この素晴らしい世界に怪獣を!〜三つ首皇帝と紅魔の族長娘〜   作:アスフィア

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この初めての想いに決着を!

ウィズ魔法店。そこで、我とゆんゆん、そしてグランドギドラにガイガン、デスギドラと……忌々しきゴジラが椅子に座っている。

 

「……さて。では、これより会議を始める。何か意見のある者は?」

 

「……1つ」

 

「ラージャか。何だ?」

 

「俺は此奴とパーティを組む気は無い。以上だ」

 

全くもって同感である。珍しく我とゴジラの意見が合った。

 

「はいそこ、エクスだエクス。『同感だ』みたいな表情するな。ゆんゆんちゃんに失礼だと思わないのか?」

 

ふざけてる。これに関しては絶対に無理だ。ガイガンのモスラ呼びの脅迫とゆんゆんの視線が理由で取り敢えず話し合いには応じたが……我がゴジラと共闘とか冗談にも程がある。

 

「残念だが、ゆんゆんの頼みでも無理だ。ゴジラだけでも拒絶ものなのに、デスギドラまで付いてくるとか洒落にもならん」

 

「あら……随分と嫌われちゃってるわねぇ、私は……」

 

デスギドラ……スキートが笑いながら言う。此奴、絶対に気にしてないな。

 

「はぁ……なぁランド、もう解散で良い?俺っちもう嫌なんだけど。帰りたいんだけど。セナさんに会いに行きたいんだけど」

 

「最後以外はOK。私もこの場を離れたい。レオが来る可能性があるなら否応無しに逃げるわ」

 

しかし、この相変わらずの『レオ』に対する怯え方だ。上手く利用できないだろうか?

 

「あ、あの……私の所為で、こんな事になってしまって……本当にすみません……」

 

すっかり意気消沈してしまったゆんゆんがゴジラとデスギドラに謝る。其奴等に気を使う必要は無いというのに。

 

「いやいや、悪いのは私達よ……こうなる事分かってたのに会いに来ちゃったんだもの……ところでさ、皇帝様。1つ聞きたいのだけれどいいかしら?」

 

しかし、このデスギドラのウィズ魔法店店長のパクリは大丈夫なのだろうか。我々怪獣の姿を真似るのと、人間の姿を真似るのとではリスクが大きく異なる筈なのだが……

 

「……なんだ?」

 

「貴方とゆんゆんの関係って何なの?私の見立てじゃただのパーティメンバーってだけじゃ無いように見えるのだけれど」

 

「あ、それ俺も思ってた。おうどうなんだ皇帝(笑)様よ?」

 

「おうラージャお前一々エクスを煽るなモスラ呼ぶぞ」

 

「……えー……と、だな……」

 

これはまた随分と答え難い質問をされたものだ……いや、本当にどう答えればいいのだろうか。

 

「え、えと、その、私とエクスさんはただのパーティを組んでいる仲間ってだけであって、別に変な事がある訳じゃ……」

 

「……ガイガン。此奴はどこまで知ってる?」

 

唐突に、ゴジラが変な事を聞く。どこまで、というのは我々怪獣の事についてだろうか?

 

「俺っち達が亜人だなんて存在しない種族じゃ無いって事、そして怪獣だって事。それ以外は話したり話してなかったりだよ。本人達に任せてるからね」

 

「そうか。……ならば、ゆんゆん。言っておいてやる。その糞皇帝はな、お前達人間を滅ぼそうともしてた一族の長だ。生半可な事じゃ、人間相手にここまではしねぇんだよ」

 

「…………」

 

言ってくれる。だが、1つだけ気になるな。

 

「なぁゴジラ……いや、今はラージャだったか。それ、お前にも言える事じゃないか?」

 

「……いや、俺はお前みたいに人間相手に情入れてないし……」

 

顔を背けるラージャ。やっぱりブーメランか此奴。

 

「ラージャ。ちょい耳貸せ」

 

「あ?何だってんだまったく……」

 

ガイガンが何を言ってるのかは分からないが、次第にラージャの表情がニヤニヤした嫌な表情に変わる。何喋ってるんだガイガンは。

 

「へー、ふーん、成る程ねぇ……面白い事になってるなぁ、異種恋愛とは……」

 

「ガイガン表出ろ。貴様はこの手で殺す」

 

「うるせぇ事実だ事実。俺っちは嘘は言ってねぇ」

 

横でゆんゆんが真っ赤になっている。でも、その表情は何処か嬉しそうで……

 

「……チッ、兎も角話は終わりだ。帰るぞゆんゆん」

 

「えっ?あ、はっ、はい!み、皆さん今日は迷惑かけてすみませんでした!!」

 

我が立ち上がると、ゆんゆんも立ち上がって謝罪する。しなくていいというのに。

 

「……おいエクス」

 

「何だ」

 

店の扉に手を掛けたその時、ラージャが声を掛けてくる。貴様の声なんぞ聞きたくないというのに……

 

「……お前が、其奴を大事だと思っているのなら……全力で護ってやれよ。人間は脆い。あっという間に命を落とす。でも、それ以上に……心は脆いんだ。人間だけじゃなく、俺達もな」

 

想定外の事を言ってきた。何故だろうか。此奴は、こんな事を言う様な奴じゃないだろうに。

 

「……ふん、そんな事分かってるわ馬鹿者。貴様なんぞに言われなくてもな」

 

そんな事を嘲笑しながら言ってやる。また悪口で返してくると思って。

 

だが、違った。

 

「……そうか。なら、大丈夫だな。そろそろ戻るぞ、スキート」

 

「えっ。……え、えぇ、そうね」

 

ラージャは柔い表情で席を立ち上がると、扉に向かって歩いてくる。さっきまでとは全然違う此奴の態度に、思わず扉の前から退いてしまった。

 

「……大事なモノがある『当たり前』が、どれだけ幸せか。失ってからじゃ、遅いんだ。俺は……この世界に()()()()()()で、失ったからな。大切にしろよ。今の幸せを」

 

そう言って、ラージャは店を後にした。それを追い、スキートも店を後にする。

 

「……エクス、自分の気持ちに正直になりなよ?」

 

「そうね。じゃないと前みたいに独り身で生涯を終わらせる事になるわよ?」

 

「ランド、貴様は後で殴るからな」

 

「それじゃーねー☆」

 

あ、逃げやがった。

 

「さて、と。俺っちも帰りますか。セナさんの所寄ってこっと」

 

「やめてやれ」

 

そんな会話をしつつ、ガイガンも店を後にする。

 

「……エクスさん。私達も……帰りましょう。めぐみんも待ってますし」

 

笑顔でそう言うゆんゆん。

 

……笑顔を見て、こんな……『護りたい』と思った事はかつてあっただろうか。

 

……無いな。確実に。力で支配する我等の一族に、そんなものは無かった。

 

だからこそ、今の幸せを護らなければならない。まだ2日目が始まったばかり。なのに、とても長く感じる。今まで、数万年は生きただろうか。なのに、そんな今までよりも、長く……幸せに感じる。

 

「エクスさん……?」

 

「……そうだな。戻るか。迷惑掛けたから、何か土産でも買っていくか?」

 

「そ、そうですね!」

 

……この想いは、今はまだ仕舞っておこう。この想いは……我が、この世界に呼ばれた理由を乗り越えた、その時に。

 

 

 

 

 

……その時に、ちゃんと伝えるとしよう。

 

だから、今はまだ。この想いは……初めてのこの想いは、心の中に。

 

 

 

 

 

「あ、その、お土産なら私のお店で買っていくのは如何ですか?」

 

「……すまん、今はちょーっと持ち合わせが少なくてな……」

 

「この店の物を土産に持って行こうものなら絶交間違いなしだろ……」

 

「ベルディアさん酷くないですか!?」

 




書き終わって思ったけど、これもっと後の話にするべきだったのでは……?
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