この素晴らしい世界に怪獣を!〜三つ首皇帝と紅魔の族長娘〜 作:アスフィア
「ここで死ねぇ!!ゴジラァァァアァァァァ!!!」
エクスさんは怒りと喜びを混ぜた表情で、『ゴジラ』と呼んだ男性に殴りかかる。
「ハハハ……アハハハハハッッッ!!!イイねぇイイねぇ!!街一つ簡単に吹き飛ばす程の殺し合いをしようじゃないか!!」
ゴジラと呼ばれた男性は笑みを浮かべながらエクスさんの拳を避ける。
「おいおいおいおい!!なんだ!?なんなんだ!!??」
何故か生きてる魔王軍幹部のベルディアは驚愕しながら、お店の端に移動する。
「ウフフ……予想通りね……えぇと、『ゆんゆん』だったかしら?パーティメンバーとしてのお話、受けて貰えるかしら?」
「え、えっと、その前にあの2人止めないと……」
開け放たれた入り口から見える、外でクロスカウンターを決める2人。あれを見て止めない選択肢はまず無い……と思うけど止めれる気がしません。
「……まぁ、アレは止めるの無理だと思う……フフ、犬猿の仲だもの。正直、パーティメンバーとして一緒の仲間になるのも難しいと思うわ。でも……あの人……ゴジ……コホン、ラージャが言い出したのよ。カイ……じゃなかった、エクスと会って話し合ってみたい、ってね」
「え……?」
目の前のウィズさん似の女性は優しく笑いながら続ける。
「ラージャは……」
「吹き飛べ!!」
「グゥッ!?」
「あぁもううるさいわね!!こっちはゆんゆんちゃんと話してんのよ!!」
ウィズさん似の女性は吹き飛んで来たラージャと呼ばれた男性を片手で受け止めて言い放つ。
「スキートは黙ってろよ……これは俺と彼奴の問題だ。部外者は口を挟むな」
「ねぇ、パーティメンバー募集の関係で来たんだから部外者云々じゃないんだけど。話の主旨を忘れてない?」
ウィズさん似の女性……スキートさんは笑顔のまま、青筋立てて言う。
「どうでも良い。俺はカイザーに会いたかっただけだ。会って、今度こそお互い全力の殺し合いをしたかった、それだけだ」
「……頼むから帰ってくれ……」
ベルディアさんが部屋の隅で心底面倒臭そうに言う。私以外に聞こえてないみたいだけど……
「その程度かゴジラァ!!やはりドーピングしないと我に勝てないのか!?クハハハハ!!」
「ケッ、疲労困憊してた俺を痛め付けて喜んでた程度が調子に乗るな!!」
ラージャさんは再び飛び出し、エクスさんに殴り掛かる。
「……はぁ。まったく、これだから男は……」
「ねぇちょっと。何が起きてんの?これ……」
2人が殴り合ってる時に、ランドさんがお店に入ってくる。
「あ、いらっしゃいませ!」
……そういえば、ランドさんアクセルにいたらまずいんじゃ……珍しく空気になってるめぐみんも警戒してるし……
「……あら。貴女、子供襲ってアクセル追い出されたんじゃなかったの?」
「……他人のパクリアレンジしか出来ないアメーバ如きが何か言ったかしら?」
……あれ?
「あらあら、この距離の声が聞こえない程耳が悪くなったのかしら?あっ、ごめんなさい、貴女はもう年寄りだったわねぇ〜?」
「自分でオシャレ出来ないパクリの戯言を耳に入れる程私は優しく無いのよぉ〜。分かる〜?分からないわよねぇ〜〜ぇ?」
「……あの、ゆんゆん……」
ランドさんとスキートさんは動きを止めたまま睨み合い、それを見て私と同じ事を考えたと思うめぐみんが話し掛けてくる。
「お、おい、紅魔族の子供2人……これは本気で帰った方がいい。スキートがこの状況なのは拙い。絶対に帰った方がいい。此奴が俺を助けた変人だから。頭おかしい紅魔族とアクシズ教徒以上に頭おかしいと俺は思ってるから。それで、ここまでの悪口聞こえてる筈なのに反応しないって事は多分周り見えてないから、多分少ししたら外で暴れてる2人みたいになるから。出来れば俺も還りたい」
魔王軍幹部の筈のベルディアさんがものすごく慌てながら言ってくる。確かに、これは拙いけどエクスさん置いていけないし……
「……ねぇ、エクスが来てからトラブルしか無いような気がするんだけど。俺っちの気の所為じゃないよね?」
ただでさえ拙い状況なのに、ガイガンさんまで訪れる。ガイガンさん、どうにかしてください。
「なんだ?お前は……この馬鹿4人の保護者か?」
「んな訳無いでしょ……ってかベルさん普通にアクセル住民に顔出してるけど良いの?」
「あまり良くはない。……ん?ちょっと待て。お前は俺の事を知ってるのか?」
「まーねー。スキートとは知り合いだから、ベルさんの事を無駄に助けた上で魔王軍幹部から無理矢理切り離して一応害は無いようにしたって事と、魔王軍幹部の時に仲間にセクハラしてたって事は聞いてるよ」
「酷えなオイ!!セクハラとかしてないから!!」
「上等だデスギドラァ!!私がお前をぶっ殺してやるわよ!!」
「やれるものならやってみなさいよ老害ババァ!!」
ベルディアがガイガンさんの言葉を否定した瞬間、ランドさんとスキートさんが殴り合う。
「……はぁ……もう、この手を使うしか無いなぁ」
「お、何かいい手が有るのか!?」
「あ、あるのなら是非お願いします!このままじゃお店が……!!」
溜息を吐いたガイガンさんが言った言葉に、ウィズさんとベルディアが食いつく……ガイガンさん、本当にお願いします。
「一曲歌いまぁーす!!」
「「「「なんで!?」」」」
ここで最悪の事態になった。ガイガンさんも頼りにならない。
「デストロイド・サンダー!!」
「放射熱線!!」
外ではエクスさんとラージャさんが魔法まで撃ち始めて、周りに居た冒険者達が何とか止めようとしているけれど、入れずに立ち往生している。
「アカペラだけど……まぁ何とかなるよね。あれ基本的にアカペラで歌うものだし」
「こ、こうなったら……こっちの2人も外に出して爆裂魔法で……」
「そんな事したら俺達も吹き飛ぶだろが!!これだから頭紅魔族は嫌なんだ!!」
「私を一緒にしないでください!!」
ベルディアの言葉に思わず反応してしまう。けれど、こんな所で言い合ってる場合じゃない……!!
「……クソッ!!ウィズに余計な迷惑掛けたくないが、仕方がない!!紅魔族2人!!俺も手伝うから周りにいる奴等を全員避難させろ!!」
「「分かりました!!」」
ここでベルディアさんが出て行けば、倒した筈のアクセルの街を襲った魔王軍幹部が生きているという事になって大パニックになると思う。けれど、エクスさん達4人を止める為にも、皆を避難させなきゃいけない。そもそも、何でウィズさんが魔王軍幹部を匿ってるのかも気になるけれど……
「行くぞ!!」
考えている内に、ベルディアさんが飛び出す。野次馬の声が一瞬止んだかと思えば、次に悲鳴と怒号。
もう、悩んでいる暇は無い。ベルディアさんはもう飛び出したから。
めぐみんの方を見ると、めぐみんも同じ様な事を考えている表情をしていた。
「行きますよ、ゆんゆん!」
「うん!!」
皆の、エクスさんの為にも————
「歌いまーす。せーのっ」
『Mothra Ya Mothra』
「「「「…………えっ?」」」」
————そんな時に、ガイガンさんが歌い始めた。それだけならどうでも良かったけれど……何故か、エクスさんもラージャさんもランドさんもスキートさんも動きを止めた。
そんな様子を見て、避難勧告をしていたベルディアさんも、それを見てベルディアさんと敵対していた冒険者達も、動きを止める。
流れる静寂の中、ガイガンさんがお店から出て来て、ニヤリと笑いながら、歌を続ける————
『Dengan Kesaktian Hidupmu』
「「「「止めろぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」」」」
瞬間、何故かエクスさん達が全力でガイガンさんを止めにかかる。
「黙れ馬鹿ども!!今すぐ其処に正座しやがれ!!じゃねえと歌い続けるぞ!!」
ガイガンさんが激怒しながら言った瞬間、4人はすぐにガイガンさんの前に正座する。
「……えーっと……これは一体どういう状況なんですか……?」
「……先ずは、だ。スキート。お前等の身勝手で面倒な事になったベルディアの話だ。サッサと話せ。じゃねえと……」
「はい、私は特殊な体質で死ねないので、死の宣告使える最上位アンデッドのベルディアを拉致監禁してます」
「オイ待てその説明だと俺の状況余計に残念な事になる」
ベルディアさんが若干焦りながら、スキートさんを止めようとするも、スキートさんは続ける。
「一応魔王軍幹部からは抜けた扱いだから危険では無いです。ハイ。お陰で死の宣告の効力も弱まったのか、全然効かなくて悲しいです。そろそろ亀甲縛りでもして、やる気高めないとダメかなって」
「そんな事思ってたのかお前!?あ、いや、待て!!俺は悪くねぇ!!だからお前等、さっきとは違う視線で俺を見ながら後ずさるの止めろ!!止めてくれ!!」
「はい、ベルさんの誤解は解けたから次行こうか、うん」
「これの何処が『解けた』だ!?いや、確かに魔王軍幹部としての誤解は解けたかもしれないけど!!余計な方向に誤解されてるだろコレ!!」
ガイガンさんは喚くベルディアさんを無視し、4人に向き直る。
「……で、だ。俺っち歌ったけど、あの歌でどのモスラが来るか分かってる?お前等……」
「……そういやそうだな。スキート、お前知ってるか?」
「知らないわよそんなの。そもそもこの世界にモスラ来てるの?」
「つーかさ……ガイガンが歌った所で来るの?」
「あー……そう言えば、我とガイガンが最初に会った時にモスラは居ると言ってたな。名前は何と言ったか……」
「スキートとランドが嫌なほど知ってるヤバいモスラが居るよ」
「「……はぁ!?レオが居るの!?」」
「あぁそうだ、レオとか言ってたな」
レオという名前を聞いた瞬間、ランドさんとスキートさんは目に見えて怯え出す。スキートさんは兎も角、この前思い切り暴れてたランドさんがここまで怯えるの見ると、そのレオさんの怖さが分かる気がする……。
「ほんっっっっとに止めてお願い私まだ死にたく無いから」
「私は死にたいけど彼女封印しかしてくれないじゃない止めて本当に来ないで来させないで」
「さっき歌ったからなーもしかしたらもうアクセルの街に来るかもなー」
「「ヤメテッッ!!」」
「だったらテメェラさっさと迷惑掛けた皆に謝って店に戻って本来の目的の話し合いしてこい!!じゃねぇと叩ッ斬るぞゴルァ!!」
「「「「皆様誠に申し訳ありませんでした!!」」」」
4人は一斉に謝罪し、光の速さでお店に戻る……
「……ゔあ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛……本ッッッ当にやってらんねぇ……」
「……ガイガン……とか言ったか?お前も大変だな……」
「ベルさんこそ……あの自殺志願不死女に付きまとわれて御愁傷様だよ……」
ガイガンさんとベルディアさんが肩を叩き合い、足取り重くお店へと入って行く。
「……ゆんゆん。貴女はお店に行かなければならないのでは?」
……あっ。
「私は先に戻ります。頑張ってくださいね」
「ちょっ、めぐみん!?」
「だって私関係ないじゃないですか!!流石にあの中に戻りたくありませんよ!!それでは!!」
「あっ、ちょっ、めぐみん!!」
めぐみんは有無を言わさずそのまま走り去ってしまう。
「……どうしよう……」
どう思っても、お店に戻るしか道が無い。周りの哀れみの視線を感じながら、私はお店の扉に手を掛けた。
〜〜〜〜〜
あー、皇帝さんなんなんだよー。
リア充になりやがってよー。
でも人の姿をしてる奴に恋はねーなー。
異種恋愛ってやつなんだろーなー。
あー誰か俺の愚痴聞いてくれねーかなー。
「聞いてるわよ?どんどん言っていいわ」
いきなり俺をペットにするとかさー……って、え!?なに!?俺の言葉通じてんの!?ってか誰!?いつの間にここに!?
「質問多いわね……取り敢えず、言葉は通じてるわよ?」
って事は巨乳のネーチャンも怪獣ってことか?
「あってるけど……巨乳のネーチャンって言い方やめてくれない?この世界に来る時に、神様モドキに『女性として最高の身体にしてやろうか?(笑)』とか言われて特に考えずにそうしてもらったけど、このデカい乳重いだけなのよね……」
んじゃ、貧乳願望ネーチャンで。
「……普通にネーチャン呼びは出来ないの?」
へいへい。で、ネーチャンは何しにここへ?皇帝に用なら、今はいないよ?
「んー……ちょっと友人に呼ばれてね。でも、態々来たのに私の役目無くなっちゃったみたいなのよね」
うわー……呼んでおいてそれはないわー。
「まぁ、確かにそうだけど……自己解決出来るのならそれに越した事はないわ。でも、態々こっちに来たんだし……しばらくの間、こっちに泊まろうかな?」
いーんじゃね?宿屋なら空いてると思うし。てか、怪獣なら皇帝に頼めば泊めてもらえるかもよ?
「ふふ、大丈夫よ。迷惑はかけられないしね。それじゃ、私はもうそろそろ行くわ」
おー。んじゃーねー。ばいちゃー。……あ、そいやお名前は?俺はジラ。泣く子にも嗤われる雑魚です(泣)
「じ、自分で言ってて悲しくならない……?」
悲しいに決まってんだろ!!マグロ食っちゃダメなの!?美味いじゃん!!雑魚だ雑魚だとか言うけどさ!!身軽さならトップレベルだと思いますよ!?飛べませんけど!!飛べないからどうしても劣っちゃうんだよねー……ってかさーカマキラスとかクモンガとかさー光線すら使われてないんだけどー……俺より噛ませ感強いんだけどー……そもそも噛ませなら轟天号にやられたマンダと生身の人間にやられたエビラの方が適切だと思うんだよねー……
「え、えぇと……その……」
……あぁ、ごめんね。色々言い過ぎた……んで、ネーチャンの名前は?
「私の名前は……
レオ。モスラ・レオよ」
レオ?なんか男みてえな名前だなー……っ!?ま、まさか、さっき女の体がどうこう言ってたけど、本当は中身は男なんじゃ……!?
「そろそろぶっ飛ばすわよ?」
アニメのセナさんエロくて良いわ〜……此処でのガイガンネタが増える増える。
出来ればもう一回出て来て欲しかったかな……あとゆんゆんの手紙ネタはこっちでも有効活用出来そうですね。しかし……皇帝ですら胃潰瘍起こしそうな狂いっぷりのアクシズ教徒……この章、ちゃんと書けるかな……?