーねえ、ゼファー。私とヨークを愛してるの?

 

「待ちな」

 

その声は夫の声とは違い、涼やかで何かの威厳がある重みのある声でした。

夫じゃないことに悲しくなる気持ちと憤慨する気持ち。

でも、それ以上に遣る瀬無い気持ちが湧いてくる。

……もしかして、私が不甲斐ないからゼファーは見捨てたんだろうか?

そんな自己嫌悪に陥っている中で、状況は進展していきました。

 

「お前は……!」

 

「赤目でわかるんじゃないか? まあ、いいさ。

……俺の仕事はゴミ掃除だからな」

 

「まさか……!」

 

「正解」

 

「「「うっ」」」

 

展開は速かったです。

金髪で赤目の男性が入ってきたと思ったら、私に話しかけてきていた主犯格の男が正体に気づいたように息を飲むと、紅い目をギラッと輝かせながら金髪の男性は私を囲む男たちを睨みました。

男たちは、金髪の男性の言葉の意味に気づいたのか驚愕と疑問の混じった声を上げると、金髪の男性はそれに一言で返したかと思うと、男たちは短い呻き声を上げて倒れてしまいました。

 

この男性はなんなんでしょうか?

男たちの知り合いということを考えると、この方も男たちの仲間だったんでしょうか?

はっ! ヨークは⁉︎

 

「うー! うー!」

 

「ああ、ヨークって言うのか、あの子。

大丈夫ですよ。こいつらの仲間は片付けました。今はもう安心して、二階で寝てますよ」

 

そうですか。それは良かった。

私は肩の荷が降りた感じがすると、どっと疲れが押し寄せてきました。

すぐに助けてもらったとはいえ、あんなに頭を使ったのも精神をすり減らしたのも初めてだから、疲れの度合いは類を見ないほどです。

 

それでも、やはり状況が状況で視野狭窄に陥っていたのは否めないでしょう。

今気づくこともたくさんあります。

ギシギシと音がしたのは一回。ということは、その時点で気絶させたと考えるのが正しいでしょう。

男たちはゼファーに仕事を奪われたと言っていた。だったら、男たちを海賊と考えるのが順当。

ああ、私はなんて勘違いを……。

ゼファーにどう謝ればいいのでしょうか?

 

あ、あれ? でも私、喋ってないのにどうして考えていることがわかったんでしょうか?

 

「ゼファー大将にはお世話になりましてね。時々、してこないですか?」

 

「う〜」

 

確かに。

時々、私が言い淀むと一字一句間違いなく、考えていることをピタリと言い当ててくる。

ああそういえば、私の告白のときもーー、

 

「惚気は良いですから、さっさと解きますよ」

 

「うっ!」

 

私はなんてことを!

人の前で、ゼファーとの甘い日々の思い出をーー、

 

「だから、惚気は良いですから。ほら、もう解けましたよ」

 

「あ、ほおんとおねえ」

 

私がゼファーとの甘い日々を思い出している間に解き終わったようで、猿轡まで全部外してくれました。

猿轡のせいで口がうまく動かなくて喋りづらくて、変な風になってしまいました。

 

「では、もう大丈夫です。男たちは捕縛して、私が責任を持って海軍本部まで連れて行きます」

 

「あ、そおです。どおしてあなたはここに来たのですか?」

 

「ああ、……喋るなと言われてたんですけどね。

ゼファー大将の命令でここにきまして、確か『俺の愛する家族を助けてくれ! 一つでも傷がついてたら、お前もインペルダウンにぶち込んでやる!』だったかな?

……まあ、取り敢えずはあなたと同じ蜜月の思い出を淡々と語りながら、どれほど家族が大切かを説いてくれましたよ」

 

「そうですか……」

 

やっぱり、ゼファーは私たちを愛してくれていました!

今はそれだけで十分だわ……!

 

「ああ、それとすいません。

ヨーク君にお父さんが私を遣わしたって言ったら、『僕もお父さんみたいに強くなって、お兄ちゃんみたいに人を助ける』って意気込んじゃいまして。……その後すぐに寝たんですが、どうもあれは忘れそうにないですね。

だから、ヨーク君の将来を私のせいで勝手に決めちゃった感じになるんですよ。命の取り合いをする危険な職業なのにです」

 

「ふふふ、ヨークったら。

……大丈夫です。ゼファーがあの子の父親ですから。きっと強くなります。

ヨークが海軍に入った時、指導をしてあげられませんか?」

 

「あー、それは……どうでしょうね?

私もまだまだ未熟者の身ですから、一人前にもなっていない私が指導をするのを許可してもらえるとは思えませんが」

 

「そうですね。はい、無理を言いました。

ですが、あの子の可能性を潰してしまったんですから。責任はとってもらいますよ?」

 

「ははは。ああ、じゃあこれをヨーク君が海軍に入るときに渡してあげてくれませんか?」

 

男性はヨークに危険な将来をもたせてしまったことに謝罪を述べてきますが、私は指導するというヨークの危険を減らしてもらうことをお願いします。

ですが、半人前ができないと断れます。

……真面目なんでしょうね。それに誠実です。

こういう部下がいるのなら、ゼファーが海から帰ってこないのも仕方ないかもしれないですね。

 

男性は悪魔の実の能力か、歪んだ空間に手を入れて一個の悪魔の実を取り出して渡してきます。

凄いエネルギーが渦巻いているようですし、この実一個が30キロはありそうな程、重いです。

私が落としそうなのを見た男性は片手で掴み上げます。

……若い子は、逞しいですね。羨ましいです。

 

「これは、カチカチの実 モデル“アダマンタイト”と言って、パラミシア系の神種になります」

 

新種ってことは、珍しいのかしら。

……珍しいのでしょうね。なんせ、新種なんですから。

そして男性はまた手を空間に突っ込むと今度は悪魔の実よりもひと回り大きい球形のボールを出しました。

 

「あからさまだとあれなんで、これの中に封印します。海軍に入るときに封印を解いてください。それまではこのボールで特訓させてください」

 

上手いですね。

確かにこの重さなら重りにも使えますし、特訓に使えそうですね。

何より、愛着が湧いた物体は実は悪魔の実で、今後自分を支えてくれるっていうサプライズ。

……この子、出来るわ。

 

「まあ、その辺は全部付属ですね。後付けの理由です。

本当は、この悪魔の実は鉱物系です。

私の地域の伝承ではアダマンタイトは黒色の物質って言われてまして、この実はつまり、黒色で硬くなる能力と単純に言えます。

ゼファー大将の二代目って言うことですよ」

 

ああ、そういうことですか。

確かに……。

ゼファー、あなた。

ーーー恐ろしく優秀な部下を持ったわね。

 

「恐縮です。奥様」

 

「え! いえ! 別に……」

 

「しかし、奥様。そろそろ私も報告に上がらないと、ゼファー大将が全身真っ黒になってしまいますので、ここらでお暇させていただきます」

 

「もう、そんなにかしこまらなくてもいいんですよ。

……はあ、そうですね。私も疲れが酷いですから、そろそろ眠気で口も回らなくなるかもしれません。

改めて、今日はありがとうございます。任務とはいえ、私と息子の命を救っていただき、この場にいない夫共々感謝します。

貴方であれば、いつでもお越しください。歓迎しますので」

 

「ありがとうございます。

後のことはゼファー大将に引き継ぎますので、今日の鬱憤、疑問、これらは全てゼファー大将とヨーク君を交え、家族で話し合ってください。

私もヨーク君の将来に責任の一端がある以上は、いつでも相談をお受けします。歓迎しますので」

 

そう言うと、金髪、赤目の彼は身を翻して、夜の街に出ていきました。

金髪が月光で煌めいた瞬間に、もう一度感謝を送り、私の意識は闇に消えて行きました。

 

 

 

「おい、ゾーラ! ゾーラ!」

 

「あ、なた?」

 

「ゾーラッ!」

 

私は名前を呼びかけられるたびに感じる幸福感を感じながら、意識を覚醒させました。

目の前には、愛するあの人、ゼファーがいました。

私が声を出すと、ゼファーは涙しながら私に抱きついてきて泣きます。

ああ、この人に名前を呼ばれたから、幸せなんだ。

そう感じました。

 

私はゼファーが落ち着き、涙を拭ったのを確認すると言います。

 

「ゼファー、あなたは恵まれてるわね」

 

「そんなことはない! 俺は……! お前たちの危機にそばにいれなかった! たまたま強い誰かが救ってくれたから助かったが、俺は不甲斐なさを痛感したよ……!」

 

「えっ! あなたが任務として金髪の海兵を出してたんじゃないの?」

 

あれ? 話が噛み合ってませんね。

ゼファーは通りすがりの誰かが私たちを救ったと言いますが、私たちーーヨークとは聞いたことの擦り合わせをしていないので、ヨークと同じかは知りませんがーーは、ゼファーの任務で助けてもらったと認識している。

どういうことなのだろうか?

 

「いや、出していない。

……どういうことだ? お前たちは違う風に聞いたのか?

俺のところには、俺の家に海賊が押し入ったところを、ある男が取り押さえて海軍本部まで連れてきたと聞いたが。

……そういえば、ある男というのが金髪と聞いた。

そいつは目が赤かったか?」

 

「ええ。彼は私にあなたの任務で来たと言っていたわ」

 

「それは嘘だろう。俺はそんな任務は出さない。お前たちが危険とわかったら、他人は使わず自分で解決する」

 

「あなた……!」

 

「お、おい⁉︎ どうした、ゾーラ? 急に抱きついてきて」

 

「いえ、いいの。とっても嬉しかったから」

 

「お父さん! お母さん、起きたの?」

 

「おお、ヨーク。お母さんは大丈夫みたいだが、まだ体がふらつくみたいだ。」

 

「うん。……お父さんに聞いて欲しいことがあるんだ。もちろん、お母さんにも!」

 

「なんだ? 言ってみろ」

 

「あのね……僕、お父さんみたいな強い海兵になって、金髪のお兄ちゃんみたいがしたみたいに、子供を助けてあげるんだ!」

 

「そうか! それはいいぞ! やっぱり、俺の子だな!

ほら、ヨークも来い!」

 

「うん!」

 

私は今、幸せです。

今、とても幸せを感じています。

ゼファーの変わらぬ愛情が聞けて。

ヨークの夢が聞けて。

おそらく、あの金髪の彼が助けてくれなかったら、私もヨークもこの世界にいないでしょう。ゼファーに悲しみだけを残して。

 

初めは、海賊に襲われたことは不幸だったかもしれないですね。

ですが、こうして幸せを感じられています。

人生に不幸はあるのかもしれませんが、こうも幸せを彩るものなら、どんな不幸も乗り越えられるような気がします。

この記憶だけで、ゼファーが海に出て行くのをいくらでも見送れます。

きっと、ゼファーは変わらずに愛してくれるって。

 

ヨークもいつか、私のそばから消えていくのでしょう。

ですが、それが今では幸せに感じます。

私のような人がゼファーに出会ったのは助けられて、きっと素敵な出会いがあるでしょうから、親としては微笑ましい限りです。

それを信じられる。

悲しみを乗り越えて得たものは、信頼して待つという愛情でした。

 

「……そういえば、お前たちの言う金髪の男はどんな人物なんだ?

家族を助けてもらったのだ。一言、礼をせねば」

 

「それなら、大丈夫ですよ。私があなたに変わってお礼を言いましたから」

 

「でもだな……」

 

「お父さん、大丈夫だよ! あのお兄ちゃんは『お礼はいらない。俺のすべきことをしたまでだ』って言ってたから」

 

「そう、なのか……」

 

「まあ、いいじゃないですか。今は家族で休みましょう」

 

「そうだな。今の今まで溜まっていた有給をとってきた。

今回の件を聞いてコングさんも上と掛け合ってくれて、あっさり許可を出してくれたしな。まあ、余計に2日も休みをもらったが。

これから1年くらいは仕事は休みだ。ヨーク、遊んでやれるぞ〜!」

 

「やったー!」

 

私たちに幸せを運んだあの人のことは今は忘れましょう。

きっと、忘れられない、すぐに思い出してしまう、そんな人でしたから。

ゼファーを正義の味方というなら、彼は英雄でしょうね。

ああいう方を英雄(ヒーロー)と人は言うのでしょう。




少し、話が突飛かもしれなかったですが、こういうエンドです。
因みに、ゼファーは原作通りに大将から指導役に役職を変えています。
家族のために有給を取ろうとすると、大将の肩書きは邪魔だったからです。

ヨークとゾーラは勝手につけました。
ゼファーの嫁もZが頭文字の方が良さそうだったし、息子はYで子供という感じを出そうとしました。

真っ黒になるというのは、黒腕が全身にまで広がるという皮肉です。
シンジは抹殺するよりも、引き渡した方が結末が良くなるだろうということで、海軍に身柄を引き渡しました。後始末が面倒だった、とも言う。

この後は自分がやっちまったことに後悔して、ある島で八つ当たりっぽいのをチョイっと……。
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