俺が攻略対象とかありえねぇ……   作:メガネ愛好者

19 / 46
どうも、メガネ愛好者です

投稿予定時間外、及び最新話の投稿ではないことを先に謝罪させていただきます。申し訳ありませんでした

早速ですが本題です

いきなりですが、修正したことで予想以上に長くなった為、二章の章終話を二つに分けさせて頂きました

正直に言うと、当時は早く投稿しようという焦りから描写を省いていた節があったんですよね。言い訳すいません
それが顕著に表れていたのがこの回だったと言えるでしょう。ですので、修正と共に描写を改めて加えた次第です

話の内容的にはそれほど変わっていないとは思いますが、改めて読んで頂ければ以前以上に内容を理解出来る筈です。……多分

それでは


章終話 「詠紫音という存在? 知ってる」

 

 

 「落ち着いたか?」

 

 「……まぁねー。シドー君たちには随分と迷惑かけちゃったかな?」

 

 あの後……よしのんは泣いた

 それは周囲の——神社の境内、振り続ける雨の音よりも響き渡る程の大泣きを

 それにつられて四糸乃も泣いてしまう。よしのんが今までに溜め込んできた感情を思うと涙を流さずにはいられなかったのだ

 

 しばらく泣き続けた二人は、その片割れである四糸乃が泣き疲れ、眠ってしまったことを最後によしのんも泣くのを抑えていった

 そして今、ようやく泣き止んだよしのんは神社の社に雨宿りする。自分にかけていた自己暗示を無理やりに剥がしてきた士道と共に

 

 士道と十香は二人が涙を流しているとき、彼女達が落ち着くまで傍で見守っていた。二人とも悲しみで泣いている訳ではないのだ、思う存分に感情をさらけ出してあげたかった

 そしてしばらく経った後に、泣き疲れて眠ってしまった四糸乃の傍には十香が控えていた。どうやら士道とよしのんが口論中に仲を深めたようで、十香は四糸乃に対して親愛の情を向けているようだ

 今は四糸乃が目を覚ますまで、神社の奥で寝かせてあげているらしい。らしいというのも士道とよしのんは十香達の傍から一時的に席を離している為、確証を持ってそうだと言えないだけだった

 

 そんな二人が席を離した理由。それは……よしのんが士道に言いたいことがあったからだ

 

 「全くさ、何てことしてくれちゃったんだろーねぇ……シドー君は」

 

 「え?」

 

 「四糸乃は今までの願いを上書きする形で新しい願いを抱いちゃったんだよね……”私に縛られずに生きて”っていう願いをさ。それってさー? もう四糸乃の傍にいる必要もなく、自分勝手に暴れまわってもいいってことでしょ? 今のボクは飼っていたペットの首輪を外しちゃったようなもんさ。だから、ボクがこれから何をしようとも……ボクを縛るものが無くなっちゃった以上、だぁれにも止められないってわけさ~」

 

 「……それでも、四糸乃の傍に居続けるんだろ? よしのんは」

 

 「……ありゃ、バレっちゃってるや。そんなに分かりやすい?」

 

 「寧ろ変える気が無いんだろうに」

 

 「あっははー。イ、エースッ! そりゃそうさー。なんたって、例えボクがボク個人の意思で動けるようになったとしても……変わらずボクは——よしのんは四糸乃のヒーローだからね!」

 

 その言葉を言ったよしのんは、実に清々しい顔をしていた

 もうその言葉は呪いじゃない。彼女にとってのその言葉は……大切な人との誓いと昇華したのだから

 その誓いによって、よしのんはこれからも危ない目に遭うかもしれない。四糸乃のヒーローであり続けることで自分の命を危険に晒す結果となるかもしれない

 しかし、例えそうであったとしても……よしのんが再び心を封じ込めることはしないだろう

 

 

 だって……彼女はもう、自由なのだから

 

 

 「適度に頑張って、無理無く守り通すよ。ボクももう苦しいのは嫌だし、四糸乃もそれを望んでるしね」

 

 「そうか。……なぁ、よしのん」

 

 「うん? 何かなシドー君」

 

 晴れやかな表情をするよしのんに、士道は懐から……”よしのん(パペット)”を取り出した

 士道が取り出した”よしのん(パペット)”を見たよしのんは、驚きと嬉しさに満ち溢れた表情を士道に向けるのだった

 

 「四糸乃との約束、守ってくれたんだね」

 

 「あぁ、俺だって四糸乃の……ヒーローになりたかったからな。ヒーローは約束を必ず守るもんだろ?」

 

 「うん、そうだね。”よしのん(パペット)”を見つけてくれたんだ、シドー君も立派なヒーローだよ」

 

 士道はそのまま”よしのん(パペット)”をよしのんに渡し、受け取ったよしのんは”よしのん(パペット)”を暫しの間見つめた後に境内をゆったりとした足取りで歩き回り始めた

 気づけば雨は止んで徐々に雨雲が晴れていく中、よしのんを照らすかのように雲の隙間から日差しが差しこみ、それによって周囲の雨の雫が光を反射することでよしのんを照らしている

 陽の光はよしのんが着る黒い独特な装飾を施された外套をも照らし、そこに暗い感情は一切見えやしない。それどころか、楽しそうに笑っていることでよしのんが明るく輝いて見えてしまう

 

 そして、そんなよしのんがステップを踏みながら歩く様は……まるで踊っているかのようで、その姿に目を惹くものがあった士道であった

 

 

 

 

 

 『——、————』

 

 『————、——————』

 

 ふと耳を澄ますと十香と四糸乃が言葉を交わしているのが聞こえてきた。どうやら四糸乃が目を覚ましたようだ

 士道はおそらく気づいているであろうよしのんに声をかけ、二人の元に向かおうとする。よしのんが姿をもってこの場にいる以上、今の四糸乃に”よしのん(パペット)”が必要かはわからないが、少なくとも渡されて嫌な思いはしない筈だ

 そして士道は境内を見て回っているよしのんへと近づいていき、話しかけようとしたところで——

 

 

 「……シドー君」

 

 

 よしのんは境内のとある一角で歩みを止め、その一角の前で佇みながら士道に語り掛けるのだった

 よしのんは一体どうしたんだろうと疑問に思った士道はよしのんに近づいていき、そこでよしのんが見ている光景を視界に入れる

 

 それは、まだ咲くには少し早い時期に咲いた——雨の雫によって潤いに満ちている紫陽花(あじさい)の花だった

 

 「どうしたんだ? よし——」

 

 「——詠紫音」

 

 「——え?」

 

 不意に呟いたよしのんの言葉

 その言葉の意味。それが一瞬分からなかった士道は呆けた声を出してしまい、その言葉が何なのかと頭の中で反芻するのだった

 その意味も、よしのんの言葉ですぐに明かされることに

 

 「実はね? どういう経緯かは知らないけどさー……朧げだけど、ボクが周囲に”詠紫音(よしのん)”って呼ばれていた記憶があるんだよねー」

 

 「え!? それって……ッ!」

 

 「もしかしたらなんだけどさ? ボクっていう人格が天使に宿る前は——()()()()()のかもしれないね」

 

 よしのんの——詠紫音の言葉に驚きを隠せない士道

 無理もないだろう。よしのんが元は人間だったなど、そんな話、聞いたことが無い。この言葉には〈フラクシナス〉のクルー達でさえ驚愕を隠せず、立て続けに起こる予想外な展開に、ただ傍観することしか出来なかったのだった

 そして士道が詠紫音の言葉に驚愕しているところに、詠紫音は苦笑しながらあっけらかんと言葉を紡ぐ

 

 「まぁこのあやふやな記憶が本当の事だったのかはわからないんだけどね~。……ただ、これだけは絶対にそうだって言えることがあるんだ」

 

 詠紫音は目の前に咲く紫陽花に手を伸ばし、軽く触れながら語り続ける

 今の彼女の心境がどういったものなのかはわからない。しかし、少なくともその記憶が嫌な記憶ではなかったことが……次の言葉で語られるのだった

 

 

 

 「ボクは……紫陽花が好きみたいなんだよね」

 

 

 

 「そ、そうなのか?」

 

 「そーそー。まぁだから何だって言われたらそこでお話が終わっちゃうんだけどね? あはははっ」

 

 心底楽しそうに詠紫音は笑う

 無邪気に笑う詠紫音の笑顔に、士道は思わず見惚れてしまって顔を赤らめてしまう。しかしそれも、ここまでの道のりを越えてきたことで得られたモノだと思えば悪い気はしなかった

 そして士道は詠紫音の笑顔が微笑ましく思えて——

 

 

 

 

 

 「——あ!? そうだった封印——っ!?」

 

 

 

 

 

 ——本来の目的を思い出すほど、心に余裕ができるのだった。そのせいでつい口からその言葉を漏らしてしまうとはなんとマヌケな話であろうか。それを聞いていた〈フラクシナス〉にいる琴里が思わず噴き出してしまう程には阿呆らしい光景だった

 できれば詠紫音に聞かれてなければよいのだが……

 

 「およ? 封印? 何それー?」

 

 まぁ、大声で叫んだのだ。余程の難聴でなければ聞こえていないはずがなかった

 詠紫音は士道の言った”封印”というものが気になり、どういうものなのかを聞く為に士道へとにじり寄っていく詠紫音。一方で自身の迂闊さに後悔し、にじり寄ってくることで顔を近づけてきた詠紫音に焦りと羞恥を覚える士道であった

 言ってしまった以上、下手に誤魔化して——いや、何故だか詠紫音には誤魔化しが通じない気がする。ならばどうするかと思考を凝らす士道だったが……

 

 「……ふーん。ボクに言えないことぉ? ……へぇ、そぉーなんだぁ?」

 

 ジトーっとした群青の瞳で見つめてくる詠紫音に耐えきれなかった士道は、要所を控えてはいるものの、封印の事を詠紫音に教えてしまうことになる

 情けない、さっきまでの勢いは何処に行ったのかと疑いたくなるような弱腰に、ある意味では士道らしいと〈フラクシナス〉の琴里が青筋を浮かべながら言葉を漏らしていたことを士道は知る由もない

 

 「いや、その……詳しいことは俺にもよくわからないんけど、何故か俺には精霊の力を封印する力があるみたいで……」

 

 「へー? それってつまりぃ、四糸乃の精霊の力を封印しようとしてたってわけぇ?」

 

 「う……そう、です。精霊の力を封印すれば、ASTに狙われる事もなくなると思うし、十香みたいに普通の人間として暮らせるようになるだろうからって……」

 

 「……」

 

 士道の言い訳染みた言葉を聞き、詠紫音は口を閉ざしてしまう

 これではまるで、四糸乃の力を封印することが目的で近づいたみたいに思われても仕方がないだろう。……一つの間違いも無いのが痛いところだ

 しかし、確かに封印することが目的の一つではあるものの、精霊を救いたいという気持ちには嘘偽りはない。その事だけは知っていてほしいと、士道は俯く詠紫音に語り掛けるのだった

 

 「言い訳みたいに聞こえるけど、騙そうとしてたわけじゃないんだ。ただ俺は、女の子が傷つくのを見捨てて置けなかくて……」

 

 「……それは今、どうでもいいんだよねー」

 

 「いやどうでもよくはないだろ!?」

 

 詠紫音に誠意を見せようと話していた士道だったが、詠紫音の興味はそこにはなかったようだ。しかし、いまだに詠紫音は俯いたままなので、どう思っているかはよくわからなかった

 そんな詠紫音は、俯いたまま士道に問いかけるのだった

 

 「……んでさぁ、その封印の方法ってなんなのさ?」

 

 「そ、それは……」

 

 「……言えないんだ?」

 

 「う、ぐ……その、実は…………キス、なんだ……」

 

 「…………………………」

 

 返答を返すことに躊躇う士道。しかし、ここまでハッキリと聞かれた以上は話すしかないと思ったのか、正直に答えることにしたのだった

 どっちにしろ精霊の力を封印する以上は事情を話さなければいけない。その時にキスの事も言わなければいけない為、後々知られることになるならここで言おうと思った次第だ。寧ろここで下手に隠そうならば、詠紫音は士道に対しての信頼度を落としていたことだろう。——故に、士道が包み隠さず答えたのは決して間違った選択肢ではないはずだ

 

 

 

 

 

  ——へぇ……——

 

 

 

 

 

 しかし、そんな士道の選択が……詠紫音に次の行動をするきっかけを作ってしまったのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「おーい! シド-! 四糸乃が起きた——なっ!」

 

 「——え? よ、よし……のん?」

 

 話を終えて神社の奥から士道達の元へと向かった十香と四糸乃は、その先で見た光景に驚きで固まってしまう

 

 

 

 

 

 何せ、士道ににじり寄っていた詠紫音が——士道の唇に己が唇を押し当てていたのだから——

 

 

 

 

 

 言い逃れなど出来やしない。今、士道と詠紫音が何をやっているのかなど誰の目から見ても一目瞭然のことだろう

 十香は信じられないものを見たかのような表情を浮かべ、四糸乃はその光景に顔を真っ赤に染めつつも、視線は決して逸らさない

 その行為——キスをしている士道も何をされたのか理解が追い付いていないようで、目を見開いたまま硬直している

 そして、士道に寄り添いながらキスをする詠紫音は目を瞑り、少し頬を染めながらも士道の唇はしっかりと捉えていたのだった

 

 流石に展開が急すぎた。まさか詠紫音にキスされるなど露程も考えていなかった士道は、詠紫音の行動に困惑してしまう

 確かに詠紫音にキスをされる前は、そういう話題にもなっていただろう。しかしそれは四糸乃に対しての話であって、詠紫音にしてもらいたいがゆえに話していた訳ではないのだ

 だから士道は、今の詠紫音の行動に困惑と動揺が隠せないでいた。”なんでこんなことを?”と思わずにはいられなかったのだった

 

 

 

 そして詠紫音はおよそ十秒間の長いキスを終え、未だに困惑している士道から一歩下がったところで——事態は動き出した

 

 

 

 「——え……え? なに、これ……」

 

 「よ、四糸乃!?」

 

 それは十香の時と似たような現象だった

 詠紫音がキスを終えた途端——四糸乃の霊装が空気に溶けていくかのように霧散していったのだ

 霊装が消えるという事態に四糸乃は勿論の事、隣にいた四糸乃のインナーが急に霧散したことで十香も驚き声を上げてしまう

 

 二人が慌てている声が聞こえた時点で、()()()()()()二人の安否を確かめる為に、士道も其方に視線を送ったことだろう

 

 しかし、その時の士道は二人のいる方に視線を向けなかった

 

 ……いや、向けられなかったのだ

 

 

 

 

 

 「……シドー君の話、本当だったんだね」

 

 

 

 

 

 士道は目の前の詠紫音から目を逸らすことが出来なかったのだ

 何故なら——

 

 

 「いったい……なにが……」

 

 

 ——四糸乃の霊装と同じく、詠紫音の体が徐々に光となって霧散しているのだから……

 

 「あーらら、なんだか不思議な気分」

 

 「よ、詠紫——」

 

 自身の体が霧散しているというのに、それがなるべくしてなったと言わんばかりに平然としている詠紫音から事情を聴くために問い詰めようとする士道

 しかしそれは、詠紫音の人差し指が士道の唇に触れることで、一旦言葉を途切れさせてしまう

 そして詠紫音はもう片方の人差し指を自身の唇の前へと持っていき、士道の言葉を遮った理由を話し始めるのだった

 

 「シドー君、その名前は……ボク達だけの秘密ってことにしないかい? 記念としてさ~」

 

 「——っ、……わかった」

 

 士道の言葉を遮った理由、それは自身の名を——”詠紫音”という名を二人だけの秘密にしたかったという……詠紫音の頼みを伝える為だった

 二人だけの秘密。それは”詠紫音”の初めてのわがままだったのだろう

 

 しかし、士道はそれどころではなかった 

 今の詠紫音の顔を見てしまうと、いてもたってもいられなかった——

 

 「なんで……なんで、そんな——」

 

 

 ——まるで”最後の頼み”みたいな……

 

 

 詠紫音はこの後自分がどうなるのかを分かっているのだろう

 わかった上でのこの頼み、それが士道の心を締め付ける。……この後詠紫音がどうなるのかを、理解させられる

 そして詠紫音は、こうなった理由を静かに語り始めるのだった

 

 「……ボクは四糸乃の天使から変化した堕天使だ。四糸乃の精霊としての力が封印されれば……まぁ、こうなるよねー」

 

 「で、でも、なんで詠——っ、よしのんで封印が……」

 

 「それはさっき言ったじゃんさー? 今のボクは四糸乃から切り離されてるんだ。だから、四糸乃の精霊としての力はすでに——ボクが主導権を持っているんだ」

 

 「じゃ、じゃあ四糸乃は既に——」

 

 「うん、()()()()()()()()()()()()。一応の繋がりはあるけど、ボクがその気にならなければ、もう四糸乃は精霊の力を使えないんだ。霊装だってボクが堕天使として外に出た時からは、ボクが霊力を与えて維持させていたようなもんだもん」

 

 「それじゃあ……」

 

 「うん。四糸乃はもう襲われない筈だよ。……ボクが封印されれば、ね」

 

 士道が詠紫音の名を秘密にしてくれたことを嬉しく思いつつ、詠紫音は士道にその疑問を晴らすのだった

 

 詠紫音が言ったことが真実であれば、四糸乃はもう安全だ

 四糸乃から出ている霊力反応も、今では詠紫音が与えていた霊力だった。つまり、霊力の供給源は別にあるということになる

 それならば、その供給源から霊力の供給を断ってしまえば……四糸乃からは霊力反応が感知されなくなるのも道理というものだ

 

 

 その方法が——詠紫音(精霊の力)を封印することだった

 

 

 確かに詠紫音が言っている事は最善な方法なのだろう。士道や〈フラクシナス〉の皆も元より精霊の霊力を封印することが目的であった為、この結果は成るべくして成ったと言える結果だった

 

 しかし、これではあまりにも——酷すぎる

 

 詠紫音が自身の自由を得たというのに、またその自由を奪われる

 ——それが、どうしても納得出来なかった。納得出来る訳がなかった

 

 そしてそれは……詠紫音がそうするだけの少女も同様の気持ちだった

 

 「よしのんっ、よしのん……!」

 

 「ほーら、四糸乃。そんな悲しそうな顔しちゃノンノンだよ? ……例えボクがいなくても、シドー君たちがいるから安心して……ね? 四糸乃」

 

 「いや……やだ……やだよ、よしのん!」

 

 十香から着せてもらった上着で身を隠しつつ、四糸乃は詠紫音の元に駆け寄った

 瞳から涙を流す四糸乃を、詠紫音はそっと抱き寄せる。四糸乃を安心させるように

 

 そして四糸乃を——大切な少女の存在を感じるために……

 

 これで最後になるかもしれない。もう四糸乃には会えないかもしれない。考えれば考える程、この先の事が恐くなる……

 ——それでも詠紫音は考えを改めなかった。それが……四糸乃のこれからの未来に必要な事だったから

 

 しかし、詠紫音がいなくなれば四糸乃は悲しむだろう。それは今、目の前で涙を流しながら縋り付く四糸乃を見れば一目瞭然だった

 ——だから詠紫音は、最後に一つ……置き土産をすることにした

 四糸乃を抱き寄せた詠紫音は四糸乃あやすように頭を撫でつつ、”ソレ”を——”よしのん(パペット)”を四糸乃に手渡したのだ

 

 「ほぉら、シドー君が”ボク(よしのん)”を見つけてきてくれたよ? これで四糸乃は一人じゃないぞー」

 

 「でも、でもぉ……っ!」

 

 「大丈夫、四糸乃にはシドー君や十香ちゃん、それに”ボク(よしのん)”がついてるんだからさ? だから……少し休ませて?」

 

 

 ——ね? 四糸乃——

 

 

 「ッ! …………うん。わかった……」

 

 ”よしのん(パペット)”を渡され、詠紫音から想いを伝えられた四糸乃は……決意した

 詠紫音の言葉を聞いた四糸乃は思い出したのだ。先程自身が言った事を——自分もよしのんの為に頑張ると決めた事を

 

 ——それなら、今の私がすることは……よしのんを休ませてあげることだ——

 

 ——今まで私を守ってきてくれた——私のヒーローを休ませてあげることだ——

 

 ——もう、甘えるだけじゃダメなんだ——

 

 それらの想いで、決意で、勇気で……四糸乃は詠紫音を見送ることにした

 それが——本当の第一歩なのだと、自分に言い聞かせて……

 

 

 

 「……十香ちゃん」

 

 「な、なんだ?」

 

 「えーっと……この前、デパートで十香ちゃんを煽っちゃって、傷つけちゃってごめんね」

 

 「——っ!」

 

 四糸乃の決意を見て安心した詠紫音は、次に——十香へと謝罪を送るのであった

 

 それは以前に詠紫音が十香に言ってしまった事への謝罪だった。士道と四糸乃が誤ってキスをしてしまったときに、詠紫音は十香に酷い事を言ったのだ

 

 ”十香ちゃんはもういらない子”だと……

 

 悪気があって言った訳ではない。その頃はまだ四糸乃の事しか考えられなかった為、十香を突っぱねてしまったのだ

 これも心を封じ込めていた弊害とも言えよう。四糸乃の事しか考えていなかった詠紫音は、十香の気持ちなど露程も鑑みなかった。だからあんな酷い事を、平然と言ってしまったのだ

 ——しかし、今は違う。自身の心を開放したことで、その時の罪悪感が湧き出てしまった。実際に四糸乃と十香から離れたのも、その罪悪感に胸を痛めたからでもあったのだ

 だから……最後かもしれない今、誤っておきたかった。例え許されなかったとしても、それでも謝らずにはいられなかったのだ

 そんな詠紫音の謝罪を聞いた十香は——

 

 「……別に、もう気にしてなどいない」

 

 「……ごめんね」

 

 「もういいと言っているだろう? あまり……謝るな。おまえは——よしのんは、四糸乃の”ヒーロォ”なのだろう?」

 

 「……! ……うん。ありがとね、十香ちゃん」

 

 ——詠紫音を激昂したのだった

 

 苛立ちはあった。無い訳がない。自分が好意を寄せる相手との仲を悪く言ったのだ。数日前であれば、ここまですんなりと許していなかっただろう

 しかし、この数時間で十香は知ったのだ。詠紫音が四糸乃を大切に思う気持ちを

 自身の身を削ってでも守りたい大切な存在。それは先程までの言動や、今のこの状況で明らかとなっている。そして十香は、自分にも大切な存在がいるからこそ……その思いに共感を覚えたからこそ、詠紫音の暴言を許したのだ

 

 だからこそ、十香は詠紫音が謝る姿を晒してほしくなかった。例え自分の事ではなかったとしても、大切な存在の前で謝るという光景は……目にしたくなかったのだ

 

 そんな十香の気づかいに、詠紫音はより一層胸を締め付けられながらも感謝した。ある意味この胸の締め付けが罰なのかと思う一方で、十香の気づかいに感謝を隠せなかったのだった

 

 

 

 そして、詠紫音は最後に士道へと語り掛ける

 これが最後だと、名残惜しくも……悔いを残さないように——

 

 「シドー君」

 

 「……なんだ」

 

 最早今にも消えてしまいそうではあったが、今はそんなことを気にしていられないと言わんばかりに詠紫音は話しかける

 その姿に士道は奥歯を噛み、拳を握り締めることで平然としているように見せるも……やはり隠しきれていない

 悔しくない訳がない。例え四糸乃が救われるのだとしても、この数時間で士道は詠紫音と深い関りを持ったのだ。そんな彼女が目の前から消えるというのに、自分は何もすることが出来ない……そんな自分に腹が立って仕方が無かった

 

 そんな士道の様子を見た詠紫音は、最後に……士道が自分を責めぬようにと、一言——

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「……またね?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「——っ! ……あぁ、またな」

 

 ……それが、詠紫音の最後の言葉となった

 しかしそれは、士道の心に響いただろう。大きな波紋となって、士道の心を揺らしたことだろう

 

 

 ——約束だぞ、詠紫音——

 

 

 最早言葉はいらない。その想いを込めた眼差しで詠紫音を見つめる士道は……もう、何も語らなかった

 しかし、士道の想いは詠紫音に届いたのだろう。——満足そうな笑みを浮かべる詠紫音が、頷いたのだから

 

 

 

 そして……

 

 

 

 詠紫音は、最後まで四糸乃を抱きしめながら……この世界から消失した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ——あれから数日が経った——

 

 詠紫音が消えた後、詠紫音から供給されていた霊力が四糸乃の中から完全に消え去ったのを確認した〈フラクシナス〉はすかさず士道達を回収した

 その先で士道は、琴里に今回の命令無視と独断行動でお灸を添えられ——終いには泣かれてしまった

 今回の士道は無茶をしすぎた。十香を危険に巻き込んだこともあるし、一歩間違えれば封印どころではなかっただろう。今回は無事に済んだのでいいものを、最悪の事態もあり得るのだ。始終、琴里やクルーの皆は正直気が気じゃなかっただろう

 琴里達に多大な心配をかけてしまった事に申し訳なく感じる士道だった

 

 ——が、その一方で……やはり、あの消えてしまった少女——詠紫音の事が頭から離れることは無かった

 

 回収後、四糸乃はそのまま検査を受けることになった

 詠紫音の証言があるからと言って、今回の事は〈フラクシナス〉では予想外な事だったのだ。魔王の存在は知っていたものの、堕天使など聞いたことが無い。下手すれば〈ラタトスク機関〉でもわからないまであったのだ。故に、例え霊力反応が無くなったとしても、何があるかわからない以上慎重に事を進めることになるのは必然だった

 

 しかしながら、それも杞憂に終わることとなる

 

 今の四糸乃は完全に人になったと言っても過言ではなかった。十香に起きた霊力の逆流さえ確認できず、四糸乃は詠紫音と完全に切り離されてしまったようだった

 これならば四糸乃の感情が不安定になろうとも、周りに被害が出ることもないだろう。今後もその可能性が無いとは言い切れないが、少なくとも今の四糸乃はただの普通の少女になっていた

 

 そして、先日五河家の隣に突如として作られたマンションに四糸乃は住まう事となった

 

 所謂精霊用に作られたマンションであり、一時的に五河家で暮らしていた十香もそこに住まう事となる

 精霊の力を完全に失ったとはいえ、四糸乃は精霊だったのだ。住んでいたところなどありはしないし、再び霊力を取り戻すことだってあり得る以上、そのまま放置するなんて選択肢などありはしない。十香との仲も今では良好だし、四糸乃もマンションに住むことに対しては抵抗を見せなかったので、そのような形に落ち着いたのだった

 

 そうした経緯の末、マンションが建てられた次の日に士道と四糸乃は再会する

 出会った当初に比べれば断然明るくなり、いまだに周囲への怯えはあるものの、それに屈しないような満面の笑顔を見せていた。これもきっと詠紫音との約束が、四糸乃に勇気を与えているのだろう……

 そんな四糸乃の左手には——

 

 

 『やっはー、久しぶりだねん()()()

 

 

 ——出会った時と変わらない姿の”よしのん”がコミカルに喋っていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 この”よしのん”は……”詠紫音”の残した置き土産だった

 

 〈フラクシナス〉の検査の結果、四糸乃からは霊力反応を観測できなかった

 しかし、四糸乃とは別の場所で——それも四糸乃の近くで微かな霊力反応を示したのだった

 

 それが——”よしのん”だった

 

 ここからは推測になるが、あの時……詠紫音が四糸乃に”よしのん”を渡す際、詠紫音が自身の霊力で何らかの細工を施したのではないかというのが有力だった

 詠紫音の霊力は今、その全てが士道の中に封印されている。だから”よしのん”に宿る霊力も本来は封印される筈だったのだ

 

 ——しかし、封印はされなかった

 

 ”よしのん”からはあの時、詠紫音が放っていた霊力に似た霊力反応を観測した。それはつまり、詠紫音の霊力がいまだに残っているということだ

 詠紫音の言葉が真実であれば、四糸乃の霊装を維持するために詠紫音は霊力を供給していた筈だ。しかし、それも詠紫音がいるからこそ可能だった

 だが、詠紫音は士道の中で封印されている。封印されたことで四糸乃が霊装を維持できなくなった以上、”よしのん”に宿る霊力もまた維持できない筈だ

 それなのに、数日たった今でも”よしのん”は霊力を維持し続けながら四糸乃の左手で愉快に話している

 一体何故? どういう仕組みだ? それらの疑問が次々と浮上し、それらの疑問については——

 

 

 

 「よしのん、ですか? よしのんは……千歳さんが、くれたんです」

 

 

 

 ——”よしのん”とは何処で知り合ったのかという議題で明かされることになるのだった

 

 それに気づけば簡単な話だった

 ”千歳さん”——それはきっと〈アビス〉の事だろう

 

 

 確かあの精霊は——物質を創り出す事が可能だったはずだ

 

 

 現に、信じたくない話ではあるが……千歳は十香の天使を創り出した前例がある。天使を創れるのであれば”よしのん”を創る事など簡単であろう

 現に、”よしのん”から観測される霊力反応ではなく”よしのん事態”を観測したところ——案の定、千歳と同一の霊力反応を観測することが出来たのだった

 

 

 そして、どういう理屈か詠紫音の霊力と千歳の霊力は上手い具合に()()()()()()()()

 

 

 詠紫音の霊力が”よしのん”に人格を定着させ、千歳の霊力がその定着させた人格が消えないように霊力を補っている……そんな訳の分からない状態になっていたのだ

 最早常識が通用しない。精霊を攻略するためにと様々な情報を持っている琴里を含めた〈フラクシナス〉のクルー達だったが、その情報にも無かったことを前にし、この先やっていけるのかと目の前が暗くなったという……

 

 そんな中、士道は別の事を考えていた

 四糸乃の左手にいる”よしのん”

 それは確かに詠紫音と同じ性格で、同じ雰囲気で、同じ言葉使いだった

 しかし——それでも”よしのん”は、詠紫音ではなかった

 

 

 ”よしのん”が士道の事を「士道君」と呼んでいることこそが、詠紫音と”よしのん”が似て非なる存在だということを実感させるのだ

 

 

 詠紫音は士道を「シドー君」と呼んでいた。同じ意味なのに、ニュアンスが違うだけで士道には”よしのん”が詠紫音とは全くの”別人”であるように思えてならないのだ

 四糸乃も……おそらく十香も気づいている。俺を含めた三人だけが、おそらく気づいているのだろう。現に琴里達は”よしのん”に対して堕天使は何かと事情徴収するぐらいだ。その度に”よしのん”がはぐらかしているから結局分からず仕舞いだが

 

 詠紫音は四糸乃の事を思って”よしのん”を置き土産に選んだのだろう

 四糸乃を支えるために、それだけを純粋に思ってこその贈り物

 しかしそれは……詠紫音がもういないのだという事実を突き付けられているように思え、どうしても喜べない士道達なのだった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「——なーんて感じに、ボクのお節介がシドー君達を落ち込ませてたみたいだから来ちゃったー♪」

 

 「いや来ちゃったーじゃないから。——って、それ以前に何で俺のベッドの中に裸でいるんだよ!?」

 

 そんな士道達の傷心も、彼女の再来によって癒されることになるのだった

 

 

 

 

 

 ————————————————————

 

 

 

 

 

 四糸乃と再会した翌朝のことだ

 ベッドの中で眠りについていた俺は、不意に柔らかいものを感じたことで意識を目覚めさせたのだった

 朝に弱い俺としては、そんなことを気にせずに、もう少しばかり眠りたかったところだが……どうしても気になってしまう、そのひんやりとした柔らかいものを

 そして、どうしても気になってしまった俺が、その何かへと手を伸ばしてみると——

 

 

 

 

 

 「——んっ、シ、シドー君……もしかして起きてるのかなぁ? 流石にそれはピンポイントすぎる、かな……」

 

 「……ん……うん? …………は、えぇっ!?」

 

 手がその柔らかい何かに触れた瞬間——声が聞こえた。それも、最近聞いた声だ

 俺はその声に反応し、寝ぼけていた意識を一気に覚ます。そのまま眠い目を無理矢理見開くと——

 

 

 

 大半が白で、ちらほらと混じる黒——それはウェーブのかかった長髪。そして、特徴的な黒いボタンの形をした眼帯を右目につけ、頬を主に染めながらニンマリと微笑んでいる少女が視界に映った

 

 

 

 封印されたはずの——消えたはずの詠紫音が、今、俺の目の前にいるのだった

 

 

 

 ……裸姿で

 

 

 

 「裸じゃないよん? ほら、縞々ニーソ穿いてるじゃん?」

 

 「どんな言い訳だ!? どこぞの剣精霊かお前は!?」

 

 「ボクはシドー君のけん玉です」

 

 「けん玉でどう戦えって言うんだよ!?」

 

 「悪い子は撲殺! 滅殺! 凍殺だよー!」

 

 「思った以上に物騒で恐い!? え? けん玉ってそんなことできるの? もうそれけん玉じゃなくね? ただの凶器だよそれ!?」

 

 しばらくぶりの再会だったが、そこにしんみりとした雰囲気は一切無かった

 そしてそれが……詠紫音が帰ってきたという実感を、俺に与えてくれるのだった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんなこんなで詠紫音にはシーツを体に巻いて裸を隠してもらう。流石に裸のままでは話すどころじゃないのだ

 そして、完全に目が冴えてしまった俺は改めて詠紫音に向き直り、どういう事なのかを問いながら話し合うことにしたのだった

 

 「はぁ……それでさ、何で詠紫音がここにいるんだ? 詠紫音は封印されたんじゃ……」

 

 「それよりもこの姿どうかな? 結構エロスを感じない? ある意味余計いかがわしくなったよねん?」

 

 「……詠紫音」

 

 「……うん、まぁ冗談は後ででも出来るからね。大丈夫、ちゃんと話すからさ」

 

 冗談めかしにからかおうとする詠紫音だったが、俺の雰囲気を感じ取ってか真面目に話す気になってくれた

 正直、今の俺は少しでも感情を抑えることをやめてしまえば……我慢しているものが決壊してしまうだろう。詠紫音がいなくなったことによる深い悲しみや、こうして詠紫音と再び出会えたことへの喜びの感情を……抑えきれなくなってしまう

 もう会えないかもしれなかった彼女を前にして、荒れ狂う様々な感情が今にも爆発しそうだった。俺の心は今すぐにでもこの感情を解き放ちたくて仕方がない……

 

 ——しかし、それはまだ早いのだ

 

 今は詠紫音の事情を聞くことが最優先だ。今後の為にも、彼女の事は知れるだけ知っておきたかったから……

 

 

 

 詠紫音は封印された。それは詠紫音自身が望んだことだった

 

 ——しかし、例え詠紫音が望んだからと言って、すんなりと封印出来るという訳ではないのだ

 

 そもそもだ。俺が精霊の力を封印するためには——どんな条件が必要だ?

 

 例え、その必要な条件を知っていたとしても封印出来るかは——精霊次第なのだ

 

 そんな精霊次第の条件がある中でも——詠紫音は封印された

 

 それはつまり、詠紫音が条件を満たしていたという事を意味するのだ——

 

 

 

 その条件はあえて言わない。詠紫音のプライバシーに関わる、何より自意識過剰なんて思われたくないし……

 とにかく、詠紫音は条件を満たしているのだ。そうだったとしたら……俺は、詠紫音に対して真摯に対応しなければいけない

 満たしてないからという理由で蔑ろにする気は一切無いが、それでも……詠紫音の為に体を張るぐらいしなければ示しがつかない

 だからこそ、この再会は大切な思い出にしなければいけない。ふざけたせいで滅茶苦茶になってしまうなど、俺だけではなく詠紫音も……きっと嫌だから

 

 そして俺が詠紫音へと意識を集中していたところで、詠紫音は静かな声色で語り始めるのだった

 

 詠紫音がどうやって——封印から抜け出してきたのかを……

 

 

 

 「簡単に言うとだね。ボクに宿っていた精霊の力を、シドー君の中に置いてきたんだ」

 

 「シドー君の”精霊の力を封印する”っていう力の裏を取って、精霊の力をそのままシドー君の中に切り離しておくことで、精霊の力を持ち得ないボクを”不要な要素”として封印から()()()()()()()()()

 

 「要はボクという存在を、一時的に”封印の対象外”としてシドー君の力に誤認させることで、ボクは封印から抜け出すことが出来たのさ」

 

 「だからね? 今のボクは四糸乃と同様に精霊の力を持たない普通の少女なんだよ」

 

 

 

 詠紫音がここにいる理由、それは精霊の力を手放す事だった

 精霊の力があるから封印されるのであれば、それさえなければ封印されることは無い筈だ。——そう言ってしまえば簡単なことだが、きっとそうするのにはかなり苦労したのだろう

 現に、詠紫音が封印されてから今日まで、既に数日程経っているのだ。四糸乃の傍にいたい詠紫音が、封印から抜け出そうとすることを面倒くさがるはずもない。つまり、今日この日まで詠紫音は試行錯誤を繰り返し、その結果をもって封印から抜け出す方法を編み出したのだろう

 

 そうして導き出した方法によって、——詠紫音は再び、この世界に舞い戻ってきたのだ

 

 

 

 「……シドー君」

 

 

 

 ——話を終えた詠紫音は、改めて俺と向き合った

 向き合った詠紫音からは、普段の彼女からはほとんど感じさせなかった雰囲気を——柔らかな雰囲気を感じた

 

 彼女もきっと、今この場に入られることを純粋に喜んでいるのだろう

 

 何せ、今の彼女は——

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「——また、会えたね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ——とびっきりの笑顔を、その言葉と共に送ってきたのだから

 

 




この後、士道を起こしに来た琴里に目撃されて一大事になったとかならなかったとか……

補足や描写を加えただけで、まさか一話分になるとは思いもしなかったメガネ好きです
しかし、以前よりも私は満足感に満たされております。以前から感じていた物足りなさは、やはり描写不足が原因だったようです……


さて、では少し余談を

今回、このような形で次話を追加させていただきました
エタってはいないのです。ちょくちょく修正しているだけで、きちんと作品を書いてはいるのです! ですので失踪などはしませんからね!? ホントですからね?

……こほん。とりあえずそんなところです
ようはしっかりと次話も執筆しているという事です。自分のペースでやっているため、投稿ペースが芋虫並みに遅くなってしまいましたが……急いだ結果に今回のようなことになっては本末転倒もいいところです。読者方にも申し訳がありませんからね

これからもこの作品は続けて書いていきますので、気長にお待ちして頂けると幸いです

最後に、活動報告にてアンケートを取っています
これからの修正や投稿の流れについてですので、よろしければ見るだけでも見てもらえれば幸いです

それでは
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。