俺が攻略対象とかありえねぇ……   作:メガネ愛好者

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メガネ愛好者です

最初に、皆さんに言っておきたいことがあります……


 保存。大事。真っ白。恐い


はい、では今回もまた解説回です
え?前回は解説してなかったって?知ってます
ですから今回は結構詰めた感じですね。それでも中編になってしまったわけですが……

まぁ前半の茶番が長くなった理由でもありますがね?解説だけの回なんてつまらないじゃないですか!
まぁ面白いかどうかは……うん


※以前までの事で少し変更
・【顕】(コクス)→【顕】(コクマス)
理由:こっちの方が言いやすいから


それでは


間章中編 「割と真面目な説明回? 知ってる」

 

 

 ——辺りは静寂に包まれている——

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……いやまぁただ単に今は俺しかいない状況で喋ってないだけなんだけどね? 独り言する程ボッチ度を上げたつもりはねーから

 

 テーブルに未だついている俺は、何やら説明の準備の為に一旦部屋を出て行ったくるみんを待ってます。それにしてもくるみんは和菓子が好きなのかな? 羊羹に続いて出された豆大福がこれまた美味なり

 ……え? 部屋の鍵はどうなってるんだって? 勿論閉められてるぜ。未だ俺は監禁中だ

 でも手錠と足枷は外してもらったよ。だってジャラジャラうるさいじゃん? 鎖が長かったから正直あってもなくても意味を成していなかったし。……くるみんは「拘束プレイですわ!」って言ってたけど、どっちかって言うと放置プレイだったわ。うん

 因みにだが、手錠と足枷を外しても〈心蝕霊廟(イロウエル)〉は出てこなかったわ。あの手錠と足枷は海〇石じゃなかったっぽいです。ただの精霊スペックでも壊せない普通の手錠と足枷でした

 ……え? 普通じゃないって? 知ってる。でも考えたら負けな気がするんだよ

 手錠と足枷が関係無いとなると……やっぱりこの部屋が原因になるのかな? 実質最高の部屋なのに要らない機能をつけたせいで台無しだよ。一体どこの業者だこんな機能つけやがったの? 寧ろどういう原理か知りたいくらいだぜ

 

 まぁ今更どうこう言う気はねーよ。もうここから逃げる気もなくなったし、なんかいろいろとめんどくさくなってきたからさ。自身の目的が中途半端に折れて無くなるって結構気力をもってかれんだなぁ……マジでやる気が出ねぇ

 

 とりあえず今はくるみんが言っていた俺の力とやらの説明でも聞くことにすっか。嘘か本当かは聞いてから判断するけど今後の参考にはなるかもしれないし

 何せ【心蝕瞳(イロウシェン)】みたいな俺が知りえなかった能力とかがあるくらいだ。【心蝕瞳(イロウシェン)】は偶然知ることが出来たからこうして対策も取れているけど、まだまだ俺の知り得ぬ力があるかもしれないしね。気づかぬうちに俺の力が原因で周囲に被害が及んでいたとか笑えたもんじゃねーだろ? その上で俺に私怨を持たれるような状況になるのも避けたいしさ

 

 そんな訳で、くるみんから情報を手に入れる為にも俺はこうしておとなしく待っている訳だ。準備にはそこまで時間は掛からないって言ってたしそろそろ戻ってくると思うしな。……え? おとなしく待っていられるのかだと? 失礼な、カップ麺が出来る程度には我慢できると自負してるよ!

 

 ……それにしても、日頃から着けていたのもあって腕輪が無いと左腕が妙に落ち着かないなぁ。身近な物があるべきところにないって感じで、どうにもモヤモヤしてしまう

 そんな俺は腕輪を付けていた左手首の辺りを何となしにさすりながらくるみんを待つのであった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「はぁい☆ そ・れ・で・はぁ、これからお母様の為の”お母様講座”を、始めたいと思いまぁす♪ 司会はこのワタクシ——くるみん先生でお送り致しますわぁ。ち・な・み・に? ちゃぁぁぁんとワタクシの言葉をお耳に入れて頂けないとぉ……とにかく死なす♪」

 

 「ルンルン気分で言われる死の宣告は初めての体験だわ。……いやちゃんと話は聞くからね? それよりもキャラ崩れてますよくるみん先生」

 

 「こっちが素ですぅ♪」

 

 「え、そうなの? 凄く意外。でも今からする説明って割と真面目な話になんでしょ? それならさっきの調子のままで行こうな? 時と場所をわきまえないと、真実味とかが抜け落ちっからさ。——それ以外の時は想いのままにハッチャけろ」

 

 「お母様がそう仰るのであれば、これからはそのように致しますわ」

 

 (あ、結構すんなり聞き入れるのな)

 

 準備を終えたくるみんは先程に無い明るさを見せながら説明を始めようとしていた。さっきまでのテンションの違いからキャラ崩壊という奴を生で見た気分になった千歳さんでした

 それにしても……あぶなあったわ。思ってた以上にくるみんがノリノリだったからシリアスをブン投げて俺もその勢いに乗ればいいのかと思ったよ。それでもよかったにはよかったんだけど、流石にそんな状況で説明されても真実味を感じられねーしな

 

 そんな一時的なキャラ崩壊を発症したくるみんは、言葉通りの先生らしさを出すためかスクエア型のメガネを掛けていた。……眼帯の上から眼鏡ってアリなのだろうか?

 今のところの変化はそれだけで、服装は先程同様白ゴスである。これで服装もスーツ姿だったら先生——と言うよりはOLに見えそうだわ

 スーツ姿で眼鏡をかけた知的美少女……うん、アリだな。黒髪ってのが高ポイント

 

 そんな妄想を抱きつつ、眼帯眼鏡くるみんの姿をテーブルに頬杖を突きながら眺めていると……急にくるみんは軽く手を前にかざしたのだった

 一体なんだと注意を向けると、くるみんはかざした手の先からは一瞬の間を隔て——全体を黒塗りに染め上げ、その上から紅い紋様を浮かばせたステッキを顕現させたのだった

 

 一瞬くるみんがとうとう本性を露わにして敵対したのかとも思ったのだが、くるみんからは全く敵意が感じられないから多分そうじゃないと思う。何よりこのタイミングで敵となる意味が分からん。だから大丈夫……な筈

 とりあえずその杖が何なのかを聞いてみることにした。まぁ大体の予想はついてるんだけどさ

 

 「その杖って……天使なん?」

 

 「くふふ……はて、どうでしょうか?」

 

 俺の問いに笑って誤魔化したくるみんはそのステッキを指示棒に見立て、用意したホワイトボードを軽く叩いて俺の気を引こうとする。あ、そういう使い道なのね

 てか何故はぐらかすし。今更隠す意味とかなくない? 詳しくは説明の中でってことか? お預け上手ですねくるみんさんや

 ——あれ? もしもあの杖が天使だったらなんでここで出せるんだ? 俺だけ出せないとかそんな都合のいい空間な訳がないし……いや、ありえたりする話ではあるのか? ……駄目だ、わからん

 

 「それでは、ワタクシが知っているお母様についてのご説明を致しましょう。ではまず……」

 

 そんなくるみんは左手にステッキを持ちながら、一緒に持ってきていた黒のマジックペンでホワイトボードに何かを書き始めた

 ホワイトボードの右上部、そこにスラスラと見出しのように書かれた言葉は——

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『お母様の生態』

 

 「オイコラ待て。俺は夏休みの自由研究対象か何かですか? 小学生の時に提出した『たまに人の通る道の隅に5円玉を置いた場合、50人中何人が気づいて拾うか』っていう調査を数日かけてやった苦い記憶が蘇るじゃねーかコンチクショー。結果は8人と普通に少なかったよ」

 

 「随分と個性的な幼少期ですわね」

 

 最早ふざけてるんじゃないかと疑いたくなるような見出しのせいで、俺の奇行が目立った頃の思い出が掘り起こされちまったじゃねーか。何とも言えない気持ちになってしまう千歳さんでした

 今を思えば、その頃の俺は一体何がやりたかったんだろう? その自由研究を見た先生が変な目で俺の事を見ていたのが印象に残るね。ソンナ目デ俺ヲ見ルナー!!

 そんな嫌に記憶に残っていた思い出のせいで何とも言えない気持ちになっていた俺に、くるみんが自身の事を話してきた

 

 「ワタクシも夏休みと聞くと、研究課題として出した『夏に流行る! 夏々聖天魔帝(カカセイテンマテイ)の極意』を思い出しますわ」

 

 「何それ気になる。てかそれを提出したか否か以前にくるみんって学校に通ったことあるの!?」

 

 「ありません、冗談ですわ。——ただ、以前に『深淵統べし堕天ノ皇(ルーラーオブアビス・フォールダウンロード)ノ書』と言う書物を入手いたしまして、偶然にもそれが今ここにあるのですが……読みます?」

 

 「みせてみせてー!!」

 

 冗談を言いつつくるみんは、何やら表紙に禍々しい瞳の様な絵柄がでかでかと描かれている古びた書物を懐から取り出した。ゴシックドレスなのにどうやって服の中から取り出したと言いたいところだが……その疑問を口にすることは無かった

 

 気づけば俺は……その書物に魅入られていた

 

 その衝動のままに俺はくるみんに駆け寄り、くるみんの説明と共にその書物の内容を読み漁ることにしたのであった。……その時の俺は、天使や〈瞳〉のことなど頭の片隅に追いやっていたと言えるような状態だっただろう

 俺の趣味趣向をくすぐり疼かせるような内容ばかりだった。その書物の内容はすんなりと覚えることが出来、まるで”元々自分が考えた物”だったかのような錯覚に陥ることも……

 

 ——あれ? 気のせいかな? 俺を見つめるくるみんの表情が、何やら獲物を捕まえたかのような獰猛な笑みをしている気が……

 

 ………………

 

 ……まぁ、いいか。これ結構面白いし、面白ければそれでよいのだーってやつだね。くるみんだって今更俺に危害を加えようなんて考えてないだろうし……

 

 

 

 ——そんな安易な事を思考する俺が、怪しげな書物から異質なオーラが漂っている事に気付くことは無かったのだった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ——10分後——

 

 「えーと……こ、こうか?」

 

 「違いますわ。もっと手を開き、脇を締め、左足を後ろに下げてくださいまし」

 

 「こう、か……なぁくるみん? 今の俺ってどんな感じになってる?」

 

 「よければこの姿身をお使いください。名乗りは自身に格を付けるようなもの……見っとも無い仕上がりにならぬよう、姿見を利用して完成させましょう」

 

 

 

 ——20分後——

 

 「『フン、下界に』……つた、のる? ねぇくるみん? これなんて言うの?」

 

 「『蔓延る(はびこる)』ですわ。有象無象が其処等中に屯するという意味でごさいます」

 

 「うぞうむ……とにかくいっぱいいるってことでおk?」

 

 「えぇ、そうでございますわ。ではその言葉と共に次の文章を読んでくださいまし……」

 

 

 

 ——30分後——

 

 「くるくるくるみん♪ くるりんぱっ☆」

 

 「くるりんぱっ!」

 

 「あ、そぉれ。くるりんぱっ♪」

 

 「くるりんぱっ! くるリンぱ? クるりンパッ! くルり——」

 

 

 

 

 

 ——1時間後——

 

 「……では、本番ですわ。3、2、1……アクション」

 

 「……フン、下界に蔓延る愚者共め……我が淵眼にて統べる世に貴様等の存在は不要だ。我が視界から消えよ。さもなくば永劫の闇、奈落の底へと沈めよう!」

 

 「そこで技を決めるのですわ!」

 

 「深き淵にて自我を蝕み自壊せよ!〈心蝕みせし永劫なる深淵(エターナルアビス・マインドハック)〉!!」

 

 「——いい。いいでございますわよお母様! その堂々たるお姿、その威厳に満ちた表情……あぁ! 凛々しゅうございますわ! 麗しゅうございますわ!あぁ! あぁ! とてもお素敵でございますわお母様ぁ!!」

 

 「ククッ、貴様は実に愉快な奴よ。……よい、我が側近の座をうぬに与えようではないか」

 

 「是非! 是非このくるみんをお母様のお傍に! どこまでもお母様にお仕え致しますわ!」

 

 

 

  どこまでも……ですわよ? ワタクシ好みのお母様? ……クヒヒヒッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 …………………………

 

 「———————ぃまし」

 

 ……ん……………んぁ……?

 

 「——てくださいまし」

 

 ……誰だ……?

 

 

 

 「起きてくださいまし、お母様」

 

 

 

 ——俺はその声で目が覚める——

 目を覚ましたばかりでぼやける視界に映るのは、黒と白の配色の何か……いや——

 

 「ほぉら、いつまで寝ているのですかお母様。起きてくださいまし、もう準備は終えておりますのよ?」

 

 「……え? ……あ、くるみん」

 

 頭を上げ、回らない思考を徐々に動かすことで、今の状況を理解する

 どうやら俺は、テーブルに腕を枕にして眠っていたようだ。なんで寝てたんだろ? 確か……

 

 「——あぁ、そっか。説明の準備が終わるまで眠ってていいって言われたんだっけ?」

 

 「くふふ、お母様の寝顔、とても微笑ましく可愛らしいものでしたわよ?」

 

 「人の寝顔を覗くんじゃねーこらぁ。恥ずかしいやろ馬鹿たれ」

 

 「眼福でございましたわぁ」

 

 「こやつ……まぁいいや。準備できたんなら説明してもらっていいかな? 眠気はスッキリしてるから途中で居眠りとかにはならないと思うぜ」

 

 「えぇ。では始めましょう」

 

 そう言ったくるみんは、ホワイトボードに黒いボールペンで何やら図の様なものを書き始めるのだった……

 

 

 

 ——あれ? 消してあるみたいだけど、ホワイトボードの右上部に何か文字を書いた後が残ってる……

 

 『お  の 態』

 

 おの……たい?  どういう意味だろ? 他の部分は判断つかないぐらいに消えてるからわかんないや

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「……クヒヒヒッ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「それでは、まずお母様の天使の事からご説明いたしましょう」

 

 「お願いします。くるみん先生」

 

 そう言ったくるみんはまずホワイトボードの中心から少し上の部分に〈心蝕霊廟(イロウエル)〉と記入し……そのままそれを潰す様にバツ印を記入するのだった。早速文字を潰していくスタイル。哀れ〈心蝕霊廟(イロウエル)〉、散々な扱いである

 いやしかし……文字に丸みを帯びていたり、ハートやら星やらの可愛らしいマークが各所に散りばめらながら書いてるせいでどうにもファンシーチックになってしまっている。まぁ別にそれでもいいけどさ? 別に俺は可愛い物自体は嫌いじゃないし。寧ろ好きだし

 

 「お母様の天使〈心蝕霊廟(イロウエル)〉についてですが、現在は本来の力を使えません。これはお母様も重々承知な筈でございます」

 

 「そうだな。まぁ使えたとしても使う気は更々ないけどよ」

 

 「そうですわね。お母様の天使を知っている身としてはその意思にワタクシも賛同いたしますわ」

 

 再三言うようで悪いがホントに俺の天使はえげつないからな。使い方によっては便利なのかもしれねーけど、下手をすれば()()()()から使いたいとは思わないんだよ。正直制御できるかも不安が残るし、それだったら使わない事に越したことは無い

 

 「だから今使えるだけの力で十分だったりするんだよな。本来の力を出すよりも今の〈心蝕霊廟(イロウエル)〉の方が便利——」

 

 「……その力は〈心蝕霊廟(イロウエル)〉とはまた”別の力”となりますの」

 

 「そうそう別の……え?」

 

 「お母様がお使いになられている能力……それは〈心蝕霊廟(イロウエル)〉の力ではないのです」

 

 「……マジで?」

 

 「かぁなぁり、マジですわ」

 

 俺が今まで使って来た力を天使ではないと否定してきたくるみんは、バツ印で潰された〈心蝕霊廟(イロウエル)〉のすぐ脇に……”〈調和の瞳紋(アルモニス・プリュネリア)〉”と書き加えるのだった

 

 「お母様の疑問には、まず勘違いを……いえ、意図して隠されていた事実を告げるべきでしょう」

 

 「勘違い? 隠されてた? 一体どういうことだってばよ」

 

 くるみんが口にした言葉に落ち着いて問いかける俺だが……内心は結構焦っていた

 全て把握している訳じゃ無いけど、少なくとも俺は〈心蝕霊廟(イロウエル)〉の事をある程度は理解していると思っていた。……それを急に否定されちゃあ混乱するのもしょうがないってもんだろ

 そんな俺の疑問にくるみんは新たな事柄を書き加え始め、それが終わればホワイトボードに次のような項目が追加されていた

 

 

 

 〈調和の瞳紋(アルモニス・プリュネリア)

  =〈瞳〉の総称

 

 〈第一~第十の瞳〉

  =他精霊の為の〈瞳〉

 

 〈終幕の瞳(ダース・プリュネル)

  =お母様の為の〈瞳〉

 

 〈堕天使〉

  =〈瞳〉の影響で変質した存在

 

 

 また出てきたよこの〈瞳〉ってやつ。しかも聞き慣れないものまで出てきやがった……

 

 「さっきからくるみんが言ってる〈調和の瞳紋(アルモニス・プリュネリア)〉ってのは何なんだ?」

 

 「簡単に言いますと、お母様の”〈心蝕霊廟(イロウエル)〉に科せられた封印を監視する目的を担った力”にございます」

 

 「封印の……監視?」

 

 どうやら〈心蝕霊廟(イロウエル)〉は、本来の力が解放されていないってだけじゃねーみたいだわ。それだけはわかった

 まだ言葉だけだと何とも判断しづらいもんだわ。他精霊とかお母様とか「

 

 「——気になりますわね? この〈瞳〉が何なのかについて……」

 

 「まぁな。だって全然知らねーし」

 

 「くふふ。でぇは、今から詳しい記述をつけ加えますのでしばしお待ちを……」

 

 そう言ったくるみんは記入されていた項目に説明文を書き記していく

 黙々とマジックを走らせることおよそ5分、長々と書かれた説明文に俺は目を通していく

 

 

 

 〈調和の瞳紋(アルモニス・プリュネリア)〉=力の総称

 ・お母様の〈心蝕霊廟(イロウエル)〉を封じる深緑色の腕輪の事を指す

 ・その腕輪こそが堕天使の母たる証であり、同時に封印された〈心蝕霊廟(イロウエル)〉の代わりとなるお母様の力の象徴

 ・堕天使の母の役割としては精霊に宿る天使を”堕天”させる〈瞳〉を統括する事が主にあげられる。〈瞳〉とは、〈心蝕霊廟(イロウエル)〉の封印が解けぬ様に監視しすることと、他精霊の反転化を未然に防ぐ役目を担った力の総称である。詳しくは下記参照

 

 

 

 〈第一~第十の瞳〉=他精霊の為の〈瞳〉

 ・現状ではお母様の天使の封印を監視する事が主な役割

 ・第一から第十の〈瞳〉は他の精霊に宛がわれる〈瞳〉でもある

 ・だが本来の所有者は証を持つお母様であるため、10個の〈瞳〉が持つ能力の一部を引き出すことが可能

 例:〈第三の瞳(ビナス・プリュネル)〉→【(ビナス)

 ・この〈瞳〉はある条件を果たすと、封印の監視から離れ適当な精霊へと譲渡される

 ・〈瞳〉自体はお母様から切り離されるも引き出してある一部の能力(【(ビナス)】など)が消え去るわけではない

 ・しかし、監視が減るために封印も解けやすくなる恐れがある

 

 

 

 〈終幕の瞳(ダース・プリュネル)〉=お母様の為の〈瞳〉

 ・封印されている天使の代わりとなるお母様を守る特異な〈瞳〉の名称

 ・天使の代わりとなることにより、監視としての役割は疎かになる

 ・監視に回すことも可能。回してしまえばお母様を守るための能力が無くなるため注意

 ・お母様に適応される〈瞳〉である為、他の精霊に譲渡されることは決して無い

 ・その能力こそお母様の瞳に宿る力——ASTから呼ばれるようになった【心蝕瞳(イロウシェン)】である

 ・監視に回さない限りは常時発現されるもよう

 ・この〈瞳〉と前記の10個の〈瞳〉の能力を合わせたものが腕輪となり顕現されている

 

 

 

 「……つまり、今まで俺が使ってた力は――」

 

 「……天使の力ではありません。天使を封印する代わりに精霊を——お母様を守るために”ある方”から与えられた力。それこそが堕天使の母たる証〈調和の瞳紋(アルモニス・プリュネリア)〉なのです」

 

 今まで天使だと思っていた力が全く別の力だったとです……

 この腕輪は〈心蝕霊廟(イロウエル)〉本体から力を引き出す触媒ではなく、封印された〈心蝕霊廟(イロウエル)〉の代わりとなる力——〈調和の瞳紋(アルモニス・プリュネリア)〉だった訳だ。……んなもん言われなきゃわかんねーじゃねぇか。こちとらまともな説明なんか受けた例なんてねーんだよ

 

 「改めてご説明いたしますと、本来の〈調和の瞳紋(アルモニス・プリュネリア)〉の役割はお母様の天使の封印が解けぬように監視する事を目的とされております」

 

 くるみんはバツ印で潰された〈心蝕霊廟(イロウエル)〉とは別に、空いているスペースにもう一度〈心蝕霊廟(イロウエル)〉と書く。それを中心にして囲う様に計11個の丸を描き、その丸一つ一つの中に”一”から”十”、そして”終”の文字が加えられた。その図形は……〈心蝕霊廟(イロウエル)〉を見張るように取り囲んでいるに見えなくもない

 

 「このように、それぞれの〈瞳〉が天使を監視することで、例え封印が解け掛けようともそれを抑えることができるのですわ。——しかし」

 

 くるみんはその中の一つ——”四”と”九”の書かれた丸を消した

 

 「今のお母様からは第四と第九の〈瞳〉が感じられません。それが現しているのは——既に〈瞳〉を譲渡したということ」

 

 「譲渡したって言われてもなぁ……俺にはそんな覚えがないんだけど? そもそも知らない力を渡すなんて出来ないんじゃねーの?」

 

 〈瞳〉の譲渡とかやり方知らんし。その情報はセキュリティクリアランスを満たしてないから開示されてないってか? …てかそこまで封印しなきゃいけねーもんなのかよ俺の天使は。何か曰く付きなもんだったりするのかねぇ? 神様印の精霊ぱぅわーではなかったのだろうか……

 

 「それはそうでしょう。おそらくお母様は無自覚でしたでしょうし」

 

 「多発する無自覚に俺氏困惑」

 

 「ラップ調に言わないでくださいまし」

 

 お気に召さなかったみたい。……まぁそのつもりで言ったわけじゃないんだけどさ

 

 「譲渡の条件は主に三つあります。それがこちらとなりますわ」

 

 

 〈瞳〉の譲渡条件

 ・相手の精霊がお母様に心を許している事

 ・相手の精霊に”強い願い”がある事

 ・その二つを満たした精霊が、自身からお母様に触れた時

 

 

 「これらの条件が満たされていた場合、自動的に〈瞳〉が譲渡されるのでしょう。この譲渡により空白となった場所こそ封印が脆くなる場所であるという事ですわ」

 

 くるみんは消した四と九の場所に矢印を書いている。つまりそこから〈心蝕霊廟(イロウエル)〉が抜け出すかもしれないってことね

 とりあえず一言

 

 

 これさ……譲渡される可能性に俺が気づくの無理じゃね?

 

 

 だって心許してるとか相手の心が分からないと無理じゃん。強い願いとかどの基準で判断すればいいし。そもそも俺は精霊の見分け方とかまだいまいちわからないから気づかぬうちに精霊と会っていたっていう状況になりきらない

 

 「……お母様に質問です」

 

 「ん? なんだ?」

 

 「お母様は、どなたかと交……こほん。触れ合った時に”力が抜けるような感覚”に陥ったことはありませんか?」

 

 「抜ける………………あ」

 

 あぁ……そういえばそんなこともあった気がする。……最初何言いかけたのかは気にしないでおこう

 明確に覚えている限り、その現象は……確か二回程あった筈だ

 

 ——俺の左手にすり寄ってきた四糸乃の時に……

 

 ——俺のお腹めがけて飛び込んできたミクの時に……

 

 その時に何か体から抜けていく感覚が確かにあった。それが〈瞳〉の譲渡だったのだろうか?

 そんな俺の反応を見たくるみんは、俺がそれに思い至ったことを予測して説明を再開させる

 

 「おありのようですわね。それこそが〈瞳〉の譲渡にございます。〈瞳〉はお母様の天使の封印を監視する任から離れ、代わりにその精霊の反転化の監視、及び防止する事を目的として譲渡されます。そして〈瞳〉が譲渡先の天使と合わさることで……天使は堕天使となりますの」

 

 「反転化ってのは? それと堕天使ってのも説明お願い」

 

 「精霊が絶望の淵に立たされた時、自らの存在を変異させる——天使は破滅を呼ぶ魔王となり、精霊は世界を滅ぼす存在へと生まれ変わることですわ。堕天使はそれを未然に防ぐことと同時に精霊の”願い(欲望)”を叶える存在……それが堕天使ですの。詳細はこちらに」

 

 

 〈反転〉

 ・精霊が絶望した末に姿を変え、天使を魔王へと変質させる

 ・この状態の精霊は真の意味で世界を滅ぼす災厄と言えるだろう

 ・天使よりも魔王の方が強力、凶悪、狂暴、脅威である。四キョウである。四天王である

 ・元々あった人格も内側に押し込められ、周囲を破壊し尽くすだけの殺戮兵器と化す

 ・下手をすると凶悪な別人格が現れ、周囲を破壊し尽くすほどのクレイジーな精霊となってしまう

 

 〈堕天使〉

 ・お母様から譲渡された〈瞳〉によって天使が変質——堕天した姿

 ・精霊とは切り離され、精霊が強く願う願望を叶えるために姿を変える

 ・場合によっては人型になったり人格を宿す事もあるが、基本的には道具になるのが主流

 ・堕天使にとってはその願いが最優先であり、そのためならば手段を考慮しない(人格を持つ堕天使には当てはまらないこともある)

 ・強い願いによっては以前の願いから優先順位を変えることもある

 ・余談として、お母様の腕輪は〈心蝕霊廟(イロウエル)〉の力の一部を土台に〈瞳〉達が力を宿したようなものの為、どちらかといえば堕天使に近しいものとなる。故に霊装も顕現できている

 

 

 つまり……反転は悪堕ちENDってやつで、堕天使は無理ゲーの救済措置ってやつか。ゲーム脳ですいません

 最後の記述に関しては深く考えないようにしよう。うん、特に霊装の事は考えないようにしよう

 だって、今の俺——っていかんいかん。考えたらダメって言ってるだろうに

 

 ——あれ? これって……

 

 「それなら〈瞳〉を譲渡して回れば精霊は――」

 

 「いけませんことよ」

 

 〈瞳〉を配って回れば精霊達は世界を壊す存在になることは無いと考えた俺に、その案を拒否するかのように眼つきを鋭くするくるみん。おおぅ……意外と眼力あるんですね

 

 「確かに〈瞳〉を譲渡して回れば精霊達は反転化の一歩手前で踏みとどまることが出来るでしょう。現に、理由はともかく四糸乃様はお母様が〈瞳〉を譲渡させたことにより、反転の危機を免れましたわ。——しかしそれはお母様の封印を緩める結果ともなりました」

 

 「……監視が減るから譲渡するなって事か?」

 

 「えぇ。お母様の天使は封印から解放されようと必死ですもの。二つの監視が無くなった今、好機と言わんばかりに封印を解こうとしておられますし……」

 

 なんかこう聞くと〈心蝕霊廟(イロウエル)〉に自我があるみたいな感じだなぁ。それだったら封印を解こうとしてるのも「お外に出たーい!」って感じに見えなくもないしな。……なんか急に罪悪感が沸いてきた

 

 「そこまでして封印しないといけない天使って……確かに能力は危ないけど、使い方によっては――」

 

 「ワタクシの時代では封印が解け、現世にその姿を現したのですが……その時の周りの反応は「質が悪い」「傍迷惑」「厄介この上ない」「出てくんじゃねぇテメー」「この世から消えてくれない?」「はよ帰れ」でしたわ」

 

 「俺の天使ディスられ過ぎィ!?」

 

 え、俺の天使そんなに不評なの!? すげー辛辣なんだけど!? そんなこと言うから腕輪が悲しそうに薄暗く——

 

 「……あれ? いつの間に……」

 

 ——そう。少しいつもと比べて薄暗くなっているが、気付けば俺の左手首に見慣れた深緑色の腕輪が装着されていたのだった。手錠や足枷がないから部屋のせいで出せないのかと思ってたけど関係ない感じだったのかな?

 それにしても唐突に出てきたもんだな〈心蝕霊廟(イロウエル)〉。ただ出てくるタイミングが悪かったせいで聞きたくない事も聞いてしまったみたいな感じ——あ、この腕輪は〈心蝕霊廟(イロウエル)〉じゃなくて〈調和の瞳紋(アルモニス・プリュネリア)〉……なんだよな? だったら関係ないか。……封印越しに悲しみが腕輪を通して滲みだしている感じはするけどさ

 そんな悲しそうに薄暗くなっている腕輪を慰めるように撫でていると、くるみんはいきなり腕輪が出てきたのを見て言葉を漏らしたのだった

 

 「おや、調整が終わったようですわね」

 

 「調整? どういうことだ?」

 

 「お母様の〈調和の瞳紋(アルモニス・プリュネリア)〉の調整にございますわ。お母様から二つの〈瞳〉が切り離された今、封印の監視は多少緩くなっております。そして……どうせお母様の事ですから、これからも〈瞳〉がどんどん切り離されていくこととなるでしょう」

 

 ど、「どうせ」って……いやまぁ否定は出来んけどさぁ……

 大抵の場合、精霊は何かしらの事情を持っている気がする。……何故かは知らんが、俺はそういったことに気づいたら関わっていたってのが多いんじゃないかって思うんだよ

 四糸乃とかミクなんかがいい例だね。どちらも出会いはあれだったけど、今ではすっかり仲良くなっちゃったし。……精霊とは気づかないでさ

 ミクの場合は後から精霊になったってだけで、元からそうだったって訳じゃあないんだけど……結果を見るとね。うん、否定できないわ

 

 そうなると……次に俺が〈瞳〉を譲渡してしまう可能性があるのは、今のところ十香だけかな? それなりに慕ってくれているとは思うし、令音さんの言葉が本当なら会いたいって言ってくれてるようだからな

 ……あれ? 俺って十香に担がれた経験があるよね? その時に力が抜けてくような感覚は無かったし、今のくるみんの説明からして十香には譲渡されては無いんだろうけど……まだ心は許していなかったのかな? それとも強い願いって言う点を満たしていなかったか……わからん

 〈瞳〉が十香に行き渡らなかった理由について考えていると……くるみんが俺の思考に割り込んでくるよう言葉を紡ぐのだった

 

 ——予想外の言葉を交えて

 

 

 

 

 

 「——ですので、これからはワタクシも監視に加わることと致しましたわ!」

 

 

 

 

 

 「……え」

 

 「お母様が今までその腕輪を顕現できなかったのは、本来在り得ることの無い同一の〈瞳〉が――〈第三の瞳(ビナス・プリュネル)〉が二つ存在しているが故に〈調和の瞳紋(アルモニス・プリュネリア)〉が異常をきたしていたのですわ。——ですが、未来から来たとは言え元は同質の力です。ワタクシの〈瞳〉を〈調和の瞳紋(アルモニス・プリュネリア)〉へと馴染ませる事により、隣同士に位置していた〈第四の瞳(ケセス・プリュネル)〉の空白を埋める新たなお母様の〈瞳〉となりましたの! これでまた当分の間は監視も強固たるものになることでしょう。——そしてワタクシもお母様と常に一緒にいられるという訳なのですわ! 監視の強化にお母様と共に過ごせるという……まさに一石二鳥とはこの事にございますわね♪」

 

 あー、なるほどね。つまり海〇石とか関係無く、単に不調が起こってたってことか

 ……お? ならこの部屋のデメリットとかなくね? 普通に俺の快適空間じゃん!!

 よっしゃー! くるみんも自由に使っていいって言ってたし、これでホームレスの称号脱却じゃオラー!!

 ありがとうくるみん! この際どうやって用意したとかそう言った細かい事は気にしないぜ!! 

 

 

 …………………………俺と一緒?

 

 

 「この時代に残んの!?」

 

 「そうですわよ?」

 

 「いやいやそれはダメでしょ!?」

 

 「そ、そんな!? ワタクシがいるのは不満、なんですの……?」

 

 「違う、そうじゃない。寧ろボッチの俺としてはウェルカムだから。だからそんな悲しそうな顔しないでよ……俺そんなにメンタル強い訳じゃないんだから」

 

 くるみんの言葉に動揺を隠せない千歳さんです。途中泣きそうな表情になったのもあって余計取り乱し……はしなかった。寧ろ冷静になったな

 ……え? 理由? 俺の豆腐メンタルにダメージが入ったからさ

 

 俺としてはこの時代に残ってもらっても別に構わない。最早くるみんが邪魔な存在だとかそういうものは無いからな。慕っている子を無下にする気は無いのです(てかできない)

 ただ——

 

 「くるみんの時代の、くるみんが宿ってた精霊はどうするんだ? 話からしてくるみんは堕天使なんだろ?」

 

 「えぇ、ワタクシは堕天使にございますわ。先程の杖の件も、言うなればワタクシの体の一部でございますし」

 

 「ならその精霊を守らないとダメなんじゃないか? 俺は未来には行けないし……」

 

 「その必要はありませんの」

 

 「……え? なんでさ?」

 

 俺と話しながら、くるみんはホワイトボードを回転させ、裏面のまだ使っていない方を正面に持ってきている

 どうやら後半戦があるみたいだな……もう十分に近い程、説明を貰ったんだけどねぇ

 

 そして、くるみんは自身がこの時代に留まる理由を話す。未来の主である精霊——後に会う事となる、時崎狂三の願いと共に——

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「それは至って簡単な事。この時代でお母様のサポートをする事こそが、ワタクシの主の……最後の願いだからですわ」

 

 




説明回にはホワイトボード必須
何故かって?箇条書きできるからさ!! 手抜きではない。断じてない
一応分かりやすいように工夫してみたのですが……大丈夫ですかね?

とりあえず言えることは……〈侵蝕霊廟〉ドンマイ
例え周りから嫌われようが、千歳さんはきっと嫌わないでいてくれるよ!

……え? 前半のは何なんだって?
……なんの事でしょう?私には何を言っているのかがわかりませんねくルリんパっ

「……クヒヒ」



……さて、次回は主に組織的な説明に入ると思います
そして、このSSを始めてからずっと千歳さんに言わせたかった言葉をやっと言って貰えるときです!

……そこ、何故間章でなんだ?とか言ってはいけません
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