ラブライブ! 委員長はアイドル研究部のマネージャー 作:タトバリンクス
そんなわけでお楽しみください。
1
絵里ちゃんと二人っきりで話したあと、私はリビングに戻ろうとしていた。
絵里ちゃんと話した内容は私にとって辛いものだけど、今は合宿なので暗い顔は止めて、いつも通り振る舞おうと、切り替える。
リビングに戻ると、時間が結構経っていたのか、買い物に行っていた二人が戻ってきたので、私はみんなの夕食を作り始める。
「野菜こっちに渡して」
「分かりましたにこ先輩」
「サラダの盛り付けは」
「バッチリです」
何でにこ先輩が一緒に料理を作ってるのかって、それはもちろん。にこ先輩が私と愛の共同作業をしたいがために。
「それは違うわよ」
「何で私の心の中読めるんですか」
愛なの、愛ゆえなの。なら仕方ないね。私とにこ先輩は相思相愛だからね。
「変なこと考えてないで、さっさと作りなさい」
「イエッサー!! シェフ」
「誰がシェフよ、誰が!!」
ふざけた会話をしながらも、私もにこ先輩も料理の手を止めず、手際よくテキパキと調理を進める。
思ったよりもスーパーが遠かったらしく、大分夕食の時間も遅くなったから、みんなお腹空いてるはずだし、早く作るべきだよね。
「ごめんねぇ、私が料理当番だったのにもたもたしてたから」
厨房の外から私たちに謝ることりちゃん。元々最初は私とことりちゃんが一緒に作るはずだったけど、にこ先輩がことりちゃんの手際を見て、居ても立っても居られなくなったのか、無理矢理ことりちゃんと交替した。
無理もないにこ先輩は家族が多いから、大人数の料理を作るのに慣れてる。
ことりちゃんは決して料理が下手じゃなくて(寧ろ上手いくらいだけど)ただ大人数に対して料理を作ったことがないみたい。
そんなわけで慣れてるにこ先輩が料理をしてるわけで、私はにこ先輩がスムーズに料理できるようにフォローしている。
そんな風にテキパキと料理をこなす私たちを、キッチンの様子を見てた何人かメンバーは驚いていた。
見られてることは気にせず、ある程度仕上げに入ったくらいで、お皿を用意して、盛り付けが出来た料理から、みんなの前に持っていく。
みんなの分のカレーを用意して、それも運んで今日の夕食は全て完成する。
『おぉ~』
机の上に並べられたにこ先輩と私の料理を見て、みんなは歓声の声をあげた。
「何で花陽だけお茶碗にご飯なの」
これに関しては、私もいきなりご飯とカレーは別でって言われて、驚いたけど、これはきっと花陽ちゃんなりの拘りだろうと思って、私は言われた通りにしただけ。
「気にしないでください」
絵里ちゃんの疑問に花陽ちゃんはキリッと即答する。
何だろう、今の花陽ちゃん、私の委員長スタイル対する拘りみたいのと、同じレベルのような拘りを感じがした。
「にこちゃんと沙紀ちゃんって料理上手だよね」
「そうでもないよ、私は作る機会が多いからね」
毎日三食自分で作ってるから、自ずと出来るようになっただけで、そんな料理が上手いとは思ってない。
「あれ? でもにこちゃん、昼に料理なんてしたことないって言ってなかった?」
「うぇ!」
料理上手だと穂乃果ちゃんから誉められて、誇らしげな表情をしていたにこ先輩だけど、ことりちゃんが昼の会話を思い出すと、にこ先輩はやってしまったと言わんばかりに、一瞬で表情が崩れる。
「言ってたわよ、何時もそこの料理人が作ってくれるって」
真姫ちゃんもその話を覚えて、それどころか私が作ってることも覚えてたみたいで、にこ先輩は余計にピンチに追い込まれる。
「いや~、こんな重いもの持てない~」
ピンチに追い込まれたにこ先輩は誤魔化すために、非力キャラを演じるが、にこ先輩を見る周りの視線がとても痛い。
「い、いくら何でもそれは無理があり過ぎる気が……」
「しょうがないですね~、はい、にこ先輩あ~ん」
穂乃果ちゃんがそうツッコミを入れると、同時に私はチャンスだと思い、にこ先輩の口元にスプーンを持っていく。
「ちょっ、いきなり何するのよ!!」
「スプーンが持てないなら、私が食べさせてあげようかと」
「そんなわけないでしょ! 普通に持てるわよ……あっ」
私にツッコミを入れる際につい勢いで、持てるとか言ってしまったことに気付いたにこ先輩。
「これからのアイドルは、料理の一つや二つ作れないと生き残れないのよ」
「開き直った!」
「開き直ってるにこ先輩も可愛いです」
「ぶれないわね……あんた……」
食事前にそんな会話もあったけど、私たちは少し遅い夕食を食べ始めた。
2
にこ先輩の手料理を(半分は私が作ったけど)たっぷりと堪能して、私は夕食を食べ終えた。
「はぁ~食べた食べた」
「いきなり横になると牛になりますよ」
「も~うお母さんみたいなこと言わないでよ」
同じように食べ終わった穂乃果ちゃんは、ソファーの上で横になってると、海未ちゃんに注意されてる。
「よ~し、じゃあ花火をするにゃ~」
「その前にご飯の後片付けしなきゃダメだよ」
「あっ、それなら私やっとくから行ってきて良いよ」
「えっ……」
凛ちゃんがとても花火をやりたそうだから、私はみんなの後片付けを引き受けると言うと、花陽ちゃんは申し訳なそうな声を出した。
「そうよ、そうゆう不公平は良くないわ、みんなも自分の食器は自分で片付けて」
別に不公平とは思ってないけど、絵里ちゃんがそう言うから、私は今から後片付けようとしたが止める。
「それに花火よりも練習です」
「えっ……これから……」
海未ちゃんからまさかの提案に、にこ先輩は嫌そうな顔をする。何だかんだでお昼に遊んで疲れてるみたいだし、にこ先輩が嫌そうな顔をする理由は、分からなくないけど。
「当たり前です、昼間あんなに遊んでしまったのですから」
でも海未ちゃんの言いたいことも分からなくない。元々ここへは練習するために来たわけだし、練習しなくちゃいけないけど……。
「でも、そんな空気じゃないってゆうか……特に穂乃果ちゃんはもう……」
みんなの気持ちを汲み取って、ことりちゃんはそう言ったあと、穂乃果ちゃんの方を見ると──
「雪穂、お茶まだ~」
「家ですか」
ソファーの上で完全にだらけきった穂乃果ちゃんにツッコミを入れる海未ちゃん。
しかし、ここにはいない妹の名前を口にしてる辺り、相当だらけてるなぁ。そもそも雪穂ちゃんにお茶を用意させてるんだ。
「は~い、今から用意するね」
穂乃果ちゃんがお茶を欲しそうだから、つい何時もの癖でキッチンの方へ向かい、お茶を準備し始める。
「じゃあこれ片付けたら私は寝るわね」
話が何時までも纏まらないためか、そう言って真姫ちゃんは自分の使った食器を持って立ち上がり、片付けようとする。
「えっ? 真姫ちゃんも一緒にやろうよ~花火」
「いえ、練習があります」
花火を誘ってくる凛ちゃんと、相変わらず練習をすると一点張りの海未ちゃんに、どうしたらいいのか分からず、戸惑った顔をする真姫ちゃん。
「本気……」
「そうにゃ~、今日はみんなで花火やろう」
「そういう訳にはいきません」
「かよちんはどう思う?」
二人は自分の意見を譲らず、話が進まないから、自分の味方を増やそうと、凛ちゃんは花陽ちゃんの意見を聞く。
「わ、わたしは……お風呂に……」
「第三の意見出してどうするのよ、あとそれは……」
「お風呂!!」
「あぁ~反応しちゃったわ」
キッチンで穂乃果ちゃんのお茶を用意してた私は花陽ちゃんの素晴らしい意見に反応すると、何故かにこ先輩は頭を抱え始めた。
「雪穂~お茶~」
「あっ、雪穂ちゃんじゃないけど、ちょっと待ってね~」
素晴らしい意見に賛成しようとしたけど、お茶を待ってる穂乃果ちゃんがいるので、私は先に穂乃果ちゃんにお茶を持っていき、目の前に置いておくと、穂乃果ちゃんはだらけた感じでお茶を飲み始めた。
何かだらけてる穂乃果ちゃんも可愛い。ぐたってしている姿が癒されるというか、お世話したくなるようなそんな感情が湧いてくる。
「じゃあ今日はもう寝ようか」
私が穂乃果ちゃんに癒されてると、お姉ちゃんが別の提案を出した。
「みんな疲れてるでしょ、練習は明日の早朝、それで花火は明日の夜にすることにして」
みんなの気持ちを汲み取った上で、落としどころとしても悪くはないと思う。
「そっか~、それでも良いにゃ~」
「確かにその方が練習もそちらの方が効率が良いかもしれません」
「じゃあ決定やね」
凛ちゃんと海未ちゃんもお姉ちゃんの提案に納得して、事は収まった。流石はお姉ちゃんだ。しかし、私には気になることが一つある。
「お風呂は!?」
「それはもちろん、片付けたら入るよ」
良かった、ちゃんとお風呂はあるんだね。無かったら私、ショックで倒れるところだったよ。
「一応言っとくけど……みんなあんたとは入らないわよ」
「Pardon?」
今のにこ先輩の発言に私は笑顔で聞き返す。もしかしたら何かの聞き間違いのはず。
「やっぱり忘れてるし、それに信じられないから、英語になってるわね」
そんなことはない。私は何か忘れた覚えがないし、それに合宿なんだから、みんなでお風呂入らないとか、有り得ない。
「もう一度言うけど、みんなあんたとは入らないわよ」
その言葉を聞いた瞬間、私はショックのあまりその場から倒れこんだ。
「沙紀が何か急に倒れたわよ!!」
「ショックあまり倒れるなんて……どんだけ一緒にお風呂入りたかったんですか……」
いきなり私が倒れたから絵里ちゃんは驚くけど、海未ちゃんは理由に察しがついていて、とても呆れた声をしていた。
「一緒にお風呂入らないとか、有り得ない、有り得ない、有り得ない、有り得ない、有り得ない、有り得ない、有り得ない、有り得ない、有り得ない、有り得ない……」
「何かぶつぶつ言って……恐い……」
「それに顔が真顔だから余計に恐いよ」
花陽ちゃんと凛ちゃんに恐がられてるけど、私は気にせず、ひたすらぶつぶつと、有り得ないと言い続ける──だって、そんなお約束破るとか、有り得ないもん。
「取り敢えず、何時ものように意識飛ばしてからそのうちに入ったら」
「ちょっと待って、それは流石に酷い!!」
真姫ちゃんが一番最悪な提案をすると、本能から不味いと思ったのか、私は正気に戻って起き上がる。
「あっ、戻ったね」
「それは戻るよ、ことりちゃん、今日はそのオチだけはずっと避けたんだから」
「戻ったところで、変わらないわよ」
「何故!! そんなに私一緒に入るのが嫌なの!!」
『……』
私の心からの訴えに、みんなはとても言いにくそうに黙る。何故そこで黙るの。
「だって委員長ちゃん、一緒に入ったらジロジロと体見るやん」
「ジロジロじゃないよ、ガッツリ見るよ」
「は~い、みんな食器片付けるよ」
お姉ちゃんはみんなが一緒に入らない理由を、真面目に訂正すると、何事もなかったようにみんな食器を片付け始める。
「ちょっと待って、待て!!」
「何よ、片付けるから邪魔するんじゃないわよ」
ここままではホントに一緒に入れないと思い、近くにいたにこ先輩の服を引っ張ると、にこ先輩はとても嫌そうな顔をする。
どうすれば、みんなと一緒に入れるのか必死で考えてるけど、全く思い付かない。けど、諦めない諦めたらそこで終わってしまう……そうだ。
「にこ先輩……私……みんなとお風呂入りたいです」
「いや、そんなバスケがしたいです風に言われても……感動も何もないわよ」
これでも駄目か。クソッ、マジでどうしたらみんな一緒に入ってくれるのか分からない。
「ホント、マジで一緒に入ってください」
もう打つ手がないので、私は本気で一緒に入りたいから全身全霊でみんなの前で土下座をする。
「たかがお風呂に入るためにそこまでするんですね……ある意味凄いですね」
私が土下座までして、お風呂を入ろうとする姿に、海未ちゃんは呆れるを通り越して、それどころか一周回って呆れられてる。
「まぁ、良いんやない、委員長ちゃんがそこまでするんやから」
「流石はお姉ちゃん、土下座したらそう言ってくれると信じてたよ」
「どんな信頼のされかたしてるんやろ……さっきのは今のはなしにしようかな」
嬉しさのあまり、つい口からポロッと思ってることが出てしまい、お姉ちゃんがちょっと悪戯な笑みを浮かべながら言う。
「そんなことはないよ、お姉ちゃんには常日頃、感謝の気持ちしかないよ、足だって舐めろって言えば、いくらでも舐めるくらいに」
「それって感謝してるってより、別の願望なんじゃあ……」
「あっ……」
さっきの失言を取り消そうとするが、花陽ちゃんに指摘されて、さらに失言を重ねてることに気付く。
「まぁ、委員長ちゃんは変態さんやし、仕方ないやん」
「はい、私はどうしようもなく変態ですが、どうかお考えを……お考えを変えないでください」
お姉ちゃんの笑顔がとても恐いのと、自分の失言から深々と土下座をしながら頼み込む。
どんどん自分が惨めになってきてる気がしないけど、ここまで来たら、何としてでもみんなと一緒に入ってみせる。
「そこまで言うやったら、ウチに言い考えがあるんやけど……」
「ホントに!!」
言い考えがあると聞いて、食い付く私だったが、そのときのお姉ちゃんはとても悪戯な笑みを浮かべていたことに気付かなかった。
「その前に……食器を片付けしないとね」
「そうだね」
そうして食器を片づけたあと、お風呂に入る前に、私はお姉ちゃんに言われるがままに指示に従う。
「なるほど、これは言い考え──になるか~~!!」
そして、言われた通りやったがそんなツッコミを入れる。何故なら私だけ目隠しされたのだから。
前回は割りと真面目にやってた気がするのに、この落差……。うん、何時も通りだ。
そんなわけで何か感想などありましたら気軽にどうぞ。
誤字、脱字などありましたらご報告していただけると有り難いです。