9人の女神と9人の戦士 ~絆の物語~   作:アイスブルー

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第22路 不安と迷い

駅伝部は支部予選が終わってからは、予選を勝ち抜いた高志(3000m障害)、ハイジ・ムサ・ユキ(5000m)は2週間後の都大会に向けて、それ以外の選手は記録会で5000mの記録を更新するために、ゴールデンウィークも含めしっかりと練習を積み重ねていた。

 

 

 

練習の質も徐々に上がっていき、部員たちはハイジの考案した練習メニューを全員順調に設定どおりこなしている。

 

 

 

ハイジは部員それぞれの性格に合わせ、さりげなく指導する。

 

 

 

着実にノルマをこなすことに喜びを見出す高志には、より詳細な練習メニューを組んでおり、秀才肌のユキとはたびたびトレーニング法についての議論をし最終的に納得させている。

 

 

ジョータ・ジョージ・平田は褒められるとやる気を出すタイプで、練習中にも頻繁に声を掛けるようにしている。

 

 

 

ムサは最近になって、たまにカケル・ハイジと同じ最上級の設定で練習をするようになり、ハイジに「近いうちに14分台も出せる」と言われ更に張り切っている。

 

 

 

王子は前回の記録会でぶっちぎりの最下位を味わってから危機感を感じ始め、ハイジに言われなくとも積極的に走るようになった。

 

 

 

 

ハイジは基本的に部員たちの好きなように走らせていた。

 

 

 

積極的に部員たちの意見を聞き入れながら練習メニューを組み、必要とあらば少しアドバイスを送っている。

 

 

 

その一環として支部予選後からは部員たちに練習日誌を課すようになった。

 

 

 

練習表に基づく本練習でのタイムのほかに、自主練習の際にはどんな練習をしたか、そのタイムや走距離、さらにその時の練習で思ったこと、感じたことなどを記入し提出するのである。

 

 

 

やがてゴールデンウィークも終わり都大会まで1週間を切った。

 

 

 

 

 

 

【5月11日 木曜日】

 

 

 

ハイジは朝の自主練習を終え教室へ向かいながらこれまでの部員たちの様子を振り返っていた。

 

 

 

(みんな順調に走れているな。この調子なら次の試合はさらにいい走りが出来るだろう)

 

 

 

 

すると途中で生徒会長の絢瀬と鉢合わせた。

 

 

「!!」

 

 

「・・・」

 

 

 

お互いに目が合うと、絢瀬は一瞬キッとハイジを睨みそのまま足早にその場を去ってしまった。

 

 

 

 

(まぁ、無理もないか・・)

 

 

 

ハイジは絢瀬の後ろ姿を見ながら思った。

 

 

 

絢瀬はあのファーストライブでハイジに激昂されて以来、彼を避けるようになってしまった。

 

 

 

ハイジはファーストライブの時のことを思い出していた。

 

 

 

 

 

 

 

『あなたに私の何が分かるっていうのよ!!』

 

 

 

『お気楽者のあなたたちなんかとは違うのよ!!』

 

 

 

 

 

 

あの時俺は、つい「生徒会長失格」とまで言ってしまったが、彼女にはきっと生徒会長としての強い使命感・責任感があるんだろう。

 

 

 

 

なんか・・・少し似てるな・・・

 

 

 

 

昔の俺と・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◎1年生教室◎

 

 

 

ジョータ・ジョージ・王子は午前中の授業を受けていた。

 

 

 

先生が生徒に背を向けて黒板に記入している。

 

 

 

その時ジョージが眠そうにウトウトし始めると、隣の席のジョータがジョージに消しゴムを投げつける。

 

 

 

 

「イタッ」

 

 

 

(ジョージ、寝ちゃダメだろ。ハイジさんにばれたら練習メニュー追加されるぞ)

 

 

(ああ、そうだった)

 

 

 

ジョータは先生に聞こえないような小声で注意する。

 

 

 

 

ハイジは「普段の私生活が競技に繋がる」という考えから、部内で次のような決まりを立てた。

 

 

 

・睡眠はしっかりとる

 

 

・食事は必ず3食、栄養バランスを考えて摂る

 

 

・身体に異変(故障・体調不良など)が起きたら必ず報告する

 

 

・授業中の居眠り禁止

 

 

 

 

もし居眠りをしたら先生からハイジに報告され、練習メニュー追加のペナルティーを負うことになる。

 

 

 

ハイジは寛容さの中にもこういった厳しさも持ち合わせている。

 

 

 

 

 

(う~ん・・練習の疲れがある中の授業ってホントに苦痛だよ・・・)

 

 

 

「じゃあここ、小泉読んで」

 

 

 

「は、はい」

 

 

 

「ん?」

 

 

 

 

王子が思っていると一人の女子生徒が指名された。

 

 

 

(あ、彼女はライブの時の・・・)

 

 

 

その小泉と呼ばれた女子生徒は、ファーストライブを見に来てくれた眼鏡の女の子だった。

 

 

 

彼女は先生に指定された教科書の文章を読んでいたが、声が小さくてよく聞こえず先生に中断させられてしまった。

 

 

 

俯きながら席に着く彼女を王子は心配そうに見つめる。

 

 

 

 

「じゃあ今のところを柏崎読んで」

 

 

 

「は、はい!」

 

 

 

王子は彼女の代わりに指名され、慌てて立ち上がり文章を読む。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◎アルパカ小屋◎

 

 

 

 

昼休みになり、カケルたち6人はアルパカ小屋の前に来ていた。

 

 

 

本来であれば昼休み中にみんなでµ’sの部員募集のチラシを配りにいくことになっているのだが、ことりがどうしてもここに行きたいと言いだしたのだった。

 

 

 

 

「うわぁ~~ふえぇ~~///」

 

 

「本当にかわいいデスネ」

 

 

 

ことりとムサは揃って白いアルパカを眺めており、ことりは頬を赤らめながら幸せそうな声をあげムサもすっかり気に入ったようだった。

 

 

 

 

「ことりちゃん、最近よくここに来るよね」

 

 

「急にハマったみたいです」

 

 

「ムサ君まですっかり虜になってるよ」

 

 

二人の様子を見て高志・海未・穂乃果が呟いた。

 

 

 

 

へぇ~校内でこんな動物を飼ってるなんて珍しいな、とカケルは思った。

 

 

 

 

 

「二人とも~、早くチラシ配りに行こうよ~」

 

 

 

「あとちょっと~」

 

 

 

穂乃果が声を掛けるが、二人はまだ動こうとはしなかった。

 

 

 

 

「そんなにかわいいもんかねぇ~・・・いぃっ!?」

 

 

カケルが呟くともう一匹の茶色いアルパカが唸り声をあげて睨んできたため思わずたじろいてしまう。

 

 

 

 

「エエッ?かわいいと思いマスケド」

 

 

「だよね~。この首のあたりがフサフサしてて、あぁ~幸せ~」

 

 

ことりはそう言ってアルパカの首に抱き着いた。

 

 

なんだかアルパカが羨ましい、と感じながらカケルはその様子を見ていた。

 

 

 

 

「カケル君。なんか変なこと考えてない?」

 

 

「いや・・別に・・」

 

 

 

穂乃果に聞かれ、カケルは目を泳がせながら返事を返す。

 

 

 

(なんでこいつはこういうことだけ敏感なんだよ?)

 

 

 

カケルがそう思っているとことりが悲鳴を上げた。

 

 

 

 

「ふあああぁぁ~~」

 

 

どうやら白のアルパカがことりの顔を舐めてしまい、それに驚き尻餅をついてしまったようだ。

 

 

 

「大丈夫デスか?ことりさん」

 

 

ムサが心配そうに声を掛ける。

 

 

 

「ことり!どうすれば!?・・・ここはひとつ弓で!」

 

 

「ダメだよ海未ちゃん!」

 

 

危険な発言をする海未を高志が諫める。

 

 

すると今度は茶色のアルパカが6人を威嚇するように吠える。

 

 

 

 

「ヒイイィィ」

 

 

「コ、コワいデス」

 

 

「変なこと言うからだぞ!」

 

 

 

穂乃果・ムサ・カケルが慌てていると、体操着姿の女子生徒がアルパカの下へ駆け寄った。

 

 

 

「よしよし、大丈夫だよ」

 

 

彼女はそう言って茶色のアルパカを撫でるとすぐに落ち着いてきた。

 

 

 

 

「ことりちゃん、大丈夫?」

 

 

「うん。嫌われちゃったのかな?」

 

 

穂乃果・ことりが言うと彼女は二人に振り返りながら言う。

 

 

 

「大丈夫です。楽しく遊んでるだけだと思うので・・あっ」

 

 

 

「あ、あなたはライブに来てくれた」

 

 

その女子生徒はあの眼鏡の女の子だった。

 

 

彼女がµ’sに気付くと穂乃果が明るい表情で声を掛ける。

 

 

 

「アルパカ使いだね~」

 

 

「ええ、わ、私、一応飼育委員なので・・」

 

 

 

穂乃果の言葉に彼女はオドオドしながら答える。

 

 

もしかして人見知りなのかな、とカケルは思った。

 

 

 

「そういえば、お名前何て言うの?まだ聞いてなかったよね」

 

 

「は、はい・・・私、1年の・・小泉 花陽といいます」

 

 

穂乃果が訊ねると彼女は答えてくれた。

 

 

 

「花陽ちゃんか。ねぇあなた、アイドルやりませんか?」

 

 

「えっ?ええっ?」

 

 

穂乃果の突然の勧誘に小泉は慌てる。

 

 

 

「穂乃果ちゃん、ちょっといきなり過ぎるよ」

 

 

高志が言う。

 

 

 

「君は光って見える。大丈夫、悪いようにはしないから」

 

 

「怪しすぎるだろお前」

 

 

不気味な顔で勧誘する穂乃果にカケルがツッコむ。

 

 

 

「でも、少しくらい強引に頑張らないと」

 

 

「デスが、まず彼女の意見を聞いてからにしまショウ」

 

 

ムサが言うと、小泉が口を開いた。

 

 

 

「あ、あの・・・西木野さんが・・・」

 

 

「えっ?ごめんもう一回いい?」

 

 

声が小さくて聞こえなかったので穂乃果がもう一度訊ねる。

 

 

 

「に、西木野さんがいいと思います。すごく歌上手なんです」

 

 

小泉が言った。

 

 

 

「そうだよね。私も大好きなんだ、あの歌声」

 

 

「誘わなかったんですか?」

 

 

「行ったよ。でも絶対嫌だって言われたよ」

 

 

「す、すみません。私、余計なことを・・」

 

 

「ううん。ありがとう」

 

 

小泉が謝罪すると穂乃果は笑顔でお礼を言う。

 

 

 

「でも、少し考えてみてくれるかな?アイドルのこと」

 

 

穂乃果が優しく言うと、小泉は顔を赤らめて俯いてしまう。

 

 

 

 

「か~よち~ん。早くしないと体育遅れちゃうよ~」

 

 

その時、小泉の友達のショートヘアの女の子が声を掛けてきた。

 

 

 

「あ、うん。じゃあ失礼します」

 

 

小泉はそう言ってその場を後にした。

 

 

 

「さあ、私たちも教室に戻りましょう」

 

 

海未が言うと全員教室に向かい歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

◎1年生教室◎

 

 

 

 

授業が終わり放課後となった教室で、小泉は先ほど穂乃果に誘われた時のことを思い出しながら悩んでいた。

 

 

 

『あなた、アイドルやりませんか?』

 

 

 

(・・・やっぱり、私にアイドルなんて・・・)

 

 

 

 

「か~よちん!」

 

 

「り、凛ちゃん」

 

 

するとショートヘアの女の子が声を掛けてきた。

 

 

彼女の名前は星空 凛といい、小泉とは幼馴染である。

 

 

 

「もう入る部活決まった?今日までに決めるって言ってたでしょ」

 

 

「えっ?そ、そうだっけ?・・・あ、明日決めようかな?」

 

 

星空が訊ねると、小泉ははぐらかすように答える。

 

 

 

 

「ダメだよかよちん。早く決めないと。みんなどんどん部活始めてるよ」

 

 

「うん・・・凛ちゃんはもう決めてるの?」

 

 

「凛はね~、陸上部かな~」

 

 

「陸上部かぁ・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

凛ちゃんはいいなぁ・・・自分のやりたいことが決まっていて・・・私は運動苦手だし・・・

 

 

 

 

 

 

 

「どうしたのかよちん?あ、もしかして、スクールアイドルに入ろうと思ってるの~?」

 

 

 

「ええっ!?そ、そんなこと・・・ない・・・」

 

 

 

星空に訊ねられると小泉はドキッとし、目を反らしながら答える。

 

 

 

 

「ダメだよかよちん。嘘つくとき必ず指を合わせるから分かっちゃうよ。一緒に行ってあげるから先輩たちの所に行こう」

 

 

 

星空はそう言って小泉の腕を掴む。

 

 

 

 

「いや、ち、違うの!私が・・・アイドルなんて・・・」

 

 

「かよちんそんなにかわいいんだよ。人気出るよ~」

 

 

「でも待って。待って!」

 

 

「んん?」

 

 

 

小泉は尚も腕を引っ張る星空に声を掛けて止める。

 

 

そして少し考えてから口を開く。

 

 

 

 

「あ、あのね・・・わがまま言っても、いい?」

 

 

「しょうがないなぁ~、なあに?」

 

 

「もし私が、アイドルやるって言ったら、一緒にやってくれる?」

 

 

小泉は星空にお願いをしてみた。しかし彼女の答えは・・・

 

 

 

 

「無理無理無理、凛にアイドルなんて似合わないよ。だってほら、凛こんなに髪短いし」

 

 

星空は自身がアイドルになることに対して否定した。

 

 

 

「そ、そんなこと・・・」

 

 

「それに、昔あんなことがあったし・・・」

 

 

星空は無理やり笑顔を作りながら言った。

 

 

 

小泉はその表情を見ながら小学校時代の時のことを思い出した。

 

 

 

 

 

 

 

やっぱりあの時のこと、まだ気にしてるんだね。

 

 

あの時、凛ちゃんは珍しくスカートを穿いて学校に行ったけど、その時に同級生の男の子にそのことをからかわれて・・・

 

 

それから凛ちゃんは、制服以外でスカートを穿かなくなっちゃった・・・

 

 

 

それと同時に、自分は男の子っぽくて可愛くないって思うようになっちゃったんだよね・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◎廊下◎

 

 

 

 

ジョータ・ジョージ・王子は3人揃って一緒に帰るところだった。

 

 

 

「兄ちゃん日直の仕事遅いよ~」

 

 

「わりぃわりぃ、ちゃんとやらないとハイジさんに報告されそうで恐いから」

 

 

「今日は部活休みだよね。早く帰って、溜まったアニメ見なきゃ」

 

 

3人が話しながら廊下を歩いていると、ポスターの前に立つ小泉の姿を見つけた。

 

 

 

 

「あ、小泉さんだ」

 

 

「そういえば、この前のライブ見に来てくれてたよね」

 

 

「よーし、ちょっと声掛けてみようか」

 

 

王子・ジョージ・ジョータはそう言うと、彼女に声を掛けた。

 

 

 

 

「小泉さん、こんにちは~」

 

 

「ピャア!・・あ、太郎くん、次郎君、茜君」

 

 

ジョータが声を掛けると小泉は驚いて変な声を上げてしまった。

 

 

 

「ごめんね。びっくりさせちゃって。あと、俺のことはジョータでいいよ」

 

 

「俺はジョージね」

 

 

「僕は王子でいいよ」

 

 

3人はそれぞれ自己紹介をする。

 

 

 

「ご、ごめんなさい」

 

 

「それより、こんなところで何してるの?」

 

 

「じ・・実はこれがここに落ちてて・・」

 

 

 

ジョージが訊ねると小泉は生徒手帳を見せる。

 

 

 

みんなで手帳の中の名前の欄を見ると、「西木野 真姫」と書かれていた。

 

 

名前の横には顔写真もある。

 

 

 

 

「もしかしてこれを届けようとしてたの?」

 

 

「う・・・うん」

 

 

王子が訊ねると小泉は頷く。

 

 

 

「じゃあ俺たちも一緒に行ってあげるよ」

 

 

ジョータが言った。

 

 

 

「えっ?いいの?」

 

 

「うん。だって一人じゃ危ないかもしれないし」

 

 

「そうだよ。その方がいいと思うよ」

 

 

「あ、ありがとう」

 

 

ジョージと王子の返答を聞き、小泉は3人にお礼を言う。

 

 

 

 

「でも、家の場所分からなくない?」

 

 

「スマホのマップ機能にここに書いてある住所を打ち込めば出てくるでしょ」

 

 

ジョージの問いかけに王子が答える。

 

 

 

「さすが王子!頭いいな~」

 

 

「このくらい常識でしょ」

 

 

 

 

こうして4人は一緒に西木野の家へ向かうことになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「そういえば小泉さん、この前µ’sのライブ見に来てたけど、もしかしてスクールアイドルやってみたいって思ってるの?」

 

 

「えっ?」

 

 

「それにさっきだって、µ’sのポスターの前にいたじゃない」

 

 

西木野の家に向かう途中、ジョータとジョージが訊ねる。

 

 

 

「い、いや、その・・・まだ、考えてるところ・・」

 

 

小泉は顔を赤らめモジモジしながら答える。

 

 

 

「そうなの?僕はやってみてもいいと思うけど。だって小泉さん、かわいいし」

 

 

「えっ!?」

 

 

王子に言われ小泉は顔を赤らめる。

 

 

 

「そうだよ。小泉さんとってもかわいいよ」

 

 

「アイドルをやるのに全然申し分ないくらいにね」

 

 

ジョータとジョージが笑顔で言うと、小泉はさらに顔が赤くなる。

 

 

 

「あ・・・ありがとう。考えて・・みるね」

 

 

 

 

 

 

 

しばらくすると4人は、西木野の家に到着した。

 

 

 

「ふええぇぇぇ~」

 

 

「「すっすげええ~」」

 

 

「すごいなぁ」

 

 

西木野の家はとても大きな豪邸だった。

 

 

あまりの凄さに4人とも口を大きく開けて驚いていた。

 

 

 

「じ、じゃあ行こうか」

 

 

ジョータはそう言うと、インターホンを鳴らした。

 

 

 

 

『はい。どちらさまでしょうか』

 

 

インターホンからは少し渋めの男性の声が聞こえてきた。

 

 

 

 

「あ、あの・・西木野真姫さんのクラスメートの城太郎です」

 

 

「城次郎です」

 

 

「柏崎茜です」

 

 

「こ・・小泉花陽です」

 

 

4人はそれぞれ答える。

 

 

 

『少々お待ちください』

 

 

 

 

 

しばらくすると玄関のドアが開き、黒のスーツを着てサングラスをかけた長身の男性が出てきて門を開け、4人の前に立った。

 

 

 

その男性は見た感じ30代前半ぐらいであり、身長は180cm以上ありそうだった。

 

 

 

その見た目から4人とも少し恐縮しながら男性を見上げる。

 

 

 

 

 

「ようこそお越しくださいました。ただいま真姫お嬢様はまだ戻られておりませんが、よろしければどうぞおあがり下さい」

 

 

男性は一礼をしながら丁寧な言葉づかいで挨拶をすると、4人を中へと招き入れた。

 

 

 

 

4人は家に上がると、男性にリビングらしき部屋へと案内された。

 

 

部屋を見渡すと、様々な高級家具やトロフィーが置かれていた。

 

 

 

 

「お掛けになってください」

 

 

男性は大きなソファーを指し、4人はそこに座らせてもらった。

 

 

 

そして男性はさらに4人分の紅茶とクッキーを用意しソファー前のテーブルに置くと、再び丁寧な口調で声を掛ける。

 

 

 

「お嬢様はもう間もなくお戻りになられると思いますので、もうしばらくお待ちください」

 

 

 

「「「は、はい」」」

 

 

 

4人は返事を返す。

 

 

 

 

 

 

(ホントにすごい家だね)

 

 

(あの人、ボディガードなのかな?)

 

 

(お嬢様だなんて、相当すごい資産家の娘なんだろうね)

 

 

 

 

「みなさん、いらっしゃい」

 

 

 

ジョータ・ジョージ・王子が小声で話していると、奥から西木野の母親と思わしき人物がやってきた。

 

 

 

娘と同じ赤髪であり目つきなどもそっくりだが、とても気品がある美しい女性だった。

 

 

 

 

「「「お邪魔しています」」」

 

 

4人は揃って挨拶をした。

 

 

ジョータ・ジョージ・王子は3人揃って彼女の美しさに見惚れていた。

 

 

 

「はじめまして。真姫の母親の淑美です。こちらは執事の清本さんです」

 

 

「よろしくお願いします」

 

 

 

淑美は自己紹介をし、先ほどの黒スーツの男性:清本も改めて一礼をする。

 

 

 

 

「お待たせしてごめんなさいね。真姫は今、病院に顔を出してるところなの」

 

 

淑美が申し訳なさそうに言う。

 

 

 

「病院、ですか?」

 

 

「ええ。あの子はうちが経営している病院の跡を継ぐことになっているの」

 

 

小泉の問いに淑美が答える。

 

 

その答えを聞き、ジョータ・ジョージ・王子は驚いたように顔を見合わせる。

 

 

 

「よかったわ。高校に入って友達一人遊びに来ないから、心配してたのよ。それに、男の子も来てくれるなんて」

 

 

淑美は嬉しそうに微笑みながら言い、ジョータたち3人は頬を赤らめ照れていた。

 

 

 

 

すると玄関のドアが開く音が聞こえ、執事の清本が出迎えに向かった。

 

 

 

 

「ただいま~、誰か来てるの?」

 

 

「お帰りなさいませお嬢様。ただいま、お嬢様のご友人の方々がお見えになっております」

 

 

「えっ?」

 

 

どうやら娘の真姫が帰ってきたようだった。

 

 

 

清本に案内され真姫はリビングへと入ってきた。

 

 

そしてソファーに座っている4人を見つけると驚きの表情をした。

 

 

 

 

「こ・・こんにちは」

 

 

「「お邪魔してま~す」」

 

 

「どうも」

 

 

 

小泉・ジョータ・ジョージ・王子が揃って挨拶をした。

 

 

 

 

 

「あ・・あなたたち」

 

 

 

 

 

 

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