真・女神転生デビルサマナー ~時と世界と魔法を超えて~   作:ナベリウス

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皆様大変永らくお待たせしました。
第9話になります。

那緒実さん大活躍(?)の回です。





2013 7/22 21:21 誤字,脱字などを修正
2013 8/6 21:21 行の見直し


第9話 蠢く巨大樹

翠屋での一件から一週間経った。今日は士郎さんが運営しているというサッカークラブ"翠屋FC"の試合があり、母さんと匠真はその後のバーベキューパーティの手伝いも兼ねて試合を見に行っている。俺とはやては勉強をするために家に残った。

 俺が勉強を一段落させると、どうやらはやても終わったみたいで、いつも通り俺の部屋に来てRPGを始めた。俺ははやてがプレイしているシリーズは攻略本がなくても全部クリア出来るくらいやりこんでいるんで、椅子に座りながら色々アドバイスをしている。

 

 

「うがーユミ連れてかれてもうた~!」

 

「お前もう嫉妬界に入ったのかよ!?結構ペース早いなぁ~レベルと装備は大丈夫か?」

 

「大丈夫や問題ないで!(キリッ ……ってこっからどないすればええ?」

 

「まずは街があるからそこを目指そう。1体分召喚できないから気を付けろよ」

 

「ほな行くでぇ!」

 

 

 はやてはどんどん先に進んでいくけど危なっかしい所は無く、出現した余裕で悪魔を倒していく。途中何回か悪魔会話に失敗して攻撃されていたけれど、この調子なら次の広い貪欲界もどうにかなりそうだ。

 

 

「街についたで~」

 

「おう。とりあえず地図を埋めてみようか。ってストップストップ!そこの部屋に絶対入るなよ!!」

 

「なんで~?」

 

「嫉妬界のボスを倒してから入ると"夢想正宗"が手に入るから今は保留だな」

 

「そんなに強い武器なん?」

 

「複数回攻撃でSLEEPの効果だから最後まで大活躍するぞ!普通は剣合体で作らないといけないから面倒臭さを考えるとここで手に入れたほうが早いしな」

 

「おぉ~!正宗って名前も強そうやし、兄ちゃんそんなん言うなら言う通りにするわ」

 

 

 俺はコンポにヘッドホンを繋げ、音楽を聴きながら数日前に本屋で買ってきた"世界の悪魔図鑑"を読み始める。少し経った後、はやてはターミナルでデータをセーブしてゲームをやめた事に気付いた。

 

 

「どうした?」

 

「今日はもうええわ~。それよりさっきから何読んでるん?」

 

「ああ、コレだよ」

 

「"世界の悪魔図鑑"なぁ……やっぱ兄ちゃんも悪魔の事とか気になるんか~」

 

「首を突っ込んじまった以上は見てみぬ振りもできないしなぁ。それに"お前との約束"も一応守らないといけないしさぁ」

 

「へぇ~兄ちゃんも考えとるんやなぁ。あ、ヘッドホン外してええよ。それと私も一緒に見てええ?」

 

「解ったよ。他に"世界の神図鑑"とか"天使図鑑"もあるから一緒に見よう」

 

 

 はやてをベッドに座らせた後、ヘッドホンジャックをコンポから抜き3冊の本を持って隣に座る。 ちょうど"悪魔図鑑"のケルベロスのページを開いていた所なんで、そこから2人で見始めた。

 

 

「ケルベロスって三つ首なんやね~」

 

「俺らが地下室で見たのもケルベロスだったみたいだけど…」

 

「アレって首ひとつしか無かったやないか」

 

「人間と同じで悪魔も同じ種族でたくさんいるのかもしれないな」

 

「でも首が3つもあると全部性格が違ったら喧嘩しそうやねぇ」

 

「ははは、そいつは違いないな!」

 

 

 2時間程2人で本を見ていた頃だろうか、突然家が揺れだすと同時に机の上の携帯電話が鳴り出した。はやてを1階の廊下へ出して身を伏せさせると急いで部屋に戻り、携帯を取って再び部屋から離れはやての隣まで移動し身を伏せて電話に出る。

 

 

『兄さ……!兄さん大丈夫!?』

 

「どうした!?」

 

『今何処にいるの?た、大変な事が!!』

 

「はやてと家にいるけどとにかく落ち着「タッ君どうしたん!?」おい!?」

 

『はやてちゃん?今外に〈キャー!!(ガシャン!!)〉絶対出たらダメだからね!!』

 

「おい何があったんだ?タダの地震にしちゃおかしくないか!?」

 

「はやて、ちょっとテラスで外を見てくる」

 

「あ、兄ちゃん!!」

 

 

 俺は意を決してはやてに携帯を託し揺れが続く中、2階の父さんの書斎に向かいテラスへと出る。すると……

 

 

「(!!)なんじゃありゃあ……」

 

 

 目の前には某"光の巨人"に登場するような、とてつもなく巨大な植物が街一面に根を張り巡らせていた……

 

 

 

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 

 

 試合後のバーベキューパーティーも終わって皆が解散した後、母さんと僕は買い物のために歩いて商店街へ向かっていた。すると突然地震が起きて巨大な植物が地面を割って出現し、辺り一帯はパニック状態になった。

 

 

「か、母さん!何アレ!?」

 

「(……っ!)匠真いいわね?絶対にここから動いちゃダメよ」

 

「母さんどうするの!!」

 

「私はあの植物みたいな奴を倒してくるわ。その間に晃祐とはやてちゃんが家にいるかどうか電話して頂戴。大丈夫よ、"絶対無敵の悪魔召喚師"と言われた私ですもの、あんなのに負けはしないわ!」

 

 

 母さんは何やらハンドバッグの中から奇妙な道具を取り出すと、僕の前に置いてスイッチの様な部分に触れて離れた。すると光のドームが辺りを包み込んで割れたガラスの破片や飛んでき看板なんかから僕達を守ってくれた。

 

 

「これは……?」

 

「結界を発生させる装置みたいなモノよ。大丈夫、瓦礫位なら絶対に壊れないから……それじゃ行ってくるから。戻ってきたらお母さんにマンゴープリンプレゼントしてね!」

 

「母さんっ!」

 

 

 僕に向かってウインクをすると飛んでくる瓦礫を物ともせず、まるで特撮ヒーローの様な身のこなしで躱しながら植物の方へを向かっていった。それを見届けると、恐怖心に負けないように自分を奮い立たせながら兄さんの携帯電話へと電話を掛けた……

 

 

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 

 

「に、兄さんはどうしたの……ッ!?」

 

『兄ちゃんテラスに外を見てくるって行ってもうた!……って、タッ君大丈夫なん?』

 

「僕なら母さんの張った"結界"の中にいるから平気だよ。でも母さんが!!」

 

〈は、はやてっ、ヤヤヤバイぞ!!ば、化け物植物が街に!!〉

 

 

 電話の向こう側で急いで戻ってきた兄さんの大声が聞こえる。

 

 

「はやてちゃん!兄さん!それよりも大変なのが母さんがアレに向かっていったんだよ!!」

 

『な、なんやて(なんだって)!!どうして止めなかったん!?』

 

「母さんが"あんなのに負けない"って!」

 

〈はやて!俺母さんを止めてくるわ!!〉

 

〈ダメや!ほんな事したら兄ちゃんが危ないで!!〉

 

「兄さんダメだよ!母さんを信じようよ!!」

 

〈幾ら修羅場を潜り抜けてきた悪魔召喚師だからってあんなの無理に決まってんだろ!〉

 

〈兄ちゃん落ち着いてぇな!行ったとこで何も出来るわけないやないか!!〉

 

〈けどなぁ!〉

 

「そうだよ邪魔なだけだよ!兄さんが首を突っ込んで2人にもしもの事があったらどうするの!?」

 

〈……畜生!!〉

 

 

 兄さんはどうにか諦めてくれたみたいだ。僕ははやてちゃんと二言三言言葉を交わした後、電話を切って空にそびえ立つ巨大植物を眺める。

 

 

 「……母さん」

 

 

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 

 

 匠真の元を離れて裏通りに入ると、遠距離攻撃用の"おおぐま星の弓"をCOMPから出して召喚する仲魔を品定めする。

 

 

(相手は巨大だから、こちらもある程度巨大な仲魔を呼ばないといけないか……でもフドウミョウオウは下手したら辺り一面を焼け野原にしかねないからダメね。)

 

 

 シュウとアンリ・マンユにソーマがいれば充分ね。

 

 

「さあおいでなさい!私の仲魔達!!」

 

『秘神ソーマ、ここに……』

『ぶぅるぅぅあぁぁぁぁぁっ!!』

『静寂な世界へ……』

 

「アレを倒したいの!みんなの力を貸して!!」

 

『応!』

『戦の魔王のじぃつぅりょくぅぅ、とぉくぅと見せてやろう』

『イレギュラーの存在、これを禁ず……』

 

「シュウは突撃で、アンリ・マンユは中遠距離から攻撃――但し二次被害を出さない程度にする事。ソーマは2体のサポートをしながら周囲に被害が拡がらない様にお願いするわね。私はアレのアナライズを試してみる。それじゃあ行きましょうか」

 

 

 仲魔に作戦を伝えると巨大植物へ振り返って弓に矢をつがえる。狙いをつけてそれを……放つ!!

 

 

(BGM:Battle -Naomi-)

 

 

 私の放った矢は光を帯びて7つに分離して全弾が巨大植物の根本に命中すると、それを皮切りにソーマが2人に"タルカジャ"をかけ、それを受けたシュウが一気に突っ込んでいく。そして数メートル移動したアンリ・マンユは背中の触手を伸ばして地面に突き刺す。

 

 

『ぶぅるぅぅあぁぁぁぁぁっ!!』

『……貰ったぞ』

 

 

 行く手を阻まんとする無数の根をシュウが一振りで木っ端微塵にした直後、アンリ・マンユの触手が地面から幹に不意打ちを食らわせる。

 

 

(!?!?)

 

 

 強烈な連続攻撃を喰らった巨大植物は2体を敵と認識した様で、根をまるで触手の様にうごめかせて攻撃を始めたみたいね。よし、この隙に!

 

 

「ソーマ、あとはお願い!」

 

『応!!』

 

 

 COMPに搭載された数種類のアプリケーションを起動して移動を開始した。まず"テビルアナライズ"は当然の事ながら"NO DATA"が表示されたんで、その次の"MAGスキャナー"に切り替えてみると上級悪魔並の膨大な量のMAGが計測されていた。神社の神木とかは比較的MAGの値が高いけれどこんなゲージが振り切れそうな位じゃない。更に"バイオセンサー"及び"サーモグラフィー"を見てみると、

 

 

(幹の上の方から生体反応が2つ……これって子どもじゃないの!しかも巨大植物全体から出ているMAGの波長と、2人の内の一方のMAGの波長がほぼ一致する。コレはマズいわね)

 

 

 予想外の事実を知った私は作戦の変更を余儀なくされ、"口寄せの術"で急いで仲魔を呼び戻す。

 

 

『主よ、何か不測の事態でも起きたのですか?』

『何の用だ』

『チッ、せっかくぅ良い感じにぃ大暴れ出来ると思っていたのによぅ』

 

「あの巨大植物の中に子どもが2人閉じ込められているわ。迂闊に攻撃すればあの子たちの命に関わってしまう」

 

『そんなのぉ、俺らには関係ねぇ事だろうがよぅ』

 

『シュウよ、それは違うぞ。清浄なる世の構築には未来を担う子の力が必要だ……』

 

『んだとぉうぅぅ!?』

 

『お主ら、今は仲魔割れをしている所ではあるまい!して主よこれからどうするのです?』

 

「……子どもたちを救う事が先決ね。シュウは今と同じ様に根を切り倒していって頂戴。アンリ・マンユとソーマは道が開けたら私の指示に従って、子どもがいる辺りまで移動して。移動したらアンリ・マンユは子どもがいる部分の周囲を刳り抜くように攻撃、ソーマは刳り貫いて助けた子どもたちに結界を張って保護。その後は思いっきりやっちゃっていいわ」

 

 

 新しい指示を与えて全員が散開しようとしたまさにその時、遥か向こうのビルの屋上に今まで感じたことも無い、何者かの"気"を感じた。

 

 

「全員待って!そのまま地上に降りて待機!!」

 

 

 そう言葉を発した瞬間、ビルの屋上から凄まじい光の奔流が放たれ巨大植物を貫いた。"イノセントタック"並のエネルギーを誇るソレは数十秒もの間に渡って放たれ続け、目を開けた時には目の前にそびえ立っていた巨大植物は跡形も無く消え去っていたのだった……

 

 

「……ハッ!子どもたちは無事なの!?」

 

『ナオミよ……ソーマが無事保護したようだぞ』

 

「ふぅ……よ、良かったぁ~」

 

 

 思わずその場にへたり込んでしまう。それにしてもあんな光子砲を放つだなんて一体何を考えてるのかしら。コレは一連の事件に関係ありそうね……気を付けないと。

 

 

「……もういいわ。全員戻りなさい」

 

 

 仲魔を回収すると匠真の元に戻る。その途中、何者かがいたと思われるビルの方を振り返って、

 

 

(このままだと晃祐とはやてちゃんも近い内に巻き込まれるわね。早く何とかしないと海鳴市全体も今回以上に危なくなる)

 

 

 私の胸の内に嫌な予感が残ってしまったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回に続く




ご覧の通り今回はアニメ第1部の第3話をベースにした回でした。
メガテンらしく妖樹の様なうごめく大樹へと改変しています。

因みに巨大な植物が出没したのに人々が察知しない訳が無いと思います。ですので、なのはの姿は一般人には見えない(過酷な特訓をしたであろう悪魔召喚師である那緒実には見える)けれど、ジュエルシード等のロストロギアよって発生した実体を持つ化け物や異常気象等は目に見える……という事で宜しくお願いします。

そして今回の登場悪魔は
秘神ソーマ(第2話に続いて登場)
魔王アンリ・マンユ(姿形は真Ⅲのアーリマン第二形態)
魔王シュウ(個人的にCV若本)
でした。





それでは悪魔に身体を乗っ取られぬよう、お気をつけて……
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