9人の女神と9人の戦士 ~絆の物語~   作:アイスブルー

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今回は少し長いです。そして風強メインです。


第7路  理由

◎学校◎

 

 

カケルが駅伝部の初練習を終えた翌日の今日は土曜日。土曜日は学校が休みのため、駅伝部の練習は午前9時から行われる。

 

現在その午前9時。駅伝部のメンバーは学校の運動場の脇に集合していた。

 

 

 

「今日はみんなで5000mのタイム計測を行う。みんなの今の力がどれくらいなのか見極めるのが目的だ。スタートは10時10分。それまでは各自、ストレッチをして流して走っておくように」

 

「「「はい!!」」」

 

ハイジが部員のみんなに今日の練習内容を伝えた。すると王子が手を上げて質問をする。

 

 

「流して走るというのは、ゆっくり走るって意味ですか?」

 

「そう、体にあまり負担をかけない程度に走る、という意味だ。いきなり走り始めたり、走りやめたりするのは故障の原因になるからね」

 

ハイジが説明すると王子はやや不安げな顔をした。

 

 

「王子は昨日、なんとか5kmを走り切ったじゃないか。ちゃんと練習を積み重ねていけば、そのうち慣れるから大丈夫だ」

 

ハイジは力強く請けあった。

 

 

 

長距離を走り抜くためには、短距離とは違う筋肉が必要とされる。一瞬のうちに爆発的な力を発揮するのではなく、一定の推進力を長時間持続させなければならない。毎日じっくりと自分の体と向き合い、練習を積み重ねていけば少しずつ実力をつけていくことが可能だ。長距離ほど、才能と努力の天秤が、努力のほうに傾いている種目もないだろう。

 

 

 

「カケルは俺と、みんなが走り終わった後に2人で走るからそれまではみんなのタイム計測を手伝ってくれ」

 

「わかりました」

 

 

ハイジがカケルに伝えるとカケルは返事を返した。

 

 

そしてメンバーはそれぞれストレッチをしたりアップジョグをし始めた。

 

 

 

「いよいよこの立派なトラックで走れるんだ。なんかワクワクするなあ」

 

「陸上部の人たちにも見てもらえるよね」

 

ジョータとジョージはトラックの一部ですでに練習を始めている陸上部の女子たちを眺めながらウキウキしている。

 

 

「トラックでのタイム計測なんて久しぶりだからなあ。どれくらいでいけるだろう」

 

「体がなまっていたら嫌ですよね」

 

高志とムサが話しながらジョグをする。

 

 

 

カケルはストレッチをしながらメンバーを見渡す。

 

 

 

 

 

 

ハイジさんが走る!高校駅伝出場を目指すって言ってきてどれくらいで走れるんだ?

 

それに・・あの右膝の手術の跡・・

 

他のみんなもどれほどの実力なのか、お手並み拝見といこうじゃないか!

 

 

 

 

 

 

やがてスタート時間が近づき、ユキ・平田・高志・ムサ・ジョータ・ジョージ・王子の7人がスタート地点に並ぶ。

 

 

「準備はいいか?」

 

「おう。いつでもいいぜ」

 

ハイジが聞くと平田が答える。

 

 

 

「よーい、スタート!」

 

ハイジの合図で一斉に走り出していった。

 

案の定王子はいきなり集団から遅れだしていた。

 

まだ200mぐらいのところですでにきつそうに呼吸を荒げていた。

 

 

「ほら王子、頑張れ。君なら出来る」

 

ハイジはカケルとトラックの周りを並走しながら王子に檄を飛ばす。

 

 

 

「ハイジさん。あの運動歴0の王子が駅伝で起用できるレベルにまでなるのは、3年間かけても難しいんじゃないですか?」

 

「大丈夫だ」

 

カケルの問いにハイジは答える。

 

 

「その根拠は?」

 

「昨日の王子の走りを見ただろう。彼は普通の人にはきついであろうことを音を上げることなく最後まで走り切った。それにあのアニメグッズの数々。あんなにアニメのことばっかり考えてるのは尋常じゃない。あの情熱の持続力、ひとつのことをコツコツ極めるのが苦にならないというのは、まさに長距離向きの性格だ」

 

ハイジは真剣な顔つきで語っていた。どうやら本気で褒めているようだった。

 

 

 

 

「・・・ハイジさん。何で俺を?」

 

カケルは少し考えた後で口を開く。

 

「ハイジさんは、俺が前の学校で何をしたのか知ってるんでしょう。どうして・・」

 

「俺はカケルの走りが気に入ったまでだ」

 

「!?」

 

 

「俺はお前を信じてる」

 

「そ・・そうすか」

 

ハイジは微笑みながら答え、カケルは少し頬を赤らめる。

 

 

 

 

 

 

 

 

なんか調子狂うなぁ。本当にハイジさんは、今まで会ったことのない感じだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◎校門前◎

 

 

その頃、音ノ木坂学院の校門前に私服姿の穂乃果が息を切らしながらやってきた。疲れたため一旦足を止める。

 

 

「はぁ・・はぁ・・今日は駅伝部の練習見に行こうと思ってたのに、寝坊しちゃった。確か9時開始だよね。もう始まってるよ~!急がなきゃ!」

 

穂乃果は再び走り出し運動場へと向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◎運動場◎

 

 

やがてカケルとハイジ以外の全員が5000mを走り終え、ハイジは計測したタイムを紙に記入した。

 

 

 

 

 

 

ムサ:15分24秒

 

ユキ:15分46秒

 

高志:15分51秒

 

平田:16分35秒

 

ジョータ:17分38秒

 

ジョージ:17分39秒

 

王子:33分13秒

 

 

 

 

 

「ぜぇ・・ぜぇ・・先輩たち速いですね・・」

 

「全然ペースとか分かんなくて、最後マジで心臓が壊れるかと思った・・」

 

ジョータ・ジョージがげんなりした表情で言う。

 

 

「いや、初めて走って17分半ばはなかなかのものだ。君たちはすごく素質がある。練習次第でどんどん伸びるよ」

 

 

ハイジのお墨付きをもらい、双子は喜んでハイタッチを交わした。

 

 

 

「・・まだフォームに無駄があるのか」

 

ユキは自分の走りに納得がいっていないようで、明晰な頭脳で自己解析を始めていた。

 

 

「うーん、ちょっと思ったより身体が動かなかったな」

 

「なんとか14分台までいきたかったですケド、力がありませんデシタ」

 

「2人ともトラックレースの感覚を忘れていただけだ。フォームには問題ないから、これからの練習でタイムは縮まるさ。平田はフォームが少し固い感じで走りが全体的に重そうだったからもう少し柔軟が必要だ。後は後半の粘りだな」

 

 

同じく不本意な様子の高志・ムサ・平田にハイジがフォローする。

 

 

 

 

一方王子はばったりと倒れ伏してぴくりとも動かなかった。

 

 

「・・まあ、あのアニメオタクが走り通しただけでも良しとするか」

 

ハイジはこめかみを揉みながら言葉を探すような感じで答えた。

 

 

やっぱりあんた、王子のことをただのオタクだと思ってるんじゃないか、とカケルは思った。

 

 

 

「さてカケル。俺たちもいこうか」

 

「・・はい」

 

ハイジとカケルはジャージを脱ぎランシャツランパン姿になり、スタート地点へ向かう。

 

 

 

 

 

「はぁ・・はぁ・・やっと着いたぁ~。あ、カケル君だ!もしかしてこれから走るのかな!?」

 

穂乃果はようやく運動場に到着し、周りの柵に寄りかかりながらカケルを発見する。

 

 

 

 

 

 

カケルとハイジはスタート地点付近で最後の準備運動を行っていた。

 

 

「カケル。5000mの自己ベストは?」

 

ハイジが問う。

 

 

 

「14分09秒」

 

 

カケルの答えを聞いた他のメンバーたちは驚きの表情をした。

 

 

「じゅ・・14分台!?」

 

「高校トップレベルじゃねえか!」

 

「すごいデス・・」

 

そして2人はスタート地点に並んだ。

 

 

 

 

「ま、俺はこれからも一人で走り続けて速さを極めていくつもりですけど」

 

「・・そうか。ならカケルにもはっきりしてもらおう」

 

「!?」

 

 

 

 

 

「俺に負けたら一緒に高校駅伝を目指せ」

 

 

「!!」

 

 

 

ハイジは静かだが凄みのある声で言う。

 

 

 

 

「位置について。よーい、スタート」

 

高志の合図で2人は走り出した。

 

 

 

カケルはわずか100mのところで一気にペースを上げてハイジとの差を広げた。

 

 

 

「うわぁ~速い!」

 

穂乃果は柵のそばに立ちながら、カケルの走りに感嘆していた。

 

 

 

 

「のっけからすごい差つけましたね」

 

「そりゃ14分一桁相手じゃな」

 

ジョータと平田が言う。

 

 

「というかカケル。なんか機嫌悪そうに見えるけど・・」

 

高志がカケルの走りを見ながら呟く。

 

 

 

 

 

 

カケルはチラリとハイジを振り返りながら先ほどのハイジの言葉を思い出す。

 

 

 

『俺に負けたら一緒に高校駅伝を目指せ』

 

 

 

 

期待して損した。やっぱりあの人は何もわかってない。完璧にぶっちぎって思い知らせてやる!あんたの言ってることは所詮、夢物語に過ぎないってな!

 

 

 

 

 

しかし気が付くと、ハイジはカケルの横についていた。

 

 

それに気づいたカケルは更にペースを上げて引き離そうとするが、ハイジは離れずぴったりとカケルの真横についていた。

 

 

 

 

 

・・離れない!強がりなのか!?いや・・・

 

 

 この人、本当に速い!!

 

 

 

 

 

「すげえ!ハイジさん、カケルさんについてってますよ!」

 

「無理してんじゃねえの?ハイジの自己ベストはギリギリ15分切るぐらいのタイムなんだぞ」

 

ジョージの言葉に、ユキは冷静に分析する。

 

 

 

 

2人は最初の1000mを2分45秒で通過した。

 

 

「ハイジさん。このペースじゃつぶれますよ」

 

カケルが言うとハイジは前を見据えたまま問いかける。

 

 

「カケル。君は何のために走っている?」

 

「!?」

 

「ただ走るだけなら、野良犬と同じだぞ」

 

 

 

 

 

 

 

 

何のために走る・・?そんなのわからない・・・

 

 

あの事件以来・・・俺は何もかも捨ててきたんだ・・・走ること以外は・・・

 

 

俺を妬んでいたくせに、いざって時は俺の走りを頼りにする中学時代の部の連中とか

 

 

選手を徹底管理し、時には体罰も与えるようなスパルタ環境の、前の学校の駅伝部とか

 

 

住み慣れた船橋の街

 

 

 

 

『金は振り込むから好きにしろ』

 

 

期待するだけしといて口を聞いてくれなくなった両親

 

 

 

 

何もかも全部捨てて、俺にはもう走ることしか残ってないんだ。

 

 

 

 

 

 

 

『ただ走るだけなら、野良犬と同じだぞ』

 

 

上等だ!飼いならされるつもりはない!

 

 

次のコーナーを曲がったら一気に突き離してやる!

 

 

 

 

 

 

 

 

カケルはコーナーを曲がると再びスピードを上げる。

 

 

しかしハイジはそれでもカケルの真横の位置をキープし続けていた。

 

 

やがて3000mを通過した。

 

 

 

 

「3000m、8分39秒!」

 

「ひええ。あっという間」

 

高志が計測したタイムに驚くジョータ。

 

 

2人の走りはこの運動場にいる人全員の注目の的になっており、陸上部の女子たちも一度練習を中断し2人の走りに見入っており、練習を見に来た穂乃果もすっかり2人の走りに魅了されていた。

 

 

 

 

すごいな~。どんな感覚なんだろう?あの速さって。やっぱり格好いいな。

 

 

 

 

 

 

 

「ハイジさんは走るのに何か理由がいるんですか?」

 

 

カケルは走りながらハイジに問う。

 

 

「所詮走るときは一人ですよ。俺は面倒なものは全部捨ててここまで一人で走ってきた。だから・・・理由がなきゃ走れないよう人に負けるつもりはありません!」

 

 

 

 

 

 

「やっぱりすげえや!カケルさんもハイジさんも!あんな風に走れたら楽しいだろうなぁ」

 

ジョージが2人の走りを見ながら無邪気な笑顔で呟く。

 

 

「まあ、走れたらな」

 

 

平田が口を開き、その場にいた全員が彼の方を向く。

 

 

「毎年、高校駅伝に出てくるような選手のほとんどの持ちタイムは15分を切るタイム・・・14分台だ」

 

「・・14分台」

 

 

「この15分の壁が凡人とアスリートの境界線といったところだろう。全員がこの壁を突破できるぐらいにならないと、到底高校駅伝には出られない。俺たちがまず目指すのはそれなんだ」

 

 

平田が力強く語り、メンバーは全員決意に満ちた目をしていた。

 

 

しかしそれと同時に平田は疑問を感じていた。

 

 

(しかしやっぱ腑に落ちねえ。カケルといいハイジといい、高校駅伝へ出たけりゃ強豪校へ行けばいいのに、あんなレベルの奴がなぜ音ノ木坂学院に・・・)

 

 

 

 

 

 

 

やがて残り1000mを切った。カケルは何度もハイジの様子を確認していた。

 

 

(そろそろ仕掛けてくるか?)

 

 

そう思っていると突然ハイジが口を開く。

 

 

「色んなものを捨てて軽くなった分速く走れるか・・・けど、捨てるものが無くなった今どうする?」

 

「!?」

 

 

 

「何かのためだから走れるってこともある!」

 

 

ハイジがそう言ったのと同時に仕掛けようとするのをカケルは感じた。

 

 

 

 

来た!!勝負だ!!

 

 

 

 

カケルはハイジの仕掛けに対応し、スパートに入った。

 

 

しかし、ハイジはついてこれずあっさりと差が広がってしまった。

 

 

「「「!!?」」」

 

 

この意外な展開に、カケルも他のメンバーも驚いていた。

 

 

 

 

 

「ハイジさん、急に落ちちゃった」

 

「とうとうカケルのペースについていけなくなったか」

 

ジョータと平田が言う。

 

 

 

 

 

 

 

・・・なんだ。この程度か・・

 

 

カケルはそう思いながら後ろを振り向くと、ハイジの必死の表情を見てゾクッと寒気のようなものを感じた。

 

 

 

・・・何だ!?

 

 

 

 

【残り2周】

 

 

 

 

(20mは離した。これで大体どいつも潰れる。)

 

 

 

しかしカケルは、ハイジの追ってくる大きな足音を感じていた。

 

 

 

 

 

 

もう勝負はついた。ハイジさんだってわかってるはずだ。なのにあの人は・・・

 

 

 

あきらめていない!

 

 

 

負けると分かっていて無駄に頑張る意味があるのか?

 

 

それに・・・あんな手術を受けるほどの怪我まで負って・・・

 

 

 

本当に・・・ハイジさんって何者なんだ!?・・・

 

 

 

 

 

『何かのためだから走れるってこともある』

 

 

 

 

ハイジさんは、一体何のために走っているんだ!?

 

 

 

 

 

 

 

【残り1周】

 

 

 

カケルは再び後ろを振り返った。すると先ほどよりも差が縮まっているのを感じた。

 

 

(差が詰まってる!?まさかハイジさんに余力が残ってたのか!?)

 

 

 

「ハア・・ハア・・ハア・・」

 

 

(いや、俺のペースが落ちている!)

 

 

 

カケルはラスト200を最後の力を振り絞って渾身のスパートをかけた。

 

 

「ぐっ・・はあっ・・はっ・・はっ・・」

 

 

 

「ゴール!!」

 

 

カケルがフィニッシュし高志がストップウォッチを押しながら声をかける。

 

そしてすぐにハイジもフィニッシュした。

 

 

周りで見ていた人たちから拍手が送られる。

 

 

 

高志は2人の計測タイムを伝える。

 

 

 

 

カケル:14分48秒

 

ハイジ:14分56秒

 

 

 

 

「「すごいっすよ!」」

 

 

「いや、何かダメだ!納得いかねえよ」

 

双子が声を揃えて褒めたたえるがカケルは不満な声を上げた。

 

そして、ハイジの方を見る。

 

 

ハイジは両手を膝に当てて息を切らしていたが、顔を上げまっすぐにカケルの方を向きながら口を開く。

 

 

 

「はぁ・・はぁ・・・君の勝ちだ!」

 

 

 

 

バカ言うなよハイジさん。全然負けた奴の目じゃないでしょ。

 

 

何なんだ?この妙な敗北感は?

 

 

 

俺は・・・確かに勝った・・・なのに・・・

 

 

 

何で負けたような気分になってるんだ!?

 

 

 

 

 

「カケル。長距離選手にとって一番のほめ言葉ってなんだと思う?」

 

 

「え?・・『速い』じゃないですか?」

 

 

「いいや、『強い』だよ」

 

 

「・・・」

 

 

「確かに君は『速い』けど、果たして『強い』だろうか?」

 

 

 

・・・わからない。俺の方が速かったんだから勝った。でも・・・

 

 

『強い』ってなんだ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっぱり先輩たちすごいですよ!俺たちも走ってみたくなりました」

 

「俺もです!2人の走りを見て、素直にいいなぁって思いました」

 

双子が憧れの眼差しで答える。

 

 

 

「ワタシもです。今までみなさんと走ってきてとても楽しかったデス。それにワクワクします。今ここにいるみなさんで目標に向けて頑張り合うのは・・」

 

ムサが少し頬を赤らめながら答える。

 

 

「そうだね。俺もあのすごい走り見てたらもっと頑張りたいって思えたよ」

 

「フッ・・最後の高校生活だし、まあ悪くないかもな」

 

高志・ユキが答える。

 

「よし!このメンバーで絶対高校駅伝行こうぜ!」

 

 

平田が高らかに宣言し、それに他のメンバーも、オー!と拳を上げた。

 

 

 

 

「そういうことだ。カケル」

 

盛り上がるメンバーたちを見つめるカケルにハイジはポンと肩を叩きながら言う。

 

 

「で・・でも俺は勝ったわけですし、高校駅伝は俺は目指さなくていいってことで・・」

 

 

「たしかに負けたら一緒に高校駅伝を目指せと言ったな。でも、『カケルが勝ったら目指さなくていい』とは一言も言ってないぞ」

 

「!?」

 

「これからも根気よく説得し続けるからよろしくな」

 

「うっ・・・」

 

ハイジはにっこり笑いながらカケルに告げる。

 

 

 

 

「よーし、とりあえず・・・」

 

 

 

 

 

 

「音ノ木坂学院男子駅伝部!改めて、本格始動だあ!!」

 

「「「オーーーーーー」」」

 

 

 

 

「ちょ・・ちょっと待ってください・・・僕を忘れてませんか・・・」

 

後になって王子が、ヘトヘトで四つん這いになりながらみんなの輪に加わった。

 

 

「あっ・・・すまん王子」

 

ハイジが謝罪する。

 

 

 

 

 

 

「よし、じゃあみんなでクールダウンをするぞ。全員列になってトラックをジョグするぞ」

 

 

「「「はい!!」」」

 

 

ハイジの号令でメンバーは動き出す。

 

 

 

「ハイジさん」

 

 

「どうした?」

 

 

「強いってどういうことですか?」

 

 

「その答えはまだ俺にもわからない。だから、その答えを一緒に探さないか?」

 

 

 

 

 

ハイジさんなら・・・信じてみてもいいかもな・・・

 

 

 

「おーいカケル、ハイジ!はやく来いよ!」

 

 

平田の呼び声が聞こえる。

 

 

「さあ、いこうカケル」

 

 

「はい」

 

 

 

そしてカケルとハイジも列に加わり、全員でダウンジョグを始めた。

 

 

 

 

 

 

 

「すごいの見れちゃった。部活かぁ・・なんかいいな。私もあんなふうに大勢の仲間と何かを目指してみたいなあ」

 

 

穂乃果はそう呟きながら駅伝部員たちを見届ける。

 

 

 

 

 

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