ストライクウィッチーズ Assault Warfare 作:t5m5k2
どうぞ。
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指令室を兼ねる管制塔の中は、5分ほど前から喧噪に包まれていた。突然、静まり返っていた夜の基地全体を突風が吹き抜けたからだ。基地周辺の天候は快晴で、自然に吹いた風ではない。夜間警戒についていた兵士に加え、緊急の電話や情報収集のために走り回る兵士たちの足音が指令室中に響く。
書類の片づけを終えて寝ようとしていたミーナは、ベッドへは行かず指令室に来ていた。一段高くなった舞台のような場所から全体を見渡す。すぐ下で指揮を執っている兵士に気付いたミーナは、手すり越しに
「基地の被害は?」
と聞いた。振り返った兵士は、片手に持ったバインダーに挟んだ紙をめくりながら
「兵舎で休憩中だった兵士の中に、何人かケガをしたものがいるそうです。」
と答えた。
「原因は?」
「いえ、特に大したものでは。驚いてベッドから落ちただけとか…。」
その報告に、緊急事態であるにもかかわらず、ミーナはクスッと笑った。
「他には?」
「基地施設への目立った被害は確認されていません。」
「ありがとう。念のため、基地全体に第2種警戒配置を伝達。司令部へも連絡してください。」
「了解。」
兵士との会話を終えると、指令室の扉がノックされた。
「入って頂戴。」
確認せずとも、誰かは分かる。
「遅かったわね。」
「あぁ、レスリー少佐が忘れ物をしていたらしい。」
「申し訳ない。」
開いた扉から姿を見せたのは、坂本とアレンだった。謝るそぶりを見せるアレンの顔は、少し焦っているようにも見えた。
「本題は、サーニャさんとエイラさんが帰ってからなんだけど…。」
「そうだな。しかしすごい衝撃だったな。弾薬庫の火薬が誘爆したのかと思ったぞ。」
ぼそりと冗談を漏らす坂本。もしそうなら、今頃はもっと騒がしくなるだろう。
そんな冗談がある意味で本当だとは、ミーナや坂本は考えもしなかった。
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サーニャとエイラが帰還すると、左官3人はミーナの執務室へ向かった。ネウロイと遭遇した2人を部屋へ招き、事後報告会を開く。
「では、ネウロイについて細かく説明をお願い。」
「はい。全長5メートルほどの――」
「ちょっと待ってくれ。」
サーニャが説明を始めようとすると、そこでアレンが待ったをかけた。持っていたノートとペンを差し出す。
「イラストを描いてくれるか?」
言葉だけで済むとサーニャは思っていたが、アレンの真剣さに気圧され、ノートを受け取る。ミーナや坂本も、言葉だけで想像するつもりだった。サーニャが描いていくネウロイを見るアレンの顔は、そのペンが進むにつれて真剣さを増していったという。
数分後、書き上げられたイラストと説明を読み直したアレンは、小さくありがとうと呟いた。
「何か引っかかることでも?」
「あぁ。話しにくいことだが、事実だとすれば受け入れなければならない。」
「説明してくれ、少佐。」
「新種のネウロイだ。脅威レベルは最大かもしれない。」
70キロも離れた基地まで到達する爆風と、巨大なキノコ雲を発生させる熱という二つの特徴は、核弾頭でも可能な事象である。歴史通りなら、アメリカが開発した核爆弾が日本へと投下される。人間が生み出した戦車や航空機をネウロイがコピーしている事例は、つい先ほどまで調査していた資料の中にも書かれていた。つまり開発された核をネウロイがコピーし、それが数分前、サーニャの目の前に現れたということとなる。
しかし仮にそうだとするならば、今アレンの目の前にあるイラストは存在していないはずだ。サーニャが被ばくし、怪我一つない状態ではいられないはずなのだ。いくらシールドを張れたとしても、爆発でまき散らされた放射能に晒されているだろう。
また、姿が現れていないものを模倣することは、ネウロイであっても無理である。
実際に、サーニャは何事もなく隣にいる。放射線をまき散らす核弾頭ではなかったということだ。だとすれば、残った可能性は一つのみ。
「サーニャ、このイラストに間違いはないよな?」
「細かいところまでは、覚えていません。」
「シルエットはこれでいいか?」
「はい。」
「間違いない。こいつは、俺たちのいた世界からきたやつだ。」
―――それが答えだった。
「なんだと…少佐の世界にある兵器か?」
「特殊弾頭『トリニティ』搭載巡航ミサイル…それが俺たちの呼び方だ。直径500メートルの空間は、爆発によって発生する4000度の熱で焼かれる。」
聞きなれない単語にキョトンとする4人だが、すぐに付け加えられた説明を聞くと、その表情が驚きへと変化した。
「何だッテ!?じゃぁ、もしサーニャが少し近づいていたら…!」
「おそらく、火傷では済まなかったかもしれない。シールド…か?それを張ったことで無事だったんだな。」
「レスリー少佐の説明からすれば…、その熱と共に爆風も生まれたのね。」
「爆風だけでも、生身で直径1キロ内にいれば即死だろう。どこまで届くか分からない。」
デルベント上陸作戦が完了した直後、都市上空へ発射されたトリニティを撃破したとき、マジックは爆発を核と勘違いした程である。
アレンが一通りの説明を終えると、静寂が舞い降りた。話を聞いて考え込む者、目の前で起こった現象を振り返る者。しばらくして、ミーナが尋ねる。
「その兵器は、どれくらいの数があるのかしら?」
「確認されたのは…6発だ。」
アフリカのセトルメントで最初に確認され、次いでラベル・ハイドアウト、カルース、デルベント、モスクワ、最後にワシントン。
使用されるごとに、本当は核弾頭ではないのかという報道も多発した。しかし毎回行われたIAEAによる調査では、すべての機会において放射線量は0だったと報告されている。
「…そうとは言っても、こちらで同じ数が出現するとは考えにくい。」
「つまり、増えるかもしれないということ?」
肯定を、アレンは無言で頷いて伝えた。
「分かったわ…。4人とも、遅くまでありがとう。対処法は今後考えましょう。司令部にも連絡しているし、近いうちに応援が来ると思うわ。」
ミーナのその言葉に、部屋にいた全員が了解と答え、各々の部屋へと戻った。
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「大将。501基地から新型ネウロイに関する情報がありました。」
「またか?特徴は。」
「大規模な爆発を起こし、周囲を熱と爆風によって制圧する種類です。249部隊の連中が来たという異世界にも、酷似した兵器があったそうです。」
「新型の出現、最近頻発しているな」
「はい。スオムスやアフリカ方面でも目撃されていまして、今月に入ってからはすでに10種を超えています。」
補佐官の報告を聞いたマロニーは、大小の雲がちらほらと浮かぶ空を眺めていた目を細めた。
「…分かった。」
「501位置へ向かわせる人員はどうしましょうか?」
「新型ネウロイ調査隊員のリストだ。これを基に集めて、明日には出発させろ。」
「了解しました。」
A4サイズの茶封筒を受け取った補佐官は、一礼するとマロニーの執務室から姿を消した。
その背中を見送ったマロニーの顔には、険しい表情が刻まれていた。
「異世界人に新型ネウロイめ…。まだ完成していないというのに…。」
何かを恨むと同時に、その声には焦りが混じっていた。しかし、その言葉を聞いて理解するものは、言った本人のマロニー以外にいなかった。
トリニティついに現る。
この世界に、何をもたらすのか。
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タグを少し変えました。
すみません。