ラブライブ! 委員長はアイドル研究部のマネージャー   作:タトバリンクス

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最近、スクフェスのアーケードを初めてやって、もう一回やりたいなあって思ってる……。

そんなことは置いておいて、お待たせしました。

それではお楽しみください。


二十六話 名前を呼べない理由

 1

 

 みんなと海で遊んでいると、楽しい時間は過ぎるのはあっという間で、大分日も傾いてきた。

 

「買い出し?」

 

 別荘に戻って、着替えてからみんなの所に行くと、そんな会話が聞こえてきた。どうやら今日の夕食の買い出しの話らしい。

 

「何かスーパーが結構遠いらしくって」

 

「じゃあ、私が買いに行こうか?」

 

 みんな遊んで疲れてるだろうし、私はまだ疲れてないのと、マネージャーだから、買い出しに行くのは問題ない。

 

「私も行く行く」

 

「じゃあ、一緒に行く?」

 

 どうやら穂乃果ちゃんは元気が有り余ってるみたいだし、私もみんなの分の食材を一人で運ぶのはちょっとキツイから、穂乃果ちゃんが一緒に来てくれるのは有り難い。

 

「うん」

 

「別に私一人で行ってくるから良いわよ」

 

「えっ? 真姫ちゃんが?」

 

 穂乃果ちゃんが元気に頷いて、一緒に買い出しに行こうとすると、真姫ちゃんは自分が一人で買い出しに行くと言いだす。

 

「私以外お店の場所分からないでしょ」

 

 確かにこの辺のことを知ってるのは真姫ちゃんだけだけど、流石にみんなの分の食材を一人で買いに行くのは大変だと思う。

 

「じゃあウチがお供する」

 

「えっ?」

 

「えっ? お姉ちゃんも行くの?」

 

 私が一緒に付いていくと、言おうとすると、先にお姉ちゃんが真姫ちゃんと一緒に行くと言って、真姫ちゃんも私も驚く。

 

「たまには良いやろ、こうゆう組み合わせも」

 

 お姉ちゃんの言う通り珍しい組み合わせだけど、お姉ちゃんのことだから、何か考えがあると思うから、特に私は口を出さない。

 

「じゃあ、分かった、買い出しはお姉ちゃんたちに任せるね」

 

 多分、お姉ちゃんは真姫ちゃんと二人で話したいことがあると思うから、私が付いていっても邪魔だと思うし、買い出しは二人に任せる。

 

「そういえば、今日何食べる?」

 

 夕食の買い出しに行くはずなのに、肝心の夕食を決めていなかったことを思い出したので、私はみんなに夕食を何するか聞いて回る。

 

 その結果、無難にカレーに決まり、お姉ちゃんたちは買い出しに行った。

 

「さて、私は何をするかな?」

 

 正直、することがなくって困ってる。料理は二人が帰ってくるまで出来ないし、他の仕事はこの日のために支障がないように調節して、置いてきてるし、ハッキリ言って暇だ。

 

 どうしようかな。普通にみんなと大人しく過ごしておく。

 

 そういえば、海未ちゃんの練習メニューをちゃんと修正しておかないと。あの調子だと、明日も同じような練習メニューを用意して来そうな気がするし。

 

 流石にあのままの練習メニューで放置するのは、みんなが色々と可哀想だと思う。

 

 ラブライブまで夏休みを挟むとはいえ、一ヶ月くらいしかないし、夏休みを明けたら、学園祭もあるんだから、身体を壊すような、無理なトレーニングはやめといた方がいい。

 

 私の見立てでは、夏休みにちゃんと練習をやれば、技術的には今のスクールアイドル上位と、同じくらいの実力は付く。

 

 あとは夏休み半ばから終わりに掛けて、何処かでライブをすれば、ラブライブ出場圏内に、十位くらいには入るだろう。

 

 でも何処でライブをしよう。現状これと言って、当てがない。何処か良い会場でライブを出来ないかな。

 

 それについては夏休みの半ばまで見つけておこう。夏だからイベントも多いし、何か良いイベントが見つかるかもしれない。

 

 あと……何とか時間を取って報告に行かないと。

 

 今後の予定はそこまでにしておいて、今からやることは海未ちゃんを説得することかな。

 

 あぁ~、でも今日ちょっと海未ちゃんとは二人で話しにくいかも。昼間海で遊ぶためとはいえ、あんなことしたし、変な雰囲気にもなったし。

 

 うん、今、会えば確実に変なイベントが発生するかも。私の不幸と言うべきか、間の悪さと言うべきか、そんな直感的なものを感じる。

 

 例えば、一人で可愛い笑顔の練習をする姿をたまたま目撃するとか。前に一回あったし。

 

 着替えてる姿を覗いてしまうとか。そんなことがありそう。なら逆に行くべきか。

 

 こんなイベント、マンガじゃなきゃ体験出来ないはず。今の私なら体験出来そう。例えそれで制裁を受けることになっても突撃しかありえない。

 

 そうと決まれば、私の行動は早かった。直ぐ様海未ちゃんがゆっくりしてる部屋に向かおうとしたそのとき──

 

「沙紀、ちょっと良いかしら」

 

 後ろから声を掛けられて振り向くと、そこには絵里ちゃんが居た。どうやら私に何か用があるみたいな様子。

 

「何ですか?」

 

「その前に先輩禁止」

 

「あっ」

 

 絵里ちゃんにそう指摘されて、何時ものように絵里ちゃんに対して敬語で話してしまったことに気付く。

 

「ごめんね、つい癖で」

 

「まあ、沙紀は私たちの事、先輩として一緒に居た期間が他のみんなと比べて長いから、仕方ないわよね」

 

「それに絵里ちゃんの前では、委員長モードだったから余計にね」

 

「正直、私……その委員長キャラが懐かしく感じるのだけど……」

 

「そんなに!?」

 

 毎度毎度の事だけど、μ'sメンバーの中で委員長キャラだったことが見た目くらいしか覚えていないんだけど、どうして。

 

 最近では見た目だけだよね。みんなと話してたらそんなことを言われる始末だし。

 

「それで……何か用かな」

 

 まあ、今は私の委員長キャラについては置いといて、絵里ちゃんが話し掛けてきたんだから何か用があるはず。

 

「ちょっと話したいことがあってね……今良いかしら」

 

「大丈夫だよ、それで話って?」

 

 今から海未ちゃんの居る部屋に特攻を掛けようかと思ってたけど、わざわざ絵里ちゃんが私に話しかけるのは、何か大事な事があるかもしれないので、そっちを優先する。

 

「ここでは何だし、私が使う部屋に来て」

 

 おや、何だろう? 突然、絵里ちゃんの部屋にお呼ばれされたけど、これはもしかして……。

 

「分かった! 今すぐ行くね」

 

 私は今から起こるであろう出来事に(勝手に)期待しながら絵里ちゃんのあとに続いて、絵里ちゃんの部屋に向かうのだった。

 

 2

 

 絵里ちゃんに案内されて、私は絵里ちゃんが使ってる部屋に入るのだが、何と言うかドキドキする。

 

「ここなら問題ないわね、希も買い出しに行って当分戻ってこないし」

 

「そうだね、それじゃあ……遠慮なく……」

 

 誰も来ないことが確認できた私は恥ずかしいけど、服を脱ぎ出す。

 

「ちょっと何で急に服を脱ぎ出すの!?」

 

「えっ!? だって今から私と一線を越えるんじゃないの」

 

「違うわよ、何でそんな発想になるの」

 

 えっ? 違うの? てっきり私はお姉ちゃんがいない間に、絵里ちゃんと大人の階段を登るかと思ってたけど。

 

「二人きりで部屋に誘うなんて、そうとしか考えられないよ、もう紛らわしいなあ」

 

 女の子が部屋で二人きりの状況は、普通そういうことする合図だと思うのだけど。

 

「普通、可愛い女の子に誘われたらそう思っちゃうよ、絵里ちゃんは分かってないなあ」

 

「何で私が変みたいな言い方をするのかしら」

 

 私の反応に何処か納得がいかない様子の絵里ちゃん。何で納得出来ないんだろう私には分からない。

 

「はぁ~、ある意味にこは凄いわ、ここから二転三転とする沙紀のボケに付いてこれるのだから、私には無理ね」

 

 なんか知らないけど、にこ先輩が絵里ちゃんに誉められてる。どうやら絵里ちゃんもにこ先輩の凄さに気付いたのみたい。

 

 それはそうだよ。何たってにこ先輩何だよ。それだけで崇めるに足るのだから。それに……。

 

「私とにこ先輩は相思相愛だからね」

 

「多分……にこだったら違うって言うわよね」

 

「確かににこ先輩なら言いますけど、あれは照れてるだけ、にこ先輩はツンデレさんだからね」

 

 そもそも私と話して嫌がって感じが一切にしないし、本当に嫌がってるのなら、まず、無視されると思うし。だから、にこ先輩は私の事、愛してると思ってもいい。

 

「ホント、にこ対しては前向きね、沙紀は」

 

「もちろん、にこ先輩の事、愛してるからね──あっ……もちろん絵里ちゃんも大好きだよ」

 

 堂々と絵里ちゃんの前でそんなことを言えば、私が絵里ちゃんの事、身体目当てで一線を越えようとしたと、勘違いされるので、私は慌てて好きだと伝える。

 

「何と言うか……多分……一応告白をされたのよね……さらっと言われて、複雑な気分なのだけど……」

 

「えっ? 告白は大分前にしたよ」

 

 一応告白(と言うよりもカミングアウト)はあのときにした。それもある出前、勘違いされて、嫌われたら私、マジで立ち直れなくなるから。

 

 そういえば、あのときの返事をもらってないけど、でもあのあと色々とあったし。

 

「それで一線を越えるんじゃなくて、何の用だったの」

 

「ホント、何でそれが前提なのか分からないけど……そうね、聞きたいことがあったのよ」

 

「大抵のことなら答えるけど……」

 

「じゃあ……聞くんだけど……何で、沙紀はにこのこと、ちゃんと名前で呼べないの」

 

「えっ……」

 

 突然、その事を聞かれて私は少し思考が停止する。

 

「あんまり沙紀とにこの関係に口出すつもりないんだけど、やっぱりね」

 

 みんなが先輩を止めようとしてるなか、私だけにこ先輩のこと、先輩って呼んでるのは目につくのは分かっているけど。

 

「それは言ったでしょ、私にとってにこ先輩は神的な存在だから……私ごときがそう易々と……」

 

「それは聞いたわ、どれだけ沙紀、あなたはにこのこと信仰してるのって思ったから」

 

「だったら……」

 

「これは私の勘、何だけど……」

 

 私が問題ないと口にしようとすると、絵里ちゃんは先に何か言おうとして、思わず黙ってしまう。

 

 何か今から絵里ちゃんに核心的なことを言われそうな、そんな予感がして、私は怖くて、何も答えられなくなってる。

 

「もしかしてあなたの親友の事が関係あるんじゃないの」

 

「!!」

 

 絵里ちゃんから親友って言葉が出てきて、思わず反応してしまった。

 

 私は絵里ちゃんから急いで目線を逸らして、自分の顔が見えないように顔を下に向ける。

 

「その反応……やっぱりそうなのね……」

 

 私の反応を見て、絵里ちゃんはにこ先輩のことを、ちゃんと名前を呼べない理由を確信してしまった。

 

 実際にその通り何だけど、ただ私はにこ先輩の事、神だとは崇めてるけど、流石にみんなが先輩を止めようって言ったから、ちゃんと止めて名前で呼ぶつもりだった。

 

(私の事、先輩じゃなく、名前で呼んで、だって私たち友達何だから)

 

 実際に呼ぼうとしたときに……あの人のあの言葉が過って、私は思い出してしまった。

 

 私の大切な親友の事を。親友との思い出を。その結末を。

 

 あの人とにこ先輩を重ねちゃいけないのは分かってる。でもそれを思い出してしまったら、私はもう呼ぶことが出来ない。

 

 もし、順調に物事が進めば……私はもう一度……。それにあの子だって、何をしてくるか分からない以上展開が早くなる可能性が……。

 

 ならもういっそのことこのまま呼び方が良い。このままの関係が良い。

 

 それなら最後は諦めがつく。

 

 もし、あのまま話を続けて、あの人の話が出てきて、私が隠してることに繋がったら全部が無駄になる。

 

 あの人に恩返しが出来なくなる。私は……何のためにここに居るか分からなくなるから。

 

「ごめんなさい……沙紀に辛いこと思い出させるつもりはなかったのだけど……」

 

 顔を伏せて、絵里ちゃんから私の顔が見えないようにしてたが、雰囲気から察したのか、絵里ちゃんは私に謝ってくる。

 

「絵里ちゃんが謝らなくていいよ……悪いのは私だから……」

 

 そう、絵里ちゃんは悪くない。悪いのは私。にこ先輩とあの人を重ねてしまった私のせいだから。

 

「あなたがにこの名前を呼べない理由は分かったわ」

 

 どうやら絵里ちゃんは私の話を聞いて、一応は納得したみたい。私はそれで話が終わるかと思ってたけど。

 

「あまり興味本位で聞いちゃいけないんだろうけど……そんなに似てるの、にことあなたの親友は」

 

 昔の事、辛いことを思い出してほしくないんだけど、それでもやっぱり、絵里ちゃんは気になるみたい。仕方ないわよね、人間だもの。気になる事があったら気になってしまうもんね。

 

「いや……殆んど似てないよ……」

 

 私は絵里ちゃんの質問に答える。話せば、少しは私の中で心の整理が出来ると思うし。

 

「あの人は何と言うか……人の上に立つことが出来る人、実際に中学の時に生徒会長やってたし」

 

 あの人とにこ先輩とじゃあ性格も学力も運動神経も何一つ似てる所は殆んどない。ただ似てるとすれば。

 

「アイドルが本気で大好きって気持ちがかなり似てる」

 

「そういえば、沙紀──星野如月に憧れて、スクールアイドルを目指してたって言ってたわね」

 

 確かあのときに一度だけ絵里ちゃんに話したことがあったっけ。

 

「そう、よくあの人は何時か星野如月を越えるアイドルになるって、わたしの前で話してから」

 

「凄いわね、本人を目の前にそんなことが言えるなんて」

 

「フフフ、そうだね、でもそれだけアイドルに対して本気だったから」

 

 絵里ちゃんの反応に思わず少し笑う。今、思い出しても私も凄いと思う。憧れのアイドルに直接言うなんて、馬鹿みたいだけど、私はあの人のそういうところが好きだった。

 

「それに、それだけのことを言うだけの才能の片鱗はそのときからあったから、強ち無謀なこと言ってないんだよね」

 

「えっ!? あなたがそういうなんて、それほどなの!?」

 

 私があの人のこと才能があると言うと、絵里ちゃんはとても驚いた反応をした。でも無理もないか。一度は『伝説のアイドル』って呼ばれてた人が、認めるレベル何だから。

 

「そうだね、実際に練習を何回か見て、教えたりしたし、今でもランキング上位に必ず入るし、卒業したら、事務所に入ることが、殆んど確定してるようなものだし」

 

「ちょっと待って……今、さらっと重要なこと何個か言ったけど……ちょっと整理させてもらっていい」

 

「良いけど……」

 

「まず、練習を見て、教えたって言わなかった?」

 

「そうだよ、仕事がない日は学校の休み時間を使って、練習を見てたよ」

 

 中学の頃はあの人の練習を見て、そのあとに仲良くお喋りするのが、楽しみで学校に通ってたから。

 

「なるほどね、あのとき言ってたのが、その親友の練習のことだったのね」

 

 あぁ、確か絵里ちゃんが初めてμ'sの練習を見たときにそんな話をしたっけ。あのあと私、色々とやらかして、酷い目にあって、星野如月だとバレたからそんな話をしたこと忘れてたよ。

 

「それに初めて練習を見たのが、あの人だから、一応……一番弟子って言うのかな」

 

「どうなのかしら、よく分からないけど、才能に恵まれて、その上、あの星野如月の一番弟子ねぇ……」

 

 あの人の話を聞いて、とたん考え込む絵里ちゃん。話してる限りある意味、ヤバイ人しか聞こえないよね。でも実際にそうだし。

 

「でもあの人は……私がいなくても、いずれはそこまで一人で登れる人だから……私はただそれを早めただけ……」

 

 あの人はそう。私なんかと比べて、才能に溢れてる。持つべきもの持つ人間。普通な私とじゃあ、釣り合わない。

 

「大体、分かったわ、確かにそれならランキング上位に入っても……」

 

 あの人がランキング上位に入ってる理由が納得しようとしてたが途中で何か思ったのか、喋るのを止める。

 

「ランキング上位に入るって、もしかして今、その人、スクールアイドルをやってるの! それって……つまり……」

 

 あっ、絵里ちゃん気づいちゃったか、今、スクールアイドルやって、ランキング上位に入るってことの意味に。

 

「私たちがラブライブ出場したら、あなたはその人と再会するってことなんじゃあ……」

 

 そう、絵里ちゃんの言う通り、私とあの人の再会を意味してるってことなんだから。

 

「そう……だね……」

 

 私たちと同じようにあの人は確実にラブライブ出場を目指してる。それは会わなくても分かるあの人はそういう人だから。

 

 目の前に壁があったら、それに躊躇いもなく、挑戦するそんな人が、スクールアイドルの祭殿ラブライブ出ないわけがない。

 

「…………」

 

 絵里ちゃんはそれを聞いて、何か考え事をしている。私が隠してたことについて考えてるだろうか。

 

「ねぇ……沙紀、あなたはその親友とどうしたいの?」

 

 考えが纏まったのか、絵里ちゃんはそんなことを聞いてくる。

 

「何? 突然……」

 

「沙紀はその人ともう一度会いたいのかなって思ったのよ」

 

「それは……」

 

 どうなんだろう。ラブライブ開催って話を聞いて、もし、μ'sのラブライブ出場が決まれば、会うことは分かっていた。けど、何も考えないようにしていた。

 

「私は……あのときのこと……謝りたいって思ってる……」

 

 けど、私は心の奥底でそれを願っていた。あの日、あの時にあの人に言ったことをずっと後悔していた。謝りたいってずっと思っていた。だけど……。

 

「でも今さら会っても……あの人が許してくれるとは思えないから……」

 

「そんなことはないと思うわ」

 

 私が許してもらえることを諦めてると、絵里ちゃんはそれを否定した。

 

「前に沙紀は私のために色々してくれたよね」

 

「私は何もしてないよ……お姉ちゃんや穂乃果ちゃんたちが頑張っただけだから……」

 

 絵里ちゃんの件については私がやったのは、精々お姉ちゃんや穂乃果ちゃんたちが、絵里ちゃんをμ'sに入りやすくするために、裏で何かやったくらい。

 

「違うわ、確かにμ'sに誘ってくれたのは穂乃果たちだし、希が私に本心を言ってくれなければ、その誘いを断ってたわ」

 

 違わない。私は結局、最後の最後でみんなに任せることしか出来なかった。それは私には出来ないことだったから。

 

「けど、前にも言ったでしょ、あなたが居なかったら、あのときすんなりと物事が進まなかったわ、それだけでも嬉しかったのよ」

 

 それもあのときに聞いたけど、あの程度のことは喜ばれるようなのとでもないし、それにあれは私が辛かったからやっただけだし。

 

「それにあなた、希に言ってたのよね、自分の気持ちをちゃんと伝えた方がいいって」

 

 それは……絵里ちゃんがμ'sに入る前日に私がお姉ちゃんに言った言葉。どうして絵里ちゃんが……いや、お姉ちゃんが言ったんだ。

 

「私もそうだと思う、気持ちを言葉にすればちゃんと伝わったからね、だから……沙紀もその人に自分の本心を伝えるべきだと思う」

 

「でも……もし、それで……」

 

 伝わらなかったら、私は……。そう言おうとしたが、現実に起こりそうなので声に出せなかった。

 

「そのときは私からも伝えてあげるわ、沙紀がどれだけその人に謝りたいのかってね」

 

「どうして……そこまでしてくれるの?」

 

「ずっと考えてたのよ、私をここに入れてくれたお手伝いをしてくれた沙紀に、私は何か出来ることがないかって」

 

「たったそれだけの理由で……」

 

「それだけじゃないわ、私にとっては十分な理由よ、それに……」

 

 絵里ちゃんはずっと俯いてた私の顔を上げさせて、口元に触れて、無理矢理笑わせようとする。

 

「あなたの悲しい顔は似合わない、笑ってる姿が一番似合ってるわ」

 

 そう言われて、私は恥ずかしくなって、自分の顔が熱くなって、紅くなるのを感じた。

 

「え~と、そ、そ、そ、それは、な、な、な、何と言うか、そう言われると本気でえ、え、え、絵里ちゃんにこ、こ、こ、恋しちゃいそうになるんだけど……」

 

 ヤバイ、恥ずかしさのあまり、まともに喋れない。今の絵里ちゃん、メチャクチャかっこよすぎて、マジで今、胸がドキドキし過ぎて、目も合わせられないし、顔も凄く熱いだけど……。

 

「フフフ、希の言う通り、あなたって結構恥ずかしがり屋なのね」

 

「!!」

 

 それを言われると、もっと恥ずかしくなって、言葉すら出ないくらい、恥ずかしくなってきた。ホント、穴があったら入りたいレベル。

 

「え、え、え、絵里……ちゃん……も、も、も、もしかして……からかってる?」

 

「さあ、どうかしらね」

 

 小さな声で聞くと、絵里ちゃんが少し惚けた感じで答えた。絶対嘘だ、こんなチャンス滅多にないと思ってからかってる。

 

「じゃあ、沙紀とその人を仲直りするためにも、まずはラブライブ出場目指さないとね」

 

「私の……ために……そんな……」

 

「そんなことは言わない、私がやりたいからやってるだけよ」

 

 かつて生徒会長として、義務感からやってた時とは違う、その言葉はまさしく絢瀬絵里の言葉。

 

 自分の心を偽って、親友とぶつかって、その上でこの人は自分に素直になれたのだから、私がこれ以上同じことを言うことは野暮。

 

「ありがとう……」

 

 だから、私は絵里ちゃんの好意に甘えることにする。だけど絵里ちゃんの恩返しは叶うことはない。

 

 今さら会っても何か変わるわけでもない。それは今の私の在り方が、この状況が、それを許さない。それに今会えば、全てが確実にバレる。

 

 それどころか確実に会えば、あのときの二の舞になるのだから。

 




如何だったでしょうか。

伏線回収したら、伏線を増やしてく。何やってるんだ。

取り合えず今回で、沙紀の親友について触れましたが、そろそろ情報も大分出てきましたので、どんな人なのかある程度は分かるのではないかと思います。

そんなわけで、彼女の登場はまだ先ですが、それまで色々と予想して楽しんで頂くとこちらとしても嬉しい限りです。

それでは何か感想などありましたら気軽にどうぞ。

誤字、脱字などありましたらご報告していただけると有り難いです。
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