アブソリュート・デュオ〜銀狼伝〜   作:クロバット一世

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『あいつ』が再び登場です


29話 雲との因縁

昊陵学園の医務室へと続く廊下にて

 

ザッザッザッザッザッ

 

「な…何だあいつら…」

 

「リーゼントに学ランって…ちょっと時代錯誤が…」

 

周囲の学生たちの言うとおり、廊下をリーゼントに学ランの厳つい顔の男たちが医務室へと向かっていた。

そして、その中心には黒い学ランの腕に《風紀》の文字が書かれた腕章をつけた少年、雲雀恭弥が歩いていた。

 

「恭さん、この先が医務室だそうです。おそらくそこに天峰さんはいると思いますが…できる限り守護者同士の喧嘩は…」

 

口に草を加えたリーゼント頭の老け顔の少年、草壁哲矢は雲雀へと戦闘を控えるように進言するが、

 

「草壁、僕はあいつを咬み殺すって決めたんだ。邪魔をするなら…幾ら君でも咬み殺すよ。」

 

しかし、雲雀はそんな忠告には耳を傾けず、まっすぐに医務室へと向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

「ゆ、悠斗くん…はい、あーん。」

 

「あーん♪」

 

みやびの言葉とともにうさぎの形をした林檎が差し出され、悠斗は満面の笑みでそれを口にした。

悠斗とみやびが恋人になったことは花火大会の後、みんなに発表した。その時、みんなから祝福された時はとても嬉しかった2人である。そんな公認のカップルになった2人はこのように甘い空気をしているのである。悠斗に至ってはボンゴレが誇る《銀狼》の面影は無く、恋を満喫している幸せな少年にしか見えなかった。

 

「まったく…相も変わらず幸せそうなやつだな。」

 

そんな悠斗の顔にトラは呆れながらそう呟いた。

 

「ああ、幸せだぜトラ。俺は今幸せな時間を満喫してんだ」

 

「貴様を見ていると本当に貴様がマフィアなのか疑わしくなってくるぞ。」

 

トラの言葉は本当にもっともである。それだけ悠斗の顔は緩んでいた。

 

「失礼だなトラ。ツナの親父さんだって奈々さんとこれくらいイチャイチャしてんぞ。」

 

悠斗はそう言いながらかつて自分がまだ《銀狼》として活動しており、ツナを依頼で抹殺しようと自宅に近づいた時に『ツーくんの友達』と思ってケーキをご馳走してくれ、悠斗の心を癒してくれたツナの母親、沢田奈々のことを思い出した。

 

(そういや、今並森はどうなってんのかな?今度みやびたちも連れてみようかなっと…)

 

その時、

 

 

 

ガラッ

 

 

 

「ここにいたのか天峰悠斗。」

 

 

 

そう言いながらリーゼント頭に学ランの厳つい連中を連れて雲雀恭弥が入ってきた。

 

「げっ!?雲雀…何でお前がここに…まさかと思うけど…お見舞いに来てくれたって感じじゃないよね?」

 

そう言いながら悠斗は草壁の方を向いたが

 

「すいません、さっきから止めようとしたんですが…」

 

「僕がここに来た理由なんて…君を咬み殺しに来たしかないよ。」

 

そう言いながら雲雀はトンファーを両手に持って悠斗へと攻撃を仕掛けてきた。

 

 

「…………《焔牙》。」

 

 

ガキィィン

 

 

しかし、悠斗は《長槍(ロングスピア)》でそのトンファーを容易く受けとめ、先程のニヤけた顔では無く怒りに染まった顔で雲雀を睨みつけた。

 

「雲雀……お前いい加減にしろよ……」

 

「………へぇ…」

 

雲雀は突然自分に向けられた敵意に笑みを浮かべた。

 

「人がみやびと甘い時間を過ごしていたのに邪魔しやがって……テメェは俺に攻撃する日を間違えたな雲雀。今日の天峰悠斗さんはちょ___________っとバイオレンスだぜ……今日は特別に全力で相手になってやるよ……後悔すんじゃねーぞオラァァ!!」

 

私怨100パーセントの怒りであった。

 

「ゆ、悠斗くん…?」

 

みやびは心配そうに悠斗へと声をかけると

 

「大丈夫だぞみやび、ちょーっとだけ出かけてくるから。」

 

そう言って『優しく』微笑みながら電話をかけ、

 

「朔夜…ちょっと闘技場を使わせろ…あと誰もこないように人払いしといてくれ」

 

『良いですわよ天峰悠斗、ですがくれぐれも闘技場を壊さないようにしてくださいよ。』

 

「『できる限り』そうするよ。」

 

そう言うと悠斗は電話を切り、

 

「表出ろや雲雀…広い場所で相手してやるよ。」

 

「良いよ、じゃあそこで咬み殺してあげるよ。」

 

そう言うと2人は医務室を出て行き、闘技場へと向かっていった。

 

「ハァ〜やっぱりこうなってしまいましたか…」

 

草壁は顔に手を当てため息を吐いた。

 

「あの〜一つ聞きたいんですけど…」

 

そんな草壁に透流は話しかけた。

 

「何でしょうか?」

 

「何であの雲雀って人は悠斗にあんなに敵意を向けてくるんですか?」

 

「…………わかりました、貴方たちになら話しても大丈夫でしょう…」

 

その質問に草壁は少し考えたが、透流たちに話し出した。

 

 

「あれはもう2年前の事なんですが……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2年前、並森中応接室もとい風紀委員室にて

 

ガラッ

 

「雲雀〜いるか?っていねーのかよ。あいつに声かけるようにツナから言われていたのにな〜」

 

風紀委員室へと入ってきたのはサイダーとコーヒーの缶を右手に持った悠斗であった。並森中の応接室は雲雀の指揮のもと風紀委員が確保もとい強奪し風紀委員室となっているのだ。悠斗はここへツナに頼まれて雲雀に声をかけに来たのだが偶然雲雀は留守にしていたのである。

 

「ったくあいつどこへ行ったんだか……にしてもさすが応接室を使っているだけあって豪華だなぁ…っとこれは何だ?」

 

悠斗が手にしたのは並森中での風紀活動の報告書であった。悠斗は飲んでいた缶コーヒーを机に置いて報告書を読んでみた。

 

「へぇ〜結構いろんなところで活躍してんだな…ちょっとしたやりすぎなところもあるっぽいけど。」

 

 

そう言いながら悠斗は報告書を読んでいたがその時、

 

 

 

グラグラッ

 

 

 

「おっと…地震か?」

 

突然地震が起こった。といってもそこまで大きな揺れでもなかったしさしずめ震度2ぐらいだろう…

 

コトン

 

「………コトン?」

 

突然聞こえた音の方へと振り返ると…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

悠斗の置いた缶コーヒーが溢れて机の他の報告書を茶色いコーヒーが濡らしていた。

 

 

 

「…………いけね…」

 

 

 

悠斗はとっさに近くにあった『黒い大きな布』でコーヒーを拭いたがすでに濡れて脆くなっていた紙がボロボロになってしまった。

 

 

「ヤベェ…どーしよ……っそうだっ!!『コレ』を置いて謝罪文を書けばいくらあいつでも許してくれるだろ!」

 

 

悠斗はそう言うと、早速行動に移った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数分後……雲雀と他の風紀委員が戻ってくると、そこには…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ボロボロになったコーヒー色の報告書、

 

コーヒーの匂いがついた雲雀の学ラン、

 

そして、『ごめんなサイダーby天峰』と書かれた紙の上に置かれた缶のサイダーがあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ブチッ……

 

この時の雲雀はそれはもうお怒りだったそうな……

 

 

 

 

 

 

 

 

「……と、いうわけです。」

 

「いや……それは怒るだろ……」

 

「何をやってるんだあの馬鹿は…」

 

流石に透流もこれにはそれしか言えなかった。

 

「……悠斗さんも後になって流石に不味いと思ったらしくその後しっかりと謝りに来たのですがもう後の祭りで……恭さんもそれから目が合うたびにあんな風に…」

 

「ふむ…しかし、それでも悠斗はそのあと何度も謝ったのだろ?なら、もう許してあげても良いのではないか…何故あの男はそこまで許さないのだ?」

 

橘は悠斗が何度も謝っているということから雲雀ももう許しても良いのではと言ったが、

 

「恭さんは一度舐めた相手には一切容赦しませんからね…もう謝ったぐらいじゃダメだと思いますよ。」

 

草壁もため息を吐きながらそう答えた。

 

「と…とにかく俺たちも闘技場へ行こう、悠斗が心配だ」

 

「ヤー。」

 

「やれやれ、仕方がない。」

 

「悠斗くん…大丈夫かな…」

 

そう言いながら透流たちは闘技場へと向かうと、

 

 

 

 

 

 

 

 

「天狼斬月!!!」

 

「無駄だよ。」

 

一部が氷で覆われたり、抉られたりした闘技場で《シルヴァの神速脚》を纏い《覇天狼(ウールヴへジン)》を解放した悠斗と改造長ランを纏い、トンファーで迎え撃っている雲雀が衝突していた。

 

「くそっ……本当にお前は厄介だな雲雀!!てゆーかあれはちょっとおふざけが過ぎただけだって!!てゆーかもう何度も謝ってるだろ!?良い加減許してくれたって良いだろうガァ!!」

 

「君が何度謝ろうが関係ないんだよ、並森中の風紀を乱した君を咬み殺す。それだけだよ。」

 

悠斗の訴えに雲雀は聞く耳を持たなかった。

 

「あーそうかよ!!それならぶちのめしてもうこんな真似出来なくしてやろうか!!」

 

悠斗は怒りながら雲雀に強力な一撃をお見舞いしようと炎をチャージした。

 

「わお、面白そうだね。」

 

雲雀は笑みを浮かべ、周囲にハリネズミ型匣兵器《雲ハリネズミVer.V(ポルコスピーノ・ヌーヴォラ バージョンボンゴレ)》の無数の球体を浮かせ、

 

「球心体だよ、ロール。」

 

球心体を悠斗へと突撃させようとした時、

 

 

 

 

 

「み〜ど〜り〜たな〜びく〜な〜み〜も〜り〜の〜♪」

 

 

突然雲雀の携帯から再び《あらもーど》の時に聞こえた《並森中校歌》が聞こえた。

 

「(ピッ)……何?」

 

どうやら並森に置いてきた風紀委員からのようだ、

 

「……またあの変な薬?……ちっ……」

 

そう言うと、雲雀はくるりと悠斗に背を向けた。

 

「どうした?」

 

「……君には関係ないよ。用ができた。君を咬み殺すのはまた今度になりそうだ…行くよ」

 

そのまま雲雀は風紀委員を引き連れ立ち去ろうとした時、

 

「待て雲雀恭弥!!」

 

突然雲雀を呼び止めたのは橘であった。

 

「私が貴様らにこんな事を言うのは野暮かもしれないが…余計な因縁があったらいざという時に仲間同士に亀裂が生じるぞ!!」

 

橘の言葉に雲雀は暫く彼女を見つめていたが、

 

「…君には関係ない。」

 

そう言って立ち去ろうとした。

 

「待て雲雀恭弥!!まだ話は終わって…」

 

「うるさいよ。」

 

一歩も引かない橘に苛立ったのか雲雀はトンファーのチェーンで橘に攻撃を仕掛けた…しかし、

 

 

 

 

 

 

橘はそれを躱し、一気に間合いを詰め、雲雀の手を掴んだ

 

「悪いが鎖は得意なんでな、躱し方も心得ている。」

 

「……咬み殺す。」

 

そう言って雲雀は攻撃を仕掛けようとしたが、

 

「恭さん!!ヘリを待たせてあります!!今日はこの辺で…」

 

草壁の言葉を聞き、橘の手を振りほどくと、

 

「君…名前は?」

 

橘の名前を聞いた。

 

「…橘巴だ。」

 

「へぇ…君、中々面白いね…覚えておくよ。」

 

そう言って雲雀は立ち去っていった。

 

 

 

 

 

「痛て…さらに傷が増えちまったな…」

 

悠斗はその後、病室でみやびに介抱されていた。

 

「ダメだよ悠斗くん…せっかく怪我が治ったんだから。わたしだって心配するんだから…」

 

「…悪い、今度から気をつけるよみやび。」

 

ぎゅっ

 

そう言って少し悲しそうな顔をしたみやびを抱きしめた。

 

「…それにしても、橘も無茶しすぎだ。雲雀にあんな事を言うどころか戦闘までするなんて」

 

「いや…すまん…少し堪忍ならなくてな…」

 

「しかし、あいつ、お前に興味を持っていたな。珍しいぞ、あいつが人を評価するなんて。」

 

「そ、そうなのか?…雲雀恭弥、あの男…変わったやつだ…」

 

そう言って橘はため息を吐いた。

 

「ゆ、悠斗くん…そろそろ…離してくれる?…は、恥ずかしい…」

 

「……?……っ!!す、すまん!!!」

 

みやびの言葉で我を返すと、みやびを抱きしめたままだったことに気づき、慌てて顔を真っ赤にして離した。

 

 

 

 

「…やれやれ、本当に熱々だな。」

 

それを見て、トラはため息を吐いた。




雲雀との因縁!!

悠斗やっちゃいましたね!!

そして、雲雀の方も何か事件に巻き込まれつつありますね…まぁそれはいずれ明らかになります!!
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