真・女神転生デビルサマナー ~時と世界と魔法を超えて~ 作:ナベリウス
それではどうぞ。
2013 7/26 2:23 一部内容を変更,ケルベロスのセリフに漢字を使用
2013 8/6 21:19 誤字,脱字を修正
「そこまでよ"魔獣ケルベロス"!!」
開け放たれたドアの方を向くと、其処には母さんが立っていた。
『グルルァァァァァァァ……キサマ!オレサマノ餌ヲ横取リスル気カ!?』
すると"ケルベロス"と呼ばれた白い化け物は、鋭い爪が生えた右前脚を振り上げた。俺はもうダメだ。と思って顔を背けた……が、次の瞬間、はやての大切にしていた"あの本"が再び光り、何か壁のようなものが現れてその一撃を弾いた。
「……私の子ども達を餌扱いだなんていい度胸ね。お仕置きしてあげるわ!出でよ"ソーマ"!!」
(!?!?)
何かが炸裂した様な轟音が地下室に響き渡り、背けていた顔を前に戻す。と、目の前には、まるで月明かりの様に光り輝く衣装を纏った人らしきものが、また俺に向かって攻撃して来ようとする化け物の一撃を防いでいた。
「二人共怪我はない!?」
「あ……母さん。ごめん、はやては……」
「話は後で!とにかくはやてちゃんを背負って早く上に戻りなさい!」
「え?でも母「私の事なら心配要らないわ」でも、化け物なんだよ!?どうしてそんなに冷静でいられるの!!」
「それも後で話すからさっさと上に行きなさい。いいわね!?」
俺は失神していたはやてを担ぐと、階段を上がろうとするが、ほんの数十段しか無いはずの階段が、恐怖心からかとても長く感じてしまった。どうにかリビングに逃げこむとはやてをソファーに寝かせ、俺も床でしゃがみこんで膝を抱えてガタガタを震えてしまう。
あんな恐ろしいものが何で俺の家なんかに?
それにあの化け物は一体何なんだ?
そもそも母さんは何で化け物の事を知っているんだ?
俺はおもむろに地下室の方に目を向けた。母さんは本当に大丈夫なんだろうか……
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
―その頃地下室では―
「いい加減になさいケルベロス!幾らお祖父様と共に怪異に立ち向かったとはいえ、私の子どもに襲いかかるのは親として見過ごせないわ。」
『オレサマヲ外ニ出サナカッタ、貴様ガ悪イ!』
『くっ……主よ、これ以上私の力では此奴の力を食い留める事は不可能です!』
私はすぐさまスマートフォン状COMPから、祖父"14代目葛葉ライドウ"が愛用し、私自身も悪魔討伐に使用する赤光葛葉《しゃっこうくずのは》を呼び出し鞘から一気に刀身を抜き、それまでケルベロスの攻撃を受け止めていたソーマが避けて体勢を崩した瞬間に、ガラ空きになっていた右脇腹へ突きを放つ。
『グワァァアァアァァァァァッッ!!』
(右の肺を潰した!これで動きを止められ……ッ!?)
ケルベロスの身体から赤光葛葉を抜こうとした瞬間、身体を大きく振るわれ壁に叩きつけられてしまう。幾ら私が"絶対無敵のデビルサマナー"の異名を持っていようが所詮は女、イザとなった時の力は男性デビルサマナーには劣ってしまう。
「っ……!ソーマ、あいつの動きを封じて!」
『応!』
ソーマは瞬時に凍結呪文"ブフ"を放つ。ケルベロス位の悪魔なら更にその一つ上の威力を持つ"ブフーラ"を使うべきだけど、地下室という場所を考えるとそれは無理ね。でもさすが私と20年以上共に戦い続けてきた仲魔だけあって、ただのブフでも十分効いたみたい。四肢が氷漬けになって身動きが取れなくなった。私は立ち上がるとソーマに、
「"ブフ"だけじゃ不安ね。"シバブー"もお願い」
『応。死にたく無くば大人しくせよ!』
全身を鎖の様な光で縛り付けられたケルベロスはさすがに観念したのか、身体を伏せて動くのを止めた。さっきの脇腹への一撃が相当効いているみたいね。私はケルベロスの身体に刺さったままの赤光葛葉を抜き、そのままソーマに指令を下す。
「ソーマ、ケルベロスを回復させてあげて」
『しかし宜しいのですか?此奴は主を騙そうとしておるやも知れませぬぞ』
「大丈夫よ。もしそうだったらシュウやアンリ・マンユも召喚して跡形も無く消し飛ばすから」
(コレハ、逆ラワヌ方ガ身ノタメダナ……)
『……承知。"ディアラハン"』
ソーマが両手をかざすとケルベロスの身体を眩い光が覆い、一瞬にして跡形もなく傷口が消えた。
「ありがとう。もう戻っていいわ」
『応。それではまた』
ソーマに封魔管を向けると光となって吸い込まれてゆく。そして再びケルベロスの方に向かい、これからの事について話し始める。
「さて、ケルベロス。あなたのやったことは許されないのは解っているわね?まあ、私の方も今まで気が回らずに長い間管に閉じ込めておいたから余り強くは言えないけれど、コレに懲りたらもう二度と人を襲う様な事はしないで」
『ガルルルル……解ッタ』
「よしいい子ね。それでねケルベロス、貴方に大切なお願いがあるの」
『マサカ、アノ坊主ノ事カ?』
「坊主って……まあいいわ。いずれ子ども達を守るために貴方の力が必要になる時が来るわ。その時は力を貸して欲しい」
『ドウセ坊主ドモハマタ、オレサマノ姿ヲ見テ腰ヲ抜カスニ違イナイ!』
「あはは……詳しいことはその時に話すわ。一度戻って頂戴」
するとケルベロスも光になって封魔管に戻った。それを回収した後一階の方に顔を向け、
「さてどうしようかしら。はやてちゃんの"あの本"が光って障壁を出したのも気になるわ……もしかして力が目覚めようとしているのかも知れない」
私はしばらくの間、今後の事について思考を巡らせるのだった。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
―一方リビングでは―
「ううん……」
「(!)は、はやて!?」
「ぅん、兄ちゃん。あ、あれ?何でリビングにおるん!?」
気付くと何時の間にか私も兄ちゃんもリビングにおった。たしか地下室で突然黒い管みたいなのから、ジャン◯ル大帝みたいに真っ白いライオンが現れて……と、突然兄ちゃんが私の事を抱きしめてくる。ちょ!苦しい苦しい!!
「良かった、目を覚ましてくれて。もし起きなかったら俺……」
「もう、兄ちゃんってばホンマ心配性やなぁ」
兄ちゃんはホッとした表情を浮かべて私を見つめてくる。イヤやわぁ、そんなに見つめられたら惚れてまうやろ。ま、そんなことあらへんがな!!
「……今、何か余計な事考えなかった?」
「ナンデモナイヨ?」
「ナズェ!カタコトニナルンディス!!」
「ニーチャンコスォ、ナズェオンドゥルゴニナッテルンディスカー!?」
「ウェーイ!!」
「ウェーイ!!」
「……もうやめとこか」
あんな事があったのに、まったく気が抜けてもうた……でもありがとな、兄ちゃん。
「そういや那緒実さんはどうしたんやろか?」
「俺ちょっと見てくるよ。はやてはこのまま休んでて!」
「あ、兄ちゃ「その必要は無いわ」って那緒実さん!?」
リビングのドアが開けられて那緒実さんが入ってくる。
「晃祐、はやてちゃん……後で話があるわ」
アカン、地下室に入ったので怒られる!でも私が兄ちゃんにけしかけた事やし、なんかごっつい大事になってもうたから此処は素直に謝っとこ。
「那緒実さん。ホンマゴメンなさい!」
「母さんゴメン!!」
「もういいの。遅かれ早かれいずれは本当の話すつもりだったから……」
「え!?」
「え!?」
「取り敢えずお父さんと匠真が帰って来て、晩御飯を食べてから話してあげるわ。あの化け物や私の力、それに"あの本"についても。とにかく今は休んでなさい」
そう言うと那緒実さんは何事も無かったかの様に晩御飯の準備を始めてもうた。私は兄ちゃんの方を見ると、なんとも言えない顔で見返してきた。いったいどんな話をされるんやろか……それに"あの本"の事についても何か知ってるって事も気になるし、これからどうなってまうんやろ。
次回に続く
皆様どうでしたか?
今回の登場悪魔は"魔獣ケルベロス"と"秘神ソーマ"でした。
ソーマはナヴァグラハの一柱である月の神チャンドラと同一視されているため、「月明かりの様に~」という一文を入れました。
もう既にお気付きの方もいらっしゃると思いますが、主人公の母親はデビルサマナーソウルハッカーズに登場した「最強のデビルサマナー」との呼び声が高いナオミその人です。いずれ二上門の地下遺跡で何があってこうして生き延びたのかも書きたいと思っております。
因みにヴォルケンリッターはまだ出ません。もう少しお待ち下さいませ。
アドバイス等お待ちしております。