9人の女神と9人の戦士 ~絆の物語~   作:アイスブルー

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第38路 出陣!南関東大会!

【6月17日 土曜日 夕方】

 

 

 

◎音ノ木坂学院高校 敷地内◎

 

 

 

「はい!オッケーでーす!」

 

 

 

「よし!これで全ての撮影終了だ!」

 

 

 

「「「ありがとうございました!」」」

 

 

 

 

日も暮れ始めている夕方の学校内の一画に、駅伝部全員と新しい衣装を着たµ’sメンバー7人がいた。

 

 

 

実は先程まで駅伝部の協力の下、µ’sの新曲のPV撮影を行っていたのであった。

 

 

 

事前に生徒会から許可を貰い、学校が休みの本日土曜日に決行することになった。

 

 

 

相変わらず生徒会長の絢瀬は納得のいかない表情だったが、副会長の東條が快く承諾してくれたため、無事に撮影を終わらすことが出来た。

 

 

 

 

「あとは、撮影した動画を編集してホームページにアップするだけだね」

 

 

 

「いよいよ、私たちのダンスが色んな人に見られるんだね」

 

 

「ワクワクするにゃー」

 

 

「うぅ~・・ついにこの時が来たのね」

 

 

 

ハイジの言葉を聞き、花陽・凛は期待に胸を膨らませており、にこは涙目になりながら感慨に耽っていた。

 

 

 

 

「本当にありがとうございました。駅伝部の皆さんのご協力のおかげです」

 

 

 

「同じ学校の仲間なんだから、このくらいの協力は惜しまないよ」

 

 

 

海未が改めてお礼を言い、ハイジが返事を返した。

 

 

 

 

「それじゃあ平田先輩、動画編集の方よろしくお願いします」

 

 

 

「おう!任せろ!」

 

 

 

「つまんねえヘマすんじゃねえぞ」

 

 

 

「ちゃーんと私が目立つように編集しなさいよね」

 

 

 

「分かってるよ。うるせぇなあ」

 

 

 

穂乃果の頼みに平田が答え、それに対しユキ・にこが茶々を入れた。

 

 

 

 

 

「あの・・茜君、ありがとう。今回の撮影について色々アイデア考えてくれて」

 

 

 

「いや・・いいってこのくらい///」

 

 

 

「ユキ、あんたが考えてくれたフォーメーション、なかなかよかったわ。その・・・ありがとう」

 

 

 

「フッ・・どういたしまして」

 

 

 

「ジョータ君もジョージ君も、学校内の飾りつけ手伝ってくれてありがとう!ホラ、真姫ちゃんもお礼言うにゃー」

 

 

 

「ふ、二人とも・・・今日は・・ありがとう///」

 

 

 

「「いやー照れるなあ///」」

 

 

 

 

 

 

 

 

µ’sメンバーはそれぞれ駅伝部に対して感謝の言葉を述べた。

 

 

 

 

駅伝部員たちはµ’sの活動に関してそれぞれ役割が与えられるようになった。

 

 

 

カケルは体力トレーニングの考案、高志は海未の作詞補助、ムサはことりの衣装・振り付け考案補助。

 

 

 

さらにアイドルに精通している王子はステージ・演出の考案とカメラマンを担当し、頭脳派のユキはダンスのフォーメーション考案、パソコンが得意な平田は撮影後の動画編集、ジョータとジョージはその他雑務や他のメンバーの手伝い、そしてハイジは監督を務め全メンバーを統括する立場となった。

 

 

 

カケルはみんなの様子を見渡しながら思った。

 

 

 

 

 

 

 

本当に今回の撮影は大変だったなぁ

 

 

 

メンバーが増えてきて決めなきゃならないこともいっぱい出来て

 

 

 

でも、ここにいる全員で力を合わせたからこそ無事に成功させられた

 

 

 

なんか・・・大変だったけど楽しかったなぁ

 

 

 

みんなで力を合わせて一つのことを成し遂げるのが、こんなにも楽しいと思ったこと、ここに来るまで感じたことなかったな

 

 

 

 

 

 

「カケル君?」

 

 

「うぉ!?穂乃果!」

 

 

「どうしたの?ボーっとして」

 

 

「いや・・・何でもない!」

 

 

 

不思議そうに顔を覗かせる穂乃果にカケルは笑顔で返事を返した。

 

 

 

 

 

「それじゃあみんな、撮影が終わったなら片づけに入ろう!」

 

 

「「「はーーい!」」」

 

 

「あ、ムサ!君は先に帰っていいよ。明日は関東大会なんだし」

 

 

 

ハイジは全メンバーに号令を掛けたが、関東大会を翌日に控えているムサを呼び止めた。

 

 

 

 

「そ、そんな・・ワタシだけ先に帰るなんて申し訳ありマセン」

 

 

「大丈夫だムサ。あとは俺たちに任せろ」

 

 

「そうだよムサ君。明日は試合なんだから、早く帰って身体を休めて」

 

 

ムサは遠慮がちに答えるが、カケルとことりが彼をなだめ他のメンバーも優しく微笑みながら頷いていた。

 

 

 

 

「皆さん・・・ありがとうゴザイマス!明日は頑張りマス!」

 

 

 

「そうだムサ君。これ、受け取ってくれる?」

 

 

 

ムサがメンバー全員にお礼を言うと、ことりがムサに小さな紙袋を差し出した。

 

 

 

「これは何デスか?」

 

 

「開けてみて」

 

 

ムサは紙袋を受け取り開けてみると、緑色のスポーツネックレスが入っていた。

 

 

 

「うおーカッコいいー」

 

 

「いいなぁー」

 

 

ムサがネックレスを手に取ると、ジョータ・ジョージが興味津々にネックレスを眺め始めた。

 

 

 

「これって、陸上選手がよく付けているよね」

 

 

「しかも選手の間で大人気のメーカーの物だ」

 

 

高志とハイジもネックレスを眺めながら言った。

 

 

 

「エヘヘ、色々調べながら買ってきたんです。ムサ君に頑張ってほしくて」

 

 

「ことりちゃん、やるー」

 

 

ことりは照れながら答え穂乃果が感嘆の声を上げる。

 

 

 

 

「ありがとうゴザイマスことりサン!大切にシマス!」

 

 

「どういたしまして。明日も応援に行くから、頑張ってねムサ君」

 

 

 

ムサはことりに笑顔でお礼を言い、ことりもムサに優しい笑顔を向けながら激励の言葉を掛けた。

 

 

 

 

「ウフフ、なんか随分とめずらしい組み合わせよね~」

 

 

「でも、とってもいい雰囲気だにゃー」

 

 

「そうだね。あの2人、とってもお似合いだよね」

 

 

にこ・凛・花陽はお互いに笑顔で向き合っているムサとことりを眺めながら呟いた。

 

 

 

 

そしてムサはメンバーに見送られながら学校を後にし、残ったメンバーは後片付けに入り始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「それにしても、今回の曲もよかったよね」

 

 

「うん!あんないい曲作れるなんてさすが真姫ちゃんだよね」

 

 

「それに、色んな楽器のアレンジまでやってくれるなんてね」

 

 

 

「違うよ2人とも。編曲をやっているのは真姫ちゃんじゃないよ」

 

 

 

双子が装飾の片づけをしながら話していると、穂乃果が割って入って来た。

 

 

 

 

「えっ?じゃあ誰ですか?」

 

 

 

「真姫ちゃんの知り合いに編曲が出来る人がいるんだって」

 

 

 

「えぇっ?そうだったんですか?」

 

 

 

「僕はてっきり真姫ちゃんがやってるんだと思ってた」

 

 

 

穂乃果がジョータの質問に答えると、花陽・王子を始めとする2年生以外のメンバーは初めて聞いたため驚いていた。

 

 

 

 

(そういえばそうだったな・・・確かその人、仕事の都合で顔出しが出来ないって言ってたよな)

 

 

カケルは前に真姫が言っていたことを思い出していた。

 

 

 

一方真姫は、話してほしくなかったというように気まずそうな表情を浮かべていた。

 

 

 

 

「真姫ちゃん!その編曲の人ってどんな人なの?」

 

 

「俺、会ってみたいよ~」

 

 

「私もです!やはりここはちゃんとお礼を言うべきだと思うんです!」

 

 

 

「だ、だから・・・その人は仕事の都合で一般の人には会えないことになっているの!!」

 

 

話を聞いたジョータ・ジョージ・海未が真姫に訊ねるが、真姫は慌てたように大声で答える。

 

 

 

 

「じゃあその人ってどんな仕事をしているの?」

 

 

「真姫ちゃん、その人とどう知り合ったの?」

 

 

 

「んん~~もう!うるさーーい!!」

 

 

「「!?・・」」

 

 

真姫は次々と双子に質問攻めにされると、困ったように頭を抱えてから大声で怒鳴りつけた。

 

 

 

双子は驚きのあまり硬直し、周りのメンバーも片づけの手を止め何事かと振り返った。

 

 

 

 

「お願いだからこれ以上余計な詮索はしないで!迷惑になるから!」

 

 

「「は、はい・・・」」

 

 

 

真姫は再び大声で双子に釘を刺し、双子も真姫の迫力に圧倒され素直に返事を返した。

 

 

海未も納得のいかない表情を浮かべていたが、真姫の様子を見て仕方なく引き下がることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

真姫ちゃん・・・前も編曲者のことになると随分と慌ててたよな

 

 

 

あれは間違いなく何か隠してるな

 

 

 

よっぽど俺たちに知られちゃいけないことでもあるのか?

 

 

 

一体・・編曲者って何者なんだろう!?

 

 

 

 

カケルは先ほどの光景を見てそう思いながら再び片づけ作業に入ったが、しばらくすると明日の試合のことが気になりその考えは頭から抜け落ちていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【6月18日 日曜日】

 

 

 

◎駒沢オリンピック公園陸上競技場◎

 

 

 

駅伝部とµ’sは全員揃って試合会場に到着し、例によって観覧席の一画に陣地を取った。

 

 

競技場では既に試合が始まっており、周りの観覧席からは各選手への声援が飛び交っておりその熱気は都大会の時の比ではなかった。

 

 

空を見上げると、雲一つない快晴の空で風もほとんど吹いておらず一般的に見れば良い天気だが、気温は二十度後半はあるようで現在競技を行っている選手たちにとっては暑い気候であった。

 

 

 

 

「うお~速ぇ~!」

 

 

「いけいけ~!」

 

 

「みんな頑張るにゃー!」

 

 

ジョータ・ジョージ・凛は現在トラックで行われている200m走を観戦している。

 

 

号砲と同時に選手が全力疾走しており、周りの声援もさらにヒートアップしていた。

 

 

 

 

「すごい熱気だね。この前来た時よりもすごい・・」

 

 

「当たり前です!この大会はインターハイ出場がかかっているんです!選手一人ひとりの意地とプライドを懸けた熱き闘いなのです!」

 

 

穂乃果が会場の空気に驚いていると海未が拳を握りしめながらこの大会について熱く語りだした。

 

 

 

「う、海未先輩・・・熱いな」

 

 

「海未ちゃん、弓道やってるのもあってスポーツ見るの好きなんだよね」

 

 

海未の様子を見て呟く王子にことりが説明する。

 

 

 

一方フィールドでは砲丸投げが行われており、大柄で体格の良い選手が砲丸を持ちながらスタンバイをしている。

 

 

 

 

「ウオオォォ!!」

 

 

 

そして大きな雄叫びを上げながら砲丸を力一杯投げ飛ばした。

 

 

 

 

「す、すごい迫力です・・」

 

 

その様子を見て花陽が恐縮気味に呟いた。

 

 

 

「うお~結構飛んだな~」

 

 

平田も砲丸投げの試合に見入っていた。

 

 

 

「あんた実は砲丸投げの方が向いてるんじゃないの?筋肉すごいし」

 

 

「そういや、陸上部顧問の山田先生に勧められたことあったよな」

 

 

「バカ言え!俺は投てきには興味ねえ!俺の目標は高校駅伝ただ一つなんだよ!」

 

 

にことユキの言葉に平田はきっぱりと返した。

 

 

 

「なぁにこ。ちゃんとグラウンド見えてるか?」

 

 

「ちゃんと見えてるわよ!あんた遠回しにあたしのこと小っちゃいってバカにしてるでしょ!」

 

 

ユキの悪戯っぽい笑みを浮かべながらの質問ににこはムキになって答える。

 

 

 

「だったらもっと見やすくしてやってもいいぞ。そら!」

 

 

「うわあぁ!ち、ちょっと!降ろしなさいよ!」

 

 

 

すると平田は片手でにこの背中を掴みヒョイと持ち上げ始め、持ち上げられたにこは手足をジタバタしながらもがいている。

 

 

一同はその様子を見てクスクスと笑いだしていた。

 

 

 

「プッ・・」

 

 

「あー!真姫ちゃんも笑ってるにゃー!」

 

 

「わ、笑ってなんかないわよ!///」

 

 

 

「むうう・・あんたたちぃ~」

 

 

「こらこら、あんまりからかい過ぎるなよ」

 

 

 

笑いに包まれる一同に対してハイジが諫める。

 

 

 

カケルもしばらく楽しそうに様子を窺っていたが、ふとムサの方を振り返った。

 

 

 

ムサは今、高志のマッサージを受けながら目を閉じて集中している。

 

 

表情はかなり緊張しているようだった。

 

 

 

 

(まぁ、緊張するのはしょうがないか)

 

 

ムサの様子を見ながらカケルは思った。

 

 

 

 

「ムサ。調子の方はどうだ?」

 

 

「先ほどから緊張で脚が震えていマス・・」

 

 

ハイジの問いかけにムサはなんとか言葉を絞り出すように答える。

 

 

周りのみんなも一斉にムサの方を振り返った。

 

 

 

 

「今日は以前の世田谷競技会と違って暑い気候になるから脱水症状には気を付けて、なるべく水分はしっかり摂っておくように」

 

 

ハイジは空や周りの風景を見渡しながら念押しをする。

 

 

 

「あの、ハイジさん。インターハイに行くにはどれくらいのタイムで走ればよいデショウ?」

 

 

ムサはおずおずと手を上げながら質問をする。

 

 

 

「うむ・・これまでのデータを見たところによると、14分20秒から30秒台で走れれば確実だな。ボーダーラインは14分40秒台といったところだろう」

 

 

 

 

「14分40秒?」

 

 

「うわ~速え~」

 

 

「この前のユキのタイムより断然速いじゃない」

 

 

「うるせえな・・」

 

 

 

ハイジは顎に手を当てながら答え、それに対しジョータ・ジョージ・にこ・ユキが呟いた。

 

 

 

 

(ムサの自己ベストは前回の世田谷競技会で出した14分51秒。かなり微妙なところだな)

 

 

カケルは心の中で呟いた。

 

 

 

 

「わ、ワタシの自己ベストより速いデス。ワタシなんかが勝てるのデショウカ?」

 

 

 

「大丈夫だムサ。君はこれまで俺やカケルがやっている最上級の練習にもついてこれるようになった。間違いなく日に日に力は付いている。あとは自分の力を信じて全力で戦ってくるんだ」

 

 

 

さらに不安な表情で呟くムサにハイジが檄を飛ばす。

 

 

 

 

「そうだよムサ君。ことり、ムサ君がいつも一生懸命頑張っているの知ってるから」

 

 

「ことりサン」

 

 

「頑張ってねムサ君。今日も精一杯応援するからね」

 

 

 

ことりもムサの手を握りながら優しく励ましの言葉をかける。

 

 

 

 

「頑張ってくださいムサさん!」

 

 

「ファイトだよムサ君!」

 

 

「俺たちがついているよ!」

 

 

「他校の奴らにお前の力を見せてやれ!」

 

 

「私のラブにこパワーを分けてあげるわ!」

 

 

 

 

「皆サン、ありがとうゴザイマス!頑張ってキマス!」

 

 

 

他の駅伝部員やµ’sメンバーも一斉にエールを送り、ムサは笑顔でお礼を言った。

 

 

その表情は不安がなくなり、決意に満ち引き締まったものとなっていた。

 

 

 

 

 

「それじゃあ、そろそろ時間だから行こうか!カケル!ことりちゃん!付き添いの方をよろしく頼む!」

 

 

 

「「はい!」」

 

 

 

ハイジが号令をかけると、ムサ・カケル・ことりが続きスタート地点へと向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うぅ~なんかこっちまで緊張してきたよ~」

 

 

「凛も~」

 

 

「俺、トイレ行きたくなってきた」

 

 

「俺も~」

 

 

「あんたたち、いくら何でも緊張し過ぎでしょ」

 

 

「「だって~」」

 

 

 

ムサたちが出発してしばらく経つと、穂乃果・凛・ジョータ・ジョージがムサの試合による緊張からソワソワと落ち着かなくなり、真姫が呆れ声で呟く。

 

 

 

 

 

 

キャーーーーーーーーーー

 

 

 

 

その時、少し離れた観覧席から大勢の女性の歓声が聞こえてきたため一同は一斉に振り向いた。

 

 

 

 

「な、何なんですかね?」

 

 

 

「あ!あの人!」

 

 

 

王子が呟くと花陽が観覧席の下のグラウンドを日学院大附属高校のエース:黒田が他の部員数人と歩いているのを見つけた。

 

 

 

 

 

 

「黒田せんぱーーい!!」

 

 

「黒田くーーん!こっち向いてーー!」

 

 

 

観覧席の女性集団が黒田に対して黄色い声援を送った。

 

 

それに対して黒田も爽やかな笑顔を向けながら手を振り返していた。

 

 

 

 

 

「すごい人気ですね」

 

 

「まるでアイドルみた~い」

 

 

「ホントにいい男よね~」

 

 

その様子を見て海未・穂乃果が感嘆の声を上げ、にこは黒田をうっとりと眺めながら呟いた。

 

 

 

 

 

「羨ましい~・・」

 

 

「ケッ・・カッコつけやがって」

 

 

「まぁまぁ二人とも」

 

 

ジョージ・平田が不機嫌な声を上げ、高志がなだめる。

 

 

 

 

「でも、とってもいい人だったよね」

 

 

「そうだよね~。かよちんのバッグ取り返してくれたし」

 

 

「あの時の背負い投げ凄かったよね」

 

 

花陽・凛・王子は以前都大会の日に彼らに会った時のことを思い出していた。

 

 

 

 

「あの人って、すごく強いのよね」

 

 

「うん。この前の試合見てたけど、とにかく速かったよ」

 

 

「今日のレースは、おそらくあいつを中心に動いていくだろうな」

 

 

 

真姫・ジョータ・ユキは神妙な面持ちで黒田について話していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◎スタート地点付近◎

 

 

 

 

スタート地点には出場選手たちが集まりだしていた。

 

 

ムサは最終コールを終えると他の選手と共にスタート地点前の直線で最後の流しを行っていた。

 

 

その様子を付き添いのハイジ・カケル・ことりが見守っている。

 

 

 

 

「あれ?なんかムサ君の他にも外国人選手がいます」

 

 

ことりが選手たちを眺めていると、上下プルシアンブルーのユニフォームを着たもう一人の黒人の選手を見つけた。

 

 

 

 

「あれは甲府学院大附属高校の留学生ジョセフ・マナスだな」

 

 

ハイジが答える。

 

 

 

 

「甲府学院・・ですか?」

 

 

「箱根駅伝の常連校の中に甲府学院大学っていうところがあるんだけど、あそこは毎年ケニア人留学生を起用することで有名なんだ」

 

 

「それが発端となって、今では色んな高校・大学・実業団が積極的に外国人選手を取り入れるようになったんだ。高校では宮城の仙台城西高校や広島の世羅学院なんかがあるな」

 

 

 

「そうなんですか」

 

 

 

ことりの質問にカケル・ハイジが詳しく説明する。

 

 

 

 

 

その頃、流しを行っていたムサも入念にアップを行っているマナスを眺めていた。

 

 

 

 

(あの人もワタシと同じ国の出身デショウカ?おそらくワタシと違って陸上の才能を見込まれての留学生デショウ。きっとワタシなんかよりもずっと速いんデショウネ。でも、あまり気にしないようにシマショウ)

 

 

 

ムサは心の中で呟くと再び深呼吸をして試合に集中し始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「この試合で要注意なのはマナスだけじゃなく日学院の黒田、そして・・」

 

 

 

「俺がいた船橋第一の古賀さんですよね」

 

 

 

ハイジの言葉にカケルが視線を変えながら答える。

 

 

カケルの視線の先には、監督の松平から何か指示を受けている船橋第一の出場選手たちがいた。

 

 

 

 

「ああ、その通りだ。彼の走りは間近で見てきただろうが、どんな選手だった?」

 

 

 

「古賀さんは去年のインターハイ5000mには決勝まで進んでいて、とにかく計算して走れる速い人でしたよ」

 

 

 

「へぇ~」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「甲府学院のマナスはしょうがないとして、日学院の黒田・白井、他にも法教大二高の山谷・美濃あたりは要注意だ。付かれても競り負けないように」

 

 

 

「「「はい!」」」

 

 

 

松平は選手に声を掛け、選手は返事を返す。

 

 

船橋第一の出場選手は古賀と榊、そして主将の朝倉という3年生選手となっていた。

 

 

 

 

「あと、蔵原がいるところにもう一人外人の選手がいるようですけど、こいつは大したことなさそうですから無視していいっすね。特に榊はな」

 

 

「うぅ~緊張する~」

 

 

 

古賀が松平に確認を取り、その横で榊が緊張気味に呟いている。

 

 

 

 

「そうだな。お前たちなら心配はないと思うが油断は禁物だぞ!」

 

 

 

「「はい!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

そしていよいよスタート5分前となり、選手が次々とスタート地点に並び始めた。

 

 

 

「行ってこいムサ!」

 

 

「頑張れよムサ!」

 

 

「いってらっしゃいムサ君」

 

 

 

準備を終えたムサにハイジ・カケル・ことりが最後の檄を飛ばし、ムサは笑顔で手を振りながらスタートラインへ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

ピピーーーーーーーーーー

 

 

 

競技開始を知らせるホイッスルが鳴ると、辺りは静寂に包まれる。

 

 

 

 

 

(ムサ君・・・頑張って・・)

 

 

ことりは両手を合わせながら心の中でエールを送る。

 

 

 

 

 

 

ムサは昨日ことりに貰ったネックレスに手を当てる。

 

 

 

 

 

 

ことりサン・・・ハイジサン、カケル・・・皆サン・・・・行ってきマス!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「位置について!」

 

 

 

 

パーーーーーーーーーーーーン

 

 

 

 

 

 

 




お久しぶりです!約四ヶ月ぶりの投稿です!


ここ最近仕事が忙しくて中々書くことが出来ず、長らくお待たせしてしまい申し訳ありませんでした!


これから少しずつ続きを書いていきますがまた長い間お待たせすることがあるかもしれません。


しかし途中で投げ出すことだけは絶対にしませんのでこれからも応援よろしくお願いします!

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