ラブライブ! 委員長はアイドル研究部のマネージャー   作:タトバリンクス

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お待たせしました番外編。

サブタイの時点でお察し下さい。

そしてUA5000と更にお気に入り五十人を越えることが出来ました。

こうして皆様に読んでいただけて私自身の励みになります。

それではお楽しみください。


幕間一 そうだ、希先輩の家に泊まろう

 1

 

 前回のラブライブ。

 

 久しぶり、東條希や。凄く久しぶりに語り手をやるやけど、まさか初めて語り手やってからかなり時間が空くとは思わなかったんや。

 

 まあ、そんなことは置いておいて、前回のラブライブ言っているけど果てしないほど前のあらすじなんやけどね。

 

 え~と、みんなは覚えてるかな? 委員長ちゃんのこの台詞を。

 

『じゃあ、私を慰めるために今日、希先輩の家に泊めて下さい』

 

 覚えている人あまりいないよね。なんせ、一ヶ月以上前のことやから。割りとリアルで。

 

 はい。というわけで今回は委員長ちゃんがウチの家にお泊まり来た話や。

 

 事の発端はウチが委員長ちゃんをからかい過ぎて委員長ちゃんが拗ねた事から始まってしまった謎のお泊まり回。しかも言った本人は凄く楽しみにしている様子やし。

 

 まっ、ウチはウチで楽しみになってきたから全然問題ないかな。

 

 そんなわけでお泊まり回の始り始まりや。

 

 2

 

「とりあえず、これで良いかな」

 

 学校から帰ってきたウチは家の中で人に見られそうなところは一通り掃除して、ほとんど綺麗になったのを確認したんや。

 

 そもそもちゃんと毎日掃除しているからそこまで汚くなってないんやけどね。でも今日は委員長ちゃんが来るから念のためにやっておかないと、何言われるか分からないからなあ。

 

 まあこれで掃除も終わったからそんな心配もないことやし、後は委員長ちゃんが来るまで晩御飯の準備かな。

 

 でも、何を作ろうかな。委員長ちゃんの好きな食べ物ウチそういえば知らないし、でも委員長ちゃんの事だから(女の子が)作った料理は喜んで食べそうやし、ならウチの好きなお肉料理にしようかな。

 

 いや……やっぱりここは委員長ちゃんが来てからご飯を作っても良いかもしれない。今日は委員長ちゃんがリクエストした料理を作ってみようかな。

 

 そんな風に考えていると、ウチはお昼に見た修羅場ドッキリの事を思い出したんや。自分の体液を料理に混ぜませるとか言うちょっと頭がおかしい事を。

 

 そんな事を思い出して、即座にウチはその事を忘れることにしたんや。だって、割りと本気でやりそうやもん。

 

 そんなわけでウチは委員長ちゃんが来るまでゆっくりすることにしたんや。

 

 だけど委員長ちゃんが来るまで何してようかな。

 

 ウチの家から委員長ちゃんの家までどのくらい距離があるのかは分からないけど、荷物を取りに一旦家に寄ってから来るって言っていたから時間はまだまだ掛かるやろう。

 

 何て考えていたら、インターホンがなったのが聞こえた。ウチは思わず驚いてしまったやけど、すぐに建て直して画面を確認してみる。画面を見ると、委員長ちゃんだったので、玄関に向かって鍵を開けに行く。

 

 鍵を開けて玄関の扉を開けると、そこには制服姿で学校指定の鞄と別の荷物を持っている委員長ちゃんが居た。

 

「いらっしゃい、委員長ちゃん」

 

「えっ、はい、希先輩。お邪魔します」

 

 委員長ちゃんをリビングまで案内する。それからウチはキッチンに行って、冷蔵庫から冷やしてあった麦茶を用意して委員長ちゃんの前に置いた。

 

「委員長ちゃん。なんかそわそわしているけどどうしたん」

 

 キッチンからリビングを覗いていると、ずっとそわそわしてどうも落ち着きのない感じ。

 

「いえ、なんと言いますか。希先輩の都合も考えず、その場の勢いで泊まらせて下さいって言ってしまって、正直……迷惑だったんじゃないかと思いまして……」

 

 ああ、そういうこと。委員長ちゃんわりと真面目やから家に帰って冷静に考えてみると、急に泊まるって言ったらウチに迷惑だったじゃないかと心配してたみたい。

 

「別に気にしなくて良いやよ。ウチもその場のノリで良いって言ったんやし」

 

 あのときはウチも何か委員長ちゃんに乗せられて、ちょっとテンションがおかしかったからどっちもどっちやし。

 

「それにウチは委員長ちゃんとこうして一緒にお泊まりするのは楽しみにしてたんやから」

 

 あまり委員長ちゃんとこうして二人でいる機会が少ないから、これを通して委員長ちゃんと仲良くなりたいなって思っているんやから。だから、ウチはそこまで迷惑とか感じないんよ。

 

「本当に迷惑じゃないですか」

 

「本当や」

 

 確認のためにもう一回聞いてくる委員長ちゃんにウチは笑顔で答える。すると、安心したみたいで、ウチがそう言うとホッと、胸を撫で下ろした。

 

「良かったです……。正直かなり後ろめたさがありましたから……」

 

 委員長ちゃんは少し恥ずかしそう顔する。その顔をとても可愛かったので、ちょっとドキッとしてしまったのは内緒や。

 

「さてと、今からウチがご飯作るんやけど……委員長ちゃんはなに食べたい?」

 

 ウチはキッチンに移動してエプロンを着けながら委員長ちゃんに何が食べたいのかを聞いてみた。

 

「えっ? 希先輩作ってくれるんですか?」

 

 ウチがご飯を作ると言うと委員長ちゃんは驚いた顔をした。どうやらウチが作ってくれるとは思わなかったみたいやね。

 

「もちろんや。だって、委員長ちゃんお客様やもん。家主であるウチがもてなさんといかんやろ」

 

「それもそうですが、やっぱり私も手伝いますよ。何か、急に上がり込んで更に晩御飯まで作っていただくなんて気が引けますから」

 

 委員長ちゃんをもてなそうとするウチに対して委員長ちゃんは気が引けるからウチを手伝おうとする。

 

 多分、このまま行くとウチが押しきられるか平行線まま時間が過ぎていきそうな気がするなあ。

 

 何か、良い方法はないかな。そうや!! 

 

「なら、先輩命令や。今日、ウチが言ったことは絶対やから委員長ちゃんはウチが言い切ったことは絶対聞かないといけないや」

 

 こう言えば流石に委員長ちゃんも引いてくれるやろ。割りと先輩に対して敬意は持って行動しているから、こう言っちゃえば委員長ちゃんも言うこと聞くやろ。

 

「うぅ、分かりました。先輩命令なら仕方がないですね」

 

 思った通り引いてくれた委員長ちゃん。その顔はちょっと複雑そうやけど、これで委員長ちゃんも少しは気が楽になるはず。

 

「そんなわけで、委員長ちゃんは何が食べたい? 変わった料理以外ならウチ大体一通り作れるから遠慮なく言ってや」

 

「何が食べたいと言われましたても、私可愛い女の子が作ってくれた料理は喜んで食べますし、それに作ってくれるのが希先輩なら、何でもお米の一粒まで噛み締めながら喜んで食べますよ」

 

 何が食べたいって聞くと、委員長ちゃんは少し考えなから大体予想通りの事を言ってきた。

 

 やっぱり、女の子が作ってくれた料理は喜んで食べるんやな。しかも噛み締めながらって、どれだけ女の子の料理を楽しみにしているや。

 

 しかし、何でもと言われてもこっちが困るしどうしようかな。

 

 なら、ここは委員長ちゃんの直感に任せるとしようかな。

 

「じゃあ、委員長ちゃんがパッと思い付いた料理を言ってウチが作るから何か言ってみてや」

 

 ほぼ当てずっぽうみたいな決め方やけど、案外良い案かもしれないかな。

 

「そうですか。思い付いた料理ですか…………」

 

「肉じゃが」

 

 それから少し考えてから委員長ちゃんはそう口にしたんや。

 

「OK、分かったで。肉じゃがやな」

 

 そうしてウチは肉じゃがを作るために準備を始めたんや。

 

 3

 

「何で、委員長ちゃんは肉じゃがを思い付いたや」

 

 キッチンで料理を作りながら、ウチは今日の献立である肉じゃがを思い付いた理由を聞いてみる。

 

「そうですね。男性の方が女性に作ってもらいたい料理が肉じゃがだと聞いたので、多分……それを思い出したからだと思います」

 

「ああ、そう言えばそんなことよく聞くなあ。何でやろうね」

 

 テレビとか本とかでよくそんなこと聞くけど、実際の男の人はどうしてそんなことを思うんのやろうか。別に肉じゃがでもなくてももっといっぱいあると思うのに。

 

「多分ですけど、肉じゃがって家庭によって作り方が微妙に違うからなんじゃないんですか。所謂──家庭の味ってのが、男性の方は食べたいんじゃないかと」

 

「確かに家によっては肉とじゃがいもだけしか入ってないところや、アスパラとかニンジンとか入っているところがあるもんね」

 

 ウチも他所の家庭の事は知らないやけど、家庭によっては入っている具材も調味料も違うから確かに家庭の味って言うのはあるかもしれない。

 

 因みにウチは肉多めのニンジンアスパラ入りの砂糖少なめの肉じゃがや。

 

「まあ、私あまり男性の方がどう思っているのか興味ありませんけど」

 

 うん。まあ、委員長ちゃんならそう言うと思ったよ。本当に委員長ちゃんそっち系のなんやね。

 

「でも、まあ委員長ちゃん。そんなこと言いながらも中学の時モテてたんやないの」

 

 委員長ちゃん、スタイルが良いから学校だと噂になっていっぱい男の子から告白されてそうやん。

 

「いえ、そんなこと無かったですよ。私中学は女子校でしたので、同世代の男の子とはあまり縁がなかったですから」

 

「へぇ~、そうなん。委員長ちゃんも中学は女子校やったんやな」

 

 ウチは違うけど、音ノ木坂の生徒の中には中学の子も多いから、なるほどなら納得や。でも、そうなると同世代の男の子は可哀想やな。

 

 こんなスタイルが良くて可愛い子をお目に掛かれず当の本人はそっち系やから告白されて玉砕確定やし。あれ? なら告白失敗しないから逆に良かったかな? 

 

「まあ、仕事柄上男性の形とは触れ合う機会はありましたけど……」

 

 何て考えていると委員長ちゃんはボソッと何か言った気がするけど気のせいかな。

 

「それにしても希先輩流石ですね。料理を作る手際が良いですね。やっぱり一人暮らししているから何でしょうね」

 

「そうかな。割りと普通やと思うんやけど。まあ、一人で暮らすには家が広いから必然的に手際が良くなるやん」

 

 ウチの家はマンションの一室やから一人で暮らすには広いし、やっぱり一人暮らしやから色々とやらないといけないからな。

 

 そう考えると毎日家事とかやっている主婦の皆様は凄いなあ。何て実感してしまうなあ。

 

「なるほど、希先輩の母性の強さはここから来ているわけです」

 

「そうやろうか。そんなにウチってお母さんみたいに見える?」

 

 よく周りからウチは何かそんな風に見えるって言われるけど委員長ちゃんもそう思っていたんやな。何でやろう。そこまで委員長ちゃんみたいに変なことはしていないんのに。

 

「はい、実際にキッチンに入って料理を作っている姿を見ていると凄くお母さんです」

 

 委員長ちゃんにそう断言されるレベルでウチはお母さんみたいなんや。それはそれで喜べば良いのやら悲しめば良いのやらすごく分かりにくいやけど。

 

「何か、凄く複雑やな。この年でお母さんみたいに、って言われるのは」

 

「なら、お姉ちゃんですか。私希先輩みたいなお姉ちゃんなら居たら凄く嬉しいですし」

 

 お母さんが嫌ならお姉ちゃんって、確かにそう呼ばれるのは年齢的には悪くはないけど、それは──

 

「委員長ちゃんの願望やろ」

 

「バレちゃいました」

 

 バレバレや。委員長ちゃんは女の子(特ににこっち)に自分の欲望をぶつけようとするところがあるから、見ているぶんには良いやけど巻き込まれるとなかなか大変なんや。

 

「お姉ちゃん」

 

 何か、急に委員長ちゃん、ウチの事をお姉ちゃんって呼び始めたやけど。もしかしてこれってよくにこっちがやられる委員長ちゃんの悪ふざけが始まったの!? 

 

「どうしたの? お姉ちゃんボーッとしてお肉が焦げちゃうよ?」

 

 凄く純粋で曇りのない瞳でウチを見てくる委員長ちゃん。そのせいで、と言うか唐突に始まったからウチは思わず身体が状況に付いて来れず固まってしまったんや。

 

 委員長ちゃんに指摘されてウチは気付いて手を動かす。危ない危ないお肉を焦がしてしまってじゃがいもしかない肉じゃがになるところやった。

 

「もう何やってるの? お姉ちゃんドジなんだから」

 

 何やっているのはこっちの台詞なんやけど。しかし、これはヤバイ状況や。委員長ちゃん一気に自分のキャラを変えて雰囲気を変えてしまった。

 

 さっきみたい、緊張している様子とかなく(会話しているときからもうしてなかったけど)完全に自分の家みたいに気が楽になっているし。

 

「さっきからお姉ちゃん喋ってないけど、どうしたの?」

 

 どうしたもこうしたも委員長ちゃんが急に妹キャラになるからウチの頭が付いて来れずどうしたら良いのか分からなくって困っているや。

 

「もしかしてお姉ちゃん。私のこと嫌いなの? だから私のことを無視するの」

 

 瞳を潤わせながら上目遣いでウチの事を見てくる委員長ちゃん。しかも小動物のように少し震えながらこっちを見ているから尚更、何かこう可愛いと思ってしまうんや。

 

「止めや止めや。委員長ちゃん、妹キャラは禁止や」

 

 このまま委員長ちゃんを妹キャラで放置するとウチの身が持たないから先輩命令で強制的に止めさせる。

 

「はぁ、分かりましたよ。止めます」

 

 そう溜め息をつきながら妹キャラを止めてくれた委員長ちゃん。凄く嫌そうな顔をしているやけど。

 

「せっかくこのまま希先輩を攻略出来ると思ったんですけど」

 

「攻略!? 何や委員長ちゃん。ウチを落とそうとしていたの」

 

 なんかボソッとまた言っていたけど、今度は聞き捨てならないことが聞こえていたから思わずツッコンでしまったんや。

 

「しまった。いえ、攻略何て言ってませんよ。こう焼くって言ったんですよ」

 

 凄く見苦しい言い訳をする委員長ちゃん。こう焼くって言い訳はないと思うやけど。何をこう焼くんやお肉なの。今ウチが焼いているお肉の事を言っているの。それにしまったって言ってるし。

 

「そ、そ、そんなことよりも希先輩が母性的なのは日々の一人暮らしの賜物だって事が分かりましたから、私の疑問は解決されました」

 

 あっ、話を剃らした。委員長ちゃん動揺しすぎや。

 

 何か、こう委員長ちゃんは大概の事は出来るくせに人間関係(特に女の子)になると急に残念になるなあ。変なことを口走るようになるし、よく分からない行動するし。

 

 まあ、それが委員長ちゃんの可愛いところなんやけど。

 

「そう言う委員長ちゃんはどうなの。料理とかはするの?」

 

「料理はしますよ。お弁当だって自分で作りますし」

 

「ああ、そういえば今日持ってきていたなあ」

 

 委員長ちゃんに言われてお昼にウチに修羅場ドッキリをしたときにお弁当を持ってきたなあ(ちゃんと、にこっちの分まで)なんて思い出す。修羅場ドッキリのインパクトのせいですっかり忘れていたんや。

 

「そうなんや。でも大変やよね。朝早く起きないといけないから。お母さんとかに作ってもらわないの」

 

「いえ、私も希先輩ほどでは無いですが、小さなアパートで一人暮らししてますから家事は自分でやらないと行けませし」

 

 えっ、委員長ちゃんも一人暮らしなんや。知らなかった。

 

 あっ、でも委員長ちゃんなら納得や。委員長ちゃん、さっきも言ったように女の子以外のことならしっかりしているし。

 

「でも、一人で暮らすの寂しくない」

 

 ウチも一人暮らし始めてから三年くらいになるけど、最初は家に一人しかいないって思うと寂しいなって思ったとき何回かあったし。

 

 高校に入って初めて一人暮らしを始めると家に帰っても誰もいないって気づくとなんと言うか。この広い部屋に一人しかいないって思い知らされるから寂しさが込み上げてくるから。

 

 でも、ウチが望んで一人暮らしするって言ったから文句は言えた立場じゃないし、それにウチにはここに居たいって理由があるから。

 

「別にそんな風に思った事はありませんよ。もう馴れてますから」

 

 やっぱり、委員長ちゃんはウチとは違うなあ。多分、両親が共働きで委員長ちゃんはしっかりしているから安心して任せているのかな、なんて思っていたけど──

 

「だって私──両親いませんから」

 

「へっ?」

 

 ウチの予想は違っていてあまり理解できない事を委員長ちゃんは口にしていた。

 

「私の両親はもうこの世にはいませんから。寂しいと思う以前に馴れちゃってますから」

 

 その衝撃的な事実にウチはまた別の意味で思考停止してしまった。

 

 4

 

「ごちそうさまでした」

 

 ウチと委員長ちゃんはウチが作った料理を食べ終えると、使った食器を片付ける。

 

「肉じゃが美味しかったです」

 

「そう? 委員長ちゃんが満足してくれたんならウチも満足や」

 

 そんな風に楽しそうに会話しているやけど、ウチはその会話にあまり集中できていなかった。

 

 理由は分かっている。委員長ちゃんから衝撃的な事実を聞かされたショックで彼女と今までどんな会話したのか覚えていなかったから。

 

 両親がともに他界している。

 

 そう委員長ちゃんは口にしていたやけど、その言葉に悲しいとか寂しいとかの感情は一切なくって、完全に両親が居ないことを割り切っている感じやった。

 

 そのせいもあるけどウチも委員長ちゃんのことにそこまで踏み込んで良いのか悩んでしまって結局──何も言えずそのまま流してしまったんや。

 

 考えてみれば委員長ちゃんに取って(本人がどう思っているのか分からないけど)ただの先輩後輩の間柄で仲の良さはそこまで良いとは思えないから。

 

 現ににこっちには心をかなり開いているのが、見ているだけでも伝わる。だけど、ウチじゃあ、まだ距離があるのが感じる。

 

 元を辿ればウチはたまたま委員長ちゃんの奇行を目撃して、彼女の残念な部分を見てしまったのが始まり。それがあったから委員長ちゃんも隠しても意味が無いと思って、ウチの前でも見せてるだけかもしれない。

 

「これからどうしましょうか希先輩」

 

「そうやね。お風呂はまだ沸くまでもうちょっと時間掛かるからどうしようかな」

 

「なら、希先輩のお部屋に行ってみたいですけど、良いですか」

 

 そんな風に考えていると、委員長ちゃんがウチの部屋に行きたいって言ってきたけど、何か有るわけでもないし。

 

「良いけど、そんな面白いものないで」

 

「そんなことは無いですよ。女の子の部屋に入れるだけで十分楽しいですから」

 

 女の子の部屋に入れるだけで十分楽しいって委員長ちゃんは女の子の部屋に何を求めているの。と言うか嫌な予感しかしないやけど。

 

「委員長ちゃんがそう言ううんやったら、ほら、行くよ」

 

 嫌な予感がウチの中で感じながらウチは委員長ちゃんを連れて自分の部屋まで案内して中に入る。

 

「ここが希先輩のお部屋ですか。ん~、希先輩の良い匂いがします。それでは……」

 

 何かこう大体予想通りの事を言って、突然準備運動を始める委員長ちゃん。

 

「ちょっと何するつもりや」

 

「えっ? 何を、ってエロ本探すに決まってるじゃないですか。常識ですよ」

 

 嫌な予感的中。

 

 委員長ちゃん思った通り何か変なことをしようとしていたん。だけど当の本人は何で止められたのか分からないって顔をしているけど。

 

「一体、何処の常識や。先輩の部屋入ってすぐエロ本を探そうなんて普通しないで」

 

 多分、それは男の子の常識やと思うやけど。いや、ウチは知らないからよく分からないけど。

 

「そんな!! 私中学のときの先輩の遺言で先輩の部屋にもしも入るときがあったら、エロ本を探してそれで性癖を暴露して楽しめって」

 

「その先輩が明らかにおかしいやん!? と言うか委員長ちゃんはウチの性癖を暴露して楽しむつもりやったの!?」

 

「違いますよ。希先輩が殿方か女の子にどんな特殊プレイを求めているのを知って希先輩の事を知ろうと」

 

 違わない。そんなの委員長ちゃんのウチを弄るネタしかならないやん。

 

「それにもし希先輩が女の子同士の恋愛に興味があれば私にもチャンスがあると思っただけです」

 

「イヤや。そんなこと知って欲しくないし、ウチは委員長ちゃんじゃないから普通や」

 

「嘘です。よく女の子の胸揉んでるじゃないですか。それに絢瀬生徒会長と一緒に居るときの希先輩を見ているとそうとしか思えないんです」

 

 よく女の子をわしわししているのは否定できないけど、それはスキンシップであって別にそんなつもりでやっているわけじゃないから。

 

 それに何でうちとエリチを見てそんな風に思ううん。エリチとは親友やけど流石にエリチに恋愛感情とか持ったことないやけど、何もしかしてウチたち端から見たらそんな風に見えるの。

 

 これは百合っ子特有の思考やとそうだと思いたい。と言うよりか委員長ちゃんだけやと思いたい。

 

「ごちゃごちゃとうるさいですね。もういいです。勝手に探しますから」

 

 探そうとする委員長ちゃんの肩を掴んで勝手に探させないように動きを止める。

 

「ちょっと待って探そうとしないで。それとウチのことうるさいって言った!?」

 

 確かに聞こえたよ。うるさいって。一応ウチは先輩なんやけど堂々言ったよ、この子。

 

「言いましたけど何か? と言うか離してください、探せないじゃないですか」

 

 完全に開き直ってるやけど。しかも逆にこいつ何言っているんだみたいな目で見てくるし。

 

「本当に止めて。と言うか探しても無いから」

 

「ハハハ、またまたご冗談を」

 

 聞く耳持たない感じや。このまま本当に委員長ちゃんあるはずのないエロ本を探してウチの部屋を漁るつもりや。

 

 それだけは勘弁や。何か別の方法で委員長ちゃんの気を剃らさないと本当にエロ本を探し続けるから。

 

「そうだ。委員長ちゃん。ウチのアルバム見る?」

 

 昔の写真を見られるのは恥ずかしいけど、まだ部屋を漁られるよりはマシや。

 

「希先輩のアルバムですって……。そんなの見るに決まってるじゃないですか!!」

 

 やっぱり、食いついてきた。と言うか予想以上や。どれだけウチの昔の写真を見たいんや。

 

「ちょっと待ってて。今から出すから」

 

 そう言って閉まってあるはずのアルバムを探すため部屋の押し入れを開けてその中を探す。

 

「アルバム♪ アルバム♪ 希先輩のアルバム♪」

 

 後ろから楽しそうな声が聞こえるやけど。何かこう急に委員長ちゃんにアルバムを見せるのは、失敗だったじゃないのかなと思ってしまうんや。

 

「おっ、あった。はい、委員長ちゃん」

 

「ではではさっそく拝見させていただきます」

 

 結構あっさりとアルバムは見つかり委員長ちゃんに渡すと、すごく上機嫌になり即座にアルバムの中の写真を見る。

 

「小さい頃の希先輩、私と同じ三つ編みで揃いですよ、可愛いです」

 

 すごいニヤニヤしながら幸せそうに委員長ちゃんはアイドルのページをめくる。これで割りと大人しくなるのだから恥ずかしいけど、エロ本を探されるよりかはマシや。

 

「そういえば三つ編みで思い出したやけど、委員長ちゃんの髪型って、ずっと三つ編みやけど何で?」

 

 委員長ちゃんの髪って遠くから分かるくらい綺麗な髪している。長さも腰くらいあるから、色々と髪形作れると思うやけど、一貫して三つ編みだから理由でもあるのかなって、単純に興味本意で聞いてみる。

 

「何で、って言われるとそうですね。眼鏡に合うのが三つ編みだったから、ただそれだけです」

 

 理由がまたとんでもなく斜め上やった。まさかの眼鏡を基準して髪形を選んでいたのやから。

 

「希先輩。今絶対に眼鏡を基準しているとは思わなかったって思っていますね。分かってますよ。にこ先輩も同じ質問して同じこと思ってましたから」

 

「にこっちも聞いてたんや」

 

 まあ、そうやん。沙紀ちゃんみたいに可愛い子が三つ編みばっかりしてたら気になって聞いちゃうよね。

 

「じゃあ、他の髪形には変えないの?」

 

「他の髪形には絶対に変えませんね。今の私の委員長スタイルはもう一種のアイデンティティーですから。今更変える気にはなりませんね」

 

 それに変えると後々面倒ごとになりますし。何て委員長ちゃんは付け加えておく。確かに委員長ちゃんが髪形変えたらまた変な噂が流れそうやもんね。

 

「あっ、この希先輩も可愛い」

 

 こんな人のアルバム見て幸せそうにニヤニヤしている姿も見せられそうにはないやけど。

 

 そんなこんなで委員長ちゃんがウチのアルバムを見ているだけで時間が過ぎていった。

 

 5

 

「ふぅ、希先輩と一緒にお風呂なんて夢のような時間があっという間でした」

 

「ウチは委員長ちゃんが身体中舐めまわすように見られて疲れたよ」

 

 何で委員長ちゃんと一緒にお風呂に入るなんて危険なことをしたかと言うと、なんだかんだと委員長ちゃんがアルバムを見ているだけでお風呂が沸き、どうすると聞くと委員長ちゃんは──

 

「希先輩、一人ずつで良いじゃないですか」

 

 何て言うもんだからウチは思わず驚いてしまったんや。だって、委員長ちゃんならノリノリで一緒に入ろうなんて言いそうなのにまさか、一人ずつ入ろうなんて思わなかったからや。

 

 ウチとしては身の危険を感じずに済むから良いやけど、何か委員長ちゃんを部屋に一人にするのもそれはそれで危険やから、無理矢理一緒にお風呂に入ることにしたんや。

 

 無理矢理委員長ちゃんをお風呂に入る際に──

 

「まさかそんなに私と一緒にお風呂に入りたかったんですか。何と光栄ですか。もう明日死んでも良いや」

 

 なんて変なことを言っていたけど無視した。

 

 まあ、結局一緒にお風呂入ったのは、さっきも言ったように疲れたけど楽しかったから。

 

 委員長ちゃんと洗いっこして身体中触って見ると肌は綺麗でスベスベ。スタイルも服の上から分かるように整っていたし、髪の毛も触って手触りも良かったしホント、モデルさん何かかと思ったんや。

 

 そういえば、委員長ちゃんの素顔を初めて見たんやけど、何か初めて見た気がしなかった。

 

 委員長ちゃん、絶対に学校じゃあ委員長スタイルやから素顔とか見たことないはず。だけど、何かすごくどっかで見たことある気がするやけど、何でやろう。

 

 そんなことも思ったけど、逆にウチも委員長ちゃんに洗いっこされて、委員長ちゃんが変な気分になりかけてウチの貞操がピンチに。しかし、何故かシャワーが水になったお陰で、委員長ちゃんがびっくりして、何とかピンチを切り抜けれたんや。

 

 ホント、このときはウチが運よくて良かったと思ったよ。

 

 そんなこんなでウチと委員長ちゃんがお風呂から上がって、明日も学校があるからもう寝ようと言うことなったんや。

 

 ウチはお客様用のお布団を持ってきて、それを床に敷いた。委員長ちゃんはそこに寝てもらい、ウチの部屋で一緒に寝ることになったやけど……。

 

「私の男性の好みですか。表向きではダンディーなおじ様系になってます」

 

 なんて特に意味のない会話──所謂ガールズトークに花を咲かせていたんや。

 

「表向きって……委員長ちゃん。何でそんなことになっているの」

 

「いえ、私が女の子大好きだって公言すると何かまた変な噂が広がるじゃないですか。だから私は男性の好みを表向きはダンディーなおじ様系と公言しているのです」

 

「そうなん。委員長ちゃんホント大変やね」

 

 何かすれば大抵噂としてあることないこと流れてしまうから、学校じゃ迂闊なことが出来ないから大変や。

 

 でも、結構学校でもと言うかにこっちの前で迂闊なことよくやっているけど、その辺は変な噂は流れないね。何でやろうか。

 

「ホント、大変です。それに私勝手に付けられた肩書きも気に入ってませんから」

 

「『音ノ木坂の生きる伝説』ってやつ? 確かに委員長ちゃん気に入ってなかったやもんね」

 

「そうなんですよ。はぁ、誰か良い肩書きを考えてくれて今の肩書きを打ち消してくれませんかね」

 

「いや、そうそう肩書き何て考えてくれる人なんていないよ」

 

 ウチはこのときはそんなこと言ったけど、後日と言うか明日の放課後に新しい肩書きを考えてくれる子を見つけて、そのままその場で考えてもらうなんて予想してなかったんや。

 

 そもそも予想なんて出来るわけないやけどね。

 

「そろそろ遅いし、もう寝ようか」

 

 話していると案外時間はあっという間で、気付いたら日付が変わっている時間やった。

 

「そうですね」

 

 委員長ちゃんも時間を確認してそう言ってくれた。

 

「寝る前に希先輩ありがとうございました。私の我儘で家に泊めて頂いて」

 

「どうしたんや? 委員長ちゃん急に改まって」

 

「いえ、久々に楽しい夜でしたからそのお礼を、と思いまして……」

 

 久々に楽しい夜と聞いてウチは思い出した。委員長ちゃんは両親がいないことを。

 

 そう、両親がいないってことは家に帰っても誰もいない。

 

 ウチは一人暮らしやけどお盆や年末年始の時は両親が戻ってくる。だけど、委員長ちゃんはもう亡くなっているからずっと一人で暮らしているや。

 

 こう誰かと一緒に夜を過ごすなんて、委員長ちゃんにとって珍しいことなんや。

 

 そうだから委員長ちゃんはウチにお礼を言ってきたんや。普通に泊めてくれたお礼を言っているかもしれない多分大半はそんな意味なんやろう。

 

「希先輩、別に私は一人で寂しかったから希先輩にお礼を言っている訳じゃないですよ」

 

「ただ純粋に希先輩と一緒に過ごせたから、お礼を言っただけです。そこは勘違いしないでください」

 

 やっぱり、ウチの思った通り委員長ちゃんはただのお礼を言いたかっただけやった。

 

「それに夕飯前に言ったようにもう馴れてますから気にしないでください」

 

 気にしないでください。そう言う委員長ちゃんから距離感を感じる。それ以上は踏み込んでほしくないそんな風に言っているみたいや。

 

 ウチは委員長ちゃんがそう言うと、まあ委員長ちゃんが言うなら大丈夫なんやろうと思ってしまう。

 

 委員長ちゃんは他人に心配されなくても一人で大抵のことは出来てしまうし、委員長ちゃんの行動が言葉に説得力を持たせてるや。

 

 だから、ウチはこれ以上この話を続ける気を無くし始めようとしていたんや。

 

 けど、本当にそれで良いの? そんな疑問がウチの中で過る。

 

 今日一日とは行かないやけど、委員長ちゃんと一緒に過ごして委員長ちゃんが楽しそうに笑うところをいっぱい見てきた。

 

 エロ本を探そうとしたり、ウチのアルバム見たり一緒にお風呂に入ったり、ガールズトークをしたり、といっぱい楽しそうにしているところを見てきたんや。

 

 それこそにこっち一緒に居るときみたいな委員長ちゃんの楽しそうな姿が。そんな姿を見ると学校中に流れている噂のようなすごい生徒じゃないって──

 

 何処にでもいる普通の女の子みたいに思ってしまうんや。

 

 何や簡単なことだったんや。委員長ちゃんはウチたちと同じ普通の女の子なんや。

 

 そう分かるとまるでパズルのピースのように一つ一つが嵌まっていく。すると、なんとなくだけどウチがやることが見えてきたんや。

 

「ねぇ、委員長ちゃん……少しは誰かに甘えても良いんだよ」

 

「何をいきなりどうしたんですか……希先輩」

 

 急にウチが甘えても良いから少し驚いたように反応する委員長ちゃん。

 

「いや、委員長ちゃんずっと我慢していたんじゃないかなと思ったから」

 

「別に私は我慢とかしてませんよ。何時も通りです」

 

 やっぱり、委員長ちゃんはそう言うと思っていたよ。だって委員長ちゃんは誰にも頼ろうと思ってないから。

 

 ウチがそう思ったのは、委員長ちゃんのことみんながすごい人だと思っている。実際に委員長ちゃんは思った通り事を何でも誰にも頼らなくても一人でも出来てしまう。そう思い込んでいたから。

 

 だから委員長ちゃんは誰にも頼れないし、誰にも甘えることが出来ない。

 

「嘘や。委員長ちゃんの今までの行動を見てたら分かるよ」

 

 そう委員長ちゃんの行動一つずつにヒントがあったんや。

 

 誰にも頼れないから、みんながこうあって欲しいと思う委員長キャラを演じて周りから距離を取っておく。

 

 それで委員長キャラが本当のキャラじゃないとバレたと今度は愉快な感じのキャラを演じる。

 

 それが本心だと思わせておいて、もし、ある程度仲良くなっても他人が自分に踏み込んでくると、また距離を取って踏み込ませないようにする。

 

「委員長ちゃんただ不器用なだけなんやよね」

 

「止めてください!! そんな風に言わないでください……」

 

「私は不器用じゃありませんし……誰かに……甘えたいと思ったりしてません……」

 

 ほら、また距離を取ろうとしている。だけどその声は妙に震えている。

 

「それに例え希先輩が言ったことが本当だとしても私は赤の他人であるただの先輩に絶対に甘えたりしません」

 

 完全な拒絶の言葉。そう言った直後、委員長ちゃんすごく悲しい顔をしてお布団に顔を隠してウチに見られないようにする。

 

「大丈夫や、ウチは何か特別なことが出来るわけやないけど友達を支えてあげることは出来るやから」

 

 ウチは布団から出て委員長ちゃんの横まで移動して手を差し伸ばす。

 

 ウチにこれと言って委員長ちゃんに優るものはないけど、委員長ちゃんみたいな出来る人には出来ないこと誰かを支えてあげることは出来るや。

 

 それに委員長ちゃんみたいに不器用な人が既に近くにいるしね。

 

 だけど委員長ちゃんはお布団から顔を出してウチの手を握ろうとはしない。それどころかお布団越しでも震えているのが分かる。

 

 それは本当の自分を見せるのが恐いから。他人にどう甘えて良いのか分からないから。

 

 きっと、家族が入れば誰かに甘えられたんやろうけど、その家族すら委員長ちゃんはいない。だから本当の自分を曝け出す場所がない。

 

 だからウチは委員長ちゃんにこう言ってあげる。

 

「赤の他人やただの先輩じゃあ駄目ならウチが委員長ちゃんのお姉ちゃんになってあげる。委員長ちゃん言っていたでしょ。ウチのみたいなお姉ちゃんがいると嬉しいって」

 

 意味のない会話から出た委員長ちゃんの言葉。

 

「あんな適当に言った言葉を本気でそんな風に思ったなんて思っているのですか……」

 

 お布団の隙間から覗き込むようにウチを見てそう言う委員長ちゃん。ウチから委員長ちゃんがどういう顔しているのか分からないけど。

 

「本気で思っているよ。だって委員長ちゃん嘘つこうと思わない限り嘘つけないやん」

 

「何でそんなこと分かるんですか。そこまで一緒に居たわけでもないのに」

 

「これはウチの勘や。ウチの勘は意外と当たるから」

 

「意味が分かりませんよ。理解できません」

 

 そう言ってまだ委員長ちゃんはお布団の中で蹲ったまま静かになる。

 

「私──恐いんです。他人が私を傷つけるじゃなくって私が他人を傷つけるのが──だから希先輩の事も何時か傷つけるじゃないのかって……」

 

 少ししてから委員長ちゃんは初めて自分の本心を言ってくれた。

 

「そんな私でも、希先輩は受け入れてくれますか。貴方の事を傷つけてしまうかもしれない私を」

 

「良いよ。受け入れるよ。だって委員長ちゃんはウチの可愛い妹やもん」

 

 委員長ちゃんが踞っているお布団を取って委員長ちゃんの泣いてぐちゃぐちゃになっていた顔を見てそうウチは迷わず言った。

 

「本当……ですか?」

 

「本当や」

 

 確認してくる委員長ちゃんに優しく答えてあげてそのまま委員長ちゃんの手を握ってあげる。

 

 その手はとっても震えていたけどそう言ったあとの委員長ちゃんの顔は今まで見たことないくらいとてもいい笑顔だった。

 

 そうしてウチと委員長ちゃんは同じ布団の上で一緒に手を繋ぎながら眠ったんや。

 

 6

 

 朝──目を覚ますと隣で一緒に寝ていたはずの委員長ちゃんが居なくって慌てて家のなかを探した。

 

 もしかしたら帰ったのかと心配して玄関を確認すると、靴はちゃんとある。家の中から美味しそうないい匂いがするからもしかしてと思ってキッチンの方を見ると、そこには料理をしている委員長ちゃんの姿があった。

 

「あっ、希先輩起きたんですか。おはようございます。そして、キッチン勝手にお借りしてごめんなさい」

 

「おはよう。委員長ちゃん。別にいいやけど、それどうしたの」

 

 昨日、あんな事があったのにもかかわらず普通にしている委員長ちゃんに驚いたんやけど、それよりも委員長ちゃんが料理に使っているものに驚いたんや。

 

 松茸、黒毛和牛、その他もろもろと高級食材ばかりと何処のお金持ちやと言いたげなものばかりやった。

 

「昨日は夕食ご馳走になったので今度は私が希先輩に料理を振る舞おうと思いまして、ああ材料は昨日持ってきたものを使ってますからご心配なく」

 

 そういえば委員長ちゃんがウチに来るとき別の荷物があったね。まさかあれは食材だったとは思わなかったんや。てっきり、着替えとかが入っていると思っていたけど。

 

 いやいや、おかしいって。普通先輩の家に泊まりに来るのに高級食材持ってくる。実は委員長ちゃん、元々はお金持ちの家系なの。

 

「まあまあ希先輩。顔を洗って待っててください、もうすぐできますから」

 

 ウチは驚いたまま何か委員長ちゃんに言われるままされるままで気付いたら、目の前には高級食材数々とまるで夢でも見てるようや。

 

「希先輩、食べる前にちょっといいですか」

 

「何や?」

 

「本当に私の事を受け入れてくれますか。ただ流されただけじゃないんですか」

 

 やっぱり昨日のことに気にしているみたいや。ウチが流されて言ったんじゃないのか心配だったんやろ。

 

「大丈夫や。委員長ちゃんはウチの妹みたいなもんやから委員長ちゃんもウチの事お姉ちゃんって良いんやで」

 

 そんな心配を解消するためにウチは委員長ちゃんに親しみを込めてお姉ちゃんって呼んでいいと言う。

 

「えっと……、お……ね……え……ちゃ……ん……」

 

 昨日と比べて少し恥ずかしそうにする委員長ちゃんその仕草は可愛い。

 

「何や委員長ちゃん?」

 

 可愛い妹が何時でも姉に甘えるようウチは何時ものように返事をする。そうすると委員長ちゃんはとても嬉しそうな顔をしていた。

 

「じゃあ、早く食べようよ、お姉ちゃん。せっかくの料理が覚めちゃうから……」

 

 この日このときから委員長ちゃんからウチに対して距離感は無くなってウチたちは本当の意味で仲良くなれたんや。

 

 ちなみにこの日の昼休み。

 

 ウチは委員長ちゃんが朝ごはんと一緒に作ってくれたお弁当を持ってエリチと一緒に生徒会室で食べることにしたんや。

 

 そのときウチは気づいていなかったやけど何時もとはお弁当箱が違っていて中を開けるとそこには──

 

『NOZOMI LOVE』

 

 とお弁当の具材を使って書かれてあった。それを見たエリチはウチが彼氏にでもお弁当を作ってもらったと勘違いしてしまって誤解を解くのに手間取ってしまったんや。

 

 そんなこんなでウチは困った子やけど可愛い妹が出来てしまったんや。

 

 ちなみに委員長ちゃんが作ってくれた朝ごはんとお弁当はウチが美味しく頂きました。

 




いかがだったでしょうか。

今回は緩めかと思ったらまさかのシリアスな展開。

こんな事があって沙紀は希の事をお姉ちゃんと呼ぶようになりました。

いや、もうちょっとギャグぽっく書くつもりが何故かこんなことにまたまた自分でもビックリです。

そんな訳で次回から第二章に入ります。

今後、沙紀とμ'sの面々がどうなるのかお楽しみ。

何か、感想などありましたら気軽にどうぞ。

誤字、脱字等ありましたらご連絡していただけるとありがたいです。

以下 第二章予告みたいなもの

「お題は妹キャラ」

「何でですか!!」

「これは……伝説のアイドルのサイン!?」

「これ、花陽ちゃんに正体バレたら私どうなるだろう」

「しゃぁぁー!!」

「凛ちゃんにすごく警戒されている気がする」

「おはようからお休みまで一緒ですね」

「にこには地獄よ……マジで」

「はぁ、絢瀬生徒会長の身体、すごく好みなのに」

「エリチの前では絶対に言わないで。ショックで倒れるから」

「私は私が嫌いだ」
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