俺が攻略対象とかありえねぇ……   作:メガネ愛好者

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メガネ愛好者です

今回から間章に入りますが、はっきり言って説明回です

千歳さんの知らないことや、今まで出てきた【心蝕瞳】の事、堕天使、その他の疑問を語る回になると思います

そして、これからの千歳さんのパートナーとなる方の一人が今回の章で現れます
皆さんは予想できましたかね? 千歳さんのパートナーは、まさかの……

もしかしたら前・中・後と三話構成になるかも?前編が思ったよりも短くなってしまったのが原因
でもここが区切りどころだったのです

……あ、タグが変わっていることが気になった方は、あとがきにてどういうことか確認していただければと
千歳さんの扱いがようやくわかった眼鏡好きなのです

それでは


第二間章 『〈調和の瞳紋〉』
間章前編 「俺が結構面倒な奴? 知ってる」


 

 

 どうも、千歳です

 

 現在俺は——

 

 

 

 

 

  ——ジャラ……

 

 

 

 

 

 ——監禁されてます

 

 えぇ、あの監禁です。密室の中に閉じ込められ、外にも出れずにいるあの監禁です

 もう何日ぐらい過ぎたかな……あぁ、外の空気が吸いたいぜ。最近は日の光を一切見てないよ。日の光が恋しい

 

 ……え? 能力使って逃げろ? それが無理なんですよ

 

 なんか両手に手錠されてるんです。それのせいなのか〈心蝕霊廟(イロウエル)〉が使えないんですよ

 左腕にあるはずの〈心蝕霊廟(イロウエル)〉の腕輪が何処にも見当たらないし……多分、呼べなくなってるんだと思う。多分この手錠のせいだ

 因みに両足にも同様の足枷がついてます。もしかしたらこっちが原因か? こっちが原因なの?

 ホントなんなのこの手錠と足枷。それともこの部屋のせいだったりする? 能力使えないとか海〇石ですかコンチクショー。俺はクソマッズイ変な模様の実なんて食ってねーぞコラァ

 

 てかいい加減出してくれないかな? 質素な部屋に数日間放置とか泣けてくるんだよ

 窓は無いし、周囲は暗めの装飾だし、両手を繋ぐ様に手錠は掛けられるし、両足にも同じような感じに足枷がついてるし、携帯は圏外だし、扉もなんか重量感ありそうな物々しい扉で壊せそうにないし、冷蔵庫には各地の名産物が入ってるし、これがまたすげー美味しいし、お風呂は温泉の素があるから気分良く浸かれるし、ベッドはミクん家のベッド並みにフカフカァしてるし、そのベッドの脇の棚には俺好みのラノベやゲームが並べられているし、近くにある机にはなんとPCもあるし、その机の上には五百円玉(しかも昭和62年代物。激レア)の入った透明な貯金箱があるし、そもそもこういった閉鎖的な空間好きだし……

 

 

 ——あれ? この部屋俺にとって理想的な空間じゃね?

 

 

 どうしよう……気付けばこの部屋、なんか俺にとっての理想郷に見えてきたぞ。泣いてるのもこの部屋が理想的過ぎて感動してるのか? 途中から不満が無くなってたぞ?

 手錠や足枷の鎖も結構長いから、普通に歩く分や手を動かす分にはジャラジャラと鳴ってうるさいだけで支障はないし……美味しいもの食べて、やりたいことやれて、自由気ままにだらけられる

 ここは天国か? 自宅警備員達の気持ちが分かった気がする……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「——ハッ!? いかんいかんっ! 俺は四糸乃ぉ……かどうかはわからないけど、とにかくあの場に行かないといけねぇってのにっ!! ……その後、またここに戻ってきても……いやいかんぞ千歳! こんな誘惑に惑わされては――」

 

 ……え? 十分惑わされてるって? 知ってる

 ごめん。出れないことを言い訳に満喫してた。欲に忠実な俺にこの閉ざされた空間に満ちる誘惑の数々に屈服していたよ……

 

 でもなぁ、マジでこの部屋から出られないんだよなぁ

 もしかしたら何処かに鍵があって脱出ゲーム!って感じのノリかと思ったからいろんな場所を探したんだが、結局見つかったのは至高の存在達……コホン。結局鍵らしいものは見つからなかった

 今のところ俺をここに呼んだ……いや、連れてきたであろうあの少女は一向に現れないし、もう俺にどうすればいいのやら……

 

 ホント、今回の空間震出来たのが四糸乃じゃなかったのを祈るばかりだよ……

 

 

 

  ——ガチャ、ギィィ……

 

 

 

 俺が脱出を諦め四糸乃の事を思い更けていると、不意に何かが開く音が俺の耳に入ってくる

 ……お? これは……扉が開く音だ。つまり——

 

 

 

 「満喫して頂けたでしょうか?」

 

 「超満足。だからはよここから出して」

 

 

 

 ようやく俺をこの部屋に招待——もとい監禁した少女が扉の奥から現れたのだった

 因みに開いた瞬間を見計らって、能力を使ってみようと〈心蝕霊廟(イロウエル)〉を呼んでみたんだが案の定出てこなかったわ。やっぱりこの手錠か足枷が原因なのかな? あーもうっ、今までずっと左手につけてたから、腕輪が無いとなんか落ち着かねぇよ……

 

 ……てかよく見たら、開いた扉の奥にもう一つ扉あんじゃん。二重扉かよ、用意周到だなぁおい

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「とりあえず先にお伝えしておきますと、今回の空間震で現れたのは()()()()ですわ。そして、結果として四糸乃様はご無事でいらっしゃいます故、もう急がれる必要はありませんわよ?」

 

 「……そうだったらいいんだけどさ、流石に俺の事を攫ってきた奴の言葉をすぐに信じるのはちょっとなぁ……言っておくけどこれ拉致だからね? 拉致監禁だからね?」

 

 「信用はこれから得ていきますわ。こちらへお連れしたのも、理由があっての事ですのでもう少々お付き合いくださいまし」

 

 何でこの子はこうも堂々としていられるんだろうか? もういっそ清々しいよコイツ。ここから出す気も無いみたいだし、ホント何の用なんだよ……四糸乃の事も知ってるっぽいし、謎が深まる一方だ

 一向に部屋から出してくれない眼帯白ゴスさんに千歳さんはご機嫌斜めです。はい

 

 そんな俺は改めて彼女の姿を視界に移す

 こうして改めて見ると、どうにも彼女が普通の人間には思えなかった

 

 

 彼女はまるで——精巧に作られた人形のような妖艶な雰囲気を持つ少女だったからだ

 

 

 まっすぐに伸びる長い黒髪に、左目には医療用の眼帯を付けている。逆の方の右目の瞳は黒曜石(オブシディアン)の様な艶やかな黒色で、その身を着飾るのは真っ白のゴシックドレス。そのゴシックドレスの色に黒曜石の様な色の髪と瞳が引き立てられている

 そして彼女が魅せる微笑みは、何処か引き込まれそうな怪しさがあって少し不気味だった。……それを自身の魅力にしている感じがする

 

 ——そんな何処か普通の少女とは異なる少女と俺は、テーブルを挟んで対面しています。……羊羹を頬張りながら

 何これめっちゃうまい。マジで美味、老舗の名店にあるような味わいである。うぅむ……いいセンスだ(渋声)

 

 ……え? 拉致した相手が出した食べ物を食べるなって? 知ってる

 でも出されたからには食べないと失礼じゃん? 美味しそうだったし、毒を盛ってても精霊に毒が聞くのかって話。ぶっちゃけ気にしてもしょうがないじゃん?

 ……ここに連れてこられる際に合った異様な眠気には気をつけますがね。あらかじめ意識してれば何とかなるだろうし

 

 とりあえず、だ。

 そんな俺の事を拉致した(羊羹をご馳走してくれた)彼女は……まぁ人間ではないんだろうね。うん、多分精霊だと思う

 あの異様な眠気も彼女の能力だと思えば納得がいくし、あのタイミングで現れることや、四糸乃(精霊)の事を知っていることも鑑みるにおそらくはそうだろう

 もしも彼女が四糸乃と知り合いであれば、彼女の言葉にも安心を持てるんだけど……信じてほしいのであれば、何か証拠を示してもらいたいところなんだよな

 さっきも言ったけど、この子の事をすぐに信じる気にはなれんのだ。ここに連れてくるにももう少し言い方があっただろうし、何より……胡散臭い。言動が胡散臭いのだ。胡散臭さがプンプンするぜぇ!

 だから、例えこんな絶品羊羹を出されたところで、俺の信用を得ようなんて考えないことだなぁ小娘ぇ!! 俺はそこまで単純じゃあないんだ——

 

 「お母様を攫うようなことをしたお詫びと言うのもなんですが……これからも、この部屋をお好きに使用なさって構いませんことよ」

 

 「お前いい奴だな」

 

 

 ……俺は単純だ。それでいいじゃないか……

 

 

 ま、まぁそれでも? 拉致したことについてはこの際置いておくとして、四糸乃の事に関しては別ってもんですことよ? 証拠が欲しいというのは事実だし、流石に言葉だけでは納得する事なんて――

 

 「そんなこともあろうかと、お母様が眠りについている際に起きたことを知ることが出来る様、四糸乃様の写真を撮ってきましたのよ? 褒めてくださいまし」

 

 「いい子いい子。なんか心読まれてる気がするけどこの際気にしないよ」

 

 気にしたら負け、気にしたら負けなんや。——だから眼帯白ゴスさんに”お母様”と呼ばれても気にしたら負けなんや

 それにしても……なんだろうな? この子にはいろんな意味で勝てない気がするのです。くやしいぃ

 

 そんな俺の気持ちも知らず(知らない……よね?)に、懐から数々の写真を取り出し見せてくる眼帯白ゴスさん。どうやら俺が数日間放置された理由は写真を現像していただしい。そのせいで遅れてしまったそうな

 そんな眼帯白ゴスさんに一言。……今度からはデジカメを使いなさい。別に綺麗に取らなくても現状が分かればいいんだよ? 下手に拘らなくていいんです

 

 「……わかりましたわ。次からはそういたします」

 

 ……もう俺喋る必要無いんじゃね?

 

 

 

 

 

 差し出された写真には……あの日、何が起きたのかを鮮明に取られた数々の場面が映し出されていた

 どうやって撮ったんだと言わんばかりに撮れたことが不思議でならないその数々の写真を、俺は順番に見ていく事にする……

 

 

 

 

 

 ——やはり四糸乃が現界し、ASD改めASTに攻撃されていたところを——

 

 「ホント精霊に対してろくなことやらんな、ASDは……」

 

 「因みに、その方達の正式名称は【Anti(アンチ) Spirit(スピリット) Team(チーム)】——通称”AST”ですわ」

 

 「ASDじゃなかった……いやまぁ違うってのは知ってたけどさ? 流石に”あの集団”が正式名称な訳がないし」

 

 

 

 ——四糸乃が天使を顕現させ、その力で逃げ去るところを——

 

 「おぉ! ナニコレカッケー! これめっちゃカッコよくない!? 何? 天使ってみんなこんなカッコイイの?」

 

 「お母様の天使は……まぁ”アレ”ですしね」

 

 「言うな……って、なんで知ってやがる」

 

 

 

 ——逃走中に、四糸乃と主人公クンが対面しているところを——

 

 「お? なんで主人公クンが……」

 

 「四糸乃様を助けに来たそうですわ」

 

 「……そっか。流石主人公クンだわ」

 

 

 

 ——そんな二人を引き剥がすかのように、ASTが四糸乃に向け銃を放ったところを——

 

 「……ちょっと出かけていい?」

 

 「……因みに、何処へでしょう?」

 

 「天宮駐屯地」

 

 

 

 ——そのせいで再び逃げ出す四糸乃が、途中でけん玉を落としたところを——

 

 「あ、おじちゃんのけん玉が……」

 

 「とても大事な物だったようですわね」

 

 「んだな。貰った時の四糸乃、結構喜んでたし」

 

 

 

 ——落ちて砕けたけん玉を呆然と見つめる四糸乃の周囲をASTが取り囲むところを——

 

  ガチャガチャガチャガチャガチャガチャ——

 

 「ワタクシの持っている鍵がなければ開きませんことよ?」

 

 「ハヨ鍵ヨコセ」

 

 

 

 ——砕け散ったけん玉を握りしめる、悲痛な表情をした四糸乃を映したところを——

 

 「鍵ヲヨコセエエエエエ!!!」

 

 「お母様……少し、頭を冷やしましょうか」

 

 「——っ、な、なんだ? なんか急激な寒気が……」

 

 

 

 ——そんな四糸乃の横に現れる……四糸乃にそっくりな黒い四糸乃を映したところを——

 

 「……え? この子誰? なんか四糸乃の2Pカラーにしてはキャラが濃いけど……」

 

 「よしのん様ですわ」

 

 「ウッソォ!?」

 

 

 

 ——その黒い四糸乃改めよしのんが、ASTを圧倒し、蹂躙するところを——

 

 「よしのんつおい。……あれ? 俺っていらなかった? いらない子だった?」

 

 「ワタクシにとってはとぉぉぉ——っても、必要ですわ。いらない子などではありません」

 

 「そ、そっか……(……あれ? なんで俺が諭されてるの?)」

 

 

 

 ——ASTを全員倒し、満面の笑みで勝利を掲げるところを——

 

 「やだこのこちょーいけめん。俺に出来ない事を平然とやってのけるよしのんに痺れ憧れ。——それに対して、俺は助けにも行けずに起きたらすべてが終わってて……まさに周囲からの笑いが絶えちゃった滑稽な道化(ピエロ)だね。ハハッ」

 

 「そう落ち込まないでくださいまし。後程、お母様を向かわせなかった理由をきちんと説明いたしますので」

 

 「……どっちにしろ、俺が何も出来なかったことには変わりねーよ。これじゃあお母さん失格だよなぁ……」

 

 

 

 ——そんなよしのん達と対面する主人公クンと十香を映したところを——

 

 「今度は十香か……写真を見るに、相変わらず元気そうでよかったよ……」

 

 「お母様がお母様失格なんて事はありませんわ! 気をしっかりお持ちくださいまし!」

 

 「……あ、あの玉座って乗り物になるんだ。相変わらず他の子の天使はかっこいい……それに対して、俺は”アレ”だもんなぁ……」

 

 

 

 ——突如逃げ去るよしのんを追って、士道達が神社へと辿り着くところを——

 

 「俺……この時何してたんだっけ? ……あぁ、寝てたんだわ。無様に寝顔を晒して寝てたんだろ? もう……もう笑えよ。笑ってくれよ……グスッ」

 

 「全ての責任はワタクシにありますからお母様が気に病むことはありませんわ! だからそんな泣きそうにならないで——あっ、そんな部屋の隅で膝を抱えて落ち込もうとしないでくださいまし!? お母様!!」

 

 「危機感ゼロで、単純な上に役立たず……それこそが俺こと千歳さんなのさ……」

 

 

 

 ——着いた先で、よしのんと口論し始める主人公クン、傍らで見守る十香と、薄く目を開けて二人を見ている四糸乃を映したところを——

 

 「イイフンイキダナー。……うん、今思えばこれでよかったのかな? だってここで俺が来たら「え? 何しに来たのお前?」ってなるもん絶対。「お前いらねーから」ってなるもん絶対」

 

 「な、ならないとは言いきれませんが……それはそれでこれはこれですわ! お母様は必要な存在であり、少なくともワタクシには欠かせない存在です!!」

 

 「ははは、ありがと……うん、こんないちいち落ち込んで迷惑かけるめんどくさい俺なんかのことを気遣ってくれて……」

 

 

 

 ——色々あって……主人公クンとよしのんがキスしているところを——

 

 「……あレゑ? 何やってるのこの二人? 急展開してもう訳が分からないよ」(◉ ω ◉)<きゅーべー

 

 「その顔やめてくださいまし。……お母様、実は不貞腐れてるだけでしょう? わざわざ前髪まで上げてまでそんな顔をして……」

 

 「こうでもふざけてないとやってられないんだよ。今にも崩れそうな俺の豆腐メンタルが粉々になって麻婆豆腐の材料にされちゃいそうだから……うん、ごめんなさい」

 

 

 

 

 

 あらかた移されていた写真を、白ゴス少女に状況説明を踏まえながら聞き終わった俺が……言えることはただ一つ

 

 ——俺が助けに行くのって、別にいらないんじゃなかろうか?

 

 なんかもう……ショックでさ。四糸乃の事を守るって約束したわけじゃないけど、お母さんと慕ってくれた子に何も出来なかったって言うのがホントなんかもう……情けなくて悔しくて——

 それに……俺が現場に行ったところで何が出来たのかな? 俺ってこう……自分のやりたいようにしかやれないし、それで悪化することだってあり得る訳で……

 

 ——うん、寧ろ行かない方が丸く収まりそうだね

 

 「……お母様」

 

 「んー……?」

 

 俺が自暴自棄に落ち込んでると、眼帯白ゴスさんが心配そうに語り掛けてくる

 しかしな? 今の俺からは活力やら気力やら諸々が抜け落ちてるんだよ。それはもう魂が抜けたかのようなさ。無気力とはこのことか

 

 「心中お察し申し上げますが……四糸乃様の無事は、分かって頂けたでしょうか?」

 

 「あー……うん。最後のよしのんと一緒に映ってる写真とか、凄く幸せそうな表情だよなぁ……」

 

 最後に見せてもらった”マンションの前で寄り添うように笑い合う四糸乃とよしのん”の写真を手に取って見つつ、俺は力無く返事を返した。ホント良い顔してるよなぁ……四糸乃とよしのん

 そんなやる気を一切見せない俺の返事を聞いた彼女は……申し訳なさそうだった表情を改め、引き締まった表情に変えつつ俺に語りかけるのだった

 

 

 

 「それではまず一言。……意図せずとはいえ、その結果になったのはお母様——貴女様がいなければ、この結末にはなり得なかったでしょう」

 

 

 

 「……え?」

 

 彼女の言葉に俺は疑問の声を上げてしまった

 なんで俺? この写真を見て何処に俺を必要とした要素があるって言うんだ? 言っとくけど、ただの慰めは逆効果だかんな?

 眼帯白ゴスさんの言葉に疑問を浮かべていると、彼女は俺の疑問を晴らすために続けて語る

 

 

 ——俺でさえ知らなかった、俺の力の正体を——

 

 

 「そもそもです。よしのん様が世界に顕現できたのはお母様——いえ、”〈調和の瞳紋(アルモニス・プリュネリア)〉”の保持者であり、ワタクシ達”堕天使(フォールダウナー)の母”であるお母様の力があってこそ——」

 

 「ちょ、ちょーっと待ってくれねーか? アルモ……え? 何それ? 堕天使の母とかもイミフだし、そもそもなんで俺が母って言われなきゃいけんの説明してくれねーと訳わかんねーから!」

 

 眼帯白ゴスさんは俺の知らない言葉を次々と並べてくる。いやマジで意味が分からない。一体何なんだよそれ?

 それに、さっきからスルーしてた”お母様”って……もしかして、その”堕天使の母”ってやつからきてる? いつから俺はそんな役職に転職したんや。俺の職は番台だぞ? 決してあんさんのお母様ではないし……あ、でも四糸乃のおかんではあるのか? ——いやいや待て待て千歳さん。そもそも俺は母親じゃない訳で、しかも体は女だけど心は男のままだから心情的には父親気分な訳で——

 

 ——あれ? 結局俺は何を言いたいんだ? えーと……っ、あぁーもう! 訳わかんねー!

 

 唐突に明かされた彼女の言葉に混乱していると、そんな俺を見てクスクスと笑いながら微笑む眼帯白ゴスさんが窘めるように言葉を送ってくる

 

 「唐突な事でしたし、混乱するのも無理はありませんわ。——ですが、ご安心してくださいまし。何故なら、この場にはワタクシがいます。お母様の疑問を晴らすために——遥々()()()()駆けつけたワタクシがいるのですから」

 

 「——はい? み、未来……だって?」

 

 「えぇ。今より少し先の未来から、ですわ」

 

 さも当然かのように淡々と述べる彼女の言動が不可解すぎて、何を言っているのかがよくわからなかった俺は……ただただ彼女が、少し怖かった

 

 

 だって、俺を見つめる彼女の瞳は——まるで俺の全てを知り尽くしているかのように見据えていたのだから——

 

 

 そんな眼帯白ゴスさんは俺の顔——正確には俺の前髪に隠れる瞳に視線を送りながら名乗るのだった

 俺の前に姿を現した理由と、自分の存在のことを——

 

 

 

 

 

 「それでは、お母様のまだ知り得ぬ権能を——お母様の凶悪すぎる天使を封印し、今のお母様が操る力の正体である〈調和の瞳紋(アルモニス・プリュネリア)〉の事を、僭越ながらこのワタクシ——〈第三の瞳(ビナス・プリュネル)〉を宿す堕天使が一人——〈堕天・刻々帝(ザフキエル・フォールダウナー)〉がご説明いたしましょう。……この名では聊か長いでしょうし、ワタクシの事は……そうですねぇ、気軽に「くるみん」とお呼びくださいまし。よろしいですか? お母様。……くふふ」

 

 

 

 

 

 俺に宿る、未だよくわからない力——【心蝕瞳(イロウシェン)】こと〈調和の瞳紋(アルモニス・プリュネリア)〉という力を説明する為に、自身の正体を明かした上で名乗り上げる眼帯白ゴス少女——その名も”くるみん”は、まるで貴族の令嬢のようにスカートを軽くつまんで一礼するのだった

 

 数多くの知らぬ言葉を聞いた俺の頭は混乱し続けている。頭が上手く働かず、思考がまとまらない……そんな状態に

 しかし、そんな俺だったが……これだけは言わせてほしかった

 そして、その言葉はなんとか口にすることが出来たんだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ——あのな? くるみん……——

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「……ごめん。難しい言葉が多すぎて何言ってるかわからないよ……」

 

 




くるりんぱっ! くるりんぱっ!

はい、そんな訳で千歳さんのパートナーの一人目は、ある方の天使が堕天化し、未来から訪れた「くるみん」でした!
見た目は五年前の狂三さんのゴシックドレスが全体的に白くなった感じです。瞳も赤から黒に変わっております

またオリヒロかよ……と思った方、安心してください。彼女は——マザコンです
故にシドー君の攻略対象にはなりません。ゲーム版でいうと、可愛くて重要人物なのに攻略対象にならなかった実妹ちゃんのポジションと同じになるでしょう
何よりマザコンですから他の男にうつつを抜かしはしないのです
……千歳さんの攻略難度が上がった件について。まぁいいか

あ、一応ネタバラシとしては、詠紫音とくるみん以外に出てくるかもしれない堕天使は自我を持っていません。この二人だけが特別人格を宿すこととなります
一体未来の狂三さんは何を願ったんでしょうね? それは……これからの本編でご確認ください



そして、そんな千歳さんですが……ようやくポジションが定まった気がします
オリ主かと思いきやオリヒロ枠だった千歳さん。数人の原作ヒロインとシドー君以上に親身になってしまう「あれ?これオリ主じゃね?」と作者の私でもよく分からなくなる彼女のポジションは——



 「オリ主系ヒロイン」だ!!



はい、そんな訳でタグに「オリ主系ヒロイン」と入れておきます。というか入れておきました
いっその事タグを整理します。もう少しわかりやすいタグのほうがいいかと思ったので

次回、説明が続くよー
千歳さんは怠けてばかりで普段使わない脳を動かすべきなんだよ!
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