9人の女神と9人の戦士 ~絆の物語~   作:アイスブルー

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しばらくカケル視点が続きます。

そしてついにアオタケメンバー登場です!


第3路  入部

~from カケル~

 

 

 

◎教室◎

 

 

授業が終わって放課後になり、俺は身支度を済ませると駅伝部の部室に向かうために席を立った。

 

 

「じゃあ俺はそろそろ行くね」

 

俺は穂乃果・海未・ことりに声を掛けた。

 

 

「はい。さようならカケル」

 

「また明日ね~」

 

「頑張ってねカケル君!」

 

3人とも手を振って挨拶をしてきたが、穂乃果はやっぱり駅伝部のことで応援してきた。

 

 

「今日はありがとう。また明日ね」

 

そんな3人に今日のお礼を述べ、俺は教室を後にする。

 

 

 

 

 

 

 

◎廊下◎

 

 

 

俺は部室に向かいながら今日のことを振り返った。

 

まさか転校早々こんな俺に向こうから話しかけてくれる人がいるなんて思わなかった。しかも女の子でだ。

 

 

3人ともいい人たちだったな。彼女たちとは、いい友達になれるかな?

 

 

 

 

 

 

 

『高校駅伝目指すんでしょ!?』

 

『頑張ってねカケル君!穂乃果応援してるよ!』

 

 

 

 

 

 

 

俺は駅伝はやらないつもりだったのに、あの時つい頷いてしまった。

 

3人とも俺の事すごい応援してくれてたな。応援してくれる彼女たちのためにも、俺は・・・

 

 

本気で目指してみるべきなのか・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「カケル!久しぶり!」

 

部室に向かう途中ハイジさんと出会った。

 

 

「どうだ?入部する気持ちは変わってないか?」

 

「はい。これから部室に向かうところです。」

 

「そうか。なら一緒に行こうか」

 

 

入部についての意思確認をすると、俺はハイジさんと一緒に部室へと向かう。

 

 

「でもすまないなカケル。駅伝部の活動は週5日で月・火・水・金・土で行っている。今日は木曜だからオフの日なんだ。だから今日は部の内容についての説明のみ行い、練習は明日からにするよ」

 

「わかりました」

 

ハイジさんが申し訳なさそうに説明したので俺は返事を返した。

 

 

 

 

 

『全国高校駅伝を目指す』

 

 

ハイジさんは確かにそう言ってたけど、一体この学校の駅伝部はどれほどの戦力なんだ?

 

あんな風に大口叩けるなんてよっぽど自信あるんだろうな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◎部室棟◎

 

 

部活用の部室棟は校舎から少し離れた所にある。

 

男子駅伝部の部室は1階にあるのだが、たまたま空いていた部屋を使わせてもらっているため、他の部室とは離れていていくつかの部活用具室に交じった所にあるとハイジさんが教えてくれた。

 

やがて部室らしき部屋のドアの前まで来た。ドアには「男子駅伝部」と書かれたプレートが掛けられている。

 

電気がついているので誰か人がいるようだ。

 

 

 

「まあ休みの日でも誰かしら部室にいるよ。さあ入ってくれ」

 

ハイジさんがドアを開けながら手招きする。俺はハイジさんに続いて部室に入ると、部室には部屋の隅には部員用のロッカーがいくつか並んでおり、その前には長いベンチが置かれていた。

他にもホワイトボードやかごに入った給水用のボトル数本など、運動部が使いそうなものはだいたい揃っていた。

 

中央にはプラスチック製のテーブルとパイプ椅子が置かれていて、2人の男子生徒がテーブルを挟んで向かい合うように椅子に座っていた。

 

 

 

2人ともよく見ると背が高く、ざっと180cm以上はありそうだった。

 

1人は筋骨隆々で渋い強面の人だ。正直あまり高校生には見えず、戦闘系の洋画に出てきそうな感じだと俺は思った。

 

もう一人は眼鏡をかけた痩せ形の人だった。表情を見るといかにも神経質そうな面立ちだった。

 

 

 

 

「よーしこれならどうだ!」

 

2人はどうやらチェスをしているようで、強面の人が声をあげながらチェスの駒を動かした。

 

 

「フッ悪いな。チェックメイト」

 

「何ぃ!!」

 

 

眼鏡の人が勝負をつけたので、強面の人は悔しそうな唸り声をあげる。

 

 

「くっそー何で勝てねえんだ!」

 

「単純すぎるんだよお前の手は。イノシシみてえに突っ込んでばかりくるからすぐに手が読めるぜ」

 

「イノシシとは何だお前!」

 

「じゃあ暴れ馬にするか」

 

「その例えやめろ!」

 

 

 

2人は俺とハイジさんには気づいていないようで、ついに口喧嘩が始まってしまった。

 

「気にするな。2人はいつもこんな調子なんだ」

 

ハイジさんは俺にそう呟くと、手を打ち鳴らし、言い争う2人の注意を惹きつけた。

 

「はいはい、そこまでだ」

 

2人は喧嘩をやめ、視線をこっちへ向けてきた。

 

 

「おうハイジ。来てたのか。ん?もう一人は見かけない顔だな」

 

強面の人が俺を品定めするような感じで見つめてきた。なんかちょっと顔恐いんですけど・・・

 

 

「彼は新入部員の蔵原走だ。今日転校してきた2年生だよ」

 

「よろしくお願いします」

 

 

ハイジさんが2人に俺を紹介してくれたので、俺は2人に挨拶をした。

 

 

「新入部員か。よく来てくれたな。よろしくな」

 

強面の人が機嫌良さげに声をかけてきた。しかしよく見ると本当に高校生に見えないな。

 

 

「なんでおっさんがこんなところに・・・って思ってんだろお前」

 

すると眼鏡をかけた人が茶々を入れてきた。

 

「えっ?い、いや俺は別に」

 

俺は慌てて否定する。いや、ちょっと思ったけど・・・

 

 

「おっさんとは何だ!俺はこう見えてもばりばりの現役高校3年生よ!って余計なこと言うんじゃねえ!」

 

 

強面の人は俺に抗議してから、眼鏡の人の頭を平手で叩いた。

 

そしてハイジさんは俺に2人の部員を紹介してくれた。まずは強面の人からだ。

 

 

「カケル。彼は3年の平田彰宏(ひらた あきひろ)。実家が工務店を営んでいてたまに店の手伝いをしているからこのとおりすごい筋肉だろう」

 

今度は眼鏡の人だ。

 

「こっちは同じく3年の岩倉雪彦(いわくら ゆきひこ)。みんなはユキと呼んでいる。将来は弁護士を目指していて、学業成績は学年でダントツトップの秀才だ」

 

「どうも」

 

ユキさんという人は紹介されるとそっけなく会釈する。

 

 

 

それにしても平田さんは無駄に筋肉ありすぎだし、ユキさんの方は痩せ型過ぎて一言でいえばガリガリの体型で、長距離選手って感じには見えない。この人たち本当に高校駅伝を目指してるんだろうか?

 

 

 

「以上。俺たち3人が3年生の部員だ」

 

 

えっ?3年生でたったこれだけかよ?じゃあ2年生は一体どれくらいいるんだ?

 

 

 

「おいお前ら!俺いま、すごいことに気付いたぞ!」

 

「どうしたんだ?いきなり」

 

突然平田さんが言いだしたのでハイジさんが訊ねた。

 

「どうせくだらねえ事だろ」

 

 

平田さんはユキさんの言葉を無視し、人差し指でハイジさん・俺・ユキさんを順番に指しながら言う。

 

「まずハイジだろ。カケルは苗字が蔵原だからクララ。そしてユキは、ヤギのユキちゃん。ほらな!アルプスの少女の登場人物の名前が揃っただろう!」

 

 

・・・・・・・・。

 

 

 

「バカだろお前・・・」

 

この沈黙を最初に破ったのはユキさんだ。

 

 

平田さんはユキさんを捕まえると片手でユキさんの頭をグリグリし始めた。ユキさんの悲鳴が部室内に大きく響いた。

 

 

「こんな感じだか、まあ仲良くしてやってくれ」

 

「はぁ・・」

 

ハイジさんが苦笑いしながら言ったが、俺は鈍い反応しか返せなかった。

 

 

 

 

 

 

その時、部室のドアが開く音と誰かの挨拶の声が聞こえてきた。

 

「コンニチワみなさん」

 

 

振り向くとそこにいたのは、俺と同じクラスにいた黒人の生徒だった。

 

 

「ああムサか。こんにちは」

 

ハイジさんが挨拶を返す。

 

 

「アナタは今日転校してきたカケルですね」

 

黒人は俺の姿を見ると、思い出したように言った。しかし日本語うまいなぁ。

 

 

「なんだムサ。知り合いなのか?」

 

「彼とは同じクラスなんデス。話したことはないですケド」

 

ハイジさんが聞いてきたので黒人が答えた。

 

 

 

「カケル。彼はケニア人のムサ・カマラだ。両親の仕事の都合で3年ほど前から家族揃って日本に住んでいるんだ」

 

「よろしくカケル」

 

ハイジさんが紹介すると、ムサが握手を求め手を差し出したので俺は彼と握手を交わした。

 

「よ、よろしく」

 

 

 

 

 

なるほど黒人か!黒人の足は即戦力になる。きっと速いに違いない。

 

 

 

 

 

「ところでムサ。今日は部室に何の用だ?」

 

「ちょっと忘れ物を取りに来マシタ」

 

 

ムサはそういうとロッカーの方へ歩いて行った。そして、部室の隅で小競り合っているユキさんと平田さんにも挨拶をした。

 

 

「彼はとても真面目で人柄がいいんだ。ああやって積極的に色んな人と明るく接するから、生徒からも大変好かれているんだよ」

 

 

ハイジさんがムサを見ながら説明をしていると、再び部室のドアが開く音がした。

 

 

振り向くと今度は、まったく同じ顔をした男子生徒が2人入ってきた。どうやら双子のようだった。

 

 

「えっと・・君たちは?」

 

ハイジさんが双子に聞く。

 

 

「「実は俺たち、駅伝部に入部させてほしいんです」」

 

 

入部という言葉を聞き、部室の奥にいたムサもユキさんも平田さんも一斉に双子の方に振り向いた。

 

 

「本当かい!?もちろん大歓迎だよ!まず学年と名前を教えてくれるかい?」

 

ハイジさんは新たな新入部員に喜びを噛みしめた表情をしながら質問をした?

 

 

「1年生で兄の城太郎(じょう たろう)です」

「弟の城次郎(じょう じろう)です」

 

「俺のことはジョータ、弟のことはジョージって呼んでください」

「昔からそう呼ばれていたので」

 

 

「「よろしくお願いします」」

 

 

双子は兄と弟が交互に喋り、最後には声を揃えて挨拶をした。立ち位置を変えられたら、もう見分けがつかなそうなくらいよく似ている。

 

 

 

「いや~いきなり3人も新入部員が来てくれるなんてツイてるな」

 

平田さんが言った。

 

「え?3人?」

「あと1人は誰ですか?」

 

双子が聞いてきたので俺は手を上げてアピールした。

 

 

「俺だよ。2年の蔵原走だ」

 

「どうも!よろしくお願いしますカケル先輩」

「よろしくお願いしますカケルさん」

 

 

 

双子は順番に元気よく挨拶してきた。

 

「先輩」か。なんかそう呼ばれるのも懐かしいな。

 

 

 

 

するとムサが口を開いた。

 

「良かったデスネハイジさん。これで全部で8人。予選に出られマス」

 

「ああ。そうだな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

え?8人?駅伝部の部員はここにいる7人とあともう1人の8人しかいない?

 

しかも今まで予選に出たことすらないのか!?

 

 

こんな状況で高校駅伝出場なんて無理だろ!?絶対無理だ!!

 

 

 

 

 




今回、µ’sの出番少なくてすみませんm(__)m
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