「こころ~ここあ~虎太郎~、ご飯だぞ~」
「「「はーい!」」」
土曜日、夕方18時30分、矢澤家の晩御飯が始まる。
「おにーさん、今日の晩御飯は何ですか?」
「お?よくぞ聞いてくれた、今日は・・・・ハンバーグだ!」
「「「わーい!」」」
夕方18時45分、慌ただしい夕食が行われる。
「ここあ!私の分のハンバーグ取らないでよ!」
「えーいいじゃん別にー」
「ソ~ス」
・・・・ウルサイ
いや仕方がない、皆さんまだお子さまだ仕方ない、仕方ないことだ・・・・
「あー!また取りましたわね!今度は許しませんわ!」
「わーい、お姉ちゃんが怒ったー」
「ソ~ス」
「だあああああああ!もう!うるせえええええええええええ!」
結局追加でハンバーグを焼き、無くなった市販品ソースの代わりに適当にソースを作った。疲れる、にこはμ'sの練習の後に毎度こんなことをやってったのか。よくやる・・・
夕暮れが終わり、夜に近づいてくる19時30分、さぁ次の地獄だ
風呂だ、矢澤家では全員纏めて入る。もちろん俺もなのだが、
「今日は私が虎太郎の頭を洗って差し上げますわ!」
「水鉄砲ってどうやるの~?」
「シャンプ~」
ゆっくり浸からせてくださいお願いします。本当に・・・あ、こら!ここあ!そんなに水かけんな、というか最早水鉄砲になってねえ!
「シャンプーが目にーー!」
「アハハハハハ、それそれ~」
「早く~」
「お願いだから大人しくしててくれええええええ!!」
結局、あの後風呂に30分もかかった、そしてあっという間に21時、あれだけ暴れまわっていたせいか三人ともかなり眠そうだ。
「そろそろ寝るぞー、布団敷いといてやるから、歯とか磨いてこい」
「「「は~い」」」
・・・・21時30分、三人とも完全に寝たのを確認してからそっと体を起こす。
ここからは主夫の時間だ。
まず水に浸けておいた食器類を洗う、そして洗い物が終わり次第、洗濯機からチビ達の衣服を取りだし畳む。ここら辺で時間が22時を迎える、そしてここですかさずケータイをチェック!
{もうそろそろ帰る}
この家のアイドルからのメッセージを確認次第、晩飯の用意(二度目)に取りかかる、連絡してくれるなら帰って来るであろうタイミングに合わせて料理を作ることができる。もともと作った物をレンジでチン!なんて、なんか嫌じゃん。
22時30分
「ただいま~」
聞きなれた声と共にドアの開く音が聞こえた。
「お帰り、飯出来てるぞ。」
「ありがと、今日は何?」
「ハンバーグ」
「ちょ!?アンタね!ハンバーグって只でさえ無駄遣いできないのにそんなものつくって!」「落ち着け、ちゃんと肉は特売品を買ってきたし、全部が肉ではない、おから6:肉4の割合でを混ぜて作ってある、だから単価もそんなに高くない」
うっ・・・と気まずそうな声を漏らす、それもそうだろう自分の意見が完璧に論破されたんだからな
「・・・はぁ、あんたのその女子力はどこから来てるのよ、というかおからって・・・そんなに混ぜたら流石にわかるでしょう」
「まぁ食べてみろ」
はいは~いと言う声を聞きつつ俺はにこの対面に座る、そして明日のこころ達の弁当をどうしようか考える
食器の動かす音だけが静かな部屋に響く、食事の時は基本的に二人とも喋らない、行儀の悪いというよりは、どちらかと言うと二人とも静かに食事を取りたいのだ。
「ふぅ、ご馳走さま美味しかったわ、おからハンバーグ」
「お粗末さん、にこのお墨付きなら弁当に入れても大丈夫だな」
食事が終わればにこは風呂へ、俺は食器の片付け、いつも道理のルーチンワーク
23時30分
にこが風呂から上がってきた、そして俺が座っているソファーの横に腰かける。
土曜日はにこがでたテレビの内容の確認と場面場面のチェックをする。
にこは、高校卒業後μ'sの実績を全て捨て、一からアイドルの道を進み始めた、最初こそあまり売れなかったが地道な活動と、にこの素の部分である毒舌が混じったトークなどが受け、今では{小悪魔系アイドル}として名が広まっている。
「今日の分は、これか徹●の部屋」
「そうね、じゃあんたの意見も聞かせてね」
にこは、毎度俺の意見を求めてくるにこ曰く「素人の目線からの意見が大事なのよ」と言う、まぁ俺でもにこの役に立てるのならそれでいいのだが
番組は特に問題なく進行した、途中発言が止まったところがあったが気にしなくてもいいだろう。素人目からしたら、あんな大御所の前で堂々と自分のキャラを出せるにこは流石としか言いようがない。
「良かったよ、トークも面白かったし、にこのキャラもしっかり出てた」
「そう、今回は結構緊張してたから、どうかと思ったんだけど、心配するだけ無駄だったわね」
「あ、でも」
「?」
「あんなキャラを全国のお茶の間に流したと思うと、色々と申し訳ないなーと思った」ボフッ
近くにあったクッションで全力でたたかれた、いくらクッションとはいえ衝撃はくるんだぞ
「痛いな・・何すんだよ」
「うっさい、あんたが余計な事言うからでしょう」
「思った事を言えって言ってたのはにこの方じゃん」
そう言いながら、他の番組も見ていく、にこの出たバラエティ、ドラマ・・・こうしてテレビの中で活躍している彼女を見ると本当に芸能人なんだ、俺とは住む世界が違うんだなと実感する。
1時30分
日も変わりそろそろいい時間である、明日は俺もにこもフリーだがだからと言って夜更かししていい理由にはならない。
「そろそろ寝ようか」
そう言いながらコーヒーが入っていたコップを洗おうと席を立つ
「そうね」
にこも俺の隣に立ちながら一緒に洗う
「ねぇ」
ふとにこが声をかけてきた
「何だ?」
「あんたは気にならないの・・・」
「・・・・・」
多分あれの事だろう、最初に見ていた徹●の部屋でにこは好きな人がいるのかと質問があった時に明らかな動揺を見せたシーン、普通の人なら気づくか気づかないかギリギリの範囲だが、一応一番近くで見てきた身としてはすぐに解った
「別に、にこが誰を好きであろうと、俺には関係ないしな」
「・・・・・・」
・・・・・・あれ?
にこを取り巻く空気が重くなった
「ア・・・・テ・・」
「・・・・何か言ったか?」
そう言うと、泣きそうな声で話し出した
「あんたにとって、私はその程度なの・・・・」
「・・・・」
その言葉に含まれる言葉の意味、真意、思い。
言葉を発するごとに、にこの瞳からは涙が溢れてきた
「ねぇ・・・・答えてよ・・・あんたにとって・・・・・・」
「私って何・・・・?」
「大切な人だよ」
「!」
にこの本音に俺も本音で答える
「俺にとっては、初めてお前と会った時からそれは変わらないよ」
「なら・・・何で・・・」
「にこの夢を邪魔したくなかったから」
「っ!・・・・」
そうだ、俺がにこに気持ちを伝えれば少なくとも俺とにこはもとの関係に戻れないと思った、誰よりもアイドルを愛し、誰よりもアイドルになりたいと願っていた彼女の夢を、俺の我が儘で潰せる訳が無かった。
「だったら、俺はにこの隣で友人として、お前の側に入れればいい、そう考えたんだ」
端から見たらあまりにも卑怯で、姑息な手だと思う、それでも彼女から離れるという事だけは最初から選択しに無かった。
ここまでの発言ににこは、嗚咽を漏らしながら下を向いている。
返事など期待していない、もとよりこんな話をしたら誰であろうと幻滅するだろう。
彼女からしたらたまったものではいだろう。好きになった男は、男の身勝手で彼女のからの好意を無視していたのだから
あれからどれだけたっただろう、数分か、あるいは数秒もしくは数時間、感覚的に長い時間を過ごした後、気まずさに耐えれず部屋を出ていこうとした。
「・・・・・・何処に行くのよ」
後ろから愛しい人の声がする
「すまない・・・、もう二度とお前の前には現れないから」
そう言った瞬間だった
勢いよく腕を引っ張られたかと思うと、唇に柔らかい感触が伝わった
それがキスだと自覚するのにそれほど時間はかからなかった
「あんたはバカよ・・・大バカよ、何私の気持ちを理解したつもりでいるの、ふざけるのも大概にしなさい。」
「私は、あんただから好きになったのよ!」
「あんたは何時もにこを応援してくれた、にこの家の事情を知って真っ先に手伝いに来てくれたのもあんただった、にこが全く売れなくて折れそうになった時もあんたはずっと支えてくれた、こころやここあや虎太郎の世話も嫌な顔一つやってくれて、わざわざ私が帰って来るのに合わせてご飯つくってくれて・・・・・」
「だから・・・・これからも支えてよ・・・・・にこの側にいてよ・・・」
消え入りそうな、か細い声、助けを求める、彼女の声
「いいのか、本当に」
「バカね、あんただからいいのよ、他の男なんて考えられないわ」
「そうか、ならこれからも、にこの側で生涯支え続けることを誓おう」
「ええ、期待してるわよ・・・・」
そう言うともう一度キスをする。
ああ、彼女のファン逹
今だけはこの一人の女の子を独り占めしていいですか・・・・・・
はい、皆様大変長らくお待たせしました。そしてここまで見てくれた皆様本当にありがとうございます。
最初は殆ど自己満足で始めたこの作品、今では多くの方に見てもらえて、とても嬉しく思います。
そしてこんな作品に沢山の感想や評価をして下さった皆様、本当にありがとうございます。名前を列挙する事はありませんでしたが、感想や評価、とても嬉しかったです。本当にありがとうございます。
こちらの作品は取り敢えずここで終わり。という事になりますが、もしかするとサンシャイン編や、μ'sメンバーこういうシチュエーションを書いて欲しいなどの希望が、あれば私の気が乗り次第書きたいと思います。(本当に気が乗ったらです、過度な期待はしないで下さい)
長々と長文失礼しました。
これにて「μ'sメンバーにプロポーズしてみた」完結でございます。
本当にありがとうございました。