俺が攻略対象とかありえねぇ……   作:メガネ愛好者

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メガネ愛好者です

毎度毎度すいません、遅くなりました
ネタは思いつくのですがなかなかに地の文が難しいんですよね……正直台詞だけでもいいんじゃないかな~なんて、そんな突拍子も無い事を思ってきていたりして少し危うい

とりあえず頑張って書いてみたのですが……おかしなところが無いか不安です
見直してはいるんですけどね……もう何が間違いなのかもよくわからなくなってきていたり……

そんな中、地の文に悩んでいる間になんと、千歳さんのイメージイラストが描き上がってしまいました

まぁシャーペンを使ってで落書きみたいな感じになってしまっているんですが……そこは勘弁してもらいたい。これが私の限界なんです
因みに、あくまでこれが私のイメージだと言うだけで読者様方が持つ千歳さんのイメージを優先してもらっても構いませんよ。参考に程度の代物です
それでも見てみたいという方は、後書きの方にてご覧ください



さて、では本編ですが……正直にいます
やりすぎた感がやばい。最早暴走レベル
そして最後にあの子が登場

それでは
(最近章の題名が詐欺化してきている気がする……変更した方がいいですかね?)


第四章 『こうして彼女は家族を得る』
第一話 「やりすぎ注意? 知ってる」


 

 

 屋上を埋め尽くさんとばかりに現れた狂三の分身体

 その一人一人が本体と同様に狂三のミステリアスな雰囲気を引き立てる怪しげな笑みを浮かべながら士道達を見据える

 

 

 

 ……筈だった

 

 

 

 『………………』

 

 士道が狂三の分身体へと向けた「狂三を救う」という覚悟に気分を害した本体が、心を許しかけていた分身体に手を下す事で嘲笑い、士道の想いを否定した上でへし折ろうとこの場に空間震を誘発するのが本来の史上である

そこには常に余裕があり、()()()()が来るまで狂三は勝ち誇った笑みを浮かべていた筈だ

 しかし、この場にいる狂三を含めた分身体達に笑みは無かった

 

 

 ——無表情——

 

 

 自身の真意を隠したいつもの笑みは見る影もなく、そこにあるのは一切の感情を消した表情のみ。駆瑠眠の煽りによって苛立ちが振り切った事で狂三の心に怒りが満ちる——事は無く、寧ろ心が冷えた事で相手へ向ける視線が無機質なモノへと変化したのだった

 それ以外の変化を顔に浮かべることは無く、変化を見せないその表情は原因の相手を射貫く。無機質ながら冷酷に……

 

 士道達はそんな狂三の雰囲気に背筋が凍るような冷たい感情を抱くのだが……その中で一人、例外がいた

 

 

 

 (うわ……普段から余裕を持った笑みを浮かべているからこそキャラが立っているというのに……これではただただ不気味なだけですわね。喜怒哀楽の無い無表情顔がズラリと並ぶなど絵面がよろしくありません。そこのところ狂三様は理解しておられるのでしょうか? 正直今の狂三様は見るに堪えませんわね)

 

 駆瑠眠は顔色一つ変えずに狂三を観察していた

 淡々と、冷静に。こうなる事を既に知っていた——”体験”していたからこそ駆瑠眠は平常心を保っていた。知っている事に驚くわけがないのだから

 

 そんな駆瑠眠の反応を見た士道達は思うだろう。無表情ながらも明確な殺意を感じさせる狂三達に対して、何故駆瑠眠は動じた素振りを見せないのかと

 駆瑠眠の事情を知らない士道達からすれば不可解な事だろう。彼等にも多少なりは向けられている殺意だが、しかしてそのほとんどは駆瑠眠へと向けられているのが現状だ

 

 未だに明確な殺意に恐怖を覚える士道としては、多人数から向けられるその感情に堪えられる自信が無い

 折紙が精霊の力を放つ十香へ向けていたそれや、先日に起きたあの惨状での狂三を前にした真那のそれと同じ殺意の感情

 身が震えるような、背筋が凍るような、肝が冷えるような恐ろしい感情。もしそれが明確に自分へと向けられたのであれば、士道は先日の様に恐怖で身も心も委縮してしまうだろう

 それも仕方が無い。士道は今でこそ裏に関わる人間だが、ほんの数か月前まではただの一般人だったのだ。平穏の中、温かい光の中で日々を暮らしていた士道にとって、対照的となる冷たい闇、不穏な裏の世界で飛び交う悪意のやり取りに堪えられるほど場慣れをしてはいないのだから

 実際、昨日の惨状を経験した士道は一時心が折れかけていた

 人の死を垣間見、その原因の相手と邂逅した時の……殺されるのではないかと言う恐怖

 今では十香や琴里を含めた〈フラクシナス〉の人々に支えられたおかげで立ち直り、士道は心折れずに狂三へと立ち向かうことができている

 

 しかし、今目の前にある光景はその比ではない

 複数人から向けられる殺意。直接的にではないにしろ、少しでも気を抜けば気絶してしまいかねない悪意が渦巻いているこの場に置いて、あまりにも自分は非力すぎる

 

 そんな、常人には耐えられない状況。精霊であった十香やASTである折紙でさえ、その表情は焦りで険しくなっている

 それだと言うのに、その殺意を一身に受ける駆瑠眠は一切動じない。まるで、こんなもの何ともないと言わんばかりに

 

 殺意を向ける狂三も、平然としている駆瑠眠の様子には多少なりとも気にはなっているようだ。ただし、ある程度予測を立てられている為にそこまで気にはなっていない

 事実はどうあれ元が自分の天使(〈刻々帝〉)だと、目の前の畜生は主張したのだ。もし本当にそうなのだとすれば〈刻々帝(ザフキエル)〉の能力を知っているのも当然の事だろう

 故に駆瑠眠は狂三がどういった手を取るのかわかっているからこそ、ここまで冷静にいられているのではないかと狂三は考えていた

 

 

 ——しかし実際は違う

 駆瑠眠は単に――狂三に対して欠片程も恐れを抱いていないだけだ

 

 

 何故駆瑠眠は恐怖を抱かないのか? それは以下の通りとなる

 

 狂三にいくら殺られようが構わない

 自身の力によって何度でもやり直せる以上対処法を練る必要もなければ焦る必要も無い

 例え相手から殺意を向けられようが動じる必要性が全く無い

 今はこの時代の歴史の流れを知り、情報を集めた後に最適な歴史を辿るよう動くのみ……それ以外は、無意味だ

 

 ……これらの要因が重なり合うことで駆瑠眠は一切動揺しなかったのだ。何せ、一言で言えば”無駄”な事なのだから

 

 ただ単調に、まるで機械の如き思考を持って歴史を把握する為に気持ちを切り替えた駆瑠眠。今の彼女に取って、最早感情は必要の無いモノとなっていた

 元が人ではないからこそ、精霊の武器である天使だったからこそ簡単に感情を捨てられる

 自身は武器だ、人ではない。願いによって人型を保っているだけでその本質は全く変わらない

 今見せている感情も願いによって構成されたものの一つなだけで、願いを叶えるために最適な人格を宿しただけに過ぎない

 だからこそ、その人格が願いを叶えるために不要なモノだと割り切れば、例え感情だろうが捨て去ろう

 さすれば途端に——駆瑠眠は人から武器へと戻るだろう

 

 いくら殺されようが構わない、全ては最善の未来を掴む為——駆瑠眠は情報を集める事だけを考える

 

 願いにより人の形を得た堕天使。彼女に取って人としての感情は、決して重くは無いモノだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ——だからであろうか?

 

 「なんであんな余裕そうに佇んでおきながら早々に捕まってるんだよ!?」

 

 「仕方ないではありませんか。ワタクシ、護身術程度の戦闘力しか持ち合わせておりませんし」

 

 「戦えないのに煽ったのか!? 質が悪いにも程があるわッ!!」

 

 「くふふ、楽しかったですわぁ」

 

 「くるみんが楽しんだ結果がこの状況なんですがねぇ!? 少しは反省してくれませんかあ!?」 

 

 「反省……する必要がありまして? ワタクシ、堕天使ですわよ?」

 

 「ここで個性的な自己紹介を繰り返す意味を問い正した——のわぁ!?」

 

 狂三の分身体に囲まれた駆瑠眠はあっさりと狂三達に拘束された。それはもう流れ作業の様に

 

 何せ駆瑠眠は特に抵抗する事も無かったのだ。故にすぐ捕まった。逃げるような動きも一切見せず、寧ろ体を預けるかのように狂三の分身体三人程に取り押さえられた。その光景に士道達は呆気に取られてしまったのも無理はないだろう

 そんな駆瑠眠は自身が捕縛され、次に士道達を拘束しようと行動する分身体達を眺めながら愉快そうに眺めるだけ

 

 ……訂正しよう。駆瑠眠は感情を捨て去ってはいなかった。ただ単純に、情報を手に入れる過程をも楽しもうとしての行動だったんだ

 質が悪い。いや本当に……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その後、結局全員取り押さえられた

 その途中で十香が右手に顕現させた〈鏖殺公(サンダルフォン)〉による斬撃波を(多分)間違えて捕縛されている駆瑠眠の方に向けて放ってしまった事以外は特に面白みも無——呆気無く取り押さえられてしまう

 士道はまぁ仕方が無いとして、折紙に関してはここまで来る間に体力を使ってしまったのが簡単に取り押さえられてしまった原因だろう

 

 折紙は道中で分身体とはいえ単独で精霊と交戦し、そもそもワイヤリングスーツ無しで随意領域(テリトリー)を展開してしまっていた

 狂三の分身体(駆瑠眠)が展開した〈時喰みの城〉に対抗する為とはいえ、ワイヤリングスーツ無しで随意領域(テリトリー)を展開するのは脳にかなりの負担をかける。下手をすれば脳に障害を負う事もありえない話では無い為、今回の折紙の行動はAST内でも非常時に限りと制限される程に危険な行為であった

 随意領域(テリトリー)の展開により衣服をワイヤリングスーツへと変化させることが出来た今、脳への負担は軽くなっている。……しかし、精神的な疲労は別だ

 一度脳に負担をかけた事で折紙には少なくない疲労が脳に蓄積し、集中力を鈍らせていた。結果、その隙を狙われた事で簡単に取り押さえられてしまうことになる

 

 おそらく一番善戦したのは十香だろう

 最後に捕まったというのもそうだし、数体ほど分身体を減らすことも出来た

 しかし、途中で士道が取り押さえられた事で意識が分身体から外れてしまう事となる。勿論その隙を見逃さなかった分身体達はすかさず十香を取り押さえる事となるのだった

 

 

 

 現在屋上にて取り押さえられている四人。狂三も事が済んだ為か少し肩の力を抜いた気がする

 その中の一人である駆瑠眠はと言うと……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「…………」

 

 ぐったりしていた。まるで意識が落ちているのではないかと言わんばかりに。……いや、落ちているな。確実に

 分身体の狂三が頬を突いたり頭を叩いたりしても反応が一切無い

 その様子から分身体達は察するのだった。駆瑠眠が間違い無く——

 

 「気絶……しておりますわね」

 

 「完全に脱力しておりますわね」

 

 「……あら? 息をしていない?」

 

 「「いえそれは無いでしょう?」」

 

 三人の分身体達が駆瑠眠をどうにか起こそうとするものの、全然起きる気配が無い駆瑠眠

 何故急に駆瑠眠が気絶したのだろうか? ……原因は、彼女だった

 

 「……十香」

 

 「わ、わざとではないぞ!? あやつ等の一体が私にぶつかったせいで手元が狂ったのだ!! 本当だぞシドー!?」

 

 「いや、よくやった。よくやってくれた。これで少なくともこれ以上狂三の機嫌を損なわないで済む。ありがとう十香」

 

 「う、うむ……?」

 

 先程放った十香の斬撃波。その着弾の余波でか駆瑠眠が気絶してしまったのだ。多分

 直撃はしていなかったものの取り押さえていた分身体達事、駆瑠眠は屋上を軽く抉る程の威力を秘めた斬撃波の余波を確実に浴びていた

 その結果、駆瑠眠は一度分身体達の拘束から逃れることが出来たのだった。……ただし、吹き飛ばされるような威力を味わいながら

 そんな駆瑠眠をすぐさま分身体達が再び取り押さえた時には意識を失っていた

 

 ……ほぼ間違いはないだろう。十香の斬撃波によって、駆瑠眠は気絶してしまったという事実は

 

 しかし、この場に悲しむ者は少ない——いや、いなかった

 何せやりたい放題場を掻き乱した張本人だ。特に士道は一番被害をこうむった故に、大人しくしていてもらえるのは非常に助かるところ

 狂三もこれ以上はらわたが煮えくり返るような想いをしなくて済む故、この結果は予想外とは言え納得のいくものだったのは語るまい

 

 雰囲気を壊す元凶が沈黙した事で場に緊張が流れ始める

 これでしばらくはシリアスが戻ってくる筈だ。しかし、全員捕まってしまうという最悪な置き土産を残してだが……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「……クククッ」

 

 『!?』

 

 ……どうやらシリアスは戻ってこれなかったようだ

 

 突如として屋上に響く笑い声。士道や折紙、狂三を含めた分身体達がその笑い声の発信源へと視線を向ける。……士道と狂三はもういい加減にしろと言わんばかりの気持ちを持って

 そして、その発生源——屋上の入り口の上に佇むその人物と、その人物が脇に抱える”ソレ”を見た全員が驚きに目を見開いてしまうのだった

 

 

 

 

 

 「ククッ……ハーッハッハッハッ!! すり替えておいたのさッ!!」

 

 

 

 

 

 シャツにジーパンと言うラフな服装を身に纏い、狂三(本体)に向けて人差し指を向けながら宣言する少女

 突如現れたその人物に困惑してしまう士道達。流石にこれは狂三も予想外だったのか、無表情だった顔が驚愕に歪められる。何せ——

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「うぅ……申し訳ありませんでした……」

 

 その人物——千歳がまるで漫画の様な大きなたんこぶを頭に飾る()()()()脇に抱えながら佇んでいたのだから

 

 「えーと……! ダレダオマエハー!」

 

 「単独行動に怒り心頭な女、スピリットウーマッ!!」

 

 「ちょっ!? いきなり離さな——フミュッ!?」

 

 そんな中、唯一驚いていなかった十香がまるで思い出したかのように千歳へ問いかけ、その問いかけに千歳はすぐさま答えるのだった。……何やら腕を掲げるなどとポーズを決めながら(因みにこの時、脇に抱えられていた駆瑠眠はいきなり離された事に対応が遅れ、受け身も取れずに床へと落下したのだった)

 

 「——って、ちょっと待て!? なんだその打ち合わせしたかのようなやり取りは!?」

 

 「……よっ! 久しぶりだな十香!」

 

 「おお! 久しぶりだぞチトセ!」

 

 「十香はいいとして今の間はなんだ千歳!? ……おいコラ、前髪で見えてないけど今絶対目を逸らしてるだろ!? ——図星を突かれたみたいに顔ごと逸らすな!!」

 

 「うぅ……床に叩きつけられたワタクシへの心配は誰もしてはくれませんの……?」

 

 (する訳がない)

 

 「……頭が痛いですわ」

 

 千歳の登場が場の空気を変えた。……悪い方向に

 駆瑠眠が沈黙した事で一時は緊張が走ったものの、その緊張は場に留まる事無く素通りしてしまったようだ

 

 千歳は駆瑠眠の単独行動でタガが外れてネタに走り

 十香は千歳との再会に現状を忘れて無邪気に喜び

 士道は今の千歳の言動に抑えきれない表に露わにし

 駆瑠眠は自身の扱いの雑さを訴えかけるように嘆き

 折紙は疲労の蓄積によって意識が落ちるのを堪え

 狂三は我慢の限界が来たことでついに項垂れてしまった

 

 先程までの命のやり取りなど最早存在しない。狂三達から放たれていた殺意も今や霧散し、分身体達は徐々に本体の影へと帰還している。……一人一人が疲れた顔をしながら

 そんな疲れ切った分身体がある程度影に戻った辺りで、狂三から一言

 

 「あの二人とは今後一切関わりたくありませんわね……」

 

 あの二人とは一体? ……はい、駆瑠眠と千歳の二人ですねわかります。わかっていますよ勿論

 そして狂三は依然と騒ぐ士道と千歳、十香の声が屋上に響き渡り、近くで相手をしてほしそうに語りかけている駆瑠眠を横目に——そっと、その場を立ち去ってしまうのであった

 

 攻略すべき対象が離脱したことにも気づかずに口論し続ける士道達(主に士道と千歳)。因みに折紙は被害をこうむらないようにと少し離れた位置で腰を下ろしている

 普段の折紙が精霊を前にすれば猪突猛進気味に突貫する事だろう。人一倍精霊を憎んでいる彼女にとって、精霊は何が何でも殲滅すべき対象なのだから

 だからこそ士道の周囲に纏わりつく精霊(害虫)殲滅(駆除)しようとする折紙ではあるのだが、今の折紙は士道と一生を添い遂げたいと思う気持ちと同じぐらい——〈アビス(千歳)〉の傍にだけは近寄りたくないと思っていた

 それは何故かと問われれば……自身のキャラが崩壊するかもしれない恐れがある為だ

 千歳のペースに乗せられてしまったが最後、一体どんな対応を取ってしまうかわからない。現に今、あの冷酷無比なはずの〈ナイトメア(狂三)〉が心底疲れたような表情で去っていってしまった。あの表情からは以前の怪しげな雰囲気を全く感じることが出来なかった

 もしも今の疲労によって集中力が衰えている自分があの混沌とし始めた中に入っていったらどうなるか……正直自分を保っていられる自信が全く無い

 今にも目の前の精霊を殲滅したいと思うものの、疲労によって身体能力が低下している今、彼女達に単騎で挑む程の体力がない以上は下手に動けないのもある

 ——だがそれ以上に危惧すべきものがキャラ崩壊なのだ。下手をすればありもしない言動に走るやもしれないし、自分の根幹——精霊に対する憎悪が無くなりはしないものの変化してしまいそうな気がしてしまう

 だから折紙は下手に敵対することが出来なかった。それに、士道の目の前で精霊を襲えば優しい彼は自身の事を嫌うかもしれない

 それだけは避けたかった。だって士道は……折紙にとってかけがえのない存在なのだから——

 

 ……え? ストーカーはいいのかって? あれは見守っているだけだから問題は無い。それに、士道の好みに合わせる為の情報を得られるから寧ろ見守っている事は同然の義務だ

 

 「てかなんで千歳がくるみんを抱えてたんだ!? 確かに狂三達が取り押さえてた筈だよな!?」

 

 「あぁ、あの〈くるみんちゃん人形(リアルver.)〉の事か。結構いい出来だっただろ? 魂創るのは無理だけど肉体だけだったら何とか再現できんだわ。うん、かなり霊力を使ったけど出来栄えには自信があるぜ。——それを捕まってたくるみんと入れ替えさせてもらったんだわ。十香の一撃で吹き飛んだ瞬間にね、ナイス十香」

 

 「は、はぁあああ!? なんだその出鱈目な力は!?」

 

 「あ、流石に呼吸とかはしてないから「妙にリアルな人形」って認識でおk。肌触りや体温なんかは再現できたけど、流石に血肉ではねーから安心してくれや。……それだと放っておいたら腐っちまうし」

 

 「最後の発言が怖すぎるんだけど!? 今の言葉でくるみんが青ざめてるからね!? 多分あれ腐った自分の体を想像しちゃったからだろ!?」

 

 「あぁ……ようやくワタクシを気にかけてくださいましたわ! これが人との繋がりというものなのですね……心に染みますわぁ」

 

 「なんか青ざめるどころか血行がよさそうに赤くなってるんだけど?」

 

 「無視しすぎたせいでなんか変な悟り開いちゃってるぅ!?」

 

 「見てくれシドー! チトセ! ……ゆーたいりだつー!」

 

 「ちょ、十香様? ワタクシの上でくるみんちゃん人形を振り回さないでくださいませんこと!? 流石に姿がそっくりな人形が荒々しく振り回されてはワタクシとしてもいい気分では……あぁでも、お母様にならこうされるのも良いかもしれ——」

 

 「よぉーしくるみん、ならお望み通り振り回してやんよ」

 

 「え、お、お母様? 今はちょっと……ってもう既にスタンバってらっしゃる!? 何故今ここで荒ぶる鷹のポーズを!?」

 

 「十香は一旦その人形を置け! くるみんは自重という言葉を辞書で引いて来い! そして千歳はいい加減突発的な行動に出ようとす「南無さあああああんッ!!」行くなあああああ!!!」

 

 収拾がつかないとはこのことだろう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「——んで、結局その惨状を見た五河妹がブチ切れて乱入してきた後、なんやかんやでバトって終息したって感じだな」

 

 「琴里様も気苦労が絶えませんわね。まぁ原因はワタクシ達なのですが」

 

 回想終了。お疲れさまっしたー。……ってわけにもいかないよな、これ

 そんな訳で、まぁぶっちゃけ二人でやりたい放題やってきたって感じなんだよな。ぶっちゃけ俺も反省するところがあるんだわ

 確かに大部分はくるみんがやらかしたようだが、最後辺りは寧ろ俺がやらかした。いや、くるみんと一緒になってやらかしたって感じか

 

 「俺もあん時は流石にハッチャけすぎたとは思ってるよ。こればかりは謝罪が尽きねーわ」

 

 「怒れる妹恐るべし、でしたわね。狂三様達の比ではない殺意を見せておられましたし、その怒りで琴里様から溢れた炎が周囲を焼き焦がし始めました上に正気を失ったと言わんばかりに周囲の被害を鑑みずに暴れ始めて……正直あの光景、ワタクシには刺激が強すぎます。あぁ……焼き抉られた左肩が疼きますわ」

 

 そう言ったくるみんは右手を左肩に乗せ、労わる様に擦り始める。余程痛かったんだろうな……いや、まぁあの劫火を見た後じゃ納得もんなんだけどよ

 ……てかさ、一つ疑問に思ってることがあるんだわ

 

 「五河妹が怒った理由って全部俺のせいなのかな? 何故か俺ばかりにヘイトが向かってきたし、くるみんなんて眼中に無いみたいな素振りで俺に突っ込んできたから俺だけが悪いように思えちまう」

 

 「……あら? それでは街崩壊の危機に瀕した原因はお母様という事に……」

 

 「……え? マジで? 俺のせいなのあれ?」

 

 「ど、どうなのでしょう……今回の発端はワタクシだと自覚しておりますが、果たして今回だけの事だったのか……あ、だからと言って今更お母様に謝罪を要求している訳ではありませんよ!? 寧ろワタクシがあの場に現れなければここまで酷くなる事は無かったのであって——」

 

 「いやそこまでフォローされると余計罪悪感が……とりあえず俺にも何かしら非があったってことなんだろうし、後日にでも二人で謝りに行って……許して、貰えるか?」

 

 「う、うーん……正直、微妙ですわね……」

 

 結論、どちらも反省の余地あり

 まぁくるみんが言ってたように、今日だけの事で五河妹が怒り狂ったとは考えにくいし、今までの行いで何か五河妹の琴線に触れたのかもしれないからな

 結構今までやりたい放題やってきたし、少なからずはあるだろう。……正直覚えてねーけど

 自慢じゃねーが、俺は特に覚えておく必要の無いモノは基本的にすぐ忘れちまうんだ。覚えててもしょうがねーからな

 もし必要な記憶だったとしたら、少し時間をかければ思い出すことは出来るとは思うよ? それに辿り着くキーワードが幾つかほしいところだけどな

 

 「——さてと、反省会はここまでにすっか。これ以上続けても俺達が一度謝る事には変わりないんだしさ」

 

 「問題はいつ、どのタイミングで謝罪しに出向くかがポイントですわね」

 

 「それな。まぁ明日すぐに——とはいかないだろうな。何とか落ち着かせたとはいえ、なんか五河妹の様子がおかしかったし」

 

 そう、何やら五河妹の様子がおかしかったのだ

 俺は初対面だからよくは知らないが、すぐ近くにいた五河や十香が五河妹の様子がおかしい、まるで正気じゃないと言っていたからな

 確かに最後、周囲の事も気にせず上空から()()()()()()俺を〈灼爛殲鬼(カマエル)〉の炎で焼き貫こうと砲門を受けた時は焦ったと同時に違和感を抱いたな。まるで全てを破壊せんとする修羅だった

 とりあえず俺が五河妹の〈灼爛殲鬼(カマエル)〉を創りあげた上で同質量の砲撃を持って対抗したんだわ

 

 結果、何とか街崩壊は免れたものの——来禅高校が跡形も無く消し飛んだ。今は綺麗サッパリに焼け跡だけが残されている

 

 ……あ、因みに学校の中にいた生徒は全員無事だ。俺が屋上に向かう前に全員別の場所に移したからな(因みに五河達も同じ手を使って避難させた)

 くるみんから聞いていた〈時喰みの城〉は一般人にとっては毒みたいなもんだからな。寿命を奪うとか恐ろしすぎる

 俺が来禅高校に辿り着いた時には解除されてたみたいだが、いつまた再展開されるかわからねーし、おそらく人質みたいな扱いにされてるだろうからな。一度空間震警報が鳴った辺り、くるみんが言っていたように狂三は空間震をいつでも起こせるみたいだからそのままにしておくのも危険だと思ったんだよ

 【(イェソス)】を使えば別に時間がかかる事でも無かったのですぐに事は済んだよ。以前に撮った写真を片手に近くの公民館へと全員【(イェソス)】で送っておいたから、今頃公民館は大混乱に陥っているんじゃねーかな?

 何せ急に学生が大勢現れるという珍現象が起こった上での学校消滅だ。四月に起きた空間震よりも酷い事になってるだろう。あっちは避難できてたみたいだし、校舎の一部だけだったし

 ……まぁ学生全員助かったんなら別にいいだろ? 人の命と校舎の修理費、どっちが尊いモノかは誰にでもわかるさ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「反省会は終わったことだし……ハァ、まだいるんだろうなぁ」

 

 反省会を終えた事で不要となった〈灼爛殲鬼(カマエル)〉を虚空へと消し、俺は首を一回ししながら未だにいるであろう()()()がいるリビングの方へと壁ごしに頭を向けるのだった

 そんな俺の言動からくるみんが意外そうな声で問いかけてくる

 

 「あら? まだいらっしゃっていたのですか?」

 

 「あぁ。部屋を出る前にも待ってる宣言頂いたし、寧ろあの雰囲気はここに居つくレベルだぞ。今頃ソファーにふんぞり返ってんじゃね?」

 

 「まぁそうでしたの! これから賑やかになりそうですわねぇ♪」

 

 「勘弁してくれよ……」

 

 そう言いながら俺達はくるみんの部屋を後にし、件の来客達の元へ向かう為にリビングへと足を運ぶことにする

 ……正直面倒くさい

 いや、に別に来た人が嫌いなわけじゃないんだ。寧ろ俺は好感を持ってるよ? うん、それは間違いない

 ただ、なぁ……家に来た理由が……ホント何でそうなったと言わんばかりの珍回答だったんだよ。正直頭を抱えたくなった

 

 そうこう考えながら沈みかける気持ちを何とか持ち直し、俺はリビングの扉を開け——案の定ソファーへと座っている人物達を見据えるのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ほぉら()()()()()? あーんしてくださぁい♪」

 

 「や、やめてよ……!? なんで私がそんなこっぱずかしい真似をしなきゃいけない訳!? 何、辱めたいの? ならあの時みたいに身包み剥いで私のちんけな体を白昼堂々と晒せばいいじゃない! その上で事後の姿を写真に撮ってネットに晒せば完璧でしょうね? 私のみすぼらしい姿を晒せば一生ネットの笑い者確定なんだから社会的に死んだも当然だもんね!?」

 

 「え! ()()ヤッチャッテもいいんですか!! なら今すぐヤッチャイましょう!! さぁ今すぐベッドinで――あ! 千歳さんお帰りなさーい! 早速ですけど千歳さんのベッド、小一時間程お借りしてもよろしいですかー?」

 

 「ギャァアアアアアアアアアア!!? 離せ離せ離せぇえええええ!!! 離してよおおおおおおおおお!!!」

 

 ……今、俺の目の前には二人の人物がいる

 一人はご存知、俺の親愛なる妹分である現アイドル——否、()()()()()の誘宵美九。通称ミク

 そしてもう一人、ミクが大切そうに(だが抜け出さないようにきつく)抱き上げる四糸乃ぐらいの背丈の少女

 その大きな魔女帽子が特徴的で、俺の髪の色を明るくした様な感じの翡翠色の髪を持つ少女——

 

 

 

 「もうやだあああああ!!! 私なんか段ボールに詰めて路上に放置し通りすがう人達に蔑んだ目で見られるような汚らしい犬猫畜生よりも下位の生物(なまもの)なんだからもう放っておいてよおおおおお!!!」

 

 

 

 精霊——七罪であった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……とりあえず一言

 

 「行かせねーよバーロー」

 

 「あぁん、もういけずぅ☆」

 

 「それ以前に子供を泣かせるべきではありませんわ」

 

 「助けてええええええええええ!!!」

 

 




千歳さんとくるみんが大暴走!
琴里ちゃんがついに大激怒!
来禅高校が大崩壊!生徒が転移し大混乱!

うん!ハッチャけすぎた!だが後悔はしない!


……ふぅ、なんかストレスを発散させてしまったみたいで申し訳ないです

そしてこのタイミングで七罪ちゃん登場!果たして美九と一体何をやらかしちゃったんでしょう?
それはそうと……七罪ちゃんのキャラってこれでいいのかな?結構難しいキャラですよね
まぁあれです。原作の七罪ちゃんではなく眼鏡好きのところの七罪ちゃんなのだと思っていただければキャラ崩壊も妥協できるかもしれません(震え声)

……え?既に何人かキャラ崩壊起こしてるって?知ってる





千歳さんのイメージイラストがこちら


【挿絵表示】


今回の千歳さんの服装をイメージした結果です
初めて挿絵投稿するのですが、これでいいのでしょうか?
うまく描けているといいんですけどね……
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