真・女神転生デビルサマナー ~時と世界と魔法を超えて~ 作:ナベリウス
今回は前編後編の2つに分けて投稿します。
人面樹から開放された匠真の身に再び災難が降りかかります。
2013 8/8 15:45 一部内容を変更
2013 8/8 19:55 誤字,脱字等を修正、一部文章を追加
2013 8/9 10:39 誤字,脱字等を再度修正
「――時空管理局執務官、クロノ・ハラオウンだ!大人しくジュエルシードを渡して貰おうか!!」
おい何だよあの坊主!人があの2人にアメのアソートパックをあげたらせっかくの機会だし、はやてと匠真を紹介しようと思ったのによ!!何なの?バカなの!?
「(うわぁ~兄ちゃんと違って頭良さそうな子やなぁ~)」
「(おいはやて!なんか聞き捨てならねぇ事言った気ぃするなァ?)」
「(な、な、なんでもあらへんよ?)」
『(……気ヲ付ケロ。アノ坊主、アア見エテ只者デハ無イゾ)』
俺はケルベロスからはやてを降ろして、何時でも飛び出せる状態にする。何処の馬の骨だか解らねぇヤツがしゃしゃり出て来やがって……
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「――まずは事情を説明して貰おうか?」
私達があの男の人の言う通りにして待っていると、突然光と共に管理局の執務官が出現した。クロノと名乗る執務官は私達に武器を向け、直ぐ様攻撃できる様な姿勢をしていて"初めから事情なんて聴く気なんて無い"事が感じ取れた。
[フェイト……アタシがあの坊主に攻撃を仕掛けた隙にジュエルシードを!]
[……解った]
私が構えていた腕をわざと下げて、話し合いに応じる姿勢を見せようとする。すると"あの子"も同じ様に戦闘態勢を解いたのが見えた――――好機!
ドドドドドドド!!
「(!!)……くっ!」
「フェイトっ!今だよ!!」
アルフがフォトンランサーを乱射すると、不意を突かれた執務官はプロテクションを張るのに精一杯だ。プロテクションで防がれずそのまま着弾したものは辺りに土煙を起こして視界を妨げた。それを確認して跳躍し、ジュエルシードを掴もうとする……!
「そうはさせない!!」
「フェイト危ないっ!」
「うわっ……!!」
「フェイトォォォッ!!」
「フェイトちゃん!」
私はジュエルシードにあと少しの所で、執務官の放った魔法の直撃を受けて吹き飛ばされた……どうにかアルフが私の身体を受け止めてくれたみたいだ。目を微かに開けると視界がぼんやりと霞んでよく見えない。でも、執務官はデバイスを私に向けて魔法を放とうとしているのだけは解る。私達、もうダメなのかな……
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(ん……ううん……僕は……気を失ってたのか)
確か人面樹に捕まったのは覚えているんだけど……あの後一体どうなんたんだろう?身体を起こすと、足元に見慣れない石が砕けていた。
(これって母さんの言っていた魔石かな?だとしたら兄さんが……ハッ!兄さんとはやてちゃんは!?)
中腰の姿勢で生垣から広場を覗こうとすると、直ぐ目の前でオレンジ色の狼が吹き飛ばされた"金髪の女の子"を身体を使って受け止めるのが見えた。彼女は相当強く身体を打ったのか、目を微かに動かしただけで殆ど身動きが取れないみたいだ。1メートル程移動して様子を伺うと、黒髪の杖の様な武器を持った男の子が彼女目掛けて今にもビームを撃とうとしているのが解った。
(あの女の子が危ない!)
僕は急いで女の子の前まで走って行った時――自分の身体がビームに撃ち抜かれ、目の前が真っ白になるのが解った――
(皆……ごめんなさい……)
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「なっ!?非殺傷設定にしているはずな『グルルァァァッ!!』――う、うわぁぁぁぁぁっ!」
今まで気を失っていた晃祐さんの弟さんがフェイトちゃんの前に走りだして、クロノ君の魔法に撃たれちゃった……私は急いで撃たれた子に駆け寄ると、口とお腹から血が出て……しかもクロノ君は晃祐さんが呼び出した"白いライオン"襲われてるの!すると横に誰かが来たからまた振り向くと晃祐さんが居て、身体を抱きかかえると弟さんの名前を必死に呼び掛ける。
「匠真っ!しっかり、しっかりしろっ!!今魔石を使ってやるからなっ!?」
晃祐さんはスマートフォンみたいな機械を操作すると左手に不思議な石が現れて、それを匠真君の上で両手で割るとお腹の傷が光りだしたの……傷薬みたいな石なのかな?でも、全然傷が治ってなくて、このままじゃ匠真君が死んじゃうよ!
「……けんな」
「へ?」
晃祐さんが何かを言うと匠真君を横にして立ち上がり、
「なんて事しやがったんだテメェ……覚悟は出来てんだろうなぁ!?」
「ぼ、僕は悪くな……いっ!そいつが勝手に出て来て撃たれ「黙れっ!!」」
晃祐さんはクロノ君を……ダメ!そんな事しちゃ絶対ダメなの!!
「止めてぇぇっ!殺さないでっ!そんな事したら晃祐さんがっっ!!」
「!!……ごめん……ケルベロス!」
『グルルル……運ガ良カッタナ』
晃祐さんが"白いライオン"――ケルベロスの名前を呼ぶと、ケルベロスは素直にクロノ君から離れていく。ほっ……良かった~!って全然良くないのっ!匠真君の傷をどうにかしないと!!
「おい坊主――クロノっつったな?お前の力で匠真を治せないか!?」
「すまない。こういった事は専門外なんだ」
「お前見た目からして黒魔導師っぽいもんな……まあいいや、この石は"魔石"っていう傷を癒す力がある石なんだけど、お前に何個か渡すから俺と同時に使ってくれ」
「……解った。此処は君に従おう」
[――大変だよなのは!]
晃祐さんとクロノ君が魔石を使って応急処置を行ってると、ユーノ君から念話が来て私はそれに応える。
[どうしたのユーノ君?]
[結界を張ったはずなのに女の人が入って来た!]
[ええええええっ!そ、そんな事って出来るの!?]
[しかもリンカーコアが感じられないから魔導師じゃないみたいだ!]
[ううう……私達の事見られたらどうするの~~~~~~~~!!]
私が頭を抱えたのと同時に晃祐さんの携帯電話が鳴り出した。
「あっ、もしもし母さんっ?……臨海公園に来たって!?とにかく匠真が大変なんだ!早く来てくれ!!」
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母さんから電話が来たんで何かと思って出ると、どうやら前もって匠真が電話をしていたらしく、臨海公園の入口付近まで来たという事だった。コレ幸いと思った俺は母さんを俺達がいる所まで電話で誘導するついでに途中ではやてを拾って来て欲しいという事も頼んだ。そして数分後、
「匠真!どうしてこんな……」
「タッ君……タッ君!!」
母さんが車椅子に乗せたはやてと来ると、二人も匠真に声を掛ける。
「ふぇぇぇぇっ!?那緒実さんが晃祐さんと匠真君のお母さんだったなんて!」
「……あらなのはちゃん!?ってそれは置いといて……どうしてこんな事に」
クロノが申し訳無さそうな顔をして母さんに近寄る。
「……僕が彼を撃ちました」
「――あんたがっ!あんたがタッ君を!「よせ、はやて!」せやけどっ!!」
俺はクロノの言葉を聴いて涙を流しながら食って掛かるはやてをなだめる。
「あなたは……」
「時空管理局執務官、クロノ・ハラオウンです。本当に「そこから先は後で聴くわ」……はい」
母さんはCOMPを操作して、宝玉とも違う宝珠を手に出現させた。
「母さん、これは?」
「コレがあの"地返しの玉"よ。瀕死の人間を蘇生させる力があるの。ただ蘇生させると言っても重傷の状態には変わらないからコレを使ったら直ぐ魔石を使わないと……あと晃祐、彼処で茫然自失としている狼さんにコレを」
「なっ……何時の間にジュエルシードを!!」
「えええええええっっっ!?」
母さんがポケットに手を突っ込んで出した物は、さっきまでそこで浮かんでいたはずの"超危険物"の宝珠だった。なのはちゃんもクロノもそりゃ驚くわ……流石チート
「コレ触って大丈夫なのか?」
「大丈夫よ、多分ね。匠真の事は私達に任せて早く持って行ってあげなさい」
「多分って……解ったよ」
俺はクロノが"ジュエルシード"と呼んだその宝珠を恐る恐る受け取ると、急いで狼の元に行く。すると丁度その背中で気を失っていた金髪少女が目を覚ました所だったみたいだった。
「ほら。君はコレが欲しかったんだろ?」
「どうしてそれを……?」
『アンタ、何とも無いのかい?』
「俺の母さん、ぶっちゃけ言うとチートなんだよね。だから何をやっても不思議じゃないと言うか……あと約束通りお菓子もあげるよ」
俺は金髪少女にジュエルシードと、母さんから受け取っていたメッセンジャーバッグの中から、アメのアソートパックを取り出して渡した。
「あ、ありがとう」
「さあ、もう行きな。あの執務官だかって坊主は母さんが近くにいるから、もう君等に対して何も出来ないだろうしな」
『この恩は忘れないよ!』
狼がそう言うと、金髪少女を乗せたまま猛スピードで走り去って行った。さて、向こうはどうなったかな……
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ハッキリ言って何もかもが想定外だった……
――非殺傷設定でスティンガーレイを放ったにも関わらず、フェイト・テスタロッサの前に走ってきた見知らぬ少年の身体を貫いて瀕死にさせてしまった事。
――使い魔を使役する人間がこの管理外世界にも存在したという事。
――2人の母親らしき女性がジュエルシードをいつの間にか回収していた事。
――そのジュエルシードをフェイト・テスタロッサに渡してしまった事。
――今目の前で起こっている"瀕死の少年が息を吹き返した"事。
この世界は魔法やそれに関する技術の無い"遅れた世界"だと聴いていたけれど、僕達は"その認識"を改めないといけないのかもしれない。今手に持っている"魔石"もそうだ。人の傷を癒す事の出来る鉱石なんて、ミッドでは聴いた事も見た事も無い。
「――皆ありがとう。傷も塞がったしコレでもう心配要らないでしょう」
「ふにゃぁぁぁぁぁ。よ、良かったの~~~~~」
「え、えぐっ……ひっく……流石那緒実さんやわ~!」
「さて……クロノ君と言ったわね?時空管理局という組織の一員という事は、何処かに貴方の上司がいるのでは無くて?」
それを言われてアースラの事を思い出す――イレギュラーな事態が続き過ぎてすっかり忘れていた!!
『クロノ!お疲れ様』
「あっ!艦長……すみません」
丁度良いタイミングで艦長から通信が入って来た。
『それで、此処にいる人達に色々訊きたいからアースラまで案内してくれるかしら?』
「ですが、この少女は良いとして他の人達は!!」
『……それに事故だったとは言え、部下の非礼をお詫びしなくてはいけないわ』
悔しいけど、艦長の言う通りだ。
「……了解です」
僕は後ろに振り返ると、この場にいる全員に同行して貰う様に依頼する。
「皆さん、艦までご同行願います」
「はやてちゃんとケルベロスには匠真を見ていて貰いたいから、私と晃祐の2人で行きましょう」
「ええっ俺も?母さんだけ行けば「私だって晃祐の"やろうとした事"をお詫びしないといけないしね」うっ」
「いえ、もう日も暮れて来ていますし一応医療設備もありますから……」
『そうね。那緒実さんと言いましたか?お子さん達の身の安全のためにもお連れしていただけません?』
女性は顎に手を当てて少し考える素振りをして、
「……解ったわ。但し、ケルベロスにはここで下がって貰いましょう。それに――私だって"悪魔"なら使役出来るから問題無いわ」
と、この人……全身から出る雰囲気といい、重傷の息子を前にしての冷静な対応といい、間違い無く只者じゃない。幾度と無く修羅場を潜り抜けて来た歴戦の猛者だ。
女性は使い魔を使役している少年の方に顔を向けて軽く頷き、彼が何か黒い管の様な物を出して使い魔に向けると、たちまち光になって"ソレ"に吸い込まれていってしまったのだった。
「よっと……おい何見てんだよ?」
その一部始終を見て唖然としていた僕は、気を取り直してアースラに転送指令を送る。
「(!?)準備は良いですか?アースラ、転送を!!」
そして僕達の身体は光に包まれた。
次回に続く
はやてとなのはがここで初対面しましたが、自己紹介は次回になります。
晃祐は後一歩の所で人間としての道を踏み外す所でした。家族の事になると我を忘れるのが良い所であり悪い所でもあります。
あと地返しの玉についてですが、コレの元ネタは日本神話に登場する
十種神宝についても後々登場させようと思っています。管理局にとって見ればロストロギアの様なもんですからね。
次回はアースラ内に移動しての事情聴取です。
それでは悪魔に身体を乗っ取られぬよう、お気をつけて……