この素晴らしい世界に怪獣を!〜三つ首皇帝と紅魔の族長娘〜 作:アスフィア
メイン小説が二つになって執筆ペースが遅くなっちゃいまして……
「「あ、おかえり」」
私とエクスさんは、宿屋に戻って来た。
今日はあんな事があったから、一人にさせたくないとエクスさんが言うのでちょっと恥ずかしいけれど、同じ部屋に泊まる事になった。だから、宿屋に帰って来たんだけど……
「いやあの何でいるんですか。しかも何ですかそのお茶とお菓子は」
お茶会する気満々のランドさんとガイガンさんが、私の部屋に不法侵入していた。
「ふむ、中々良い香りだな。これは一体?」
「紅茶だよ。エクスはもうちょい基本を知らないとダメだね」
エクスさんも普通に会話しないでください。これおかしいですから。
「貴方達の常識が、私達に通じるって前提は止めた方が良いわよ?私達は人間とは根本的に違う生き物なんだから」
「そ、そうかもしれませんけど……」
「取り敢えずゆんゆんちゃんも座ってさ。君が聞きたい事を幾らでも話してあげるからさ。……聞く気があるのなら、だけどね」
直前まで笑っていたガイガンさんが鋭い視線を向けて言う。……もしかして、私が何を考えてるのか分かってる……?
「心当たりある?……まぁ、アレは君にだけ聞こえる様に言ったんだけどね」
「!?」
「おい、アレとは何なんだ?」
事情を知らないエクスさんがガイガンさんに聞く。
「俺達が亜人って種族じゃないって事だよ。エクスと組んでるんだから……真実を知る権利がある筈だよ」
「そうそう、態々あんなに暴れてあげたんだかr」
「お前よくそんな事言えるよな!?何なの!?何であんな暴れたの!?予定に無かったよね!?こちとらどうすりゃいいのか分からなくてメッチャ焦ったんだよ!?」
「いや〜、つい☆」
「ついじゃねぇー!!後処理どんだけ大変だと思ってんだ馬鹿野郎!!」
ガイガンさんが凄まじい勢いでランドさんに怒鳴りつける。
……それより、今の会話から『予定』とか聞こえたんだけど、もしかして……
「あの……お二人って、もしかしてグルだったりします?」
「「うん」」
「よし貴様等殴らせろ」
私の問いに、即答した二人。そしてそれを聞いて拳を構えるエクスさん。
「今はダメよ。後でなら存分にやって良いわよ。思い切り抵抗するけどね」
「お前はもう暴れないでくれ」
そんな会話をする三人だけど、私は着いていけてない。
「……で、だ。紅魔族のアークウィザード、ゆんゆん。君は真実を知りたいかい?」
そんな事を思ってると、ガイガンさんが私に問いかける。その口調は今までの軽い感じとは程遠いものだった。
「っ……」
「言っておくけど、貴女は私達の秘密を知る事になる。だから……それを周りに漏らそうものなら、貴女の身体は土に還る事になるわよ」
「……!!」
ランドさんがそんな事を呟く。
「さぁ、どうする?」
……答えはもう決まっている。
エクスさんは私の仲間。だからこそ、彼の事を……彼等の事を知りたい。
もし、正体が魔王軍幹部だったとしても……私の考えは変わらない。
仲間であるエクスさんと、ずっと一緒に————
「……あー、声に出てるよ?」
「————え?」
「『エクスさんと、ずっと一緒に』って……いや〜、お熱いわねぇ〜」
ニヤニヤ笑いながら、エクスさんを小突くランドさん。エクスさんは顔をそっぽに向けているので、その表情は分からない。けど……
「おー、人間ってそんな漫画みたいに顔赤くなるんだねー」
ガイガンさんが笑いながら言う。
「っあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
あれが声に出てたとか本当に信じられない。
恥ずかしい事この上ない!!
そして、エクスさんの表情を見れないのが余計に辛い。どんな風に思ってるんだろう……
「見てて面白かったけど、落ち着いてよ。後、結局どっちなの?聞きたいの?聞きたくないの?」
ランドさんがエクスさんの事を小突き過ぎて顔面にアイアンクローを食らいながら聞いて来る。
「……聞きたいです。貴方達は、一体何者なんですか?」
「……私達は『怪獣』と呼ばれる存在。凄く簡単に言っちゃえば、モンスターね。強さはモンスターの比じゃないけど」
「怪獣……」
「ついでに言っちゃえば、俺っち達は人間の敵だよ。……まぁ、今は『元』になるけどね」
ガイガンさんの言葉に、エクスさんがピクリと反応する。
「……さて。ゆんゆん、君はどうする?これを聞いた上で、まだ俺っち達と関わるかい?」
「……私は、エクスさんのパーティです。それは変わりません」
「…………!」
「んじゃ、決まりだね」
「そうね」
ランドさんとガイガンさんはにっこりと笑いかける。
エクスさんも軽く微笑んだ。
「……ありがとう、ゆんゆん」
「ふふっ……私達はパーティなんですから」
「なぁランド、この二人って出会ったの今日だよな?」
「だと思うけど」
「ちょっと展開早くない?俺っち壁殴りたいんだけど」
「壁殴りは任せろー」
「お前等の所為で全部台無しだ馬鹿共!!あと貴様は絶対に壁殴るな!!一発で崩れる!!」
一気にコントみたいになってしまったけど、こんなに楽しく会話出来る事が、私にとってとても嬉しかった。
〜〜〜〜〜
「ふぅ〜ん……ゴジラなんて怪獣、私は知らないわね。同じ地球な筈だけど……」
「アレかな?広い宇宙の中には似た様な惑星が二つはある、みたいに言われてるけど……俺っちとエクスが行った地球と、ランドが行った地球は別のものだったって事なのかな?」
「うぅむ……そう考えるのが一番妥当なのだろうな。現状、確かめる事も出来ぬし……」
少し訂正。会話出来る事は嬉しいけれど、内容がまったく分からない。
「ところで、お前が戦ったモスラはどんな感じなんだ?お前を倒すくらいだからかなり強いんだろう?」
「かなりなんてものじゃ無いわよ。大昔までタイムスリップして子供の頃の私を殺しに来たあげく、鎧まで纏ったんだから」
「「何それ怖い」」
確かにそれは怖い。
「……っと、それよりそろそろゆんゆんちゃん置いてけぼりよね?」
「そろそろどころじゃ無いだろ。始めから置いてけぼりだろこの会話じゃあ」
「すみません……」
「いや、ゆんゆんちゃんに非はまっっったく無いから謝らなくていいって」
「まぁ、詳しい事は後々話す事になるだろうから今は分からなくて良いわよ。それじゃそろそろお開きにしましょうか。もう日も暮れるし」
ランドさんに言われて気が付いたけど、私達はかなり長い間喋っていた。……なんか、とても早く感じたなぁ……
「それじゃ、お二人さんは一緒に寝るんでしょ?良い報告待ってるよ〜」
「ちょ、ちょっと待ってください!!良い報告ってどう言う意味ですか!?」
「そりゃぁ……自分で考えなよ(笑)」
「そうね(笑)」
「いいからお前等帰れよ。特にグランド」
私達が話してる中、そんな事を言うエクスさんの表情は本当に嫌がってる様な表情だった。
「うっわー、そんな表情する?露骨に嫌な態度とか見せるとゆんゆんちゃん引いちゃうよ?」
「善処はするが貴様に対してだけは別だ」
ランドさんはそうよね、と呟くと、こちらに手を振りながら空へと消えて行った。
「あ〜あ……本当に疲れた。……あ、そうだ。俺っち大工仕事してるからさ、もしよかったら今度仕事頼みに来ない?家建てる場所も一応あるよ?」
「そうか……まぁ、考えておこう。金なら入ったしな」
そんな挨拶をして、ガイガンさんも帰っていく。
「……はぁ、転生初日からランドとやり合う事になるとは……」
疲れたと言わんばかりにため息を吐くエクスさんから、また新しい単語が飛び出す。
「あの、転生って……?」
明日から、今までとは違う日常になる。
『怪獣』という種族の知り合いが、仲間が出来て……
幾つも聞きたい事がある。幾つも知りたい事がある。
彼の事を考えると、今夜は眠れそうにない————
〜〜〜〜〜
「……まったく、これからどうするんだよ……ランドの奴はエクスを驚かせるだけの計画を無視して大暴走するし…………俺っちだけじゃあ
そういや、このすば9巻が今月下旬発売予定でしたね。まだ詳しく調べてないから早く調べないと……