9人の女神と9人の戦士 ~絆の物語~   作:アイスブルー

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第8路  閃き

◎穂乃果の家◎

 

 

 

穂乃果は自宅の居間に座り込みながら、今日見に行った駅伝部の練習を思い出していた。

 

 

 

 

『音ノ木坂学院男子駅伝部!改めて、本格始動だ!!』

 

『『『オーーーーーー』』』

 

 

 

 

 

 

いいなあ。あんなふうにみんなで目標に向かって一致団結するのって、なんか憧れるなあ。

 

 

それにカケル君の走り、やっぱり格好良かったなあ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・ちゃん」

 

 

「はぁ~~・・・」

 

 

「お姉ちゃんってば!!」

 

 

「うわぁ!雪穂!?」

 

 

「お姉ちゃん。さっきから一人でほくそ笑んでどうかしたの?」

 

 

「いや、別に何でもないよ」

 

 

穂乃果は想いに耽っていると突然声を掛けられ驚いた。声を掛けたのは、穂乃果の2歳年下の妹の雪穂である。現在中学3年生で受験生である。

 

雪穂は床に寝そべって本を読み始めた。

 

 

穂乃果はふと、寝そべっている雪穂のそばに置かれている小さなパンフレットらしき紙に目が留まった。

 

 

穂乃果はそれを拾い上げると雪穂に訊ねる。

 

 

「これ何?」

 

 

「ああそれ?UTX学院のパンフレットだよ。近年新しく出来た学校でね。今すごい人気なんだって」

 

 

「へぇ~」

 

 

「実は私、その学校受験しようと思ってるの」

 

 

「ええ!?雪穂、音ノ木坂受けないのぉ!?」

 

 

雪穂の言葉を聞き、穂乃果は信じられないといった表情で声を上げる。

 

 

「お母さんもおばあちゃんも行ってた学校なのに!」

 

 

「だって、音ノ木坂は廃校になるんでしょ」

 

 

尚も詰め寄る穂乃果に雪穂は冷静に返す。

 

 

「みんな言ってるよ。あんな学校受けてもしょうがないって。お姉ちゃんの学年なんて2クラスしかないんでしょ」

 

 

「でも、3年生は3クラスだよ!」

 

 

「1年生は?」

 

 

「・・・1クラス」

 

 

「ほら。それじゃあ来年は0ってことじゃない」

 

 

「そんなことない!私が絶対廃校を阻止して見せる!」

 

 

力強く宣言する穂乃果に雪穂はため息交じりに言葉を返す。

 

 

「ホントに頑固なんだから。そんなの無理に決まってるよ。お姉ちゃんがどうにか出来る問題じゃないでしょう」

 

 

雪穂にはっきりと断言されてしまい、穂乃果は何も言い返せず俯いてしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

穂乃果は自分の部屋のベッドに仰向けになっていた。

 

 

 

 

無理に決まってる。

 

どうにか出来る問題じゃない。

 

 

 

先程の雪穂の言葉が頭に浮かぶが、穂乃果は諦めていない。

 

 

 

 

 

 

諦めるもんか。私は音ノ木坂学院が大好きだ。海未ちゃんだって、ことりちゃんだって

 

 

それに、駅伝部のみんなは高校駅伝を目指して頑張っているんだ。私もみんなみたいに、廃校阻止に向けて何か行動を起こさないと!

 

 

でも、何を始めたらいいのかな?

 

 

 

 

 

 

穂乃果はこれからの行動について考えていると、ふと先程雪穂から聞いたUTX学院が頭に浮かんだ。

 

 

(UTX学院かぁ。一体どんな学校なんだろう?今、受験生にすごい人気があるって雪穂言ってたし)

 

 

少し考え込んだ後に穂乃果はひらめいた。

 

 

(そうだ!今度の月曜日の朝、そのUTX学院を見に行ってみよう!もしかしたら、廃校阻止のヒントを見つけられるかもしれない)

 

 

穂乃果はそう決め込むと、電気を消し眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【月曜日:朝】

 

 

音ノ木坂学院男子駅伝部の朝は早い。

 

学校がある日の平日は必ず朝6時から全員で学校に集まり、朝練習を行う。

 

現在部員たちは例の学校周辺のロードコースを集団で走っていた。

 

 

カケルと元からいた部員は当然だが、双子も運動部歴があるため早起きには慣れているようだった。

 

 

運動歴0だった王子も最初に朝練習のことを聞いた時こそ憂鬱そうな顔をしていたが、なんだかんだでしっかり時間に間に合うように来てくれた。

 

それから昨日のうちに陸上用品一式も揃え、ちゃんとスポーツウェアを着て走っている。

 

 

 

「それにしても、朝こうして10kmくらい走って夕方にも走るとなると1ヶ月で一体どれくらい走ることになるんだろう?」

 

ジョータが走りながら呟く。

 

 

「大体700kmから800kmは走るだろうな」

 

「800!?すげえ!」

 

 

カケルが答えるとジョージが驚く。

 

 

「800kmと言ったら琵琶湖4周分くらいか」

 

「地元じゃねえからピンとこねえよ」

 

「じゃあ山手線を20周」

 

「それでもピンとこねえっての」

 

 

ユキと平田がそれぞれ言い合う。

 

 

 

「さすが駅伝部ですね」

 

ジョータが感嘆する。

 

 

「強くなるためにはこれくらい当然だよ」

 

 

「そうですヨネ」

 

 

高志とムサが返す。

 

 

 

カケルは部員たちのやり取りを聞きながら、一昨日の土曜日の練習後のミーティングの時のことを思い出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

~~~~~~2日前:練習後~~~~~~~~~~

 

 

駅伝部員たちはダウンジョッグ後、全員集まりハイジが今後の練習についての説明を行った。

 

 

 

「しばらくは集団走による距離走を行う。ペースは俺が作る。カケルはそれでは練習にならないだろうから個別でメニューをこなしてくれ」

 

 

「「「はい!」」」

 

 

「だが、朝練習のジョッグは必ず全員で走る」

 

 

「ハイジさん。俺は朝も別のほうがいいです」

 

 

カケルが手を上げながら言う。

 

 

「1km5分ペースだ。問題ないだろう」

 

ハイジは考えを変えることはしなかった。

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

 

「よーし!俺こうなりゃどんどん走ってやるぞー!絶対高校駅伝に出るんだ!」

 

 

ジョージが元気な声を上げる。

 

 

 

カケルは最後尾の王子についているハイジの方を振り返りながら考える。

 

 

 

(こんなにみんなをその気にさせるなんて、ハイジさんて一体・・)

 

 

するとハイジと目が合ってしまい慌てて前に向き直る。

 

 

(思いっきり目が合っちまったじゃねーか!)

 

 

 

 

 

 

 

 

そりゃ俺だって・・・悪い人とは思わないけど・・・

 

 

 

 

 

『強いってどういうことですか?』

 

 

『その答えを俺と一緒に探さないか?』

 

 

 

 

 

ハイジさんって一体どんな人なんだろう?

 

 

 

一昨日の5000mといい・・・あの膝といい・・・

 

 

 

もしかしたら相当レベルの高い実力者だったんじゃないかな?・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぜえ~・・はあ~・・ぜえ~・・」

 

 

カケルがそう考えていると最後尾の王子の息が上がり始めた。

 

 

 

「王子と俺は後から行くから、みんなは先に学校へ向かってくれ」

 

 

ハイジが前を走るメンバーに声を掛ける。

 

 

 

「よーし!学校まで競争するか」

 

 

カケルはハイジのことが気になりつつも、先陣を切って走る双子の後を他のメンバーと共に追っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◎秋葉原◎

 

 

一方穂乃果は、先日決心した通り雪穂に例のパンフレットを借り、現在UTX学院の前に来ていた。

 

 

「うわぁ~」

 

 

UTX学院は秋葉原の街中にあり大きなビルのような学校で、その校舎の大きさに穂乃果は驚きの声を上げる。

 

 

穂乃果はさらに校舎に近づきショウウィンドウの向こうを覗くと、上下白の制服を着たUTX学院の生徒が小型の携帯機をゲートにかざし、中へ入っていく光景を眺める。

 

 

「す・・すごい」

 

 

その最先端技術に感嘆していると、校舎の外壁に設置されたスクリーンの方から声が聞こえてきた。

 

 

『みなさーん!お元気ですかー!」

 

 

 

穂乃果はスクリーンを見上げると、3人のアイドルのような衣装を着た女子高生らしき人物が映し出されていた。

 

 

「あれ?この人たちってどっかで」

 

 

穂乃果は3人に見覚えがあったが、なかなか思い出せずにいた。

 

すると周りにはどんどんと人が集まり、みんなスクリーンに釘付けになっていた。

 

 

 

「きゃーもうすぐ始まるわよー」

 

「ツバサちゃんかわいー!」

 

「かよちーん!どこいくのー!?」

 

「ごめん凛ちゃん!どうしてもライブ見たいの!」

 

 

 

周りからはそんな感じの声が飛んでおり、どうやらみんなあの3人組目当てのようだった。

 

 

穂乃果は隣にいる、コートを着てサングラスをかけたツインテールの女性にあの3人について聞いてみた。

 

 

「あのーすみません。あの人たちって芸能人とかですか?」

 

 

「はぁ!?あんたそんなことも知らないの?そのパンフレットにも書いてあるでしょ!」

 

 

「す、すみませ~ん」

 

 

いきなり強い口調で言われ穂乃果は思わずたじろいてしまう。

 

 

「彼女たちは、A-RISEよ」

 

「アライズ?」

 

「そう。高校生で結成されるスクールアイドルよ。彼女たちはここUTXで結成されて、スクールアイドルの中では今一番人気なのよ。この学校の人気も、彼女たちの影響が大きいみたいよ」

 

 

「へぇ~。スクールアイドルか」

 

 

ツインテールの人の説明が終わると、A-RISEのパフォーマンスが始まり全員スクリーンを見上げる。

 

 

 

A-RISEの3人は歌を歌いながら華麗なダンスを披露していた。周りからは黄色い声援や歓声が上がる。

 

 

穂乃果も彼女たちの歌とダンスに魅了され、すっかりスクリーンに釘付けになっていた。

 

 

 

 

 

 

 

すごい!なんて華やかなダンスなんだろう!それにこの人気のすごさ!

 

この学校に人気が集まってるのもよく分かるよ!ん?人気が集まる?

 

 

 

 

 

 

そしてこの瞬間、彼女の中で一つのアイデアが閃いたのであった。

 

 

 

 

 

 

これだ!これだよ!

 

 

私、スクールアイドルになる!!

 

 

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