やはり俺の青春はロックでまちがっている。~Rock of the Rock~   作:石動 千凪

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第01話 ~日常の変化~

 

青春とは理想であり、ロックである。

 

青春を謳歌せし君たちは常に自己と周囲を欺く。

 

自らを取り巻く環境のすべてを肯定的に捉える。

 

何かの致命的な失敗をしても、それすら青春の証とし、

思い出の1ページに刻むのだ。

 

例を挙げよう。彼らは万引きや集団暴走という犯罪行為に

手を染めてはそれを「若気の至り」と呼ぶ。

 

試験で赤点をとれば、学校は勉強をするためだけの

場所ではないと言い出す。

 

彼らは青春の二文字の前ならばどんな一般的な解釈も

社会通念も捻じ曲げて見せる。彼らにかかれば嘘も秘密も、

罪科も失敗さえも青春のスパイスでしかないのだ。

 

そして彼らはその悪に、その失敗に特別性を見出す。

 

自分たちの失敗は遍く青春の一部分であるが、他者の失敗は

青春でなくただの失敗にして敗北であると断じるのだ。

 

仮に失敗することが青春の証であるのなら、友達作りに失敗した

人間もまた青春ど真ん中でなければおかしいではないか。

 

しかし、彼らはそれを認めないだろう。

 

なんのことはない。すべて彼らのご都合主義でしかない。

 

なら、それは欺瞞だろう。嘘も欺瞞も秘密も詐術も

 

糾弾されるべきものだ。

 

彼らは悪だ。

 

ということは逆説的に青春を謳歌していない者のほうが

正しく真の正義である。

 

このクソったれな世界の中でただ一人だけあがき生きていく。

 

でも、気が付けば一人ではなくなっていた。

 

振り向けばそこには、同じ音を愛した仲間がいた。

 

だからこそ結論を言おう。

 

 

 

[ロックをやれと]

 

 

 

 

平塚「比企谷・・・私が授業で出した作文のテーマは『高校生活を振り返って』というテーマだったはずなんだが?」

 

八幡「なにか問題がありますか?これが俺の高校生活です」

 

平塚「生活を振り返っているようには思えないのだがな。大体何なんだロックとは。君は軽音部などには入っていなかったはずだが・・・

 

八幡「先生には関係ありませんよ。プライベートな所に踏み込んでこないでください」

 

平塚「それとこれとは・・・」

 

八幡「俺、これでも平塚先生の事は尊敬してるんですよ」

 

八幡「昔から、教師なんでただの屑にしか思えませんでしたし」

 

平塚「比企谷!お前何を言って・・・・」

 

八幡「俺の知ってる教師は、みんな自分の保身しか考えてませんでした」

 

八幡「いじめなんて見向きもしない。話なんてまともに聞かない」

 

八幡「誰も踏み込んでこようとしないんです。でも、平塚先生は違った」

 

八幡「先生は、俺の話をしっかり聞いて、受け止めてくれた。それだけでうれしかったんです」

 

平塚「比企谷・・・」

 

八幡「俺にとってのロックってのが何なのか、お答えしますよ」

 

八幡「中学時代に、俺が自殺せずに俺であり続けられた事ですよ」

 

平塚「・・・・」

 

八幡「作文は大丈夫ですよね。それじゃあ俺は帰らせて・・・」

 

平塚「比企谷・・・君に頼みがある」

 

八幡「・・・・何ですか?」

 

平塚「本当は別の名目で連れていくつもりだったが仕方がない。背に腹は代えられない」

 

八幡「なんの話ですか?」

 

平塚「比企谷、君に部活動をやってもらいたい」

 

八幡「え?いやですよ」

 

平塚「そう言わないでくれ。君が必要なのだよ」

 

八幡「なんの話ですか一体・・・」

 

平塚「私が顧問をやっている奉仕部という部活があるのだが、現在部員が一人しかいないのだよ」

 

平塚「奉仕部の活動内容は、君の意識を広げる事の出来るいい場所になる」

 

平塚「そして、このたった一人の部員の性格がまた一癖あってな。君のような人間と触れることで変わって欲しいと思っているのだ」

 

八幡「・・・・・・」

 

平塚「どうか、私の願いを聞いてもらえないか比企谷」

 

八幡「俺は・・・・・」

 

ふいに昔を思い出す。あの人はなぜ俺に親身になってくれたのか?

俺に生きる意味をくれた。俺が比企谷八幡らしくあるための術を教えてくれた。

そして俺は思っていた。俺もいつか、あの人みたいに誰かの為になりたいと。

ならば、この平塚先生の話は受けてもいいのではないか?

でも、必要以上に人間関係を広げたくない。

 

平塚「君の過去。少しは、理解しているつもりだ」

 

平塚「君がなぜ人と関わろうとしないのかも・・・」

 

平塚「比企谷、世界は君が見てきた用な冷酷な世界ばかりではないよ」

 

平塚「少しくらい、君の世界の外をのぞいて見ても良いのではないか?」

 

平塚「一歩や二歩くらい踏み出しても、すぐに引き戻れるさ」

 

平塚「私としては、そのままどんどん歩んで行って欲しいのだがね」

 

八幡「・・・・・とりあえず、その先生の言う部員を見てから考えます」

 

平塚「ありがとう比企谷。やはり君は、優しい人間だよ」

 

八幡「優しくなんかないですよ・・・・俺は・・・・」

 

平塚「自己評価と他者評価は違うものだよ。部室に案内しよう。ついてきたまえ」

 

 

 

平塚先生の後ろをついて行きながら考えをまとめる。

俺が今、一歩を踏み出して、何が変わるのか。

あの人だったら、なんて言ってくれるかな。

いや、あの人だったら、きっと何も言わずに、俺の背中を押すんだろうな。この場合は。

なら、俺も男だ。あの人の弟分であることに恥じないようにしなくちゃな。

 

平塚「ついたぞ。ここだ」

 

見る限り、ただの空き教室にしか見えない。

戸の上のプレートも白紙のままだ

 

平塚「雪ノ下、入るぞ」

 

先生が戸を開ける。その時俺の目に映った者を、不覚にも綺麗だと思ってしまった。

そこの居た少女の佇まいは、とても絵になっていた。

 

??「先生。入る前にノックをしてくださいとお願いしていたはずですが」

 

平塚「君は返事をしないだろうに」

 

??「先生が返事をする前に入ってくるのがいけないのです」

 

??「それより先生。何か依頼ですか?その陰の不審者をさばけばよろしいのですか?」

 

平塚「彼は比企谷だ。入部希望者であり、依頼対象者でもある」

 

八幡「いや、俺はまだ入部すると決めたわけでは・・・」

 

??「比企谷・・・・そう、貴方が・・・」

 

八幡「えっと、二年F組、比企谷 八幡です。」

 

平塚「私からの依頼は、こいつの捻くれた世界観を変えてほしい」

 

平塚「奉仕部活動を通して、変えて行って欲しい」

 

八幡「なんで俺が変わらなくちゃいけないんですか?」

 

八幡「別に今誰かに迷惑をかけているわけでは無いのですし、変わるつもりなんてないですよ。」

 

平塚「あの話、忘れたとは言わせないぞ?」

 

八幡「だったらこっちの都合も考えてください。放課後は忙しいんですよ。これでも」

 

平塚「君のような者が何を都合などと」

 

八幡「そうやって決めつけるから何時までたっても結婚出来ないんですよ」

 

気が付いたら、目の前に拳が置いてあった。

 

平塚「比企谷、女性に対して・・・」

 

八幡「そうやってすぐ拳が出てしまうところもよくないと思いますがね」

 

八幡「別に体罰云々と言うつもりはありませんよ。慣れてますので。でも、女性としてどうなんでしょう?」

 

平塚「う・・・・」

 

??「それに何回もお願いしていてもノックさえ出来ない」

 

八幡「少し改善すればきっと結婚なんてすぐでしょうに」

 

平塚「な、何なんだお前たちは。初対面の癖に息ぴったりと私を貶めるのか」

 

??「いえ、私は事実を申し上げただけです」

 

??「それに先生だってもういい歳なのですから、もう少し淑女らしくしてもよろしいのでは?」

 

??「先生は結婚願望をお持ちのようですが、結婚に対して何を望んでいるのかが・・・・」

 

彼女のセリフを遮るようにして、平塚教諭はいつの間にか俺の前から姿を消し、来た道を逆走・・・もとい暴走していた。

あの先生足早いな。もし逃げようとしてもすぐ捕まるな。おとなしく従うのが身のためだろう。

先生の姿が見えなくなったが、遠くから悲痛の叫びが聞こえた。

ウアァーーーンケッコンシタイィィィーーーーーー!!

 

??「何時までも扉の前にいないで、座ったらどう?」

 

八幡「あ、はい」

 

??「比企谷くん・・・・だったかしら?」

 

八幡「そうだけど」

 

雪乃「私は雪ノ下 雪乃。平塚先生から、ここの説明は受けているの?」

 

八幡「ここは奉仕部って情報しか知らない」

 

雪乃「そう。この奉仕部では、主に生徒からの相談を受けて、手助けをするのが主な活動よ」

 

八幡「何でも屋って事か?」

 

雪乃「そう捉えてもらって構わないわ」

 

雪乃「餓えた人間に、食料ではなく食料の調達の仕方を教えてあげる。それが、この部の活動理念よ」

 

八幡「大方は理解した。」

 

雪乃「ようこそ奉仕部へ。歓迎するわ」

 

八幡「そころで、活動時間ってどのくらいまでやるんだ?」

 

雪乃「基本的に他の部活動と同じ時間まで活動するわ」

 

八幡「一応俺、放課後はやることがあるんだよ。毎日来る事は出来るけど、最後まで居続けることが出来ない日があるんだが大丈夫か?」

 

雪乃「貴方のような人間に用事?何を言っているのかしら?」

 

八幡「いくら俺みたいなやつだからって、印象だけで決めつけるな。先生にもよく言ってるが、不愉快極まりない」

 

雪乃「ご、ごめんなさい」

 

八幡「分ってくれればいい。放課後は一回は顔出すから、依頼があったときは、教えてくれ」

 

雪乃「え、ええ。わかったわ」

 

八幡「それじゃ、今日はそろそろ帰っていいか?」

 

雪乃「大丈夫よ。依頼もないし、なにせ比企谷くんは初日なのだから」

 

八幡「ありがとよ。それじゃ、また明日な」

 

雪乃「ええ。また明日」

 

雪乃「・・・・」

 

雪乃『そう・・・彼が・・・・・』

 

雪乃『比企谷くん・・・彼が、一年前の事故の・・・・』

 

雪乃『今さら私に、私に何かできることがあるのかしら・・・・・』

 

 




なんかロックロックとだけ書いてると、にわかロックアイドルが頭に出てきてしまう・・・・。
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