悠斗と透流はリーリスを救うため敵が去っていった方向から予測できる場所へ先回りするために走っていた。
すると、
「ヤハリキタカ」
先ほどの敵のリーダー格が2人を待ち伏せていた。
「クソッ待ち伏せられてたか…」
悠斗と透流はそれぞれの《焔牙》を構え、男の方を向いた。
「透流、ここは俺に任せてお前はリーリスを助けに行け」
「悠斗…大丈夫なのか?」
「心配すんな、すぐに追いつく。それに…奴は俺が目当ての様だしな」
「……悠斗、以前はなんかうやむやにしてたけど、お前の正体についてこの戦いが終わったらしっかり聞かせてもらうからな。仲間同士で隠し事は嫌だからさ」
「…分かったよ、ちゃんと話す。だから早くリーリスを助けに行け」
「勿論だ!!」
そう言うと透流はそのまま男の横を通り過ぎてリーリスの元へと向かっていった。
「…透流を見逃したのはわざとか?」
「オレノモクテキハアクマデオマエダ『アマミネ ユウト』ソレニ…カリニオイツイタトシテモ、ヤツヒトリデアノカズヲアイテニスルノハムリダ」
「透流の強さを舐めんなよ。それと、テメェ俺と因縁があるみたいだけど何者だ?」
「オレノコトハ《シェード》トデモオボエテオケ。ソシテオレノモクテキハオマエジャナイ。セイカクニハオマエタチジュウダイメボンゴレファミリーニウラミガアル」
「…ボンゴレだと?」
「オマエタチノセイデオレハスベテヲウシナッタ。ダカラオマエタチヲタオス」
「…何者か知らねえが、俺もやられるつもりはねぇ!」
悠斗は再び《長槍》を構えると、《シェード》に向かって突進した。
しかし、《シェード》は自身の大型ナイフでそれを防ぐと、次々と斬撃を繰り出してきた。しかもその一つ一つが確実に悠斗に向かって放たれており、悠斗はその技量に驚きを隠せなかった。
「…正直ここまでやるとは思ってなかったぜ。だから…出し惜しみは無しだ!!」
そう言うと、悠斗は槍の先端に《雪の炎》を纏わせ攻撃を更に繰り出した。
しかし、《シェード》はその攻撃にすぐさま対応し、悠斗に反撃を繰り出した。
「コノテイドカ?」
「いいや、まだだ!!!」
悠斗は更に炎の炎圧を上げ、さっきよりも速い斬撃を繰り出した。
「……!!マダハヤクナルノカ!?」
さすがの『シェード』もこれには驚き、悠斗の渾身の一撃を喰らって吹き飛んだ。
「…クソッ。ヤハリミチョウセイノオモチャデハコノテイドカ」
《シェード》は再び立ち上がると、再びナイフを構えたが
ドカァァン
奥の方から大きな爆発音が聞こえた。それを聞くと《シェード》は、
「…ドウヤラニンムハシッパイシタヨウダナ」
「言ったろ?透流を舐めんなって。それで?このまま続けるか?」
「イヤ、キサマヲタオスノハツギニスル。ダガ、オボエテオクトイイ。ツギニアウトキハキサマノサイゴダ』
そう言うと、シェードはそのまま去っていった。
「ふはははっ。さすがは『超えし者』。未調整では話にならんようじゃなぁ」
周囲でうめき声を上げて倒れている部下たちを見て、『装鋼の技師』は笑い声を上げる。彼らの相手をした三國の体には傷どころか汚れ一つついておらず、寸前に行われた闘いが闘いとは呼べない一方的なものであったことを示していた。
「下に向かった物も応答がありませんね。おそらく《シェード》がしくじったのでしょう…それに、別動隊からの連絡もさっきから途絶えている様ですし、おそらくやられていると思われます。報告によると、他の乱入者がいる様ですしね」
凄まじい轟音が途絶えた後、通信に応答が無いことで『K』は肩を竦める。
「ふむ。まさか学生を相手に敗北とはのう。いやはや……。随分と優秀な生徒をお待ちのようじゃな」
「特に今年は有望な生徒がいるおかげで、将来がとても楽しみですのよ」
下に向かっていった連中を倒したであろう人物を思い出して朔夜は小さく笑った。
「さて、この後はどうしますの?そちらが退かれるのであれば、こちらもこれ以上の手出しは致しませんわ」
「ほう、ありがたい話じゃ。では《操焔の魔女》殿のお言葉に甘えるとしよう。《K》くん、動ける者に指示を出して下の者の回収をしてくれるかの」
言外に見逃すと言われ、恥じることなく受け入れる《装鋼の技師》。やがて悠斗に倒された部下を回収し終え、《K》たちの撤退準備が整う。その後、《シェード》がヘリに戻ってきて何も言わずにヘリに入っていった。
「それでは我々はこれにて。《操焔の魔女》殿___いずれ、また」
「どうぞ、ご自由に」
こうして束の間の遭逢は終わりを告げた。去っていく大型ヘリを見つめつつ朔夜はぽそりと口にする。
「……《装鋼の技師》様。私たちは似ているようでいて異なりますの。だから貴方と私の道は決して交わらぬものですわ」
呟きは誰の耳に届くまでもなく、そのまま風が連れ去って行った。
「悠斗くん!!」
悠斗たちが戻ってくると、みやびが悠斗にいきなり抱きついてきた。
「うぉっ!?ど、どうしたみやび?」
「よかった…悠斗くんが無事で…本当によかった…」
みやびは涙を流しながら悠斗をきつく抱きしめていた。
「俺は大丈夫だよみやび。それと…少し苦しいんだが」
「え…?………っご、ごめん!!」
みやびはようやく自分が今何をしていたのかに気づき、顔を真っ赤にして慌てて悠斗から離れた。
「…あの2人、恋仲なのかしら?」
「いいえ、2人は付き合っていません。みやびさんは間違いなくホの字だと思うのですが悠斗さんはまったく気づいてない様で…」
悠斗とみやびの様子を見てリーリスが率直な質問をすると梓はそれに答えた。
「それじゃあ悠斗…約束通り教えてくれないか?お前の正体について」
「…分かった。これから先こんな風な事件に巻き込まれる可能性があるからな。教えておいたほうが良さそうだ」
そう言うと、悠斗は自分の所属しているボンゴレファミリーについて説明した。
「…ってなわけだ。これが俺の話せる全てだ」
「…驚いたな。まさかそこまで大きな組織だったとは…」
透流は悠斗の説明を聞いて、予想を超えるほどのスケールに驚きを隠せなかった。
「みんな…すまん、黙っていて…」
悠斗はこの学園で知り合った友人たちに謝罪した。それに対し透流たちは
「まぁでも悠斗が悪い奴じゃなくて良かったよ」
「ヤー、悠斗は私たちのことをいつも第一に考えてくれていました」
「わ、私も…悠斗くんが悪い人だなんて思わない」
「まぁ隠し事をされたのは少し腹立たしいが…そっちにも事情があった様だしな」
「…フンッッッ(びしぃっ)」
「うむ、私も悠斗のことを信じよう」
「私も信じます」
「……皆」
悠斗は彼らの言葉にホッと安心した。すると、その時
「見つけたよ。天峰悠斗」
突然漆黒の影が悠斗に襲い掛かった。
「悠斗!!」
透流がとっさに反応し、《楯》でガードをすると、トンファーによる強力な一撃に透流が吹き飛んだ。
「透流!!…ってめえは!」
悠斗もその正体に驚きを隠せずにいた。
「雲雀…なんでてめえがここに!?」
「…君がここにいるって聞いてね…咬み殺しに来た」
そこには自身と同じボンゴレファミリーの守護者であり、ボンゴレ守護者最強と名高い雲雀恭弥がいた。
雲雀の言葉に悠斗は顔を真っ青にして
「お、お前まだあの日のこと根に持ってるのかよ…もうずっと前から謝ってるだろ!!」
「関係ないね。君は絶対に咬み殺す」
悠斗の言葉に聞く耳を持たず、雲雀は更にトンファーで追撃した。
「な…何者だ奴は!?あの武器は《焔牙》ではない!!まさか…生身で《超えし者》と対等に張り合っているとでも言うのか!?」
トラはあまりの光景に驚きを隠せずにいた。
「トール、大丈夫ですか?」
「あ、ああ。それより悠斗の援護に行かないと…うっ!」
透流は悠斗の元へと行こうとしたが、先程までの傷に加えて、雲雀に吹き飛ばされたことでダメージを更に負っていた。
「君は休んでいろ。私たちが向かう」
「ヤー、悠斗は絶対に守ります」
そう言うとユリエたちは全員《焔牙》を出して悠斗の元へと向かい、雲雀のトンファーを防いだ。
「…まさか、僕の前で堂々と群れる奴がいるなんてね」
「舐めるな!!それ以上悠斗に手を出すなら私たちが相手だ!!」
巴は《鉄鎖》で雲雀に追撃するが、雲雀はその攻撃を難なく躱し、蹴りを放った。
「危ねぇ!!」
悠斗はとっさに巴を守り、蹴りを防いだ。
「…雲雀、それ以上俺のクラスメイトに手を出すならもう容赦しねぇ」
「…やっとやる気になった」
雲雀は悠斗の顔を見てまるで肉食獣の様な笑みを浮かべ、構えた。しかし、
『み〜ど〜りたな〜びく〜な〜み〜も〜り〜の〜♪』
突然雲雀の携帯から着メロが聞こえ、雲雀はとっさに電話に出た。
「もしもし…何?不祥事?…チッ」
雲雀は電話を切ると悠斗を睨み
「天峰悠斗、どうやら邪魔が入った様だ。今日のところは引くとするよ。でも覚えておくといい、君はいつか咬み殺す」
そう言うと雲雀は外へと去っていった。
「…ほんとあいつしつけーな」
施設内の一角
「申し訳ありません。まさか乱入者が現れて別動隊が全滅するとは思ってもいませんでした」
『構わんよ。こっちの使った《装鋼》は未調整品。ボンゴレの守護者相手では力不足じゃったわい。それより次のプランの準備は?』
「はい。準備はできてます」
『そうかそうか、では次こそはしっかりと頼むぞ』
そして、電話が切れると…
「…くそぉ!!!」
影は壁を思いっきり殴り、再び闇の中へと消えていった。
数日後、学園内病棟
「暇だ…早く体を動かしたい」
透流はリーリス救援の時に深手を負っていたらしく、更に雲雀の一撃を楯越しとはいえもろにくらったためしばらく絶対安静となっていた。
「ナイ。体を休めないとダメです」
「そうだ。いくらなんでも無茶しすぎた。雲雀の一撃をモロに食らったんだからな」
「雲雀ってあの男か?」
「まあな、奴は俺と同じボンゴレの守護者雲雀恭弥だよ」
「どおりで…強いと思った」
「まあな、実力ならボンゴレでもトップクラスだ。下手すりゃ俺より強いかもしんねー」
「…マジか」
すると、
コンコンッ
突然ドアがノックされリーリスが入ってきた。
「よう、リーリスどうした?」
「な、仲間のお見舞いに来るのは当然でしょ?」
リーリスは顔を赤くしてそう言ったので皆驚きを隠せずにいた。
「なによ!!違うっていうの!?全力でぶつかったら仲間って言ったくせに!!…あと…それと…助けに来てくれて…ありがと」
そう言うとリーリスは顔を真っ赤にして透流に手を差し伸べた。
「あ、ああ」
「それと…あの時はほっぺ叩いてごめん。痛かったでしょ?」
「いや、気にすんな」
そう言って透流はリーリスの手を掴み握手した。そして橘たちの方を向くと
「貴方たちも見くびっていたことを謝るわ」
彼女たちにも謝罪をした。
「いや、こちらもいい経験をさせてもらった」
「はい。勉強になりました」
「ふん、まあな」
「フンッッッ(びしぃっ)」
そしてみやびの方を向くと、
「何より今回のパーティのMVPは貴方だわ。あの時はゴメンね」
「う、ううん。私は…」
「あと、天峰悠斗と上手くやんなさいよ」
「え、えぇぇぇぇ!?そ、そんな私は…」
「ふふ、悪いけどバレバレよ」
みやびは顔を真っ赤にしてリーリスと話していたが悠斗はその内容に気づいていなかった。
「それで、九重透流。やっぱりあの話はダメなのよね?」
「悪いな。俺にはもう大切な絆双刃がいるからさ」
「分かったわ…でも、気が変わったらいつでも言いなさいよ」
「…トールは私の絆双刃です」
ユリエはリーリスの言葉に反応したのか透流の腕を掴みリーリスに反論した。
「ふふっ怖い怖い。ああそれと、大事なことを言うから、二度は言わないから聞き逃さないでよ」
「あ、ああ、わかった。___って、え……?」
さらに大事なこととやらを口にする寸前、リーリスは透流に顔を近付けてきて___赤い紅を差した唇が透流の頬に触れた。
『っっっっっ⁉︎』
その行為にそこにいた全員が驚きを隠せずにいた。
「アンタのこと、未来の旦那様にするって決めたから♪」
「「「「「「「「え、えぇぇぇぇ!?」」」」」」」」
その言葉に全員が更に驚愕した。
「トール…やっぱりその人と…」
「こ、九重くんのエッチー!!」
「は、破廉恥な!!」
「さ、三角関係…キマしたコレ!!」
「ち、違う!違うんだー!!」
「ふっ…」
「それじゃ、また後で来るから今は失礼するわ。……あ、そうそう」
扉の前で振り返り、リーリスは指で銃を形作ると___
「絶対にその気持ちを射止めてみせるわよ、透流♪」
バンッと言いつつ撃つ仕草をし、今度こそリーリスは病室を出て行くのだった。
第2章完結です!!!
書ききりました!!!そして!いよいよ強敵との闘いに身を投じていきます!!!まだ続けるつもりなので乞うご期待!!!
感想待ってます。