ラブライブ! 委員長はアイドル研究部のマネージャー   作:タトバリンクス

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お待たせしました。

相変わらずの沙紀の変なテンションですけど、お楽しみください。


二十八話 夜は終わらない

 1

 

「はぁ~、お風呂楽しかった~」

 

「銭湯みたい広くてビックリしたよ」

 

 お風呂から上がった穂乃果と凛は、お風呂上がりに飲み物を飲みながら、とても満足したような顔をしていたわ。

 

 私も飲み物を飲みながら、穂乃果たちと同じく楽しかったのだけど……。

 

「そうね、楽しかったわ……あれさえなければ」

 

「あれは……酷い事件だったね、にこちゃん」

 

 お風呂のときに起きた事件を思い出すと、楽しさが半減してしまうわ。現に穂乃果もちょっと遠い目をしているわ。

 

「まさか、あそこまで沙紀ちゃんが、みんなの裸見たいなんて思わなかったにゃ~」

 

 そう、今回も沙紀が見事にやらかしてくれたのよ。私たちの予想以上に、彼女は私たちの裸を見たかったみたい。

 

 沙紀が私たちと一緒にお風呂に入る条件として、希は沙紀に目隠しを提案したわ。

 

 提案したよりも流れでそうさせた感じの方があってるような気がするけど。

 

 当然よね。沙紀はみんなと一緒にお風呂に入りたい。みんなは沙紀に裸を見られたくない。両方の意見を取り入れた結果、沙紀が目隠しすると言う落とし所を希は用意してくれた。

 

 念のため、沙紀が自分から目隠しを外さないようにと、私たちの体を触れてくる可能性を考えて、ついでに手も縛っておいたわ。

 

 そこまでは良かった。

 

 まさか、あんなことになるなんて、私たちは思ってもみなかったわ。あぁ~、出来れば思い出したくはないわ。ただ言えることは最後のオチは何時も通りだったわ。

 

 ちなみに当の本人は──

 

「うぅ~、何で……何時も何時もこうなるの……」

 

「はいはい、委員長ちゃんそろそろ元気出してや」

 

 部屋の隅っこでいじけて、希に慰められていたわ。見馴れた光景ね。

 

 そんなこともあって、楽しかったのかと言われると、楽しかったのだけど……まあ、半々ねと、私の中でさっきの出来事を纏める。

 

 飲んでいた飲み物を飲み終えて、私たちはリビングに戻ると、海未たちがお布団を敷く準備をしていたわ。

 

 おぉ~、もしかしてあれ出来るんじゃないのかしら。

 

「あっ! お布団がいっぱい敷いてある、これは凛ちゃん!」

 

「にゃ~、やるしかないにゃ~」

 

 びっしりと敷かれてる十人分のお布団を見て、穂乃果は私と同じことを思い付いたのか、凛に声を掛けると、凛も同じこと考えてたのか、お布団の手前に立つ。

 

「いっくぞ~」

 

「にゃ~」

 

 そう言って、お布団に飛び込んで、お布団の上をゴロゴロ転がって楽しそうにしてる。そんな姿を見て、私も穂乃果と凛に混じって、一緒にお布団の上で転がる。

 

「気持ちいいにゃ~」

 

「広いとこでこれやるの夢だったんだぁ~」

 

 分かるわ、ふかふかで柔らかい布団の上でゴロゴロと転がってるだけでも気持ちいいわ。

 

「三人とも敷くの邪魔だから退いてください」

 

 そんなことをしていると、準備していた海未に怒られたので、私たちは十分堪能したので止める。

 

 やり過ぎて、海未を怒らせると、録なことにならないって事はどっかの誰かさんのお陰で十分理解出来てるし。

 

「あっ、花陽ちゃんが眼鏡してるとこ、久し振りに見た」

 

 部屋の隅っこで希に慰められていたはずの沙紀が、立ち直ったのか、こっちに来ると、花陽を見てそんな反応をしたわ。

 

「うん……もう寝るからコンタクト外したの……」

 

「そうなんだ、やっぱり花陽ちゃんは眼鏡姿も可愛いし、似合ってるよね」

 

 眼鏡姿を誉めてる沙紀だけど、花陽はちょっと戸惑ってる。まあ理由は分かるんだけど。今の沙紀の髪型が何時もの三つ編みではなく、ストレート。つまり星野如月時代の髪型だから戸惑ってるのよね。

 

 あいつ基本は三つ編みだけど、寝るときは髪ほどくから。でも何故か眼鏡だけは外さないわよね。意味ないのに。

 

「と言うか、沙紀ちゃん眼鏡好きだって言うけど、自分のやつ伊達眼鏡じゃん」

 

 穂乃果が事実を突きつけると、沙紀はその場で膝を付いて落ち込んだ。

 

「それは……出来れば言わないで欲しかった……」

 

 ホント、沙紀の拘りは謎ね。元々変装のつもりであの委員長スタイルをしてるのに、よっぽどあのスタイルは気に入っているのかしら。

 

「どうして全員同じ部屋じゃなくっちゃいけないの」

 

「合宿だからね」

 

「まぁ、こうゆうの楽しいんよ」

 

 夜でも何時ものようにやってると、真姫ちゃんが根本的な事を言い出してきたけど、絵里と希に便利な言葉によって、なくなく真姫ちゃんは受け入れる。

 

 それにしても沙紀も使ってたけど、合宿だからって言うだけで、今日は大抵みんな従うなんて、ホント便利ね。

 

「じゃ、寝る場所決めましょ」

 

 お布団を敷き終わると、絵里がそう言ってから私たちは自分たちが寝る場所を決め始める。

 

「私ここ~」

 

「えぇ~そこはにこでしょ」

 

「凛はかよちんのと~なり」

 

「じゃあ、私はにこ先輩と──」

 

「はいはい、勝手にしなさい」

 

「えっ!? まだ何も言ってないのに、流石はにこ先輩、愛してる」

 

 沙紀は私の許可を得てすごく喜んでるけど、どうせ、私の横とか言い出すから、沙紀の自由にさせておくわ。

 

 そうして私は自分の寝るとこを決めて、お布団に入ろうとすると、私が寝るはずのお布団に、何故か沙紀が既に入っていたわ。

 

「何であんた、にこのお布団に入ってるのよ!」

 

「えっ? だってにこ先輩が良いって言ったじゃないですか」

 

 あぁ~、そっか。そのパターンね。こいつの中で初めから私の横のお布団で寝るんじゃなくって、私と一緒のお布団で寝ると考えていたのね。流石にそれは予想できなかったわ。

 

 ホント、こいつは私の予想の斜め下を行くわね。

 

「ほら、にこ先輩、私は何時でもwelcomeですよ」

 

 私が自分から良いって言っちゃったから、沙紀はすごくテンションが高いし、さっきの無しって言うと、面倒くさそうな感じがするわ。

 

 不味いわ。沙紀と一緒に寝るなんて、火事の中に裸で突っ込んで行くものよ。一緒に寝たら私の色々な初めてが……いや奪われないわね。

 

 どうせ、沙紀はこういうときは不幸体質が働くし、私の危害を加えられないわ。最初だけ我慢すれば、あとは快適な睡眠が約束されるのよ。

 

「分かったから、にこは寝る前に色々とやるから、そのあとよ」

 

「イエッサー、何時でもお待ちしてます」

 

 そんなわけで何か知らないけど、私は何故か沙紀と一緒に寝る羽目になったけど、周りからは何とも言えない視線を向けられるのだった。

 

 2

 

 寝る前の準備を終えて、私は自分のお布団の中に入る前に、待機してた沙紀を端に退かして、自分のスペースを確保する。

 

「じゃあ電気消すわよ」

 

『は~い』

 

 みんなに確認すると、私はリモコンを使って、部屋の電気を消した。そういえば、さらっとリモコンで消したけど、リモコンで電気を消せる何て、どんだけ金持ちなのよ。

 

 何て、こんなところでも貧富の差を見せつけられて、ちょっと落ち込んでると、私の背中にぎゅっと沙紀が抱きついてきたわ。

 

「にこ先輩の良い匂いがする」

 

 私にしか聞こえないくらい小さな声で沙紀は私の匂いを嗅ぎ始める。

 

 我慢するのよ、にこ。どうせ、すぐにこいつが欲望に身を任せて、自滅するからそれまでの辛抱よ。そう自分の中で言い聞かせて、今は何もしないようにする。

 

 それにしても、抱き付かれてるせいか沙紀の胸が当たってるのだけど……。私は沙紀と違って普通だから当てられたところで、興奮するわけじゃないけど。ただ……。

 

 とても負けたと思ってしまう。

 

 確かに私は胸も大きくないし、背も高くないし……はぁ……自分でそんなこと考えてると、悲しくなってくるわ。

 

 そもそも沙紀は元アイドルで、スタイルは良いのは知ってるけど、それでもやっぱり自分より年下に、スタイルの良さで負けたって思うと、何かムカつくわ。

 

「ヘヘヘ、にこ先輩の背中暖か~い」

 

 ぎゅっと抱きついていた沙紀が、子供っぽい感じでそんな事を言うと、何だかムカついていたのがどっか飛んでいったわ。

 

「にこは暑いのだけど……」

 

「たまには良いじゃないですか、こんな機会滅多にないですから」

 

 確かにこんな事滅多にない。沙紀は私の家に遊びに来ることはあっても、泊まることは数えるほどしかない。多分、沙紀が誰か家に泊まってる回数なら、希の方が多いと思う。

 

 そもそも沙紀がこんな風に私に甘えること事態、そんなにない。何時もの何時ものふざけてばかりで、甘えるとは程遠いことばかりしてる。

 

 けど、本当はこの子は甘えん坊の寂しがり屋なのは知ってる。

 

 本当は誰かに甘えたいのに自分からそうしようとしない。そもそも甘える相手が少なすぎるわ。

 

 私に希、あと絵里もだと思うけど。あと何人がこの子のことそんな子だって知ってるのかしら。多くないことは知ってる。

 

 多くの人は沙紀の事を『白百合の委員長』として見てる。沙紀自信もそう気にしてる様子はないけど、むしろ自分の肩書きを気に入ってるけど。やっぱり……。

 

「私、今日すごく楽しかったです」

 

「そう……」

 

 さっきと同じように私にしか聞こえないくらい小さな声で、今日の感想を口にするけど、その言葉から本当に楽しかったって、気持ちが伝わってくる。

 

「私、部活に入ったこと無かったですから、みんなで合宿とか経験なくって……」

 

 部活に入ったことがないか。確かにアイドルをやっていたら、そんな部活をやってる時間なんてあるわけないから、やれるわけないわよね。

 

「にこ先輩のお陰です、こんな私を誘ってくれて感謝してます」

 

 沙紀をアイドル研究部に誘ったのは私だけど、そこまで感謝される筋合いはないけど──

 

(私が……役立たずだから……要らない子だから……)

 

 急に私は沙紀と初めて会ったときの頃の事を思い出す。

 

 あのときの沙紀は色々と危うかった。何と言うか、表情は暗く、目は死んだ魚のような目をして、何もかに絶望してたそんな様子。

 

 あんまりこんなことを考えたくないけど、正直、何時自殺してもおかしくなかった状況だったわ。

 

 何であの子がそこまで追い詰められたのか、おおよその話は聞いてるけど、やっぱり何と言うか、さっきの沙紀の言葉は今でもいまいち理解が出来ない。

 

 トップアイドル星野如月として、大成功をしてる彼女が、役立たず何て有り得ないし、要らない子何て有り得ない。

 

 そういえば、似たようなことを沙紀に言ったっけ。懐かしいわ。あの後だったっけ、私が沙紀をアイドル研究部に誘ったのは。

 

 我ながら、トップアイドルをスクールアイドルのマネージャーに誘うのは、今でも大胆過ぎたような気もするけど、それは間違いじゃなかって思えるわ。

 

 今の沙紀は大分明るくなったし、入って間もない頃はもうちょっと恥ずかしがって、可愛かったけど……今はウザイ時が多いわね。

 

 それはそれで昔と比べればマシね。昔の方はこっちまで暗くなりそうだったから。ホント、何でこんな変な感じになったのかしら。

 

 入って間もない頃の沙紀は、恥ずかしがり屋の方が全面に出てて、からかうと、すぐに顔を赤くして、反応も可愛かったのに。

 

 今でもたまにそんなことあるけど、そのあとホントにうるさいからねぇ。

 

 でもそんな風に出来るだけ私たちの仲が良くなったって、考えれば、悪くないわね。

 

 それにしても良く良く考えたら、沙紀って星野如月なのよね。何と言うか、今の沙紀って星野如月って感じが全くしないのよね。

 

 星野如月は冷めた目で、冷淡な口調、クールな佇まいで、全体的に冷たい感じなキャラだったけど、今の沙紀とは真逆なのよね。

 

 そもそも何で沙紀がそんなキャラでアイドルをしていたのか、聞いたことなかったわね。

 

 昔は聞ける雰囲気じゃなかったけど、この際、聞いてみようかしら。

 

 私が沙紀に星野如月のキャラについて聞こうとしたとき、パリッと部屋の中からそんな音が聞こえる。

 

「ちょ、何の音? ねぇ」

 

 何の音か分からないから、絵里が反応するけど、妙に恐がってる感じがするのは気のせいかしら。

 

「私じゃないです」

 

「凛でもないよ」

 

「私たちでもありませんよ」

 

「ねぇ誰か明り付けて」

 

 暗くて、見えないから絵里は電気を付けるように言ったから、沙紀はお布団から出て電気を付けて部屋が明るくなると、穂乃果がお布団の中で煎餅を食べていたことに気付く。

 

『あぁ~』

 

 みんなもそれに気付いて声を上げると、穂乃果は驚いて、煎餅が変なことに入ったのか咳き込む。

 

 どうやらさっきの音は穂乃果が煎餅を食べてる音だったみたい。

 

「何やってるの、穂乃果ちゃん」

 

「え~と……何か食べたら眠れるかなって」

 

 そういえばさっき穂乃果たちが喋ってたような声が聞こえて、絵里に怒られたわね。

 

「も~ういい加減にしてよね」

 

 せっかく沙紀に聞こうと思ったのに、台無しにされたし、うるさいから、私は穂乃果たちに怒るために顔をみんなの方へ向けると、みんな驚いた顔をする。

 

「何よそれは……」

 

「美容法だけど」

 

 当然じゃない、アイドルにとって、顔は一番大事よ、それを綺麗にするのは当然じゃない。何でみんなはそんな基本的なことが分からないのかしら。

 

「ハラショー……」

 

「恐い……」

 

「うん……」

 

「美しさを維持するために、そんなことをするなんて……何ておもし……健気……」

 

 私がそんなことを思ってるのに対して、みんなの反応が悪いと言うか、何故か恐がってるわ。ホント、何で。

 

「誰が恐いのよ! あと沙紀、聞こえるわよ」

 

 あいつ、元が良いからって、私のことバカにしてるようなこと言って、ホントに私のこと尊敬してるかしら。

 

「いいからさっさと寝るわよ」

 

 機嫌が悪いまま、リモコンを持って電気を消そうとすると、私の顔に何故か枕が飛んできて私は倒れる。

 

「にこ先輩、大丈夫ですか、一体誰がこんなことを!」

 

 私が倒れたから、沙紀は私の所まで近付いて、私の心配をしたあと、誰が枕を投げたのか犯人探しをし始めると──

 

「真姫ちゃん何するの~」

 

「なん……だと……」

 

 希の声が聞こえて、真姫ちゃんが投げたと聞こえて、沙紀は驚くけど、私は既にそのケンカを買ってやろうって気持ちになっていた。

 

「えっ? 何いってるの」

 

「あんたねぇ~」

 

 真姫ちゃんは何か言ってるけど、私は気にしないわ。そんなに、このスーパーアイドル矢澤にこに、色んなポジションを奪われないために、潰そうって魂胆は見え見えよ。

 

「いくらうるさいからって、そんなことしちゃダメやん」

 

「何するにゃ~」

 

 そんなことを考えてると、今度は凛の方へ枕が飛んできたけど、凛は見事にキャッチして、穂乃果の方へ投げた。

 

「ウグッ、よ~し」

 

 凛の投げた枕を上手くキャッチ出来ず、顔面から枕が当たり、その後落ちた枕を拾って、今度は真姫ちゃんの方へ投げた。

 

「投げ返さないの?」

 

「あ、あなたねぇ~」

 

 枕をぶつけてられて、何もしない真姫ちゃんに煽るような事を言う希。その後、そんな真姫ちゃんに絵里が枕をぶつける。

 

 意外、絵里もそんなことするのね。心の中で、ちょっと驚きながら私は自身のやる気を上げていった。

 

「もう、いいわよやってやろうじゃない」

 

 絵里にもやられ、主犯がやる気になったところで、本格的に枕投げが始まるのだった。

 

「にこ先輩、助太刀します」

 

 やっぱり沙紀は私のところに付く。沙紀が加われば、百人力よ。

 

「フフフ、見せてやろうじゃない……」

 

「私たちの愛の力ですね」

 

「違うわよ」

 

 そんな風に冷静にツッコミを入れて、私たちも本格的に枕投げに参加する。

 

 3

 

「にこ先輩、パス」

 

「分かったわ、くらいなさい」

 

「ゴフッ」

 

 沙紀から枕を受け取って、私は穂乃果に向かって枕を投げると見事に命中する。

 

「流石です、にこ先……ゴフッ」

 

「沙紀ちゃん隙だらけだよ」

 

 見事な連携で枕を当てると、沙紀がはしゃいでると、今度はことりから枕を当てられる。

 

「流石は、私の……ソウルフレンド……やるね……ゴフッ」

 

 やたらと枕投げをしてるときの沙紀は、テンション高いけど、そもそもこんな機会がなかったみたいだから、沙紀にとっては、枕投げ事態が初めての事かもしれないわ。

 

「にこ先輩、危ない、ゴフッ」

 

 そんなことを考えてると、私の方に枕が飛んできたけど、沙紀が盾になる。

 

「大丈夫ですか、にこ先輩?」

 

「えぇ、あんたのおかげでね、それよりもさっきから当たりすぎじゃない?」

 

 枕投げが始まってから、やたらと沙紀に枕が飛んできてる気がするけど、気のせいかしら。

 

「結構当たってますよ、私とにこ先輩に飛んでくるのと、流れ弾に……ゴフッ」

 

 あぁ……、うん。相変わらず運がないわね。自分と私に飛んでくる分は仕方ないとして、流れ弾に当たるのは、ホント、運がないわね。現に今でも当たってるし。

 

 どんどん盛り上がる枕投げを楽しんでいると、誰かが投げた枕の手元が狂って、眠っていた海未に当たる。

 

『あっ!!』

 

「あぁ……大丈夫……?」

 

 みんなが海未に当たる瞬間に声を上げるが、もう遅い。海未はゆっくりと無言で立ち上がると、ことりが怯えた声で声を掛ける。

 

「何事ですか……」

 

「えっ、え~と……」

 

 海未の声がとてもドスの利いた声のせいか、穂乃果はとてもたじろぐ。それ以前に、顔が俯いてるから全く表情が見えなくってすごく怖いわ。

 

「どうゆう事ですか……」

 

「ち、違う……狙って当てたわけじゃ……」

 

「そっ、そうだよ、そんなつもりは全然なかった」

 

 枕を当てられた事を怒ってるのか、当てたと思われる二人が言い訳するけど、全く反応がない。

 

「明日、早朝から練習するって言いましたよね……」

 

「う、うん」

 

「それをこんな夜中に……フフフ……」

 

 不気味な笑いをする海未。何これ、すごく海未が恐いんだけど。

 

「お、落ち着きなさい海未」

 

「不味いよ、これ」

 

「海未ちゃん寝てるときに起こされると、機嫌が……」

 

『あっ!!』

 

「にこ先輩、危ない……ゴフッ!!」

 

 海未が持っていた枕が目に見えないスピードで私の方へ飛んでくるけど、沙紀はそれに反応し、私の盾となって、顔面から海未が投げた枕をモロに受けた。

 

「沙紀!!」

 

「ダメにゃ~、もう手遅れにゃ~」

 

 私は沙紀の名前を呼ぶけど、全く返事がない。凛の言う通り手後れだったわ。

 

「超音速枕……」

 

「ハラショー……」

 

 海未の投げる枕のスピードに驚くけど、あの頑丈な沙紀が有無を言わさず、気を失うほどの威力に、みんな恐怖を感じていた。

 

「ウフフ、覚悟は出来ていますね」

 

 そんなことは気にせず、不気味な笑い声をしながら、海未は起こされた怒りを全員に枕と共にぶつけるため、動き始める。

 

「どうしよう、穂乃果ちゃん」

 

「生き残るには戦うしか……」

 

 海未を止めるために気絶させようと、みんなが海未に立ち向かっていくけど、悉く返り討ちに会い、どんどん倒れていく。

 

 みんなが倒れてくそんななか、私は倒れた沙紀を見ながら──

 

「何で私なんか庇ったのよ……」

 

 そんなことを口にするけど、気を失ってる彼女に返事があるはずはない。

 

 沙紀が私を庇った理由は何となく分かる。私だから。

 

 ホント、バカよね。何で私なんか……。

 

「ごめん海未」

 

 そんなことは考えながら、私は立ち上がると、絵里が海未を気絶させようとするが、見事に返り討ちに会っていた。

 

「沙紀の仇!!」

 

 その瞬間、一瞬の隙を付いて、枕を投げる。幸いなのか沙紀によって、鍛えられた制裁能力が海未の動きに対応出来るようになっていた。

 

 ありがとう、沙紀……。あなたのお陰で海未の暴走が止められそうだわ。

 

 海未を気絶させられると確信した瞬間、不気味なかわされかたをされて、逆に海未は私目掛けて、超音速枕を投げた。

 

「なっ……ゴフッ!」

 

 沙紀が一瞬で気絶させるような枕に私じゃあ成す術があるわけでもなく、私も沙紀と同じように、顔面に枕が直撃する。

 

 ごめん……沙紀……。仇を取れなかったわ。

 

 失いかけてる意識のなか、私の事を庇って倒れた、大切な後輩に対して謝りながら、私は意識を失った。

 

 ちなみに海未は希と真姫ちゃんによって、見事に討ち取ったみたい。

 

 




お風呂で一体何があったんでしょうね。それに沙紀の過去も。

そんなわけで何か色々と気になることが多かったり、ツッコミが多い回でしたけど、如何だったでしょうか。

お風呂の話については……まあ気が向いたらやると思いますよ。多分……。

一応次回で合宿編最後の予定です。

これからの展開なんですけど、取り合えず予告はしておこうと思います。

文化祭の前に夏休み編やります。

合宿の中でチラッと、沙紀が考えてた事をやる予定です。あとその他にも。

そんなわけで、何か感想がありましたら気軽にどうぞ。

誤字、脱字などありましたらご報告していただけると有り難いです。
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