真・女神転生デビルサマナー ~時と世界と魔法を超えて~ 作:ナベリウス
最後の部分にどう繋ぐかが非常に苦心しました。
2013 8/27 20:37 誤字,脱字を修正
2013 8/28 9:08 誤字,脱字を修正、一部文章を改訂
翠屋で母さんからGUMPを渡されて2日。俺はその間、学校から帰ってくると夕食と風呂と勉強時間を除いては殆ど地下室でGUMPの操作を練習したり、召喚したケルベロスやジャックフロストとのコミュニケーションに時間を費やした。最初の2体の仲魔が"炎と氷の相反する属性を持つ"者同士で個人的には非常に心強い。
『オレサマハ所謂"パワーファイター"ダカラ、魔法ナゾ"リカーム"シカ使エンガ重傷ヲ追ッタ時ニハ回復サセラレル事ガ可能ダ』
『オイラは力も魔力もソコソコだけど、オイラ必殺の"フロストパンチ"で相手をブッ飛ばすのが得意ホ!それに"ディア"で傷の回復も出来るし"マカカジャ"で魔力の底上げも出来るホ~』
……てな具合で2体の特技なんかを教えて貰ったり、得意な戦闘場面や逆に苦手な相手を聴いたりして親交を深めると同時にこれから先待ち受ける"悪魔との戦い"に備えて様々な悪魔の情報も聴いては逐一GUMPのメモ機能に記録していった。
そんなこんなで今日は土曜日なんで"恭也さんと美由希さんによる初めての"戦闘訓練"がある。
-5月11日午後3時 高町家稽古場-
「こんちわ相原です!!今日は一日ヨロシクお願いします!!!!」
翠屋に入らずそのまま高町家の裏へ回って直接稽古場の前に行き、扉を開けると大声で挨拶をする。すると奥の方から恭也さんと美由希さんが出て来た。
「やあ晃祐君。今日は短い間だけど宜しく頼むよ」
「こんにちは!宜しくね~」
今日は午前中に部活があったんで、訓練が始まる前にストレッチを行おうとすると恭也さんがマッサージをしてくれた。どうやら高町家秘伝のマッサージらしく何時も後輩にして貰ってるマッサージとは全然違って気持ち良くて、それが終わって立ち上がるとなんだか身体が軽くなった気がしてその場で何度か跳躍した。
「お?部活の疲れがすっかり取れたみたいに身体が軽い!」
「こら~!ちゃんとストレッチもしないとダメだよ?」
「あ、すんません!」
美由希さんの言う通りに入念にストレッチを行って準備万端!さあ、今日はどんな訓練が待っているんだ!?
「よし良いな。今日初めて実践的な訓練をやって貰う訳だけど、暫くは父さんと俺達とで内容は違う物をやっていくつもりだ。父さんは攻撃、俺達が防御や回避を重点的に教えていくからな。」
「はい!……でもなんで最初に防御と回避訓練から始めるんすか?」
「君は悪魔召喚師を目指すんだろ?攻撃は最悪仲魔にして貰えば良いから後でもどうにかなる。但し、敵から自分に向かって繰り出してきた攻撃は自分自身で対処しなくちゃいけない。だから先に防御と回避を身に付けさせようと決めたのさ」
「晃祐君には恭ちゃんの攻撃を竹刀で受け止めるかかわして貰うからね。流石に最初は晃祐君がやりやすいように手加減をするけど、慣れてきたらスピードも上げて段々容赦無くなっていくから!」
マジか……何気に滅茶苦茶キツいんじゃねぇの?
「大丈夫大丈夫。最初はひとつずつ基本動作から教えるから、そんな心配そうな顔をしなくても良いって!」
「す、すんません……」
そして訓練が始まると、初めに恭也さんと美由希さんでお手本を見せてくれ、その後に自分が実際にそれを真似てやってみる……という地味ながらとても重要な事を只管に繰り返し、1時間程すると休憩する事になった。単調だけど凄く神経も体力も使う訓練に、俺の息も絶え絶えになって床にへたり込むと、恭也さんが何時の間にか持って来ていたスポーツドリンクを手渡してくれた。それを飲んで一息付くと、恭也さんと美由希さんは防御と回避についての重要性を語り出した。
「――防御と回避は自分の命を救う重要な行動だ。剣道でも同じ事は言えるけど、実戦になると本当に自分の命を懸ける事になるから入念にやらないと冗談抜きで死ぬ事になるからな?」
「良く"攻撃は最大の防御"って言うけれど、それは戦争みたいな"多数対多数"の戦略であって個人の戦闘ではまずありえない事だから、その考えは頭の中から捨てちゃった方が身のためだね」
部活の仲間から事ある毎に"本番に弱い"って言われてるし顧問からは、
「相手に想定外の攻めに出ると直ぐパニクって足元を掬われたり、追い詰められるとヤケになって攻め一辺倒になってソコを突かれたりするからダメなんだ。常に落ち着いて攻撃を捌けるようになれ!」
と常日頃言われているけど、俺は「攻撃は最大の防御だ!捨て身でやればどうにかなる!!」と言い返して殆どと言って良い位全く聞く耳を持たなかった……でも"あの時の人面樹"との戦いで、それが間違いだったんじゃないかという事に気付かされた。魔石や宝玉が無ければ今頃は死んでいてもおかしくない。
「それはこの間の人面樹の件で身を持って知ることが出来ました。……俺はこの訓練を通じて得た事を剣道にも活かして、もう二度と"本番に弱い"だなんて言われない様になりたいです。本当の戦いに"次なんて無い"様に、一戦必勝の精神と技術を身に着けたい」
「立派だな。その心積りでこれからも臨んでくれよ」
「良い心構えだねぇ~きっとこの先も大丈夫だよ!」
休憩を切り上げると、引き続き反復して恭也さんと訓練を行う。訓練をやってて解ったのは"精神的にも肉体的にも疲労が出て来て、動きが鈍くなった時"が一番危ないという事だ。元々俺が短気な性格だからって事もあってか、少しでも焦りを見せたり疲れで動きを止めたりするようものなら、恭也さんは容赦無く攻撃を繰り出して来る。一方で美由希さんは俺の動きを見て、この短時間で"癖"を見抜いたのか俺が考えてもいない動き(しかも俺でも咄嗟に出来る様に工夫をしてくれている様子)を的確に、かつ解りやすくアドバイスしてくれる。そして1時間程経って再び休憩する。
「恭ちゃん。晃祐君の動きを見てて思ったことがあるんだけど……」
「剣道が身体に染み付き過ぎていて動きに"癖"があるんだろう?」
「……"癖"、ですか?」
「ああ……晃祐君は剣道をどれ位続けているんだい?」
「えっと、小学校の2年からやってるんで、もうかれこれ8年になりますね」
「長年続けている事で"癖"が身に付くというのはある意味いい事だけど、本当に戦闘を行う事になるとそれは返って悪影響を及ぼす事にもなりかねない――この際、剣道の動きは全部頭の中から全部取っ払ってしまうのが良い」
剣道の動きと取っ払うって……そりゃかなり難しいなぁ。中体連も近いし動きを覚えて変に試合中に出たら審判に反則を取られるかもしれないし。
「今直ぐってのは難しいかもしれないけど、少しずつ少しずつやっていけば良いよ。中体連もあるんだろうし本格的な事はそれが終わってからだね」
「すいません……助かります。本当は今直ぐにでも本格的な動きを学びたいんですけど、やっぱり最後の中体連だし、一応副部長なんで結果も残したいんで」
その後俺達は夜8時まで練習を続けた。風呂場を借りてシャワーを浴びた後、帰り際に桃子さんから、
「晃祐君。ちょっと遅いんだけど今日は家でお夕飯でも食べていかない?」
と夕食の誘いを受けた。俺は躊躇して試しに母さんに電話をすると許可を貰ったんでお言葉に甘えて一緒させて貰う事にした。
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「わざわざご飯までありがとうございます。いただきます!」
「恭也、美由希。晃祐君の練習を見ていてどうだった?」
「……筋は悪くないと思う。学校が夏休み期間に入ったら集中的にやれば秋頃には化けるかもしれないなぁ」
「でも剣道の動きを身体が覚えちゃってるから、どうしても不意打ちとかに弱いよね。一応恭ちゃんとは晃祐君の中体連が終わってから、本格的な動きを教える事にしたよ」
ふむ。2人が言うなら努力次第ではどうにかなるか……しかし剣道を長年やっているのであれば、迂闊に御神流を教えず一刀流に専念させた方が良いかもしれない。私達と違って彼は悪魔召喚師だから仲魔の協力が得られるだろうし、余計な物を教えない事にすべきだろう。
「――そう言えば、なのはちゃんまだ帰って来てないんすね」
「ええ……」
晃祐君がなのはの事を訊くと、桃子さんは一言発すると表情が暗くなった。
「"あの晩"、なのはが帰って来た後に全部聴かせて貰ったよ。まさかあんな強力な光子砲を撃てる程の"力"を持っていたなんて、正直に言うと信じられないし信じたくもない」
「……そして俺達の敵になるかもしれないという事も」
「あのね晃祐君。実はなのはから話を聴いた時、私達はヤタガラスの事を言えなかったんだ……あんな大真面目な目をしていたら、例え誰が何を言ってもなのはは話を聞いてくれないだろうし、言える空気じゃなかったから」
私の後に続いて恭也と美由希も言葉を口に出す。それを聴いた晃祐君も沈んだ表情になり、リビングに重い空気が漂う。
「――さ、さあ!その事はその時になってみないと解らないんだから、早くお夕飯を食べましょう!?」
桃子さんは気丈だな。確かにその通りだ!恭也と美由希もハッとした顔をして、再び御飯を食べ出す。
「そうだね。晃祐君も美味しい物も冷めて美味しく無くなってしまうから早く食べるとしよう。それに帰りが遅くなったら那緒実さん達も心配するだろうしね」
「は、はぁ……」
私は夕飯を終えると晃祐君を車で自宅に送り届け、那緒実さんに恭也と美由希から聴いた訓練の様子を伝えた後、途中スーパーに寄って買い物をして帰宅した。
なのは……お父さんは敵として対立するという事態にならない事を信じてるぞ……!
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兄ちゃんが家に帰って来ると、私は部屋に来るように言うた。そして那緒実さんと喋っとった士郎さんが帰ると、荷物を置いてスウェットに着替えた兄ちゃんが部屋に入って来る。
「おう。一体何だよ~」
「兄ちゃん兄ちゃん!初めての特訓はどうやった??」
私は兄ちゃんから特訓の内容を訊くと、めっちゃ疲れとるだろうに嫌な顔もせぇへんで詳しく教えてくれた。兄ちゃんは晩ご飯中に恭也さんに"筋は悪くない"て言われたみたいで、私はホンマ嬉しくなった。
「そか~良かったなぁ……ほな、こっち来てくれへん?」
「ん?ベッドに移せば良いんだな?」
兄ちゃんは私を車椅子から抱え上げるとベッドに運んで座らせてくれた。そして直ぐに立とうとするけど、
「兄ちゃん待ってぇな!ちょっと私の横に座ってくれへんか?」
「ったく、解ったよ」
兄ちゃんが横に座ると、私は兄ちゃんの肩に頭を預けた。すると兄ちゃんは驚いたんやけど、私の身体が倒れない様に動かないでくれた。
「ど、どど、どうしたんだよ!?」
「――あのな。兄ちゃんがあん時の約束を守ってくれて、私めっちゃ嬉しいんよ。今日こうして私のために特訓に行って夜遅くまで頑張って来て……ホンマ、ホンマありがとな」
「何てこたぁ無ぇよ。家族なんだから当然の事だろ?例え血が繋がってなくても、はやては紛れも無い妹なんだ。色々と重いモノを背負ってるのをただ黙って見てなんていられない。だから……」
「だから何なん?」
「俺、はやてが闇の書の呪いから解き放たれて、一人でしっかりと両足で立って生きていける様になるまで頑張るからな」
兄ちゃんはそう言うと、私の頭を優しく撫でてくれた……でもちょっと気になった事があったもんやから、言葉の真意を訊いてみる。
「うん……せやけど兄ちゃん。今、私が"一人で生きていける様になるまで"って言うたけど、病気が治ったら悪魔召喚師辞めようとか思っとるんとちゃうの?」
「さあ、な……ひょっとしたら"続けたくても続けられない状態"になってるかもしれないし、俺自身の先の事なんて解らないさ。とりあえず約束した以上、出来る所まで出来る限りの事はやってみるわ。そのためにも全力で訓練をこなして行かないと」
「絶対兄ちゃんなら大丈夫やって!」
「ははは……ありがとな」
「で、なんやけど明日日曜日やから久し振りに私と一緒に寝てくれへん?」
「……しゃーねーなぁ~」
兄ちゃんに無理言って一緒に寝てもろた……やっぱ疲れとったみたいで、直ぐに寝息を立ててしもた。兄ちゃん頑張ってぇな!私も病気が治ったらヤタガラスに志願してみるつもりや。後方支援でええから少しでも兄ちゃんの事を助けたい……何時までも守られてるだけの私やないで?
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-5月12日午前1時 海鳴市郊外某所-
「――!?」
「ちょっとどうしたの!?」
「……2人共あれを見なさい。あそこに人が倒れてるわ!」
「アレは……女性?と、横に何かがあるわね」
「コレは大型のカプセルみたいなモノみたい」
"彼"がカプセルを転がすとガラス張りの部分が表に現れた。中に液体と一緒に何かが入っているみたいだけど、中身が混濁して良く見えない。
「…………?」
「ちょっ、うわわっ!いきなり何やってんのよ!?」
"彼"がしゃがみ込んでカプセルにあったボタンの様な物を適当に押すと、ガラスが開いて液体が流れ出して内容物が顕になった。これは……女の子!?この女性は一体何をしていたというの!?
「――!――――!!」
「まったくどうしたの……ってそっちの女性は生きてて、こっちの子も反魂香を使えば助かる見込みがあるのね!?」
"彼"の言葉に"マダム"は驚きの声を上げた。助かるのなら助けないと!
「一刻も早く平崎の事務所に戻りましょう!!」
「そうね。この状態で悪魔に遭遇すると危険だわ」
私達はトラポートで平崎のターミナルに帰還し、急いで事務所に戻ると2人を蘇生させて目覚めるまで魔石等を使って回復させ続けた。女性も少女も衰弱していて予断の許さない状態だ……どうか無事に目覚めて頂戴!!
次回に続く
最後に登場した3人、解る人には解ったと思います。そうです"あの3人"ですね!
そして女性と少女も名前こそ出していませんが誰だか解ると思います。
次回はそこに至るまでの経緯についてを投稿したいですね。
それでは悪魔に身体を乗っ取られぬよう、お気をつけて……