ラブライブ! 委員長はアイドル研究部のマネージャー 作:タトバリンクス
今回は何時もより多めの新しい語り手に挑戦です。一体誰が語り手なのかお楽しみに。
それではお楽しみください。
1
わたし──小泉花陽にとってアイドルは憧れだった。
小さい頃から色んなアイドルを見てきて、どのアイドルも楽しそうに踊ったり、歌ったりして、それにキラキラと輝いてわたしもあんな風になれたらいいな。何て思っていた。
だから小さい頃のわたしは色んなアイドルの歌や躍りを真似したりして、夢は憧れてたアイドルみたいになるんだって親友の凛ちゃんに言ったりもしてた。
けどわたしは人前に出ると緊張しちゃうし、歌もダンスも得意じゃないから。それに自分が可愛いとは思わないから自分はアイドルに向いてないと思っていた。
そんなわたしに昨日たまたま会った高坂先輩に部活になったから部室に遊びに来ないって言われて、どうしようか迷ったけど来ないのも失礼だから放課後に行ってみて色々なことがあった。
特に伝伝伝を持っている先輩が居るなんてすっごくビックリした。
そうしてアイドル研究部の部室を見学して先輩たちに一緒にアイドルをやらないかと誘われてすごく嬉しかった。
初めてのライブであんなに楽しそうに歌って踊れる先輩たちがわたしのことなんか誘ってくれて、それにやりたいって気持ちがあればいいって言ってくれたから。
けどやっぱり自分に自信がないからすぐに返事が出来なかったけど、先輩たちは何時でも待ってるからって言ってくれた。
そんな風にアイドルをやろうかやらないか迷っていたところ、ちょっとしたことがあってアイドルをやってみようって決めた。
もしかしたらこんな自分でも変わるかもって思って、今日先輩たちに入部しますと言いに行くつもりだった。
2
授業が終わった放課後の学校の中庭でわたしは一人で落ち込んでいた。
理由は今日の授業で自信をなくして自分の決意が揺らいだから。
授業中に先生に当てられて教科書を朗読することになったから今日から変わろうと思って何時もより大きな声で読んでみた。
けど読んでいる途中で噛んでクラスの人にクスクスと笑われてやっぱり自分は変われないじゃないかなって、思ってせっかく今日先輩たちに返事をするつもりだったけど、ここで落ち込んでいた。
「やっぱりわたしには向いてないのかな……」
何て独り言を呟いていると──
「何が向いてないって?」
「!!」
突然わたしの独り言に返事が帰ってきて驚くわたし。声が聞こえた方を見るとそこには篠原先輩がニコニコしながらわたしの事を見ていた。
「あれ? もしかしてまた驚かしちゃった? ごめんね」
わたしが驚いたのに気付いたみたいで謝ってくる篠原先輩。先輩の言う通り昨日もこんなことあったような。
「えっと……その……どうしてここに?」
わたしはどうして篠原先輩がここに来たのか聞いてみる。
「ん? ああ、今日は生徒会のお手伝いをして終わったから部活に行こうと思ったら花陽ちゃんを見掛けて声を掛けたんだ」
「そうなんですか。すごい……ですね。生徒会とマネージャーを掛け持ちしてるなんて……」
わたしは篠原先輩にとってもすごいと思っていた。
「そんなことないよ。私みんなが思うほどすごい人じゃないよ」
何て自分がすごい人じゃないと否定する篠原先輩。
そんなことないと思う。少ししか話したことないけど色んなことが出来るし、ちょっと変わっている所があるけど優しいし、行動力もあるから。
もしわたしも篠原先輩の半分でも……いや十分の一でもそんな所を持っていたらきっと迷わずにアイドルやりたいなんて簡単に言えると思う。
「まあ、そんな私でも悩んでる女の子を見掛けたら悩みを聞いてあげることぐらいは出来るよ」
「えっ?」
突然そんなことを言われて驚くわたし。
「どうして……そんなことを」
「いや、花陽ちゃんなんか悩んでいたみたいだったから、どうしたのかなって。私で良かったら話聞くよ」
とても優しそうな顔で相談に乗ってくれると言ってくる篠原先輩。その顔を見てこの人になら話しても良いかな何て思えてくる。
何て言ったら分からないけど、安心できるそんな風に思えてしまうところがその顔から伝わってくる。
それに何処かで篠原先輩の顔を見たことがある気がする。何処だったか分からないけど少し昔によく見ていたことがあるそんな感じが。
「えっ……と……、そのよろしくお願いします」
だからかもしれないけど気付いたらわたしは篠原先輩に悩みを聞いてもらおうとお願いしていた。
「任せて。これでも私近所では聞き手としては『あの子に聞いてもらうとスッキリするわ』何てよく言われるくらい評判高いから任せてよ」
篠原先輩はわたしの隣に座りながらすごく頼もしい事を言う。そんなに色んな人の話を聞くんだ。すごいな何て思いながら篠原先輩をもっと尊敬する。
「うお、花陽ちゃんの眼差しからすごい感震されてるのを感じる。出来ればここはどんな近所だよってツッコミを入れて欲しかったけど、まあいっか」
そんな感じでわたしは自分の悩みを篠原先輩に聞いてもらうことにした。
とりあえずわたしは色んな事を篠原先輩にこんなことを話した。
昔からアイドルに憧れていたこと。
自分に自信が持てないこと。
そんな自分がアイドルをやっていいのかってことなど色んな事を。
あんまり人に話を聞いてもらったことがなかったからどうやって話したらいいのか分からなくなったり、声がときどき小さくなったりして、篠原先輩に聞こえづらくなったりしてた。
けど、篠原先輩はそんなわたしの話を優しそうな顔で真剣にわたしの目を見ながら聞いてくれてた。
こんなわたしの話を聞いてくれたことだけでも嬉しかった。
「ありがとうございます。わたしの話を聞いてくれて」
そうして篠原先輩にお礼を言って一通り悩みを話終えると、何か少しだけスッキリした気分になった。よく悩みは聞いてもらうだけでもスッキリするって聞いていたけどホントだったんだ。
「良いよ。お礼なんて、これは私のただのお節介だから」
そんなことを言いながらわたしの悩みを聞いて篠原先輩は何か考え事をする。もしかしたら何かアドバイスしてくれるかもしれない何て考えたけど、さすがにそんなことないよね。
「そんなことないですよ。お陰で大分スッキリしました」
これ以上篠原先輩に甘えるのは何か悪い気がしたのでこれで話を終わろうとすると──
「まあ、花陽ちゃんの話を聞いてその気持ち分からなくもないね。私も同じだったから」
とても聞き捨てならないことを篠原先輩は口にした。
「えっ!?」
篠原先輩……今なんて言ったの? わたしと同じ?
「あっ、やっぱりそんなイメージ無かったって思うでしょ」
「いえ……その……ごめんなさい」
わたしは目線を下に向けて篠原先輩に謝る。篠原先輩の言う通りわたしはそんなイメージ全然無かったから。
「良いよ。謝らなくって、むしろそう思われるくらいにはなったんだなって自覚できたから」
篠原先輩は空の方を向いてそんなことを言うけど、篠原先輩がどんな表情をしているのかはわたしには見えなかった。
「まあそんなんだったから、自分と同じ感じがした花陽ちゃんをほっとけなかったかもしれない。だから一つアドバイスしてあげるよ」
そう言って篠原先輩はわたしの方に顔を向けてちゃんと目を見ながらアドバイスを口にする。
「本気で好きだと思っていることがあるんだったら一歩踏み出してみるべきだよ。もし、一歩を踏み出すのが怖いなら私が手伝うよ。私も一人じゃあ踏み出せなかったから。それに……」
篠原先輩は別の方を見る。わたしも同じ方を見るとそこには──
「えっ? 西木野さん?」
西木野さんがこっそりと隠れてそこに居た。
3
「何してるの? 出てきたら?」
篠原先輩は西木野さんに出てくるよう言ってくると西木野さんは素直に出てきた。
「何時から気づいていたんですか?」
「最初からだよ。私結構人の気配に敏感だから」
そうだったんだ。全然気付かなかったよ。やっぱり篠原先輩はすごいなあ。でも、何で西木野さんは隠れてたんだろう。
だけどわたしのそんな疑問に篠原先輩はすぐに答えをくれた。
「花陽ちゃんに用があるんでしょ」
えっ? わたしに? 何のようだろう。
「何でそれを!?」
「えっ? 何となく?」
篠原先輩はそう言うと西木野さんは何か察したのか呆れた顔をしてわたしの方を見る。
「まあいいわ。あなた、声は綺麗なんだから、あとはちゃんと大きな声を出す練習をすればいいだけでしよ」
「確かに西木野さんの言う通り花陽ちゃんの声は最初聞いたとき綺麗だなって思ったよ」
「うん……」
いきなり二人にそんなことを言われてもあんまり自信がない。そんなことを考えていると西木野さんは声を出した。
「はい」
「えっ?」
突然、西木野さんに振られるけど何をやればいいのか分からなくって戸惑う。
「やって」
どうもさっきの西木野さんみたいに声を出してみてのことだったみたい。でもいきなり声を出してと言われても緊張してしちゃうし、それに篠原先輩も居るし。
「私の事はその辺に生えてる草だと思って気にしなくっていいよ」
そう言いながら篠原先輩はわたしから見えない位置に移動してくれたけど結局何時ものように小さな声しか出なかった。
「もっと大きく。はい、立って」
「は、はい」
西木野さんに言われるがままわたしは立ち上がって西木野さんに続いて声を出す。
「一緒に」
そうして西木野さんと一緒に声を出すととても気持ち感覚がした。
「ね、気持ちいいでしょ」
「うん。楽しい」
声を出すことがこんなに楽しいことだなんて思わなかったよ。
「はい、もう一回」
「か~よちん」
もう一度一緒に声を出そうとすると凛ちゃんがわたしたちの方へ走ってきた。
「西木野さん? それと先輩? どうしてここに?」
「励ましてもらってたんだ」
「私は別に……」
「私は花陽ちゃんが気になったから」
西木野さんは顔を赤くして顔を別の方へ向けて、篠原先輩は優しそうな笑顔で答えた。
「それより今日こそ先輩のところに行ってアイドルになりますって言わなきゃ」
「う、うん」
「じゃあ、行くよ。変な先輩、先輩たちはどこに居るのか知ってますか」
あれ? 凛ちゃんもしかして篠原先輩がマネージャーやってるの知らないの? しかも何か変な呼び方してたの気のせいだよね。
「今日は屋上で練習してるよ。って変な先輩!?」
篠原先輩は高坂先輩が何処で練習しているのか答えると、自分が変な呼ばれかたに気付いて驚いていた。
やっぱり聞き間違いじゃなかったんだ。きっと初対面で頭を撫でられたが原因だと思う。色々と衝撃的だったから。
「そんな急かさない方がいいわ。もう少し自信を付けてからでも……」
「何で西木野さんが凛とかよちんの話に入ってくるの」
「えっ? 別に!! 歌うならそっちの方がいいって言っただけ」
「かよちんはいっつも迷ってばっかりだからパッと決め手あげた方がいいの」
「そう? 昨日話した感じじゃあそうは思わなかったけど」
わたしの知らないところで勝手に話が進んでいく感じがするだけど、気のせいだよね。
「何か子供の教育方針で揉めてる親みたい」
篠原先輩はそんな二人の光景を見てそんなことを言う。
言われてみれば分からなくもないけど、そんなことより出来れば見てないで止めてほしいなって思っちゃう。
「あの……ケンカは……」
「かよちん行こ。先輩たち帰っちゃうよ」
二人のケンカを止めようとすると凛ちゃんはわたしの手を引っ張って先輩たちの所へ連れていこうとする。
「えっ? でも……」
「待って!!」
大きな声を出して西木野さんはわたしの手を握って凛ちゃんが先輩たちの所に連れていくのを止めようとしてくれた。
「どうしてもって言うなら私が連れていくわ。音楽に関しては私の方がアドバイス出来るし、μ'sの曲は私が作ったんだから」
「えっ!? そうなの」
止めてくれるじゃなくて西木野さんが連れていこうとしていたみたいだったけど、西木野さんの口からμ'sの曲を作ったことに思わず驚いちゃった。
すごいな。綺麗な歌を歌えたりピアノを弾けるだけじゃなくって作曲まで出来るなんて。
「あっ!! いや……え~と。とにかく行くわよ」
作曲をしていたことを言うつもりじゃなかったのか、すごく戸惑った顔をしてたけど、そのまま無理矢理手を引っ張って先輩たちの所へ連れていこうとする。
「待って、連れていくなら凛が」
「私が」
「凛が」
「なら私が」
『先輩は関係ないでしょ!!』
「あっ、はい……」
お互いにわたしの意見を無視して先輩たちの所に連れていくのを譲ろうとしないで二人に引っ張られる。
途中、篠原先輩が混ざってきたけど、二人の気迫に圧されてすぐ引っ込んだ。
「誰か……」
「誰か助けて~!!」
今までの自分じゃあ信じられない大きな声を出して助けを求めたけど誰も助けてはくれなかった。
4
「つまりメンバーになるってこと?」
二人に引っ張られて気付いたら先輩たちが練習している屋上まで連れて来られていた。
ちなみに篠原先輩は二人に圧倒されて言われるがまま気付いたらわたしの背中を押していた。
「はい、かよちんはずっとずっと前からアイドルやってみたいと思ってたんです」
「そんなことはどうでもよくってこの子は結構歌唱力あるんです」
「どうでいいってどう言うこと!?」
「言葉通りの意味よ」
二人ともケンカしながらそれぞれわたしの事をアピールしてくる。そんな風に言ってくれるのは嬉しいけどまだわたしの中で気持ちの整理が出来てない。
「わ、わたしはまだ……何て言うか……」
「もう!! いつまで迷ってるの。絶対やった方がいいの」
まだ自信がないって言おうとするしたけど凛ちゃんに怒られてやった方がいいと言われる。
「それには賛成」
「やってみたい気持ちがあればやってみた方がいいわ」
「で、でも……」
西木野さんも凛ちゃんと同じでわたしがやった方がいいと言ってくる。でもやっぱり自信が出てこない。
「さっきも言ったでしょ。声出すなんて簡単、あなただったら出来るわ」
「凛は知ってるよ。かよちんはずっとずっとアイドルになりたいってこと」
「凛ちゃん……」
「西木野さん……」
「頑張って、凛がずっと付いててあげるから」
「私も少しは応援してあげるって言ったでしょ」
二人を交互に見るとそれぞれわたしを応援したり励ましの言葉をくれる。
「えっと……わたし……」
そうしてまだ迷いながらも流されるがまま入部しようと言おうと思ったら突然二人に背中を押された。
振り返ると二人はとても優しそうな顔でわたしの事を見てくれてその顔を見ると段々勇気が湧いてきてわたしの中の迷いが晴れていく感じがした。
「わたし、小泉花陽と言います。一年生で背も小さくって声も小さくって人見知りで得意なものは何もないです。でも……」
「でもアイドルの思いは誰にも負けないつもりです。だから……」
「μ'sのメンバーにしてください」
自分の気持ちを言葉に込めて深く頭を下げて先輩たちにお願いする。
「こちらこそ」
高坂先輩が前に出てわたしに手を差し伸べてくれた。わたしはその手を握って高坂先輩たちの方を真っ直ぐ見つめる。
「よろしく」
そうしてわたしは憧れだったアイドルに──μ'sのメンバーになった。
「かよちん……えらいよ」
「何泣いてるのよ」
「だって……って西木野さんも泣いてる」
「だ、誰が泣いてなんかないわよ」
わたしの決意に二人は喜んでくれているみたい。しかも泣いてくれるぐらい。
「それであんたたち二人は?」
「二人はどうするの?」
そんな二人に矢澤先輩と南先輩はアイドルをやらないのか聞いてくる。
『えっ?』
『どうするって? えっ!?』
二人ともそんなことを言われるとは思ってもみなくって全く同じ反応をしてる。
「まだまだメンバーは募集中ですよ」
「可愛い女の子なら大歓迎だよ」
園田先輩と篠原先輩が二人に手を差し伸ばして歓迎する。その手を見て二人はどうするべきかわたしのほうを見る。
「うん」
わたしは背中を押してくれた二人と一緒にアイドルをやりたいと思っていたから笑顔で頷いた。
そのわたしの顔を見て二人はとっても嬉しそうな顔をして二人とも園田先輩の手を握って二人もアイドルになった。
「何で……私の……手を握ってくれない……?」
そんな二人の横で篠原先輩はすごい顔をしてその場に呆然としていた。
5
わたしがμ'sに加入してから次の日。朝の練習場所である神社の前まで来ていた。
変じゃないかな? そんなことを思いながら神社の階段を上るとそこには篠原先輩が居た。
「あっ、おはよう。花陽……ちゃん……?」
わたしに気付いた篠原先輩は挨拶をしてくれるけどわたしの顔を見て困惑した表情をしていた。
「も、も、も、もしかして花陽ちゃん。メガネ止めてコンタクトにしたの?」
わたしの顔を見た篠原先輩はそんなことを聞いてくる。
そう今日から変わると決心してその決意の表れとしてメガネを止めてコンタクトにしたんだけど篠原先輩の反応を見て変かな何て思っちゃう。
「別に似合ってないって訳じゃないだよ。花陽ちゃん元から可愛かったしコンタクトでも十分可愛いよ」
多分表情に出ていたみたいで篠原先輩は良いと言ってくれるけど何かすごく複雑そうな顔をしていた。
「そうだ。みんなの分のスポーツドリンク買ってくるの忘れてたから買ってくるよ」
何か誤魔化すようにして篠原先輩はスポーツドリンクを買いに行こうとするけどその足取りはすごくふらついていた。
何かその状態で階段を降るのは危ないじゃないのかな何て思っていると篠原先輩は足を滑らせてわたしの視界から消えた。
「ぎゃぁぁぁぁ!!」
「篠原先輩!!」
急いで階段の方へ駆け寄ると篠原先輩がすごい勢いで階段を転がり落ちていくのが見えた。
わたしはどうしたら良いのか分からなくってオドオドしているとわたしの声を聞いて高坂先輩たちがこっちに来てくれた。
「どうしたの!! 花陽ちゃん!!」
わたしは高坂先輩たちに篠原先輩が階段から落ちたって言うと──
「何だ、何時ものことだね」
「何時ものことですね」
「何時ものことだよ」
「何時ものことね」
と言ってさっきまで心配した顔が嘘のようになくなってさっきまで居たところに戻ろうとしていた。
「あっ、花陽ちゃんすごく似合ってるよ」
「えっ? えっ?」
わたしは先輩たちのそんな反応にどうすれば良いのか戸惑っていた。すると──
「かよち~ん」
凛ちゃんと西木野さんが篠原先輩を抱えてやって来た。階段からすごい勢いで転がり落ちて行ったから服が登校前なのにすごく汚れていた。
「お、おはよう」
その篠原先輩を見て何とも言えない気持ちになりながら二人に挨拶をする。
「あ、あれ? メガネは?」
凛ちゃんはわたしがメガネを止めてコンタクトしたのに気付いて篠原先輩を抱えていたのを忘れたのか手を離してわたしの方へ駆け寄った。
「ゴフッ」
凛ちゃんが離したせいで地面に崩れ落ちる篠原先輩。その際にメガネがわたしの足元のところまで飛んできたので拾っておく。
「コ、コンタクトにしてみたの。変かな?」
「ううん。全然可愛いよ。スッゴく」
この状況についてこられないまま凛ちゃんの質問に答える。もしかして凛ちゃん完全に篠原先輩のこと忘れてる?
「へぇ~、いいじゃない」
西木野さんは篠原先輩を放置してコンタクトにしたこと良いって言ってくれる。えっ? 西木野さんも篠原先輩はスルー?
「ねえ、メガネ取ったついでに名前で呼んでよ」
『えっ?』
篠原先輩の事もそうだけど、西木野さんの突然な提案に驚くわたしと凛ちゃん。
「私も名前で呼ぶから」
「花陽、凛」
嬉しいけど篠原先輩の事が気になってそれどころじゃない。
「真姫ちゃん」
凛ちゃんは真姫ちゃんの所まで駆け寄って周りを跳び跳ねながらすごく嬉しそうにする。その近くに篠原先輩が倒れていることを忘れて。
「真姫ちゃん真姫ちゃん真姫ちゃん」
「何よ」
「真姫ちゃん」
「うるさい」
「照れてる照れてる」
「照れてない」
「真姫ちゃん可愛い」
「止めてってば」
そんな風に凛ちゃんが真姫ちゃんをからかっているのを見ながらわたしは篠原先輩を方に向かう。
「あの……大丈夫ですか?」
「可愛い女の子たちが近くでじゃれあってるのが見られて幸せ」
酷い目に合ってるのに何故か幸せそうな顔をしてちょっと意味わからない事を言ってるのは、きっと頭を強く打ったから何だよね。
「あの……これ使ってください」
わたしは鞄からタオルを取り出して篠原先輩に渡す。すると、篠原先輩は急に涙を流した。
「花陽ちゃん。すごく良い子だ」
泣きながらタオルを受け取って泥まみれの顔とか制服の汚れとか拭く。
「あとこれも……えっ?」
そう言ってわたしは拾っておいたメガネを篠原先輩に渡すとあることに気付いた。
「
篠原先輩の顔はかつてスクールアイドルに大きな影響を与えた中学生トップアイドル星野如月にとてもよく似ていた。
そんなわけで今回の語り手は小泉花陽ちゃんでした。
初めて花陽ちゃん視点で書いてみて慣れないところもあって何時もより長めになりました。
そしてTwitterでも呟いてましたがついにUA1万を越えました。
これも読んでいただいた皆様のお陰です。ありがとうございました。これからも頑張っていきたいと思います。
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