主人公に衝撃展開が…
「大丈夫か勝元?」
目を覚ました勝元に俺はそう聞いた。
「まあな。にしてもお前強えな。まさか一撃でやられるなんて思ってもみなかったぜ。」
「なんて事はないよ。単に突きを見切って相手の懐に入って渾身の一撃を放っただけだ」
「いや普通やろうと思って出来るかあんなの?」
勝元はそう呆れながら笑った。
「あーなんか悔しいな。でも負けちまったのはしゃーねーし。じゃーな悠斗、縁があったらまたどっかで会おうぜ」
勝元はそう言いながら講堂を去っていった。
「…なんつーか残念だなぁ。良いやつだったから…ちょっとチャラい奴だったけど」
ふと周りを見てると透流が伊万里を強烈な拳の一撃でふっ飛ばしていた。
「スゲーな透流のやつ。それにあの焔牙は…」
悠斗はふと朔夜が入っていたことを思い出す。
『そうそう、悠斗さん学園ではあなたの他にも優秀な新入生がいますが…異能(イレギュラー)という存在は覚えておいてください』
『異能?』
『えぇ。本来魂を武器の形にする焔牙でありながら彼の焔牙は『楯』、つまり防具の焔牙ですのよ。フフ…面白いと思いません?』
『確かに面白そうだな。どんなやつなんだろ』
…あいつ、確かに強えな。だけど…気のせいか?なんか抱え込んでいるようにも見える。
資格の儀の後、俺たちは教室へと向かっていった。
「ぐっ…」
「どうした?」
透流が腕を抑えながら小さく呻き声をあげたので聞いてみる。
「ん?あぁさっきちょっと大技出したんだけどあれは本来ならかなりの筋量を必要としている技なんだけど、中肉中背の俺は無理をして使ってるんだ。だから一度放つだけでも体にかなりの負荷がかかってる。絶対的な破壊力を持つ反面、日に二度も放てばマトモに動けなくなる諸刃の剣なんだよ」
「なるほど。つまりは未熟者か。」
そんな声がしたのでその方向を見ると
「…っ!トラ!?」
「やっと気づいたか愚か者」
背の低い眼鏡の少年が呆れながらそこにいた。
「ええと九重、そいつは?」
「ん?ああこいつは虎崎葵。俺の昔からの友達だ」
「誰が友達だ。互いに顔と名前を知っていて、それなりの親交があるだけだらうが」
「……それを友達って言うんじゃないのか?」
「う、うるさいっ。だいたい貴様は昔からいつもいつも「まーまー落ち着きたまえ虎崎君それより早く教室行こうぜ」
「ム…そうだな」
そんなことを言いながら俺たちは教室へと向かった。
教室に着くと席はもう張り出されていた。
「じゃあ俺はあそこの席だから。そんじゃ」
「おう。また後でな」
そう言いながら俺は席に座ると
「あっ…」
そんな声が聞こえ隣を見ると
資格の儀のとき、自分と勝元の戦いの巻き添えになったヤンキーっぽい新入生と戦っていた少女がいた。
「あれ?たしか君ってあの時の…」
「あの…さっきはありがとう助けてくれて」
「気にすんな。こっちこそ戦いの邪魔して悪かったな」
「ううん。私…怖くて何も出来なかったから。あっ私は穂高みやびっていうの、よろしくね」
「天峰悠斗だ。よろしくな」
そう言いながらニカッと笑うと
「あ…うん」
そう言いながら顔を赤面させうつむいてしまった。
(あれ?男苦手なのかな…)
少し避けられたような気がして少しショックだった。
ガラガラッという音で顔を上げた悠斗はそのまま目の前の光景に言葉を失う。
「ハロハロー♪あーんど試験お疲れさまー☆あーんど入学おっめでとー!」
突然窓から侵入してきた女の子が静まり返った室内で、教壇に立ち、ポーズを取っていた。
「はっじめましてぇ、月見璃兎でーす♡みんなの担任だから一年間よっろしくー!親しみを込めて、うさセンセって読んでねーっ☆」
やたらとハイテンションな璃兎とは対象的にクラス全員反応がなかった。正直なところどう反応していいかわからないのだろう。
「……ありゃりゃん、どしたの?」
きょとんとした表情を浮かべ、自称担任と口にする璃兎が教室内を見渡す。
ぱっと見悠斗達と同年代と言われても違和感のないくらい若く、その上メイド服にウサギ耳のヘアバンドと教師とは思えない格好の璃兎に誰もが呆気に取られたまま硬直していた。
しかし、悠斗は最初こそ驚いたが
(この人…なーんかやな気配がすんな。用心しとくか…)
なんてことを考えてた。
「はっ!?もしかしてアタシの可愛さに見惚れちゃってたりする?いやー、そういうのは結構慣れてるつもりだったけど、さすがに新入生全員がってのは嬉し恥ずかし照れまくりだよ〜♪」
「いや、引いてるだけだが……」
「なーんだ、引かれてただけなのねーーって、ええええっっ!!見惚れてたんじゃなかったのぉ!?」
透流の発言への璃兎の返答でクラスでこの人が担任で大丈夫なのかと言う不安に思わなかった者はいないだろう。
「月見先生、あまり新入生を不安にさせないで下さい」
このクラス全員の気持ちを代弁したのは、普通に扉から入ってきた三國だった。その整った顔立ちと長身から女子達からは溜息に似た声が漏れていた。
「あっれー?三國センセってば、どーしてここにいるんですか?」
「新人教師の監督です。あまりふざけているようですと、別の方に代わって頂きますよ」
果たしてそうして下さいと思った生徒は何人いただろうか。
「だーいじょぶですって。泥船に乗ったつもりで任せて下さいな♪」
「沈みます」
「さーて、それじゃ改めて自己紹介いっちゃうよー☆」
「…………」
三國のツッコミを完全にスルーし、璃兎が喋り出す。
「というわけでどもども月見の璃兎ちゃんでーすっ。この春、昊陵学園を卒業したばかりのうら若き乙女なので、至らないことはたーっくさんあると思いますが、精一杯やってくつもりだからよろしくねーっ!」
「月見先生は昨年の卒業生の中でも特に優秀な成績を修め、本年度の特別教員として抜擢されました。人格はともかく、技術や能力に関しては申し分ありませんのでご安心を」
三國によるフォローを聞き、安堵の溜息があちこちから洩れる。
「何かすごくトゲのある言い方だったけど、みんな気にしないでサクサク進行しようねー。……と言っても今日は初日だから、自己紹介と今年度のスケジュールをさくっと説明するくらいだけど☆」
「その前にまず《焔牙》についての注意事項です」
「あ、そーだったそーだった♪えーっと《焔牙》は学園側の許可無く具現化しちゃダメだよ?勝手に出したらすーっごく怒られるからね。以上っ☆それじゃあ自己紹介を始めるよー♪」
三國のおかげで、無事にHRが動き出す。
透流がボヤッとしていて注意された上に《異能》だと伝えられた時と、入学式前から目立ってた銀髪の少女・ユリエ=シグトゥーナが流暢な日本語で自己紹介したことでざわめいた以外は特に問題無く、自己紹介が進んでいった。
そして悠斗の番になった
「そんじゃ次の子行ってみよー」
「天峰悠斗。母親がイタリア人で父親が日本人のハーフです。これからもよろしくお願いします」
そう言うと俺は席に着いた。
「それじゃあ次の人どーぞっ!」
璃兎が次の生徒に自己紹介を促す。そのあとは自己紹介が進んでいき、最後の生徒が終えると生徒手帳と学生証、寮生活のしおりが配られた。
「全員に行き渡ったかなかな?校則、寮則については後ほど空いた時間で各自目を通しておかないと、めっだからね♪あと、学生証はクレジットカードとして使えるから無くさないように注意するんだよー」
学校案内に書いてあった生活費支給はこのような形で行うとのことらしい。
限度額月々十万円にかなりの生徒が色めき立つ。
「はいはーい。気持ちはわかるけど静かにー。最後にうちのガッコの特別な制度と、寮の部屋割りの話をしたら今日は終了だから、騒ぐならその後でーってなわけで、まずは特別な制度について話をするけど、すーっごく大事なことだからきちんと聞くんだよー♪」
手を叩きつつ璃兎は特別な制度について話し出す。
「うちのガッコには《絆双刃(デュオ)》っていうパートナー制度が存在するのね。パートナーってことからわかるだろうけど、二人一組になって授業を受けたりするわけ」
「どうしてですか?」
璃兎の説明にすかさず質問がされる。それに対して璃兎が答えていく。
「うちを卒業すると、機関ドーンの治安維持部隊へ配属するって話は知ってるよね。そこの任務は常に二人一組ツーマンセル、もしくはそれ以上のチームで任務を遂行してもらってるの」
「……卒業後にいきなりチームで行動しろと言われても無理だろうから、学生のうちに慣れさせておく、ということですね?」
「その通りっ。わかってるね、橘さん♪」
凛とした声で璃兎に確認したのは長い黒髪の真面目そうな女子であった。
「さてさて、《絆双刃》についてなんだけど、さっきも言った通り二人でいろんな授業を一緒に受けてもらうわけね。で、その関係上、ちょーっと駆け足で悪いんだけど今週までに正式な相手を決めて貰うんで、明日からの授業で自分に合ったパートナーを頑張って見つけてねってことで。ふぁいとっ、おー☆……あ、もし決まらなくてもこっちで勝手に決めるから安心していいよー♪」
(透流かトラにでも声をかけてみるか)
そんなことを考えていると
「で、本題はここからなんだよねー。実はうちのガッコって《絆双刃》を組んだ後は、お互いをより深く知り、絆を強くするためにもできる限り一緒の時間を過ごせーって校則があるのね。まー何が言いたいのかっていうとぉ……寮の相部屋になるってことなんだけど♪」
長い時間を共に過ごすことで信頼を深めるという理に適った校則に悠斗は少し感心していた。
「あの、質問があるんですけど」
「はいはーい、《異能》九重くん、なんでしょー?」
「週末までに《絆双刃》を決めろって言いましたけど、それまで寮の部屋割りはどうなるんですか?」
「ふふぅ、ナイス質問。そこに気づくなんてうさセンセちょー嬉しい〜♡いい子いい子してあげよっか?」
「お断りします」
「ぶぅ〜、残念。……さてさて気を取り直して、九重くんの質問への答えも含めて、寮の部屋割りの話をするよ〜♪」
笑顔を浮かべ、璃兎は生徒に向かってビシッと指を指し、答えを口にした。そしてその答えは透流と悠斗にとってろくでもない答えだった。
「週末までは、今隣の席に座っている人と同居してもらいまーす♪」
「「……は?」」
「つまり仮の《絆双刃》ってことだね。これは校則なので、拒否は無駄無駄ダメダメ不許可だよ☆ねっ、三國センセ♪」
胸の前で手を交差してバツを作る璃兎へ、溜息を吐きつつ無言で頷く三國。
「「ちょ…それって」」
「良かったね、九重くんに天峰くん♪」
俺たちに親指をたてる璃兎。
「イエス!!!九重くんの同居人は銀髪美少女のユリエちゃん、天峰くんの同居人はアレが大きいみやびちゃんです。いやー席決めの時後半からめんどくなってテキトーに選んでたらそーなっちゃったんだよね。ま、もう決定しちゃったからね。きゃー、らっきー♡……あ、そうそう。不純異性交遊をすると退学になっちゃうから気をつけるよーに。わかりやすく言えばここで口にするのは躊躇うようなことをシて、三人めの同居人がデキ」
「「するかあああああっっっっっ!!!!」」
勢い良く怒鳴りながら立ち上がる俺と透流。
直後俺たちの絶叫で我に返ったクラスメイトで大騒ぎになった。
「マジかよ!?」
「あの子とか、いいなぁ……」
「きゃーっ、同棲よ同棲!!」
「ま、待ってくれ!いくら校則だからって常識的に考えていろいろマズイだろ!」
「そ、そうそう!!ダメだって」
「……入学式の最中に入試、しかもリアルファイトを行う学校がマトモだと思う?」
「「…………」」
色々と言いたい放題騒ぎ立てられている中で慌てて透流が抗議するも、璃兎から返ってきた言葉に言葉を失う。
透流が隣の席のユリエとよろしくと言い合ってる時、俺の隣のみやびは…
顔を真っ赤にしながら下を向いていた。
これからどーなんだろ…マジで
というわけでいよいよ同居人が決まりました。
因みに巴ちゃんの同居人はオリキャラを出す予定です。
この組み合わせは自分がずっと考えてた組み合わせなのでこうして書けたことがとても嬉しいです。
それ以上に俺の小説にお気に入りしてくれる人がいたことがとても嬉しかったです。
みなさんありがとうございます。
それと感想書いてくれると嬉しいな。