ストライクウィッチーズ Assault Warfare 作:t5m5k2
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新型ネウロイ―――アレンが言うトリニティ―――が現れた翌日。
そのネウロイの調査のため、新たな人員が501基地へと派遣された。
「ミック・クロウリー中尉以下5名、ネウロイ調査のためこれより501基地にて任務に当たります。」
グレーの軍服に見を包み、きれいな敬礼をして見せるクロウリー中尉。アレンと同じくらいの身長でややほっそりとした体格は、軍帽さえかぶっていなければそのままオフィスにでもいそうに見える。
「501基地司令官、ミーナ・ヴィルケ中佐です。それから、こちらがアレン・レスリー少佐。彼は―――」
「異世界からやってきたジェット機パイロットですか。聞きましたよ。会って初めての大将に向かって、いろいろなことを言ったとか。」
「…。」
アレンを呼んだ理由を説明しようとしたミーナを遮り、クロウリーが喋る。穏やかな表情とは裏腹に、口をついて出てくる言葉は油断できなかった。敬礼しようと踏み出そうとしたアレンは、足を止めて代わりにため息をつく。
「ですが、大将は不満ではないようです。例のジェット機の解析も求められていますよ。」
逸らしかけた目線を、クロウリーに向けなおす。語尾と共に向けられた軽蔑するかのような表情を、真正面から睨みつけた。
「なんだって?」
「少佐が乗っている機体の解析をするということです。」
「以前にも無理だと大将に伝えたが?」
「それは知りません。我々は、大将から言われた通りに任務をこなすだけですので、どうぞ気になさらずに。それでは中佐、失礼します。」
そそくさと部屋を後にするクロウリーを、二人は呼び止めることなく見送った。会話を聞いていたミーナは、床に落としていた視線をアレンへ向けた。
「どうするの?」
「俺には阻止することしかできない。もし技術を盗み出せば、この世界は血に染まる。」
そう答えたアレンをしばらく見ていたミーナは、思いついたように話題を切り替えた。
敢えて、言葉の意味を理解せずに。
「少佐の作戦参加に関してだけど、配置を決めたわ。当分はスクランブルに入ってもらうけれど。」
「非公式だけど、正式な戦闘部隊として出動しろということか。」
「そう。何もしないままでいるのも、退屈なんじゃないかしら。」
「何時でも飛べる状態だ。で、配置は?」
「これが新しい配置。みんなにも配ってあるから、一緒に飛ぶ隊員と顔を合わせて。」
「了解。」
「よろしくね。」
割り当てが書かれた紙を片手に部屋を出る。とりあえずいちばん近い担当を確認すると…
「今日からか。他は…」
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射撃訓練を終え、ソープとローチはハンガーに作られた部屋で銃のクリーニングをしていた。アレンと見慣れない服装の兵士数人が、F-15SEⅡの前でなにやら話し込んでいる姿が見える。少しばかり大きな声からして、穏やかなやり取りではないことは分かる。
「少佐は3rdイーグル(F-15SEⅡ)の技術を隠そうと必死だな。」
クリーニングを終えたACRを机の上に静かに置いたローチは、背伸びしながらつぶやいた。もう10分ほど続いている外のやり取りのことだ。時より聞こえるF-15SEⅡの名前から、そう推測した。
「他人事じゃないぞローチ。俺達だって油断できない。」
ソファに座って手記をつけているソープが相槌を打つ。
「まさか…。アサルトライフルを、とでも?」
「ちゃんと管理しとけよ。もしパクられたら、それこそ人同士が殺し合い始めたら、戦争はグロイものになっちまう。」
何気に手元のACRに視線を落とした。はたして本当なのだろうか。
「でもこの世界だってバカじゃない。技術が進歩するのは必然だし、自然に生まれてくる気がしますよ。俺たちが居ても、居なくても。」
ふと思ったことをローチは言ってみた。すると一瞬、手帳に書き込むソープの手が止まったのを、ローチは見ていた。そして小さく、それもそうだなとソープは呟いた。
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ネウロイ調査隊のクロウリーと喧嘩腰の議論をしていると、基地にサイレンが鳴り響いた。
「敵襲なのか!?」
まるでサイレンを初めて聞いたような反応を見せるクロウリー。訓練でのみ聞いたのか、それとも前線はもっと昔のことなのか。
「早速か!」
配置が書かれていた紙を思い出したアレンは、言われたその日にということに偶然ではない気がした。それでも、戦闘機パイロットとしてこの世界と関わることを決めた身としては、今更出ませんというのもできるわけがない。
焦っているクロウリーに整備兵にどうするか聞けと言ったアレンは、F-15SEⅡに向き直った。整備兵がF-15SEⅡの車輪止めを片付け、エアインテークに掛けていたカバーを外していた。それを見たアレンは、ありがとうと一言叫ぶと、コックピットへと身を滑り込ませた。
エンジンや計器類のスイッチを入れ、セットアップを始める。
「フラップ…スラット…ラダー…問題なし。兵装…カウンターメジャー…確認。よし」
「少佐、準備できたか?」
機体の確認を終えると、ストライカーを履いたシャーリーとルッキーニが待機していた。声をかけられ、振り向く。
「大丈夫だ。出られる」
「んじゃ先に行っとくよ」
「にゃはは~~!」
言い終えるやいなや加速して飛び出す二人を見送る。
「エンジン回転数良好。タワー、こちらアクイラ1。離陸する」
『ラジャー、アクイラ1。離陸を許可する』
ハンガーから姿を現したF-15SEⅡは、やがて大きなエンジン音を立てながら大空へと飛び立った。
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「やはり交戦は機関銃の射程に入ってからだな?」
『これ以外武器無いからね。』
当たり前といえばあたり前。だがアレンは確認だけはしておきたかった。固有魔法とやらで、長距離攻撃ができる隊員がいるのかもしれない。シャーリーの返答に、やはり攻撃の主体は機関銃なのだと認識する。日本のアニメのようにビームを出す魔女ではないのだ、と。
ネウロイとの距離は約120キロ。レーダーに現れた光点を、自機を中心に描かれた同心円を基に計算する。単純に計算すれば10分足らずで接触する。ウィッチならその10分後に、機関銃の銃口が火を噴くのだ。
しかしアレンにとってみれば、近くても70キロ前後から交戦開始となる。中・長距離空対空ミサイルによる視程外攻撃から始まるのだ。
「すまんが第1撃は俺から撃つ。どうも戦闘機じゃ、ネウロイとキスするかもしれん。」
『あ、ミサイルとか撃つってこと?』
「そうだ。二人が撃ち合ってても、外から横槍しか入れられない。あらかじめ許してくれ。」
『構わないよ、少佐。』
『大丈夫だよ~~!にゃは!』
横で並行して飛ぶ二人の優しさに、アレンは酸素マスクで覆われた口元が緩んだ。すぐに、あれ、なんでニヤけてんだと気持ちを切り替える。
「よし…。アクイラ1、交戦開始まで1分。」
『りょうかーい!』
すでにAIM-120が打ち出されるのを待機している。HMD上にはネウロイの熱を探り当てたシーカーの情報が映し出され、四角い枠が4つ浮かび上がる。
アレンらとネウロイの距離が徐々に縮まり、ついにAIM-120のロックオンが完了した。ピーという電子音がヘッドフォンから鳴る。
呼吸で乾きかけていた口を開き、コールする。
「アクイラ1、ミサイル発射!」
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F-15SEⅡの下面ウェポンベイが開き、トラピーズが稼働して4本のAIM-120が大気中に現れる。パイロンから切り離されたミサイルは、1秒ほど滑空したのち、内蔵するロケットモーターに点火した。加速してF-15SEⅡから離れていく4本のAIM-120は、まるで狭い檻から解かれた猛獣のように疾走する。
ウェポンベイに格納されている間に入力された目標の情報を基にしばし慣性で飛び続けたAIM-120は、やがて本体の先端に収められたレーダーを起動した。ミサイルにとっての目を開いたのだ。見開かれた目には、空間に浮かぶ物体が映っていた。熱を発する個体は4つ。ミサイルはそれぞれに与えられた目標を見定めると、各々の方向へと飛行した。
生物よりも単純に、それでいて間違いを起こさず命令を実行するその姿は、しかし生き物のように見える。ついにAIM-120がネウロイへと突入していった。
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ネウロイが敵の攻撃から逃れる術としてあるもののうち、より確実なのは攻撃をしてくる対象を破壊することである。攻撃そのものをさせなくすることで、自身の防御を行い、さらに敵を無力化する。ネウロイにはないが、人間の言葉を借りるならば一石二鳥とでもいうのだろうか。
しかしこの方法を説明するには、『これまでは』という文句がいるだろう。すでにその前提は崩れ、別の手段への移行を強いられている。
また人間が、新しい邪魔ものを作り出したらしい。以前までは人間自身が空を飛んでいた。もっと近くに、それもはっきりと分かる距離で戦っていた。
だが今、向かってくる邪魔者との間には2つの距離があった。人間と飛行機が遠くに。そして何かが、ものすごい速さで間近に迫っている。こちらから攻撃をして物体を破壊するには、時間が足りない。
第2の防御方法は、進路変更による接触回避である。突っ込んでくる物体を躱すのは、それが最も有効な手段である。
ネウロイ達は、第2の手段へ打って出た。横一列で飛行していた4体のネウロイは、それぞれ進行方向に対して斜めに向かって進路を変えた。突っ込んでくる物体は、しかし避けたはずの自分たちへと向かってきた。
理由を考える前に、3体が爆散する。触れると同時に向かってきた物体が弾け、熱と無数の破片がネウロイの身体へと突き刺さった。コアも一瞬のうちに食い破られた。
残った一体は、すぐ横を飛びぬけて行った物体を映像に捉えていた。細長く、横に何本か突き出した三角形の薄いもの。そして尾部から何かをまき散らしながら桁外れの速度で飛んでいく。分からないことだらけで、ネウロイは理解ができなかった。
考えようとして、無意味だと気付くころには、すでにコアが蜂の巣にされていた。
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『ラスト~!』
『いぇ~~ぃ!!』
無線機からそんな声と銃声がともに響く。
『こちらシャーリー、ネウロイ全機撃墜を確認!』
大きく円を描くように周りを飛んでいたアレンは、空中に制止する二人を見つけていた。
ミサイル発射後に離脱していたアレンも、基地との無線を開く。
「こちらアクイラ1。こちらでも確認した。目標の破壊を確認。」
『こちらミーナ。3人とも、お疲れさま。帰投して。』
ミーナの言葉に従い、3人は交戦空域から離脱した。
空にはまだ、ミサイルの爆発で生まれた黒煙が残っていた。
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「無事だったか…」
スクランブルから帰投した3人を見ながら、一人の男が呟いた。
「さすがに通常のスクランブルではうまくいかないでしょう。そもそも、まだ手を加えていない」
すぐ横にいた、少し背の低い男も、頷きながら答える。
彼らの視線の先には、ようやくエンジンを切ったF-15SEⅡの姿があった。コックピットからパイロットの少佐が梯子を降りているところだった。
「アレの、次の出撃予定は?」
「4日後です。」
背の低い男の手には、ミーナが配っていたはずのスクランブル配置表があった。
「よし、それまでに例の物を設置しておけ。」
「了解。」
会話を終えると、二人の男はハンガーから姿を消した。
ミサイルとネウロイの視点で描いた部分だけです。自信あるのは(汗)
書いてて面白かったので勢いのままです。
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