アブソリュート・デュオ〜銀狼伝〜   作:クロバット一世

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今回はみやび強化計画の第一歩です


31話 少女の覚悟

 

「悠斗くん……仙伐戦大丈夫かなぁ……」

 

みやびは今回、大型ショッピングモール《あらもーど》で買い物に来ていた。本当は巴と梓も一緒に来るはずだったのだが梓は急遽理事長と共にドーン機関へ事情聴取に向かい、巴も付き添いに向かっているのである。悠斗もボンゴレの仲間に呼び出されている。なので、みやびは仕方なく1人、モール内をまわっていた。

 

「悠斗くんもどんどん強くなっている…わたしも頑張らなきゃ、悠斗くんに頼ってばかりじゃダメ…わたし自身も心から強くなれるようにしないと」

 

そう心に改めて刻み込み、みやびは再び歩き出そうとしたそのとき、

 

 

 

 

 

バタンッ

 

 

 

 

 

「………?」

 

みやびの近くで何かが倒れるような音が聞こえ、振り返ると、

 

 

 

 

 

 

 

 

グギュルルルルルルルルルルルルルルルルルゥ~……

 

 

「そ…そこに居るお主よ………た…頼む……ワシにめ…飯を……」

 

ブカブカの白衣に身を包んだはちみつ色の長い髪の12歳ほどの少女が倒れていた。

 

「えっ…と…大丈夫?」

 

 

 

 

 

 

 

「ガツガツムシャムシャバリバリモシャモシャ…」

 

「えっ…と…貴方はどこから来たの?」

 

謎の少女を拾ったみやびはショッピングモール《あらもーど》のフードコートで沢山の料理にかぶりついている少女を見つめながら聞いてみた、

 

「うむ、ワシは最近ちょっと部屋に閉じこもりっぱなしだったのだが流石にこれ以上引きこもっていたらいかんと考えて街をで歩こうかなと思って出てきたはいいが財布も持たずに出歩いてた上に空腹、それもここ数日芸術探求にうつつを抜かしていたから何も食べてなかったがゆえに倒れてしまったというわけじゃ」

 

「…えっ…ええっと…その……」

 

みやびは12歳ほどの少女が引きこもりということに戸惑いつつも苦笑いを浮かべた。

 

「だがしかぁし!!お主よ、今回は死にかけておったところを救われた!!お前さんという見ず知らずの聖女どのには感謝しかない。このワシという天才がこの世から消えるということはこの世界そのものの損失と言っても過言ではないからの、本当にありがとな娘よ」

 

その少女の言葉には一切の迷いがなく、まっすぐとみやびに向けられていた。

 

「そこでだ、そんなお主に折り入って相談がある。お主、今日1日、ワシに付き合ってくれんか?無論相応の謝礼はするぞ?というかしてくれ」

 

「え、ええっと…」

 

「うむ、ワシはこれからの作品のためにも材料となるであろう景色を見つけなければならない、だがこのあたりはワシは全然詳しくないからのぉ…お前さんに案内して欲しいんじゃ、な?頼む」

 

少女はまっすぐとした目でこちらを見つめ、みやびの手を握って頼み込んだ。その目には偽りがなく、真摯に頼み込んでいるのがわかった。

 

「う、うん。良いよ。わたしは芸術は詳しくないから上手く案内できるとは思ってないけど…それでも良いなら…」

 

「そうかっ!!礼を言うぞお主!!お主には孫の代まで感謝するぞ!!」

 

みやびの言葉に少女は喜びながらみやびへと抱きついた。少女喜ぶ姿は年相応の少女のものであった。その姿にみやびは優しく微笑むのであった。

 

 

 

 

 

 

「うほぉぉぉお♡この仔犬はかわいいのぉ〜♡ほれほれここか?ここが良いのか?素晴らしい!!本当に素晴らしいぞ〜♪」

 

みやびと少女はフードコートを離れ現在ペットコーナーで仔犬と戯れていた。そこで少女は仔犬を見つめて大喜びをし、他にも子猫やフェレットと可愛い小動物と触れ合っていた。

 

「おいお主!!なんだあれは!?次はあっちの方に行くぞ!!」

 

「ええっと…良いですよ」

 

その後も少女とみやびは一緒に動物や花、海などを見て回り、気付けばもうすぐ夕刻であった。

 

「いやはや、本当に今日は良い1日じゃった。お主に出会えて本当に良かった、これもなかなかの味じゃしな」

 

展望台でソフトクリームを舐めながら少女はみやびの方を見て満面の笑みでそう答えた。

 

「ふふっどういたしまして」

 

みやびもその無垢な笑顔に優しく微笑み答え、お互いに笑った。

 

「よし、これはワシからのお礼じゃ。貰ってくれ」

 

そう言うと少女は懐から黄色い石がついた指輪を取り出すとみやびに渡した。

 

「ありがとう。大事にするね」

 

そう言うと、みやびはその指輪を指につけた。

 

「実を言うとワシはな、友と言えるような連中はほとんどいないんじゃ」

 

「えっ?」

 

突然そう言った少女にみやびは首を傾げた。

 

「知り合いたちとはたまには協力したりもするが普段は技術を競い合っている商売敵といった感じだしな…ワシに近づく連中もワシの頭脳を狙って媚を売ってくる馬鹿な連中ばっかりじゃからな…じゃが、お主はそいつらとは違う、心から信頼できる。そんな奴じゃった。ありがとな」

 

頬を赤く染め照れながら少女はみやびに向かってそう言った。

 

「ううん、こっちも楽しかったよ。また良かったら一緒に遊ぼうね」

 

その言葉に少女は一瞬パアッと笑顔になり、そして、少し恥ずかしがりながら

 

「な……なぁお主……も…もし……お主が良ければなんだが……その…ワシと……友に…なってはくれんかのう?」

 

少女の言葉にみやびは一瞬ぽかんとしたが、優しく少女に微笑み、

 

 

「もちろん良いよ。わたしは穂高みやび、よろしくね」

 

 

みやびの言葉に少女は満面の笑みを浮かべ、

 

「本当か!?本当にワシと友達になってくれるのか!?」

 

「うん、良いよ。ええっと…名前は……なんて呼べば良いのかな?」

 

「……?ああワシの名か?うむ、ワシの名は……」

 

 

と、少女が自身の名を名乗ろうとした時、

 

 

ざっ

 

 

突然、みやびと少女の周りを黒服の男たちが取り囲んでいた。

 

「っ!!誰ですか……貴方たち……?」

 

みやびは男たちに警戒していると、

 

「ちっ……こんな時にまで来るとは……礼儀も何にもない愚かな連中ばかりじゃな……」

 

少女が怒りに震えながら男たちを睨みつけていた。

 

「大人しく我々と来い、貴様の技術が我らに必要だ」

 

男たちのリーダー格と思われる男が白衣の少女に向かって言った。

 

「断る!!お主たちの様なふざけた連中にワシの可愛い作品たちをくれてやるつもりは無い!!」

 

「そうか……なら多少痛めつけてでも連れて行くとするか」

 

リーダー格の男がそう言うと、部下たちに合図を送り懐から小型の匣を取り出すと、男たちの手についた指輪に様々な色の炎が灯った。

 

(あれって……悠斗くんの炎に似ている…?)

 

そして、指輪を匣の穴にあて、炎を注入すると、中から炎を帯びた剣や棍棒、斧や槍といった武器が出てきた。

 

「かかれっ!!」

 

リーダー格の男の合図で黒服の男たちが2人へととびかかってきた。

 

「っ!!こっち来て、はやく!!」

 

みやびは咄嗟に少女の手を握って走り出した。

 

「くそっ……追え!!」

 

「は…はっ!!」

 

リーダー格の男は慌てて部下たちに命令し、黒服の男たちは慌てて2人を追いかけた。

 

 

 

 

 

「ハァ…ハァ……ここまで来れば…大丈夫?」

 

「うむ……すまんなみやび、お主を巻き込んでしまって……」

 

みやびを巻き込んでしまったことを悔やんでいるのか少女の口調はどこか重かった。

 

「わたしは大丈夫だよ。だから元気だして」

 

「みやび……」

 

「なんとか悠斗くんに連絡がつくと良いんだけど…」

 

そう言いながらみやびは携帯電話を開こうとしたが、

 

「いたぞ!!あそこだ!!」

 

黒服の男たちが追いついてきた。みやびは咄嗟に少女を連れて逃げようとしたがすでに周囲を囲まれ追い詰められてしまった。

 

「手こずらせやがって……おい、さっさとそいつを連れて来い!!」

 

「もう1人の女はどうしますか?」

 

部下の男がそう聞くと、

 

「そんなもん決まってんだろ?見られたからには始末しろ」

 

「はっ」

 

そう言うと、黒服の男たちは各々の武器を手に2人に斬りかかってきた。

 

「《焔牙(ブレイズ)》っ!!」

 

みやびは咄嗟に《力在る言葉》を叫び、自身の《騎兵槍(ランス)》を出して黒服の男たちの攻撃を防いだ。

 

「んなっ!?こいつ《超えし者(イクシード)》か!?」

 

「くそっ…厄介だな……」

 

黒服の男たちはみやびの正体に警戒し、身構えた。

 

「狼狽えるな!!いくら《超えし者(イクシード)》でもこの数相手ならこっちが有利だ!!数で制圧しろ!!奴の獲物は破壊力重視…複数でかかれば倒せる!!」

 

「はっ!!」

 

黒服の男たちはリーダー格の男の言葉通りに多方向から一斉に攻撃を仕掛けてきた。黒服の男たちは戦闘力はみやびよりも弱かった。しかし、数が多くみやびの《騎兵槍(ランス)》でも捌ききれなかった。みやびの攻撃を躱して

背後の少女に攻撃を仕掛けようとし、みやびはそれをなんとか防いでいた。しかし、

 

「今だ!!終わりだ小娘ぇ!!」

 

一瞬の隙をついて男が斧の一撃をみやびに仕掛けてきた。

その時、

 

「ニャァァァァ!!!」

 

「いだだだだだっ!!なっ…何だこの猫は!?」

 

突然男の顔に灰色の毛並みで赤い炎を耳から発している子猫が引っ付いて顔をひっかいていた。

 

「みやびに手を出させんぞ!!」

 

声の方を見ると、少女が匣を手にし、こちらに向けていた。

 

「このガキィ…大人を舐めんじゃねぇ!!!」

 

「ガァッ!!」

 

その時、顔を引っ掻かれた男が背後から少女を蹴りあげた。

 

「おい!!あんまり乱暴にするな!!死なれるとこっちが困るんだぞ!!」

 

「うるせぇ!!殺さなきゃ良いだろうが!!」

 

男は怒りが収まらないらしく、少女の顔を蹴りあげようとした。

 

 

 

 

 

 

(どうしよう…このままじゃあの子が…)

 

みやびは蹴られた衝撃で気を失っている少女がさらに蹴られそうになっているのに気づいた。

このままでは彼女が…自分が弱いせいで…それが許せなかった。自分が弱かったせいで大好きな人に刃を向けてしまった…傷つけてしまった…もうあんな思いは嫌だ…

 

 

 

 

 

(わたしは…あの娘を守りたい…だって…友達だから!!)

 

 

 

 

 

その時、少女が自分にくれた指輪が光り、黄色い炎が現れた。

 

 

 

 

「ハァァァァア!!」

 

「なっ…ぐわぁぁぁあ!!」

 

少女を蹴りあげようとした男はみやびの突然の一撃に吹き飛ばされた。

 

「なっ…こいつ…《死ぬ気の炎》を!?」

 

「あの色は…《晴》の炎か!?」

 

みやびの《騎兵槍(ランス)》に纏われてる炎に周囲の男たちは激しく取り乱した。

 

「う…狼狽えるな!!炎を纏ったところでこの数を相手にできるわけがない!!一斉に攻撃するぞ!!」

 

「は…はっ!!」

 

男たちはそれぞれの武器を手にみやびに攻撃を仕掛けた。

 

 

 

 

『良いかみやび、どんな武器での攻撃でも《足の踏み込み》は大切だ。そのコツは《足を地につけること》じゃい《地を蹴る》ことだ』

 

悠斗との特訓の時に悠斗が教えてくれたコツを思い出した。

 

「地を…蹴る…」

 

その言葉を繰り返して足に力を入れて、そして…

 

 

 

 

「狼王一閃!!」

 

 

 

みやびの渾身の一撃が黒服の男たちを一蹴した。

 

「で…出来た…」

 

悠斗の槍術と比べたらまだまだだが、それでも確かに成功した。みやびはその喜びで包まれた。

 

「そ、そうだ…あの娘のほうへ…」

 

「この…小娘がァァァァ!!!」

 

突然の声に後ろを振り向くと、リーダー格の男が剣を振り下ろそうとしていた。

 

 

 

「狼王…一閃!!!」

 

瞬間、男に銀色の閃光が衝突し、男を吹き飛ばした。

 

 

 

「ゆ…悠斗…くん?」

 

「みやび!!大丈夫か!?」

 

「悠斗くん!?どうしてここに?」

 

「どうも嫌な予感がして急いで戻ってきたんだ…ってその炎は《死ぬ気の炎》!?えっ…どういう事?」

 

「え…?えっ?この炎って…えっ?」

 

みやびの《騎兵槍(ランス)》に纏っている炎を見て悠斗は驚きを隠せずにいた。

 

 

 

 

 

昊陵学園医務室

 

「…なるほどな、気づいたら炎が出ていたと」

 

「うん…」

 

お互いに落ち着いたのか2人は状況を整理した。ちなみに少女は医務室で介抱されている。

 

「…どうやら炎の使い方も教えていくべきみたいだな」

 

「うん…ごめんなさい…」

 

「なんで謝るんだ?」

 

「え?」

 

悠斗の言葉にみやびが顔を上げると悠斗は優しく微笑んでいた。

 

「《死ぬ気の炎》を灯すのに必要なのは強い《覚悟》、みやびの少女を助けたいって想いは間違ってない」

 

「悠斗くん…」

 

「だからこれからは炎の使い方も教えていくよ。勿論学校では公にはできないけどね」

 

 

 

ガラッ

 

「みやび!!大丈夫か!?」

 

すると、医務室のドアが開き、少女が慌てた顔で出てきた。

 

「すまん!!ワシのせいでみやびを危険に巻き込んでしまって…なんと謝れば良いか…」

 

「謝らなくても大丈夫だよ、それよりあなたが無事でよかった」

 

「う…うむ、気を失ってただけだからな…なあマタタビ?」

 

「うにゃ!!」

 

すると、少女の肩に先ほどの猫が乗っかっており鳴き声を上げた。

 

「そういやお前は何者なんだ?みやびが持ってたリングを調べてみたけどあれランクA以上の石が使ってあったぞ。そんなもんただの子供が持ってるわけねえ…」

 

「うむ…まずはそこから話すとするか…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ワシの名はイノチェンティ!!科学者にして天才芸術家じゃ!!」

 

 

 

 

 

 

「えぇぇぇぇぇぇぇぇえ!!!!」

 

少女ことイノチェンティの自己紹介に悠斗は驚愕した。

 

「イノチェンティってヴェルデ同様匣兵器を作った3人の1人じゃねえか!!こんな子供だったのか!?」

 

「まあな」

 

悠斗の驚愕が嬉しかったのかイノチェンティは得意げに答えた。

 

「まぁそういうわけなんじゃが…みやび、ワシのこと嫌いになったか?」

 

しかし、みやびの方を向くと心配そうにみやびにそう聞いた。しかし、

 

「ううん、これからも友達だよ、ええと…イノチェンティちゃん?」

 

「そ…そうか!!恩にきるみやび!!あっ…それと呼びにくかったらイノと呼んでくれ!!」

 

「うん、わかったよイノちゃん」

 

みやびがそう言うと、イノチェンティは嬉しそうにみやびに抱きついた。

 

「あっそうだ、それなら友達の印としてこれをみやびにあげよう。大事にしてくれ」

 

イノチェンティはそう言ってポケットを探ると黄色い太陽の装飾が描かれた匣を取り出してみやびに差し出した。

 

「ありがとう、イノちゃん」

 

みやびがそう言うとイノチェンティは再びみやびに抱きついた。

 

その後イノチェンティは部下と思われる者たちが迎えに来たので笑顔のまま去っていった。

 

 

この日、みやびに天才の友達が出来た。

 





イノチェンティ紹介プロフィール

年齢:12歳
国籍:不明
性別:女
属性:嵐
匣兵器:嵐猫プロトタイプ《ガット・テンペスタ・プロトタイプ》

ヴェルデ、ケーニッヒと一緒に匣兵器を作った3人の1人。
3人の中では最年少(ヴェルデは呪いで赤ん坊になっていて実年齢は遥かに年上)ヴェルデのことを《ヴェル坊》と呼んでいて弄っている。ケーニッヒとは仲が悪い。本人曰く《あいつの作っているのは芸術性が全くない》とのこと
精神年齢は高いがそれでも子供ということもあり心から許せる親友を欲している。

こんな感じです!!
少し長くなってしまいましたがきりの良い形に出来たと思っています!!これからも応援よろしくお願いします。




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