真・女神転生デビルサマナー ~時と世界と魔法を超えて~   作:ナベリウス

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第13話です。晃祐の乱入でアニメとは全く違う展開になります。




2013 8/6 21:18 誤字,脱字を修正
2013 8/8 15:10 一部内容を変更
2013 8/22 9:29 誤字,脱字を修正


第13話 神話覚醒(下)

匠真が人面樹に捕まったのを見た俺は、はやてを抱いて比較的安全(だと思っている)な場所に連れて行く途中、金髪少女が"八つ裂き光輪"みたいなのを飛ばし、なのはちゃんがそれをバリアで防いだのを横目にした。

 

 

「(はやて、俺にもしものことがあったら母さんを呼んでくれ)」

 

「……タッ君助けに行くん?」

 

 

 どうにか人面樹にバレないように程近い公衆トイレの裏に逃げ込み、はやてを草むらに下ろすと匠真を助けに行く事を告げる。

 

 

「(ああ、助けるのは兄貴の役目だろ)」

 

「(なのはちゃんと金髪の子に助けて貰う事出来へんの?)」

「(いや、金髪の子は匠真の事なんて最初から考えてない動きをしてる。このままだと今以上にヤバい。それに、何時までも"穀潰し"だなんて誰にも言わせない!)」

 

 

 また来た道を元へ戻ろうとして立ち止まり、はやての元に戻ってメッセンジャーバッグを渡そうとするとサイドポケットに何かが入っているのが目に入った。

 

 

「(兄ちゃんそれって……)」

 

「(ああ、封魔管だな。母さん、最初からこうなるんじゃないかって解って……)」

 

「(せやけど召喚出来るか解らんやろ?)」

 

「(やってみなくちゃ解らないさ。もし俺にその才能が無かったら、"その時はその時"だ……じゃ、行ってくる)」

 

「(兄ちゃん!無事にタッ君連れて帰って来ぃへんかったら許さへんで!!)」

 

「(そうなる様に祈っててくれ!)」

 

 

 

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 

 

 

 再び生垣まで戻ると、今度は人面樹の真後ろ辺りに隠れる。これから"やろうとしている事"を考えると、胃がキリキリ痛むと同時に激しい動悸を感じて動けなくなってしまいそうな位だけど――今はそんなことで立ち止まってる場合じゃない。

 

 

(覚悟……完了!)

 

 

 なのはちゃんと金髪少女に人面樹が気取られた隙に、俺は奇声と共に生垣から飛び出した!!

 

 

「どぉぉぉぅぅうぉるあぁぁァァァァァ!!!!」

 

『じぇc+%zwい=!』

 

「ぐはぁっ!!」

 

 

 人面樹の背後に一撃を加えると、不思議な事に木剣の切っ先が相手の身体(幹)に食い込んだのが目と手の感触で解った。しかし次の瞬間には一本の根が俺の身体を叩き付けて飛び出した辺りの生垣まで吹っ飛ばされる……

 

 

――オエッッッ!!……絶っ……対ぇ、アバラ一本ヤラれたっ……でも、まだ!!

 

 

 激痛に気を失いそうになりながらも、ジーンズの左ポケットに入れておいた封魔管を左手で持つ。すると管の"栓"と"本体"の僅かな隙間が仄かに緑色に光り出した。

 

 

 

 

――天はまだ、俺を見離しちゃいなかった――

 

 

 

 

 14代目ライドウの血を受け継いでいる事に感謝し、ニヤッっとほくそ笑むとゆっくり立ち上がってこう叫んだ。

 

 

 

 

「(俺は、ただ匠真を救けたいんだ……)俺に力を貸しやがれぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!」

 

 

 

 

 封魔管の"栓"が捻れながら迫り出すと同時に、幾つもの緑色の光が目の前の地面に放たれ爆発した。あまりの眩さに腕で目を覆い、光が収まると腕を下げる。そこには……

 

 

『グルルァアオォォォォォォォォン!!』

 

「(!!)お、お前はあの時の!」

 

『マタ会ッタナ坊主。オマエノカーチャンノ命令ダ、手助ケシテヤロウ』

 

 

 地下室で俺とはやてが遭遇した、"あの"ケルベロスが出現した。一瞬呆然としそうになったけど、気を取り直してケルベロスに言う。

 

 

「弟を助けたいんだ!力を貸してくれっ!!」

 

『グルル……難シイガ、マァ任セロ!』

 

 

――こうして俺の、人生初の悪魔召喚を果たすと同時に、人生初の命を賭けた"本当の戦い"の幕が切って落とされた――

 

 

 

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 

 

 

[ちょっとフェイトっ!此処にも使い魔を使役するヤツがいたってのかい!!]

 

[……あれは多分、アルフみたいな使い魔じゃないと思う。]

 

 

 男性が左手の"何か"から光を放つと白い魔物が現れた。その魔物はアルフよりも一回りも二回りも大きく、首周りにたてがみを生やしていて一件ライオンの様に見えるけれど、顔の形状や鼻先までの長さをよく見るとアルフと同じ狼である事が解る。

 

 

「俺はお前の事知らないからアイツを倒すのは任せるからな!」

 

『アォォォーン!オレサマオマエマルカジリ!!』

 

 

 魔物が"白い狼"目掛けて根を叩きつけようとすると、それを軽くあしらう様に前脚の爪で薙ぎ払った。すると根は文字通り八つ裂きになって千切れ飛んで行ってしまった。魔物は更に根を何本も延ばして襲い掛かろうとするけど、全てそれをかわされて胴体部分に噛み付かれてしまう。

 

 

『ぉ&#%@*っぃ!?!?!?』

 

『グハァ!……ゥルルル……マルカジリハ……不味イ』

 

 

 私がそれに見蕩れていると、アルフが念話で話し掛けて来た。

 

 

[フェイト……フェイト!何ボーっとしてんだい!!このままじゃジュエルシードまでヤラれちまいそうなな感じだよ!?]

 

[(ボーーー)……ハッ!!ご、ごめんアルフ。とにかく私達もこ「フェイトちゃん!」]

 

 

 気付くと後ろに"あの子"が来ていた。私はバルディッシュを構えて威嚇しようとする。

 

 

「……一体何の用」

 

「あの人はきっと男の子の家族――多分お兄さんなんだと思うの。お兄さんとあの"大っきいライオン"が男の子を助けるまで攻撃しないであげようよ――フェイトちゃんだって、もしアルフがあんな風になってるのに攻撃されたら嫌でしょ?」

 

 

 また魔物の方を向いて、今度は男の人を見る。男の人は白い狼が作った隙を突くようにして、時折バリアに弾かれ吹き飛ばされながらも必死に木刀を振るい続けていた。動きは拙いしリンカーコアも感じられないから魔導師じゃなくて、この世界のごく一般的な地元住民なんだろう。

 

 

[アルフ……良い?]

 

[仕方ないねぇ……シャクだけどその子の言う通りだ]

 

 

――家族、か。…………母さん。

 

 

 

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 

 

 

 ケルベロスは人面樹の根をなぎ払い、俺が木剣で一撃を加える。たまに連携が乱れてバリアに吹っ飛ばされてアスファルトに叩き付けられるけど、その度に痛みはCOMPに格納している"魔石"を使って取り除く。隙を見てデビルアナライズでケルベロスのデータを確認すると、地獄の番犬らしく"ファイアブレス"を吐けるみたいなんだが、それはヤツが匠真を放してからじゃないと危ない。

 

 

「こんのやろぉぉぉ!!」

 

『グルァァァッ!!』

 

 

 まさに一進一退の攻防。もし俺が母さんみたいに手慣れしているんであれば、こんなヤツ苦労しないですぐにブッ倒せるんだろうけど、生憎剣道の試合しか知らない俺じゃ無理だ。そんな中で唯一の救いは、空中に浮いている2人とオレンジ色の狼が手出しして来ない事か……後でお菓子でもあげないとな!

 

 

『危ナイゾ坊主!』

 

「(??)ぶっへぇぇぇぇっっ!!!!」

 

 

 俺の脇腹に根がクリーンヒットして一瞬意識が途切れる。でも直ぐ様続いて来る激痛で再び意識が戻って立ち上がろうとすると、ケルベロスが俺に向かって叫んできた。

 

 

『"宝玉"ハ無イノカ!?有ッタラ今スグニ使エ!!』

 

「ぉ……おう……」

 

 

 覚束ない状態でCOMPを操作し、宝玉を右手に出現させると近くにある石で叩いて割る。すると光が俺のズタボロになった身体を包み込んだ。

 

 

(お?なんだか身体が軽くなった気がするぞ!)

 

 

 光が消えると身体の傷も脇腹の激痛も嘘みたいに綺麗サッパリ消えていた……コイツぁ……コイツぁ凄ぇぜ!!

 

 

『gろぁc@#$ぃぃ!?!?』

 

 

 ヘヘッ……まさかの事態に人面樹も驚いて動きが止まってやがる!今がチャンスだ!!

 

 

「行っけえぇぇぇぇッ!!」

 

『――八ツ裂キダ!!』

 

 

 ケルベロスが跳躍して左前脚で匠真を捕らえていた根を切り裂くと、そのままヤツの胴体目掛けて右前脚を繰り出す!!

 

 

『pj9ぶ6♭!!!!』

 

「どりゃぁぁぁぁぁぁぁぁッッッ!!」

 

 

 人面樹から開放されて真っ逆さまに落ちてきた匠真を俺は猛ダッシュで受け止めたがあまりの勢いにそのまますっ転んで生垣の中に突入してしまった。匠真を近くの樹によしかからせると急いで人面樹の状態を見る――ヤツはケルベロスの鋭い爪にやられて悶絶している様で、今がトドメを刺す好機以外の何物でもない!

 

 

『今ダ坊主!』

 

「行っくぜぇぇぇぇ!」

 

 

 生垣から再び人面樹の前に躍り出た俺は、両手に木剣を握り締めて駆け出す。来年高校に進学しても剣道を続けて行くつもりで秘密裏に練習していた一撃を放つ時が来た――狙うはケルベロスが傷を付けた部分唯一つだ!根の上方向に曲がって盛り上がった部分を駆け上り、一気に跳躍して溜めていた両腕を一気に前へ突き出す!!

 

 

 

 

「突きぃぃぃぃぃぃぃ!!」

 

『r×*¥dqぅぉ@!?!?』

 

 

 

 

――決まった!!そう思った瞬間、人面樹が胴体を激しく揺らしてまたしても吹っ飛ばされる……けど、ケルベロスが自分の身体を使って落ちるのを防いでくれた。それが最期の抵抗だったのか、最早ヤツに動く力は残っていないようだ。ふと、木剣を突き刺して崩れた部分を見ると、菱型の"宝石の様なモノ"が見える。アレが心臓部だったのか?……まあいい。俺はケルベロスにファイアブレスを吐いて貰おうと、

 

 

「ありがとな!よっしゃ、チリ一つ残さずに焼き払『ま、待ってください!!』……あ"あ"ん!?」

 

 

 何処からか声が聞こえたんでそっちの方を見るとイタチの様な小動物がいた。

 

 

『あの"宝珠"こそ公園の樹を魔物に変えた"原因"です!アレをどうにか出来るのは"あの2人"だけなんで、後は任せて貰っていいですか!?』

 

「(コイツもしゃべった!)……解ったよ。俺の目的は果たせたから後は任せるわ」

 

『はい!ありがとうございます!!』

 

 

 人語を話す"イタチ"は空中の2人に顔を向けると、なのはちゃんが大きく頷いた。すると2人の得物が変形し、

 

 

「ジュエルシード・シリアルⅦ!封印っ!!」

「……ジュエルシード・シリアルⅦ、封印」

 

 

 2人がそう言うと人面樹が凄まじい光を放ちながら消滅し、宙に浮く"宝珠"だけが残された。

 

 

「なぁイタチさんよ。コイツぁ何なんだ?」

 

『……ごめんなさい。とんでもない危険物だという事しかお教え出来ません。』

 

「そっか……」

 

 

 俺はそのまま地面に座り込んだ。ケルベロスにも宝珠が危ないのが解るのか、唸り声を出して警戒している。ふと、宝珠を挟んだ対面になのはちゃんが降り立ったのが目に入ってきた。

 

 

「君は高町なのはちゃん、だよな?俺は相原晃祐ってんだ」

 

「あっ……あの~。なのはの事知ってるんですか?」

 

「俺の母さんと君のお父さんが先輩後輩の仲でさ、俺やあそこで失神してる弟や義妹も良く翠屋にはお世話になってる」

 

「そうなんですか!って、よりによってなんでこんな危ない所に!?」

 

「ああ、今日は弟の誕生日でな。翠屋にケーキを取りに行ったっけ士郎さんと桃子さんが、"なのはちゃんが帰って来ない"って言うもんだから代わりに探していたのさ。したっけこの有様だ」

 

 

 ふと背中に殺気を感じて振り向くと、得物を俺に向けて構える金髪少女と狼がいた。それを見たケルベロスは俺の前に来て、今度はそいつ等に唸り声を上げる。

 

 

「あなたは一体……」

 

「っと、悪ぃ。弟と義妹を連れてこないと」

 

『質問に答えな!タダじゃ済まないよ!!』

 

『……オマエラヲ、先ニハ行カセン!』

 

 

 俺は何やら騒いでいる"狼"を尻目に匠真の所へ向かって行き、魔石を使って回復させる。その後、身体を何度か揺さぶるけど意識が戻る気配が無いんで、先にはやての所に向かう事にした。おっと……その前に、

 

 

「俺には関係無い事なんだろ?それなら俺の事だって君等には関係無い事さ。君等の使う力の事もパンピーの俺が知った所で意味無いだろうしな。ただ……」

 

「ただ……?」

 

 

 俺は金髪少女と狼の前で立ち止まり睨みつけて言い放つ、

 

 

「もし此処でこの"宝珠"を取り合うために喧嘩でもして周りに被害を出してみろ――お前等二度と"泣いたり笑ったり出来なくしてやる"」

 

『アォォォーン!!』

 

 

 彼女達がケルベロスの殺気全開の遠吠えにたじろぐと、俺はケルベロスと一緒にはやての元へと向かって行く……っと、忘れる所だった!

 

 

「あ、そうそう!先に義妹連れて来るから良い子にしてなよ!?後でお菓子あげちゃうぜ!?」

 

 

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 

 

 

 晃祐さんと"大っきいライオン"が何処かに向かって行くと、私とフェイトちゃん、ユーノ君、アルフの2人と2匹(?)が残される。

 

 

「え~っと」

「えっと……」

 

 

 私がフェイトちゃんに声を掛けようとしたら、偶然フェイトちゃんと声が重なっちゃった!

 

 

「先に良いよ?」

 

「あ、ありがと……ねぇ、どうしよっか?」

 

『アイツ一体何考えてんだろうねぇ~。アタシ等の事睨みつけたと思ったら、走って行く時は笑って"お菓子あげちゃう!"とか……バカじゃないの?』

 

『取り敢えずあの人が弟さんと妹さんを連れて帰るまでは何も出来ないね』

 

「それがいいと思う……」

 

 

 私達はジュエルシードの方を向いて、無言で眺める……そういえば何か大事なことを忘れてる気がするの。私は少し考えていて、ふとユーノ君を見た時に思い出した。

 

 

「そういえばユーノ君!結界はどうするの!?」

 

『あ……』

 

 

 

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 

 

 

 俺がトイレの影から這い出しているはやてと会った時、はやては安堵の表情を浮かべて迎えてくれた。一瞬同行していたケルベロスを見て表情をこわばらせたけど、敵意が無いと解るとたてがみでモフモフし、その後俺がケルベロスの背に乗せるといたく気に入ったのか、

 

 

「う~ん!ケロちゃんの毛って硬そうに見えるけど、めっちゃモフモフで乗り心地も抜群や~~~」

 

 

 と、ご満悦顔だった。しかしケロちゃんっておい……

 そして俺達3人は次に匠真を拾いに行く。しかし、人面樹のいた広場のすぐ近くまで戻って来ると、突然EAIとバイオセンサーに強烈な反応があり、警戒して生垣から広場を覗くと、

 

 

 

 

「――時空管理局執務官、クロノ・ハラオウンだ!大人しくジュエルシードを渡して貰おうか!!」

 

 

 

 

 厳ついロングコートを着た、"黒髪の坊主"が2人に武器を向けていたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回に続く




今回はかなり悩んだ挙句、なのはとフェイトが戦わずにクロノを出現させる展開にしました。

この頃の晃祐は"真面目でネガティブな性格"から来る、喧嘩が嫌いな優しい人間なので"腹を割ってトコトン話し合えば互いに理解し合える"というスタンスです。故にこれから先、多くの『壁』にぶち当たって行きます。
因みにクロノはその『壁』の一つです。晃祐が将来のヤタガラスを背負って立つ存在(しかも闇の書の主であるはやての義兄)ならば、クロノは将来の時空管理局を背負って立つ存在(此方は闇の書を父親の仇としている)なので、言わば"宿敵"という事になります。
闇に生きる悪魔召喚師相原晃祐と、光に生きる時空管理局執務官(後に提督)クロノ・ハラオウンの2人の対立が、A's編以降の"軸の一つ"として展開していきますので、ご期待していただければ良いなと考えております。
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