真・女神転生デビルサマナー ~時と世界と魔法を超えて~   作:ナベリウス

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お待たせしました。第3話です。
今回と次回は解説回です。特に面白みも何もありませんがどうぞ。


第3話 悪魔召喚師《デビルサマナー》

 俺とはやてが地下室で化け物と遭遇して数時間後、父さんと匠真が帰宅し晩飯を食べた。何時もなら匠真とはやてがおかずの取り合いをしたり、皆でテレビを見て盛り上がったりするところなんだけど、今日は終始重々しい空気が流れていた。

 母さんが食器を片付けた後、ソファーに座る俺とその横で車椅子に座り居心地悪そうにしているはやてに向かって近づき、口を開き始めた。

 

 

「晃祐、はやてちゃん。さっきの事だけど」

 

「那緒実。2人がどうしたっていうんだい?」

 

「私達が家を空けている間に地下室に入ったのよ」

 

「まさか!あそこには俺か那緒実と一緒の時以外入っちゃいけないとあれほど言っていたのにか?それに鍵には"仕掛け"がしてあったのに……」

 

「そのまさかよ。"仕掛け"を解いて入るだなんて思ってもみなかった。それに一番奥のタンスに入れておいた"管"も開けてしまって……私があの時偶然帰ってきてなかったらどうなってたことか」

 

 

 父さんと母さんのやりとりを聴いていたはやては顔を軽く俯かせていて、よく見ると目尻には涙を浮かべている。

 

 

「那緒実さん…崇さん……ホンマごめんなさい。私のせいで皆に迷惑をかけてもうて……」

 

「2人共ごめん。つい出来心で……まさかあんなモノが地下にあるだなんて思いもしなかったから」

 

 

 2人で揃って頭を下げる。はやては眼を真っ赤にして鼻もグズグズさせている。

 

 

「謝って済む問題じゃない!たまたま那緒実が帰って来たから良いものの、もし帰って来なかったら死んでたんだぞ解ってんのか!?」

 

「……もう過ぎたことは仕方ないのよ。怒鳴った所でどうにかなる問題じゃないわ」

 

 

 父さんの怒号ではやてが肩をビクリとさせ、更に顔を下に向けてしまったので俺はおもむろに肩に手をかけて安心させようとする。

 

 

「……解ったもういい。後でどうなろうが俺は知らん!!!!」

 

「ちょっと父さん!それはあんまりだよ!!」

 

 

 匠真の言葉を無視して父さんはドアを乱暴に閉めてリビングから出て行った。父さんは怒ると何時も物を乱暴に扱う。幾ら学校で子ども達や保護者からは評判の先生でも、家庭では積もりに積もった鬱憤を晴らすかのような言動が多く、母さんはそれをなだめるのに何時も苦労している。はやてが家に引き取られるまでは、家に帰ってくると酒を煽っては俺や匠真に対して虐待紛いの暴力を振るったりしてその都度母さんからキツくたしなめられていた。俺はあんな大人げない人間なんて絶対なりたくない。

 

 

「もう、仕方ないわね。匠真も椅子に座りなさい」

 

「……解った」

 

「はやてちゃんごめんね。はやてちゃんが来てからあの人は余り怒鳴り散らす事をしなかったから驚いたでしょう?」

 

「ううん……元はと言えば私が悪いんやし怒鳴られてもしゃあないんや」

 

「大丈夫、もう大丈夫よ。さあ、顔を上げて頂戴。私は絶対怒ったりしないから」

 

 

 母さんははやてのそばに来て頭を優しく撫で、安心させようと微笑みかけ、皆で落ち着くまで待つことにした。

 

 

 

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 

 

 

 

 

「それで母さん、兄さんとはやてちゃんが地下室に入ったってことは」

 

「それならまだしも"管"や"本"にまで手を付けてしまったみたいね」

 

 

 母さんと匠真は俺の横に置いてある鎖で閉じられた"例の本"に眼を向けた。ちょっとまてよ、何故俺とはやての知らないことを匠真が知っている?

 

 

「母さん。なんで匠真がそれを知ってんの?」

 

「それは半年位前、匠真が家に友達を連れて来た時にも同じ様な事があったからよ。その時は私が家にいたから何ともなかったし、結局"アレ"を見たのは匠真一人だけだったから口に出さないように言って聞かせておいたの。それから地下室の鍵に"仕掛け"をして私と父さん以外は入れない様にしたって訳」

 

「で、その"仕掛け"ってのは?」

 

「それは一種の"おまじない"みたいなものよ。ゲームとかに良くあるでしょう?」

 

「いやでもそんな"魔法"みたいなものある訳「それがあるのよ」え!?」

 

「だって"悪魔"が居るんだもの。"魔法"が有ったっておかしくないわ」

 

「……那緒実さん。ちょっと聞かせて貰えへん?」

 

 

 はやてが母さんに向かって顔を上げると、母さんは立ち上がって

 

 

「夕食前にも言った通り、あなた達にはこれから本当の事を話すわ。ただし絶対に他の人に言ってはダメ。まあそんな事を言ったとしても変人扱いされるだけでしょうけど」

 

 

 そう言うと椅子に座って言葉を続けた。

 

 

「それじゃあまずはこの"管"と、これから出てきた"化け物―悪魔"について話そうかしら。"悪魔"ってのは所謂一神教、つまりメシア教の教典なんかで出てくる一般的なイメージの悪魔と違って、精霊や妖精や天使,悪霊,神などといったものも全部引っ括めたものを指すの」

 

「それってなんかおかしいんとちゃう?たとえば天使って人の味方をして悪魔と戦うんやろ。まるで正義の味方を敵と言ってるようなもんや」

 

「それは違うわ。メシア教の天使は人の味方じゃなくて"唯一神"の味方なの。例えば"メタトロン"っていう最高位の天使なんかは、"メシア教を信仰しない人間を皆殺しにする"っていう残虐極まりない存在なのよ?」

 

「……つまり人間にとって敵とも味方とも限らないから"悪魔"という事?」

 

「一般的な天使や悪魔って言うものの考え方は"あくまで人間からの一方的な視点"で見ただけに過ぎない。だから敢えて"悪魔"という言葉を使っているのよ」

 

「そしてその"悪魔"を召喚して使役するのが"悪魔召喚師(デビルサマナー)"なんだよ!母さんもその悪魔召喚師の1人なんだ」

 

「ホ、ホンマなんか那緒実さん!?」

 

「もう匠真、それは私が言うところよ!」

 

 

 それからは母さんが"悪魔"と"悪魔召喚師"、そして母さん自身の事について話してくれた。要点を掻い摘むと、悪魔召喚師は飛鳥時代には既に存在しており、それが奈良時代から平安時代へと歴史が移って行くに従ってかの有名な陰陽師へと変わっていったのだという。陰陽師が使役する式神もまた悪魔の中の一種であるという事も教えてくれた。

 俺が地下室で見つけたあの管は、"封魔管"というその名の通り使役する悪魔を封じておく入れ物で、所有する悪魔召喚師の"生体マグネタイト(略称MAG)"というエネルギーの様なものを使ってコントロールしているけれど、長期に渡って手放している時は暴走を食い止めるために呪符を巻きつけて封じ込めておかねばならないという。しかしここ30年位は"悪魔召喚プログラム"をインストールした特殊なPC(通称COMP)による自動制御が可能となった事から、封魔管による召喚も一気に廃れてしまったそうだ。

 そして母さんは、物心ついた頃から悪魔召喚師としての道を歩むために色々な修行をしていて、一人前となってからは全く信じられない様な数多くの困難と直面し、その度に乗り越えて生きてきたという。時には悪魔召喚師同志の争いで仲間を殆ど殺されてしまったり、またある時には強大な悪魔と戦って生死の境の彷徨ったり……俺もはやても、そして以前話を聴いているはずの匠真さえも信じられないといった顔をしていた。

 

 

「……でもさ、PCで制御できるなら、初めから悪魔をそっちに移しておけばこんな事にならなかったんじゃない?」

 

 

 ふとした疑問を口に出す。すると母さんはハンドバッグからスマホの様な物と封魔管を取り出して、

 

 

「私も確かにスマホ型のCOMPを持っているけれど、あくまでそれは補助にのために過ぎなくて召喚師を始めた頃から今までずっと召喚には管を使っているの。人間ってのは便利な物があるとついそれに頼りがちになってしまう。でもそれでは召喚師として色々な意味で鈍ってしまうと思ってね」

 

「でも"まぐねたいと"やっけ?毎回使っとったら那緒実さんの身体が持たへんのちゃう?」

 

「そのためのCOMPなのよ。COMPにはMAGを圧縮格納しておくことの出来る機能が付いているわ。そして私の封魔管は、見た目こそ地下室にあるそれとはあんまり変わらないけれど、召喚に反応してPCの無線LANの様に格納されている物を飛ばして、私自身のMAGの消費を最低限に抑える事ができるのよ。頼らないといけない所は頼って、自分で出来る事は自分でやらないと本当にダメな召喚師になってしまう」

 

「COMPもPCだから故障とかで使えなくなるって事?」

 

「ええそうよ。それに地下室にある封魔管と悪魔は召喚師をしていたお祖父様――晃祐と匠真のひいおじいさんに当たる人の遺したものだから、もし悪魔を逃してしまってたくさんの人達に迷惑をかけてしまう事を考えるとそのままにしておくしか無くて。お祖父様の事についてはまた別の機会に話してあげるわ」

 

「んなら私の本「ああっもうこんな時間!!」は?」

 

 

 時計を見た母さんが急に声を張り上げたのにビックリした。なんだかんだで時計は22時になっていたのだ。

 

 

「"本"については明日皆が学校から帰ってきたら話してあげるから、今日はもう寝なさい」

 

「ええ~そんな殺生な事せぇへんで今聞かせてぇなぁ~!」

 

「朝寝坊したら困るのははやてちゃんでしょ?楽しみを取っておいてもう寝ようよ」

 

 

 匠真になだめられて仕方無くはやては部屋に戻って行く。俺も明日は部活の朝練があるからさっさと寝ないと。でもその前に、

 

 

「……母さん、明日もちゃんと話してよ。はぐらかすのは勘弁してくれな」

 

「……解ってるわ」

 

 

 台所で朝食の下準備をしている母さんの背中を見ながら、俺は自室へと戻った。でも今日一日で起きた怒涛の出来事に全く寝られずに朝を迎えることになる。朝練と授業辛いなぁ。

 

 

 

 

 

 

 

次回に続く




 主人公の父親(小学校教師)と弟(小学6年生)の2人が初めて登場しました。
 元々は主人公の家庭も高町家の様に五体満足で幸福な家庭にしたかったのですが、従兄の「屈折した人間を出してこそメガテンだ。」という一言から大幅に変更しました。因みに父親の職業と若干屈折した性格は、ペルソナ2の黒須淳の両親である橿原明成と黒須純子をモチーフとしています。StS編までは主人公と父親の軋轢も描けたら良いなと思っています。
 また那緒実さんは、ソウルハッカーズだと"香港出身の孤児"で"ヨーロッパで独自の召喚技術を会得した(=悪魔と会話が出来ない)"という事ですが、この作品では14代目ライドウの孫という事にしておりますので前の話の様に普通に悪魔と会話ができます。




\パパって呼んでくれぇぇぇ!!/




次回はやっと皆さんお待ちかね、"あの本"についてです。
原作崩壊タグが完全始動します。
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