ラブライブ! 委員長はアイドル研究部のマネージャー 作:タトバリンクス
それではお楽しみください。
1
ある夏休みの日──私こと矢澤にこは、後輩二人と一緒にとあるアイドルユニットのライブを見に行く約束をして、後輩たちと一緒に見に行ってきた。
そしてライブを見終えた私たちは時間も時間なので、近くのファミレスで晩ごはんを食べて、今日のライブの感想を語り合っていたわ。
「良いライブだったわね」
「うん!! すっごく楽しかったね」
私がライブの余韻に浸りながら口にしたことに、花陽は笑顔で頷き、その声も心の奥から楽しそうだったのが伝わってくる。
「そうね、例えばこの子のダンスはあんまり上手くないけど、動きとか声とか至る所がいちいち可愛くってすごく癒されたわ」
「そうそう、この子も歌は上手くないけど……ダンスが上手だったから、かっこ良かったよね」
見たばかりでテンションが上がってるのか、同じくアイドル好きな花陽と話して楽しいのか分からないけど、そんな会話が、今日見たユニットのポスターを広げながら一時間ほど続いてる。
「二人とも楽しそうに喋ってますね」
『当然よ(です)!!』
「そ、そうですか……」
今まで黙って会話を聞いていた沙紀が、不意に口にした言葉に私たちは強く反応すると、沙紀は若干私たちの熱に押され戸惑ってる。
「それはもちろん、あんたから見れば劣るかもしれないけど、あのユニットは得意不得意がバラバラで、気になる所はあるけど、それでもバランスが上手くとれて……」
「そうだよ沙紀ちゃん、にこちゃんの言う通りだよ」
私がアイドルに対して語り始めると、花陽が相槌を入れながら、沙紀にアイドルの素晴らしさを伝えるけど、そもそもプロのアイドルに対して、それを語ってる事態、変な話だけど、私も花陽もそれに気づいてない。
「うん、分かったから……あと二人とも顔近いし恐い……」
話すのに夢中になって、いつの間にか私たちは沙紀に詰め寄ったことに言われて気づくと、沙紀の顔から離れる。こういうとき何時もなら興奮する沙紀だけど、私たちの気迫に押されて、珍しくそれすらもない。
「でっ、あんたはどうなのよ、是非ともあんたの意見が聞いてみたいわね」
「わ、わたしも聞いてみたいです!!」
トップアイドル星野如月である沙紀から見て、今日のアイドルはどう見えるのか教えてもらおうとすると、それを聞いて花陽も目を輝かせる。
「私の意見ですか!? そうですね……」
突然、意見を求められて驚く沙紀だけど、嫌そうな顔はせず、今日のライブを思い出すような素振りをしながら、自分の意見を纏めようとする。
「あくまでも私の意見ですので、あまり鵜呑みにしないでくださいね」
少し経ってから意見が纏まったのか、そう念押ししてくる沙紀。私と花陽はそれに頷くと、沙紀は話す前に一呼吸入れてから話し始める。
「私が注目したのはこの子ですね」
沙紀はアイドルユニットのポスターに指を指したのは、メンバーで顔は悪くもなく可愛いんだけど、あまり印象に残らない子だった。
「えっ? この子って確かダンスも歌もメンバーの中で普通だったよね」
「普通と言うよりも平均的な感じがしたわ」
このアイドルユニットは五人組のユニットだけど、沙紀が指を指したのは、その中でもダンスや歌の上手さが大体平均的な子。だから特別気になるような感じでもないんだけど。
「二人の言う通り、この子は全体的に平均的な子だけど、全体的ってのがポイント」
全体的ってのがポイントと言われてもあまりピンと来ない。
「にこ先輩、このユニットって『得意不得意がバラバラで、気になる所はそれなりにある』って言ってましたよね」
「そうね、確かにそう言ったわ」
このユニットはさっき話したみたいにその子以外に、歌やダンスが下手な子やダンスが得意な子、それに歌が上手い子、どっちもそれなりに上手い子がいる。
それに曲によってはそれが前後する場合があるのは、気になってたけど、それは緊張してるからとか、新曲だからとか、思えば分からなくない。
「あっ……」
沙紀の話を聞いて、花陽は何か気づいたのかそんな声が聞こえた。
「花陽……何か分かったの?」
「うん……多分だと思うけど……この子って……思い出したら最初から最後までずっと歌もダンスも安定してる……」
「あっ!!」
気づいた花陽に聞いてみると、花陽は少し自信無さそうに答えると、それを聞いて私は初めて気づくことが出来た。
「他のメンバーは所々気になる所はあるけど、この子は全体的に安定しながら歌って踊ってる……」
「そうです、このユニットは大体二ヶ月くらいに結成したばかりの新人アイドルのユニットでしたよね」
私が気づいたところで沙紀はユニットの結成時期を聞いてきたので、私は頷いて、合ってると合図すると、そのまま話を続ける。
「そんな子たちですから、まだライブに慣れてなく、緊張とかするのは仕方ありません」
確かに沙紀の言う通り、最初の頃はライブとか慣れてないのは、私も花陽も実際に経験して分からなくもない。
スクールアイドルとプロのアイドルを比べて良いのかいまいち分かんないけど、緊張するのは、多分同じだと思う。
「けど、この子はそれに負けず、安定した歌やダンスを出来るそれはそうそう出来ることじゃないですから」
「それにダンスや歌は練習すればまだ伸びると思いますので、これからの頑張り次第と言うことで、私はこの子に注目しました」
沙紀はそう言って纏めると、喋って喉が渇いたのか、飲み物を飲んでホッと一息付いた。
「どうですか? にこ先輩、それに花陽ちゃん」
「そうね、あんたらしい考えね」
沙紀は物事や意見に対して、先入観を持たず、冷静に判断することがある。物事をちゃんと理解するにはそれが一番だと本人は思っているから。
そうすることで広い視野を持ち、小さな事でもすぐに気づけるように出来るようにしてる。ようは周りをよく見てるってだけなんだけど。
そういう沙紀だからこそ、この子の良いところに気付いてそう判断したんだと思う。
「沙紀ちゃんってよく見てるよね」
「そう? 普つ──」
「いや彼女は実際によく見てるよ」
沙紀が何時もの口癖を口にしようとすると、急に私や花陽以外の何処か中性的な声が沙紀の声を遮った。
私たちは声が聞こえた方へ顔を向けると、そこには全体的に中性的な感じで、男性なのか女性なのか分からない人が立っていた。
「誰かが興味深い話をしてると思ったら、まさか、君だったとはね」
そう言いながらその人は沙紀の方を見ると、沙紀は震えるような声で──
「な、何で……あなたがここに居るんですか、
その人の名前を口にした。
2
「いや~、聞き覚えのある声がすると思ったら、君だったから、つい声を掛けてしまったよ、ごめんね急に話に入って」
「別に……」
突然、現れた古道って言う人はとても軽い感じで沙紀に話してるけど、話し掛けられた本人はまだ動揺してるのか、声が小さく震えてる。
「久し振りに会うけど、君は相変わらずだね」
「そんなこと……ないです……」
話し掛けてくる古道さんに沙紀は目線を合わせようとはせず、俯いて顔すら合わせないようにしてる。
「え~と、沙紀……とりあえず座って貰ったら、知り合いなんでしょ……」
沙紀の知り合いなら立たせておくのは失礼だと思うし、それにこう通路にずっと立ってるのは、他の人にも迷惑だと思うからそう勧める。
「ん? そうか、なるほどね……わざわざ気を遣わせてごめんね、じゃあ、ちょっと失礼するよ」
「悪いと思うなら……わざわざ声を掛けなくてく良いのに……」
古道さんが妙な反応をしてから、沙紀の横に座ると、俯きながら沙紀はずれながらボソッと小さな声で文句を言ってた。
私は古道さんが座る際にこの人の事を少し観察する。
年齢はどうかしら二十歳前半くらいに見える。顔も体も声も全体的に中性的な感じで、髪型もショートヘアーで、男性女性どっちにも見える。そのせいでちょっと不気味。
「え~と、沙紀とは……どんな関係なんですか?」
さっきの沙紀の反応からや会話から、昔からの知り合いなのは分かるけど、どうもいい関係とは思えない。
現に沙紀は心を落ち着かせようと俯きながら、飲み物を飲もうとしてるから。
「この子と僕の関係? そうだね……元カノかな」
「ゴホッ!! ゴホッ!!」
古道さんが二人の関係の衝撃的な関係を口にすると、飲み物が変な所に入ったのか、沙紀が急に咳き込み始める。
「沙紀ちゃん大丈夫!!」
「ありがとう……花陽ちゃん」
花陽が沙紀を心配しておしぼりを手渡すと、沙紀はそれを受け取って、口元を拭くけど、古道さんはその沙紀の姿を見て、ニヤニヤしてる。
「にこ先輩が勘違いしないでください!! この人の言ってることはデタラメですから」
「いや何で私が勘違いするの前提なの」
「うぅ……だって……」
顔を紅くして、恥ずかしそうにして立ち上がる沙紀にそんなツッコミを入れると、恥ずかしそうに座る。まあ、その前提としてる理由は分からなくもないけど。
「ハハハ、やっぱり君の方が反応が分かりやすくて良いね、それに相変わらずそっち系なんだね」
私と沙紀のやり取りを見てからか、楽しそうな笑い声を上げる古道さん。
「誰のせいだと思ってるんですか……」
ボソッと小さな声で文句を言う沙紀。やっぱりどんな関係なのかいまいち分からない。
どう見てもさっき古道さんが言ってた関係ではないのは確かだと思うけど。沙紀の好み的にもどっちとも言えない人はないと思うから。
「本当はどんな関係なんですか?」
「これを見てもらった方が早いかな、私こういうものです」
私はもう一度同じ質問を古道さんにすると、古道さんはポケットから名刺を取り出して、私と花陽はそれを受け取ると、そこには──
『NEGプロダクション アイドル部門担当
「こ、こ、こ、これって……に、に、に、にこちゃん……」
「い、い、い、い、いやただの見間違いよね……」
私と花陽は信じられず、お互いに貰った名刺を確認するけど、書いてあることは同じで見間違いでもない。つまりこの人は……。
本当に合ってるのか確認するために、私と花陽は一斉に沙紀の方を見ると、私の表情から察したのか頷いてから口にし始める。
「はい……想像通りです、この人はわたしのプロデューサーだった人です」
「だったじゃないよ、今でも僕は君たちのプロデューサーだよ」
沙紀の言ったことに古道さんは訂正を加えるけど、そんなこと私たちにとっては、どうでも良かった。何故なら。
「花陽、あのNEGプロよ!!」
「うん、あの星野如月ちゃんやユーリちゃんたちトップアイドルが所属してたあのNEGプロだよね!!」
そう、花陽が口にした二人を筆頭に多くのトップアイドルたちやモデルを産み出してきたアイドル業界一の大手。
大手ゆえ門の狭さとトレーニング厳しいことで、脱落者も多くて有名だけど、プロのアイドルを目指すものなら誰もが所属を夢見る事務所。プロを目指すならNEGって言われるくらい。
「光栄だね、μ'sのお二人にうちの事知ってもらってるなんて」
『!?』
私と花陽はテンションが上がっていて、色々と喋ってると、古道さんの口からμ'sって言葉が出たことに同時に驚く。
「ど、どうして私たちの事知ってるんですか」
「仕事柄上、スクールアイドルのことは常にチェックしてるから、当然君たちμ'sの事も知ってるさ」
確かにチェックをしてるんだったら、最近ランキングが上がって、知名度も上がってきたから、私たちの名前を知ってても可笑しくないと思う。
「そうなんですか、でも、どうして……」
「この人……一応スカウトの仕事もやってるんだよ」
花陽の疑問に古道さんではなく、沙紀が答えるが私はいまいち沙紀が言ったことが理解できなかった。
今、沙紀何て言ったの? スカウトとか聞こえたような気がするけど、気のせいよね。
「一応じゃないよ、これも僕の仕事の一環、君もよく知ってるでしょ」
「はい、よく知ってますよ……」
何て古道さんが軽い感じで話して、沙紀は相変わらず古道さんとは目線を合わせない会話をしてるけど、そんなことは私にはどうでもよかった。
「ほ、ほ、本当にスカウトのお仕事やってるんですか……」
「そうだよ、やってるよ」
私は恐る恐る確認すると、古道さんは笑顔で頷いた瞬間、私の行動は早かった。
「私、矢澤にこです、よろしくお願いします!!」
「ちょっとにこ先輩何やってんですか!!」
突然、古道さんに頭を下げた私に驚く沙紀。どうやらこの状況を理解してないみたいね。
「何って決まってるでしょ、相手はスカウトマンよ、アピールするに決まってるじゃない」
それに昔、ネットとかで見たことがあるわ。実力のあるスクールアイドルには事務所から、直接お誘いが来るって、多分、古道さんはその手の人なのよ。
しかもあのNEGのスカウトマンって言うプレミア付き。こんなチャンス滅多にないわ。何としてでもアピールしないと。
「それは分かりますけど、よりによってこの人に頭下げるなんて、しかもアピールって言っちゃってますよ、そんな図々しくってお茶目なにこ先輩大好きです」
「あっ!! つい本音が……ってどさくさ紛れに何言ってるのよあんたは」
何時ものようについ沙紀の頭を殴ってしまうが、私はさらに自分のミスに気が付いた。
「違うんです、何時もは──」
「い、痛いです、にこ先輩」
「あんたは黙ってなさいよ」
急いで弁解しようと古道さんの方を見るけど、古道さんの反応は、何か意外な物を見るような表情をしてた。
「え~と……どうかしましたか……」
「いや、本当に珍しい物が見れたなって」
「!!」
私は緊張しながらも古道さんに声を掛けると、古道さんは沙紀を見ながらそう口にして、何故か沙紀は恥ずかしそうに顔を紅くした。
「わ、私……ちょっと……席を外します……」
少しすると、沙紀は立ち上がり席から離れて、トイレの方へ行ってしまった。離れるときの沙紀の顔はやっぱり顔を紅くして、恥ずかしそうだった。
そうしてこの席には私と花陽、そして古道さんだけになってしまった。
3
ど、どうしよう。ついテンション上がって、沙紀と何時ものノリをやってしまったわ。これじゃあアイドルのスカウトじゃなく、お笑い芸人のスカウトをして欲しいみたいじゃない。
取り残された私はさっきの失態についてすごく後悔をしていた。
それに知り合いの沙紀が席を離れたから、一体何を話せば良いのか分からないし、現に花陽もすごく困った顔してる。
「そういえば君たちって、あの子とどういう関係なんだい、あの子がアイドルやってたの知ってる感じだったけど」
「えっ? え~と……同じ部活で、μ'sのマネージャーをやってもらってます」
「それで……一緒に活動をしてたら、沙紀ちゃんが如月ちゃんだと気付いて……そのあと沙紀ちゃんから教えてもらいました」
沙紀が星野如月だと喋った辺りは少し違うけど結果的にはそうだったから問題なく、私と花陽は古道さんの質問に答える。
「……あの子、学校でもあんな感じなのかい」
質問に答えてから、古道さんは少し考えるような顔をしてから、次の質問を私たちにしてきた。
「えっ? はい……大体あんな感じです、そうよね花陽」
「う、うん……明るくて、楽しそうにしてます……」
あんな感じとは、多分何時ものテンション高い沙紀の事だと思うから、私も花陽もそう答える。
「そうか……なるほどね」
質問に答え終わると、小さな声で短く何処か納得するような感じだった。
「まさか、あの子がスクールアイドルのマネージャーを引き受けるなんてね……」
とても驚いたような口振りで呟く古道さん。でも自分がプロデュースしてたアイドルが、休業中にスクールアイドルのマネージャーをやってたのだから、驚かない方が無理だと思う。
「どうだい、あの子ちゃんとマネージャーの仕事やれてる」
「はい……ふざけてるけど、私たちの事ちゃんと見てたりして、体とかも気遣ってくれてますし」
「色々と相談にも乗ってくれます……」
今度はそんなことを聞かれたので、私たちは沙紀がどんな風にマネージャーをやってるのか答えると、古道さんはとても興味深そうに話を聞いていた。
多分、普段沙紀の前では絶対に恥ずかしいから言わない事も本人が居ないから喋る。居たら居たでそんな話を聞かれると調子に乗るし。
こんな風にマネージャーをやってる沙紀の事を話してるけど、よくよく考えたら、結構不味い状況なんじゃない。
休業中とはいえ、事務所に無断でプロがスクールアイドルのマネージャーをやってるなんて、問題あると思うけど。そもそもあいつ事務所に伝えてなかったのね。
「そうかそうか、しっかりやってるんだあの子」
「怒らないんですか、勝手にマネージャーをやってたこと……」
「怒る? そんな無粋なことはしないよ、むしろあの子が自分の才能を使っていることを喜ぶべきだからね」
まるで沙紀の親のようにとても嬉しそうな反応をしてるから、私は思わず、そんな質問をしてしまったけど、古道さんは全く沙紀の行動を咎める気はなかったみたい。
「いや~、事務所にいた頃から、ユーリに色々と教えてる姿を見て、あの子にはマネージャーとかトレーナーの才能があるなって思ったんだよね」
『えっ!!』
沙紀がマネージャーをしっかりやってて嬉しいのか、古道さんの口から、何かとんでもない事が聞こえて、私と花陽は今日何度目かの驚きの声をあげる。
ユーリって、沙紀とユニットを組んで、今でも現役高校生アイドルとして活躍してるユーリちゃんのこと?
「その話、ホントですか!! あのユーリちゃんが!!」
「う、うん……そうだよ」
アイドル好きとしてそんな裏話放っけるわけなく、花陽は目を輝かせながら近づくと、花陽の急変に驚いたのか古道さんが若干戸惑ってる。
「あの子たちって事務所内でも有名なくらい仲良くって、ライブとか近くなると、ユーリは苦手な所をあの子にコツを聞いて、一緒に練習してたりしてたんだよ」
ブログとかであの二人が仲良かったのは知ってるけど、事務所レベルで有名なくらいなんて知らなかったわ。
「僕もたまに二人の練習姿を見ていたけど、あの子やけにコツとか教えるのが上手くてね、気になって調べたらあの子、うちの専属トレーナーに色々と聞いて、勉強していたみたい」
勉強熱心だよね、なんて軽い感じで言う古道さん。
沙紀は教えるのが分かりやすくし、練習とか組むのとか上手いと思ってたけど、まさか専属トレーナーから自主的に勉強してるなんて。確かにあんなに上手いのは納得だわ。
「あの子はよく見てると言うか、目が良いんだよ、ほら、さっき君たちも話してたよね」
そういえば沙紀はよく見てるって話、古道さんが話しかける前にしようとしてたわね。その話しなくても、沙紀はよく見てるって思ってたけど。
「昔から相手を観察して真似る癖があったからね、その人の良いところも悪いところも全てね、良くに言えば、相手を観察して長所と短所を洗い出すことが出来るんだよね」
「それ心当たりあります、沙紀が組む練習って、そう言った部分が分かりやすかったです」
オープンキャンパスのときに組んでくれた練習メニューは、まさにそんな感じだったわ。各々が得意なところがちゃんと伸びるように、苦手な所は克服できるようにする練習。
「あの子はそういった才能と知識を使って、効率よく人を伸ばす能力に長けてる、もっと言えば君たちのような才能の子だと、さらに効率よく伸ばすことができる」
「さ、才能がある……」
「私たちが……」
沙紀の才能に改めて驚くけど、私たちはまたさらっと古道さんが口にしたことにとても戸惑ってた。
「あれ、自覚ないのかい? 千近くあるスクールアイドルのなか、結成してから僅か数ヵ月で五十位圏内入るなんて、才能があるとしか言いようがないけど」
「でもそれは沙紀が教えるのが上手いからだと……」
「いやいや、いくらあの子でも、流石にそれだけじゃああそこまで短期間で順位を上げれないよ、これは君たちの実力だよ、そこは誇っていい」
まさか、あのトップアイドルを育成するNEGのプロデューサーにそんなことを言われるとは思ってもみなかったわ。
「僕の見立てだともう少しすれば、二十位圏内……つまりラブライブ出場枠まで入れると予想してるんだけど──そこのところ、どうお考えなのかな」
そう質問したけど、目線は私たちではなく、別の方を向いて、私は古道さんの目線の先を見ると、沙紀がいつの間にか戻ってきていた。
「どうって……人が席を外してる間に何話してるんですか……」
「ちょっとした世間話だよ、それよりもどうなんだい」
「そうよ、教えなさいよ」
そんな話一切聞いたことなかったから、私は沙紀に言うように命令する。花陽も気になるようで、ちょっと遠慮ぎみに頷いてる。
「分かりました、にこ先輩や花陽ちゃんがそう言うんだったら話しますよ」
「話を振ったのは、僕なのに無視なのかい」
古道さんのツッコミを完全に無視して、席に座る沙紀。やっぱり珍しいわね沙紀がこんな態度取るなんて。
「確かに古道さんの言う通り、私ももう少しすれば、二十位圏内に入るとは予想してます」
「じゃあやっぱり、私たちラブライブに出場出来るの!?」
初めてのスクールアイドル祭典であるラブライブに私たちが……。夢にまで見た大きなステージで……。
「いえ、結構ギリギリのラインで幾らでも状況がひっくり返るかなりキツイ所だと思います」
「確かに……他のスクールアイドルもラストスパート掛けてくるよね……」
そうよね、あのランキング方式なら幾らでも逆転される事なんて有り得るわ。
「なので、さらに知名度上げるために、この夏に一回ライブをしようと考えて、みんなに相談しようとしたんですけど……」
そう言って沙紀は古道さんの方をチラッと見る。隠すつもりはなかったみたいだけど、話の流れで隠してた感じになるわね。
「なるほど……沙紀の考えは分かったわ」
沙紀はきっと私たちが最後まで油断しないようにするために、敢えて言わなかったのね。
「そうかそうか、ちゃんと色々と考えてるみたいだね」
「当然ですよ、私はμ'sのマネージャーなんですから」
「よしなら、今日会ったのは縁だし、君たちに一つライブの依頼をしよう」
『えっ?』
突然の古道さんの提案に私たちは惚けたような声を出してしまった。
「どういうつもりですか……」
「何、君と僕の仲じゃないか、それに実は今日この辺りに来てたのは、君たちに頼もうと思うライブ関係なんだよ、だから縁だと言ったんだ」
沙紀は古道さんの意図が読めないみたいで警戒してるけど、古道さんはホント軽い感じで頼んでるようにしか見えない。
「本音を言えば、僕自身が直でμ'sのライブを見たいってのと、にこちゃんが僕にアピールしてきたからね」
「えっ!?」
まさかあのアピールが効いたの。マジで、あんなので。
「詳細は君にメールで送るから確認してくれ、まあ引き受けるかどうかは君たちに任せるよ」
「分かりました、一応考えておきます」
「それじゃ、いい返事待ってるよ」
沙紀の返答を聞くと、古道さんは立ち上りその場から立ち去って行った。
「どうするの沙紀ちゃん……」
古道さんが立ち去ってから見えなくなると、花陽は沙紀に仕事を受けるのか聞いてた。
「そうだね、取り敢えず詳細を確認してからみんなで相談かな」
「まあ……そうよね」
流石にこれは私たちがここで勝手に決めるのは良くないから、今度集まるときにでも話し合うしかないわね。
そんなわけで私たちはこれ以上話すのは止めて、あとはゆっくりしてから家に帰って、今日は解散することになったわ。
今回は沙紀の最愛の先輩、にこ先輩が語りでした。
それどころか今まで登場を匂わせてなかった新キャラ登場。
ここで沙紀の事務所の捕捉説明をしますと、規模的に言うと、大体アイマスの346プロ並の規模だと予想してください。
そんなわけで彼?彼女?が持ってくる仕事は一体何なのかどうぞお楽しみに。
何か感想などありましたら気軽にどうぞ。
誤字、脱字がありましたらご報告していただけると有り難いです。