真・女神転生デビルサマナー ~時と世界と魔法を超えて~   作:ナベリウス

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第15話です。
那緒実さんマジチート




2013 8/22 9:45 一部文章を加筆修正


第15話 時を統べる者(後)

「準備は良いですか?アースラ、転送を!!」

 

「うぉっ!!―――って、此処何処だよ!?」

 

 

 足元から光に包まれると一瞬にして俺達の目の前の景色が一変し、無機質な金属壁が四方を囲む空間に移動していた。

 

 

『此処は時空管理局の時空航行艦の中ですね……』

 

「ふぇぇぇぇ~なんだか怖いの~~~」

 

「大丈夫やって。何かあったら那緒実さんがどうにかしてくれるやろ?それに見とったと思うけど、兄ちゃんもなんだかんだ言って頼りになるからな~」

 

 

 何時の間にか俺の足元に来ていた"イタチ"が説明を始めようとした時に、なのはちゃんが困惑した表情で頻りに辺りをキョロキョロし、それを見たはやてが安心させようと言葉を掛ける……普通逆じゃね?何で魔法少女の方がキョドってんだよ。

 

 

『……話を続けます。時空航行艦っていうのは簡単に言うと、様々な"次元世界"を自由に行き来するための船の事です』

 

「次元世界――異世界の事か?」

 

『えっと……その認識で合っていると思います。普段皆さんの住んでいる世界と以前僕等の住んでいた世界、そして時空管理局の本局がある世界は全て"別々の次元世界"なんです』

 

「う~ん……時空管理局って言うんだから"時間を超える"と思ったんだけど、なんか違うっぽいなぁ」

 

 

 クロノが先に歩いて行ったんで、匠真を背負った俺とイタチは言葉を交わしながら、その後を追うように歩き出す。

 

 

『さ、流石にそこまでの能力は無いと思いたいですね……それで、様々な次元世界が干渉する出来事等を文字通り"管理"するのが彼ら時空管理局の役目です』

 

「へぇ~。アイツ、俺より年下っぽそうなのにもう働いてんのか。まぁお前さんの言う様に沢山の世界が有るなら、その世界の分だけ慣習とかも変わってくるだろうしなぁ」

 

 

 ある程度自分なりに解釈は出来たと思う……と、前を行くクロノの足音が聞こえなくなったんで視線をイタチの方から前に移すと、立ち止まって此方側に向き直っていた。

 

 

「……向こうの方々!いい加減僕に付いて来ていただけないでしょうか?」

 

「にゃぁぁぁ!!ま、待ってよ~置いてかないで~~~~~~!!!!」

 

 

 声に釣られて俺とイタチが後ろに振り向くと、向こうで未だにキョドっていたらしいなのはちゃんが我に返って、イタチが俺と一緒に先に行ってしまったのにショックを受けたのか小走りで俺等の所まで向かって来る。そしてなのはちゃんの側で見ていたらしい、母さんとはやては苦笑いを浮かべながらゆっくりと此方に向かい出した。

 

 

 

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 

 

 

 僕達が転送室らしき部屋からから廊下に出ると、執務官がなのはにこう切り出した。

 

 

「そういえば何時までその格好でいるんだい?窮屈で仕方無いだろう、バリアジャケットとデバイスは解除して良いぞ」

 

「そっか。そうですよね……」

 

 

 なのはがバリアジャケットを解除すると、次に僕の方を向いて、

 

 

「君も"元の姿"に戻って良いんじゃないか?」

 

 

 ああっ!暫くフェレットの姿でいたからすっかり忘れてた!!

 

 

「そういえばそうですね。ずっとこの姿でいたんでこっちに慣れてしまってました……」

 

 

 執務官にそう答えて僕は"元の姿"に戻ると、執務官と那緒実さん以外の人達がビックリしてたんで、

 

 

「(??)何かおかしい所でもありますか??」

 

「ふぇ、ふぇぇぇぇぇぇぇ~~~~~~~~!?!?」

「うおおおおお!イタチが人間になったッッ!!」

「へぇ~"狐や狸が化ける"って言うけど最近はイタチも化けるんやなぁ~」

 

「へ……?」

 

「ユーノ君って……嘘っ!?」

 

 

 なのははこの船に転送されてきた時以上にあたふたし出した……執務官は、

 

 

「……おい君達!もう良い加減艦長を待たせる訳にはいかないんだ!早くしてくれると助かるんだが!?」

 

 

 どうやらご立腹らしい。それを見たなのはがシュンとした時、

 

 

「まあまあ別にそこまで言わなくて良いじゃないの。貴方が自分の責務を全うしたい気持ちも解るけれど、まだこの子も小さいんだから。こういう状態にさせたらちゃんと事情を訊く事も出来なくなるのではなくて?」

 

「確かにその通りだな」

「ホンマや。少し位待ってくれたって逃げへんのに」

 

「うっ……ま、まあ此方へ」

 

 

 那緒実さんに正論を言われた執務官は付いて来る様に言うのが精一杯だった。

 

 

 

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 

 

 

 私達が長い廊下を歩いて突き当りの部屋に入ると、そこは棚に幾つもの盆栽、床は一部畳敷き。そして鹿威しに茶道用具が置かれた、和風なんだけど何処か奇っ怪な部屋だった。目の前には私よりも遥かに若く見える"緑髪の青い制服を来た女性"が笑みを浮かべながら正座をしている……この人が艦長ね。

 艦長は一見すると温和に見えるけれど、その見た目と違って相当な実力者に感じる。"口に蜜あり腹に剣あり"と言うから用心しなくてはいけないわね。

 

 

「まあ、お疲れ様!皆さんどうぞ楽にしてください。それと怪我をした子はメディカルルームに転送しますけどどうなさいます?」

 

「いえ、そこまでしていただかなくても大丈夫ですわ。何処か横に出来る場所でもあればそれで充分です」

 

「あらそう?それじゃ、簡易ベッドがあるのでそれをつかってくださいな」

 

「……どうぞ」

 

 

 私と晃祐は簡易ベッドの上に匠真を寝かせて、その横にはやてちゃんを動かした。

 

 

「あら?貴方がたも此方にいらっしゃいません?」

 

「いいえ、私達はここで構いませんわ。息子の事もありますし……それで、私達とその子達とのどちらからお話を?」

 

「そうねぇ~。と、その前に改めまして、私は時空管理局の航行艦"アースラ"艦長のリンディ・ハラオウンと言います。先程は執務官のクロノがご迷惑をお掛けしてお詫びのし様がございません」

 

「私は相原那緒実と言います。こちらこそ息子が怒りに任せて重大な過ちを犯すところで……こら!晃祐も謝りなさいっ」

 

 

 私は晃祐の頭を後ろから軽く押して謝らせる。

 

 

「ちょっ、母さ!……ごめんなさい」

 

「此方こそ私の部下が弟さんを死なせかける事をしてごめんなさい……貴方が怒るのも無理ないわ。クロノも幾らイレギュラーな事態だったとは言え、"若さ故の過ち"で済ませられない事になりかけたのよ。解っているわね?」

 

「はい……」

 

「では艦長、続けて紹介しますね。今謝ったのが長男の晃祐。此処で横になっているのが次男の匠真、そしてこの子が私の家で引き取って一緒に暮らしている八神はやてちゃんです」

 

 

 3人を紹介すると、畳の上に上がった2人も口を開いた。

 

 

「わ、私は高町なのはですっ!」

 

「僕はユーノ・スクライアと言います」

 

「……それじゃあ紹介も終わった所で、先にこちらの2人からお話を訊かせて貰っていいかしら?」

 

 

 艦長は2人から先に聴取を行う様だ。ユーノ君が話を始めたのを見計らい、私は2人の話を聴いている振りをしながら晃祐とはやてちゃんに囁く。

 

 

「(晃祐、はやてちゃん。聴取が始まったら2人共余計な事は言っちゃダメよ?貴方は直ぐに熱くなるから余計な事まで言いかねないもの)」

 

「(じゃあ何て言えば良いんだよ?)」

 

「(公園に来るまでの経緯と、公園であった事の一部始終だけを言えば良いわ。悪魔については私がどうにかするし、相手が"管理局"と名の付く以上、最悪の事態を避けるのにヤタガラスの事について伏せなくちゃいけない)」

 

「(ほな何で~?)」

 

「(悪魔召喚師だけならヤタガラスと関係無いフリーランスもいるから問題無い。もし此処でヤタガラスの存在を出して時空管理局から敵と認識されたら洒落にならないわ。それにあの艦長、ああ見えて結構な"狐"よ)」

 

 

――故に現状で最も警戒すべきはあの人。この部屋に監視カメラやレコーダーが仕掛けられていても何らおかしく無い。ついうっかりで口を滑らせたらこちらの命取りになる……私は意識を前に戻して2人の話に耳を傾けるのだった。

 

 

 

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 

 

 

「――成る程。あのロストロギアを発掘したのは貴方の一族だったんですね「だからこそ、僕が回収しようと」……立派ね」

 

「良い心掛けだ。感動的だな……だが無謀だ!何故管理局に通報しなかった!?」

 

 

 傍から聴いていた俺は、ちょっと気になった単語があったんで尋ねてみることにした。

 

 

「あ、あの~。話の腰を折る様でなんですけど、"ロストロギア"って何すか?」

 

「そうそう!私等にも解るよーに教えてください」

 

「それは……様々な次元世界の"失われた遺産"と言っても解らないっか」

 

 

 あ、成る程!俺は頭の上に???を浮かべているはやてに、

 

 

「はやてはやて、アレだ。"オーパーツ"みたいなもんだよ。ナスカの地上絵とかストーンヘンジみたいな正体不明なモノの事……ですよね?」

 

「ああ、ああああっ!そか~そういう"どエラいもん"なんかぁ」

 

 

 はやては納得したみたいだけど、今度は管理局の2人が???となってしまっている。おいおい……こんだけの技術があるならそれくらい調べる事なんて簡単に出来そうなのによぉ。

 

 

「ただ"謎なだけ"ならまだ良いさ。ロストロギアは使い様によっては世界に多大な悪影響を及ぼす事だって出来る。ジュエルシードの場合は、たった1個で都市ひとつをチリ一つ残さず消し飛ばす位の力を持っている可能性が極めて高い」

 

「マジで!?したっけアレを素手で手に入れた母さんは流石だな!」

 

「……コホン。それでロストロギアは然るべき場所、然るべき方法で保存されるべき。これからは時空管理局が全権を持ちます。貴方達はそれぞれの世界に帰って元通りに暮らすと良いわ」

 

「……でも!」

 

 

 どうやら2人は納得出来ないみたいだ。なのはちゃんが必死に食い下がろうするけど、クロノが2人を睨みつけて、

 

 

「今回の件は次元干渉に関わる事だ。民間人が手出ししてどうにかなる問題じゃない!」

 

 

 続けて艦長が2人を庇う様に、

 

 

「突然そう言われてもなんでしょうから、もう夜になってしまったし明日までに2人で話し合って決めると良いわ」

 

 

 その言い草は無いだろう!?と声を上げようとすると、無言で母さんが俺の顔の前に手をかざした。抗議の意味で顔を見ると、"今までに見た事も無い位の鋭い目つき"で艦長の方を見ていたのだった。ひょっとして何かに気付いたのか?

 

 

「……ふぅ。さて、次は貴方達の番よ」

 

 

 

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 

 

 

 聴取が俺達の番になると、朝から現在に至るまでの行動を話した。その際、あの場に遭遇したのは全くの偶然であるという事を強調するのも忘れない。

 

 

「では、ジュエルシードで魔物に変化した悪魔にバリアジャケットも何も無しに、その木剣だけで立ち向かったのね?」

 

「当たり前じゃないっすか!俺は"変身"なんて出来ませんよ」

 

「しかし君も無謀な事をするな。幾ら使い魔を使役出来るからと言っても……」

 

「いや、悪魔召喚をしたのは今日が初めてだったんだ。もし俺に召喚が出来る才能が無かったら、万が一の事も覚悟してたしな」

 

「召喚するのにも条件が要るというのね」

 

「では悪魔召喚については私の方から説明しますわ」

 

 

 其処からは母さんが以前俺とはやてに説明した様に、悪魔と悪魔召喚そして悪魔召喚師についての解説を行った。途中で仲魔のソーマをこの場で実際に召喚して見せて、一同を驚かせたりもした。しかしその話に艦長とクロノだけで無く、なのはちゃんとイタチだった少年――ユーノも熱心に耳を傾け続けている。

 

 

「――現在の地球の技術では悪魔召喚プログラムをインストールしたCOMPを使う事で、素質の無い人間でも召喚が可能となってますけど、こういった物が登場する以前は封魔管等といったモノを使い、自らのMAGを使って召喚していたのです」

 

「つまりかつては自身のMAGを自由に使う"素質"が無ければ、その悪魔召喚が出来無いし悪魔召喚師にもなれなかったと」

 

「じゃあ何故、貴方は息子さんにその"素質"が有るか無いかも解らないのに封魔管を持たせたんですか?"悪魔召喚プログラム"とやらが有れば手を出す必要なんて無かったのに」

 

「いいえ。先程も言った様に、悪魔は使い魔と違い召喚師と相互協力の関係です。特にケルベロスみたいなパワータイプの悪魔は召喚師自身も行動を起こさなければ、こちらの言う事なんて聞いてくれません。それに私は悪魔召喚プログラムをインストールしたCOMPなんて持って無いし、私には必要の無いモノですから……でも晃祐なら必ず悪魔召喚を成し遂げると思っていたわ」

 

 

 母さんの手が俺の頭に置かれ、優しく撫でられた。恥ずかしいなぁ全く!でも悪くない。

 その後も母さんの話は続き、漸く聴取が終了した。結論として俺達は"魔力が無いから脅威には成り得ない"って事で上層部には報告しないらしい。クロノが公園まで送って行くと言うんで部屋から出ようとすると、

 

 

「皆は先に出てなさい。艦長さんに少し訊きたい事があるから……良いですね?」

 

「え?ええ」

 

 

 そして俺が匠真を背負うとクロノを先頭に、母さんと艦長以外の人間は部屋から出たのだった。

 

 

 

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 

 

 

「それで訊きたい事とは?」

 

「艦長さん――貴女、ユーノ君はまだしもなのはちゃんまで味方に引き入れようとしているでしょう?」

 

 

 私と艦長が2人きりになると、真意を確かめるべく比較的強い口調で切り出した。

 

 

「……何の事かしら?」

 

「あら、とぼけたって無駄ですわよ?普通、本当に遠ざけたいなら"明日までに話し合って決めろ"だなんて言いませんからね」

 

「あの2人はまだ幼いんですよ。今直ぐ"此処で決めろ"と言っても、到底納得なんて出来ない年頃ですから、敢えて猶予を与えたまでの事です。何故那緒実さんはそう思われたんですか?」

 

 

 あくまでも白を切るつもりか……私もナメられたものね。しかもさり気なく挑発までして来て、見立て以上の"狐"だわ。

 

 

「……まあ良いでしょう。それでは失礼させていただきます」

 

 

 地球上でも9歳で働いている子どもは数多く存在している。一概に日本人としての倫理観を当て嵌めるわけにもいかない。そう思いながら部屋を出て、皆と一緒に転送室まで歩き出す。

 今回私達にとっての収穫は、"あの人"の言っていた"組織"――即ち時空管理局が"魔力至上主義"である可能性が高いと判明した点だろう。これは後々私達に有利に働くに違いないわね。

 

 

「――此処で良いだろう。なのはとユーノの2人はまた明日此処まで来てくれ」

 

「「解りました」」

 

「こちらの皆さんにはご迷惑をお掛けしました」

 

 

 私達が公園まで戻って来てクロノ君が一言二言口にすると、「貴方達とはもう二度と会う事は無いでしょう。」と付け加えて去って行った。出来ればそうなって欲しいけれども、残念ながら近い内に今度は敵として会うでしょうね。

 なのはちゃんとユーノ君を見送って士郎君にフォローの電話をした後、晃祐とはやてちゃんに対して、

 

 

「……2人共、"覚悟"を決めて貰うわよ」

 

「何だよ突然!?」

「怖い顔してどうしたん?」

 

 

 

 

「――――遂に現れたわ。私達の敵……はやてちゃんの命を狙う"組織"が」

 

 

 

 

 

 

 

次回に続く




チートサマナー那緒実さんは洞察力や判断力もチート。

リンディ達は悪魔召喚師を「魔力が無い=直接的な脅威にはならない」と最終的に判断した模様です。クロノが"認識を改める必要がある"と前回で考えていましたが、所詮は魔力至上主義の管理局です。長年の悪しき風習がそう簡単に直る訳ありません。





それでは悪魔に身体を乗っ取られぬよう、お気をつけて……
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