真・女神転生デビルサマナー ~時と世界と魔法を超えて~ 作:ナベリウス
文章を削ってどうにか5500字以内に収めました。
夜勤明けにやったから辛かった……
2013 8/2 13:30 誤字,脱字を修正 一分内容を変更
―4月27日午後4時 喫茶店翠屋―
「匠真君誕生日おめでとう。サービスしておいたからね」
「うわぁ~桃子さん、ありがとうございます!」
「なになにタッ君?……おお~!ケーキの詰め合わせやなんてホンマいいんですか~?」
「匠真君達は特別だからね。他の子には言っちゃダメよ?」
「はい!本当にありがとうございます」
家から出た後、最初にはやてのために図書館と本屋に寄ってから翠屋に着くと、士郎さんから予約していたバースデーケーキを受け取った。その時桃子さんから匠真が何かを貰っていたんではやてと一緒に箱の中を除くと色々な種類のケーキが入っていて驚く。サービスと言っていたけども実際の所はどうなのかなーと思って士郎さんに訊いてみる。
「……で、本当の所ソレも合わせておいくら万円なんすか?」
「人の善意は素直に受け取っておくものだよ晃祐君」
顔は笑っていたけど目が笑ってなかった。かなり怖かったぞ!さすが修羅場を潜り抜けてきた強者は違うぜ~って、それどころじゃなかった。
「そういや、家から出てくる時に母さんからCOMPとか木剣とか色々渡されたんですけど」
「ふむ、やはりか」
「やはりって何なんです~?」
「実は最近、私も恭也と美由希に"出来る限り外出する時は木刀を竹刀袋に入れて持ち歩く様に"と言っているんだが、巨大植物の一件でCOMPを持たなければいざとなった時に対処し切れないだろうと思っていたんだよ。どうやら那緒実さんも同じ事を考えていたみたいだね」
「恭也と美由希は士郎さんから手解きを受けているから、ある程度は自分の身を守ることができるだろうけど、問題はなのはよね」
「確かはやてちゃんと同い年でしたよね?万が一何かに遭った時一番大変じゃないですか」
「私らと違って悪魔の事も知らないんやろうし身を守る道具も無いんです?」
「……そういった道具は有ると言えば有るけれど、何も知らないなのはに渡すにはちょっと 、ね」
幾ら真実を打ち明けていないからって、コアシールド位渡しておくべきじゃないのか?一応、俺は確認のためになのはちゃんが家にいるかどうかを訊いてみる事にした。
「で、なのはちゃんは家に居るんですか?」
「午前中から昼過ぎまで学校で、その後は塾に行っているはずだ。しかし4時前には帰ってくると言っていたはずなんだが」
「何時もなら帰りが遅くなりそうなら電話してくるんだけど……」
……何か嫌な予感がする。
意を決して外に出ようとすると、後ろからはやてに声を掛けられた。
「兄ちゃん!何処行くんや?」
「士郎さん桃子さん。俺ちょっとなのはちゃんを探しに行ってきますんで2人をお願いします!」
「あっ、兄さん!……すみませんケーキ預かってて貰えますか?せっかく僕のために作って貰ったんでダメにしたくないんです」
「私らも付いて行くでー。私アリサちゃんとすずかちゃんの番号知っとるし、2人共習い事に行ってへんかったら探すの手伝うてもらわへん?」
俺は"足手まといだから来るな"と、口から出そうになった所をグッと堪えて2人が来ることを承諾する。COMPの中にコアシールドが入ってない事を思い出して、万が一の事を想定して2人にはなのはちゃんを見つけ次第、結界で身を守ってもらう事にした。
「……仕方ないな。もし何かあったらすぐに結界張るんだぞ?」
「そんなの言われんくても解っとるよー!」
「兄さんこそ無茶しないでよ?」
「晃祐君、匠真君の言う通りだ。何か起こって自分達の身の安全を確保したら、すぐ私か那緒実さんに電話する様に。あとこれを持って行きなさい」
「写真?」
「なのはの顔が解らなければ探し様がないでしょ?」
「そうですね……すんません。したっけ探しに行ってきます!!」
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―午後6時 海鳴市海岸―
俺達は翠屋を出てから2時間経ったにも関わらず、未だになのはちゃんを見付けられないでいた。俺1人ならまだしも匠真とはやてが一緒にいる以上、余り手広く探すことが出来ないというのもあるし、小学生だから遠くには行っていないだろうという考えもあって、COMPのマッピング機能を使って翠屋から彼女の通う塾の間のおよそ3km圏内を重点的に探していた。
「ダメだ。ちっとも見付から無ぇ」
「3km圏内ってこんなに広いんやなぁ」
「ひょっとして誘拐されたとか……?」
「んなアホな事有るわけないやろ!それよりもう帰らへん?6時過ぎてもうたよ」
3km圏内には今俺達のいる海岸が含まれていて、ひょっとしたら海を見に来ているかも知れないという事で来てはみたものの、期待虚しく不発に終わった。
「はやてと匠真は翠屋でケーキを回収したらそのまま家に帰ってくれ。俺はまだ探すからさ」
「父さんと母さんに怒られちゃうから兄さんも一緒に帰ろうよ」
「いいやここまで来たら後には退けないね」
「ほな那緒実さんには電話しとこ?」
俺ははやての言葉に従って、携帯を出して母さんに電話を掛けて事情を説明しようとした。その時、COMPから異常を知らせるけたたましい音が鳴り響いた。
「何や?何が起こったや!?」
「EAI(エネミー・アピアランス・インジケーター)に反応が出てるぞ!」
「に、兄さん、アレを見て!」
はやてと匠真の指差した方を見ると、臨海公園の方向に例の巨大植物が出現していた。万が一あそこになのはちゃんがいたっけ大変だぞ!
「2人共さっさと翠屋に行け!」
「兄さんダメだ!危ないよ!!」
「もし臨海公園にいたらどうする!?」
「せやけど私らじゃどうにもならへんよ。取り敢えず那緒実に連絡せな」
「例えなのはちゃんじゃなくても目の前に人がいたとしたら助けない訳いかないだろ!」
2人が何か言ったのも聞かず、俺は臨海公園へ全速力で走り出した。誰かを助けるのに理由なんているかよ!それに穀潰しだの何だのと馬鹿にしてた連中やクソ親父を見返せる!俺が……俺がやるんだ!!
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兄さんが臨海公園に向かって走り去った直後、僕ははやてちゃんと相談して母さんに連絡をした。
『……2人共晃祐の後を追って臨海公園に向かいなさい。きっと晃祐は陰口を叩いている人達を見返そうしてるだろうから』
「何をやらかすか解らないと?」
『ええ。私も今からそっちに向かうから晃祐と合流したら抑える様に言っておきなさい』
「うん!」
『勇敢な行動と無謀な行動は違うわ。くれぐれも気を付けて』
電話を切ると僕達も急いで兄さんの後を追うのだった。
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―午後6時20分 海鳴臨海公園―
俺は臨海公園に辿り着くと、巨大植物から少し離れた防風林と遊歩道を隔てる生垣に身を潜めた。出現した巨大植物は前回のヤツと違って、幹に顔の様なモノがあって枝は腕の様に変形していた。まさにRPGに登場する"人面樹"を彷彿とさせる姿をしている。
周囲を見回し、"バイオセンサー"で生命反応が無いか探ってみる……すると、人面樹のすぐ近くにある柱状のモニュメントの上に黒いレオタードを着てマントを羽織り、手にはRPGの武器――ハルバードの様なポールウェポンを持った金髪の少女が降り立ち、下にはオレンジ色の毛並みの狼らしき動物が現れた。
(アレは……なのはちゃんじゃないな。狼みたいなヤツは……MAGスキャナーやデビルアナライズに反応が無いから悪魔じゃないか。ドギツい格好して何やろうってんだ)
竹刀袋から檜の木剣を取り出して状況を伺っていると、再び"バイオセンサー"に反応が出たんで目を向けた瞬間、辺りの空気が一変した。何かがここで起ころうとしているのを感じ、一旦深呼吸して心を落ち着かせる。そして再びCOMPに目をやると、匠真とはやてが近付いて来るのが解り、急いで匠真の携帯に電話をする。
『もしもし、兄さん何処に居るの?』
「(馬鹿野郎!翠屋に行けっつっただろ!?)」
『母さんに電話をしたら兄さんと合流しろって』
「(……チッ。お前達のいる所をそのまま真っ直ぐ進むと防風林があるだろ?そこの生垣の手前にいる。匠真は出来るだけ背を屈めて来い。あと俺を見付けても大きい声は出すなよ?詳しい事は後で話す)」
『解ったよ』
電話を切って再び人面樹の方に顔を向けると、フェレットらしき小動物と一緒に俺達が探していた少女が現れた。が、その手には赤い宝石が埋め込まれた"杖"を持ち、身には海聖小の制服とは似て異なる白に青いラインの衣装をまとっていた。
(なのはちゃん、だよな?あの姿は一体……)
なのはちゃんは靴から光の羽を出して跳躍すると、先程の金髪少女が"ハルバード"から金色の光弾を人面樹目掛けて連射した……けれど、バリアを張って防いでしまった。
おいおいマジかよ!?それなんて"魔法少女"だよ!こりゃヤバいぜ!!
「(……さん……兄さん)」
後ろから声がしたんで振り返ると、はやてを背負った匠真が来た。
「(おい、アレを見ろよ)」
「(アレってなのはちゃんやろ?それと……)」
「(うわー!あの子何て格好してるんだ!!)」
「(黒いレオタードに白いマントとか、ホンマエロエロやなぁ~……ジュルリ)」
「「(ええっそこ!?)」」
はやての斜め上行く発言に内心呆れ返りつつ、また植物の方を向く。
『――うおぅ!生意気に~。バリアなんて張るのかい!?』
「「「(しゃべった!!)」」」
「(兄ちゃん、あの"狼"ってケルベロスみたいな悪魔なん?)」
「(いや、MAGスキャナーじゃ悪魔特有の反応が出てないから違うみたいだ)」
「――今までのより、強い。それにあの子が……」
金髪少女が何やら言葉を口にした次の瞬間、アスファルトを突き破って人面樹の根が2人に襲いかかったけれど、それを空中でいとも容易くかわし続けている。何アレ……ふざけてるの!?
「(ははっ、空を飛ぶとかチートじゃねぇか)」
「(ええなぁ~私も空飛びたいなぁ~)」
俺とはやてがその様子を見ていると、匠真が体勢をを変えようとした……その時!近くに投げ捨てられていた空き缶に匠真の腕が当たって、生垣からさっきの人面樹の攻撃でガタガタに崩壊した遊歩道へと転がっていった。コレだけで済めばまだどうにかなったんだけど、
「(!?!?)う、う、うわぁぁぁぁっ!!」
突然匠真が大声で叫んだ。何てことしやがる!と思いつつ良く見ると、よりによって匠真の嫌いなムカデ(ムカデやヤスデ,ゲジゲジみたいな虫が苦手)が生垣にへばり付いていやがった……マズい!!
『ぐ@¥※j;2xぉ∥Åっ!!!!』
ヤツはこっちに向かって猛スピードで根を延ばして来るのを直感した俺は、とっさに木剣とはやてを抱きかかえてその場から離れた。
「に、い……さ…………」
声を聞いて後ろを振り返ると、腰を抜かしたのか動けなくなった匠真が人面樹の根に囚われて失神したのが見えた。畜生ッッ!!
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「う、う、うわぁぁぁぁっ!!」
私とフェイトちゃんがジュエルシードで変化した魔物の攻撃をかわしていると、突然生垣の向こうから男の子の悲鳴が聞こえてきたの。すると魔物は根を凄い速さで延ばしていってその子を捕まえちゃった!
[ゆ、ユーノ君!結界の中に男の子が~~~~~!!]
[なのは落ち着いて!ジュエルシードの事は後回しで良いから、先に魔物に捕まったあの子を助けよう。砲撃は使えないからまずは相手の隙を作るんだ!]
「[解ったの!]……ディバインッ!シューターーー!」
魔物のバリアに防がれるのを承知でレイジングハートから光弾を連射するの!撃つべし!撃つべし!撃つべしなの~~~~~!!
[(!!)なのはッ!危ないッッ!]
「へ?……うわわわわわっ!」
ユーノ君の念話につられて後ろを向いたら、フェイトちゃんのアークセイバーがこっちに飛んできてビックリしちゃった!でもここで避けたらあの子に当たっちゃうから防御するしか!!
『――Protection』
「……何をするの」
「それはこっちのセリフなの!捕まった男の子を助けるのが先だよ!」
「私はジュエルシードを手に入れられれば他はどうなっても……知らない」
フェイトちゃんのわからずや!もう許せないの!!
「――――ぅうぉるあぁぁァァァァァ!!!!」
「「(!?!?)」」
『じぇc+%zwい=!』
「ぐはぁっ!!」
誰かの叫び声がしたと思ったら、魔物の後ろから木刀を持った中学生位の男の人が飛び出して殴りかかったの!……私達はその行動にして驚いて動けないでいると、魔物がその人を根っこで吹っ飛ばし、生垣に叩き付けられた……だ、大丈夫、なのかな??
「チッ……っざけんじゃねぇぞオラ!!」
男の人は立ち上がると、何時の間にか左手に小さな管を持っていて、それを魔物とフェイトちゃんの方に向けて公園全体に聞こえそうな声で絶叫した。
「――俺に力を貸しやがれぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!」
次の瞬間、緑色の光が管から放たれるとその眩しさに私は目をつぶった。すると爆発音がして光が収まり、目を開くと……
『グルルァアオォォォォォォォォン!!』
「お、お前はあの時の!」
『マタ会ッタナ坊主。オマエノカーチャンノ命令ダ、手助ケシテヤロウ』
……白くてアルフよりも大きい、ライオンの様な"もの"がそこにはいたの。
次回に続く
晃祐の中の悪魔召喚師の血が遂に目覚めました。
晃祐は"神様の転生"でも、"新世紀のイエス・キリスト"でも、"もう一人の自分を呼び出す"事もありません。ちょっと悪魔を使役できる才能が目覚めつつある『タダの人なり』。
MPなんてモノはメガテンシリーズの一部を除いた主人公同様無いですし、この手の二次創作によくありがちなチートな能力もありません。
皆様には非日常に投げ込まれた等身大の少年が、ありとあらゆる不条理に心が何度も折れそうになりながらも抗い続けていく様を見届けて貰えれば良いな、と思いますし、そうなるような作品にして行きたいと考えています。
それでは悪魔に身体を乗っ取られぬよう、お気をつけて……