9人の女神と9人の戦士 ~絆の物語~   作:アイスブルー

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第33路 競争と新リーダー(後編)

◎某ゲームセンター◎

 

 

 

µ’sと駅伝部6人はカラオケ店を出た後、ゲームセンターへとやってきた。

 

 

 

 

「歌だけじゃダメだわ!今度はダンスで勝負よ!」

 

 

にこはダンスゲームの機体を指しながら説明する。

 

 

しかし他のみんなは・・・

 

 

 

 

 

「ことりちゃん、あれ狙おう」

 

 

「よーし」

 

 

「もう少し左デスヨ」

 

 

穂乃果・ことり・ムサはクレーンゲームで遊び

 

 

 

 

「うわ~!ここ敵多すぎる!」

 

 

「あ~弾が切れた!補充補充!」

 

 

王子とジョータはゾンビを撃つシューティングゲームで遊び

 

 

 

 

「これでどうにゃージョージ君!」

 

 

「まだまだ~!俺だって負けないぞ!」

 

 

ジョージと凛は格闘ゲームで対戦をしていた。

 

 

 

 

「みんなすっかり楽しんじゃってるね」

 

 

「そのようだな」

 

 

「だからあんたたち緊張感なさすぎー!」

 

 

みんなの様子を見ていた高志・カケルが苦笑いし、にこは叫んでいた。

 

 

 

 

中でもジョージと凛の対戦がかなり白熱しており、両者共に互角の戦いを繰り広げていた。

 

 

2人は、負けた方が翌日の駅伝部の試合後にラーメンを奢るという条件を付けて真剣勝負をしている。

 

 

 

 

「くっ・・この・・この・・」

 

 

「これでとどめにゃー!」

 

 

「あぁ~そんなぁ~」

 

 

結果はギリギリの差で凛の勝利に終わった。

 

 

 

 

「やったー!じゃあ約束通り、明日ラーメン奢ってね♪」

 

 

「くそ~もう少しだったのに~」

 

 

「でもなんか凛、初めてジョージ君と一緒に遊べて楽しかったにゃ」

 

 

凛は悔しがるジョージに屈託のない笑顔を向けながら言った。

 

 

 

 

「凛ちゃん・・・うん!俺も、すっごく楽しかったよ!」

 

 

ジョージも同じく笑顔を返しながら言った。

 

 

 

 

「また一緒に遊ぼうね」

 

 

「うん!約束だよ!」

 

 

2人はお互いに笑顔でグッドサインを送り合った。

 

 

 

 

 

 

(ジョージ・・なんかいい感じになってるな。兄ちゃん嬉しいぜ!俺ももっと真姫ちゃんと・・)

 

 

ジョータはジョージを眺めながら心の中で呟いた。

 

 

 

 

「はいはいアンタたち!お遊びはそのくらいにして、こっちに集まりなさい!」

 

 

にこはゲームで遊んでいるメンバーに声を掛け、みんなを集めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「凛、運動は得意だけどダンスは苦手だからなぁ~」

 

 

「これ、どうやるんだろう?」

 

 

凛と花陽が呟き、他のµ’sメンバーも不安げな表情でダンスゲームの機体を眺めていた。

 

 

 

 

「大丈夫だよみんな。毎日ちゃんとダンスの練習をしてきてるんだから」

 

 

高志がみんなを励ました。

 

 

 

 

 

「ふふふ・・・このゲームはあなたたちが思っているほど甘くはないのよ。多少ダンスの練習を積んでいても、いきなり挑んで高得点なんか出せやしないわ。くっくっく・・・カラオケの時は焦ったけど、この勝負はもらったわ・・・」

 

 

にこは再び1人で不気味にほくそ笑んでいた。

 

 

 

 

(まったくこの人は・・・)

 

 

カケルは聞こえていたようで、呆れ顔をしながら心の中で呟いた。

 

 

 

 

 

「凛ちゃんスゲー!」

 

 

「すごーい!」

 

 

するとジョージと穂乃果の歓声が聞こえ、にこは振り返った。

 

 

 

 

 

「なんか出来ちゃった~♪」

 

 

一番最初に挑んだ凛がなんとAAという高ランクを出したのであった。

 

 

 

 

「う・・うそ・・・」

 

 

その様子を見たにこは開いた口が塞がらない様子だった。

 

 

いきなり挑んでこれはすごいな、とカケルも素直に驚いていた。

 

 

 

やがて全メンバーがそれぞれプレイし、結果は以下の通りとなった。

 

 

ちなみに駅伝部6人は翌日の試合に備え、今回は傍観に徹した

 

 

 

 

 

穂乃果:A

 

 

海未:A

 

 

ことり:B

 

 

花陽:C

 

 

凛:AA

 

 

真姫:B

 

 

にこ:A

 

 

 

 

 

「やっぱりダンスは凛ちゃんが頭一つ抜けてますね」

 

 

「ですがカラオケと合わせて見てみますと、みんなの成績はほとんど並んでいますね」

 

 

みんなでここまでの結果表を見ながら、ジョータと海未が呟いた。

 

 

 

 

(確かに、ここまでの成績だと判断が難しいな。これからどうするんだ?にこ先輩)

 

 

カケルもみんなの結果を見ながら思った。

 

 

 

するとにこは再び宣言した。

 

 

 

 

「こうなったら、もう一勝負よ!」

 

 

「「「ええっ?」」」

 

 

(やっぱり・・)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◎秋葉原◎

 

 

 

一同はゲームセンターを出た後、今度は秋葉原の中心街へとやってきた。

 

 

 

 

「歌とダンスで決着が着かなかった以上、最後はオーラで決めるわ」

 

 

にこがみんなの前に立って説明する。

 

 

 

 

「オーラ?」

 

 

「そう!歌も下手、ダンスもイマイチ、でもなぜか人が寄ってくる!そういう人は人を惹きつけるオーラがあるの!今度はそれをこのチラシを使って決めるわ!」

 

 

穂乃果が聞き返すと、にこはµ’sのチラシの束を掲げながら言った。

 

 

そしてみんなにそれぞれ均等にチラシを渡していった。

 

 

もちろん駅伝部にも。

 

 

 

 

 

「これからみんなで一斉にこのチラシを配り、一番早く配り終えたものが一番オーラがあるってことになるわ!」

 

 

「今回はちょっと強引なような・・・」

 

 

にこの説明にことりが呟く。

 

 

 

 

「って、俺たちもやるんですか?」

 

 

「私たちµ’sを色んな人に知ってもらうためなんだから、あんたたちにも協力してもらうわよ!」

 

 

カケルが訊ねると、にこが答える。

 

 

 

 

「まぁいいじゃん。なんか面白そうだし」

 

 

高志が言う。

 

 

 

「ワタシも頑張りマス」

 

 

「よーし!頑張っていっぱい配るぞー!」

 

 

「俺も負けねー!」

 

 

「みんなのためだからね」

 

 

ムサ・ジョータ・ジョージ・王子もすっかりやる気満々になっていた。

 

 

 

 

 

 

「ふっふっふ・・・チラシ配りは前から得意中の得意。この『にこスマイル』で一気に配り終えてやるわ」

 

 

またしてもにこは不気味に笑いながら呟いていた。

 

 

 

「さあ、始めるわよ!」

 

 

 

 

 

 

 

「お願いしまーす!」

 

 

「µ’sです!よろしくお願いしまーす!」

 

 

にこの合図で一同は一斉に街の人々にチラシを配っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ありがとうございました~・・・ふぅ~」

 

 

「ことりちゃんすごい~!もう全部配り終わったの?」

 

 

 

「え・・・・」

 

 

 

始めてからしばらく経つと、ことりが誰よりも早く配り終えてしまい穂乃果が感嘆の声を上げ、にこはそれを知り呆然としていた。

 

 

 

 

「なんか気付いたらなくなってて・・」

 

 

 

「おかしい!時代が変わったの~?」

 

 

 

みんなに称賛されことりが笑顔で答え、にこは涙目になりながら唸っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

一方駅伝部は、µ’sに遅れは取っているものの着実にチラシを配り続けていた。

 

 

 

「音ノ木坂学院µ’sです!」

 

 

「よろしくお願いします!」

 

 

 

 

「お願いシマス!」

 

 

 

 

 

「ママ~。なんか黒い人がいるよ~」

 

 

「こら。指差しちゃいけません。きっと社会勉強のためにわざわざ遠くから来ているんだから」

 

 

すると小さい男の子がムサを指差し、母親が咎めていた。

 

 

 

 

「コンニチハ」

 

 

ムサはその子供に気付き、笑顔で手を振りながら挨拶をした。

 

 

 

 

「うわ~、こんにちはって言った~」

 

 

男の子はすっかりムサに興味津々になっていた。

 

 

 

「よろしければこれドウゾ」

 

 

ムサは男の子にµ’sのチラシを渡した。

 

 

 

 

「ありがとう~」

 

 

男の子は笑顔でお礼を言った。

 

 

 

「まぁ、とっても礼儀正しいわね。一体どこから来たの?」

 

 

「両親と共にケニアから来マシタ」

 

 

今度は男の子の母親に話しかけられ、ムサは丁寧な日本語で答えた。

 

 

 

 

 

 

それからムサの周りには、ムサの人柄の良さと礼儀正しさに好感を持った、主に子供や女性を中心に人が集まり始めた。

 

 

中には差し入れをくれた人や、握手を求める子供たちもチラホラといた。

 

 

 

 

「みんな見て見て~」

 

 

「ムサさん人気者だにゃー」

 

 

穂乃果と凛がムサを指しながら言う。

 

 

 

 

「ムサには、周りを温かい空気にしてくれる特殊なオーラを感じるね」

 

 

「うん。わかるよ。ことり、ムサ君のそういうところが好きだなぁ~」

 

 

高志とことりがムサを微笑ましそうに眺めながら呟いた。

 

 

 

 

(よかったなムサ・・色んな人に受け入れられて)

 

 

嬉しそうな表情でチラシを配り続けるムサを見て、カケルも嬉しい気持ちになっていた。

 

 

 

 

 

 

「だ~から、何でわたしの所にはあんな風に来ないのよ~」

 

 

その中でにこは1人嘆いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◎アイドル研究部:部室◎

 

 

 

一同はチラシを配り終えると、再び部室へと戻った。

 

 

全員これまでのリーダー決定戦の成績を振り返っていた。

 

 

 

 

「総合的に見ると、結局みんな同じだね」

 

 

「そうですよね。ダンスの結果が良くなかった花陽はカラオケが良くて、カラオケが良くなかったことりがチラシ配りが良くて」

 

 

「それぞれの欠点を上手く補えてる感じですよね」

 

 

高志・海未・王子が記録表を見ながら言った。

 

 

 

 

「にこ先輩だって、みんなより全然練習してないのにみんなと同じくらい出来てるにゃ」

 

 

「フフン・・当たり前でしょう」

 

 

(ズルで勝ち上がろうとしてたけどな・・)

 

 

凛が言うとにこは得意げになりながら答え、それに対しカケルは心の中でツッコんだ。

 

 

 

 

「でもどうするの?これじゃあ決められないわよ」

 

 

真姫が訊ねると、穂乃果が口を開いた。

 

 

 

 

 

「じゃあ、なくてもいいんじゃないかな?」

 

 

 

「「「ええ!?」」」

 

 

 

穂乃果の言葉に部室にいる全員が驚きの声を上げる。

 

 

 

 

 

「何言ってるの穂乃果ちゃん?」

 

 

「リーダーがいなくてもいいって・・」

 

 

「どういうことですか?」

 

 

 

「だって今までリーダがいなくても練習してきたでしょ?それに歌だってちゃんと歌ってきたし」

 

 

高志・ジョータ・ジョージの問いかけに穂乃果ははっきりと答える。

 

 

 

 

 

「でも、リーダーがいないグループなんて聞いたことないですし・・」

 

 

「それにセンターの件だってあるじゃないですか」

 

 

今度は花陽と王子だ。

 

 

 

「そうだ穂乃果。どんな形であろうとチームやグループを組んでいる以上、誰か1人みんなを引っ張る存在がいないとメンバーをまとめることが出来なくなるぞ。それを分かってるのか?」

 

 

さらにカケルが問い詰めた。

 

 

すると穂乃果はさらに宣言した。

 

 

 

 

 

 

「私、考えたんだ!みんなで歌うってどうかな?」

 

 

 

「「「みんなで?」」」

 

 

 

「うん!実は駅伝部を見てて思いついたんだ!」

 

 

「えっ?俺たちを?」

 

 

「どういう事デスか?」

 

 

高志とムサが聞く。

 

 

 

 

 

「ほら、駅伝ってさ・・みんなで順番に襷を繋ぎ合ってゴールを目指す競技じゃない!だから私たちも、そんなふうにみんなで順番に歌い合えたら素敵だなって思ったんだ!そんな曲、作れないかな?」

 

 

 

穂乃果の力強い言葉に、みんなはそれぞれ顔を見合わせる。

 

 

 

 

「まぁ、作れなくはないけど」

 

 

「そういう曲、なくはないわね」

 

 

「仕方ないわね~、私のパートはカッコよくしなさいよ」

 

 

海未と真姫はやる気を示しており、にこも文句を言わず承諾の返事をした。

 

 

 

 

「よし!そうと決まったら、早速歌詞を作り始めよう!海未ちゃん!」

 

 

「はい!頑張りましょう!」

 

 

 

「ワタシたちも、衣装と振り付けの考案頑張りマショウ!ことりサン!」

 

 

「うん。ありがとうムサ君」

 

 

 

「僕もアイドル関連について出来る限りアドバイスしますよ」

 

 

「ありがとう茜君」

 

 

 

 

「俺たちにも、何かあったら言ってくださいね!」

 

 

「いつでも力になりますから!」

 

 

「ジョージ君!ありがとう~」

 

 

「よ、よろしく・・ジョータ」

 

 

 

高志・ムサ・王子・ジョータ・ジョージはみんなそれぞれµ’sへの更なる協力を表明した。

 

 

 

 

(なるほど・・みんなで、か・・・)

 

 

カケルはみんなの様子を見て思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それがお前の答えなんだな、穂乃果

 

 

まさにお前らしくていいじゃないか

 

 

でも、やっぱり俺は・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「カケル君も、私たちのトレーニングメニューよろしくね!」

 

 

カケルが思っていると、穂乃果はにっこりと笑いながら声を掛けてきた。

 

 

 

「ああ。もちろんだよ。穂乃果」

 

 

カケルも笑顔で返事を返した。

 

 

 

 

 

「よーし!これからは、みんなが歌ってみんながセンター!」

 

 

「「「オーーーー!!」」」

 

 

穂乃果が高らかと宣言し、µ’sも駅伝部も全員拳を突き上げて雄叫びをあげた。

 

 

 

 

 

 

 

会議が終わると、みんな一緒に校舎を出て一緒に帰ることにした。

 

 

外に出ると、もう夕方になっていた。

 

 

 

 

「うわぁ~!みんな見て~!すっごい綺麗な夕焼け~!」

 

 

穂乃果はみんなから少し離れて夕焼けをまじまじと眺め始めた。

 

 

 

「まったく子供かよ・・」

 

 

カケルが苦笑いしながら呟く。

 

 

 

 

「でも、本当にリーダーがいなくてよかったのかな?」

 

 

するとことりが話し始めた。

 

 

 

 

「いいえ。もう決まってますよ」

 

 

「不本意だけど」

 

 

ことりの問いに海未と真姫が穂乃果を見つめながら呟いた。

 

 

 

 

 

「どんな事にも怯まずに真っ直ぐ突き進んでいく。それは、あいつにしかないもの。やっぱり俺は、穂乃果がリーダーでいいと思うぜ」

 

 

 

「俺もそう思うよ。カケル」

 

 

 

「ワタシもデス。やはり穂乃果サンが一番リーダーにふさわしいデス」

 

 

 

カケルの言葉に高志とムサも同意し、他のみんなも穂乃果を見つめながら納得したように頷いた。

 

 

 

 

 

 

「お~いみんな~!早く行こうよ~!」

 

 

 

穂乃果がみんなに手を振って呼びかけ、みんなは穂乃果に続いて走り出していった。

 

 

 

 

 

 

こうして新たな出発を始めたµ’sとそれに協力する駅伝部。

 

 

しかしそれは、彼ら彼女らに新たに訪れる『試練』の幕開けでもある。

 

 

 

 

季節は春から夏へと移り変わる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第1章  ~新生の春~  終

 

 

 

 




いかがでしたでしょうか?


ここで一旦区切りをつけて次回から新たな章がスタートします。
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