俺が攻略対象とかありえねぇ……   作:メガネ愛好者

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メガネ愛好者です

少し遅めに投稿(サブタイ書き忘れたとかそんなんじゃないよ!)

今回は個人的に絡ませたかった人との話です
いろいろとやっておきたかったものがあるんですよ……なので、今回は四糸乃回じゃありません。申し訳ない……

あぁ四糸乃、次回から本番だから待っていておくれ……

……あ、今更ですが、この作品はアニメと原作が混同していたりします
なので、アニメに無かったシーン、アニメとは違う描写などがあった場合、それは原作寄りの内容を元にしていたりするかもなので……まぁあれです

深く気にするな!以上(すいません)

それでは


第三話 「実は食いしん坊? 知ってる」

 

 

 「ち、千歳さん……?」

 

 「大丈夫……じゃ、なさそうだね」

 

 「前よりも凹んでいる件について」

 

 「……おかん……おかん、か……」

 

 四糸乃達と水族館に行って数日……俺はまだおかん発言を引きずっていた

 いや……ね? 自分でもここまで引きずるかって思うよ? でも……なんかいろいろとショックだったんだよ。あれだ、些細な言葉が結構効いた的な……

 冗談を言い合える仲——よしのんとだったらここまで引きずる事もなかったんだろうけど、純粋無垢な四糸乃のお母さん発言はなぁ……正直効いた

 だって俺はまだ十代だぜ? 四糸乃ぐらいの歳の娘を持つってことは……若くて三十代ぐらいだろう? 俺そんな老けてねーよチクショー

 別にお母さんと慕われること自体はいいんだ。ただ「みたい」って……老けてるってことじゃなかと? 俺はそげに老けとらんばい……

 

 そんな、以前よりも明らかに落ちこんでいる俺を見た藤袴達が心配そうにこちらを見ているのにも関わらず、俺は番台で膝を抱えて座り込むのだった。……おかんという言葉を呪詛のように呟きながら

 

 「さっきから呟いてる”おかん”って……マザー的な意味のおかんかな? だとしたらその彼氏最低じゃない? 見る目ないんじゃないの? 馬鹿なの? 死にたいの?」

 

 「多分そうなんじゃないかな? 時折「老けてる?」とか「ババ臭い?」とか呟いてるし……目ん玉ついてるのかなそいつ? ついてたとしたら腐ってんじゃない? そもそも女性を年寄り扱いすること自体が最低だよ」

 

 「千歳さんの事をババア扱いして傷つけるどこぞの馬の骨ともわからん阿呆。マジ許せんわー」

 

 何か三人で話し合ってるみたいだけど……なんだろ? うまく聞き取れないわ……

 精霊スペックを使ってもうまく頭に言葉が入ってこないあたり、結構ダメージ負ってんなー俺

 あぁー……布団の中で惰眠を貪りたい……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それから数日間かけて心の傷を癒した俺は、何とか平常時と同じぐらいに元気を取り戻しました。……俺って案外豆腐メンタルだよな

 ……え? 知ってるって? マジか

 いやそれでも四糸乃のおかん発言は過去最高のメンタルアタックだったぞ? しょうがなくね? ……しょうがなくない? 知ってる

 

 ……コホン。とりあえず俺の豆腐メンタルは置いておいて……それでも女性にとってはダメージがあると思うぞ? 悪気が無い言葉ほどそれは真実に近いから、否定もしにくいんだわ

 そんな的確なメンタルアタックを与えてくる聖女の様な精霊四糸乃、誠に恐るべし。無自覚なのがこれまた恐ろしいぜ……

 それでも四糸乃は可愛いから許される。ホント罪づくりな少女ですね

 

 そんな訳で数日経ったんだが……まぁあれだ。その辺の記憶が結構飛んでるっていうか、あやふやっていうか……とにかく、ほとんど覚えていなかったりする

 空間震とか起きてたみたいだけど、それにさえ気づかない程に自分の世界に入ってたみたいですハイ。運が良かったことに、こっちに被害が来なかったのは不幸中の幸いというものだろう。ご迷惑をお掛けしてすいませんでした

 

 ——それはそうと

 

 「空間震……もしかして四糸乃だったりしたのかな?」

 

 周りから聞いた話によると、どうやら空間震があったのは()()みたいで、今回は小規模の空間震だったそうな

 

 

 空間心が起きたってことは、つまり……精霊が現れたってことだろうか?

 

 

 そしてその空間震が……どうにも四糸乃の気がしてならないのだ。時期的にも、タイミング的にもね。多分十香ではないと思う

 何故急に空間震で現界したのかはわからない。現に四糸乃は空間震を起こさずにこちらにこれていたというのに……なんで今になって空間震が起こったんだろう?

 何より不安なのが……

 

 「ASDの人達に襲われてなければいいんだが……」

 

 それだけが何よりの気がかりだった

 四糸乃は優しいからな。最初に会った時も、俺に向かって「痛いのはダメ」って言ってくるぐらいだし、自分から攻撃はしないと思う

 四糸乃からは攻撃をしない。だがASDの方はそんなの関係ねー! ってレベルで鉛玉撃ち込んで来るからなー……もし四糸乃に怪我させたら夢の国(強制安眠系)にご招待してやろうか? あぁ?

 四糸乃のおかん発言から立ち直って俺に死角はない……四糸乃のおかんとして、四糸乃を守ります!! 待っててね四糸乃!! おかん頑張るよ!!

 

 ……おばちゃんは勘弁な?

 

 まぁそもそもな話、今回の空間震で現れたのが四糸乃じゃなければ結果オーライなんだけどさ。別に確証はないからね

 もしかしたら四糸乃でも十香でもない、別の精霊が現れたのかもしれないしな。……だからと言って、見て見ぬふりをする気はないけどさ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 場面が変わり、何となしに街を出歩き始めた千歳さんだ

 番台の仕事は当分ありません。そもそもお手伝い以上お仕事未満の役割だったし、俺がいなくても問題なかったりするんだよね。寧ろおじちゃんも番台を任せっきりにする気はなかったっぽいわ

 ……え? 理由? おじちゃんも番台やりたいからだよ

 だって趣味で銭湯やってたんだぜ? それなのに俺が来てからというもの、休憩室で煎餅を頬張りながら笑〇を見るぐらいしかやることがなくなってしまったんだ。そう考えるとなんか急に罪悪感が……

 おじちゃん、楽しみを奪っててごめんなさい。……後、歌〇師匠の引退は衝撃的だったよ。今まで楽しく笑わせてもらいました。お疲れ様です歌〇師匠

 

 ……もしかして、歌〇師匠が引退して見る気が無くなったから番台をやり始めた? まさか……な

 

 そんな訳で、当分はおじちゃんが番台をやることになったんで、千歳さんは暇なんだわ。なんか公園でのんびりしていた頃を思い出すぜ

 ——あ、そうそう。高台にある公園の修繕工事もつい最近終わったみたいなんだよな。これでまたあそこに住めるってわけだ! やったね千歳ちゃん! 居場所が増えるよ!!

 ……自分で言っておいてなんだけど、千歳ちゃんは無いわ……

 

 まぁいいや。そんな暇を持て余した精霊の散歩中の俺だったんだが……

 

  ——コンコンッ

 

 雨の中、微かに聞こえたノック音に俺はそちらを向いたんだ。精霊スペックの聴力は伊達じゃないね!

 そして、そのノック音が聞こえたほうに顔を向けると——

 

 ——ファミレスの窓越しから目元に濃い隈を浮かべた女性が、夥しい数の料理を並べて俺を手招きする姿だった……

 

 ……え? 誰ですか貴方?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「……助かったよ。先客が、料理が届く前に出て行ってしまってね」

 

 「こんなに食べる奴の顔を一目見てみたいもんですわ」

 

 ——料理が旨そうだったためにつられてしまった俺は悪くないはず 

 

 そんな訳で、特にやる事もなかった俺はファミレスの中に入り、その女性——村雨令音さんの支援をしていました

 支援内容は夥しい数の敵(料理)を殲滅せよ(食べつくせ)ってところだ

 確かに質量的な意味で、普通だったら食べきれない量なのだろう……だが、俺から言わせてもらえば「この程度」ってところだ。寧ろ足りないんじゃね? って思うぐらいの量だし、十分余裕をもって完食できるだろう

 何せ十香と主人公クンの——お! ミックスグリルあんじゃん! ——デート時に食べた量のほうが多いからな。立ち歩きなめんなよ? 何せ一品——モグモグ——毎に二桁の数を食ってたからな。手持ちサイズでも結構な量になるもんだぜ? フランクフルト20本とか——ズルズル——普通食べきれないからな十香? ……まぁ二人で食べきったけどさ。ムシャムシャ

 それを渡す店員も何故疑問を持たない。普通は俺と十香の姿を見れば無理だと思うでしょーが……俺と十香は普通じゃないんだけどさ

 

 そうこう考えながら食べていると、気づいたら料理の大半が無くなっていた。時間を見ると……約20分。早い方かな?

 俺が胃に収めた品は、ミックスグリル、マルゲリータ(7/8)、スパゲティ・ボロネーゼ、ダブルチーズハンバーグセットと大盛りに盛られたライス、牡蠣フライセットだ。後はライスを追加注文したりもしたぜ。俺っておかずとご飯はバランスよく食べる派だからな、ハンバーグセットのライスだけじゃ足りなかったよ

 令音さんはマルゲリータを一切れ、後は唐揚げを少しづつ食べてるわ。その唐揚げもおいしそうだな……よっしゃ支援支援

 

 そんな俺が夢中になって食べていると、令音さんからこの料理の原因を話されることになりました

 

 「……君も知っているはずだ。十香だよ」 

 

 「なんかそんな気はしてたけど……マジか」

 

 この量を食べられる奴なんて十香ぐらいしか思い浮かばなかったからな、そこまで驚きはなかったけど……まさか本当に十香だったとは

 てかこの人、十香の知り合いだったのか……せっかくだし十香の事を聞いてみようかな?

 

 「あいつ、元気にしてます?」

 

 「……あぁ、今ではシンと共に学校に通っているよ」

 

 シ、シン……?

 え? 誰それ? 俺の覚えてある限りじゃ仮面〇イダーぐらいしか思い浮かばねーんだけど? バッタ先輩ちーっす

 ……えーと

 

 「あー……もしかして、シドー君のことですかね?」

 

 「……そうだ。そのシンだ」

 

 「いやどのシンですかい。かろうじて頭文字が同じだからわかったけど、初対面の人に言ったらわからないと思いますよ? それ」

 

 「……ふむ?」

 

 いやそんな「何を言っているんだ?」みたいな反応しないで下さいよ。身内だけの呼び名で呼ばれても、俺はそこまで親しい仲って程一緒にはいないんですからね? 初耳ですからそのあだ名

 ……あれ? なんでそんなに堂々としてるの? これって俺が悪いの?

 

 「……とりあえず、助かったよ。私一人では対処できなかったからね」

 

 「ア、ハイ」

 

 「……ところで、一つ聞きたい事があるのだが……よいかね?」

 

 「どうぞどうぞ」

 

 出された大量の品々を食べ終わり、ドリンクバーで予め持ってきておいたメロンソーダを飲みながら令音さんの話に耳を傾けると、不意に話の内容が変わった。因みにメロンソーダは8杯目だ。十分に元を取っているぜ

 そして質問された俺は、別に隠すこととかないから気兼ね良く返事をするのでした

 

 「……十香達とは会わないのかい?」

 

 「あー……」

 

 早速返事に困る質問をされてしまったよ……いや予想できなかったわけじゃないけどさ?

 

 

 

 俺はあれから十香達には一度も会っていない。気まずいから

 

 十香と一緒に大暴れしたあの日、気づけばいつの間にかに収拾していたあの状況に、俺の頭はついていかなかったとです

 だってさ? なんか主人公クンは生き返るし、十香は素っ裸になるしで状況がカオス過ぎて理解が追い付かなかったんだよ。それにこちとら破壊兵器(〈鏖殺公〉)を放り投げられたんだぜ? 命の危機を感じて転移しちゃうのもしょうがないでしょーよ

 そんで何も言わずに二人の前から逃げちゃった俺が、今更どの顔下げてあいつらの前に現れろと? ……気まずすぎっから

 

 「そもそもあいつ等の仲を邪魔したくない俺としては、別にわざわざ顔を見せに行く必要もないって思う訳ですよ。十香は明らかに主人公クンにゾッコンだし、主人公クンだって満更嫌でも無かろうに……そんな中、俺が踏み込んで関係を壊したかぁないんすよ。そこまで必要な存在でもないからな、俺は」

 

 「……ふむ」

 

 俺は令音さんに考えている事ををある程度伝えることにした。さっきも言ったが別に隠す程の事でもないし、本人じゃなく、多分その保護者的な位置にいるのであろうこの人に話しておいた方が何かと都合もいいだろうしね

 そんな俺の答えを聞いた令音さんは暫しの間、思考する。どう対処すればいいか考えてるのかな?

 

 「別に深く考えなくてもいいっすよ。とりあえず言いたいことは、あっちが会いたい訳じゃないんだったら無理に会うこともないでしょ? ってことだから」

 

 「……それだと、十香達が会いたいといえば、チシブキは十香達と会うのかい?」

 

 「千歳です。なんすかそのグロテスクなあだ名」

 

 「……む?……あぁ、そうだったな、トメ」

 

 「なんか馬鹿にされてる? 俺馬鹿にされてるの? ねぇ? 素なの? え? それ素なの? なんか怖いんですけど」

 

 一向に俺の名前を間違い無く呼ばれる気がしねぇ……

 いや確かに名前に「と」はあるけどさ……今時トメはないでしょ。平成の世にトメなんて人が現れたら苛めの対象待った無しだよ? 今時の小学生なめんなよ? かなり陰湿な苛めをするからな? 大人が引くレベルで

 

 「………………冗談だ」

 

 「かなり間がある返事をありがとうございます。ではRepeat(リピート) after(アフター) me(ミー)、”千歳”」

 

 「……日本語を話したまえ」

 

 「HAHAHA、泣きたくなってくるぜ……」

 

 なんかもうやだ。おうちかえりたい

 

 両手で頭を抱える俺に対して涼しそうに平静を保っている令音さんが恨めしい……くそぅ、クールビューティーですか貴方? 最初は目の下に隈を作って、胸ポケットに熊の人形を入れてるからカクレクマノミかと思ったじゃねーかよ……あれ? 何言ってんだ俺? 令音さんの返しにとうとう頭がマインドクラッシュされたか? 俺の辞書から自重という文字が砕け散ったぜ!!

 ……え? 元から自重を知らないだろって? 知ってる

 

 「……すまないな、冗談が過ぎたようだ。チサト」

 

 「惜しい。限りなく惜しい。だが違う、そうじゃない」

 

 「……少なくとも、十香は君に会いたがっていたよ? 君に会いたい、また一緒に遊びたいと」

 

 「あ、そのまま行くんですね。もういいですそれで……」

 

 「……? 何を落ち込んでいるんだい?」

 

 「まさかの無自覚ですかい」

 

 もういいよ……俺は令音さんにとってチサトで固定なんですねわかります。まぁチシブキやらトメと比べればマシだけどさ? 一番近いし……

 

 ただ……気のせいかな? 少しスッキリしたような表情になってる気がするのは。……なんか溜まっていたストレスを俺で発散させたように見えなくもないんだけど?

 

 とりあえずこのままでは話が進みそうにもないし、俺は令音さんの言葉に返事を返すことにした。これ以上は考えてはいけない気がしたからな

 

 「まぁ……それなら会いに行ってもいいけど、そもそも俺は十香の居場所を知らな——」

 

  スッ……

 

 俺が令音さんに返事を返そうと話していると、会話の途中で何かを俺の前に出してきた

 ……紙?

 俺は差し出されたその紙を手に取り、そこに記入されているものに視線を向ける

 令音さんが差しだした紙に書かれていたものは——

 

 「……シンの家の住所だ。今はそこに十香もいる」

 

 「用意早くないっすかね? ——てかあいつ等一緒に住んでんの? え? 同居中? 大丈夫なんすかそれ?」

 

 「……少し事情があってね、今は十香が住む場所がないんだ。その為、しばらくの間はシンの家に住まうこととなっているよ」

 

 あぁなるほど。確かに精霊の十香に住む家なんて今までなかっただろうしな

 ……あれ? そういや令音さんって……

 

 「話の腰を折るようで悪いんだけど……令音さんって、十香の事をどこまで知ってるんです?」

 

 「……それは、十香が精霊かどうかを知っているか? ……ということかね」

 

 「当たり。知ってるか知らないかで話す内容も変わってくるからな。……知ってるんですね」

 

 「……あぁ。その上で、十香の事を理解しているつもりだよ」

 

 「……そっすか」

 

 なんだ……精霊だと知られても、こうして親身に接してくれる人がいるんじゃないか。よかったじゃん十香

 十香に主人公クン以外の理解者がいることを自分の事のように嬉しく感じていると、令音さんが不意に語り掛けてきた

 

 「……満足そうだね」

 

 「まぁ、な……十香にゃ幸せになってもらいたいしね。暗い表情なんて、あいつには似合わねーだろ? 十香の笑顔を見た後じゃ余計さ?」

 

 「……そうだね」

 

 令音さんも十香の笑顔は見たことあるんだろう。俺の言葉につられて肯定する令音さんは、何処か微笑ましそうに笑みを浮かべていた

 やっぱり十香もそうだが、精霊には笑っていてほしいもんだよな。例え人とは違う力を持っていたとしても、中身は普通の少女と何ら変わらないんだ。四糸乃もそうだし、ミクも……皆、普通の女の子と大差無い。だからこそ——皆には幸せになってもらいたいもんだ

 その為だったら……助力は惜しまんさ

 

 「……とりあえず機を伺って行くとするよ。せっかくだし、いきなり来訪して驚かしてみたいしな」

 

 「……十香よりもシンが驚きそうだ」

 

 「ははは! 確かにそうかもな! それはそれでおもしれーもん見れそーだ」

 

 逆に十香は喜ぶだけで驚きはしなさそうだわ。疑問に思いもしなさそうだもん。その分、主人公クンの反応に期待しようじゃないの

 

 「……あぁ、そうだ。一ついいかな?」

 

 「んあ? なんすか令音さん」

 

 俺が主人公クンの反応に期待を膨らませていると、不意に令音さんから呼びかけられる

 あれ? まだ話ある感じ……あ、もしかして

 

 「あー……食事代っすか?」

 

 「……いや、それは気にしなくていい」

 

 「そうですか? 一応このぐらいだったら払えますけど」

 

 「……構わない。それよりも聞きたいことがあるのだ」

 

 「……? まぁ、答えられる範囲でなら」

 

 「……では、君は……”ゆりかご”という言葉に、何か心当たりはないかね?」

 

 ……は? ゆりかごって……赤ん坊を入れておく籠のこと……だよな? なんで急に……

 うーん……特に心当たりもないし、否定しておくか

 

 「心当たりは……ないっすね。急にどうしたんです?」

 

 「……いや、わからないならいいんだ」

 

 何か意味深……この人は何を思って聞いてきたんだろ? 何か俺に関係あるとか?

 ……わからん! いいやこの話は。別に今はどうでもいいことだろ

 

 「まぁ何かあったら……そうだな……って、俺連絡手段無いやん。どうしよ……」

 

 「……それならば、この端末を使うといい」

 

 俺が何か連絡手段になる方法を講じていると、令音さんが一つの端末を渡してきた

 これは……携帯か? マジで準備良すぎない?

 

 「いいんすかこれ? ……てか俺に使えるの? 操作的な意味じゃなくて」

 

 「……問題無い。それは通常の端末とは異なる……個人情報を必要とはしないさ。ただし、通話とメール、他数種の機能しか使えないがね」

 

 「いやそれで十分ですよ。連絡手段さえあれば問題ないっす」

 

 おお! まさかの収穫! 戸籍のない俺にも使える携帯とか嬉しすぎるわ

 なんでこんなものを用意できたとかはこの際気にしない。前々から欲しかったものだったし、使えるものは使ってやんよ

 

 ——あ、そうだ

 

 「因みにこれ、カメラ機能ってあります? 後は画像検索とか」

 

 「……あぁ。そのぐらいの機能なら、問題無く使えるだろう」

 

 我が世の春が来た!! これで勝つる!!

 

 来た! マジで来てる! なんだコレ!? 何なのコレ!? 俺の目の前に至宝が存在しているんですけど!?

 これで欲しいものは出し放題!! 行きたいところには行き放題!! 残しておきたい光景を残し放題!!

 ヤバい……令音さんが女神に見えてきた……!!

 

 「ありがとう。感謝します。愛しています」

 

 「……告白されてしまった」

 

 あ、つい令音さんの両手を掴んで高まった感情を暴発させてしまった……まぁいいか。きっと冗談だと分かってるだろうし、何より令音さん、隈ができているとはいえ美人だし問題ないよね?

 ……あ、今の俺って女じゃん。てか前世含めて愛してるなんて言葉初めて使ったな……なんか落ち着いたら恥ずかしくなってきた

 愛してるって……何を口走ってたんだろう俺。いや感謝してるのは事実だけどさ

 

 「失言しましたすいません。でも感謝はしてますありがとう」

 

 「……そうか」

 

 あ、あれ? なんでそんな残念そうに肩をすくめてるの? いや冗談だってわかってますよね?

 ……もしかして、やっちゃった? いやいや無い無い。俺に限ってそんな上手い話がある筈ないじゃないか。 流石に自意識過剰すぎるぞ千歳さん。そんな上手い話があってたまるかっての。……携帯貰うのも上手い話か。気にしないことにしよう

 

 「とりあえず携帯の件はありがとうございます。近いうちに十香達の方には顔を見せに行きますんで」

 

 「……うむ。いつでも来たまえ。因みに携帯のほうには、とりあえず私と……シンの番号を入れてあるよ」

 

 「令音さんはわかるとして何故に主人公クンの番号が……まぁいいか。それじゃ失礼しますね」

 

 「……あぁ。今日は助かったよ。ありがとう」

 

 最後に会釈をして席を立ちあがる

 なんかこれ以上いたらドつぼにはまりそうだったし……逃げるが勝ちってもんだ

 まぁそれでも、いい機会だったといえるんじゃないかな? 十香達の様子もわかったし、携帯も貰ったしで万々歳だ

 

 早速俺は、携帯の操作方法を直感で把握していきながら帰路につくのであった。……あ、充電器もらってないやん。コンビニとかで売ってるの使えるかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「……記憶を無くした”ゆりかご”が……今後、この世界にどう影響を与えていくか……」

 

 




とうとう……千歳さんが携帯を手に入れてしまった……
ただその携帯……GPSとか内蔵されてませんかね?

以外にこの組み合わせが好きかもしれないです。令音さんイイですよね。何か意味深なことを言ってましたけど気にしなくてもモ-マンタイです

何気大食漢だった千歳さん。心が男だから大食漢と言っても違和感はないね!

さぁ……ようやくだ。ようやく千歳さんの存在が、より危険視される回がやって来るぞー……フフフ

次回……四糸乃覚醒
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